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2011年06月30日

梅干の漬け込みとトマトの実

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  先日、家庭科の先生と日本の伝統的な健康食品である「梅干」の話をしていたところ、一度学校でも漬けてみたいということになり、先週の日曜日に月ヶ瀬から採取した梅の実を宅急便で学校に送りました。そして、早速月曜日に塩やホワイトリカーを準備し、家庭科の調理教室で漬け込みました。塩分を少なくするため塩は10%ということにしましたが、翌日から梅酢が増え始め、今日はすっかり梅の実が隠れるまでになっています。生徒達も梅干を実際に漬けた経験がないようで、毎日放課後には調理教室に来て、興味深く経過を観察しているようです。このまま一週間ほど漬け込み、次は紫蘇(しそ)の葉を加えていくことになります。生徒達も白黄色の梅酢が鮮やかな赤色に染まるのを見ると、驚くのではないかと思います。
  また、食堂前の菜園に植えているトマトは花が咲いた後、たくさんの実をつけています。そして、最初は緑色であった実が次第に赤く色づき始めました。間もなく収穫できそうですが、昨年と同様、食堂の調理人の方にお願いして生徒達に新鮮なトマトを提供していただくことにしています。いずれも量はそう多くありませんが、生徒達がこのような体験を通じて〝食〟に対して関心を持ってくれることを期待しています。

2011年06月29日

中学校全校朝礼~バッヂをつける習慣

P1020829.jpg  硬式テニス部員に対する表彰
 
  6月29日(水)、校庭で中学校の全校朝礼を行ないました。本校では夏服に衣替えするのに合わせて、半袖シャツにバッヂをつけることになっていますが、毎日の指導にもかかわらず、徹底できていないのが現状です。そこで、本日はバッヂをつける意義について次のような話をしました。
  〝皆さん、おはようございます。今日も厳しい暑さになりそうですが、大地震の被災地では今もなお避難所生活を送っておられる方もいます。また、私の友人で、インドのムンバイで生活をしている人がいますが、気温が40℃を超える暑さの中で、ほとんどの人がエアコンのない生活をしているとのことです。私達は恵まれた生活をしていることに感謝しなければならないと思います。今日は“何故皆さんにバッヂをつけることをお願いしているか”についてお話します。
  現在多くの会社ではセキュリティ保護のために、さまざまな方法を取り入れています。企業には、新製品の開発や顧客情報、製造ノウハウ等、他社に知られてはいけないものがたくさんあります。つまり企業の秘密情報を守るということが必要です。また、安全性を確保しなければなりません。そのために、多くの企業では、近年入出門の管理を徹底するようになってきました。誰かに面会する場合でも、時間が指定され、その時間前に受付に行き、連絡してもらって、その人が出迎えてくれて、やっと会うことができるのです。しかし、事務所の中に入ることは、なかなかできません。事務所の中に入るためには、必ずその人と一緒に暗証番号や生体認証を使わなければなりません。当然のことながら、約束の時間に遅れるようなことがあると、どのような理由があっても面会できないということになります。
  また、勤務している会社で他の部署に出張する際には、社章(バッヂ)と身分証明書が必要であり、社章がなければ入門することができません。そして、社章を紛失すれば、必ず紛失届けを提出しなければなりません。これが2回、3回になると“退職”という厳しい措置をとる企業もあります。勿論紛失したからと言って、簡単に購入する訳にはいきません。社章には、1つずつ番号が入っており、人事部が個別に管理しています。退職する際には、返却が義務づけられています。このように、企業は厳しい入出門管理をしているのです。
  一方、学校においては、企業ほど厳しい入出門管理を行なっているところはありません。本校ではガードマンが立ち、監視カメラを設置し、保護者や業者、訪問者の方には入門証を掲示していただくことになっています。また、先生も常に写真入りの個人カードをつけることになっています。皆さんがバッヂをつけずに登校してきても、入門を拒否することはありませんが、このようなルールをしっかりと身につけておくことが、将来社会で役立つことになるのです。朝、家を出る時には必ずバッヂの確認をするように心がけてください。〟

2011年06月28日

スロー・フードの薦め

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  戦後、米と魚と野菜が中心になっていた日本人の食生活は大きく変化しました。朝食は主に白米に味噌汁、漬物、納豆、梅干であり、夕食はこれに魚と野菜が加わるといったものが一般的でしたが、最近は手軽であるということもあって、朝はパン食の人も増えてきているようです。そして、夜は畜産物と油脂を大量に使った食事に変わってきました。また、多くの外食チェーン店が誕生してきた結果、外で食事をする機会も多くなってきました。そして、ハンバーガーやフライド・チキン、フライド・ポテト、ピザ、スパゲッティー、サンドウィッチ、菓子パン、スナック菓子、インスタント・スープ・カップ麺等のファースト・フードが手軽に入手できるようになりました。このため、子ども達も間食として口にすることが増えてきていますが、これらは概して高脂肪で塩分も多く、健康に良い食べ物だとは言えません。また、柔らかくてあまり噛む必要もないので、どうしても過食になりがちです。また、この結果、少ない食品で食事を済ませてしまうということになってしまいます。
  しかし、毎日の〝食〟は〝睡眠〟と共に極めて重要であり、長期間にわたる乱れた食生活のつけは、徐々に身体を蝕むことになります。今、社会的にも問題になっているのは、年々若年化してくる肥満や生活習慣病への対策ですが、単にカロリーを減らすという単純な考えでは十分な効果をあげることはできません。これらを防ぐためには、品目を増やし栄養のバランスのとれた食事を摂るということが大切です。
  健康のための理想的な食事は〝1日に30品目以上の食材を摂ること〟であると言われています。料理を作る時間があまりないという声も聞きますが、保存食をまとめて作る等の工夫により、できるだけスロー・フードの食事を摂るようにしたいものです。

2011年06月27日

食の重要性についての認識を高める

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  人間が生きていくための基本である食の重要性について理解しておかなくてならないことは数多くありますが、個人、国、世界レベルでの課題を三つあげたいと思います。
  一つ目は「個人レベルでの健康」に関する問題点です。本校においては〝将来社会で役立つ人材の育成〟を教育方針に掲げていますが、社会で活躍するためには「健康である」ということが大前提です。しかし、案外この当たり前のことが解っていないと思われるケースが散見されます。多少無理をしても若い時には何とか乗り切ることができます。また、日常生活に支障をきたしていない場合には、ついつい健康や食物に対しても無頓着になっているケースが散見されます。そして、病気になって初めて健康の有難さに気づくのです。私もこれまで民間企業での勤務を通じて、優れた能力を有しながら健康を害して十分な活躍ができなかったという人を何人も見てきました。健康管理のポイントは〝睡眠〟〝食事〟〝運動〟であると言われていますが、とりわけ1日3回の食事に気をつけている人とおろそかにしている人とでは、長い間には健康面で随分大きな差になってくると思います。
  二つ目は「国レベルでの医療費」に関する問題点です。2010年11月に厚生労働省が発表した医療費の総額は過去最高の34兆8084億円で、国民一人当たり27万円2600円という数字になりました。これは、1か月に直すと一人2万円強という金額になります。そして、高齢化に伴い、この医療費は年々増加してきており、国家財政を圧迫するという深刻な事態を招きつつあります。
  三つ目は「地球レベルでの環境」に関する問題点です。日本の食料自給率は40%しかなく、海外から大量の食料を輸入していますが、これに伴う船や飛行機のエネルギー消費量や輸送費は膨大な金額になっています。また、これにより生産国において大量の水や肥料を使い、二酸化炭素を発生させているのです。
  このような問題を解消し、健康を維持し、医療費を下げ、地球環境を守るということが大切です。最近、「食の西洋化」が急速に進み、若い人を中心にパンや牛乳が主体になっているようですが、これは三つの問題点を解決する方向に逆行しているのです。食育月間にあたって、今一度、日常の食生活を見直していくことが必要であると思っています。

2011年06月26日

わが家の恒例行事

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  6月26日(日)、奈良の月ヶ瀬で梅の実を採取してきました。梅の名所と言えば和歌山県南部市が有名ですが、月ヶ瀬にも多くの梅林があり、開花の季節には多くの観光客が訪れています。また、近年、温泉が発見されたということで、ゆっくりとお湯につかり、帰りには新鮮な野菜を購入するという人も増えてきているようです。この月ヶ瀬では観光協会が窓口になって「梅の木のオーナー制度」を行なっており、近畿各地の多くの方が加入されています。
  わが家でも、この制度を利用して既に20年近く、梅を使った保存食づくりを行なっていますが、このきっかけは海外での生活において、梅干が胃腸を整えるために大いに役立ったという経験があったからです。代表的なものは梅酒と梅干ですが、この他にも梅味噌、梅酢、梅醤油、梅シロップ等があります。
  本日は,丸一日がかりで、これらを作りました。わが家の梅干は10%の減塩にしていますが、塩は精製塩ではなく天然塩を使うことにしています。そして、塩分が少ない分、ホワイトリカーを使って、カビを防ぐようにしています。また、梅酒はホワイトリカー、ブランデー、日本酒と3種類のものを作っています。皆さんにお奨めしたいのは梅味噌です。味噌の中に、梅と氷砂糖(1:1:1)を入れておくだけですが、一月くらいでドレッシング等として美味しくいただけるようになります。
  この時期にはスーパーでも青梅が販売されており、梅酒を作られる家庭は多いようですが、梅干はカビがはえるからとか、面倒だからという理由で敬遠されているようです。しかし、梅干は日本人の智恵が生かされた世界に誇れる健康食品なのです。市販されている梅干には、ほとんど例外なく食品添加剤が使用されています。一度自家製の無添加梅干づくりに挑戦してみてください。

2011年06月25日

中学2年保護者懇談会の開催

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  6月25日(土)午後1時半から中学2年の保護者懇談会が開催され、多くの保護者の皆さんが参加されました。
  本日は、別の予定が入っていたため十分な時間は取れませんでしたが、保護者の皆さんにはレジュメをお渡しし、社会で役立つ力を育てるというテーマでお話しました。
  新しい学期が始まって、ほぼ3ヵ月が経過しようとしていますが、生徒達は元気に学校生活を送っており、クラスとしてのまとまりも出てきているようです。その反面、中学生活にも慣れた2年生のこの時期にはどうしても〝中だるみ〟という現象が生じやすくなります。中高一貫校の良いところは、6年間を通じて体系的な学習が可能になることですが、反面、高校入試という関門がないということもあって、生活習慣が乱れるということになりがちなのです。これは中高一貫校の共通の悩みであり、これを解決すれば生徒達の大きな成長が期待できると思います。中だるみを解消するのは、しっかりした習慣づくりしかありません。そして、これが将来社会に出た時に役立つ力になるのです。このように考えると、まさに中学・高校時代は、単に学力を修得するだけではなく心身共に人生における基礎をつくる時期なのです。
  私は常々〝学校は社会で役立つ力を育てるトレーニングの場である〟と言っていますが、良い習慣づくりにはご家庭の協力が不可欠です。是非、当たり前のこと、簡単なことをおろそかにしないという「凡事徹底」の姿勢を身につけていって欲しいものです。間もなく一学期の期末考査も始まりますが、直前になって慌てることのないようできるだけ早く準備に入って欲しいと思います。そして、一学期が終了すると、7月末には大山への林間学舎に出かけることになります。
  これから生徒達が色々な面で逞しく成長していってくれることを願っています。

2011年06月24日

兵庫県私学新任教員研修会の開催

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  6月24日(金)、本校において、平成23年度兵庫県私立中学・高等学校新任教員研修会が開催され、新任の先生をはじめ、指導助言の校長先生、事務局のメンバー合わせて、約100名が来校されました。この研修会は毎年この時期に、兵庫県の私学の持ち回りで開催されています。冒頭主催校を代表して次の趣旨の挨拶を行ないました。

〝皆さん、おはようございます。
本日はようこそ、雲雀丘学園にお越しくださいました。丁度本校に赴任して6年目になりますが、実は10年前までは、松下電器(現在のパナソニック)という会社で勤務していました。新しい商品をつくったり、販売したり、海外でも勤務していました。そして、生産を増やす、販売を増やす、利益をあげることに全力を挙げて取り組んできました。成果が数字という形ではっきりと出るため、販売や利益を達成した時は本当に充実感があります。その私が全く畑違いの教育という仕事につくことになりました。
  それから10年間、実際に教育現場で勤務させていただき、教育をめぐる課題や皆さんのご苦労も解るようになってきました。一口で言うと、この教育という仕事は、企業の勤務では味わえない実にやりがいのある仕事であると感じています。私達は将来の日本を背負って立つ人材を育てるという使命を持っています。そして、一人ひとりの生徒の人生を預かっています。是非、お互いに高い志を持って取り組んでいきたいものです。
 これまでの民間企業での経験からあえて皆さんにお話しておきたいことがあります。それは社会の動きをしっかりととらえておいて欲しいということです。これができていないと、「社会の常識は学校の非常識」、逆に「学校では当たり前のことが社会の非常識」になることが多いと思います。とりわけ、私学の場合には転勤がありません。日々の仕事に忙殺されていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。常に外部に目を向けていって欲しいと思っています。
  本日は、多くの学校から新任の教員の方がお越しになっています。どうかコミュニケーションの輪を広げて、色々なことを勉強していただきますようお願いします。〟
  
  続いて、全体のスケジュールの説明の後、早速本校教員による研究授業と教科別研修会を行ないました。そして、昼食を挟んで、交流会と校舎見学会を行ないました。参加者は他校のさまざまな人達との意見交換を通じて、多くのことを学んでくれたのではないかと思います。また、私の伝えたいことはメモで皆さんのお手許にお届けしましたが、私学の場合は、公立と比較すると体系だった初任者研修のシステムが確立されていません。生徒の育成のためには、教員の資質向上をはかっていくことが何よりも大切であり、これから教員育成のためのシステムを充実させていく必要があると感じています。

2011年06月23日

食育月間の目的

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  6月は「環境月間」と共に「食育月間」になっており、内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省等の関係府省が協力しつつ、地方公共団体等に対しても参加を呼びかけ、全国的な食育推進運動を展開しています。この狙いは国民の食生活における様々な課題に対応し、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成をはかるというものです。大きく次の4つのテーマが取り上げられていますが、この内容については あまり知られていないようなので紹介します。
  一つ目は〝食を通じてコミュニケーションをはかる〟。食を楽しみながら食事の作法・マナー、食文化を含む望ましい食習慣や知識を習得することが大切です。このためには、家で家族が一緒に食卓につき、食を通じたコミュニケーションを促進することが最も有効ですが、バラバラに食事をしているケースが多いようです。特に子どもの「個食」や「孤食」は極力避けて欲しいものです。
  二つ目は〝バランスの取れた食事を摂る〟。日本では戦後、急速に食の西洋化が進んできました。また、手軽さという点で、さまざまなファーストフードが普及してきました。その結果、生活習慣病が増加し、ひいては医療費の増加にも繋がってきています。栄養バランスの優れた「日本型食生活」を見直すことが大切になってきています。
  三つ目は〝望ましい生活リズムを身につける〟。特に、「早寝」「早起き」「朝ごはん」の実践により、幼少の頃からの基本的な生活習慣の習得が必要です。
  四つ目は〝食を大切にする気持ちを養う〟。現在、本校においても機会ある毎に訴え続けていますが、食前食後の挨拶の習慣化、環境への配慮、我が国の食料問題等に関する理解、自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動への感謝の念と理解を深めることが大切です。
  
  動物は生きていくために餌をとりますが、人間の食事というのは単に命を維持するだけではありません。食育に関しては、ご家庭の協力が不可欠ですが、本校では、ほとんどの生徒が朝食をしっかりと摂り、愛情のこもったお弁当を持参してきているようです。この食育月間を通じて、食というものの大切さについて、深く考えていきたいと思っています。

≪参考≫食育月間について
  平成17年6月に成立した食育基本法を踏まえて、平成18年3月31日に政府の食育推進会議において『食育推進基本計画』が決定されました。そして、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月が「食育月間」と定められています。

2011年06月22日

高校全校朝礼~環境活動への取組み

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  6月22日(水)、体育館で高校の全校朝礼を行ない、クラブ表彰に続いて次のような話をしました。

〝今週月曜日に、ダイヤモンド社から、全国の1567の大学進学率が伸びている学校が紹介されましたが、この表紙には本校の生徒達の様子が取り上げられました。全国では多くの学校が取材を受けたようですが、校庭が芝生化され、生徒達が元気でイキイキと学校生活を送っているということで、数多くの学校の中から本校が選ばれたのだと思います。

  本校のビジョンは、創立の精神である《親孝行な人は立派になれる》という「孝道」をベースに、将来社会で役立つ人材を育てるというものです。そして、「人間力」と「学力」を両立させた関西を代表する学校を目指しています。大学進学だけを取り上げると、雲雀丘学園より上の学校は数多くありますが、人間力を含めると、関西を代表する学校になりつつあると思います。

  本校では、この数年来、環境活動を人間力育成の柱として取り組んできています。これは環境に配慮することは、人に対する優しさや真心を育てることにつながるという理由からです。

  さて、この6月は環境月間です。環境についての切り口は色々ありますが、とりわけ“食料”、“水”、“エネルギー”の三つが重要です。そして、環境活動の基本は、単に環境に対する知識を習得するということではなく、身近なことから行動に移すということです。言い換えると環境活動のポイントは「学び」、「調べ」、「考え」、「行動する」ことなのです。太陽光パネルを設置した、校庭の芝生化をはかった、LED照明を取り入れた、ということが、環境活動のメインではありません。
      ○ 無駄な電気(照明)は消す
      ○ エアコンの温度設定を上げる
      ○ 水を流しっ放しにしない
      ○ 落ちているゴミを拾う、そしてキッチリ分別する
といったあたり前のことを実践することが大切です。これから、学校全体で環境活動に取り組んでいきましょう。そして、関西を代表する素晴らしい学園を目指していきましょう。〟

  この後、生徒会長からも「全校を挙げて環境活動に取り組んでいきたい。ついては、各クラスから具体的な環境活動に対する提案をお願いしたい」との話しがありました。生徒達が、自主的に活動してくれることを期待しています。

2011年06月21日

研究授業~野中兼山を知る~

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  本校では『授業を磨く』を合言葉に、「相互授業参観」「研究授業」「授業アンケート」等さまざまな取り組みを行なっています。先週からは相互授業参観旬間になっており、私もスケジュールを調整しながら先生方の授業を見学しています。
  先日は、野中兼山のエピソードを教材にした国語科の漢文の研究授業が行なわれました。このエピソードというのは、野中兼山が江戸の土産に「ハマグリ」や「アサリ」を船に一艘分、積んで土佐に帰ってきたが、それを全部、海に投げ捨ててしまい、驚く人々に 「これは諸君への、お土産ではない。諸君の子々孫々までの土産なのだ。」と言い切ったというものです。そして、それ以来、土佐湾は「ハマグリ」や「アサリ」の海産物で潤ったと言われています。
  この授業の後で、〝野中兼山〟について質問すると、ほとんどの生徒から知らないという答えが返ってきました。私は以前、四国で勤務していた関係で、江戸時代に土佐に野中兼山という素晴らしい人物がいたということを知っていましたので、本日は野中兼山という人物について紹介します。
  野中兼山は、元和元年(1615年)の生まれで、祖父の妻は、藩主・山内一豊の妹ですから藩主の山内家とは縁続きの家柄です。慶長6(1601)年に山内一豊が土佐藩に移封になったとき、兼山の父は、5000石の扶持を与えられる大身の侍でした。ところが、一豊が約束した昇給が、殿さま(一豊)の死後に反故にされたことに腹を立てて、土佐藩を去って浪人になってしまいます。そして、大阪で商家の娘を嫁にもらうのですが、その父も若くしてこの世を去ってしまいました。そのため、母は夫の親戚を頼り、兼山を連れて土佐に帰ってきました。その後、野中兼山は土佐藩の家老職として総奉行に就くことになりますが、その時は土佐の上士(山内家譜代の武士)と郷士(旧、長宗我部家)の対立が極限に達していた頃でした。それから彼はこの総奉行を30年間勤め、藩内の揉め事を一掃してしまいます。主な功績を挙げると、〝上士〟たちには藩の上級武士として高位を与え、〝郷士〟たちの身分は低く据えおく代わりに、未開の土地の開墾を命じることにより「上士」と「郷士」の対立を解消しました。また、植林や間伐の計画化を実施し、土佐の山林を守り、米価についても、「公定価格制度」を導入することで、米価を常時安定させ、農民たちを手厚く保護しました。このため、台風のメッカともいえる土佐にもかかわらず、江戸時代を通じて飢饉の記録はありません。更に、室戸に海面上11㍍余の高さの「波止めの堤防」を築き上げたのです。当時の人々は、「何で、こんな高い堤防がいるのか」と工事を嫌がったそうですが、この堤防のおかげで、戦後多数の死者を出した最大瞬間風速60㍍超の「室戸台風」でも子孫の命が助かったのです。 
  彼は、晩年悲運の人生を送ることになりますが、一時の人気取りや、目先の利害ではなく、常に「百年の計」を考えて行動したのです。まさに、彼こそが本当の指導者であると言えるのではないかと思います。自分の利害を優先している現在の日本の政治家には、是非彼の姿勢を学んで欲しいものです。

2011年06月20日

中高一貫校・高校ランキング

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平成23年6月25日号 週刊ダイヤモンドより

  6月20日(月)、週刊ダイヤモンドから『中高一貫校・高校ランキング』に関する特大号(6月25日号)が発売されました。この特集は、大学生の就職難が社会問題化する不安の時代にあって、「中学・高校時代から少しでも良い大学に行けるような、子どもの将来に役立つ教育を」と考える親が増えていることから、全国の高校の上位1567校をランキングしたものです。
  この中で、本校も国公立大学100校合格力・難関大学合格力という点でランクアップされました。これに先立ち、ダイヤモンド社から2週間前に取材がありました。そして、生徒達の学校生活の様子を見ていただいた後、本校の学校改革の取り組みや難関大学への入学が最終目的ではなく、最終的には本校の創立の精神である『社会で役立つ人材を育てる』ことを目指して教育活動を行なっていることをお話しました。本号では、これらをコンパクトにまとめていただくと共に、芝生化されたグランドでの生徒達の写真を表紙に掲載していただきました。
  本校では、現在、学校改革の成果が少しずつ現れてきていますが、まだまだ多くの課題があり、満足すべき状態ではありません。これからも他校の優れた点を素直に学び、引き続いて新たな取り組みにチャレンジいきたいと思っています。

2011年06月19日

野菜作りに挑戦

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サツマイモの苗の植え付け

本校では環境教育の一環として、野菜作りに取り組んでいます。既に、新校舎前に植えていたタマネギやイチゴの収穫を行ないました。現在はゴールデン・ウィーク明けに、サントリーから提供していただいたトマトの苗を食堂前の畑に植え、日々大切に育てています。先日、ワキ芽かきを行ないましたが、6月に入ってからは急速に成長し、たくさんの花をつけ始めています。このまま順調に育っていけば、間もなくトマトの実の収穫もできそうです。
  また、この度、中学1年生が技術家庭の授業で、学園グランドにあるテニスコート横の畑を利用して、サツマイモの苗の植え付けをしました。5月中旬から6月初旬が丁度植え付け時期にあたりますが、約半年で収穫できるまでに成長します。サツマイモは比較的痩せた土地でも栽培でき、しかも連作が可能です。そのため、日本でも広い地域で栽培されており、数々の品種があります。水やりは欠かせませんが、10月~11月には収穫したサツマイモを調理をして、みんなでいただく予定です。
  更に、本日(19日)は環境大使のメンバーが、三田で先日の田植えに引き続いて大豆の種まきを行なうとの報告を受けています。このように、生徒達は色々な野菜作りに挑戦しています。今月は『環境月間』ですが、同時に『食育月間』でもあります。是非、このような野菜作りの体験を通じて食に対する関心を高めて欲しいと思っています。

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          収穫した玉ねぎ            いちごも実をつけています
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2011年06月18日

中学1年・高校1年の学年懇談会の開催

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    高1懇談会(講堂にて)          中1 懇談会(食堂にて)

  6月18日(土)午後、中学1年生と高校1年生の学年懇談会が開催されました。本日は土曜日ということもあって、中1・高1共160名を超える多くの保護者の方にご出席いただきました。本校では、毎年この時期に、それぞれの学年毎に保護者の方に学校生活の様子を報告させていただき、家庭としての指導をお願いすることにしています。特に、中学1年生と高校1年生にとっては、これまでとは環境が大きく変わるため、順調に学校生活がスタートできているかどうかを注視し、問題があれば早急に手を打っておかなくてはなりません。
  入学後2カ月半が経過し、オリエンテーション合宿や体育大会等の学校行事も終了し、クラスとしてのまとまりも出てきており、現時点では、特に大きな問題はないように感じています。しかし、個々に見るとしっかりした習慣が身についていないといったケースも散見されます。そのため、本日は少し時間をいただいて、『社会で役立つ人材を育てる~共育と共学~』というテーマでお話しをしました。
  特に、これから高校1年生については、将来の進路を考えていかなければなりません。まだ将来目標が明確になっていない人が多いと思いますが、就職をめぐる環境は〝超氷河期〟と言われているように、非常に厳しい状況になることが予想されます。本校の生徒はほとんど全員が大学に進学しますが、単に有名大学ということではなく、将来の進路を考えて、学部・学科を選ぶことが大切になってきます。いつも話していることですが、大学に進学することが最終目的ではありません。今、社会は大きく変化してきており、新しい仕事やシステムが続々と生まれてきています。よく家庭においては、「勉強しなさい。勉強しなければ良い大学に行けないよ。」という言葉が出がちですが、是非、本人の適性・興味・関心や将来の仕事について色々と話し合っていただきたいと思っています。


2011年06月17日

人口爆発の脅威

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  世界の人口の変遷を人類の誕生の時点から見ていくと、18世紀後半から現在にいたるまでの200年間は、人類が直立歩行を始めてからの気の遠くなるほど長い期間の部分とは全く異なるパターンになっています。
  『不都合な真実』の中には「人口増加の歴史」について次のような記述があります。人類という種が初めて、登場したのは16万年~19万年前であり根その頃からイエス・キリストやジュリアス・シーザーの時代までに世界の人口は2億5千万人まで増加した。その後、緩やかに増加し続け、1776年には10億人に到達した。そして、1900年には17億人、第二次世界大戦の終わりには23億人に増加した。
  ところが、ここから人口が急増し、2000年には65億人に、2011年現在では69億人になっています。更に、これからもこの人口爆発は続き、年間に7000万人~8000万人が増加することが予想されています。このペースで人口が増え続けると、今世紀半ばの2050年には世界の人口は91億人に達することになります。そして、この増加は途上国に集中しており、これらの国では人々がより豊かな暮らしを求めて、経済活動を加速させてきています。このことが今、さまざまな環境問題を引き起こす原因になってきているのです。
  このままでは人間が生存していくために不可欠な食料や水やエネルギーが不足してくるのは目に見えています。生態系という視点から人口爆発という現象をとらまえていくことが必要であると思っています。

2011年06月16日

日本における肉食の歴史

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  北海道では大繁殖したエゾジカを駆除し、この肉を食用にするという『エゾシカ肉戦略商品開発支援事業』を推進しています。この事業は一口で言えば「環境保護」と「エゾシカ肉の販売」という一石二鳥を目指したものです。
  現在、わが国においては、通常スーパーやデパートで販売されているのは牛肉や豚肉、鶏肉であり、鹿肉にはあまり馴染みがないため、違和感を持つ人が多いと思いますが、鹿肉は実に魅力的な食材であると言われています。豚に比べてカロリーは3分の1、脂肪は10分の1と低く、その上高タンパクで鉄分やアミノ酸やミネラルも豊富で、フランス料理では〝ジビエ(狩猟による鳥獣肉)〟の代表格になっています。
  かつて、日本人がどのようなものを食べていたのかを調べると、興味深いことが分かります。縄文時代には狩猟採集の生活で猪や鹿、ハマグリ、牡蠣、胡桃、栃、どんぐり等が食されており、弥生時代になって農耕が始まってからも猪や鹿は犬と共に食べられていました。その後、飛鳥時代になって仏教の伝来に伴い肉食が廃れ、朝廷は殺生を固く禁じるようになり、天武天皇の時代には「肉食禁止令」が出されましたが、この中に猪や鹿は含まれていませんでした。また、戦国時代以降においては牛や馬は農家にとって重要な働き手であったため、食用にされることはあまりなかったようです。そして明治維新以降、牛鍋の流行につれて牛肉の消費が増加し始めたようです。
  世界に目を開くと、宗教上の理由でイスラム教徒は豚を食べませんし、ヒンズー教徒は牛を食べません。私も猪や鹿の肉を食べてみましたが、それぞれの料理に工夫が凝らされており、美味しくいただきました。現在、日本においてはアメリカやオーストラリアから大量に牛肉を輸入してきていますが、もう少し鹿や猪に目を向けても良いのではないかと思っています。

2011年06月15日

生態系と食物連鎖

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  今回の北海道の修学旅行においては、感響(環境)プログラムの中で、エゾシカやヒグマの生態について調べることになっていますが、この狙いはどのようにして生態系が成り立っているのかを理解することです。 このように「食う⇔食われる」という関係によって直線上に繋がっているものが〝食物連鎖〟と言われるもので、それぞれの生物の量的な関係が問題になります。自然界では食う方が多くなれば食われる方は少なくなりますが、食われる方が少なくなれば餌が減ることになり、最終的には食う方が少なくなります。このように自然界では「食う⇔食われる」という関係を通して生物の量的なバランスが保たれているのです。
  現在、北海道においては、エゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。主なものは牧草地の被害拡大、農業被害、交通事故や自動車事故等ですが、これは近年エゾシカが急増したことによるものです。そして、何よりも憂慮すべきは森林内の下草だけではなく天然林の稚樹にまで食害が及んできていることであり、この状態が続くと若木の成長が期待できず、数10年後には深刻な事態に陥ることが予想されます。
  かつて、エゾシカは食用として年間10万頭が捕獲されていましたが、このままでは絶滅の危機に瀕することになるという理由で、1888年に捕獲が禁止され、その後捕獲の解除と禁止が繰り返されてきました。エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため、年率20%くらいの割合で増加します。これは4年で約2倍になるという超ハイペースであり、最近の調査では、驚くべきことに全道で60万頭を超えるエゾシカが生息しているようです。
  現在、エゾシカによる被害を防ぐために、エゾジカの肉を〝食べて環境保全する〟等の対策が検討されていますが、このような事態を招くことになったのは単なる捕獲の禁止だけではありません。今回の修学旅行を通じて、しっかりとこの原因を学習し、生態系についての理解を深めておいて欲しいと思っています。

2011年06月14日

北海道修学旅行に出発

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  6月14日(火)朝、高校2年生が4泊5日の北海道への修学旅行に出発しました。本校では3年前から環境教育に取り組んでいますが、これを単独で実施するのではなく、修学旅行や校外学習と結びつけることにより、生徒達が「自ら学び考え行動する」ようにしています。この考え方に立って、中学1年生は『里山体験』、中学2年生は『大山での林間学舎』、中学3年生は『沖縄への修学旅行』、そして高校2年生は『北海道への修学旅行』を実施しています。
  この北海道修学旅行の狙いは〝生徒相互の理解と親睦および集団生活での自律と協調性を養う〟〝農業体験・自然体験を通じて、自然環境の尊さを学ぶ〟〝北海道の人々とふれあい、「新たな自分」を見つける〟ということですが、年々環境に関する内容の充実をはかってきています。
  今回は、千歳空港に到着後、最初にノーザン・ホース・パークでサイクリングやテニス、ランドカー、パワーゴルフ等を楽しみ、トマムで宿泊。翌日は選択の感響(環境)プログラムを通じて、森に学び生態系維持のための取り組みを知る。続いて、3日目はそれぞれの農家に分宿する形でファーム・ステイを行ないます。これは『ひばりスペシャル大地の学校』と呼ばれ、この行事のメインに位置づけられていますが、雄大な北海道の自然の中で、野菜の植え付けやトマトの芽かき、イチゴの収穫等通常の学校の授業では体験できない農作業を行なうことになっています。これによって、農家の人達とのさまざまな交流が生まれることになり、年々修学旅行後、学校に収穫した野菜を送っていただくというケースも増えてきています。そして、4日目は旭山動物園を見学し、札幌で宿泊。最終日にはそれぞれのコース毎に札幌や小樽の観光を行ない、8時過ぎに伊丹空港に到着するという予定になっています。
  修学旅行は高校時代の最大の行事であり、一人ひとりの生徒にとっても青春の忘れえぬ思い出になるのは間違いありません。短い期間ですが、北海道の大自然を思う存分満喫し、素晴らしい体験を積んできて欲しいと思っています。
  なお、今年も文化祭において、北海道物産展を開催し、現地直送の野菜や果物等の販売を行なう予定です。

2011年06月13日

環境月間にあたって~環境クイズ25問

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  今月は環境月間にあたっていますが、環境についてはまだまだ知らないことが多いようです。昨日の休みを利用して環境に関する25の項目を取り上げてクイズの形にしてみました。一度考えてみてください。

     1.現在の世界の人口はどれくらいですか?
     2.これから世界の人口は増えますか、減りますか?
     3.日本の総人口はどれくらいですか?
     4.日本の食料自給率と穀物の自給率はどれくらいですか?
     5.日本は水が不足していますか、足りていますか?
     6.地球全体の水の中で生活に使える水はどれくらいですか?
     7.日本人1人が1日に流している生活排水の量はどれくらいですか?
     8.それぞれの食料を生産するのにどれくらいの水が必要ですか?           
      (米、小麦、とうもろこし、鶏肉、豚肉、牛肉)
     9.日本は年間にどれくらいの食料を廃棄していますか?
    10.日本のエネルギー自給率はどれくらいですか?
    11.化石燃料(使うとなくなる資源)にはどのようなものがありますか?
    12.それぞれの化石燃料の使用可能年数はどれくらいですか?
    13.再生可能エネルギーにはどのようなものがありますか?
    14.日本の発電量の中で原子力発電のウェイトはどれくらいですか?
    15.日本には原子力発電所がいくつありますか?
    16.日本の温室効果ガスの排出量は世界何位ですか?
    17.温室効果ガスにはどのようなものがありますか?
    18.日本では一人当たり年間どれくらいのゴミを出していますか?
    19.日本国内で年間に消費される割り箸は何膳ですか?
    20.日本国内で年間に消費されるレジ袋は何枚ですか?
    21.日本国内で自動販売機はどれくらい設置されていますか?
      この一台あたりの電気使用量はどれくらいですか?
    22.日常生活において心がけたい「3R」・「5R」とは何ですか?
    23.一軒のコンビニの電気代はどれくらいですか?
    24.現在、1年間での絶滅種はどれくらいの数ですか?
      (100年前、1000年前、1万年前はどうですか?)
    25.家庭・職場・地域でどのような環境活動を行なっていますか?

2011年06月12日

節電について考える

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  現在、私達の日常生活においては照明、冷房、暖房、冷蔵、調理、給湯、AV、通信等に電気を使用してきています。また、メーカーの生産や商業施設、電車等の交通機関、オフィスについても大量の電気が必要です。このように、経済が発展し、生活が便利にかつ豊かになるにつれて、現代社会において電気はなくてはならないものになってきました。しかし、一旦、電気が止まってしまうと今の生活は壊滅的なダメージを受けてしまうことになります。これからは原発事故の影響で、電力不足が懸念されており、電力各社は節電の呼びかけを行なっていますが、すべての分野で対策を講じていかないと、大型停電といった状況は避けられません。これを防ぐには、電気の消費量を削減するか、他のエネルギー源で代替するしかありません。
  これまでの私達の家庭生活を振り返ると、電気の依存度は高まってきました。テレビやパソコン等の高度電化製品は電気でしか動きませんが、電気は冷暖房、調理、給湯、照明等熱や光を使用する単純なものにも使われています。かつて熱や光は電気以外のものを使っていたことを考えると、他のもので代替できるということになります。例えば、暖房はエアコンでなくても、薪を燃やす。同じようにお風呂やお湯も代替できます。電気はもともと燃やして得られた熱を電気にしているため、熱→電気→熱 と変換する時に無駄が多く生まれますし、送電段階でのロスも大きいのです。照明についても昼間太陽の光が降り注いでいるのに、部屋の窓の位置や採光が不十分で電気照明を使っているケースも多いのです。この対策として、日射を十分に活かすだけの住宅やビルの設計をしていれば、光も電気に丸々頼らなくて済むようになります。
  また、最近普及し始めている太陽光や風力発電、コージェネレーション等によって、自分の家庭で使用する電気を削減することも検討していかなければなりません。いずれにしても、これからは家庭での省エネを進めていくことが大切であると思っています。

2011年06月11日

石油に代わる代替エネルギー

1104sekiyu.jpg 化石燃料依存からの脱却

  20世紀は先進諸国を中心に工業化が大きく進展してきましたすが、これを支えてきたのは石油です。石油は油田を発見すれば比較的簡単に入手できるということもあって、石油メジャーが競って開発を行なってきました。そのため、一時は中近東地域などでは水よりも安価であるということさえ言われていました。ところが、近年、新興国の経済成長が加速され、石油の需給が逼迫するようになってきました。この結果、石油資源の争奪といった状況が生まれ、石油価格は高騰し、石油の枯渇といったことが現実の問題として生じてきています。石油は我々の日常生活やさまざまな産業にとって、非常に重要な位置づけにありますが、これからは石油に代わる代替エネルギーの開発が急務になってきています。
  このような状況下にあって、各国が注力してきているのが使いやすいエネルギーとしての電気です。電気の消費量は毎年着実に伸びてきていますが、このエネルギー源をどう確保してまかなっていくかは、どこの国にとっても重要な課題です。電力を得るにはさまざまな方法がありますが、各国の資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等によって大きく異なってきています。
  電気は、我々の日常生活にとって不可欠なものになってきていますが、さまざまな産業にとっても極めて重要な位置づけにあり、電力が不足すると深刻な経済活動の低下に陥ることになります。今回の原発事故によって、各国で〝脱原発〟の動きが出てきていますが、まさに日本においては、地球の温暖化を防止し、エネルギーを確保するための施策を早急に打ち出していくことが必要になってきているのです。

2011年06月10日

教育実習生に送る

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  6月10日(金)、本日で3週間の教育実習も終了しました。朝の職員朝礼で代表者から挨拶していただきましたが、この間全員が中身の濃いさまざまな経験をしたのではないかと思います。昔から〝経験が人をつくる〟と言われていますが、人間は経験をすることによって成長していくのは間違いありません。しかし、成長の大きさやスピードという点では個人差が出てきます。そして、この差がどうして生まれるのかと言うと「いかに反省するか」にかかっているのです。昨日に続いて、実習生に送った次の言葉を紹介します。

≪反省なきところ進歩なし≫
  〝社会で活躍されている人の共通点は、必ず日々の反省をされているということです。
このような話をすると、よく「忙しくて、その日その日の仕事をやるだけで精一杯で、とてもそのような時間は取れないから無理だ。」という答えが返ってきます。中には、「できない」とか「難しい」という言葉が条件反射的に出てくる人も見受けられます。しかし、1日が終わって1時間も2時間もかけて反省するということではありません。毎日5分間の反省で良いのです。そして、できれば忘れないようにメモ書きしておくことです。最近、昔に比べると日記をつける人も少なくなったようですが、そう堅苦しく考えずに、一行で反省点を書くということで良いと思います。〝一つでも良いから悪いと思うことは改める。そして良いと思うことはすぐにやる。〟ということが大切です。1週間とか1ヶ月まとめてやろうと思ってもなかなかできるものではありません。キイワードは 「毎日」 「一つずつ」 「すぐに」 という3つです。
わずか1日5分間ですが、1ヶ月では150分間、1年では1800分間、5年では9000分間になります。時間に直すと、1年で30時間、5年で150時間になります。
  私の経験から言っても、毎日5分間の反省が間違いなく人生を変えることになります。毎日、一つずつ改善しても、1年で365個、これを30年続けると1万個を超えることになります。まさに、日々の小さなことの積み重ねが月日の経過と共に大きな差となってくるのです。日常の生活においては、種々雑多な事柄が発生し、その対応に追われているうちに1日が終わり、1週間、1ヶ月が経ってしまいます。このような状態で日々の反省がないまま1年が終わってしまうと、今年も忙しく過ぎてしまったという感想だけが残ることになります。この繰り返しでは、人間として成長することは難しいと思います。
  特に、学校現場では年間の教育活動スケジュールが定例化しており前年踏襲型になっています。また、私学の場合には、どうしても人材交流が少ないためともするとマンネリ化に陥ってしまいます。
  皆さんはどんなに忙しくても、一日の反省をしっかりとやる習慣を是非身につけていただきたいものです。そうすれば長い間には必ず大きな差になってくると思います。〟

2011年06月09日

教育実習生の授業を参観して

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  6月9日(木)、教育実習も残り2日になりましたが、実習生はそれぞれ自分の担当教科の授業を行なっています。私も来客や打ち合わせのスケジュールの合間を塗って、いくつかの授業見学をさせていただきました。まだまだ教え方や板書の仕方、関連知識等の改善する点は多々ありますが、懸命に授業に取り組む姿には好感が持てました。〝教えることは学ぶこと〟という言葉がありますが、これからも必死になって努力していくことが大切であると思います。そして、教師の使命は何かということをしっかりと考える、言い換えると「確固たる人生観」を持ち、毎日毎日懸命に努力し、真剣に生きることを心がけて欲しいと思っています。先日に続いて教育実習生に送った言葉を紹介します。

≪確固たる人生観を持つ≫
   「外観だけで人を判断してはいけない」ということは大切ですが、日々自己研鑽を積んでいる人は体つき、顔つき、物腰が違うというのも事実です。欧米では肥満や喫煙する人は経営者として不適格という烙印を押されます。「自制心が弱い」人に経営は任せられないというのが理由です。またリンカーン大統領はある人を見て「顔が悪いから」という理由で重要な仕事を任せませんでした。健康的な規則正しい生活をしている人と逆にすさんだ生活をしている人の差は、顔の表情や体つきとなって現れてきます。
  社会で役立つ力は、単なる知識ではありません。ゆるぎない志があって知識が知恵に変わってきます。一人では生きていけない人間にとって他人から協力してもらえるというのも素晴らしい力です。失敗を恐れずチャレンジしていくという姿勢も大切です。〝経験が人をつくる〟という言葉があるように、頭の中で考えるだけではなく、まず実践していくことです。そして最も重要なことは〝人間としてどういう人生を送るか〟というしっかりとした人生観や〝社会に対して貢献する〟という高邁な職業観を確立することだと思います。
  これから世の中は情報化とグローバル化が急速に進んできます。そして変化のスピードが極めて早いのが特徴です。これまでの強みがすぐに弱みになり、考え方によっては逆に弱みが強みになります。このような社会では最終学歴だけで将来が保障されるということはまずありません。常に変化に柔軟に対応できる力が必要になり、『一生勉強』『一生研鑚』していかなければなりません。誰でも一朝一夕で立派な人になれるわけではありません。ましてや点数を取るための一夜漬けの勉強も役に立ちません。
  皆さんには将来大輪の花を咲かせるたくさんの蕾があります。しっかりと目標を持って日々努力を傾注して欲しいと願っています。        

2011年06月08日

中学全校朝礼~感謝する気持ちを持つ

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  6月8日(水)、校庭の状態が良くないため、体育館で中学の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。
  〝6月6日はエコ弁当作りの日でしたが、私も皆さんと同じく、自分で弁当を作ってみました。この6月は環境月間であると同時に『食育月間』となっています。皆さんは食事の前に、手を合わせて「いただきます」と言っていると思いますが、この意味は「生物の命をいただいている」ということなのです。人間は魚や肉、お米等の命をいただいて、生態系の頂点として生きているのです。是非食べ物を大切にするようにしてください。
  さて、先日、今回の震災で被災した友人から電話が入り、無事だったことが分かりました。電話帳が流されてしまい、これまで連絡が取れなかったとのことです。第一声は「家族全員、命が助かって本当に良かった。今こうして生きていることを心から有難いと思っている。」というものでした。彼は約1か月間、避難所生活を送った後、東京で新しい生活を始めましたが、「最初水道の蛇口を捻って、水が出てくることに感動した。そして、温かいご飯を口にし、お風呂にゆっくり浸かって、髭(ひげ)をそり、シャンプーできたことが本当に幸せだと感じた。今まで、あたり前のように思っていたすべてのことが感動であり、色々なことに感謝するという気持ちが湧いてきた。」としみじみと語ってくれました。
  私達は水、食料、電気やガスのある暮らしがあたり前のように思っていますが、世界の70億人の中で、このような暮らしができているのは約2割しかいません。中には生活に必要な水を得るために1時間も2時間もかけて、水汲みに行く人達も数多くいます。現在の日本で、私達は実に恵まれた生活をしていますが、この機会に今の生活態度を見直していくことが大切です。
  今年は、省エネ意識の高まりを受けて、グリーンカーテンを作るゴーヤの苗や扇風機、LED電球等が爆発的に売れているようですが、私達が環境保護のためにやれることは色々あると思います。本校は環境教育に注力してきていますが、大切なことは、単なる環境に関する知識を習得することではありません。学び、調べ、考え、行動することです。家庭でできることや学校でできることを話し合って、是非行動に移して欲しいと思っています。〟

2011年06月07日

実習生の皆さんに送る

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  教育実習生の実習も残り少なくなってきました。現在朝の登校指導から始まり、各クラスでのホームルームの運営や授業の進め方等について、色々な経験をしているようですが、毎日私の思いをまとめてお渡ししていますので、この内容を順次紹介したいと思います。

  ≪高志・自律・努力の実践≫
  21世紀に日本が避けて通れないトレンドとしては、情報化、グローバル化、少子高齢化、真の実力主義の浸透等があげられます。このうち少子高齢化というのは日本特有の課題ですが、残りの3つは世界共通の課題です。
  これから情報化とグローバル化がますます進展する中で、世界の人口は今後ますます増加し、食糧・水・エネルギー・資源の不足や地球環境・民族紛争等への対応が迫られています。また、わが国においては少子高齢化に伴う労働力人口の減少や団塊の世代の大量退職による技能・ノウハウの伝承等さまざまな課題が生じてきています。一方、ナノ・バイオ・エコ・インフォメーションに代表される急速な技術の進歩によって、社会のさまざまな分野において、新しい仕組みやシステムが続々と構築され、この結果今までなかった仕事が次々と生まれてきます。これらの仕事の達成には当然のことながら高い専門能力が必要になってきますが、それだけで十分かというとそうではありません。これらを正しく使いこなしていくための人間力が兼ね備わっていなければなりません。
  これからの社会が求める人材は、自己の利益や名誉・名声を優先するのではなく、世の中に貢献するという高い志に根ざした夢や目標に向かってたゆまぬ努力を続けると共に、日々素直に反省し常に自分自身を厳しく律していくことのできる〝骨太のリーダー〟です。言い換えると、社会観や倫理観、人生観、職業観といった人間としての基盤が確立しているということであり、これらは木に例えると〝根っ子〟にあたるものです。枝葉である専門能力や技能は時代と共に陳腐化するため、常に再生が必要ですが、根っ子がしっかりしている限り、次第に幹は太くなり枝葉は繁ってきます。
  雲雀丘学園中学・高校の校是は「高志」「自律」「努力」ですが、これらはまさに社会で役立つ力の核となるものです。教職を目指す皆さんも是非、将来の日本を背負って立つ人(財)材を育てるという高い志を持ち、日々たゆまぬ努力を続け、素直に反省しつつ自分を律するという姿勢を貫いて欲しいものです。 
                                 

2011年06月06日

エコ弁当作りの日にあたって

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          Myエコ弁当               図書室でもお弁当の本を紹介
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                    生徒達のエコ弁当

  本日、6月6日(月)は『エコ弁当作りの日』です。随分前から家庭科や担任の先生を通じて、連絡していたこともあって、生徒達はそれぞれ工夫を凝らして、自分なりの弁当を作ってきました。そして、それぞれのクラスにおいてもエコ弁当のことが色々と話題に上ったようです。何人かの生徒達に質問すると「今日は朝早くから〝肉じゃが〟を作りました」「お母さんに手伝ってもらって卵焼きを作りました」「家で育てているタマネギを使いました」「冷蔵庫にある食材を活用しました」「昨日は安い国産の肉を求めて、スーパーを回りました」「国産の品物を探すのに苦労しました」等さまざまな返事が返ってきました。食堂の責任者に聞くと、本日の販売はカレーライスやうどんの限定メニューの約20食だったとのことで、ほとんどの生徒が弁当を持ってきたようです。
  私も昨日準備した食材を使ったエコ弁当を持参しました。小豆入りの玄米ご飯、自家製梅干、ミツバのおしたし、ふきとシイタケの佃煮、山ウド・さやえんどう・タマネギのかき揚げ、ミニ・トマト、貝柱のてんぷら、高野豆腐、鯖の焼き物と、すべて自家栽培したものや国産の食材です。手間がかかるようですが、休日にまとめて作っておくと、案外簡単に詰め合わせることができます。
  この6月は環境月間であると同時に「食育推進基本計画」により定められた『食育月間』でもあります。また、内閣府においては毎月19日を『食育の日』に制定し、環境が大きく変化する中にあって、子どもたちが健全な心と身体を培い、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らせるようにすることを提唱しています。
  何と言っても〝食〟は人間が生きていく上での基本です。これからは、家庭においても学校においても、食に対する関心を高めていきたいと思っています。

2011年06月05日

環境活動の実践~エコ弁当作り

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  明日、6月6日は『エコ弁当作りの日』になっています。この趣旨は、できるだけ地元で作られた食材を使った食事をしようという〝地産地消(Local Production for Local Consumption)〟の推進です。
  毎年、この日は自分自身でお弁当を作ってくる生徒も多いようですが、私もエコ弁当に挑戦するため、本日はしっかりと食材の確保に努めました。まず、自宅の庭に自生している三つ葉を採取し、次に自家栽培のサヤエンドウ、ねぎ、アスパラガス、タマネギ、山ウドを収穫しました。ご飯は知り合いの農家から分けていただいている玄米に国産小豆を加えたもの、これに同じく親戚からいただいたシイタケと庭で採れたフキで作った佃煮と自家製の梅干です。そして、三つ葉は胡麻和えに、山ウドは天ぷらに、サヤエンドウとタマネギとアスパラはかき揚げにしました。これで、明日のエコ弁当のおかずはほとんど揃いました。
  現在、トマト、茄子、シシトウ、ゴーヤ、ミョウガが次第に大きくなりはじめています。このまま順調に育ってくれれば、今年の夏はかなりの食材が確保できそうです。また、少し手を加えれば梅干やラッキョウも簡単に作ることができます。是非、皆さんも挑戦してみてください。
  昔のように農産物や食品の輸送手段や保存技術が発達していなかった頃には、生産物をその地域で食べ、消費するのは当たり前のことだったように思います。しかし、食生活の西欧化や経済成長、都市化、海外からの食材輸入の増大等、社会情勢や構造の変化に伴い、今は他の地域で生産されたものを消費するということが当たり前になってきました。地産地消は環境負荷の軽減や食の安全性、食料自給率の向上といったさまざまなメリットがあります。エコ弁当作りを通じて、食への関心を高めていきたいものです。

2011年06月04日

平成23年度ユーデック主催の学校見学会

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  6月4日(土)、ユーデック主催の学校見学会が開催され、約80名の保護者・児童が参加されました。冒頭、60(ろくまる)記念ホールにおいて、私は次のような趣旨の話をしました。

  〝最初に皆さんに質問してみたいと思います。「世界の中で日本は恵まれているか?」「日本の将来は明るいか、暗いか?」ほとんどの人が日本は恵まれているが、将来は暗いと思っておられるようですね。確かに、現在の日本は多くの課題を抱えていますが、さまざまな可能性を持っており、これからやり方次第では大いに発展が期待できると思います。
  ところで、明日6月5日は世界中で環境について考えようという『世界環境デー』ですが、日本でも『環境の日』」ということになっています。本校においてもこの6月は環境月間として色々な活動を行なうことになっていますので、今日は環境というテーマでお話しします。
  世界の人口は、この200年少しの間に急増してきました。現在、世界の人口は70億人ですが、40年後には90億人を超えることになりそうです。この結果、人間が生きていくために必要な食料、水、エネルギーが足りなくなってきます。今世界には電気もガスも水道もない生活を送っている人、また食べ物や深刻な水不足に悩んでいる人が非常に多いのです。
  これは牛丼の写真ですが、これを作るのには何と2000リットルの水が使われています。何故なら米1キロを作るには3.6トン、牛肉1キロには20トンの水が必要なのです。是非、皆さんは食べ物や水を大切にしてください。世界には勉強したくても出来ない、学校に行きたくても行けない子ども達がたくさんいます。また、日本でも今回の大震災で多くの尊い命が失われ、3カ月経った今も多くの人が不便な避難所生活を送っておられます。
  ところで、皆さんは何のために勉強するのですか?学校に行くのは何故ですか?大学に行くことが最終の目標ではありません。人間は助け合って生きています。困っている人達を助けてあげる、生活を豊かにしてあげるという気持ちが大切であり、そのための仕事はいくらでもあります。
  雲雀丘学園は『将来社会で役立つ人を育てる』ということを教育方針にしています。どうか皆さんはしっかりと勉強して是非社会で役立つ人になって欲しいと思っています。〟
 
  続いて、入試広報部長から現状の取り組みや入試に関する説明を行なった後、校舎見学をしていただきました。中学入試は親の入試と言われていますが、学校選びにあたっては、是非学校に足を運び、子どもさんに合う学校であるかどうかをご自身の目で確かめていただきたいと思っています。
本校ではいつでも学校見学の受け入れや入試相談を行なっていますので、事前に連絡いただきご来校ください。

  

2011年06月03日

今なぜ食育なのか

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   高校校舎横で収穫したタマネギ         地産地消(食堂のメニューに)

  先日も中学・高校の新入生を対象に食育講座を実施しましたが、人間が生きていくための基本である食の重要性について理解しておかなくてならないことが三つあると思います。
  一つ目は「個人」に関する問題です。本校においては〝将来社会で役立つ人材の育成〟を教育方針に掲げていますが、社会で活躍するためには「健康」ということが大前提です。しかし、案外この当たり前のことが解っていないと思われるケースが散見されます。そして、病気になって初めて健康の有難さに気づくのです。私もこれまで民間企業での勤務を通じて、優れた能力を有しながら健康を害して十分な働きができなかったという人を何人も見てきました。健康管理のポイントは〝睡眠〟〝食事〟〝運動〟であると言われていますが、とりわけ1日3回の食事に気をつけている人とおろそかにしている人とでは、長い間には健康面で随分大きな差になってくると思われます。
  二つ目は「医療費」に関する問題点です。2010年11月に厚生労働省が発表した医療費の総額は実に34兆8084億円で、国民一人当たり27万円2600円という数字になります。1か月に直すと一人2万円強ということです。そして、高齢化に伴い、この医療費は年々増加してきているのです。
  三つ目は「地球環境」に関する問題点です。日本は海外から大量の食料を輸入していますが、これに伴う輸送費や食料廃棄の費用は膨大な金額になっています。また、大量の水や肥料を使い、二酸化炭素を発生させているのです。
このような問題を解消し、健康を維持し、医療費を下げ、地球環境を守るということが大切であると思います。わが国では、この40~50年の間に、米と魚と野菜中心の食事から畜産物と油脂が大幅増加するということになってしまいました。言い換えると「食の西洋化」が急速に進んできたのです。かつて日本の朝食は白米に味噌汁、それに漬物、納豆、梅干といったものが一般的でしたが、最近では若い人を中心にパンや牛乳が主体になっているようです。この結果として、大腸がんや生活習慣病といったものも増加傾向にあります。今一度、食生活を見直していくことが必要であると思っています。

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2011年06月02日

環境月間を迎えて

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  本校においては、5月29日を環境宣言の日と定め、6月は環境月間としてさまざまな活動を推進することにしています。先日開催された環境フォーラムでも取り上げたように、今我々の住む〝青い星・地球〟は次々と引き起こされてくる環境破壊に耐え切れず、悲鳴をあげています。
  主なものとしては、温暖化の促進、オゾンホールの拡大、大気汚染、河川・湖・海洋汚染、酸性雨の発生、砂漠化の促進、絶滅種の増加等があげられます。この中でも特に深刻なのは地球の温暖化です。そして、この温暖化が原因であると思われる現象として、南極やグリーンランドの氷の溶融、ヒマラヤ・アルプス・ロッキー等の氷河の後退、凍土の現象等があげられます。この結果、海面の上昇や大型台風(ハリケーン・サイクロン)の発生、ゲリラ豪雨、大洪水、土砂崩れ等が発生しています。また、この一方で、世界各地においてこれまで経験したこともない大干ばつも頻発しているのです。今回の東日本大震災による原発事故よって、海洋や土壌が放射能で汚染されることになりましたが、これも人間が引き起こしたものです。言い換えると環境問題は人間問題そのものであり、環境破壊を防ぎ、環境を守るのも人間であるということになります。
  人が生きていくためには、水・食料・エネルギーの確保が不可欠ですが、世界の人口が急激に増加することに伴い、これらが不足してくるのは確実です。そして、これらを確保するための経済活動を加速すればするほど、環境が破壊されていくことになるのです。一人ひとりが環境を守るという気持ちで、行動していくことが大切であると思っています。

2011年06月01日

食育・服育講座の開催

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  6月1日(水)、高校1年生と中学1年生を対象に「食育・服育講座」を開催し、冒頭、私から次のような話をしました。  
  〝本日は、食育と服育についての講座を行ないますが、皆さんが将来立派な社会人となるためには、「食」と「身だしなみ」の2つは非常に重要です。そして、社会で活躍している人は例外なく、これらをしっかりと習慣づけています。
  最初のテーマは食に関してですが、先日の土曜日における環境フォーラムでもお話したように、世界の人口はこれからますます増加し続けます。これに伴って、今後食料不足はますます深刻化しますが、現在の日本の食料自給率は40%しかありません。つまり60%は海外から輸入しており、この量は年間6000万トンであり、4トン積みのトラックの1500台分に相当します。しかし、驚くべきことに、この輸入した食料の実に3分の1に当たる2000万トンを廃棄しています。コンビニで売れ残った物や家庭の冷蔵庫で腐らせた物、皆さんが食べ残した物等です。食料が足りずに、亡くなったり、栄養失調に陥っている人々がいる中で、このような行為は許されません。日本で廃棄する食料があれば、これらの人達を救うことができるのです。皆さんは食料を大切にするということを、是非心がけてください。
  食についてもう一つ皆さんに伝えたいことは、日本食の素晴らしさです。日本食は健康食として、世界から注目されていますが、健康に良い食べ物の代表として“まごわやさしい”という言葉があります。これは、「まめ・ごま・わかめ・やさい・さかな・しいたけ・いも」の頭文字です。
逆に、偏ると健康に良くない食べ物を表す言葉の頭文字として「おかあさんやすめ(お母さん休め)」と「ははきとく(母危篤)」があります。今日は時間がないので説明しませんが、一度考えておいてください。
  二番目のテーマである服育については、TPO(Time Place Occasion)、つまり時と場所と場合を守ることが大切です。お葬式や結婚式でジーパンを着用したり、ハイキングにネクタイや革靴で参加するというのは似合いません。
  最後に、6月は『環境月間』です。これから環境に関する情報を順次校長通信に掲載していきますので、見ておいてください。〟
  
《参考》
  ◇おかあさんやすめ
    オムレツ、カレーライス、サンドウィッチ、焼きそば、スパゲッティー、
    目玉焼き
  ◇ははきとく
    ハンバーグ、ハムエッグ、ギョーザ、トースト、クリームチーズ