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2011年12月31日

1年を振り返って~捲土重来を期す

除夜の鐘 年越しそば   
  いよいよ大晦日を迎え、間もなく激動の年が終わろうとしています。今年は日本経済にやや明るさが見え始めた矢先の3月に東日本大震災が発生し、尊い命や大切にしてきた財産が失われ、これに伴う原発事故によって、いまだに数多くの方が避難所生活を送っておられます。私達も義援金や文房具等を被災地にお送りする等の支援活動を行ないましたが、実際に現地でのボランティア活動までは結びつきませんでした。現在、復興に向けてのさまざまな活動が行なわれていますが、日本国民が力を合わせて支援活動を推進していかなければならないと思っています。
  また、今回の大震災は我々のこれまでの生き方や考え方を根本から見直す転機になりました。人と人との絆の大切さや節電をはじめとする無駄の削減、経済活動の抜本的な転換等の動きが出始めています。しかし、今日本は大幅な財政赤字を抱え、国際競争力が低下し、デフレ経済から脱却できず低成長が続いています。まさに正念場を迎えているのです。このことを自覚して危機感を持って、思い切った改革を進めていかなければなりません。

  ところで、大晦日の「みそか」は本来「三十日」と書き、月の三十番目の日ということですが、転じて月の最終日を指すことになりました。晦(つごもり)とは陰暦では十五日に満月となり、月末になると月が見えなくなってしまうため、月隠(つきごもり)が訛ったものです。そして一年の最後のことを「みそか」に「おお」つけて「おおみそか」「おおつごもり」というようになったようです。
  大晦日の夜を一年の日ごよみを除くという意味で除夜と言い、一年を締めくくり、暮れゆく年を惜しむということから色々な行事が行なわれてきています。その代表が除夜の鐘をつくというものですが、この風習は中国の宋の時代に起こり日本には鎌倉時代に伝来したと言われています。鐘をつく回数は108回ですが、これは人間の煩悩の数です。新たな思いで新年を迎えるために、今年一年の自分の行いを改めて振り返り、至らなさや愚かさをしみじみ反省しながら除夜の鐘と共に洗い流すという趣旨です。
  また、年越しそばを食べるという風習は江戸時代中期から始まりましたが、そばを食べるのはさまざまな理由があるようです。〝伸ばして細く長く伸びるので、寿命や身代、家運が長く伸びる〟〝金細工師が一年の作業を終える時に、そば粉を丸めて散らかった金粉を寄せ集めていたことからお金が集まる〟〝そばは切れやすいので、旧年の苦労や災厄を切り捨てる〟〝家族そろって食べることが多いことから末長く、そばにいたい〟等といった意味が込められているようです。また、〝そばは風雨にあたっても、翌日陽が射すと起き上がるということから捲土重来を期す〟という意味もあり、まさに今の日本にぴったりの表現です。
  今年も多くの皆さんに暖かなご支援をいただき心より感謝しています。実に厳しい一年でしたが、新たな気持で新年を迎えたいものです。

2011年12月30日

年の瀬を迎えて

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  年末には年賀状を書くのが恒例になっている人が多いと思います。日頃疎遠にしている間柄であってもお互いの消息も分かるため、なお根強い人気があるようです。私も以前は版画やプリントゴッコを使い、毎年修正を加えてぼろぼろになった住所録を見ながら一人ひとりの宛名を認め(したため)ていました。そのため何日もかかって年賀状を作成したり、しばしば徹夜をしたこともありました。しかし、ここ数年はパソコンの活用によって短時間で作成することができるようになり、今年も数日前に投函を終えました。

  最近はパソコンや携帯端末等の普及によって、電子メールでのお正月の挨拶が増えてきており、年賀状の発売枚数は平成16年の44.4億枚をピークに年々減少してきています。日本郵政の発表によると、今年は前年並みの38億枚の発売予定でしたが、最終的には36.7億枚、4%減になったようです。この大きな原因は、震災地の宮城、岩手、福島3件の落ち込みであるとのことです。津波ですべてのものが流失したり、住む場所が変わるといったことのほか、被災された方への配慮が影響しているのではないかと思います。
  また、年々喪中葉書が増えてきていますが、今年は約80枚になりました。以前は一親等の親族のお悔やみに際しては、都度連絡を受けることが多く、葬儀・告別式に参列できなくても弔電等をお届けしていましたが、最近はほとんど年末になって初めて知るということになってしまいました。更にショッキングなのは、同年代の人が亡くなったという連絡が増えてきたということです。
  私もいつまでも若いという気持ちで、かなりハードな生活を続けてきていますが、年の瀬を迎え、そのような年齢になってきているということを自覚しつつ、充実した人生を送りたいと思っています。 
 

2011年12月29日

徹底した基礎づくり

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  先日紹介した小河勝氏とは常に教育の課題について意見交換していますが、実に多くの学ぶべきことがあります。同氏によると、〝昭和50年の前半に教師になって赴任した学校は、校内に散乱するガラスの破片、たばこの吸い殻、便器にねじ込まれた空き缶等驚くべき状態であった。最初のうちは勉強ができないことと荒れることが、自分の中で深く結びついてはいなかった。
きっかけは米国の社会心理学者、エーリヒ・フロムの著書で読んだ「無力感の中で永遠に人間は生き続けることはできない」「彼らはやがて破壊を求めだす」という言葉だった。荒れている生徒は無力感の渦の中でおぼれ続けていたということに気づき、すぐさま自前のアンケートを行なった。すると授業の理解度と未来への意欲等の関係は見事に比例することが分かった。
  後に赴任した中学校で、同じ学年を受け持つ教員たちと協力し、計算や文章トレーニングを毎日繰り返す取り組みに挑戦したところ、学年が上がっていくごとに子ども達が落ち着いていくことになった。 ところが、すべての学校でこのような取り組みが実現したわけではない。中学では教科の壁があり、『みんなで数学や国語を教えていこう』というのは受け入れられにくい。また「足し引き掛け算が中学生に教える内容か」という反発もあった。
しかし、この基礎的な部分の訓練をしないことには中学の授業は成り立たない。大切なのはまず基礎を徹底してやらせることである。〟
 
  学力も建物と同じで土台がしっかりしていないと上に積み上げていくことはできません。本校では年々学力が向上してきていますが、個々の学力差は生じてきています。先生方は補習等で懸命に指導を続けていますが、基礎的な力が不足しているのは事実です。新学習要領で教える内容が極端に増える中で、小学校・中学校の基礎学力の実態をキッチリ分析し、どこでつまづきが生じているのか把握し、徹底した基礎づくり対策を講じていくことが大切であると感じています。

2011年12月28日

注連縄と門松

2010kadomatu.jpg 注連縄

  近年、お正月も単なる大型連休という色彩が濃くなってきました。年末年始を海外や帰省先で過ごす人が増え、取り立ててお正月の準備をする家庭も少なくなってきています。そのため、わが国の伝統的な行事や文化の意味を知らない若者も多いようです。
  お正月は気持ちを切り替えて、一年の計画を立てるという意味で重要な節目であるということから、これまで日本においては、新年を迎えるためのさまざまな行事や風習を行なってきました。主なものをあげると、〝煤(すす)払い〟を行ない、〝注連縄(しめなわ)〟を張り、〝門松〟や〝鏡餅〟を飾り、餅をつき、御節料理を作り、大晦日には年越しそばを食べるといったものです。最近はスーパーやデパート、コンビニ等でも御節料理やお餅を販売しているため、手軽に購入することができますが、私の幼少の頃はすべて手作りでした。そして、お正月には家族全員がお屠蘇でお祝いし、雑煮や御節料理を食べるというのが一般的でした。
  最初に注連縄と門松の由来について紹介します。
  玄関先に注連縄を張るのは、家の中に悪霊を入れず穢れ(けがれ)をぬぐい去り無病息災・家内安全を祈るものです。神社などで見られるように注連縄は神聖な場所に渡し、内(神域)と外(現実社会)を隔てて、不浄に触れさせないために用いられるものです。
  また、門松については平安時代に中国から伝わり、現在の様式が決まったのは室町時代であると言われています。つまり松、竹などを門口に立てることにより、それに神を降臨させて家の入り口を清め、新年を迎えるという意味なのです。最近は簡略化されたものがほとんどですが、本格的な門松には竹の先端が斜めにカットしてある「そぎ」と呼ばれるものがあります。この風習は徳川家康が始めたようです。家康は戦上手であったと伝えられていますが、生涯唯一の敗北として知られる「三方ヶ原の戦い」(1572年)では武田信玄の騎馬軍団に完膚なきまでに叩きのめされました。この戦いの後、信玄に対して次は斬るぞという念を込めたのがこのそぎの始まりであると言われています。
  このように、日本の風習には穢れを拭い、身を清めることを目的にしたものが数多くあります。また、常に八百万(やおよろず)の神を敬うことが基本になっているのです。
  なお、門松や注連縄を飾るのは29日と31日を避けるのが良いとされています。これは、29日は「二重苦」、9の末日ということで「苦待つ」に通じる、また31日は「一日飾り」と言って神をおろそかにするからです。 何気なく行なっているお正月の準備にもそれぞれ理由があり興味深く感じています。
   

2011年12月27日

新学習指導要領とつまづき調査 

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  12月24日(土)、大阪府教育委員の小河勝氏に来校いただき、現在の学力問題についてお話いただきました。同氏は1970年(昭和45年)信州大学文理学部を卒業後、大阪市内の中学校勤務を経て、86年に大阪市の教育研究所へ、87年より再び現場に復帰して学力低下問題に注力され、退職後は中学生の自主学習を手助けする「小河学習館」の館長や大阪樟蔭女子大学非常勤講師も務めておられます。とりわけ、「百ます計算」などを取り入れた書き込み式の教材である『小河式プリント』は基礎学力の養成に役立つとして、全国の中学校や学習塾で利用されています。
  出席メンバーは中・高の管理職と小学校の石田校長、井口先生、事務局の山下局長です。最初に小河氏からパワーポイントを使って日本における学力の実態やこれまで指導されてきた全国の小・中の事例を紹介していただきました。百ます計算のスピードや漢字の識字率、個々の生徒のつまづき状況等を分かりやすく説明していただきました。特に小学校において算数の四則計算等でつまづくと、理解できないまま高度な内容に移行するため、これがずっと尾を引くことになります。基礎力をしっかりと身につけておくことが何よりも大切であるということです。
  小河氏が心配されているのは、学習指導要領の改訂によってやるべき内容が大幅に増えてきており、現行の週休二日制の下で十分な教育ができるかどうかということです。現に、公立小学校の現場ではこなしきれない状況になってきており、スピードを重視するあまり、理解不十分なまま上の学年に進むことになってしまいます。
  既に小学校では本年度より新学習指導要領が実施されており、多くの私立小学校では土曜日に授業をする等、授業時間の確保につとめておられるようです。小河氏からは早急に手を打たないとツケを後回しにすることになるという指摘を受けました。
  本学園では、中高は既に完全週六日制に移行し、長期休業も短縮しているため、授業時間数は大幅に上回っていますが、学園としての検討が必要であると感じています。

2011年12月26日

伊江島の皆さんへのお礼状

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  沖縄の研修旅行から間もなく一ヶ月半が経過します。参加した生徒達はそれぞれ伊江島の民泊でお世話になった皆さんにお礼状を書いていますが、私はこの間学校と大阪府の教育委員会の仕事でほとんど時間がとれず、今までお礼状を出すことができていませんでした。やっとこの休日を利用して、『新たな出会いで絆を結ぶ』という言葉を添えた写真をお世話になった全家庭にお送りしました。
  私にとって伊江島観光協会の方とは2年ぶりの出会いでしたが、実に暖かく出迎えていただきました。とりわけ専務理事の小濱氏とは伊江島の実情等色々なことを話し合いお互いに心が通い合っていることを実感することができました。。今回も観光協会を訪れましたが、壁には2年前に私がお送りした安岡正篤氏の『縁尋機妙』という言葉を添えた写真が掲げられていました。。
  人間の一生にはさまざまな人との出会いがあり、この出会いを通じて成長していくと思います。これまでの経験から社会で活躍されている人はほとんど例外なく、素晴らしい人脈をお持ちです。つまり縁を活かせるかどうかはその人の気持ち次第です。 生徒達が今回の研修を通じてお世話になった伊江島の皆さんとの縁を大切にし、これからも心の交流をはかっていってくれることを願っています。
  伊江島は南北3km、東西6kmのピーナツ状の島ですが、人口は徐々に減少し、かつて5500人いた人口も年々減り続けています。現在、日本の地方で起こっていることの縮図がこの島にも見られます。島を活性化するために、観光協会の皆さんは智恵を絞り出しておられます。これからも伊江島の皆さんとの絆を深め、互いに連携をはかることにより何とかお役に立ちたいと思っています。

2011年12月25日

メープルシロップと黒糖

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  12月25日(日)、年の瀬を迎え、年賀状の作成や仕事の振り返り、部屋の掃除、資料の整理等を行ないました。企業と違って、学校では遠隔地への出張はほとんどありませんが、今年はカナダへの語学研修旅行と沖縄への修学旅行に随行しました。その時に購入したメープルシロップと黒糖が今もわが家の食卓に載っており、毎日ヨーグルトに入れたりパンに塗っていただいています。
 メープルはサトウカエデと呼ばれており、カナダの国旗にも描かれており、この木の樹液を煮詰めたのがメープルシロップです。カナダが実に世界の生産高の80パーセントを占めており、カナダの特産品になっています。製造方法は雪解けの3月~4月に糖分の含まれている樹液を採取し、これを40分の1まで煮詰めて不純物を取り除きます。そのため、保存料や添加物を一切使用していない自然食品です。
 一方、黒糖はサトウキビの茎の絞り汁を加熱し、水分を蒸発させて濃縮したものを冷やし固めて作ります。サトウキビは沖縄の気候に適しており県内で一番多く栽培されている作物です。沖縄の方言では「ウージ」と呼ばれ、昔から農家の人達の暮らしを支えてきました。酸性を中和し、不純物を沈殿させやすくするために、絞り汁に石灰を混入して製造しますが、ビタミンB1、B2、ミネラルやカルシウムを豊富に含んでいます。
 サトウキビはイネ科の多年生草木で、ブラジルやインド等の熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されており、茎の高さは2m~3m、太さは2cm~4cmになります。原産地は赤道近くのパプアニューギニアで、1万7千年前から作物として栽培されており、琉球(りゅうきゅう)には、インドネシア、インドのガンジス川、中国を辿って伝わったと言われています。
  また、近年サトウキビは砂糖を作るだけでなく、葉や絞りカスを利用してバイオエタノールを製造したり、バイオマス発電の材料としての利用も進んできています。身の回りにある食物についても調べてみると、興味深い点が多々あるものだと感じています。

2011年12月24日

集中力を高める

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  12月24日(土)、冬休みに入って、4日が経過しました。終業式で長期休業中は是非規則正しい生活を送って欲しいということを伝えましたが、守れているでしょうか。冬休みだから一日くらいはいいだろうということで、夜更かしをしたり、何をするということもなく無意味に過ごしてしまうと、これが二日になり、三日になり、気がつくと休みが終わってしまったということになりかねません。
  学習面においては、これまでの反省をしっかりと行ない、解らなかったところは確実にできるようにしておくことが大切です。生徒達と話をしていて感じるのは、自分の弱点についてはつかんでおり、それなりの努力をしているにもかかわらず、なかなか学力向上に結びつかないという人が多いということです。この原因の一つは「やらなくてはいけない」という義務感で学習しているため、どうしても集中できていないということではないかと思います。これでは長時間机に向っていてもなかなか成果には結びつきません。これを防ぐためには、時間を限定し集中することが大切です。集中力は学習だけではなくスポーツや芸術についても必要ですが、これを身につけることができれば、将来さまざまなことに活用できるようになります。そして、経験を積めばどのような条件の下でも集中することができるようになります。そして、社会で活躍している人が身につけている良い習慣の一つです。
  
  最近は個室を持っている人が増えていますが、まず、部屋の環境を整えることから始めて欲しいと思います。学習環境を変えることで集中力を高めることができるようになります。
  ①勉強場所の整理・整頓はできているか
  ②周囲に気になるものがないか(携帯電話やゲーム機、漫画、お菓子等)
  ③光の刺激や騒音は問題ないか
  ④冷暖房は適切か (頭寒足熱)
  ⑤スケジュールが明確になっているか(時間管理)
  ⑥適当な気分転換がはかれているか
  
  特に〝整理整頓ができていないため、物を探すといった無駄な時間が多い〟〝携帯電話でメールの交換をしたり、ゲーム機や漫画に手を伸ばしている〟〝その日にやるべきことや何時までに何をどれだけやるかが決まっていない〟という状況では成果があがらないのは当然です。
  一日の時間は、万人に共通しています。この集中力を身につけることは、将来、仕事をする上でも大いに役立ちますので、是非中学・高校・大学を通じて修得するようにして欲しいものです。

2011年12月23日

センター入試への対応

P1020700.jpg   《先輩に聞く》

  本校の生徒はほとんど全員が上級学校への進学を希望して入学してきます。保護者の皆さんは、何とか有名大学に入学させたいという気持ちで、学校を選択されるケースが多いのではないかと思います。そのため、大学への進学実績が高まると、学校の人気が高まり、受験者が増えるという傾向にあります。また、大学を有する学校法人の中高一貫校を選ばれる方も多いようです。しかし、以前のように有名大学を出れば、将来は安泰という時代ではなくなってきています。そして、グローバル化が進展する中で、この傾向は益々加速されてくると思います。
  本校の入試説明会等においても、受験生の保護者からはしばしば「指定校の推薦枠はどれ位ありますか」といった質問が発せられます。現在、本校では私立大学から500を超える指定校推薦枠をいただいています。この数字は学校や学部を選ばなければ、1人につき2校の推薦枠があるということになりますが、この推薦枠を活用する生徒はごくわずかです。生徒には〝大学に進学することが最終目的ではない〟〝大学のブランドに目を奪われるような安易な選択はするな〟ということを繰り返し伝えると共に先輩からも体験談を語ってもらうようにしています。また、大学の先生による授業や社会人の話を聞く機会を設けてきています。
  さて、いよいよセンター試験も近づいてきました。高校3年生は懸命に最後の追い込みを行なっていますが、これまで以上に生徒達がそれぞれ自分の将来の進路を考えて受験しているように感じています。
  なお、本校では既に大学への合格が決まった生徒に対しても、高校における学習成果の集大成として、全員がセンター入試を受けるよう指導しています。ともすると気が緩みがちになりますが、3年間の取り組みが自分なりの目標をしっかりと持って充実した高校生活を送って欲しいと思っています。

2011年12月22日

平成24年度大学入試前半戦の結果

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  近年の大学入試は実に多様化してきており、センター入試の前に国公立大学の公募制推薦・AO入試や私立大学の指定校推薦、AO入試等が実施されています。とりわけ私立大学では約半数がこれらの入試で合格しているということになっています。以前、本校ではこれらの入試を受ける生徒はほとんどいませんでしたが、年々センター入試前に、これらの入試にチャレンジする生徒が増加してきています。特に、本年度は選抜特進コースの生徒を中心に、防衛大学にも数多くの生徒が受験しました。これらに加えて、私立大学の指定校推薦による合格者もおり、入試前半を終えた現時点では次のとおりとなっています。

(1)国公立大学 6名・・・大阪府立 2名、 滋賀、京都教育、神戸市看護、兵庫県立、各1名
(2)防衛大学校関係(一次) 35名・・・防衛医科 1名、 防衛 31名、看護 3名  
(3)私立大学 150名・・・関西 10名、 関西学院 12名、 同志社3名、 立命館 5名、 京都産業 3名、近畿 12名、 甲南 3名、 龍谷 5名、 京都女子 3名、 同志社女子 7名、 神戸女学院 8名、甲南女子 8名、 武庫川女子 5名、 京都外語 1名、大阪薬科 4名,京都薬科 1名、神戸薬科 4名、関西外語 4名、大阪工 4名、創価 1名、日本 1名、金沢工 2名 等
(4)短大他 9名

  本年の特徴は、国公立大学への合格者が現時点で既に昨年を上回る6名になったこと、防衛大学関係の1次合格者が35名と大幅に増加したこと、昨年に引き続き難関の防衛医科大学への合格者が出たこと等です。
  これらの公募推薦やAO入試を受験する生徒に対しては、推薦書や小論文の書き方、面接等の細かい個別指導が必要であり、さまざまな業務を行なっている担任だけでは十分な指導ができません。そのため、受験にあたっては進路指導部の先生を中心に指導を行なってきました。また、私も時間の許す限り、これまで個別指導をしてきましたが、それなりの成果は出てきているようです。
  今後は、キャリア教育と合わせて、もう少し早くこれらの入試に対する指導を充実させていきたいと思っています。
    

2011年12月21日

中学校入学志願者の出願始まる

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  12月21日(水)、本日より2012年度中学校入学志願者 前期A日程・B日程の出願がスタートしました。例年の出願は、正月明けから入試の数日前までとなっていましたが、今回より、日程を前倒しして次のようにしました。
    ◇12月21日(水)~1月7日(土)午前9時~午後4時
         ただし、土曜日は午前9時~12時
          (12月23日~25日・12月29日~1月5日を除く)  
  このため、本日は朝早くから、多くの方が出願のため、来校されました。願書を見ると、前期A日程とB日程の両方を受験される方も相当数おられるようです。本日は延255名の方に出願していただきました。この詳細は、毎日本校のホームページに掲載させていただきます。
  中学受験は親の受験と言われていますが、子どもさんを志望する学校に入学させたいという思いがひしひしと伝わってきました。現在、本校でも入試に向けての準備を進めており、万全の態勢で受験生をお迎えしたいと思っています。
  前期日程の入試は大学のセンター入試と同じ日(1月14日・15日)に実施されます。昨日の終業式でもお話ししましたが、これから入試までの残り24日の過ごし方は非常に大切です。これまで取り組んできたことを今一度見直し、体調を整えて入試に臨んでください。

2011年12月20日

2学期の終業式を終えて

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 12月20日(火)午後、通常通りの授業を実施した後、校庭で2学期の終業式を行ない、次のような話をしました。
  〝今年も残すところ、わずかになってしまいました。今年は3月に東日本大震災が発生しました。本当に月日が経つのは早いもので、あれから9カ月以上が経過しようとしています。あの震災で、多くの人が尊い命を失くしました。皆さんと同じ年頃の中学生や高校生も含まれていました。その時に、私は皆さんに彼らの分まで生き抜いて将来社会のために尽くして欲しいということをお願いしました。あれから9カ月経った今、皆さんの気持ちはどうですか。
  皆さんは色々な節目にあたって、「是非こういうことを目指したい」「自分はこういう人間になりたい」等、様々な目標を持つと思います。しかし、時間が経つにつれて、この気持ちは次第に薄らいでいくものです。振り返ってみて、今年はどのような年でしたか? 自分の思いどおりにできたという人もいれば、逆に思いどおりにできなかった人もいると思います。できなかったという人は、毎年同じ繰り返しをしていませんか? 年末にあたって、是非自分自身の姿勢を反省して下さい。
  皆さんは、やがて社会人になりますが、どの分野にあっても社会で活躍している人の共通点は、一旦決めた目標を切り下げずにやり続けているということです。目標が達成できないからと言って、簡単に諦めて他の道を探す、〝今日は疲れているから〟〝今日は他にやりたいことがあるから〟ということで、いったん例外をつくると、それが当たり前になってしまいます。
  明日から冬休みに入りますが、休みだからということで夜更かしをしたり、朝遅くまで寝ていたりせず、しっかりと今年の反省をして生活習慣を整えてください。そして、今年やり残したことはこの冬休みにやりあげておいてください。 
  さて高校3年生の皆さん、大学センター入試も目前に迫ってきました。しかし、まだ25日もあります。この期間は悔いのないよう死に物狂いで受験勉強に取り組んでください。仮に1日8時間勉強すれば、200時間もあります。これだけの時間があれば、相当学力が伸びるはずです。マラソンレースで言えば、今はゴール間近の40km過ぎの時点です。自分が苦しいときは、他人も苦しいのです。
  どうか、一人ひとりが思い出に残る冬休みにしてください。そして、1月10日には全員元気に登校してくれることを願っています。

2011年12月19日

第40回英語暗唱大会の開催

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 12月19日(月)午後、中学生を対象とした英語の暗唱大会を開催しました。この催しは今年で40回を迎える本校の伝統行事の一つになっています。
  各学年では数ヶ月前からそれぞれの指定された課題文に全員で取り組んできました。そしてクラス毎に選考を行い、各学年代表の計28名が選ばれスピーチを行ないました。
  今年の暗唱文は中学1年が『旅人とクマ』 (英語タイトルThe Travelers and the Bear)、中学2年が「古い指輪」 (The Old Ring)、中学3年がキング牧師のスピーチ『私には夢がある』 (I Have a Dream)でした。出場者にとっては、生徒や先生、保護者等多くの聴衆の前で、しかも英語で発表することは初めてという人がほとんどです。恐らく物凄く緊張していたと思いますが、一人ひとりがそれぞれに工夫を凝らし、ジェスチャー等を交えながら舞台で堂々と発表しました。関係の先生からは、本日に至るまで一人一人が随分練習してきたと聞いていましたが、この努力の成果が顕著に現われていたように感じました。
  私は冒頭の挨拶で、現在、英語が使われている国は世界で約80あり、4人に1人が英語を話していること、グローバル化が進む中にあって、これから益々英語の重要性が増してくること等を話しました。
  日本人はこれまで英語に対して苦手意識を持つ人が多かったようですが、このままでは国際社会で活躍することはできません。そのため、近年、日本企業においても語学力を採用や昇進の条件にするところが増えてきています。これからは、あらゆる場面で英語でのコミュニケーション力やプレゼンテーション力が非常に大切になってきています。
  この催しを機に、生徒達が更に語学力の伸長をはかリ、将来国際社会で活躍する人材になってくれることを願っています。

2011年12月18日

大学入試の意義

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  大学センター入試試験も目前に迫り、現在、多くの生徒が大学進学を目指して、必死に最後の追い込みを行なっています。これまで、それぞれが懸命に取り組んできていますが、これからの4週間の過ごし方は非常に大切です。やりたい事ややり残した事は山ほどあると思います。しかし、昔から〝雁は八百、矢は三本〟という言葉があります。これは、たくさんいる雁のどれを打ち落とそうと迷っているうちに、雁が逃げてしまって結局一羽も獲れなくなるという意味です。
  これは、期限が決まっているものを達成する際に心がけておかなければならないことです。つまり、あれもしたい、これもしたいと思っているうちに結局何もできずに終わってしまうのです。これを避けるためには、まず、気になることをすべて洗い出す、その上で重要度と緊急度を考える、次に限られた時間内にできるものの優先順位をつける、そして、実行に移すということが大切です。これは大学受験に限ったことではなく、あらゆる分野における多くのことに共通するものです。
  このように見ると大学受験の経験は単に学習して学力を身につけるということだけではありません。自分の目標を設定し、さまざまな智恵を絞ってこの達成に結びつけていくという行動は、将来社会に出た時に役立つのは間違いありません。
  これまで、何度も言っているように大学への進学が最終目的ではありませんが、まず目の前の目標をしっかりと達成して欲しいものです。 最後に急に気温が下がってきましたので、受験生の皆さんは体調管理に留意し、ベストの状態で本番に臨んでください。 

2011年12月17日

不況またよし

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  今年は、3月に東日本大震災が発生し、多数の尊い人命や貴重な財産の喪失等大きな被害をもたらしました。また、この地震に伴う原発事故やサプライチェーンの分断によって、日本経済は大きな打撃を受けることになりました。その後の懸命な努力によって、メーカーの生産体制が整い、増産を始めようとした矢先に、今度はタイでの大洪水が発生し、再び生産活動がストップするということになりました。更に、EUにおける財政・金融問題が加わり、企業経営は軒並み今期の業績の下方修正を余儀なくされています。最近の景況感を見ても景気が悪化するという見方が多くなってきています。まさに、経済の先行きはますます不透明な状況になってきています。
  ところで、松下幸之助氏の言葉に『好況よし、不況またよし』という言葉があります。常識的には、誰もが不況は嫌だ、避けたいということになると思いますが、どうして不況もよいということになるのでしょうか。この意味は、〝不況においては、好況の時には見えなかった部分が見えてくるため、目の前の事象に踊らされることなく、長期的な視点から経営を見直すことができるということです。言い換えると、過去の延長線上で取り組んできた活動内容を抜本的に見直すチャンスになるということになります。
  この経済情勢の変化は、当然のことながら私学経営にも影響を与えることになることが予想されます。
  今年も残り少なくなってきましたが、新しい年を迎えるにあたって、今一度、原点に戻って、すべての活動を見直していきたいと思っています。

2011年12月16日

グローバル化の進展~②マネジメント層の国際経験 

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  現在、日本企業のグローバル化が遅れている理由のひとつは、人材のグローバル化が遅れているということをお伝えしましたが、日本は世界の国の中でもマネジメント層の国際経験が極めて浅いということがあげられます。言い換えると、グローバルな視点を持ったマネージャーが少ないため、どうしても日本を中心に経営を考える傾向が強くなってしまうことになります。
  グローバル人材にはさまざまな要件がありますが、世界のどこでも仕事ができること、色々な企業で通用する専門能力やマネジメント力を有していること、異なる環境下における課題発見・解決力等があげられます。日本では、海外で活躍できる要件として、語学力だけが重要視されがちですが、語学というのは自分の考えを相手に伝えていくコミュニケーションのツールであり、語学力さえあれば海外で活躍することができると思うのは間違いです。
  しかし、残念なことにコミュニケーションのツールである語学力が極端に低いため、企業のグローバル化のニーズに応えられないというのが現実です。これからは社会人になる前に語学力のレベルを高めると共に専門知識や技能を修得しておくことが非常に大切になってくると思っています。

2011年12月15日

世界のエネルギー需要の動向

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  グローバル化の進展に伴い、近年新興国が急速な経済発展を遂げるようになってきました。この結果、世界のエネルギー需要は年々増加してきていますが、それぞれの国にとってどのようにしてエネルギーを確保していくかが大きな課題になってきています。エネルギーは食料と水と共に生活に欠かせないものであるだけに、この確保は重要な国家戦略になっています。これまで、世界各国は石油や石炭や天然ガスといった化石燃料を中心としたエネルギーの確保を図ってきましたが、これらの資源は有限であり、いずれ枯渇することは目に見えています。また、燃焼に伴い温暖化ガスが発生するため、環境への影響も考慮していかなければなりません。最近、南極や北極の氷が溶け出していることが確認されており、これが海面の上昇につながり、ツバル等は国土が水没する恐れが出てきています。また、海水温の上昇により、世界のいたるところで珊瑚の白化現象が発生し、魚達の生息する場所が次々と失われてきています。
  近年、わが国でも温暖化ガスの抑制をはかるため、原子力発電にシフトする動きが加速され、最終的には発電量の50%を原子力で賄う計画を立てていましたが、東日本大震災によって、エネルギー政策は大きく見直されることになりました。そして、再生可能エネルギーに注目が集まり始めていますが、原子力の代替という位置づけになるためには相当の時間がかかることになりそうです。
これからのエネルギーの動向について注視していきたいものです。

2011年12月14日

グローバル化の進展~①人

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  東西冷戦後、情報化と相まって世界経済のグローバル化が物凄い勢いで加速し、これからも益々進展することが予想されます。グローブというのが〝地球〟ということですから、グローバル化というのは人、物、金、情報、技術等が国境を超えて〝地球規模で動く〟とことを意味します。
  日本は少子高齢化による国内需要が増えないことに加えてグローバル化の波に乗り遅れたために、経済が低迷するという状況が続いており、失われた20年と言われています。
  グローバル化を推進するための最重要課題は〝人材(財)〟であり、単純作業をこなす労働者ではありません。これまで、日本企業はモノ、金、情報、技術については、かなりグローバル化を進めてきましたが、グローバル人材の確保と育成には遅れをとってしまいました。これが、現在新興国でのビジネス展開をはかるためのネックになっているのです。
  しかし、ここ数年、ようやく語学研修の充実、英語による社内会議の開催、社員の海外派遣や長期勤務、外国人の採用、グローバル人事制度の導入等の取り組みを強化し始めました。この動きは今後一層加速されることになるのは間違いありません。
  将来、生徒達の中には、さまざまな企業で勤務する人が多いと思いますが、企業の採用は〝グローバル人材として活躍できるかどうか〟という視点が重視されることになります。つまり、日本人だけではなくさまざまな国の人と同じ土俵で選考されることになってくるのです。
  これから、企業におけるグローバル化の動きについても紹介していきたいと思っています。

 

2011年12月13日

世界経済の動き

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      《 PIGS 》                 《G7》 

  先日の入試説明会で説明した「世界や日本の現状」「新しい技術」「企業の動向」等について、これから詳しく掲載していきたいと思います。
  これまでの世界経済はG7と言われる国を中心に動いてきました。このG7というのは、ヨーロッパのイギリス・フランス・ドイツ・イタリアの4国とアメリカ・カナダと日本の7ヵ国(1998年以降はロシアが加わりG8)で、先進国首脳会議が開かれ、世界経済の課題を克服してきました。しかし、新興国の急速な経済発展と先進国の経済の低迷によって、先進諸国だけでは世界経済をコントロールすることができなくなってきたのです。特にBRICsと呼ばれる中国・インド・ブラジル・ロシアのGDP(国内総生産)は世界の約4分の1を占めるまでになってきました。そのため、近年はこの4国に加えて、南アフリカを加えたBRICS(sを大文字のSに変更)の5国やG20の国々による会議が開催されるようになってきました。
  また、最近の世界経済はいたるところで綻び(ほころび)が生じてきています。その最大のものはEUにおける財政・金融問題です。現在、統一通貨であるユーロを使用している国は17に及んでいますが、これらの中で、ギリシャ危機がポルトガル、イタリア、スペインにまで波及し始めています。とりわけ、GDPが大きく、G7の一角を占めるイタリアの国家財政が破綻すると、イタリア国債を大量に保有するドイツやフランスをはじめ世界各国の金融機関が深刻な状況に陥ることになります。
  更に、これまで一極集中と言われたアメリカ経済も、リーマンショック以降本格回復とは言えない状況が続いています。日本経済も総需要の頭打ちに加え、急激な円高の影響で輸出産業を中心に経営が悪化しており、国の経済も依然として低成長が続いています。
  この結果、新興国の経済にも悪影響が出始めており、輸出の不振や外国資本の引き上げ等により、相次いで成長率の下方修正が発表されています。そして、これらの国に石炭や鉄鉱石を提供していた資源国にも翳りが見られるようになって来ました。このように、グローバル化が進んだ結果、単に一つの国にとどまらず、世界の様々な地域に波及することになり、経済が変調をきたすことになるのです。
 

2011年12月12日

教職員研修会の開催

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  本学園では、毎年1回この時期に学園全体の教職員研修を開催しています。本年度は東京大学の玄田有史教授に“希望のチカラ”と題して講演をいただきました。
  玄田先生は、2005年から「希望学」というテーマで研究を続けておられます。今回の講演では、歌手やスポーツ選手等の例を紹介しながら、希望や夢についてわかりやすくお話しをいただきました。
印象に残った言葉は“希望が持てない子どもにこそ、希望が必要。”“大切なのは満点をとることではなく、51点でも良いから諦めずに続けていくこと。”“わからないというものを大切にしていくこと。” “一般的に、夢を持ちましょうという人は夢を叶えた人である、苦しいからこそ希望が必要であること。” “希望に棚ボタはない。希望を与えることを考えるのではなく、育てていくこと。何よりも大人が夢を持ち続けること。” 等です。
  そして、希望は次の4つの柱から成り立っているということを説明されました。
    Hope is Wish for Something to Come True by Action.
  この中で、あえて順番をつけるならAction(行動する)Come True(道筋を考える)Something(何かを見つける) Wish(強い気持ちを持つ)ということになる。最も重要なのはActionであり、行動することによって色々なものが見えてくるようになる。何よりも率先して行動をしていくことが大切であることを熱っぽく教職員に語りかけていただきました。
  今回の講演の内容は、児童や生徒を立派に育てるという使命を持って日常の教育活動を行なっている一人ひとりの教員の胸に深く刻み込まれたのではないかと思います。
玄田先生には、大変な過密スケジュールの中、ご講演いただき心より感謝申し上げます。

なお、先生は多くの著書を執筆されていますので、紹介します。
 『仕事のなかの曖昧な不安――揺れる若年の現在』
 『14歳からの仕事道』
 『働く過剰-大人のための若者読本』
 『希望のつくり方』

2011年12月11日

職業人に学ぶ

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  昨日、10日(土)はこの冬一番の冷え込みとなりましたが、本日は3つの大きな行事が予定されており、先生方は朝から分担してそれぞれの仕事につきました。
  入試広報部は午後から実施される『高等学校の入試説明会』の準備をし、中学1・2年生の学年団は環境学習の一環として実施する『きずきの森』での里山体験に出発しました。
  また、高校1年生の学年団と進路指導部は『職業人に学ぶ』というテーマでの進路学習を実施しました。この進路学習は例年この時期に、社会のさまざまな分野で活躍されている方々にお越しいただき、それぞれの仕事の内容や体験を語っていただくというものです。
  本年度の講師は何らかの形で本校に関係ある薬剤師、弁護士、グラフィックデザイナー、電気通信機器の研究・開発、医療機器の開発・研究、医師、管理栄養士、和菓子店経営、歌劇舞台人、建築設計士、テスクールカウンセラー、防衛省自衛隊員、保育士の13名の皆さんです。
  現在、本校では〝将来社会で役立つ人材の育成〟を基本の教育方針に掲げていますが、生徒達は社会のことをあまり知りません。今、中学生や高校生に自分の知っている職業をすべて書き上げてもらっても、その数は限られています。このため、さまざまな機会を通じて、どのような仕事があるのか、その仕事をするためにはどういうことが必要なのかということを伝えていくことが大切です。
  本校では社会で活躍している人のお話を聞く等のキャリア教育を行なっていますが、この進路学習は年を重ね、本校の伝統の行事になっています。今回、お話いただいたのは、多くの職業の中のごく一部の方々ですが、生徒達が将来の仕事に対して考える良い機会になったと思います。そして毎年、この講座を受講して、自分の将来の進路を考えて大学進学を考える人も出てきています。
  最近、日本の生徒の学習に対する意欲低下が問題視されていますが、この原因は自分なりのしっかりとした目標を持っていないからです。つまり、何故学習するのかという理由が分かっていないのです。目標を持つと、俄然学習に対する意欲も向上してくるのは間違いありません。本校としても、更にキャリア教育の充実をはかっていきたいと思っています。
  年末の慌しい時期にも関わらず、快く講義をお引き受けいただいた講師の皆さんに心よりお礼を申し上げます。

2011年12月10日

本年最後の高等学校入試説明会

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  12月10日(土)、本年度最後となる第3回の高等学校説明会を開催しました。本日は寒気が到来し、この冬一番の寒さになりましたが、土曜日ということもあって、1時15分の受付開始と同時に生徒と保護者の皆さんが続々とお越しになり、出席者は約860名、資料配布が635部という多数にのぼりました。そのため、急遽補助椅子を準備させていただきました。昨年度は、定期考査と重なっていたため生徒によるクラブ紹介の場がありませんでしたが、その反省も踏まえて今年は日程調整をし、開会までの時間を使って、ギターマンドリン部による演奏をお届けしました。  
  2時からの説明会においては、私から「社会で役立つ力を育てる」というテーマでパワーポイントを使って次のような話をしました。
  最初にいつものように「日本は恵まれているか? 日本の将来は明るいか、暗いか?」という質問をし、挙手していただいたところ、結果は予想していたとおり〝日本は恵まれているが、日本の将来は暗い〟というものでした。続いて、世界と日本の現状について、人口や食料・エネルギーの自給率等の基礎的な数字を示しました。
  そして、皆さんが高校・大学を終えて社会に出るまでには8年間あるが、この間どのような生活を送るかは将来の人生にとっても極めて大切であること。今、世界は大きく変化してきているが、現状における地球規模の課題にはどういうものがあるのか、そして、8年後にはどのような世界になっているのかを想定しておかなければならないこと。これからはIT、バイオ、ナノ、エコ等の新技術によって新しい仕事やシステムが続々と生まれてくること。現在、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の経済成長は目を見張るものがあるが、これからはBRICsに続く新興国が急速な経済発展を遂げることになり、多極化が進むこと。この結果、新しい仕事やシステム・仕組みが続々と創出され、皆さんの活躍する場は世界中に広がってくること。また、これまでグローバル化への対応が遅れていた日本企業が、円高や大震災の影響で急速に海外シフトを加速し始めていること。この流れの中で、皆さんは日本国内に閉じこもることなく、ぜひ海外に目を向けて欲しいという趣旨の話です。
  本校の教育方針は〝将来社会で役立つ力を育てる〟というものですが、社会で活躍するためにはしっかりとした人間力と学力が必要です。是非人間としての根っ子をしっかりと育てて欲しいものです。
  続いて教頭から学校の教育内容や学校改革の進捗状況についての説明をしました。その後、数多くのクラブを代表して剣道部と放送部の部員によるそれぞれのクラブの紹介を行ない、最後に入試広報部長から本年度の入試結果や来年度の入試に関する留意点、奨学金制度等の説明を行ないました。
  そして、説明会終了後には、講堂内での個別相談の時間を設けましたが、一部の方には長時間お待ちいただくことになり誠に申し訳なく思っています。一方で、希望される方には新校舎と部活動の見学をしていただきました。 
  これで本年度の入試説明会は中学・高校共全て終了しましたが、本校ではいつでも校舎見学やクラブ見学、入試相談に応じていますので、事前にご一報いただきご来校いただきますようお願いします。

  なお、日本や世界の動き、新技術の開発、企業の動向等については、今後この校長通信で紹介していきますので、暇な折にご覧になって下さい。
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2011年12月09日

サントリー生命科学財団理事長をお迎えして

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  現在、サントリー(株)では大学をはじめ、さまざまな研究機関との連携のもと研究開発を積極的に行なっておられます。これらの力を何とか本校の教育活動にとり入れたいということでお願いしていたところ、昨日『サントリー生命科学財団』の仙木伸介理事長がご来校されました。
  最初に校舎の諸施設の見学と簡単なご挨拶の後、高校の生物の授業を参観していただきました。同財団は1946年2月に、故佐治敬三理事長の志である「これからの日本は学問や文化を通じて、世界の平和と繁栄に貢献していくべき」という考えのもとに、有機化学を基盤とする『財団法人食品化学研究所』として発足し、その後、『サントリー生物有機科学研究所』を経て現在に至っています。
  最近の日本の教育を見ると、子ども達の理数離れが顕著になってきていますが、これは憂慮すべき現象です。何故なら、これから日本が国際社会で認められていくためには世界に冠たる「技術立国」を目指していくことが何よりも肝要だからです。そして、その根幹は人材の育成にかかっています。
  本校の教育の基本の考え方は「将来社会で活躍できる骨太の人材の育成」ですが、この実現には、単なる知識を詰め込むだけではなく、学問の面白さを体得させることが大切です。そのためには実際に研究や開発の現場で行なわれていることを知ることが前提になると思います。  
  具体的な内容はこれからつめることになりますが、実際の研究現場への見学や多くの大学の先生による講義等が実現できればと思っています。本校では、新しい学校づくりの一環として、環境教育をはじめ、科学の芽賞への応募や科学オリンピックへの参加等を行なっていますが、これらをシステム化することによって理科教育の強固な基盤を構築していきたいと考えています。

   

2011年12月08日

実りの秋~花梨と柿

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       《花梨(かりん)》                  《柿》
  暦の上では既に立冬を過ぎましたが、林檎やみかん、ブドウ、ナシ、クリ等が店頭に並び、季節の味を楽しんでおられる方も多いのではないかと思います。私の家でも先日、色づいた花梨(かりん)の実を収穫しました。花梨は林檎と同じバラ科の落葉樹ですが、残念ながら実は固くて食には適しません。そのため、折角実がなってもそのまま放置している家庭も多いようですが、焼酎に氷砂糖を加えて輪切りにした実を漬けて、半年くらいおくと「花梨酒」ができあがります。これは喉(のど)の痛みを和らげる効果があるため、毎年花梨酒を作り、風邪をひいた時などに重宝しています。
  また、本校の南門の横には柿の木があって、実が色づいてきたため、校務員さんが収穫してくれました。皮は少し固かったですが、むかずにそのままいただきました。この他、学校には銀杏の木があり、毎年多くのギンナンの実が生ります。強烈な匂いがするため敬遠されがちですが、手間をかければ十分食用にすることが可能です。
  日曜日の朝には「趣味の園芸」という番組(NHK教育)がありますが、最近草花だけではなく野菜や果樹栽培についても分かりやすく解説してくれています。私も当初、広い庭がないからという理由で諦めていましたが、これらは鉢やプランターでも十分栽培できることが分かってきました。自家自給率を高めるためにも、身近なところから是非行動を起こして欲しいものです。

2011年12月07日

公募推薦合格者と共に

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  先般から指導していた国公立の公募推薦入試の合否結果が順次発表されています。この度神戸市看護大学看護学部にO・Yサンが合格し、校長室に報告に来てくれました。彼女は母親が看護師であったこと、また自分自身が難産であったこともあって、出産する女性を精神面や医療面からサポートしてあげたいという思いが強く、幼少の頃から看護師になるという夢を持ち続けていたようです。そのため、将来は看護師の資格を取った後、助産師になることを目指しています。
  事前の面接では、先生方から相当厳しい指導を受けましたが、これにくじけず頑張った成果が、今回の合格に結びつきました。私も随分困らせる質問をしましたが、面接にあたっては自分の思いをしっかりとまとめて、相手に伝えることが大切です。彼女も合格の通知を受けて正直なところほっとしていると思いますが、何度も言っているとおり大学入試に合格することが最終目的ではありません。実際の仕事に就くまでには、これからも相当の努力が必要ですし、看護師になってからも数々の試練が待ち受けていると思っています。彼女には〝たゆまぬ研鑽で夢を実現〟という言葉を贈りましたが、立派な看護師、助産師になってくれることを願っています。
  

2011年12月06日

防衛大学校関係の受験結果を受けて

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  9月以降、私立大学の指定校推薦やAO入試・国公立大学の公募推薦入試が実施され、進路指導部や高校3年の学年団が中心になって受験指導を行なってきました。これらの結果も順次発表されてきていますが、これと並行して、先般防衛大学校関係の入試が実施されました。これには防衛大学校をはじめ防衛医科大学校・陸上自衛隊看護学生・航空学生の入試がありますが、難易度は高く、この合否結果は国公立受験を目指す生徒にとっては一定の目安になります。 
  本校では高校に新たなコース制を導入した52期生からこれらの入試を受験するようにしてきました。年々受験者は増加しており、3年目にあたる今年は主として54期生の選抜特進コースの生徒が受験しました。その結果が先週発表になりましたが、一次の合格者は合計で35名となり大幅に増加しました。内訳は防衛大学校が31名(昨年5名)、防衛医科大学が1名(昨年1名)、看護学生が3名(昨年なし)です。
  ほとんどの生徒が別途国公立大学を目指しているため、腕試しで受験した人も多いようですが、高い目標にチャレンジするという姿勢が出てきたのは喜ばしいことです。大学入試センター試験まで40日を切りましたが、この間に学力はまだまだ伸びます。生徒達がしっかりと準備をして受験に臨んで欲しいと思っています。

2011年12月05日

学習スペースへ暖房器具設置

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  本校では、新校舎建設をはじめ学習環境を整備することに注力してきています。そして、職員室内に交流スペースを設けることによって、生徒達が気軽に先生に質問できるように工夫したり、教室や図書室だけでなく、自主的に学習できるように学習コーナーを設置しています。放課後、このコーナーには多くの生徒が集まってきて自主的に学習していますが、急に気温が下がり暖房が必要になってきました。これまでは電気ストーブで代用していましたが、台数も不足しており、十分な温度を確保することができませんでした。
  そこで、PTAの協力金を活用させていただき、この学習スペース用の暖房器具として加湿セラミックファンヒーター4台と個人用キャレルデスクの下にすっぽり収まるデスクヒーター5台を設置しました。セラミックヒーターは微粒子イオンのナノイーを放出してウイルスを抑制する機能が付いています。また、デスクヒーターは節電に配慮し、1時間の電気代がわずか3.7円という省エネタイプのものにしました。
  早速、生徒達はこれらを使用して自主学習に取り組んでいますが、頭寒足熱ということでなかなか快適なようです。勉強は自学自習が基本です。是非その日に授業で学んだことをその日のうちにしっかりと見直すという習慣を身につけて欲しいと思っています。なお、夏場の暑さ対策としては既に壁掛け扇風機6台を設置済です。

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2011年12月04日

紅茶の色を変化させる要因(科学の芽賞)

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  先日紹介した「科学の芽賞」を受賞した中学2年女子生徒O.K.さんのテーマは『紅茶の色を変化させる要因』というもので、普段私達が飲んでいる紅茶に関する観察・研究です。
  彼女は以前から紅茶にレモンを入れると色が薄くなることは知っていましたが、ある時、紅茶に蜂蜜を入れると色が濃くなるということを見て、これは何らかの化学変化が起こっているのではないかと疑問を持ったようです。そこで、4つの実験を行ないました。
  まず「実験1」はレモンやグレープフルーツなど5種類の果汁の絞り汁を入れて色の変化を観察すると酸性度の高いものほど紅茶の色を薄くする作用は大きいことが判りました。そして、この実験1の結果を検証するために、次に「実験2」として、酸性物質であるクエン酸や酢を入れた場合とアルカリ性物質である重曹を入れた場合について変化を見ました。すると、クエン酸を入れたものの色が最も薄くなり重曹を入れたものの色は真っ黒になりました。これによって、酸性物質は色を薄くし、アルカリ性物質は色を濃くすることはわかりました。しかし、それでは蜂蜜はアルカリ性物質なのか?という疑問が湧いてきました。そのため検証しなければならない。「実験3」として、蜂蜜以外のガムシロップ、三温糖、黒糖等の糖分を紅茶に加えた場合の色の変化を見ました。その結果、蜂蜜や黒糖を入れた紅茶は中性であったにも関わらず色が濃くなりました。そして、色の濃さは蜂蜜、三温糖、黒糖の順になりました。この3つの共通点はミネラルが多く含まれているということです。
  更に彼女は黒豆を炊く際に鉄釘を入れると黒くなることを思い出し、鉄が紅茶に何か作用したのではないかと考えました。その考えを検証するため、「実験4」として紅茶に鉄釘を入れてみました。その結果、紅茶は真っ黒に変化しました。
何が作用したのか調べたところ紅茶に含まれる「テアフラビン」という紅茶の色素が酸性・中性・アルカリ性の液体の中で構造を変化させ色を変えるということがわかりました。蜂蜜を紅茶に入れると色が濃くなるという現象は蜂蜜に含まれる鉄分が紅茶に含まれるタンニンに作用するということです。
  私達の日常生活の中には、気を付けてみると疑問に思うことが数多くあるようです。なぜ?という疑問を持ち、それを解明するという習慣を身につけることは、非常に大切であると感じました。

2011年12月03日

過年度生に対する激励会の開催

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  12月3日(土)午後、過年度生(浪人生)の激励会を実施しました。大学センター試験まで残り41日になり、受験生にとってはいよいよ最後の追い込みの段階に入ってきましたが、本校では、毎年この時期に、この会を開催しています。本日の出席者は16名と対象者の半数以下という状況でしたが、全員が元気そうで、元担任の先生方と最終の進路について話し合っていました。私も何人かの生徒と話をしましたが、今年はなんとしても志望校に合格するのだという強いが思いが伝わってきました。
  受験生にとっては目前に迫った大学入試で頭が一杯になっていると思います。昔から〝山あり谷ありの人生〟という言葉がありますが、これは多くの人生経験をして初めてわかるものです。大学入試は人生における一つの試練であるのは間違いありません。何事にも全力で立ち向かっていくことで、成長していくのです。これからは精神的にも肉体的にもタフさが必要になってきます。どのようなことにおいても最後のつめが甘いと、折角の努力が報われないということになってしまいます。
  最後まで集中力を切らすことなく、体調を整え、万全の体調で臨んでください。皆さんの笑顔の報告を心待ちにしています。

2011年12月02日

兵庫県私学養護教員研修会の開催

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  12月1日(木)午後、兵庫県私学養護教員研究会主催の研修会が開催され出席しました。
  兵庫県の私学においては各種の研究会を設けそれぞれの活動を行なっており、各学校の校長が分担して会長にあたることになっています。私も雲雀丘学園の中・高校の校長に就任と同時にこの研究会の会長に就任していますが、年何回かの研修会にも業務の都合がつかず欠席することが多く、養護教員の皆さんとは本当に久しぶりの顔合わせになりました。
  今回の研修会の講師は、青山伸郎氏です。同氏は神戸大学医学部を卒業後、同大学消化器内科准教授を経て、2007年5月に青山内科クリニックを開院され、胃大腸内視鏡、炎症性腸疾患、ピロリ菌と専門領域に特化した治療を行っておられます。同クリニックでは,高い専門性とともに、希望通りの鎮静による苦痛のない内視鏡検査、メール予約システムなどのきめ細かい配慮などを重視されています。今では、受診希望者が後を絶たない状況であり、胃・大腸合わせて年間3000件以上をすべて自らの手で扱い、開院後2010年末までで、すでに1万件を超えるそうです。「身体的苦痛回避」、「時間的負担軽減」、「情報公開」・・・「自分が受けたい医療を患者さまに提供すること」という先生のお考え、先生の根底を流れるポリシーが、多くの患者さんから支持されているのだと実感いたしました。
  本日は、県内中・高校を中心とする部会ですので、子どもたちにも増えている「過敏性腸症候群」についての最新医療状況を、わかりやすく教えていただきました。「過敏性腸症候群」とは、器質的腸疾患がないにも関わらず、下痢や便秘などの便通異常と腹部症状が続き、多くの場合日常生活にも影響を及ぼすものです。その原因は精神的、肉体的なストレスや環境などさまざま考えられます。対処法としては、食事や日常生活の改善、さらに症状のセルフコントロールが治療の基本となりますが、良い薬も開発されており、専門医に相談し、適切な投薬を行うことが非常に大切だということです。また、器質的疾患がみられない場合、特に治療らしい治療を受けないで、そのまま不快な状況を強いられている生徒も多いのではないかということでした。
  今回の研修を通して「過敏性腸症候群」だけに限らず、学校現場でも病気・健康に対する関心・意識・知識を高めるとともに、各学校・養護教諭を中心に、適切なアドバイスのもと医療機関へつなげていく体制づくりの必要性を感じました。

2011年12月01日

将来の進路を考える体験学習

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  11月30日(水)、特別講師として進路体験学習の指導を行ないました。高校2年生では、11月の初めから自分の進路に関係する学部系統についての知識を深めるためのさまざまな体験学習に取り組んでいます。これまでは各クラスで学部系統の視点から、何人かでグループを作り意見を出し合い、その後それぞれ個人で600字以内の小論文を書いたり、グループディスカッションを行なってきました。生徒達にとっては、このような学習の経験はなかったため多少の戸惑いもあるようですが、先生の話を一方的に聞くという受身の授業ではなく、自主的に調べ自分の考えをまとめ発表するということは実に大切です。
  今回は「国際」の学部系統を希望する生徒を対象に『これからの日本企業の動向』というテーマを設定しました。そして、先週事前課題として「日本と世界の人口はどうなっていくか」「どのような国が成長しているか」「新しい技術にはどういうものがあるか」「日本企業の六重苦とは何か」という4つを提示しました。この授業では、最初に進め方について説明した後、3つのグループに分かれて、各人が事前に調べてきた内容をベースに意見交換し、代表者による発表をしてもらいました。そして、最後のまとめとして、私からあらかじめ準備してきたプリントを配布して説明しました。50分という限られた時間のため、ほんのさわりの部分にしか踏み込むことができなかったため、十分な理解はできなかったのではないかと思います。しかし、このまま放置するのではなく、今回学習した内容をベースにして、自分で興味を持って調べることによって、理解が深まっていくのは間違いありません。自分なりの考えをまとめたり、積極的にディスカッションに加わっていくためには、豊富な知識を有していることが必要ですが、今は、身近にインターネットという便利なものがあり、検索すれば簡単に多くの情報を得ることができます。
  大学入試においても、小論文や面接、ディベートを採用するAO入試等が増えてきていますし、企業の採用にも必ずこのような力が必要になってきます。自主的に学習するという習慣を身につけて欲しいと思っています。