2008年01月31日

コスト削減への取り組み

図書室
        本校の図書室

  本校は、さまざまな視点に立って学校改革を進めてきています。その中の大きな柱が、生徒に対するきめ細かい進路実現をはかるための『コース制』の導入ですが、同時に土曜日や7時限目の授業の実施、長期休業期間の短縮、補習の見直し等を実施してきました。この結果として授業時間が大幅にアップすることになり、新しい教員の採用等をはかることにしましたが、このままでは学校経営が立ちいかないことになってしまいます。そのため、現行の業務を抜本的に見直すと共に徹底的なコストの削減をはかることにしました。
  一つ目は施設の改修や設備の更新時の見積もりの方法の変更です。事務室が窓口になって特定の業者ではなく複数の業者と折衝させていただくことにしました。また、リース満了による新機種への入れ替えにあたってのコストの見直しです。
  二つ目は、来年度の生徒用品(制服・体操服・靴等)の価格の値下げです。制服については昨今の原油高及び生地の価格上昇により値上げが予想されましたが、流通の仕組みをスリム化し、販売価格を抑えるようメーカー・小売業者の方々にも協力をお願いし、更に安価で提供してもらえることとなりました。また、体操服は複数の業者に協力してもらいコンペティションを行なった結果、デザインは変えずに値下げが実現。靴についても僅かですが値下げを実施できることになりました。
  このように、削減したコストは、生徒の教育活動の充実と保護者の負担軽減に使っていきたいと考えています。

2008年01月30日

深い穴を掘る

  1月30日(水)、昨日からの雨も上がり久しぶりに全校朝礼を行ない、『深い穴を掘る』というテーマで話をしました。
  〝皆さん、深い穴を掘るにはどうすればよいか、考えてください。私の友人に建設関係の仕事をしている人がいます。彼は大学卒業後、建築の設計の仕事をしていますが、経験を積み重ねるにつれて、法隆寺や大仏殿に代表される日本の古代建築に興味を持ち、どのような工法で建造されたのか、どのような木材を使用いているのか、どのような基礎工事をしているのかといったさまざまなことを調査し、自分の仕事に生かしています。またローマのコロセウムやエジプトのピラミッドの研究をするために語学の勉強を始め、更に地震発生のメカニズムを知るために地質学の研究も行なっています。このように一つのことを極めていくためには幅広い勉強が必要なのです。料理研究家でもデザイナーでも一流と言われる人は色々な国の文化や伝統といったこともきっちりと自分のものにしています。要は一流になるための専門性を深めるには幅の広さが必要になってくるのです。
  言い換えると、深い穴を掘るためには同時に幅を広げなくてはなりません。皆さんは色々な教科の学習をしていますが、数学や英語が苦手だからといって学習しないと幅は広がりません。また、人との交流についても同様です。学生時代は幅を広げる絶好のチャンスです。
  間もなく、1月も終了しますが、これで1年の8%が終了することになります。新たな気持ちで2月を迎えてください。〟

2008年01月29日

社会で役立つ力とは

中学1年生
     中学1年生の教室の様子

  本校の教育の基本は、「社会で活躍するリーダーの育成」です。私もこれまで民間企業での勤務を通じて、多くの人達と一緒に仕事をしてきましたし、今でも色々な分野の方々とお会いして情報交換を続けています。
  これまで「社会で役立つ力」については色々な機会を通じてお話ししてきましたが、もう一度整理してみたいと思います。
  職場や地域社会で活躍するためには、まず「健康」で「体力」があることが必要です。いくら能力があっても病気がちであったり、すぐに寝込んでしまったり、ここ一番という時に無理がきかないということでは立派な仕事はできません。次に「人間性」とか「基本的な生活習慣」といったものがあげられます。
そして、これらのベースの上に、3つの力があります。1つは何と言っても「基礎学力」であり、2つは「社会人基礎力」であり、3つは「専門知識やノウハウ」です。
  「社会人基礎力」とは、近年、経済産業省から発表された目新しい概念であり、以前何回かに分けて掲載しましたのでご覧になった方も多いと思います。従来は「学力」を測定すれば「社会人基礎力」はついてくるという考え方が一般的でしたが、最近では「学力」と「社会人基礎力」をそれぞれ個別に評価する必要が生じてきています。何故なら偏差値の高い大学を卒業しても、社会で通用しないといったケースが数多く生じてきているからです。
  昔は学校を卒業すれば仕事に就くのは常識であり、取り立てて「社会人基礎力」などと言われなくても、親や先生、先輩と接することによって、自然に社会に適応する能力を身につけているというのが当たり前でした。つまり、本来の学力とは、社会人基礎力を含むものであったのです。しかし、学力はいつの間にか学校での成績という狭義のものになってきてしまいました。
この要因は、偏差値を中心とした学校教育や家庭・地域における教育力の低下ではないかと感じています。
  本校は学校と家庭が連携して子ども達を『共育』するということを教育方針としていますが、これから何回かに分けて、社会で役立つ力について取り上げていきたいと思っています。

2008年01月28日

高校入試のスタートにあたって

高校入試

  先週で中学入試は終了しましたが、今週からは代わって高校入試がスタートすることになり、本日から入学志願者の願書の受付を開始しました。 既に、マスコミ等でも報道されているように、私立高校の入試は2月9日(土)を皮切りに、公立高校の前期入試に先立って実施されることになっています。
  本校では、生徒一人ひとりに対する進路指導の充実をはかるため、平成18年度より『選抜特進』『特進Ⅱ』『特進Ⅰ』という新たな3つのコースを導入し、コース別に入学者の募集を実施してきました。
間もなく一年になりますが、今のところ順調にコース毎の教育活動が推進されています。
従って、既に学校説明会や個別の相談を通じて詳細の説明をさせていただいているとおり、来年度についても、この基本の考えを踏襲し、3つのコース別に募集を行ないます。詳細については、ホームページの「入学を希望される方へ」のコラムやパンフレットをご参照ください。
  高校入試に関しては、中学入試と異なり、A日程(前期)とB日程(後期)の二回となっています。A日程の願書受付の締め切りは2月2日(土)で入試は2月9日(土)、B日程の願書受付の締め切りは2月14日(木)で入試は2月15日(金)となっています。
  受験まで残り少なくなってきましたが、十分に体調管理を行ない万全のコンディションで試験に臨んで欲しいと思っています。
なお、お解りにくい点やご質問があれば遠慮なく本校までお問い合せください。

2008年01月27日

憤の心を起こす

授業中のスナップ

  今回、中学入試を受けていただいた方全員に対しては、面接をさせていただきました。その中で感じたのは子ども達の勉強時間の長さです。勿論個人差はありますが、毎日4、5時間勉強している子ども達も数多くいることがわかりました。学校から帰るとお弁当を持って塾に行って勉強し、更に学校の宿題をしているといったケースもあるようです。これではまさに、勉強漬けの毎日です。「勉強は楽しいですか?」と聞くと、はっきりと「勉強が楽しい」と答える子どもはあまり多くないようです。小学生の段階では親から言われて勉強しているというケースがほとんどだと思いますが、勉強の基本は自学自習であると思います。
  教育で大切なことは、知識を詰め込むことではなく、「憤」の心を起こすことであると言われています。佐藤一斎の『言志録』には「発憤することが学問をする上で最も大切なことである。」と書かれていますが、「憤」とは子どもの心に「自分からやりたい」という気持を起こさせることです。「よし、やるぞ」という気持を持って学ばせることが出来れば、子どもの力は大きく伸びることでしょう。このことをあまり考えずに親が勉強を押し付けると、「やりたくないのにやらされる、嫌々やる」というパターンに陥ってしまいます。
子どもに「やらせる」形の勉強からの脱却をはからなければ、子どもの潜在能力を引き出すことはできません。
  子ども達にやる気を起こさせる方法を学校でも家庭でも考えていかなければならないと思っています。

2008年01月26日

中学入試を終えて

  1月26日(土)、中学の後期入試の選考会議が終了し、速達便で結果通知を郵送させていただきました。27日にはお手元にお届けできる予定です。
これで、3回にわたる中学入試はすべて終了しましたが、所定の手続きを済ませていただいた後、平成20年度の入学者が最終決定されます。
  今回は、新たに「一貫選抜」と「発展」という二つのコース制を導入することになり、コース別に合格者を決定させていただきました。私共も初年度ということもあって、どのような志願状況になるのかは全く予測できませんでしたが、多くの皆さんに受験いただくことになり、心より感謝しております。
その一方で、倍率が高くなったため、従来以上にご希望に沿えない生徒さんの数が増えてしまいました。中には本校を何回も受験いただいたのにもかかわらず、残念な結果をお送りしなければならないケースもあり、誠に心苦しく思っています。
  当然、多くの受験生の中には第一志望と異なる学校やコースに進む人もあるでしょうが、入試については、必ず、合格者と不合格者が出ます。そのため、必ずしも全員が希望通りの進路を実現できるとは限りません。しかし、大切なことは中学受験が最終の目的ではないということです。ましてや11歳や12歳で人生が決まってしまうということなどありえません。
  これから自分が進んだ中学で、どのような学校生活を送り、自己成長をはかることができるかです。
気持ちを切り替えて、前向きに生き抜いて欲しいものです。

2008年01月25日

芸術祭大賞受賞~山形放送スタッフ来校

山形放送

  1月24日にホテルニューオオタニ大阪にて、文化庁主催芸術祭の表彰式が行なわれ、山形放送のドキュメント番組「われら愛す~国歌・国民歌についての考察」がラジオ番組部門で大賞を受賞されました。
  本日、本校放送部が取材協力した関係で、授賞のため大阪まで来られた番組制作スタッフである山形放送ラジオ制作部の高橋俊治ディレクターと脚本作家の山県昭彦氏が、本校へ挨拶に来られました。
  民放およびNHKのラジオドラマ・ドキュメント20作品の中から見事大賞を受賞された山形放送の関係者の方々には、この場を借りて改めてお慶び申し上げます。    
1月7日付の校長通信にも掲載しましたが、『われら愛す』とは、1953年にサントリーの前身である壽屋が、全国公募し、約5万点の作詞、約3千点の作曲の中から選ばれた「新国民歌」であり、当初は全国いたるところで歌われていたようですが、数年後にはほとんど聞かれなくなってしまった歌です。
このことをテーマにして、2001年に本校放送部がラジオドキュメント番組を制作した関係で、2007年秋、山形放送から本校に問い合わせがありました。その後、放送部顧問から資料を送ったり、インタビューを受ける等の経緯の後、完成した作品が、この度見事に芸術祭大賞を受賞することになり、共に喜びを分かち合うことができました。
  本校で当時制作した生徒は既に卒業し社会人となっていますが、関西から東北へと時を越え地域を越えて協力したことが、今回の受賞に結実したことに感銘を受けると同時に、このような「縁」を大切にしながら、これからも教育活動に励んでいきたいと考えています。

2008年01月24日

国語力の養成

読書

  大学のセンター入試の自己採点も終了し、生徒達は次の目標に向かって新たなスタートを切りました。丁度、中学の入試と重なってしまいましたが、先生方は時間の合間を縫って、自らセンター試験の問題に取り組み生徒達に対してのフォローを行ないました。センター試験は高校時代に履修した範囲の中から出題されるため、しっかりと学んだ内容を理解していれば点数がとれるようになっています。私も時間の許す限り、各教科の問題に目を通しましたが、正直なところ長期間勉強から遠ざかっているものについては簡単には解けないものも数多くありました。
  また、中学入試についても各教科の設問毎に正答率を確認しましたが、特に長文や設問の意味の理解が不十分なのではないかと感じました。これらのベースとなるのは国語力ですが、最近は活字離れということもあって、国語力の低下が顕著になっているのではないかと思います。
  国語力の基本は「読解力」と「表現力」ですが、これは一朝一夕には身に付きません。特に、試験にあたっては〝何を問うているのか〟という設問の意味が読み取れないと、正しい答えを見つけ出すことができません。よく国語が苦手なので、理数系に進みたいという生徒がいますが、どの分野でも国語力がベースになっているのは間違いがありません。
  優れた国語力を持つ人は、実社会に出てから活躍する場が広がっているのは事実です。何故なら、情勢を読み取り、多くの考え方を整理し、自分の意見を説得力ある形で述べるということは、どのような仕事についても必要だからです。
  国語力の養成のために、これから学校と家庭が取り組むべき内容について体系的に考えていくことが大切だと感じました。

2008年01月23日

伝統を受け継ぐ

雲雀丘学園

  雲雀丘学園の良さは何かということを尋ねると、多くの人から「学園の持っている雰囲気や校風の良さ」という答えが返ってきます。これはどの時代にあっても変わることなく本学園に受け継がれている大きな伝統ですが、これを継承しているのは一人ひとりの生徒であり、先生、保護者です。私達はよく
 「日本は」とか「大阪・兵庫は」、「○○株式会社は」、「○○学校は」というように総称で言いがちですが、突き詰めると個々人の行動や姿勢ということになります。
  初代理事長である鳥井信治郎氏は「親孝行のできる人は必ず立派になれる」と説いています。最近、親孝行というと何か古めかしいような印象がありますが、親に対する感謝というものは人間としての基本です。
  自分を育ててくれた最も身近な存在である親のことを大切にしない人が、他人に対する感謝や思いやりの気持を持てる訳がありません。昨今、人を平気で殺傷したり、人をだましたり、自分のことだけを考えて行動するといった事件があとを絶ちません。また、エリートと言われる人達の不祥事や一流と思われていた企業の社会的使命を逸脱した行為も続発しています。このような世の中の風潮を見るにつけ、人間としてのベースである心の部分が欠落しているように思えてなりません。
  これからの社会で求められる真のリーダーとは、決して知識偏重型の人材ではありません。本校では人間力と学力を兼ね備えた人材を育てるということを目指していますが、この実現のためには先生はもとより保護者の方々の姿勢が何よりも大切です。
  是非、全員の力を結集して、社会で役立つ真のリーダーを育てる。そして、雲雀丘学園を関西を代表する素晴らしい学園にしていきたいと思っています。

2008年01月22日

入学試験の結果について

  1月21日(月)、大学センター試験を受けた生徒達が登校して、自己採点を行ないました。本人はもとより、高校3年生の学年団や進路指導にかかわりあっている先生方にとっては、この結果が直接志望校の合否に繋がるため気が気ではありません。昼過ぎにはほぼ自己採点は完了しましたが、どうしても試験の出来、不出来はあるものです。この結果に基づいて今後の受験対応を行なうことになりますが、ついつい弱気になり目標を下げるという心理が働きがちです。しかし、目標を下げれば必ず達成できるとは限りませんし、たとえ達成したとしても将来悔いを残すことになりがちです。最後まで諦めずに全力を尽くすという姿勢が大切であると思います。昨年も粘りきった人が最後の栄冠を勝ち取っています。頑張ってください。
 
  一方で、中学入試に関しては厳正な採点に基づき、教員全員による選考会議を経て合格者を決定しました。受験していただいた方全員に入学していただくことができれば良いのですが、より充実した教育活動を展開していくためには入学者の人員を限定しなければなりません。
  本校は小規模で、施設の面の制約もあるため、ご希望に添えない方も多数出てしまうことになってしまいました。誠に申し訳ないと思っていますが、何卒ご了承ください。
  なお、合格された方の入学手続きは、1月24日(木)、午後4時までとなっていますので、お早めに手続きを済ませていただきますようお願いします。

2008年01月21日

考える力の養成

試験問題

  中学入試には、実に多くの皆さんが受験していただきました。各教科の先生方も試験問題の作成にあたっては、これまで内容は勿論のこと、難易度、ボリューム等何回も検討を重ねてきました。その上で、あらかじめ平均点数を予想していますが、思った以上に正答率の低い問題もあるようです。
  特に、出題の意味を読み取って、わかりやすく図示したり、表を作成した上で解答を導き出したりしなければならないものや普段からじっくりと観察しておくようなもの、また、長文を読み取って全体の要旨をつかむといったものは苦手なようです。
  今、国際的に見ても日本の子ども達の学力低下が叫ばれていますが、プロセスを省略してすぐに答えを求める傾向が強いように感じます。これでは考える力や応用力はなかなか身に付かないことになります。これまで何回も触れてきましたが、実社会においては正答というものは一つではありませんし、あらかじめ与えられた問題を解くだけでは不十分なのです。さまざまな観点から現状をしっかりと把握し、分析することによって「何が課題なのか」を見つけ出す力が必要になってきます。
  学校教育において、反復学習による基礎学力と考える力をいかにバランスよく習得させていくかが大切であると思っています。

2008年01月20日

前期中学入試を終えて

B日程正門 B日程受付

 1月20日(日)、昨日に続いて中学の前期B日程入試を実施しました。前期入試を2回実施するのは、本校にとって初めての試みですが、志願者数は昨日のA日程を上まわる252名となりました。
既に、ホームページに掲載していますが、本日のB日程での受験者は「一貫選抜」170名に対して、「発展」82名とほぼ2:1の割合になっています。
  既に、関西においては昨日から中学入試が始まっているため、他校や本校のA日程を受験した生徒もいますし、今後、色々な学校を受験する予定の生徒も含まれています。
本日も8時半からの諸注意の後、9時から国語、算数、理科の3教科の筆記試験を実施しました。その後昼食を挟んで個別の面接を行ないましたが、慣れということもあり、ほとんどの受験生が落ち着いてしっかりと受け答えができていたようです。
  これで、二日間にわたる前期日程の入試が終了しましたが、従来以上に多くの方に受験いただくことになり、心より感謝申し上げます。今回の入試を通じて、子どもの教育にかける保護者の皆さんの熱意がひしひしと伝わってきましたが、日本の将来を考えると〝教育力を向上させる〟ことが何よりも大切です。我々教職員一同が研鑽につとめると共に学校と家庭が連携して、「社会で役立つ人財(材)」を育てていきたいと思っています。

  今回の前期A日程・B日程を合わせた結果については厳正な選考を行ない、遅くとも22日にはお届けさせていただく予定です。 
  また、本校では1月25日(金)に、後期の入試を行ないますのでお含みおきください。

2008年01月19日

大学センター入試・私立中学校入試始まる

正門の様子 受付の様子

  1月19日(土)、厳しい寒波が到来する中、全国的に大学のセンター入試が始まりました。本校においては、センター試験を〝高校における学習の総決算〟と位置づけており、全員がセンター試験を受けるという方針で、これまで取り組んできました。本日からの大学センター入試には最終的に高校3年生の95%が受験することになっていますが、この中には、既にAO入試や推薦入試を受けて進学が決定している生徒も多数含まれています。本校生徒の受験会場は昨年度と同じ園田学園大学と関西学院大学の2カ所です。本校の先生3名と在校生の有志が旗を準備して激励に出向き、10時半頃、学校に帰ってきました。センター試験は本日と明日の2日間にわたって実施されますが、これまで取り組んできた努力の成果を十分に発揮して欲しいものです。
  また、この日から 関西地区の私立中学校の入学試験もスタートし、本校においても「前期A日程」の試験を行ないました。多くの受験生は開始1時間以上前から緊張した面持ちで保護者と共に続々と学校に到着し、校門で塾の先生達に激励され受験会場に入場。8時半からの諸注意の後、9時から国語、算数、理科の3科目を受験。昼食休憩の後、午後1時からは個人面接とハードなスケジュールをこなしました。
  まだ、年齢が11歳・12歳の受験生にとっては、精神的にも大変な一日であったことでしょう。明日以降も受験の予定が入っている人もいるかと思いますが、どうか、ゆっくりと英気を養ってください。
  本校では、明日も引き続き「前期B日程」の試験を行ない、厳正な選考会議を開催した後、22日には速達で結果を郵送させていただく予定です。

2008年01月18日

入試前日にあたって

入試前日

  1月18日(金)、いよいよ中学入試が明日に迫りました。本年度は、「一貫選抜」と「発展」というコース制の導入、前期にA・B2回の入試を行なう等例年とは大きく変わる点がありますので、万全を期すため、すべての業務について見直しを行ないました。在校生に対しては、6時限の短縮授業とし、大掃除の後はクラブ活動を禁止、4時までに完全下校としました。
  その後、担当毎に、校舎内・外の案内掲示、付添え保護者の控え室整備、試験会場の掲示物や机の点検、面接室の準備、照明や放送・チャイムの点検、また、厳しい冷え込みに備えて暖房の集中管理の解除も行ないました。
  明日は、7時半から阪急の雲雀丘花屋敷駅の東西改札口、学園正門、南門で、本校教員が受験される皆さんをお迎えして、登校路のご案内をさせていただくことにしています。
受験生の皆さん! 本番に備えて、今日は体を温めて早めに就寝し、万全のコンディションで入試に臨んで下さい。
  なお、在校生にとっては休校ということになりますが、何年か前を思い出し、決意を新たにすると共に規則正しい生活を送って欲しいと思っています。

2008年01月17日

恒例の避難訓練

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  1月17日(木)朝、中学・高校合同の避難訓練を実施しました。本校では阪神淡路大震災の教訓を風化させないため、例年この日に避難訓練を行なっています。言うまでもなく避難訓練の目的は、非常時における避難誘導経路の確認・徹底、安全・敏速な避難と自衛消防隊活動の任務の習熟、防災意識の高揚をはかることです。
  今回は『地震により中央棟1階の厨房から出火し、停電した』という想定で行ないました。生徒達は机の下に頭を入れてしばらく待機した後、誘導係の先生の指示に従い、上靴のまま校庭に退出しました。放送開始から朝礼の隊形に整列するまでの時間は全学年が5分未満、昨年の時間を約1分短縮することができ避難は無事完了しました。
  最初に、全員で13年前の震災で尊い命をなくされた6434名の方のご冥福をお祈りするため、黙祷を行ない、次のような話をしました。「今日、皆さんはあらかじめ、避難訓練であるということが解った上で行動しているが、災害は突然予期せぬ形で襲ってくるので、常に備えるという気持ちが大切である。自宅以外のホテルで宿泊するような時には、是非非常口を確認する等の習慣を身に付けておいて欲しい。また、一次災害だけではなく二次災害が起こらないように留意することが大切である。昨年度もお話したが、災害が発生し避難する時には〝おかし〟と〝もち〟を忘れないようにして欲しい。」
これは、災害発生時に守るべきことの頭文字です。
  即ち『おさない(押)』『かけない(駆)』『しゃべらない』『もどらない(戻)』『ちかづかない(近)』の5つが基本です。
  日本人はよく危機管理が弱い国民であると言われています。「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉があるように、地震をはじめ大きな災害がいつ発生しないとも限りません。
常に、危機意識を持っておきたいものです。

2008年01月16日

寒稽古を終えて

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  1月16日(水)早朝から本年度最後となる高校2年生を対象とした寒稽古を行いました。これで、先週末から学年ごとに実施してきた寒稽古はすべて終了しましたが、本日は気温が高かったこともあり、額に汗をにじませている生徒も数多く見受けられました。
  この寒稽古の後は例年、柔道・剣道に分かれて卒業アルバムに掲載する写真撮影を行なうことになっています。2年生も一年後の今頃には大学のセンター試験の直前で、まさに正念場を迎えているはずです。この寒稽古を契機として、真剣に大学への進学を考えて欲しいものです。
  すべての人間にとって一回限りの人生を充実したものにするためには、何事にもまず目標を持つ、その上で目標達成に向けて地道な努力を続けることが大切です。努力しても必ず成功するとは限りません。当然、失敗したり上手くいかないこともあると思います。しかし、チャレンジし努力をすれば〝必ず成長はする〟ものです。
  人生において常に前向きに行動している人は成長し続けることになり、最終的には成功に結びつくことになります。中学・高校時代に「チャレンジする」「前向きに生きる」という姿勢を是非身につけておいて欲しいと思います。

2008年01月15日

入試本番に備えて

入試本番

  大学のセンター入試、私立中学校の入試まで残すところ3日になりました。
本校も本日で中学の前期入試(A日程19日・B日程20日)の出願を締め切りましたが、最も快適な環境で受験していただくために、今週初めより教室をはじめ各施設を中心に点検を行なっています。
受験生の皆さんにとっては、いよいよこれまで全力で取り組んできた学習の成果が試されることになります。入試当日には悔いのないよう通常の力を存分に発揮して欲しいと思っていますが、そのためには最後の詰めをしっかりしておくことが大切です。
  もうすでに実行されていると思いますが、何よりも重要なのは夜型の生活を改め、試験の時間に合わせて頭が働くように切り換えることです。次に食事や睡眠には細心の注意を払わなければなりません。追い込みの勉強も大切ですが、夜更かしし過ぎると睡眠不足になったり、就寝前に食事をすると過度のストレスのために胃腸をこわすことにもなりかねません。早寝早起き、胃腸の負担にならない食事等規則正しい生活を心がけましょう。特に朝食は頭の働きを良くするのに重要ですので必ず摂るようにして下さい。また、受験前に風邪を引いて、熱を出したりすることのないよう留意することが大切です。
  最後は本番の試験当日に気をつけて欲しいことです。当日は土曜日のため、電車やバスの時刻が通常とは異なっていますので、必ず事前にチェックし、余裕を持って行動してください。また、馴染みのない場所や慣れない環境では、緊張から本来の力を発揮できないことが多々あります。時間が足りなくて慌ててしまう、あがってしまう、パニックに陥る、ケアレスミスをしてしまう、解答を記入する箇所を間違える等です。これらを防ぎ、落ち着いた気分で受験するためには〝呼吸〟を整えることが大切です。
  ≪1から5までゆっくりと数字を数えながら息を吸い込む、次に同じように6から20まで数字を数えながら息を吐く≫。
この呼吸法を3回くり返すと不思議と気持が落ち着きます。是非試してみてください。

2008年01月14日

成人の日にあたって

啓発録を読む
啓発録を読む(致知出版社)

  本日、14日は成人の日で、全国では135万人が新たに成人になります。
成人の日は1999年までは1月15日(小正月)になっていましたが、2000年以降は1月の第2月曜日に変更になりました。成人の日は〝おとなになったことを自覚し自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます〟と定められています。
  日本では、明治29(1896年)に制定された民法の規定により、満20歳になると成人ということになりますが、これは世界では少数であり、160カ以上の国が満18歳となっているようです。
成人になると、選挙権、財産処分、飲酒、喫煙といった権利が発生しますが、被選挙権は衆議院議員・市町村長が満25歳、参議院議員・都道府県知事が満30歳であり、すべての面で一人前の成人になるのは満30歳ということになっています。近年、各地で行なわれる成人式において、新成人が会場に入らない、会場内での私語が収まらない、平気で携帯電話を使用する等マナーの悪さが話題になりました。精神的に幼くなってきているのとTPOをわきまえない若者が増えてきているのは残念なことです。
  昔、日本では数え年で15歳になると元服(げんぷく)という儀式が行なわれていました。適塾で医者の緒方洪庵に師事し後に西郷隆盛らと交流し、安政の大獄で刑場の露と消えた橋本左内が15歳の時に認めた(したためた)『啓発録』を読むと志の高さに驚かされます。

2008年01月13日

学校改革が目指すもの

  これまで入試説明会やホームページを通じて学校改革について触れてきましたが、もう一度お話してみたいと思います。
  現在、あらゆるところで〝現状を打破していこう〟という動きが出てきていますが、この際に考えておかなければならないのは、とりあえず綻び(ほころび)を修正するといった部分的な考え方ではなく〝原点に戻って改革する〟ということです。
  従って、今回の中学や高校の改革にあたっても、本学園が創設時に目指していた「ビジョン」に今一度立ち戻ることを基本にしています。
本校の創立の精神は『孝道を人間の根本義と考え 社会のために尽くす精神を最も尊重し よりよい社会国家を生み出すべく 心を素直にもち すべてに感謝の念を捧げ 健康な体力とたくましい実践力をもつ強い人間を創ることを念願としています』と謳われていますが、これは一口で言うと『社会で活躍できるリーダーの育成』です。
  残念なことに今、日本は国際社会における地位の低下が顕著になってきています。国債の格付け、公的債務額、GDPの比率、1人当たりGDPや貧困率・貯蓄率、生徒の学力、犯罪検挙率、環境への取り組み、ODA(政府開発援助)等といった指標が軒並み低下しており、このままでは早晩日本は国際社会から見向きもされない国になってしまうのは間違いありません。これはまさにしっかりとしたリーダーの不在と国民一人ひとりの危機意識の欠如が大きな原因ではないかと思います。
  この状況を打破し、これからも日本が生成発展していくための鍵は、国を挙げて〝将来社会で活躍する骨太のリーダーを育てていく〟ことしかありません。
  本校においては、創立時より受け継がれている精神をベースとし、中・高等学校の校是である「高い志を持って自分自身を厳しく律し目標達成に向けてたゆまぬ努力を続ける」という〝高志・自律・努力〟の実践を通じて人間力と学力を兼ね備えた人材の育成を目指していきたいと思っています。

2008年01月12日

中学入試の出願状況

  今週の月曜日から中学入試の出願受付が始まりましたが、本年度については例年と異なる点が二つあります。
  一つはこの4月からの「コース制」の導入に伴い、「中高6年間の一貫選抜」と「発展」に分けて募集することであり、もう一つは従来の前期・後期2回の入試から「前期A・B2回」「後期1回」計3回の入試を行なうということです。
  本日は土曜日にもかかわらず、多くの保護者の方が出願にお見えになりました。今日で受付開始から一週間になりますが、全体では昨年を大きく上回る受験者数になっています。また、一貫選抜と発展の人数比はほぼ6:4になっており、コース制の概要についてもかなり浸透してきているように感じました。  
  この時期、受験生や保護者にとってはどうしても倍率が気になり、精神的にも不安定になりがちだと思います。しかし、大切なことはこれまで取り組んできたことをしっかりと踏み固め、ベスト・コンディションで受験に臨んでもらうことではないでしょうか。
  本校としても、受験生や保護者の皆さんのご期待に添えるよう、今、更なる教育内容の充実をはかっていきたいと考えています。
  なお、前期日程については明日からの連休を挟んで15日が受付の最終日になっています。また後期日程の受付については24日(受験の前日)までとなっていますので、ご留意ください。
  受験生の皆さん、中学入試は人生における最初の節づくりです。是非全力を尽くしてください。

2008年01月11日

恒例の寒稽古始まる

  1月11日(金)、例年より少し早く伝統の行事となっている寒稽古が始まりました。本校では人間教育の一環として、男子の体育の授業の中に武道(剣道と柔道)を取り入れており、この寒稽古には高校3年生を除く全学年の男子生徒が参加することになっています。
本日は中学1年・2年生の生徒と剣道部、柔道部の部員達が朝7時に集合し、監督の先生が見守る中、約1時間にわたって元気に取り組みました。稽古を終えた生徒達の顔はやりあげたという達成感で溢れていました。
  一年で最も寒さの厳しいこの時期には、日本各地で逞しい肉体の養成や人格の完成を目指して寒稽古が行なわれていますが、本校の寒稽古に関しては精神面を鍛えることが中心になっています。この行事は来週の水曜日まで続きますが、生徒達が気持を引き締めて学習や部活動に励んで欲しいと思っています。

  なお「寒」というのは、二十四節気の「小寒」(今年は1月6日)から「立春」(2月4日)の前日である「節分」(2月3日)までを指し、「大寒」はこの中間の1月21日です。
  また、本日は正月に神様に供えた鏡餅を木槌で叩き割り、雑煮や汁粉にして食べ一家の円満、無病息災を願う〝鏡開き〟を行なうことになっています。

2008年01月10日

貴重な海外留学体験

留学生帰国2008.1.9.jpg
(1年間留学から帰国した生徒達)

  1月9日(水)、9ヵ月間の海外留学から帰国した5名の生徒と懇談しました。留学先は4名がオーストラリア、1名がニュージーランドです。最初に自己紹介していただいた後、今回の留学体験の感想を一口で語ってもらいました。
  「日本という国を外から見ることができて、視野が広くなった」「日本の良さがわかった」「家族の有り難さがわかった」「積極性が身に付いた」「共生の大切さを理解した」等です。また、この期間に自分なりの将来の進路についても色々と考え、しっかりとした目標を持つようになった生徒もおり、頼もしく感じました。
  いずれにしても、高校時代という多感な年頃に日本を離れて生活するということは、異なる文化や生活習慣、宗教に触れることになり、人生にとって画期的な出来事になるのは間違いがありません。一方で日本という国が持つ素晴らしい歴史、文化、習慣を再認識すると共にその国の人々が持つ日本に対するイメージや現在の日本が抱える課題も明確に掴むこともできます。
  私は「これからますますグローバル化が進展する中にあっては、まず〝受け入れる〟という姿勢が必要になってくる。世界には190を超える国があるが、これらの国々と協調していくためには国際感覚を磨くということが何よりも大切になってくる。留学中に感じたことをしっかりと胸に刻み、皆さんの財産にして欲しい。」という趣旨の話をしました。
  生徒達がこの貴重な体験をバネにして、これから大きく飛躍してくれることを願っています。

2008年01月09日

日本とタイの友好の架け橋

アイさん2008.1.8.jpg (留学生アイさん帰国)
  本校にタイからの留学生として研修していたアイさん(本名 アヌグーン プラサート イッサリーヤ)が、この度9ヵ月間の留学を終えて帰国することになりました。
既に「国際理解」のブログで紹介していますが、全校朝礼で〝意欲的に勉学に励み、両国の友好親善に貢献された〟ということで、履修証書をお渡ししました。アイさんは大変な努力家で、得意とする英語や数学についてはほとんどの小テストが満点、漢字についても小学校3年生のレベルにまで到達しました。彼女は最後の挨拶についてもすべて漢字をまじえた文章で準備した上で、実に流暢な日本語で見事に行ないました。この短期間での顕著な成長には目を見張るものがあります。
  帰国にあたって、日本や雲雀丘学園の感想をお聞きしましたが、「学校が美しい」「日本の先進的な技術は素晴らしい」「京都や奈良に行き文化や伝統に触れて感動した」「日本人は優しくて親切である」「日本に来て色々なことを学ぶことができて本当に良かった」と語ってくれました。彼女は将来医者になって世の中に役立ちたいという高い志を持っています。帰国後も研鑽を積み、自分なりの道を切り拓いていくと共に日本とタイとの友好の架け橋になって欲しいと思っています。

  ≪参考≫ タイ国の概要
国土は51万4000平方メートル(日本の約1.4倍)、人口は約6300万人(日本の半分)、宗教は95%が仏教、1932年から立憲君主制、農業就業者は40%、製造業就業者は15%であるがGDPは35%、昨年度(2007年)が日タイ修好120周年、日本とは600年前より交流あり。

2008年01月08日

授業始め式にあたって

 1月8日(火)、年末・年始休暇を終えて生徒達が続々と元気な姿で登校し、全員が校庭に集合。授業始め式を行ないました。昨年の12月22日に授業納め式を実施してから、17日間が経過しましたが、この間一人ひとりの生徒が通常の生活では味わうことのできなかった経験をする等充実した日々を送ってきたようです。 
  私は次のような話をしました。「新しい年にあたって、皆さんは自分なりの決意を胸に秘めてスタートしたのではないかと思います。ところが人間というのは弱いもので、日が経つにつれてこの決意が挫折してしまい、年末になって〝また今年も達成できなかった〟ということになってしまいがちです。今日は1月8日ですから、一年の50分の1が経過したということになりますが、既に挫折しかかっている人はいませんか。月日の経つのは実に早いもので、一週間、一ヶ月、そして一年はすぐに過ぎ去ってしまいます。
決意を単なる願望に終わらせないための方法は三つあります。一つは〝目に見える形(ビジュアル)にする〟ことです。書初めをして常に見えるところに張っておくというのも良いでしょう。二つは〝みんなの前で宣言する〟ことです。言い切ることにより、覚悟が決まります。三つ目は〝毎日反省する〟ということです。
  初めから欲張った大きな目標を設定する必要はありません。学習面や部活動面だけではなく、人間力を高めるための「元気な挨拶」「きっちりした服装」「バランスの取れた食事」「整理整頓」「一日一善」等簡単なことを継続していく、つまり、決めたことをきっちりやりあげていくということが何よりも大切です。毎年の目標を必ず達成していくということの積み重ねが、10年20年経つと大きな差になってくるのです。この一年が終わった時に〝自分は成長したなあ〟と胸を張っていえるようになって欲しいと思います。それでは明るく元気に生き生きと楽しく、学校生活をスタートさせましょう。」

2008年01月07日

新国民歌「われら愛す」と雲雀丘学園

われら愛す

  昨年の暮れに、文化庁主催芸術祭の受賞者が掲載され、大衆芸能部門は歌手の石川さゆりさん、テレビ部門はドラマ「点と線」が大賞を受賞したことが掲載されていました。そして、ラジオ部門の大賞が、山形放送のドキュメント「われら愛す~国歌・国民歌についての考察」に決まったことが載っておりました。
このラジオ番組の制作には、本校の放送部も取材協力をしましたが、実は取りあげている内容は、本学園と縁の深い作品なのです。
  「われら愛す」とは、1953年にサントリーの前身である壽屋が、「国民の誰もが愛唱し勇気づけられる歌を」と全国公募し、作詞に約5万点、作曲に約3千点の応募の中から西条八十や山田耕筰らの審査で選ばれた「新国民歌」です。この歌は、当時東京の日比谷公会堂や宝塚歌劇でも発表されましたが、数年後にはほとんど聞かれなくなってしまったのです。
  雲雀丘学園では、壽屋の創業者である鳥井信治郎氏が初代理事長だったこともあり、初めの頃歌われ、さらに運動会の際に踊られてさえいたのです。しかし1980年頃には本学園からも姿を消してしまいました。2000年の学園創立50周年記念式典の際卒業生が「われら愛す」を演奏し、それをきっかけとして本校放送部が取材を始め、今でも歌い続けている岐阜大学附属中学へも訪問して制作したラジオドキュメント「われら愛す」が2001年の県高校放送コンテストで1位になり、NHK杯全国高校放送コンテストに出品されました。
  この曲の作詞者である芳賀秀次郎氏が山形に住んでおられたため取材を始めた山形放送から、本校に「われら愛す」に関する問い合わせがあり、放送部顧問が資料を送ったり、インタビューも受けたりした作品が、初めに挙げた芸術祭大賞受賞の山形放送のラジオ番組というわけです。
一つの歌にまつわるさまざまな思いがあり、それらを本校放送部から顧問を通して山形放送へとラジオ番組として伝えていった、このリレーに感動すると共に、山形放送のスタッフの皆さんに改めて敬意を表します。

2008年01月06日

干支にまつわる話(Ⅲ)

干支のチャート

  古代中国では時間や方角を示すのに「十干と十二支」が使われていました。この影響を受けた日本でも時間や方角を示すのに「十二支」が使われてきました。これらに関する言葉や逸話は現在でも多く残っています。
  真夜中を1日の起点とする考え方は、意外と古い歴史を持ちます。人類は古来より太陽が頂点に達する時間と、その正反対の時間を基準に1日の時間を計っていました。日の出や日の入は季節により変動するため使いにくいからです。東洋では1日を12で割り、順番に十二支を当てはめました。つまり2時間ごとに割ることになります。最初の子の刻は0:00を中心とする2時間、即ち23:00~1:00、怪談などでよく使われる“丑三つ時”というのは、丑の刻が1:00~3:00の意味で、さらにその2時間を4等分するので、その3番目の時間、つまり2:00~2:30のことを指します。午の刻は11:00~13:00に当たります。現在でも昼の12時のことを“正午”と言い、それより前を“午前”後を“午後”と言います。
  十二支は方角にも当てはめられるようになりました。東西南北はそれぞれ卯・酉・午・子と定められ、それ以外の干支、例えば丑の方角は“北北東より少し南寄り”(北東微北)という面倒なものになるので、一般には使われず、艮(うしとら=北東)巽(たつみ=南東)坤(ひつじさる=南西)乾(いぬい=北西)と呼ばれるようになりました。これにもいくつも逸話が残っており、例えば鬼が“牛”のような角を持ち“虎”の毛皮を纏うのは“艮”(うしとら)の方角、即ち北東を鬼門とする慣わしからと言われています。鬼退治に行く桃太郎の従者も、その逆方向にある干支の動物、猿や犬、鶏(転じて雉になった?)なのです。

2008年01月05日

干支にまつわる話(Ⅱ)

十干
十二支

  我々は年を指す時に通常西暦や明治、大正、昭和、平成を使用しているため、干支というのは馴染みが薄いようですが、西暦から干支を簡単に求める計算式がありますので紹介します。
まず、十干を求めるには、西暦から3を引いて10で割ります。余り1=甲、2=乙・・・・余り0=癸となります。例えば今年は2008年ですからから3を引いた1の位は“5”即ち“戊”となります。
次に、十二支を求めるには、年数から3を引いて12で割った、余りの数字を求めます。1=子、2=丑となり、余り0=亥というように、その数字の順番がその年の十二支に当たります。
  同じように2008から、3を引いた2005を12で割ると、余りは1、一番目の“子”となります。
この組み合わせによって、今年の干支は“戊子”となるのです。

わが国の歴史を紐解いてみると、次のようになります。
  壬申の乱 672年  (672-3)÷10=69・・・9 壬
               (672-3)÷12=55・・・9 申
  戊辰戦争1868年 (1868-3)÷10=186・・・5 戊
              (1868-3)÷12=155・・・5 辰
  甲子園開園1924年(1924-3)÷10=192・・・1 甲
               (1924-3)÷12=160・・・1 子   
一度、辛亥革命や自分の生まれた年を調べてみてください。
  1911年 辛亥(かのとい)
  1990年 庚午(かのえうま)
  1991年 辛未(かのとひつじ)
  1992年 壬申(みずのえさる)
  1993年 癸酉(みずのととり)
                            ≪続く≫    

2008年01月04日

干支にまつわる話(Ⅰ)

平成20年用年賀切手
   平成20年用年賀切手より

  先日、干支の由来について紹介しましたが、「今年は何の年ですか」と尋ねられた時、十干には触れず十二支の「子の年・ねずみ年」と答えるのが一般的なようです。この子丑寅卯辰巳・・・を一般に解り易くするために動物が割り振られたのは漢の時代に遡りますが、日本では十干を除いた十二支だけが広く取り入れられたため、古来より「えと」=動物というイメージが定着してしまいました。
動物が当てはめられたことにより、昔から様々な迷信や言い伝えが存在し、現代でも占いなどに用いられています。中でも有名な干支にある動物の順番についての言い伝えをご紹介しましょう。
  「昔、神様は動物達に、"元旦に神殿へ早く来たものから順番に1年交代で、その年を守ってもらい、動物の王様にしてあげる"と言いました。動物達が身支度を始めるなか、日を忘れてしまった猫はネズミに尋ねました。すると悪知恵の働くネズミは1月2日だと嘘を言います。 ウシは歩くのが遅いからと言って皆より一足先に出発しました。その時、ネズミはちゃっかりとウシの背中に飛び乗ったのです。早く出発したウシは、一番乗りで神殿につき、門が開いて中に入ろうとすると、背中に乗っていたネズミが飛び降りて先に神殿に入ってしまいました。こうしてネズミは1番目の干支に、ウシは2番目になりました。 ネズミに嘘を教えられて干支の仲間になれなかった猫は怒って、この日からネズミを追いまわすようになりました。」というお話です。
  このお話には更に続きがあるそうです。13番目に到着した動物はイタチでした。イタチはネズミが小さくて見えなかったので、自分は12番目だと思って待っていました。しかし、神様から13番目だと言われ、イタチは嘆いてウシの背中に乗っていたネズミが見えなかったと神様に訴えると、神様はお慈悲で毎月イタチを載せてあげようということにしました。それから毎月1日のことを「つイタチ」と呼ぶようになったそうです。      ≪続く≫

2008年01月03日

全力を尽くす

全力を尽くす

  いよいよ本格的な受験シーズンに入りました。受験生にとってこのお正月は追い込みという重要な時期であり、体力的にも精神的にも辛くなったり、しんどくなっているのではないかと思います。しかし、これは受験を控えた者にとっては同じ状況であり、自分が苦しい時には他人も苦しいのです。
  前向きに考えると、受験というのはいわば人生における一つの試練であり、節づくりの絶好の機会です。これからの長い人生においては多くの試練が待ち構えています。恐らくこれ以上は無理だ、不可能だと思うことに何度も遭遇することでしょう。
  このような極限状況にあって、大切なことは最後まで諦めないという強い気持です。〝もう一歩〟と常に自分の限界に向かって全力を尽くしている人と、あと少し届かない人とは長い人生においては天地の差がつくことになります。
  どんなに立派な人や強く見える人、凄い力のある人であっても最初からそうであったわけではありません。
  〝艱難汝を玉にす〟という言葉がありますが、試練を乗り越えることができるかどうかで、人間的な成長に大きな差が生ずることになるのです。常に自分に強くという姿勢で一歩一歩成長していきたいものです。

2008年01月02日

人間学を学ぶ

言志四録
  講談社学術文庫より

  江戸時代の儒学者であり朱子学や陽明学を極め、佐久間象山や渡辺崋山等を弟子に持つ佐藤一斉の著書に言志四録があります。
この中に、『少にして学べば則ち壮にして為すことあり、壮にして学べば則ち老いて衰えず、老いて学べば則ち死して朽ちず』と言う言葉があります。
  人間が人となるためには、学ぶことが何よりも大切ですが、これには人間としてのより本質的な部分を探究する「人間学」と知識技術など世の中をわたっていく事に必要な学びである「時務学」とがあり、人間学は本学、時務学は末学と言われています。このうち「人間学」とは人間が持つ徳性である感謝報恩や奉仕、おわび、思いやり、真心といった動物にはない人間にしかない部分を学ぶというものです。
  しかし、残念なことに、昨今のさまざまな出来事を見ると現代の日本人にはこれらがスッポリと抜け落ちているように感じます。かつての日本は裕福な時代でなかったために〝共生〟という助け合いの「和魂の精神」を育ててきました。しかし、物質的に豊かになり、すべてが足りているにもかかわらず、現状に満足することなく不平不満が当たり前になってきており、他人のことよりも自己の利を優先する風潮が強くなっています。このままでは日本の将来は決して明るいものにはならないでしょう。
  これから輝かしい日本の未来を切り拓くためには、人々の心の面、精神面を鍛えていかなければなりません。
  本校では人間教育の充実を掲げていますが、この実現のためには何よりもまず教師や保護者自身が人間学を学ぶという姿勢を持つ、言い換えると人間力を磨いていくことが何よりも大切であると思っています。

2008年01月01日

新年にあたって

お正月の風景

  〝一年の計は元旦にあり〟という言葉がありますが、それぞれの思いを持って新しい年を迎えられたことと思います。

  今年は喪中ということもあり、初詣も控え入念に新聞に目を通した後、安岡正篤氏、森信三氏、中村天風氏の著書や論語の要諦である「大学」を読み返してみました。
  今、日本は国内外とも実に重要な局面にさしかかっていると思います。国も社会も会社も学校も自分の外側にあるもの、向こう側にあるものと考えがちですが、そこに所属する一人ひとりの意識が国の品格、社会の雰囲気、会社や学校の風土を決めるものです。一人ひとりが国であり、社会であり、会社、学校であるという意識が大切であると思います。世の中が激しく揺れ動いている今こそ、それぞれの立場において、世のため人のために貢献するという生き方を考えなければならないのではないでしょうか。
  早いもので、私も教育の仕事に就いて六年間が経過しました。昨今、教育界を取り巻く環境は大きく変化してきており、課題も山積していますが、〝変化は好機であり、成長発展の源泉である〟と前向きに受け止め、一つずつ着実に解決していきたいと考えています。
  このような状況の下、今年の自分自身の行動指針を『一灯照隅 活機応変』ということにしました。誠心誠意の歩みを続けると、いつか必ず共鳴する人が現れて、一灯が二灯、三灯やがて万灯になって国を照らすことになるということを信じて取り組んでいきたいものです。
  本年も、暖かいご支援、ご指導を賜りますよう心よりお願いします。