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2007年11月30日

演劇部の活躍~地球温暖化をテーマに~

演劇部のステージ 演劇部の表彰

  本校には数多くの運動クラブや文化クラブがありますが、それぞれ活発な活動を行なっており、顕著な成果を収めています。そのため、毎週水曜日の全校朝礼においては、素晴らしいことにほとんど毎回のように賞状の伝達をしています。
  これらの中の一つに演劇部がありますが、11月8日~11日に開催された「第51回 兵庫県高等学校演劇研究会阪神支部発表会」において21校中4位になり、見事に優秀賞を獲得。続いて行なわれた16日の県大会においては優良賞を受賞しました。
  更に、17日には宝塚市文化振興財団主催の「宝塚演劇祭」にも出演しました。このイベントは同財団が、学校の演劇部や市民劇団に発表の場を提供することを狙いとして出演グループを公募して1993年から毎年開催されており、本校は初回から連続出場しています。
  演題は、共に『テンション 28℃』。等身大の女子高生を主人公にしたオリジナル劇でテーマは地球の温暖化ですが、この脚本の製作の中心となったのは、高校2年生の矢野愛蘭さんです。最初に、彼女が環境問題をテーマに据えた劇を提案し、全員で脚本を練り、最終的にクーラーの設定温度をめぐって高校生4人が対立するという物語が出来上がったようです。矢野さんは、サントリー株式会社の支援で雲雀丘中学時代に愛知万博の『こども環境サミット2005』に参加した12人のうちの1人であり、その時の経験をもとに、1人でも多くの人が地球の温暖化について考えて欲しいとの思いを込め、今回の劇を提案したようです。
  まさに今、本校では来年度に向けて、環境教育を切り口とした「サントリー特別講座」開講の準備を進めていますが、生徒達一人ひとりが環境問題について真正面から取り組んで欲しいと願っています。

2007年11月29日

中学校英語暗唱大会を終えて

英語暗唱大会

  11月28日(水)、中学生の部の英語暗唱大会が行われました。この大会は、本校の伝統行事の一つであり、今年は実に36回目を迎えることになりました。中学生全員が本大会に備えて後期の授業開始時あるいはそれ以前から、それぞれの学年の指定する課題に約2ヶ月もの間取り組んできました。本年は、中学1年生10名、中学2年生 9名、中学3年生 9名の計28名が代表となり発表しました。
  出場者にとっては、生徒や先生、保護者を含めると500名を超える聴衆の前で、しかも英語で発表することは恐らく初めての経験だと思います。緊張するのは当然ですが、一人ひとりが表情豊かにジェスチャーを交えながら緊張を感じさせないほどに素晴らしい発表を行ないました。英語科の先生方が審査にあたられましたが、いずれも甲乙つけがたい出来映えであり、全員が今日の本番に備えて繰り返し練習を積んで来た努力の跡が感じられました。
  暗唱の基本はまず先生の真似をすることから始まります。これを完璧にこなした後に、文の内容を咀嚼し、感情をこめた自分なりのスタイルに磨き上げる。そして、更に大勢の前で発表するまでに仕上げていくというステップが必要ですが、これらは中学生にとっては並大抵のことではありません。今回、発表をしたのは各クラスの代表の生徒ですが、代表者の選出にあたっては、クラス毎に全員による発表会を行なってきました。このため発表者の緊張を聞き手も一身に感じ、まさにスピーカーと聴衆が一体となって、大会を盛り上げました。
  私は最後の講評で、「英語が好きですか、嫌いですか、英語力を向上させたいですか」という質問をした後、月曜から金曜までは毎日1時間、土曜・日曜は計5時間、英語の勉強をして欲しい。そうすれば1週間で10時間、1年で520時間ということになり、ある程度のレベルのことはやれるようになる。大学受験にあたっては、基本文型を最低500文、できれば700文、単語を5000語~5500語覚えることが必要である。英語力を身につけるためには、毎日の地道な努力を継続していくことが大切であるということを話しました。
  いずれにしても、今回の英語暗唱大会を通して、一人ひとりが自分なりに何らかのものをつかんでくれたのは間違いありません。生徒達がこの経験を生かし、今後一層飛躍してくれることを願っています。
  なお、本大会の結果は、後日発表し表彰する予定になっています。

2007年11月28日

変化への対応~50匹のネズミ~

校長先生 表彰状

  11月28日(水)、今月最後となる全校朝礼において、いつものように部活動の表彰を行なった後、変化に対応するというテーマで50匹のネズミの実験の例を挙げて、次のような話をしました。
  50匹のネズミを1週間、最良の環境で飼います。最良の環境というのは、気温23℃という快適な温度の中で、適度な運動と食事を与えるというものです。1週間後にマイナス10℃の中に入れます、するとネズミは5分後には死に始め、30分後には全部死んでしまいます。次に、最良の環境から温度だけを10℃まで下げて1週間飼ってみます。そして1週間後、前と同じようにマイナス10℃の中に入れてみます。すると30分経ってもネズミは1匹も死にません。死に始めるのは1時間30分経ってからです。
  このように運動・食事・温度と次々に変えていくと、1週間で強いネズミが出来ます。ネズミは雑居・雑食、即ち生きていくためには何処にでも住み、何でも食べるたくましい動物です。これまでマイナス15℃という過酷な環境でもしっかりと生き抜いていることが発見されています。これらのネズミの副腎は皮質だけが厚くなっていることがわかりました。刺激を与えいじめてやると、細胞がつまって厚くなるのです。
副腎は3つの層に分れており、第1層は寒さ、第2層は運動、第3層は食物に対応するようになっています。この実験は、想像を絶するような厳しい条件でも耐え抜くことができるということを証明しています。
 
  これからますますグローバル化が進み、皆さんも色々な国に出かけることも多くなると思いますが、暑さや寒さ、独自の食物等の劣悪な環境下でも、しっかりと生活していくことが大切になってきます。
これからも、あらゆるところで急激な変化が起こってきますが、これらに対応できる生き抜く力を身に付けていって欲しいと思っています。

2007年11月27日

地球環境を考える~砂漠化の進行~

  今、地球上で砂漠化の影響を受けている土地の面積は37億ヘクタールで、実に全陸地の約4分の1、耕作可能な乾燥地域の約70%にあたっています。そして、世界人口のうちの6人に1人がこの影響を受け、毎年日本の九州と四国を合わせた土地が砂漠化しているのです。
  砂漠化の原因は、人為的なものと気候変動によるものの二つに分けられますが、圧倒的に森林の伐採や放牧、灌漑といった人間の手によるものが大きいウェイトを占めており、かつては樹木が生い茂る森であったケースが多いのです。
  近年、隣国である中国でも砂漠化が急速に進行してきています。この20年間で毎年、東京都の面積を超える土地が砂漠化してきており、その面積は国土の約3分の1に達していると言われています。この砂漠化の進行がとりわけ深刻なのは「黄土高原」ですが、ここは中国の内陸部ではなく北京からわずか280kmしか離れていない地域です。つまり、大都市のすぐ近くで砂漠化が進行しているのです。
  中国の歴史を遡ると、黄河のほとりに位置する西安(長安)には、漢(前漢・後漢)王朝が400年にわたり都を築いていました。漢民族は人口増に対応するため、森林を伐採して耕地化しました。また歴代の王朝もこの動きを加速していきましたが、とりわけ明の時代には万里の長城のレンガを焼くために大量の木が伐採されたようです。そして、今日にいたるまで、なおも森林破壊が続いてきています。
  植物と土と水は相互に保ち合う関係にあります。植物は土に根を張ることにより、土を流れにくくする。土はその保水力で水分を保ち、植物に養分を与える。植物が刈り取られた土地は風食や水食の影響を受けやすくなり、水分を保つ力が衰え、植物も育つことができなくなります。
 砂漠化というのは、人間が農業や牧畜に使っていた土地が減るということであり、食糧不足等生活条件の悪化をもたらすことになるということを認識しておかなければなりません。

2007年11月26日

朝永振一郎記念「科学の芽」学校奨励賞を受賞

kagaku.jpg
筑波大附属学校教育局のHPより

  この度、雲雀丘学園中学校が『朝永振一郎記念・「科学の芽」学校奨励賞』を受賞しました。
ご承知の方も多いと思いますが、朝永博士は〝素粒子物理学を中心とする理論物理学の研究〟において、湯川秀樹博士に続いて日本人二人目となるノーベル賞を受賞された方です。
  朝永博士は1941年から筑波大学(当時は東京文理科大学)に奉職されていたことから、生誕100年に当たる2006年に、同大学において記念講演、特別展示、出前授業、青少年プログラム等さまざまな記念事業が実施されました。そして「科学の芽」賞は、青少年プログラムの中に位置づけられており、応募資格は全国の小学生、中学生、高校生となっています。本校では、中学1年生の学年主任が理科の先生ということもあり、夏休みを利用して自然現象の不思議を発見し、観察・実験することを奨励し、その結果をまとめて応募しました。全国からの応募総数は846件で、本校は残念ながら「科学の芽賞」や「科学の芽奨励賞」といった個人賞の該当者はありませんでしたが、全国の五つの学校の中のひとつに選ばれました。受賞校は、大阪教育大学附属池田小学校、福島大学附属中学校、千代田区立九段中等教育学校、新潟大学教育人間科学部附属長岡中学校と本校です。
  朝永博士は次のような言葉を残されています。
〝ふしぎだと思うこと これが科学の芽です。よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です。 そして最後になぞがとける これが科学の花です。〟
  子どもたちが色々なことに疑問を持って、自分で考えることによって豊かな創造力を身につけていって欲しいものです。

2007年11月25日

地球環境を考える~酸性雨の影響~

  地球を取り巻く大きな環境問題のひとつに“酸性雨”があります。自動車や工場から放出された大気汚染物質が雨水に取り込まれ、硫酸・硝酸・塩酸など強い酸性を持つことによって酸性雨となります。一般に自然の状態の雨はPh5.6と弱い酸性を持つのですが、環境省が1983年から多数の地域で行なった雨水の観測によると、年間の平均Phは4.7と強い酸性を持つことがわかっています。
  標高2000mの雲の上を走る日本最高の乗鞍スカイラインでは、有料道路沿いを中心に立ち枯れる樹木が増大しています。自動車の排ガスにはNOx(窒素酸化物)が多く含まれており、それが立ち込める霧や雲に吸収され強い酸性を帯びるため、樹木を枯れさせてしまうのです。北ヨーロッパや北アメリカでは酸性雨によって多くの川や湖が酸性化し、ひどい時には湖に魚が生息できない程の被害が出ています。水が酸性化すると、魚の餌となる水中の昆虫や貝やエビなどの甲殻類が減ってしまうからです。また土や水の性質の変化において、樹木の栄養分が不足し、樹木にとって害になる物質が取り込まれてしまいます。
  酸性雨は植物を枯らすのみならず、建造物も脆くしてしまいます。コンクリートのツララのようなものもしばしば見られますが、これはコンクリートに含まれるカルシウムが酸性雨によって溶かされてできたものなのです。
  日本の工場や火力発電所では、排出ガスを除去する浄化装置が導入されていますが、発展途上国ではこのような環境対策は不十分です。
  今日、我が国は中国などの高度成長に伴う工業化による環境の面でも大きな影響を受けています。酸性雨の原因となる大気汚染物質の多くが、偏西風の影響で海外から流入してきています。特にSOx(硫黄酸化物)などは、日本で確認されるうちのほぼ半分が中国のものであると確認されています。今後、近隣の国々の更なる発展によって、この大気汚染ひいては酸性雨が一層ひどくなることが懸念されます。これらの動向には色々な面で目を配ると共に、わが国の環境技術を更に高め、地球の環境を守るために役立たせることが必要であると思います。

2007年11月24日

BRICsが世界に与える影響

BRICsの国旗

  高度な発展を遂げるBRICsですが、丁度近代の日本もそうであったように、成長の過程で色々な問題が発生します。特に世界的に大きく影響を及ぼす、と懸念されていることがいくつかあります。多少前回までのお話と重複するところもありますが、改めて見ていくことにします。
  大きな問題のひとつとして、金融の混乱が懸念されています。近年大きな経済政策転換を行ない、ある意味ではまだ新しいとも言えるBRICs各国の金融システム自体が、急激すぎる経済成長とその変化についていけないのではないか、為替の変動や流動的な投機に対し今後対応してゆけるのか、世界経済全体を巻き込む混乱に陥りかねない、とも言われています。
  次に、環境の問題です。とりわけ近年世界的に大きな課題となっているCO2の増大による地球温暖化についてです。現在既にBRICs4ヶ国だけで、世界のCO2総排出量の30%以上をも占めると言われています。しかもロシアを除く3ヶ国は京都議定書の対象外であり、今後の産業の伸びを考えると際限なく増えていくことが予想されます。他にも産業が発展すれば切り離せない、排水や産業廃棄物の問題など多々ありますが、各国とも経済発展を重視する反面、法整備は比較的遅れており、またそういった企業が税収源であることから上手く機能しないことがある、というのが実情のようです。
  そして、これまで何度もお話ししている、エネルギーの問題です。これらの国々がますます経済発展することによって、各家庭も豊かになり、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品が普及し、自家用車を持つようになるでしょう。つまり工業用のみならず、家庭用の消費も増えることになり、ますます電力や石油、即ちエネルギーを消費することになります。その結果、世界的な規模でエネルギー不足が深刻になり、資源の分配をめぐって国際的な摩擦が生じる恐れがあります。
  近年の石油の値上がりが深刻な影響を与えていますが、エネルギーのほとんどを輸入に頼っているわが国は特に影響を受け、今から10年後、20年後には、こういった問題が今よりもっと多岐にそして深刻になってくるのは間違いありません。この他にも食糧、水、レアメタルをはじめとする資源についても、大きな問題がありますが、別途紹介していきたいと思います。

2007年11月23日

日能研特別セミナーの開催 

校長先生 学校紹介
マンドリン部 放送部
                             ※本校の講堂で発表する生徒たち

  11月23日(金)、本校において日能研の模試が行なわれ、300名を超える小学生が朝9時から受験しました。試験は昼過ぎまで実施されるため、この間を利用して付き添いで来られた保護者を対象に「特別セミナー」が開催されました。本校を知っていただく機会ですので、本校のギター・マンドリン部の演奏と放送部による部活動の発表、続いて私から“社会で役立つ力と雲雀丘学園”というテーマで講演しました。参加者は約70名でしたが、学校の雰囲気はある程度つかんでいただいたのではないかと思います。

  その後、日能研関西の小松原代表から次のような話がありました。
「生徒や保護者に喜んでいただける学校づくりが基本であり、そのためには何と言っても先生がポイントである。それぞれの学校において、生徒にあったカリキュラムを作っているが、いかに生徒達の意欲を引き出し学習に取り組ませるかが先生の役割である。また、どのような友達を持つかも重要であり、お互いに色々なことを学んでいく。これから子ども達は大きく成長していくことになる。私学の良いところは中学・高校の6年間で、じっくりと子ども達を育てることが出来るということだと思う。そして、学校選びにあたっては、偏差値はあくまで目安と考えて欲しい。『鶏頭牛後』という言葉もあるように、その学校が子どもの水に合っているかどうかをよく見極めることが大切である。最後に、受験ということを意識し、勉強することに火がつき始める時期でもある。これから受験までの間は、新たなものに取り組ませるのではなく、是非これまでやってきたことを踏み固めていただきたい。そうすれば、まだまだ学力は伸びる。」
 保護者の皆さんも熱心に聞き入り、大きく頷いておられました。

  現在、6年生の子ども達もあと10年経つと社会人になります。その時の社会はグローバル化の進展や技術革新によって大きく変化しているのは間違いがありません。その時代に活躍するためには、基礎・基本の学力や人間力を身につけておかなければなりません。そのためには中学・高校時代は極めて大切であり、今後とも生徒の育成ということに視点をあてた取り組みを展開していきたいと思っています。

2007年11月22日

インターネットの光と影

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  昨日、教職員研修会において、兵庫県インターネット安全安心利用推進協議会の会長である三好成明氏に「インターネットを楽しく安全に利用するために」というテーマでお話をいただきました。この協議会の事務局は兵庫県警察本部生活安全企画課サイバー犯罪対策係内に設置されており、警察と連携して青少年の健全なインターネット利用の啓蒙を 推進されています。
三好氏は、日本IBMに勤務されていた平成7年に阪神淡路大震災で被災され、その翌年兵庫県初の地域プロバイダー㈱ワープインターネット神戸を設立、IBMを退社後の平成12年にこの協議会を設立され、以降会長として幅広い活動を続けておられます。
  今回は、昨今急増しているインターネット犯罪のことを中心にお話しいただきました。現在インターネットを巡って様々なことが問題になっており、特に10代の青少年を狙った悪質なものが増えてきています。代表的なものとしては、オークションを利用したり、ワンクリックしただけで多額の請求が来たりする「オンライン詐欺」。「出会い系サイト」やそれによって起こる性犯罪・暴力犯罪。いじめや嫌がらせを目的とした迷惑メール。爆弾や麻薬の作り方を掲載したり、自殺勧誘や殺人委託まで行なう、いわゆる有害サイトがあります。そして、驚くべきことに全サイトの7~8割もがこういった有害サイトであるとの事です。
  近年、我々の生活はインターネットによって、非常に便利ものになりました。必要な情報は苦労して専門誌・専門書を探して調べる必要もなく、一瞬で手に入ります。離れたところにいる相手にも、電子メールですぐに連絡が取れます。しかし、すべてのものに光と影があるように、インターネットの“影”という面を見逃してはならないのです。発信者の顔が見えない、世界中の何処の誰が閲覧するかもわからない、中には悪意を持った人間も多くおり、犯罪めいた罠をしかける悪者がいる、ということを決して忘れてはいけません。
  特に携帯端末を持つ子ども達は常に危険と隣り合わせていることを、まず保護者や教員が理解しておくことが大切であり、その上でサイバー犯罪に子ども達が巻き込まれないように細心の注意を払っておかなくてはならないということを痛感しました。今後、子ども達の身を守るためにも保護者対象の研修会を開催していかなければならないと思っています。
  ご多用中にもかかわりませず、講演していただいた三好氏に心より御礼申し上げます。
    兵庫県インターネット安全安心利用推進協議会  http://www.hipc.gr.jp/

2007年11月21日

穎明館中学・高等学校の教育活動

穎明館中学・高等学校
穎明館中学・高等学校のホームページより

  久保田先生が校長をされている穎明館中学・高等学校では、昨年「学習評価の改善を最優先に考えた結果、ついに『1期制』の採用」に踏み切られました。同校においては、生徒の成績は10年以上も前から相対評価ではなく絶対評価を採用していますが、これを生かしていくためには、生徒が指導目標に対してどの程度まで習熟到達したかを客観的に測ることが必要であるという考え方に立っています。そして、最終の到達目標基準を「5年生(高校2年生)時点でセンター試験90%以上の得点獲得」においておられます。これを実現するためには評価試験に対する高い信頼性が前提であり、単元毎の評価テストをきっちりやることが基本になっています。これらの評価テストは教科別・科目別・学年別に通常の時間割の中で実施することになっているため、従来の中間・期末試験のように日程を決めてやる必要がありません。そうなると学期の枠を残しておく理由がなくなり、最終的に1期制にしたとのことですが、同校の進学実績は国公立や難関私大に多数の合格者を出す等素晴らしいものになっています。

  穎明館(EIMEIKAN)のE-M-KにはExperience(経験)Morality(道徳)Knowledge(知識)3つの意味があるようですが、評価方法の改良とキャリア=エデュケーションを基軸に、学力形成と人格形成のバランスのとれた教養人を育てることが教育目標になっています。このため、普段の学業のみならず、芸術鑑賞日や文化祭・体育祭、USA・カナダ体験学習などの行事が充実しています。また、父親の会の年1回の開催や卒業生による私的ガイダンス、ゼロ時限のさまざまな活動、図書館の早朝開放、朝の食堂運営といったユニークな取り組みも行なっておられます。同校ではこれらを「見えないカリキュラム」として位置づけておられるようですが、概ね良い結果になっているようです。
  本校にとってもいくつかの参考になる点があるように感じました。今後とも他校の良いところは素直に学び、特色づくりにつとめていきたいと思っています。

2007年11月20日

久保田 宏明先生のお話をお聞きして

  11月20日(火)、エデュケーショナルネットワーク主催のイー・スタッフフォーラムにおいて穎明館中学・高等学校校長の久保田 宏明先生に『本当の学校改革とは~これからの私学に求められるもの~』というテーマで講演していただきました。久保田先生は、早稲田大学文学部卒業後、北海道において教職に就かれ、北海道教育庁で、高等学校課長、学校教育部長を歴任され、バンコク日本人学校の校長、駒場東邦中学・高等学校校長を経て1998年から現職についておられます。
  本日は約1時間40分にわたり、現在の日本がかかえる教育の課題から、同氏が校長をされている穎明館中学・高等学校における具体的な取り組みにいたるまで、実に広範囲にわたってお話いただきました。
  最初に「第三者機関による学校評価」や「教員免許更新制」等について触れられ、本当にこのようなことだけで現場である学校が活性化するかどうかは疑問である。あくまで、生徒の視点に立って教育のレベルアップをはかっていくべきである。学校改革という名のもとに生徒と教師の距離が離れていかないようにしなければならない。また、教育委員会に私学を指導させるというような議論も出ているが、私学の教育は学習指導要領を基準にしており、好き勝手にやっているわけではない。また、一方では公立を活性化するために教育特区等を積極的に展開していこうというような動きがあるが、これとは明らかに矛盾する。私学には建学の精神に基づいた教育に関する基本の考え方があり、特色ある教育が行なわれている。外部評価ではなく各校が自己評価をきっちりとやって保護者や関係者によく理解してもらうことが大切である、と訴えられました。
  私学における教育改革の基本は、(公立のみならず)私学も当然のことながら公共教育である、という考え方に立って、それぞれの学校が自主的に取り組むべきことです。文科省をはじめ外部から言われて受身で行なうのは真の意味での改革ではない、と言われる久保田先生の意見は正論ではないでしょうか。現在、本校も学校改革を進めつつありますが、創立の精神に立ち戻ると共に生徒の実情に合わせて、やるべきことを決め実行していかなければならないと思っています。
                                    《続く》

2007年11月19日

BRICsについて

世界の人口比率

  これまで何度も紹介している“BRICs”とは、近年における経済発展がすさまじく、世界的に注目されている国々の総称で、一般にブラジル(Brazil)・ロシア(Russia)・インド(India)・中国(China)の4ヶ国を指します。(小文字sは複数形を示しますが、“BRICS”とSを大文字表記した場合は南アフリカを含む5ヶ国、さらにインドネシアを加え“BRIICS”と6ヶ国の総称とする表記もあります。)
  いずれの国も共通して、対外投資の受け入れや市場経済化といった、大きな経済政策転換を行なっており、その成果が現れ始め、今日、世界平均を上回る高成長を続けています。そして、数十年後には世界経済の上位に位置すると目されています。さらにこの4ヶ国に見られる大きな共通点として、人口の多さや国土面積の広さがあげられます。
  参考までに、人口の多い順に並べると以下のとおりになります。
1位:中国・13億人、2位:インド・10億人、3位:アメリカ・3億人、4位:インドネシア・2億4000万人、5位:ブラジル1億8000万人、6位:パキスタン・1億6000万人、7位:ロシア1億4000万人、…10位:日本1億2700万人
  次に国土面積の順位は以下のようになります。
1位:ロシア・1708平方㎞、2位:カナダ998平方㎞、3位:アメリカ・963平方㎞、4位:中国960平方㎞、5位:ブラジル・851平方㎞、6位:オーストラリア・769平方㎞、7位:インド・329平方㎞、…61位:日本37.8平方㎞
BRICs4ヶ国を合わせた全世界に占める比重は、実に国土面積で約30%、人口は40%超にも達するのです。
  このように国土が広いということは、豊富な天然資源を有するということでもあり、人口が多いということは、高い生産労働力を有し、優れた“人財”を生み出す可能性が大きいということでもあります。今後さらに資本は蓄積され、技術は進み、生産性は上がり、成長していくと予測されており、人口と国土面積の比重は今後、そのまま世界経済における比重となっていく可能性があります。そして2050年頃には、現在世界経済をリードしているアメリカの一極支配が崩れるのではないか、とも言われています。
  これからもBRICsの動きを注視していきたいものです。

2007年11月18日

子どもは親の鏡 社会の鏡

親と子ども

  本校の教育の基本的な考え方は、将来社会で活躍するリーダーの育成ですが、そのためには“人間力”すなわち人間としての根っこを育てることが不可欠です。昨今、学歴偏重が生み出した“学力のみのエリート”の弱さを実感させられるような話があまりにも多いように感じています。近頃多発している消費期限の偽装問題を取り上げても社会に対して自己の果たす責任を自覚していない、即ち「すべき事」と「してはならない事」の区別ができていないといったことは枚挙に遑(いとま)がありません。

  子ども達を見ていて気になるのは、きっちりとした生活習慣が確立されていない、やってはいけないというルールやマナーが守られていないということです。また、今世界や日本の現状がどのようになっているのかといったこともあまり知りません。そして、将来について希望が持てない、日本の先行きは明るくない、と思っている子どもが数多く見受けられます。これは取りも直さず、社会や家庭の空気を読み取っているからではないかと思います。
  日本の現状がどうなっているのかを知らないために、子ども達は不安を増長させているのです。現在や将来の世界や社会がどうなっていくのか、そのためにはどういうことが求められているのかを子ども達に話してやり、考える材料を与えてやらなければ、自分は何がしたいのか、何を成しえるのか、といったことが見えてこないでしょう。
  最近、我々大人を見ると、子ども達には勉強の大切さを訴えていながら、自分自身はあまり勉強していないのではないかということを痛感しています。『子どもは親の鏡、社会の鏡』という言葉がありますが、大人がしっかりと現状を把握し、どのようにして課題を解決すべきかを考え、率先して行動に移していく。そして、子ども達に対して将来社会で役立つための正しい生活習慣や倫理観を植え付けていくことが大切なのではないでしょうか。
  子ども達が日本の未来や自分の将来のことを考えることができるように、これからも世界や社会を知るためのテーマを紹介していこうと思っています。

2007年11月17日

第2回高等学校入試説明会

高校説明会

 11月17日(土)、本年度2回目となる高等学校入試説明会を開催しました。本日は説明会の前に授業参観の時間を設け、希望される方には高校1・2年生を対象に生徒達の様子を見ていただきました。
  本日は土曜日ということもあって、親子で参加される方もありましたが、同じ中学の生徒達だけで参加しているケースも見られました。説明会の内容は第1回目とほとんど同じで、最初に挨拶を兼ねて私から「社会で役立つ力」というテーマで話をさせていただいた後、教頭と入試対策部長から教育の内容や、来年度の入試に関する留意点等の説明を行ないました。その後、質疑応答の時間を設けましたが、質問が続きそうなので一旦説明会を終了させていただき、個別相談をお受けすることにしました。そのほとんどが本年度よりスタートしたコース制、とりわけ選抜特進コースを選んだ場合の就学補助の内容や、部活動との両立に関するものでした。本校では決して、大学入試だけを目的とした知識詰め込み式の教育を行なおうとしているのではありません。あくまで人間としての土台となる根っこをしっかりと伸ばし、将来社会で活躍するリーダーを育てていくことが基本の考え方です。そのためには、学業と部活動の両立を図り、文武両道を目指すと共に一流の人材や一流のものに触れさせる等のキャリア教育を通して社会で役立つ力を育てていきたいと考えています。
  本年度の入試説明会については、中学がすべて終了し、高校は12月1日(土)の「第3回」を残すのみとなりました。おわかりにくい点があれば、直接お問い合わせていただくか、学校におこしください。また、これまでいただいた質問に対しては、順次ホームページを通じて紹介していきたいと思っています。
 受験生の皆さんにとっては、本番が近づくにつれて次第にストレスが増し、精神的にも不安定になりがちですが、是非健康に留意して試練を乗り切ってください。

2007年11月16日

教育フォーラムに参加して

教育フォーラム

 11月16日(金)久しぶりに教育フォーラムに参加しました。このフォーラムは私の友人である植谷昌弘氏が5年前に起業した後、関西の企業の教育関係に従事する人々が集い、相互の研修・議論のステージとして勉強会を行なったのがきっかけです。その後、この輪は次第に経営者・企業の管理職・起業家・大学教授等、実に多くの分野の方々の間に広がり、2~3ヶ月に1度、社会で活躍されている方にお越しいただき講演をいただくことになっています。
  最初に植谷氏から毎年訪問されているアメリカの状況や元産業再生機構専務で、現経営共創基盤CEOの富山和彦氏の“真のリーダー力を高める”という講演内容の紹介がありました。
  続いて株式会社堀場製作所の人事教育部長である野崎治子氏から、「会社ほど面白い場所はない!」~堀場製作所の人事制度~ というテーマで、約1時間余りの講演をしていただきました。同社は京都市南区に本社を置く分析・計測機器企業ですが、創業は1945年、現最高顧問の堀場雅夫氏が学生ベンチャーとして起業されました。その後M&Aを積極的に行なう等、企業価値向上に努め、現在では連結ベースで従業員数約4500名、そのうちの半数が海外の人材、売上高は1000億を超え、エンジン排ガス測定・分析分野で世界占有率は80%という驚異的な地歩を築いておられます。その経営理念の根底にあるのは、創業者の 『おもしろおかしく、JOY&FUN』 の社是であり、イヤならやめろ、出るクイを伸ばすというフィロソフィが徹底されています。人間が活発に社会で活動でできる20歳から60歳、人生で最も充実しているこの時期に会社で過ごすということを考えれば、会社勤めの時間をつらいと思っては意味がないという考えが基本になっています。そのための人事の基本方針としては、〝オープン&フェア、失敗しても減点しないという加点主義、本人の能力を引き出すためのコミュニケーション〟が大切であるということについてお話していただきました。また、キャリア開発のイメージとしては「Will、 Must 、Can」という3つが重なり合って「おもしろおかしく」が現出されてくる。最後に、「誰も思いつかないことをやりたい」「技を究めたい」「世界を舞台に仕事をしたい」「自分の仕事や会社を誰かに伝えたい」「人や地球の役に立ちたい」という5つの思いで締めくくられました。
  フォーラムの終了後、集まった経営者や管理職の方々と懇親会を行ないましたが、さすがに異なる分野の方達の集まりだけあって場は大いに盛り上がり、素晴らしいひと時を過ごすことが出来ました。
  野崎様、貴重なお話をいただき、有難うございました。

2007年11月15日

切磋琢磨する

校長室

  11月15日(木)、横浜市立みなと総合高校の角田先生が来校されました。同校は平成13年11月に設置、翌年4月に第1回の入学式を挙行され今年で6年目を迎えます。角田先生との出会いは、前任校である大阪府立芦間高等学校時代に遡ります。芦間高校も『大阪府の高等学校の特色づくり・再編整備』の一環として、平成14年4月に初めての新入生を迎えた総合学科制の学校です。両校は、横浜と大阪という離れた場所にありますが、同時期に総合学科として設立されたということもあり、共に充実した教育活動を目指してこれまでもお互いに情報交換を行なってきました。
  みなと総合高等学校が学校教育目標として掲げるのは、「自己の可能性を伸ばし向上しようとする生徒」「他者を理解し共に生きようとする生徒」「自分で判断し自分から行動しようとする生徒」の育成であり本年度の指導の重点は、「ガイダンス機能の充実」「グローバル教育の推進」「社会のルールやマナーの修得」であり、これらの点については大きな差はないように思われます。しかし、総合学科の特徴は“将来の自分の進路は自分で切り拓く”ということであり、言い換えると、まず将来何になるのかという目標を設定し、その後で学習する内容を選択していくということです。そのためには、進路ガイダンスが非常に大切になってきますし、「課題研究」や実社会の状況を伝える「産業社会と人間」や「総合学習」といった授業がポイントになってきます。
  本日は“私立と公立”“普通科と総合学科”という異なる立場での意見交換を行ないました。現在、本校においては色々なキャリア教育を実施していますが、総合学科での取り組みの中にも参考になることが多いように感じました。
  また、公立高校の悩みの1つとして、日が経つにつれて当初の創立の精神が希薄になってくることがあげられます。公立・私立の両方の校長を経験して、”私学の強みは何と言ってもバックボーンとしての創立の精神が脈々と受け継がれていることである”と感じています。今、本校は新しい学校づくりを目指してさまざまな改革に取り組んでいますが、創立の精神への回帰(原点に戻る)を改革にあたっての基本の柱にあげています。
 角田先生は明日、京都の堀川高校を訪問されるとのことです。我々も常に生徒の育成という視点に立って、他校の良いところを積極的に取り入れ、切磋琢磨していかなければならないと改めて思いました。

2007年11月14日

変化への対応 ~カマスの実験

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  11月14日(水)、全校朝礼で次のような話をしました。
“カマスという魚がいますが、皆さん知っていますか。主に塩焼きや干物として食されていますので、知っている人も多いのではないかと思います。
  カマスは細長い円筒状の魚で、我々に最も身近なヤマトカマスは全長25㎝ほどですが、体長180㎝に及ぶオニカマスという亜種も存在し、人が襲われたという報告もあるほど獰猛です。肉食魚で主にイワシなどを捕食します。(英語名の「バラクーダ」という名称でも知られています。)
このカマスを使った心理学の有名な実験があります。
  空腹のカマスの群れを水槽に放ちます。次にその水槽を透明な板で仕切ります。最後にカマスのいない方に餌となる小魚を放ちます。するとカマスは小魚を食べようと、透明な板に何度も体当たりします。いくら挑戦してみても成功しません。そして何度も透明な板にぶつかり、頭が傷ついてしまい最後にはあきらめておとなしくなります。
  このような状態になった後で、その透明の板をはずし、カマスが自由に小魚を食べられるようにしてやります。するとカマスはどのような行動をとるでしょうか。普通に考えると、カマスは喜んで小魚を食べに行くと思うでしょう。ところがカマスは全く動かず、小魚を捕食しに行かないのです。小魚がカマスの目の前にやってきても何の反応もせず、やがてカマスはそのまま餓死してしまうそうです。何度この実験をしても、同じ結果になるそうです。
  この気力が無くなったカマスを元気に戻す方法がひとつだけあります。皆さんわかりますか。正解は何も知らない別のカマスを一匹、水槽に入れてやることです。新しく水槽に入れたカマスは盛んに小魚を食べ始めます。これを見ていた多くのカマスもやがて小魚を食べ始めるそうです。
  皆さんも目標を持って色々なことをやり始めますが、思い通りにならない、何回挑戦しても上手くいかないということが多いのではないでしょうか。そして、出来ないと思って諦めてしまいますが、今、周囲の環境は大きく変わってきているのです。これまであった透明な板が無くなっているかも知れません。それでも行動を起こさずじっとしているため、チャンスを逃しているケースもあります。このような時には全く別の人のやり方をまねたり、聞いてみることも大切です。
  何事も諦めず、新たな気持で取り組めばきっと新しい道が開けるのではないかと思っています。”

2007年11月13日

時間の有効活用~500時間の壁

  すべての人間にとって平等に与えられているもの、それは時間です。人生は一回限りで後戻りができないと考えれば、充実した一生を送るためには時間の有効活用をはかることが不可欠です。これまでも時間の使い方については何度かお話したかも知れませんが、このことが解っていながら案外無駄な時間を費やしていることが多いように感じます。
  人間は誰しも自分にできない能力を有する人に対しては、ある種の憧れを持つものです。勉強ができる、卓越した運動能力を持っている、素晴らしい楽器の演奏ができる、専門分野の造詣が深い、奇麗な字が書ける、優れた文章表現力・語学力・ITを駆使したプレゼンテーション能力・人を引き込む話術・コミュニケーション能力を有している等の人々を見ると自分もあのようになりたい、と思うのは当然です。しかし、どのようなことでも思うだけで行動を起こさないと、いつまで経っても上達することなく願望だけに終わってしまいます。思い立ったらまず踏み出す、そして毎日少しずつでも良いから継続していくことが大切です。
  私もこれまで色々なことに挑戦してきましたが、経験上“500時間”というのが一つの壁、つまり第1ステップのような気がしています。この壁を乗り越えれば生活の中に一定のリズムが生まれ、習慣化してきます。そして第2ステップは1000時間、第3のステップは2000時間ということになります。どのようなことでも500時間かけると何とか初歩的なことはできるようになり、1000時間ではある程度のレベルに達し、2000時間ではそれなりの形ができてきます。
  500時間というと大変な数字のように思われがちですが、小さく割っていけばそう難しいものではありません。時間がないという人でも、毎日2時間くらいはテレビを見ていたり、ゲームに興じていたり、携帯メールを送ったり、電車の中で何もせずぼんやり座っているといったことが多いのではないでしょうか。月曜から金曜までの間、1日2時間を生み出すと5日間で10時間、1年を52週と考えると520時間になります。これに土・日に5時間ずつ生み出すと2日間で10時間、1年でやはり520時間になります。その他の休日を考えると1年で1000時間を生み出すことは可能です。
一度、『500時間の壁』に挑戦してみてください。

2007年11月12日

神大住吉中学校の保護者をお迎えして

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  11月12日(月)、神戸大学附属住吉中学校の保護者の方々を対象に、13時30分から学校説明会を行ないました。同校からは毎年この時期に、3年生・2年生の保護者が来校され、学校見学していただいています。また、これまで実際に何人かの生徒さんが本校に入学いただいており、元気に高校生活を送っていただいています。本日は、開始直前に天候も崩れ足元も悪くなった中、引率の先生を含め27名もの保護者の方々がお見えになりました。
  最初に、私からこれからの世の中の動向や社会で必要とされる力について話をした後、教頭から教育の基本的な考え方や本年度より新たに導入した3コース制・カリキュラムについて、続いて入試対策部長から来年度の入学試験についての説明を行ないました。
  その後、高校1年生の特進クラスと特進Ⅱのクラスの授業を参観していただきました。1時間半という短い時間でしたが、本校の雰囲気はつかんでいただいたのではないかと思っています。
説明会の終わりにあたって、入試は個人戦ではなく “団体戦”である、という話をさせていただきました。受験するのは、生徒個人ですが、試験日が近づくにつれて生徒達にはプレッシャーもかかり、ストレスも増加してきます。そのためには、保護者・先生など周囲の暖かい支援が必要になってきます。是非、保護者の皆さんは“長い人生における節づくりのひとつである”という大きな観点を持って子どもさんを見守ってあげて欲しいと思います。2年生にとっては、志望校の絞込みまで時間がありますが、学校のブランドではなく学習内容・将来の進路等、内容をしっかりと確認する、そのために実際に学校訪問する等、現地を見て志望校を決めることが大切です。
  本日、説明会に参加された保護者の子どもさんの何人かが、雲雀丘学園高校に入学されることを心より願っています。

2007年11月11日

これからの日本を考える~高い経済成長を見せる国々~

エネルギー自給率

  これまで世界経済を牽引してきたのは、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスといった先進5カ国(またはこれらにカナダ、イタリアを加えた先進7ヵ国)であり、G5やG7といった蔵相・中央銀行総裁会議の開催を通じて、世界経済の安定化がはかられてきました。ここ数年、これらの国の経済は低成長を続ける一方で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やこれらに続くVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)などの国々が軒並み高い経済成長率を示すようになってきました。これらの国の経済が発展するにつれ、当然のことながら、人々は豊かな生活を求めるようになります。この結果、今まで以上に食料や資源を必要とするようになり、環境問題も看過できない状況になりつつあります。とりわけ、中国とインドは共に10億を超える人口を有しており、今後ますます「食料」「水」「エネルギー」を大量に費消することになります。従ってこれらをめぐる獲得競争の激化が、21世紀の世界が抱える大きな課題になってきます。
  国土も狭く、大した資源もなく、食料・原材料・エネルギーのほとんどを輸入に頼っている日本ですが、今はまだ経済的に高い位置にあるため、食糧や資源の輸入に大きな不自由はしていません。しかし、日本経済の国際的評価は90年初頭をピークに年々低下しており、このまま国際競争力が低下すると、国として立ち行かなくなる可能性があります。先進国のほとんどが食糧を自給しているのに比べ、日本は食料自給率が約39%と群を抜いて低く、エネルギー自給率に至っては約18%(原子力を除けばわずか4%)しかありません。経済力が低下し外貨がなくなれば当然の結果として、これらの輸入が困難になります。エネルギー不足は経済を低迷させ、生活も悪化することになるでしょう。今の豊かな生活に慣れてしまった我々が今さらエアコンや自動車のない生活に戻れるでしょうか。そしてさらに、食糧は手に入りにくくなり、食べる物の心配までしなければならなくなるかもしれません。今後10年・20年先に今と同じような生活が保たれる確証はどこにもないのです。
  今、我々はBRICs・VISTAをはじめ、世界の情勢について注視しておかなければなりません。これらの国は技術的にも前を走る国々に追いつき追い越そうとしています。そして、何よりも人々のやる気やエネルギーが満ち満ちており、若者達の知識や技能を修得しようとする意欲はすさまじいものがあります。現在の日本は技術立国としてまだまだ優位にありますが、今後は相当努力していかなくては、この地位は保つことができません。
  次回以降、これらの国々の現状や将来と、日本との関わりを紹介していきたいと思っています。

2007年11月10日

行きたい学校を見つける

  最近、テレビや新聞、雑誌には教育に関する内容が数多く報道されるようになってきました。それだけ教育に関する国民の関心が高まってきているのではないかと思います。
  私もこれまで学校説明会や進学相談会を通じて、多くの保護者の皆さんにお会いしてきましたが、受験生をお持ちの家庭では、将来の子どもさんの進路について色々と思案されている様子がうかがい知れます。本校では、お互いに日常的に参考になる教育関係の記事があれば、極力情報を共有化するようにしています。特に重要な情報については職員室に掲示するようにしていますが、これからこのコラムにおいても随時お知らせしていきたいと考えています。
  今回は、先日(11月5日)の朝日新聞に『私立中学・高校特集』として『行きたい学校を見つけよう』と題して、教育研究家で「株式会社ユーデック」代表取締役の川東義武氏の話が掲載されていましたので紹介します。

行きたい学校を見つけよう
 私学熱はここ数年上がり続け、今年の大阪・兵庫の私立中学の初日受験者数は、大阪で約8%、兵庫で約 6%となっており、来年も更に5~6%増える。
私学志向の高まりの理由は①大学進学実績②建学の精神に基づいた人格形成③安全(面倒見のよさ)の三つである。
私学受験を考える時、「ホスピタリティー」を求めて欲しい。子ども達は毎日10時間もの間、学校で過ごすということになるため、居心地がいいかどうか、そのための配慮がなされているかが大切である。チェックポイントとしては子ども同士、子どもと教師間、訪問した保護者に対しての「あいさつ」、次に「時間を守る」「復習ができる」、つまり「ミスや反省を振り返り次へ生かせるか」といった社会で役立つ三つの資質を身につけられる学校であるかどうかを見極めること。これらの資質は日本人の半分はできているが、更にその5%にあたるリーダー特性として「気づき(問題発見能力、洞察力)」と「優しさ(人間力)」がある。ほとんどの私学には建学の精神があるが、校長が保護者対象の説明会でこれらを明確に語っているかどうかをきっちり聞くこと。
また、受験を控えた子どもたちにとって、試験前は大人が想像する以上にナイーブであり、家族全員でサポートし最後まであきらめない姿勢が大切である。


  入試は個人戦ではなく、団体戦であるということもよく言われます。保護者の応援がこどもにとって大きな力になります。あと、私立の中学入試までは2カ月少しです。しっかりと行きたい学校を見つけて受験を乗り切って欲しいと思っています。

2007年11月09日

AO・推薦入試受験者への面談指導を終えて

  今週で9月末から行なっていたAOや推薦入試を受験する生徒達の面談指導が終了しました。これらの生徒に対しては、進路指導部や担任が自己推薦書や志願書の作成、面談等の個別指導を行なった後、最終的には私が動機付けも含めた面談指導を実施しています。今年AO・推薦入試受験者は約60 名ということになりましたが、安易な気持ちで進学すると本人の将来にとって良い結果にはつながりません。従って、これらの入試を選択する生徒に対しては、徹底した個別の進路相談を行なった上で受験校を決定してきました。また、早期に合格が決まっても卒業までしっかりと勉強を続けると共に、この期間を利用して将来の夢の実現に向けての目標を固めるということも大切です。
  ややもすると大学進学が目的ということになりがちですが、大学での勉強は将来の進路を実現するための手段なのです。このようなことを直接生徒達に伝えるために、これまでの1か月あまり、昼休みと放課後を利用して面談指導を行なってきました。一人あたり15分くらいの面談時間ですが、生徒達がどのような考え方をし、日常行動しているのかは明確につかむことができます。指導の内容は、入室の仕方や挨拶、頭髪、服装、話し方といった基本的なものから受験志望の動機やこれまで特に注力してきたこと、本校で何を学んできたか等の質問を通じて行ないました。その上で、大学を卒業するまでの具体的な目標を決め、具体的なタイムスケジュールを作成すること、高校卒業までの4ヵ月の間にやるべきことを整理し、高校の学習の総決算を行なうこと等の話をしました。将来の夢や目標といったものは、まだ明確になっていない者も数多くいますが、これから自分なりの人生設計をしっかりと行なって欲しいと思っています。
  なお、本校では「全員がセンターを」を合言葉に、早い段階で大学合格が決まった生徒についても、高校における学力の集大成としてセンター試験を受験することにしています。

2007年11月08日

これからの日本を考える~国際競争力の低下と財政再建~

IMD

  「世界に冠たる経済大国」を自任している日本にとって、経済的な競争力は重要なファクターになっており、毎年発表される国際競争力ランキングについては、多くの人が関心を寄せています。
このランキングについては、IMD(スイスのビジネス・スクール)とWEF(世界経済フォーラム)の二つが有名であり、IMDが本年5月10日に発表した『2007年度の国際競争力ランキング』については先般紹介させていただきました。これは世界55の国を対象に「マクロ経済」「政府の効率化」「ビジネスの効率化」「インフラ整備」の4分野314項目にわたり、毎年調査を行ない『世界競争年鑑』として公表しているものですが、わが国にとって非常に衝撃的な結果になったということは記憶に新しいと思います。これによると1990年代の初頭には世界1,2位であった日本の競争力は2006年の16位から24位と大幅に低下しました。
  このIMD発表から約半年後、世界経済フォーラム版のランキングが先日発表されました。これは131カ国・地域を対象にインフラ整備状況や市場規模、技術力、教育制度、マクロ経済の安定度等12項目を組み合わせて総合的な競争力を評価したものですが、この調査でも日本は昨年度の5位から8位と順位を下げてしまいました。ビジネスの洗練性や技術革新と市場規模、インフラの整備状況、労働市場効率等は比較的高い評価を受けている反面、長引く財政赤字の影響でマクロ経済の安定度が97位と足を引っ張る結果になっています。
  昨年7月に、日本の財政を立て直すための「経済財政運営方針」により、2011年度に財政収支(=プライマリー・バランス)を均衡させることが決定されましたが、1000兆円を超える借金ための金利分の赤字は増え続けることになります。日本の財政が破綻の可能性がない状態まで改善させるためには、「プライマリー・バランスの達成」、「国債等の利払いも含めた財政収支の均衡」、更に「景気や金利の変動を考慮しても借金が増加しないところまでの借金の減額」という三つが必要になりますが、これらは相当高いハードルです。一日も早く財政再建に向けた取り組みをスタートさせなければ、将来取り返しのつかない事態に陥るのは間違いありません。
  日本国民一人ひとりが目先のことにこだわるのではなく、将来にツケをまわさないという気持ちで財政問題について真剣に考えていくことが大切であると思っています。

2007年11月07日

これからの日本を考える

BRICs

  20世紀の後半から始まった世界人口の急激な増加と情報化・グローバル化の進展は、わが国の政治・経済をはじめ、私達の生活を大きく変えてきましたが、この状況は今後ますます加速されてくると思われます。
  21世紀の世界が抱える課題としては、生活に直結した「食糧」「水」「エネルギー」の不足や「地球環境」があげられますが、これらの底流にあるのは人口爆発といわれる、世界の人口問題です。世界の人口はこの100年の間に約3倍になり、今後も毎年7~8000万人が増加して行きます。このままでは10年後には73~74億人、2050年には90億人になる見込みです。そうなると生活のベースとなる食糧・水・エネルギーの確保は今まで以上に難しくなってきます。このことは現在、食糧やエネルギーの大部分を海外に依存しているわが国にとっては、決して看過できない極めて重要な問題であり、長期的な視点に立って対応策を考えておかなければなりません。しかし国民一人ひとりがこの状況を正しく認識し、危機感を持っているかどうかは疑問です。これらは個人レベルで解決できるものではなく、国家レベルでの高い見地からの取り組みが必要となってきます。
  今、食糧やエネルギーが確保できているのは、自動車産業を中心とする優れた技術力や製造力のおかげなのです。我々が豊かな生活を享受できているのは第二次産業の力に支えられていると言っても過言ではありません。昨今のBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする多くの国の経済発展は目を見張るものがあり、生活水準も飛躍的に向上してきています。また、国家あげて、産業育成や人材育成に取り組んでいます。このような中で、日本の生きる道は技術立国としての優位性を確保していくことと抜本的な農林水産業の建て直しではないかと思います。そして、これらのベースとなるのはまさに将来の日本を背負って立つ人財(材)の育成です。
  我々教育に携わる者は勿論のこと、すべての国民が日本の現状を正しく認識し、高い志を持って日本の将来に向けての取り組みを開始していきたいものです。

2007年11月06日

沖縄について

  11月6日(火)17時頃、生徒達がホテルに無事到着したとの電話連絡が入りました。心配していた天気も少し雨がぱらつく程度とのことで、ほっとしています。
同じ国の西南端に位置するこの沖縄という場所について、我々にはあまり知られていないのではないかと思い、少し調べることにしました。

  人口137万人(都道府県別32位)、県面積は2273平方㎞、国土面積の1%にも満たない県であり、島が南北長くに点在し全長約400㎞にも及びます。有人島だけでも49島、他無数の島々からなります。県花はハイビスカスと思われがちですが、実は「でいご」であり、春先に真紅の美しい花を咲かせます。気候は温帯に属し、一部地域は日本唯一の熱帯(亜熱帯性気候)に属します。温暖な気候と小魚や黒砂糖、ゴーヤ、ウコン等の健康食に恵まれ、長寿の人が多いのも特徴です。また、美しいサンゴ礁に囲まれており、年間客数500万人を超える観光客が訪れることでも有名です。沖縄は本土には見られない自然や貴重な動植物も多く残っており、特に本島の北部にある山原(ヤンバル)の森林を中心に、天然記念物なども多く生息しています。また、その気候を生かしてマンゴーやタバコなどの農作物が作られています。古来、サツマイモやサトウキビなど沖縄を通して本土にもたらされたものも多く、変わったところでは格闘技「空手」もそのルーツは沖縄です。
  歴史を遡ると、既に8世紀から「阿児奈波(おきなわ)」として知られており、現在の「沖縄」という字を当てたのは江戸時代の学者である新井白石だと言われています。沖縄の人々は土地の訛を交えて「ウチナー」といいますが、14世紀頃から中国(明)と交易、次第に日本・アジア諸国との貿易中継地として栄え、小国ながらも400年以上も独立国家(琉球王国)として独自の文化を形成してきました。日本に完全統合されたのは1870年代ですが、敗戦によって一時日本の統治から離れた後1972年に返還され、日本に最後に加わった都道府県となり今日に至っています。
  しかし、長い歴史の中で日中両国による属国支配や連合軍本土上陸の地、戦後アメリカによる軍政支配、そして現在も続いている基地問題等、数多くの悲惨な歴史がある土地であることを忘れてはならないと思います。沖縄の歴史について考え、その文化や伝統を尊重していくことが大切であると思いました。

 研修旅行の様子は『中3学年だより』に掲載していますので、参照してください。

2007年11月05日

中学3年の研修旅行にあたって

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        沖 縄 の 海

  中学3年の皆さんにとっては、いよいよ明日(6日)から9日まで、待ちに待った沖縄への研修旅行が実施されます。これまで生徒たちは宿泊を伴う体験学習として、1年生での自然学舎、2年生での林間学校を通じて、仲間づくりをはじめ集団生活の基本を体験してきました。
  今回の研修旅行には、平和学習やマリンスポーツ、異文化学習、亜熱帯気候での自然とのふれ合い等、多くのことが盛り込まれています。沖縄は太平洋戦争末期に日本で唯一の内地戦がくり広げられたところです。今、日本は60年以上、平和な状態が続いています。この研修を通じて、悲惨な戦争の実相や現状の沖縄が抱える様々な課題を自分自身の目でつかみ、平和を願う気持ちを育てる。そして、沖縄の自然の美しさとその神秘性を肌で感じ、自然環境を守る大切さを実感して欲しいと思います。
  さらに伊江島においては、それぞれの民家で家業体験と宿泊をさせていただくことになっています。このホームステイを通じて生徒達は通常の授業では得られない素晴らしい人との出会いや新たな体験をすることでしょう。
  一人ひとりが「中学生活の総仕上げ」という気持ちで、これまで学んできたことを活かしながら、自ら積極的に踏み出し、青春の良き思い出づくりをしてくれることを心より願っています。

2007年11月04日

第三回中学校入学説明会の開催

説明会場
   会場となった本校講堂の様子

  11月4日(日)、本年第三回目となる中学校の入試説明会を開催しました。本日は休日であり、本校において「五ツ木・駸々堂のテスト」があったため、早朝より保護者と生徒が一緒に来校されるケースも多かったようです。10時半からの説明会には295組、437名の方に参加いただきました。
  本校で開催する中学入試説明会も今回で三回目となっていますし、これまで多くの会場でブース形式による入試相談会を実施しているため、何度も説明会に足を運んでいただいている保護者の方もおられたようです。私はいつものように冒頭、「社会で役立つ力を育てる」というテーマで話をし、続いて教頭と入試広報部長から来年度からスタートする中学校におけるコース制の導入や教育方針、入試の傾向等について説明させていただきました。約一時間の説明会の後、学校の校舎と本日練習しているクラブ活動を見学していただきましたが、ギターマンドリン部による演奏には多くの生徒や保護者の皆さんが耳を傾けておられました。何人かの保護者の方からは個別の相談をお受けしましたが、例外なく親として自分の子どもの将来について心の底から心配されている様子が窺い知れました。
  今、世界は大きく変わろうとしています。特に66億の世界の人口は、10年後には72~73億人になります。その時には現在11~12歳の子ども達は社会人になっているのです。中学・高校という最も多感な思春期をどのように過ごすかによって、彼らの人生が大きく変わるのは間違いないと思います。このように考えると、一人ひとりの大切な人生を預かっていると言っても過言ではありません。
  説明会の終了にあたって、私は変化の激しい時代であるからこそ、親も子も勉強していかなければならないということを話しました。本校では教育方針として「人間教育の充実」と「学力の充実」の両立を掲げていますが、個々の生徒を家庭と学校が連携して育てていくという「共育」が何よりも大切であると思っています。
  これで、本年度の中学校の入試説明会は終了しましたが、正直なところ、来年の1月には果たしてどれくらいの生徒が受験してくれるのか、期待と不安の入り混じった複雑な気持ちです。また、これからも個別の進学相談や学校見学にはいつでも応じていますので、お気軽にお越しください。

2007年11月03日

文化の日の由来

日本国憲法原典
     日本国憲法(原典)

  今日11月3日は文化の日ですが、戦前は『明治節』と呼ばれ、明治天皇の誕生日を寿(ことほ)ぎ偲ぶ日でした。また、明治天皇の在位中であった明治時代には『天長節』と呼ばれていました。この名称は中国春秋時代の思想家である老子の「天長地久」という言葉をとって、唐の玄宗皇帝の誕生日を「天長節」としたことに由来しています。
  その後、敗戦の翌年の1946年(昭和21年)のこの日、日本国憲法が“公布”されました。そして、1948年(昭和23年)に制定された祝日法(国民の祝日に関する法律)によって、戦争放棄・主権国民・基本的人権を宣言した日本国憲法に基づき、「自由と平和を愛し文化を薦める」祭日と定められ、『文化の日』と名づけられました。日本国憲法の尊重する、平和への意思を基盤とする文化を発展・拡大させようという趣旨です。
  なお、「憲法記念日」は5月3日になっていますが、これは憲法が公布された半年後の1947年に日本国憲法が“施行”された日です。

  また、今日は素晴らしい秋晴れの一日でしたが、11月3日は天候が良いことが多くほとんど雨が降らないため「晴れの特異日」とも言われています。

2007年11月02日

読書週間にあたって

読書週間
2007年度 読書週間ポスター
        (画/和泉まゆ)

  明日11月3日は文化の日ですが、この日を挟んだ10月27日から11月9日の2週間は『読書週間』になっています。
  このルーツは1924年(大正13年)、日本図書館協会によって定められた「図書週間」に遡ります。読書の鼓吹、図書文化の普及、良書の推薦を目的とし、当時は11月17日から23日までの1週間とされていました。その後、戦争によって一旦廃止されますが、戦後間もない1947年(昭和22年)、“読書の力によって平和な文化国家を創ろう”という決意のもと出版社,取次会社、書店、公共図書館、新聞・放送のマスコミ等の関係者が結集して見事に復興し、名称も『第一回読書週間』とされました。そして、翌年の第二回目からは現在の文化の日を挟んだ2週間になりました。以降今日に至るまで、「読書週間」は日本の国民的行事として定着し、日本は世界有数の「本を読む国民の国」となりました。各家庭においても、幼少の頃からお母さんが添い寝をして本を読み聞かせると共に機会があれば子ども達に本を与えてきました。このようにして日本の子ども達は本に慣れ親しんできたのです。小さい頃から本を身近に感じている子どもは読書好きになると言われています。これまで日本が高い教育水準を維持することが出来たのは、この読書力が大きな要因であると思います。
  現在、テレビを主とするメディアの急速な普及によって、本を読む必要も機会も減り、特に若年層の活字離れが心配されています。明日は文化の日で休みの方も多いと思います。丸1日かけて1冊の本を読み終えてみる、たまにはそういう休日のも良いのではないでしょうか。

2007年11月01日

社会人基礎力5  ~チームで働く力②~

  これまで5回にわたって紹介してきた「社会人基礎力」の話しも今回が最後になります。
  「柔軟性」“意見や立場の違いを理解する力”
  「状況把握力」“自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力”
この2つは自分やそれに関わる周囲の状況を把握する能力です。自分なりのしっかりとした考えを持つということは必要ですが、自分の決めたルールややり方にこだわり、自分の利益だけを優先するという姿勢では、相手に受け入れてもらえません。相手の立場に立って物事を考えることによって、お互いの意見や立場を理解し尊重し、柔軟に対応していく必要があります。特にグローバル化が進展する中では、異なる国の人達とチームやプロジェクトを組んで仕事を進めていくことも増えてきます。チームとしての成果をあげるために自分は何ができるのか、チーム内での自分の役割や能力は何か、どのメンバーと協力していくべきなのかを理解し行動していくことが何よりも大切になってきます。
  
  最後は「ストレスコントロール力」“ストレスの発生源に対応する力”
日常の生活においては、常に自分の思い通りに物事が運ぶということはなく、期待通りの成果にならないことが往々にしてあります。上手くいかず失敗が続くと当然のことながら気持ちも落ち込みます。また、やりたくない、面倒だ、嫌いだ、というように困難から逃れようとしがちですが、避けて通ることはできません。このように世の中は自分中心に回っているわけではないので、誰しも社会生活の中では実に様々なことでストレスを感じることになります。そして、ストレスが徐々に蓄積されてくると悪い考えに陥ったり、時には体調を崩すことも出てきます。
  ストレスの発生要因を調べると、その発生源つまり問題点を解決するための行動を起こさずに、将来のことを心配しているといったことが多いようです。志望の大学受験に失敗したらどうしようとか、大切な試合に負けたらどうしようといったものです。心配している暇があれば行動すれば良いのです。「困難は逃げれば二倍になって追いかけてくる。しかし、立ち向かっていけば半分になる」という言葉がありますが、まさに正面突破することによって気分も晴れるものです。良い意味での開き直りが大切であり、チャレンジし達成した際には大きな成長につながります。
  
  どれほど優れていようと人ひとりでできる仕事には限界があります。そして大きな仕事になればなる程、多くの人が互いに協力することが不可欠となります。「チームで働く力」とは、自分と仲間達だけという狭義の意味だけではなく、広く社会に関わってゆく能力だといえます。勉学ももちろん大切ですが、それだけでは社会で役立つ人間になれません。常に多くの情報を取り入れ、色々な人と話をし、様々な活動に参加し、その中で自分や社会について考え行動していくという姿勢が是非とも必要であると思います。