1年を振り返って~捲土重来を期す
いよいよ大晦日を迎え、間もなく激動の年が終わろうとしています。今年は日本経済にやや明るさが見え始めた矢先の3月に東日本大震災が発生し、尊い命や大切にしてきた財産が失われ、これに伴う原発事故によって、いまだに数多くの方が避難所生活を送っておられます。私達も義援金や文房具等を被災地にお送りする等の支援活動を行ないましたが、実際に現地でのボランティア活動までは結びつきませんでした。現在、復興に向けてのさまざまな活動が行なわれていますが、日本国民が力を合わせて支援活動を推進していかなければならないと思っています。
また、今回の大震災は我々のこれまでの生き方や考え方を根本から見直す転機になりました。人と人との絆の大切さや節電をはじめとする無駄の削減、経済活動の抜本的な転換等の動きが出始めています。しかし、今日本は大幅な財政赤字を抱え、国際競争力が低下し、デフレ経済から脱却できず低成長が続いています。まさに正念場を迎えているのです。このことを自覚して危機感を持って、思い切った改革を進めていかなければなりません。
ところで、大晦日の「みそか」は本来「三十日」と書き、月の三十番目の日ということですが、転じて月の最終日を指すことになりました。晦(つごもり)とは陰暦では十五日に満月となり、月末になると月が見えなくなってしまうため、月隠(つきごもり)が訛ったものです。そして一年の最後のことを「みそか」に「おお」つけて「おおみそか」「おおつごもり」というようになったようです。
大晦日の夜を一年の日ごよみを除くという意味で除夜と言い、一年を締めくくり、暮れゆく年を惜しむということから色々な行事が行なわれてきています。その代表が除夜の鐘をつくというものですが、この風習は中国の宋の時代に起こり日本には鎌倉時代に伝来したと言われています。鐘をつく回数は108回ですが、これは人間の煩悩の数です。新たな思いで新年を迎えるために、今年一年の自分の行いを改めて振り返り、至らなさや愚かさをしみじみ反省しながら除夜の鐘と共に洗い流すという趣旨です。
また、年越しそばを食べるという風習は江戸時代中期から始まりましたが、そばを食べるのはさまざまな理由があるようです。〝伸ばして細く長く伸びるので、寿命や身代、家運が長く伸びる〟〝金細工師が一年の作業を終える時に、そば粉を丸めて散らかった金粉を寄せ集めていたことからお金が集まる〟〝そばは切れやすいので、旧年の苦労や災厄を切り捨てる〟〝家族そろって食べることが多いことから末長く、そばにいたい〟等といった意味が込められているようです。また、〝そばは風雨にあたっても、翌日陽が射すと起き上がるということから捲土重来を期す〟という意味もあり、まさに今の日本にぴったりの表現です。
今年も多くの皆さんに暖かなご支援をいただき心より感謝しています。実に厳しい一年でしたが、新たな気持で新年を迎えたいものです。