日本の文化と伝統~大晦日と除夜の鐘
今年も昨年に引き続き、政治も経済も激動の一年でした。この中で、皆さんはそれぞれの思いで一年を振り返り、来年度に向けての決意を胸に秘めておられることと思います。
年の最終日は大晦日(おおみそか)と呼ばれていますが、この「みそか」というのは本来「三十日」と書き、月の三十番目の日ということです。やがて、これが転じて月の最終日を指すことになりました。また、晦(つごもり)というのは陰暦では十五日に満月となり、月末になると月が見えなくなってしまうため、月隠(つきごもり)が訛ったものです。そして、一年の最後のことを「みそか」に「おお」をつけて「おおみそか」「おおつごもり」というようになったのです。
また、大晦日の夜を除夜(じょや)と言いますが、これは一年の日ごよみを除くという意味であり、一年を締めくくり、暮れゆく年を惜しむということから色々な行事が行なわれてきています。
その代表が除夜の鐘をつくというものですが、この風習は中国の宋の時代に起こり日本には伝来したのは鎌倉時代と言われています。新たな思いで新年を迎えるために、今年一年の自分の行いを改めて振り返り、至らなさや愚かさをしみじみ反省しながら除夜の鐘と共に洗い流すという趣旨です。
私も社会人になるまでは奈良に住んでいましたので、毎年NHKの紅白歌合戦が終わると友人と初詣に出かけ、興福寺で除夜の鐘をついていたものです。
それでは、どうして除夜の鐘は108回つくことになっているのでしょうか。これは人間の煩悩の数を表しているのです。即ち、人間の感覚を司るのは、「眼」「耳」「鼻」「舌」「身」「意」の六根。これに「好(気持が良い)」「悪(嫌だ)」「平(何も感じない)」の三種類。また「浄(きれい)」「染(きたない)」の二種類。最後に「現在」「未来」「過去」の三つ。これだけの組み合わせを考えると6×3×2×3=108ということになります。
なお、正式な数珠の数は人間の煩悩の数と同じ108個です。しかし、一般的には簡易タイプとして54個(2分の1)や27個(4分の1)が使われています。是非、一度確認しておいてください。