富士山
「♪あたまを雲の 上に出し 四方の山を 見おろして かみなりさまを 下に聞く 富士は日本一の山」。あす7月1日は富士山の山開きです。今年は富士山が世界文化遺産に登録されたということで一層脚光を浴びています。「ご来光ツアー」も各地から計画され、きょうから登っている人も多いようです。TV番組も特集が組まれています。
昔から山を神聖視し、信仰や修行の場とする考えから登山が行われていました。火山が噴火したりすることから、お山は畏怖すべきものとする原始的な山に対する信仰から、密教と結びついた山岳信仰の修行の場、信仰の対象の場となってきた経緯もあります。今でも、奈良県の大峰山や山形県の羽黒山などは修験道の修行の場としても有名です。富士山も宗教と結びついた登山が、江戸時代中期の頃から「富士講」が大盛況をみせ頻繁に行われていたようです。
昔、銭湯へ行けば決まったように富士山の絵が描かれていました。初夢に見ると縁起が良いといわれるなかにも「一富士二鷹三茄子」と富士山がでてきます。各地の有名な山にも、伯耆富士(大山)、蝦夷富士(羊蹄山)など、山の形が似ているということもありますが、「富士」の名前が使われます。絵画や小説に取上げられることも多くあります。富士山を扱った小説で思い出すのが、太宰治の「富嶽百景」です。教科書にもでてきます。その中の一節に、富士山と立派に対峙している月見草に感動し、「富士には、月見草がよく似合う」という有名な一節があります。
このように富士山は地理学的な山としての存在より、日本人の精神性や文化のシンボルとされてきたのです。