« 2009年12月 | メイン | 2010年02月 »

2010年01月31日

先人の言葉(佐藤一斎)

tusin149gennsisiroku.jpg  

  人間力を磨くためのヒントは社会に貢献されている人の話を直接聞くか、書物を通じて先人の教えを知ることが大切ではないかと思います。私もこれまでこのようなことを実践してきたつもりですが、まだまだ多くの面で未熟であると感じています。最近、休日には以前読んだ本を読み返していますが、是非教育の仕事に従事されている方や色々な分野の指導者の方にお奨めしたいのが、江戸時代末期の佐藤一斎先生が書かれた『言志四録』です。
  これは佐藤一斎が42歳から82歳までの後半生の40余年にわたって書いた語録で、「言志録」「言志後録」「言志晩録」「言志耋(てつ)録」の全四巻、1133条におよぶ修養処世の心得です。佐藤一斎の門下生として学び、語録によって影響を受けた人々の中には、佐久間象山、勝海舟、坂本竜馬、吉田松陰、木戸孝允、西郷南州、伊藤博文等数多くの明治の先覚者の名前があげられます。また、小泉元総理大臣が教育関連法案の審議の際、取り上げたため注目されるようになりました。
  この中のいくつかを紹介します。
◇「少にして学べば、則ち壮にして為すことあり 壮にして学べば、則ち老いて衰えず 老いて学べば、則ち死して朽ちず」
  少年時に学べば壮年になって何かをなし、壮年時に学んでおけば老年になっても気力のおとろえはない。老いても学んでおれば社会に役立ち名の朽ちることはない。
◇「学は立志より要なるはなし・・・」
  学問をするには、目的を抱きこれを果たそうとする心を固めることほど大切なことはない。 他から強制されることではなく自分の本心から出たものでなければならない。
◇「艱難汝を玉にす」
  我々が出会う苦しみや悩み、困難のすべては自分の才能を伸ばすために天から与えられたものである。これらを避けるのではなくどう克服するかを考えて行動すれば必ず自己成長をはかることができる。
  
  原書を読むのは大変ですが、多くの解説書が出ていますので、是非一読してください。

2010年01月30日

第一回中学ガイダンスを終えて

10013001.jpg  
  1月30日(土)、晴天の下、午後2時から先日の入学試験をクリアし合格された皆さんを対象としたガイダンスを行ないました。定刻の2時には生徒と保護者の皆さんが来校され、学園講堂で入学までの準備や入学後の年間行事等についての説明を行なった後、制服や体操服の採寸や定期券の購入手続きをしていただきました。
  今回の入試にあたって、全員に面接をさせていただきましたが、遊びたい盛りにもかかわらず勉強漬けになっている子ども達があまりにも多いことに驚きました。私達の小学校時代はカブトムシやセミ採りをし、友達と遊びまわっており、親からも勉強しなさいという言葉をあまり聞かなかったように思います。しかし、今は中学受験という大きなハードルがあり、これに向って家族ぐるみで全力投球しておられるようです。そのため、このハードルを越えると保護者もお子様も受験勉強から開放されてホッとされ、一挙にゆるみが生じることになりがちですが、これから中学に入学するまでの2カ月は中学生活を力強くスタートするための大切な準備の期間です。
  中学生になると小学生の時とは異なり〝自主自立〟という姿勢が必要になってきます。ここで保護者の皆さんに理解しておいて欲しいことは、中学生になるとお子様は例外なく第二反抗期に入り、親の言うことを聞かなくなるということです。これは子ども達がひとり立ちするためのステップなのですが、間違ってはいけないのは自分の思ったとおりに好き勝手にやっても良いということではありません。保護者の皆さんにおかれては是非大きな心でお子様を見守っていただき、〝自分のことは自分でやる〟という姿勢を身につけさせると共にしてはいけないことは絶対に許さないという厳しさと正しい生活習慣づくりをお願いしたいものです。
  本年、雲雀丘学園は創立60周年を迎え、将来に向って大きく羽ばたこうとしていますが、教育方針である家庭と学校の連携による〝共育〟と子どもだけではなく保護者も教員もすべての人が学ぶという〝共学〟を目指していきたいと思っています。

setumei1.jpg 10013002.jpg

2010年01月29日

公立中小支援学校事務研究大会での講演

tusin149itamitouenn1.jpg tusin149itamikouenn2.jpg

  1月29日(金)、阪神地区公立中小支援学校事務研究大会において『学校組織マネジメント~事務職員が学校経営に果たす役割~』と題して講演しました。
  この大会は1964年(昭和39年)にスタートし、実に46回目を迎える伝統ある催しで、今年のテーマは『情報化社会の今こそもとめる学校事務~つなげよう人とのきずな ひろげよう心のわ』です。本日は尼崎市、伊丹市、猪名川町、川西市、宝塚市、西宮市の中学校・小学校・特別支援学校の事務職員約400名が参加して、午前中に開会行事・活動報告と記念講演、午後から4つの分科会での研究協議が行なわれました。

  今、わが国の教育は多くの面での見直しが必要になってきており、学校を取り巻く環境も激変してきています。これに対応するには、従来のような「前年踏襲型の学校運営」ではなく「改革という視点に立った学校経営」が必要になってきます。しかし、現在の学校におけるマネジメント力は十分ではあるとは言えません。学校は〝鍋蓋組織〟という言葉に代表されるように校長・教頭の下に教員が横並びに配置されています。そのため校長を補佐する体制が極めて弱い、言い換えるとスタッフがほとんどいないのです。こういう状況にもかかわらず、学校で起こったことはすべて校長の責任であるということで片付けられているのが現状です。これを打破していくためには、事務職員が単なる事務処理に終始するのではなく、積極的に校長を補佐することによって学校経営に参画し、教員や保護者、児童・生徒に働きかけていかなければなりません。
  事務職員の皆さんは〝学校を改革する〟という強い思いを持って、現在の仕事を徹底的に見直し、合理化・簡素化をはかることによって時間を創り出し、新しい学校づくりを目指して欲しいと思っています。

2010年01月28日

小論文を考える

1.27 008.jpg

  1月27日(水)、学研の山本聡志先生に”小論文を考える”というテーマで、大学受験を1年後に控えた高校2年生を対象に講演をしていただきました。近年、大学入試の方式は以前とは比較にならないくらい多様化してきており、国公立大学二次試験・公募推薦・AO入試等で小論文を課す大学が増加してきています。今回の講演の内容は、「大学が入試で小論文を課す理由」「小論文とは何か」「小論文を書く時のポイント」「これからの取り組み」等ということが中心でしたが、生徒達は真剣に耳を傾けていました。
  最近、子どもだけではなく大人も含めて日本人の書く力が相当落ちてきているように感じます。これにはさまざまなことが考えられますが、何と言っても読書量が少なくなっているからであると思います。テレビや携帯電話、ゲーム機が普及し、これらに多大の時間を費やしているといったことやセンター試験に代表されるように正解を選択するような試験問題が多くなっていることも大きな原因ではないでしょうか。
  今、世界は急激に変化してきており、さまざまな課題が現出してきています。これからはますますグローバル化や情報化が進展し、世界が多極化してきます。その一方で新しい技術が続々と生まれ、新しい仕事が限りなく創出されてくるのは間違いありません。この中で生き抜いていくためには、自分自身で物事をしっかりと見つめ、現状を正しく分析し、行動することが大切です。単なる知識の習得だけでは不十分であり、さまざまな情報をもとに自らの考えをまとめ、情報を発信していく能力が必要になってきます。社会では正答は一つとは限っていませんし、問題が与えられるわけではありません。自ら課題を見つけ出す力とそれを解決していく力が大切なのです。
  このように考えると、自分の考えをまとめるのは〝これからの社会を乗り切る力〟であると言っても良いのではないでしょうか。生徒達が単なる受験のための一手段ではなく、〝社会で役立つ力を身につける〟というように受け止めて欲しいと思っています。

2010年01月27日

先人の言葉(森信三 Ⅱ)

  本校の校訓は『高志・自律・努力』ですが、いつの時代にあってもこの三つは人間として非常に大切なものではないかと思います。とりわけ志を立てるということがすべての源であるのは間違いありませんし、過去・現在を問わず社会で認められている人は例外なく高い志を有しています。私の座右の銘の一つは民間企業に勤務している時から『高い志が道を拓く』というものでしたが、本校の校訓の一番目が〝高志〟であるということを知って不思議な縁を感じました。
  今、世の中は大きく変わりつつあり、かつての日本の元気な姿が見られなくなってきていますが、これと共に高い志を持った人も少なくなってきているように思えてなりません。周囲のことや後世のことを考えずに自分の損得や目の前のことだけにとらわれて行動していると、何事もうまくいかなくなってくると思います。
  私は、これまで見聞きした志に関する先人の言葉を書き留めてきました。昨年末からこれらのカードや手帳を取り出して整理していますが、参考になるものがたくさんありますので、順次紹介していくことにします。先般も紹介した教育界の大巨人であった森信三氏は『修身教授録』の中で、次のように語っておられます。
  
  〝私は、人生の真の出発は、志を立てることによって始まると考えるものです。 (中略) 人間はいかにいきるべきであるか、人生をいかに生き貫くべきであるかという一般的心理を自分自身の上に落としてきて、この二度とない人生をいかに生きるかという根本目標を打ち立てることによって、初めて私達の真の人生は始まると思うのです。人間が志を立てるということは、いわばローソクに火を点ずるようなものです。ローソクは火を点けられて初めて光を放つものです。同様にまた人間は、その志を立てて初めてその人の真価が現れるのです。志を立てない人間というものは、いかに才能のある人でも、結局は酔生夢死の徒にすぎないのです。〟
  実に味わい深い言葉だと思います。

book2.jpg 

  。

2010年01月26日

学校の耐震化

10012601.jpg 10012602.jpg

  高校新校舎の建設は順調に進んできており、既に躯体工事が終了し、建物全体の姿が明らかになってきました。1階から順に進められてきた壁ボードや天井ボードの貼りつけ等の内装工事、電気や空調等の設備工事も最後の5階部分に取りかかっています。また、外装の仕上げも1月中には終わる予定で、これからいよいよ追い込みの段階に入ります。今も140人から160人の方が安全に留意しながら、日々建築現場で作業していただいていますので、このままのペースでいけば3月中旬にはほぼ完成するのではないかと思います。 
  並行して、生徒や先生の意見を確認しながら進めてきた机や椅子、ロッカー等の備品、照明、AV機器等の選定もほぼ決定しました。このような厳しい経営環境の中で、新しい校舎建設を行なうことができるのは色々な人のお力添えの賜物であると心より感謝しています。

  さて、本校では、この高校新校舎建設工事に先立ち、すべての建物の耐震構造の点検を行ないました。そして、必要な建物については耐震化工事を行ないましたので、地震に対する備えは万全になりました。
  ところで、わが国の学校の耐震化に関して大変気がかりな点があります。先日の新聞によると〝震度6強の地震で倒壊する危険性があるとされる公立小中学校の校舎等の耐震化工事の予算が大幅に削減された〟との報道がなされていました。現在全国の公立小中学校の耐震化率は67パーセントという結果になっています。つまり実に3校に1校の割合で耐震性がなかったり、耐震診断が実施されていないということになります。新政権の目玉となる公立高校の授業料の無償化の予算をひねり出すための措置であるとのことですが、学校施設の安全確保というものは最重要課題ではないでしょうか。

2010年01月25日

合同学級委員会の開催

H22.1.25合同学級委員会①.jpg H22.1.25合同学級委員会②.jpg

  1月25日(月)、本年度第4回目となる学級委員会を開催しました。本校では、毎年中学・高校別に学級委員会を開催していますが、最後だけは中学・高校合同となっています。
  冒頭、私から先週終わった中学入試の結果や高校3年生のセンター入試の状況、高校新校舎建設の進捗状況等、学校の近況についての報告を行ないました。その後、これから3月末までの学校行事について説明させていただき、最後に、高校3年生の保護者の皆さんからこれまでの3年を振り返っての感想を述べていただきました。「良い友達に恵まれて本当に良かった」「きめ細かい進路指導をしていただいた」「目標に向ってチャレンジする力をつけてもらった」「クラブ活動を通じて頑張るという気持ちが身についた」「学級委員をさせていただいて勉強になった」等の発言が続き、正直なところ嬉しいと感じました。これらの発言がすべての保護者の気持ちを代弁しているとは思いませんが、雲雀丘学園の中学・高校に進学させて良かったと言ってもらえることは、教職員にとって何よりの幸せです。
  今、世の中は大きく変化していますが、この中で将来子ども達が社会で活躍できる力を身につけてあげることが大切です。本校が目指す〝共育〟と〝共学を実践して欲しいと思っています。

 

2010年01月24日

社会で役立つ力の修得

10012401.jpg

  日本においては中学までは義務教育となっていますが、高校への進学率が次第に高まり、現在では約97%となっています。また、今回の公立高校の授業料の無償化によって、ほとんどの生徒が進学することになり、ますます義務教育に近い姿になります。更に 大学進学の状況を見ると、1950年(昭和25年)代には約1割でしたが、高校進学率と同様1970年(昭和45年)代半ばまでに急増し、1976年には38.6%という第1のピークを迎えました。その後、大学進学率はやや微減という傾向になりましたが、1980年(昭和55年)代からはハイテクを中心として経済成長が続き、高度の専門知識を有する技術者などへの需要が高まり、平成に入ると再度大学進学率が上昇し、1993年(平成5年)には40%を越え、現在では50%を越えるようになってきました。この数字は、アメリカやイギリスと並んで世界の中でも非常に高い水準です。また、他国に比べて退学率が低いため、世界有数の高学歴社会の国ということになります。
  しかし、大切なことは大学を卒業したという肩書きではなく、社会に出てから役に立つ能力が修得できているということです。私はこれまで民間企業での勤務を通じて社内外の多くの人達とお会いしてきました。また、著名な大学を卒業してきた人達と一緒に仕事をする機会も数多くありました。これらの経験を通じて感じるのは、まず勤務の基本である「健康」や「人間性」「情操」「物の考え方」「凡事徹底」が大切であるということです。
  いくら能力があっても病気がちであったり、すぐに寝込んでしまったり、ここ一番という時に力が発揮できないということでは立派な仕事はできません。また、爽やかな挨拶をする、約束を守る、時間に遅れない、我慢する、思いやる、感謝する、相手の立場に立つ、志すという姿勢が必要であり、これらがなければ、いくら高度な知識を身につけていても社会で活躍することはできません。社会で活躍するための力、言い換えると社会人基礎力というのは、これらのベースと専門知識やスキル、ノウハウの複合されたものなのです。今の入学試験ではこれらを見ることはほとんどなく、狭い意味での学力を中心に入学判定を行なっていますので、人間としてのベースが弱いまま社会に出る人が出てくるのです。
  本校では「人間教育の充実」と「学力の向上」を教育方針の基本の柱にしていますが、社会に出るまでにしっかりと社会で役立つ力を身につけさせたいと思っています。

2010年01月23日

中学入試は人生の節づくり

10012301.jpg

  1月23日(土)、中学後期入試の合否を決める選考会議を開催し、最終の合格者を決定しました。
試験の点数を見ると、合格ラインをはるかに上回っている人、全く合格ラインに達していない人、あと少し頑張っておれば合格ラインに達する人等さまざまです。
  本校では全教職員が広報活動に携わっているため、これまで学校説明会や私学展・進路相談会等でお会いした保護者の皆さん、塾関係の先生方、本学園を卒業された保護者の皆さん、本学園に通学している兄弟姉妹の皆さん、前期・後期入試の複数受験者等の顔が浮かび、何とか合格して欲しいと祈る気持ちであったと思います。
  私も〝できることであれば希望者には全員入学して欲しい〟また〝11歳や12歳の子ども達に辛い思いをさせたくない〟という気持ちで一杯です。しかし、個々の事情を優先すれば、入試そのものが無意味なものになってしまいますので、厳正に選考させていただきました。ご希望に添えなかった皆様には本当に申し訳ない気持ちで一杯ですが、何卒ご了承ください。
  また、本年度の3回の入試で合格した人の中にも、ボーダーゾーンの人もいれば、上位で入学した人もいます。いずれにしても、努力を怠ればたちまち成長は止まってしまうでしょう。逆に今回の入試でたとえ不合格であっても、この悔しさをバネに努力すれば大きく成長するのは間違いありません。
  子ども達にとって中学入試は人生における最初の試練であり、今回の結果によってこれからの人生が決まってしまう訳ではありません。人生における節づくりのチャンスであると前向きに受け止めていただきたいと思っています。

2010年01月22日

中学入試を終えて

10012201.jpg

  1月22日(金)、心配していた寒さも和らぎ、晴天の下、中学の後期日程入試を実施しました。本日の受験に関しては、ほとんどの人が既に数校の受験を経験しているため、極度の緊張に陥っているようにも見えず、正門付近で塾の先生方から励ましの言葉とホカホカ懐炉を受け取り、校舎前で受付を済ませ受験室に向っていきました。既に進学が内定している人もいるため、何人かの欠席者も見受けられましたが、監督の先生から注意事項の説明を受けた後、予定通り9時から筆記試験、続いて個別面接に臨み、正午過ぎにはすべての入試が無事終了しました。今回の合否の結果は明日の選考会議を経て郵送させていただきます。
  本年の3回の入試における志願者はトータルで昨年とほぼ同数の約540名ということになりました。厳しい経済環境にも関わらず、数多くの皆さんに受験していただき、心より感謝申し上げると共に生徒の育成という責任の大きさに身の引き締まる思いです。教職員が一丸となって、皆さんのご期待に応えられるように、更なる教育内容の充実をはかっていきたいと決意しています。
  また、今年も昨年に引き続いて「前期A日程」「前期B日程」「後期日程」に分けて入学試験を実施させていただきましたが、多くの私立中学への志願状況が様変わりした結果、これまでのやり方ではスムーズにいかないことが多くあったように感じました。
  今回の反省を活かして来年度は新たな取り組みを模索していきたいと思っています。

2010年01月21日

巨大地震の恐怖

100121.jpg

  近年、インドネシア、中国、今回のハイチと世界中で大きな地震が発生しています。そのため、地震に対する関心が高まり色々な角度からの研究も進んできています。地球の表面は10数枚のプレートに分かれており、1年に数センチの速さで動いているそうです。
  日本列島付近はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートが寄り集まっており、地層的には極めて不安定な状況下にあります。そして、地中には地震等で生じた割れ目に沿って地層がずれた断層といわれる亀裂が走っており、次第に歪みが大きくなると元に戻ろうとする力が働き地震が発生することになります。日本およびその周辺には地震を引き起こす可能性のある活断層が無数にあり、地震は1年間に10万回以上、1日では平均300回以上も発生しています。
  地震の強さはマグニチュードが使われますが、これと震度とは必ずしも一致しません。日本ではM6クラスの地震は1ヶ月に1回、M7クラスは1年に1回、M8クラスは10年に1回の割合で発生しています。阪神淡路大震災のマグニチュードは7.2でしたが、深さ20キロの内陸で発生したため、震度7という大きな揺れに繋がったのです。参考までに中部・中越地震ではM6.8、四川大地震ではM8.0でした。
  そして、世界では1年に1回の割合でM8クラスの地震が発生していますし、直近の100年間ではM9という巨大地震も5回発生しているのです。そして、マグニチュードが0.2大きくなるとエネルギーは約2倍に、1大きくなると約32倍に、そして2大きくなると実に1000倍になります。
  スマトラ沖の地震のマグニチュードは9.1ということですから阪神淡路大震災(M7.2)の1000倍近いエネルギーであったというこということになります。そのため、この地震によって引き起こされた大津波を含めて20万人を超える死者を出したのです。また、1960年に発生したM9.5のチリ地震の際には遠く離れた日本にも大津波が到達し各地に大きな被害をもたらしました。
  将来発生すると言われている東南海地震はM8くらいと予想されており、現在さまざまな予知システムの研究が進んでいますが、いずれにしても地震に対する知識をしっかりと持ち、できる限りの対策をしておきたいものです。

2010年01月20日

ハイチでの大地震

100120h.jpg
 1月12日午後4時53分(現地時間)にハイチ共和国で発生した大地震から1週間が経過しました。依然としてハイチ当局でも被害状況が十分に把握できないようで、死者は現時点で確認されただけでも7万人を超え、一説によると20万人に達するのではないかと言われています。今回の地震の震源はハイチの首都ポルトープランスの西南西約15km、深さは10km、マグニチュードは7.0と推定されています。この地域は、バハマ諸島を乗せた北アメリカプレートとハイチを含むヒスパニョーラ島やキューバを乗せたカリブプレートが衝突している北ヒスパニョーラ海溝の南側にあたっており、プレート境界であるため、これまで地震活動は活発ではあるが、直下型地震の発生はあまり多くない地域だと言われていました。
  国連安全保障理事会は、国連ハイチ安定化派遣団に兵士2000人と治安要員1500人の増派を決定しましたが、救援物資が十分にゆきわたらないということもあって、治安の悪化等憂慮すべき事態が起きているようです。日本もユニセフ協会や日本赤十字社による義援金の募集を開始し、国際緊急援助隊医療チームの首都ポルトープランスの近郊レオガンの看護学校への派遣等を行なっています。私もこれといった救援活動はできませんので、家族と共に心ばかりの協力をさせていただくことにしました。
  ハイチ共和国は日本ではあまり知られていませんが、国土は27,750平方キロメートルで丁度四国と九州の中間程度の面積です。人口は961万人(2007年時点)、人種的にはアフリカ系(約9割)、その他混血、言語はフランス語、クレオール語(共に公用語)となっています。かつてハイチは世界で最高品質の砂糖を生産するフランスの植民地でした。そして、あまり知られていませんが、過酷な支配に反対して立ち上がった黒人奴隷の反乱が発展して、1804年に中南米で最初の独立国になったという輝かしい歴史を持っています。しかし、20世紀に入ると砂糖産業からの利益を狙った米国の支配が強まり、1934年まで米国の保護国として軍事占領下におかれていました。その後、1957年からは米国の支援を受けたデュバリエ独裁政権が86年まで続きましたが、政局が安定せず経済的には最貧国となっています。その中で今回の大地震が発生したのです。一日も早い復興を心より祈っています。
  私達もこのような災害にいつ遭遇するかも分かりませんが、命の大切さを知り、お互いに助け合って生きていきたいものです。

2010年01月19日

中学前期入試結果

100120001.jpg

  私立中学の一斉入試が始まってから4日が経過し、ほとんどの学校の合否判定結果が出揃いました。本日、本校の入試結果をご自宅に郵送させていただきましたが、希望者全員に合格通知をお送りすることができず申し訳なく思っています。複数の学校から合格の通知を受け取った人もあれば、残念ながら思いが叶わなかった人もあることでしょう。しかし、子ども達はまだ11歳か12歳です。これでこれからの長い人生が決まるわけではありません。
  中国の故事に〝塞翁が馬〟がありますが、人生の幸不幸は前もって分からないものです。その時には良かったと思ったことが後にはうまくいかなかったり、反対に良くないと思ったことが後に良い結果をもたらすことがあまりにも多いのです。言い換えると成功の芽は失意の時に生まれ、失敗の芽は得意の時に生まれるのです。今回、希望の学校への入学が決まったからといって努力を怠ればたちまち成長は止まってしまうでしょう。また、希望通りにならなくても奮起して努力すれば大きく成長することは間違いないでしょう。 
  中学入試は親の入試であると言われていますが、結果の如何を問わず、是非保護者の皆さんから子どもさんに対して十分なフォローをしてあげて欲しいと思っています。

2010年01月18日

センター入試は高校の総決算

10011801.jpg

  1月18日(月)、全教職員による中学前期A日程・B日程入試の合格者選考会議を実施しました。厳正に選考を行ない、所定の手続きを経て本日の夜に郵送させていただきましたので、明日には結果がご自宅に届くということになります。
  一方で、2日間の大学センター受験を終えた高校3年の生徒達はそれぞれセンター試験の問題用紙を持参して登校しました。本日は中学入試の選考日のため、教職員以外の人の中央棟への出入りは禁止となっているため、仮校舎の方でそれぞれの自己採点を行なったようです。本校では、センター入試は高校で学んだことの総決算として位置づけているため、本日は既に大学への進学が内定している生徒も登校し、自らの採点結果を確認しながらこれから受験を控えた生徒達を激励していたようです。
  今回の自己採点のデータは全国から集められ、分析結果がまとめられます。そして、これらの結果を参考にして生徒達は先生に相談しながら最終の志望大学を決定し、受験に臨むことになります。
  センター入試という一つの山は越えましたが、受験生にとってはこれからがまさに正念場です。いつまでも終わったことに一喜一憂している暇はありません。気持を切り替えて更なる研鑽を続けていって欲しいものです。大学に入るということは最終の目的ではありませんが、このような受験の経験は将来社会に出た時に必ず役立つことになると思っています。

2010年01月17日

中学前期入試を終えて

10011701.jpg 10011702.jpg  
  
  1月17日(日)、昨日に続いて中学の「前期B日程」入試を実施しました。志願者数は新聞やホームページに掲載している通り、「一貫選抜コース」が234名、「発展コース」が47名となっています。今年は、厳しい経済情勢もあって、私立中学への受験者は減少傾向にありますが、それでもなお根強い人気があるようです。既に関西地区においては私立中学の入試が始まっているため、ほとんどの人が昨日いずれかの私立中学を受験しており、何人かはこれからも色々な学校を受験するようです。また、本日の受験者の中には本校のA日程を受験してくれている人もいますし、本校の受験を終えた後、午後から他校の受験に赴く生徒も見受けられました。
  本日も昨日と同様、8時半からの諸注意の後、9時から国語、理科、算数の3教科の筆記試験を実施しました。その後昼食を挟んで個別の面接を行ない、大きな混乱もなく2日間にわたる前期日程の入試を終了することができました。 今回の前期入試には実に多くの方に受験していただくことになりましたが、子どもの教育にかける保護者の皆さんの熱い思いがひしひしと伝わってきました。このうちの何人の方が本校に入学していただくことになるのか分かりませんが、将来社会で活躍できる人材としてしっかりと育成していかなければならないと思っています。  
  なお、今回の前期A日程・B日程を合わせた結果については厳正な選考を行ない、19日(火)に速達郵送、また10時からはホームページ上にも発表させていただく予定です。 
  これで、前期日程の入試は終了しましたが、本校では1月22日(金)に後期日程の入試を行ないますので、お含みおきください。

2010年01月16日

私立中学の前期入試始まる

中学入試.jpg 中学入試1.jpg
  1月16日(土)、昨日までの寒さも和らぎ好天の下、私立中学の前期入試が始まりました。本校においては一昨年のコース制導入と同時に前期入試を従来の1回から「A日程・B日程」の2回実施することに変更しました。今年で3年目を迎えることになりますが、前期入試の志願者は449名(A日程168名、B日程281名)、昨年とほぼ同数(4名増)となっており、徐々にこの方式が定着しつつあります。
  本日は「前期A日程」の試験を行ないましたが、多くの受験生は早い人では開始1時間以上前から緊張した面持ちで保護者と共に続々と学校に到着しました。校門付近で塾の先生方から激励され、受付を済ませた後、8時25分までに受験会場に入室、8時半から諸注意と最終点呼を受け、9時から国語、理科、算数の順に各50分の試験問題に取り組みました。そして、昼食休憩を挟んで午後1時からは個人面接を行ない、大きな混乱もなく「A日程」の入試は無事終了しました。
  これから月末にかけて近畿地区の私立中学では順次入試が実施されることになっており、本校においても明日引き続き「前期B日程」の試験を行ないます。受験生の中には明日以降も受験の予定が入っている人も多いようです。どうか、済んだことをいつまでも引きずることなく、今日はゆっくりと休養を取り、新たな気持ちで次の入試に臨んでください。

2010年01月15日

入試を明日に控えて

100115.jpg

  1月15日(金)、大学のセンター試験と近畿地区の私学中学入試が明日に迫りました。本校に限らず、すべての学校にとって、これから3月末にかけての2ヶ月半は一年の内でも最も緊張する時期です。
本日は通常の授業を終えた後、明日、明後日の前期中学入試に向けて念入りに清掃し、校舎内外の案内表示、試験場の蛍光灯や時計、チャイム、エアコンの点検、を行ない、入試におけるそれぞれの役割を再確認しました。明日は早朝より阪急電車の雲雀丘花屋敷駅の東西改札口、学園正門、南門で受験生の皆さんをお迎えすると共に受験会場の暖房や照明をはじめ設備の不具合がないかを再チェックし、快適な環境で受験していただけるようにしたいと思っています。
  一方、高校3年の担任はセンター試験の会場である関西学院大学と神戸女学院大学に出向くことにしています。その時に持参する励ましの幟(のぼり)も完成し、今日一日は職員室に飾られていました。
  いずれの受験生の皆さんもこれまで自分なりの目標を持って、たゆまぬ努力を続けてこられたと思います。いよいよ明日は本番を迎えることになりますが、天気予報によると明日は寒さも和らぐようです。今日は体を温めて十分に睡眠をとり、万全の体調で明日の試験に臨んでください。皆さんのご健闘を心より願っています。

2010年01月14日

大学入試センター試験の壮行会

soukoukai1.jpg soukoukai2.jpg

  1月14日(木)9時、高校3年生全員が学園講堂に集合し、今週末より始まる大学センター試験の壮行会を行ないました。
  本校では、既にAOや推薦入試で大学への進学が内定している生徒達も含めて全生徒がセンター試験を受験することにしています。そのため、本日の壮行会では〝生徒達に対する激励〟と〝受験に対する心構えと留意点〟についての徹底をはかると共に試験翌日に行なう自己採点への参加についての説明も行なうことにしています。私は少し早めに講堂に行き、入口で生徒達が入ってくるのを出迎えましたが、気力の漲った(みなぎった)顔をしており頼もしく感じました。
  冒頭、私からは次のような話をしました。
  〝皆さんは、これまで大学受験に向けて本当に良く頑張ってきたと思います。この努力はこれからの皆さんの人生の中で間違いなく役立つ経験になると思います。すべての人間は気を持っていますが、今日皆さんに会って真っ先に感じたのは一人ひとりの表情が素晴らしく、気が充実しているように感じました。本日は更に〝私の気〟も皆さんに伝えるので、更に気を充実させてセンター試験に臨んでください。必ず満足できる結果に結びつくと思います。〟
  そして、平常心で集中力を発揮するための呼吸法を体験してもらいました。その後、進路部長と3年生の担任から受験に関する細かい説明や受験後の自己採点、大学への出願、保護者懇談、入試直前講習等の説明を行ないました。
  センター入試は男子が関西学院大学、女子が神戸女学院大学で実施されますが、当日は本校の教員が引率・待機することにしています。生徒達が、万全の体調で受験に臨み、これまでの学習の成果を遺憾なく発揮してくれることを心より願っています。

2010年01月13日

災害への備えと対応

変換 ~ IMG_3133.jpg
  本校では、例年、阪神淡路大震災の教訓を風化させないために、震災が発生した1月17日前後に、避難訓練を実施しています。しかし、現在はグランドに仮校舎が建設されているため、今回はマイク放送を使って、全員で犠牲者のご冥福を祈って黙祷を捧げた後、災害についての心構えや留意すべき事柄を伝えることにしました。

  〝皆さん おはようございます。現在、グランドが使えないため、避難訓練は行ないませんが、災害は予期せぬ形で私達の身に降りかかってきます。今日は災害に対する備えと実際に災害が起こった時に気をつけなければならない点についてお話します。
 
  さて、今、体育科では柔道・剣道の寒稽古を行なっていますね。この行事は今年で31回目を迎える伝統の行事ですが、今までに一度だけ実施できなかった年があります。それは15年前に起こった阪神淡路大震災の年なのです。皆さんはまだ小さくて記憶がなかったり、生まれていなかった人もいるため、大震災といってもピンとこないと思います。発生したのは朝5時46分でした。私は大阪の自宅で既に起きていましたが、激しい揺れが続き食器がほとんど壊れてしまったのを記憶しています。この震災で実に6434名の尊い命が失われたのです。本校においても多くの生徒や家族の皆さんが被災し、1名の生徒が犠牲になりました。元気に学校生活を送っていた生徒が突然帰らぬ人になってしまったのです。先ほど犠牲者のご冥福を祈って黙祷を捧げましたが、人の命の大切さを再認識し、この悲しい出来事をいつまでも心に留めておくようにしていきたいものです。
  また、地震、火災、交通事故、ガス爆発、テロ等の災害はいつ発生するかわかりません。特に不安定なプレート上にある日本では実に世界全体の10%の地震が発生しています。そのために心がけて欲しいことを2つお話します。
  1つ目は「備えあれば憂いなし」という言葉をしっかりと胸に刻み込んで欲しいということです。常に非常口や避難経路を確認しておくこと。整理整頓を心がけておくこと。非常持ち出し物を決めておくこと。家庭では家具等の固定等をしておくこと。等です。 2つ目は不幸にして災害に巻き込まれた時には二次災害を防ぐことです。毎回話していることですが、「おかし」と「もち」を思い出して行動してください。つまり「押さない」、「駆けない」、「しゃべらない」、「戻らない」、「近づかない」という5つを守ることです。

  最後に学校で災害が発生した場合に、安全に非難するための避難経路と避難場所を各クラスの黒板に掲示していますので、全員で確認しておいてください。それでは、今日も元気で学校生活を送りましょう〟

2010年01月12日

恒例の寒稽古

10111201.jpg 10011202.jpg

  1月12日(火)、寒稽古が始まりました。これまで阪神大震災の年を除いて毎年実施し、今年31回を迎えることになる本校の伝統行事です。本校においては人間教育の一環として、男子の体育の授業の中に武道を取り入れ、剣道と柔道のどちらか一方を選択させていますが、この寒稽古には高校3年生を除く全生徒と剣道部、柔道部の部員が参加しています。
  一年で最も寒さの厳しいこの時期には、日本各地で寒稽古が行なわれているようですが、この目的は逞しい肉体を養成するというだけではなく、旺盛な気力や忍耐力、集中力等の精神面を鍛えることです。
  日本では、剣道、柔道、弓道、合気道、相撲道等の武道や華道、茶道、香道等の芸道がありますが、これらは単に相手を倒す技術を身に付ける事や、形の美学を学ぶだけではありません。正しさを学び、正しい事を何処までも取組み、身につける工程があり、相手を尊重し、感謝し、心を整えるという人間として在るべき姿を求めて完成させる道なのです。
  本日、生徒達は朝7時に集合し、約1時間にわたって剣道と柔道の寒稽古に取り組みました。お正月気分を吹き飛ばし、これから一層勉強や部活動に取り組んでくれることを願っています。

2010年01月11日

成人の日にあたって

100111.jpg

  本日(1月11日)は元日に続く2番目の祝日となる『成人の日』です。当初は1月15日とされていましたが、現在は、2000年に制定されたハッピーマンデー法に基づき1月の第2月曜日、(1月8日から14日までのうち月曜日に該当する日)に改正され、現在に至っています。
  現在の日本の公定休日は15日ありますが、その基本となっているのは太平洋戦争後の昭和23年(1948年)7月20日に公布、施行された「国民の祝日に関する法律」(略して祝日法)です。その後、昭和41年(1966年)には『建国記念の日』『敬老の日』『体育の日』が追加されました。そして、平成になると、これまでの天皇誕生日が『みどりの日』に、皇太子誕生日が『天皇誕生日』になり、更に平成8年には『海の日』が加えられました。
  最近、色々な場面で感じるのはあまりにも日本のことを知らない人が増えてきているということです。祝日についても、昔のように各家庭で日の丸を掲揚することもほとんど見かけなくなり、その制定の趣旨について語られることもなくなってしまいました。そのため、〝単に休む日が増えた〟という感覚で過ごす人が大半ではないかと思います。
  国民の祝日に関する法律(祝日法)では「成人の日はおとなになったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」とされていますが世界的に見ても、このような祝日は珍しいと言われています。日本は太平洋戦争後、国土が荒廃し物資も食料も不足していた時代に最も必要とされていたのは「国を再建していく人材」でした。良い「国家」を作っていくためには、国民自身が成長していかなくてはならないと考え、〝こどもから大人になった自覚を持ってほしい〟と願ってこの日を祝日にしたと伝えられています。
  今年の元日を二十歳で迎えた新成人は127万人となりましたが、ほとんど(約125万人)が平成生まれということになります。新成人を含む今の若者達は日本の成長期を知らず、チャレンジしない、元気がない等と批判されていますが、明治維新も戦後の日本も若い人達のエネルギーが国を変えてきたのは事実です。成人の日にあたって先人の想いを知ることが、成人になる第一歩ではないかと思っています。

  ≪ご参考≫私の友人である斎藤秀夫氏より、今夜NHK総合22時放送の「世界遺産への招待状・イタリア・ベネチア」の案内がありました。時間の許す方は是非ご覧下さい。

2010年01月10日

先人の言葉(森 信三 )

book2.jpg 

  森信三氏は、戦前・戦後を通じて日本の教育界最大の人物と言われています。その提唱する哲学は実践を重んじ、一年の半数以上をかけて全国行脚を行ない「人間の生き方」を懇切・平易に説き多くの人に感化を与えました。とりわけ「しつけの三原則」「学校職場の再建三原則」を提唱し、主体的人間になるための「立腰教育」等を広めました。例えば、しつけの三原則としては「ハイの返事」「あいさつ」「履物を揃える」の三つであり、これだけをやれば他のしつけはできるようになるというものです。また、膨大な著書を執筆されていますが、とりわけ啓蒙書としての「修身教授録」「幻の講話」は人間の生き方の根幹として広く読まれており、私も手元において時々紐解いています。
 
  この中で印象に残る言葉を紹介します。すべてが分かりやすい言葉で表現されており、凡事徹底の大切さを教示しています。
「人生二度なし」「両方よいことはない」「世の中正直・天は公平」
「例外をつくったらだめですぞ。今日はまあ疲れているからとか、夕べはどうも睡眠不足だったとか考えたら、もうだめなんだ」
「結局最後は、『世のため人のため』という所がなくては、真の意味で志とは言いがたい」
「人間、本当にやる気があれば、たいがいのことはできるはずです。できないというのは、本当にする気がないからです」
「一生の志を立てることが根本です。 つまり自分の生涯を貫く志を打ち立てるということです」
「一日は一生の縮図なり」

  本当に一つ一つが味わい深い言葉であり、実践していきたいものです。


2010年01月09日

日本経済の動向~1~3月の産業天気図

sangyou1001.jpg

  日本経済新聞社は3ヵ月に一度、主要30業種の景気予測を『産業天気図』という形でまとめています。これは各業種の生産、販売、操業率、収益等のデータに基づいて、天気を「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」の5つに分類するというものであり、先日2010年の1月~3月の予測が発表されました。これによると「晴れ」の業種はゼロ、「薄日」は家電とネットサービスの2つ、「曇り」は<鉄鋼・非鉄><電力><化学><プラント・造船><電子部品・半導体><情報><通信><自動車><精密機械><コンビニエンスストア><ドラッグストア><アミューズメント>の12業種、「小雨」は<石油><紙・パルプ><繊維・アパレル><食品・飲料><医薬><貨物輸送><リース><外食><旅行・ホテル><広告><人材派遣>の11業種、そして「雨」は<建設・セメント><マンション・住宅><産業・工作機械><百貨店><スーパー>の5業種となっています。
  今回の結果は主要30業種中29業種が前回の調査(2009年10月~12月)と同じ景気判断となっており、回復傾向は足踏みしています。鉄鋼や化学、電子部品等の業種で生産増が続き、自動車と家電では「エコカー減税」や「エコポイント」等の政策効果によって堅調な販売が続いています。また、一部の業種では中国やインド等の新興国向けの輸出が増加してきていますが、欧米市場の低迷と円高によって収益の改善効果は限定されています。更に雇用への不安に加え、冬のボーナス減で消費者の節約志向は強まっており、百貨店での高額商品やスーパーでの冬物衣料品は販売不振、外食産業も自宅での食事を摂る傾向が定着し苦戦しています。
  このように消費者の低価格志向がますます顕著になる中で、各社は智恵を結集して経営改革を進めているのです。これらの取り組みについては興味深いものが数多くありますので、順次紹介していきたいと思います。

2010年01月08日

授業始め式にあたって

100108.jpg

  1月8日(木)、授業始め式にあたって次のような話をしました。

  “今日から学校が始まりましたが、皆さんが元気に登校してくれて、大変嬉しく思っています。月日の経つのは本当に早いもので、12月22日授業納め式をしてから17日間(半月以上)が経過しました。この休みの間に普段できない経験をして欲しいということをお願いしましたが、どうでしたか?
  私は久しぶりに昔読んだ色々な本を読み返してみました。今日はその中の1冊でトロイの遺跡を発掘した「ハインリッヒ・シューリマン」の伝記を紹介します。
  シュリーマンは1822年(今から188年前)に、ドイツの片田舎で生まれました。そして8歳の時に牧師をしていたお父さんから古代ギリシャの詩人であるホメロスの書いた叙事詩「ホメロス~トロイの戦争」の話を聞かされ、心から感動しました。お父さんが「これは神話の世界の言い伝えだよ」と言うのに、彼はきっと本当にあったことに違いないと信じ込み、いつか大きくなったら、その遺跡を探そうと心に決めたのです。
  シュリーマンは、この夢を実現するためには、まずお金が必要であると考えて猛烈に働きます。雑貨店をはじめ、さまざまな仕事について苦労を重ねながら、一方ではフランス語や英語など10カ国以上の言葉を独力でマスターし、これを活用して大成功を収め、莫大な財産を蓄えます。そしてこの財産を元に41歳からついに長い間の夢であったトロイ遺跡の発掘の準備を始めます。お父さんの話を聞いてから実に33年という歳月が経っていました。しかし、何度も失敗を繰り返し、まわりの人からは嘲笑されながら、ついに神話が歴史上の事実であるということを実証したのです。
  皆さんはこの話を聞いてどう感じますか?
  何事も夢を実現するためには“絶対にあきらめないという強い思い”と“たゆまぬ努力”が必要です。“こうなったらいいな”“こうしたいな”という気持ちだけでは単なる願望に終ってしまいます。新しい年にあたって是非「自分の夢の実現」に向けて、力強く踏み出して欲しいと思います。インフルエンザはやや下火になってきましたが、今年も健康に留意して“明るく元気でイキイキと楽しく”生活しましょう。”

2010年01月07日

中学入試の出願受付始まる

100107.jpg

  昨日から中学入試の出願受付が始まりましたが、今年は本校にとっても画期的な年になります。新しいコース制の導入後2年が経過し、この四月からは中学1年生から3年生までの全学年に「一貫選抜」と「発展」が2クラスずつ揃うことになります。そして、本学園にとっては創立60周年という節目を迎え、待望の高校の新校舎も完成します。これを機に、更なる教育活動の充実につとめていきたいと思っています。
  本年度の中学入試は前期のA日程とB日程、後期日程の3回に分けて実施させていただきます。募集方法はこれまでと同様、「一貫選抜」と「発展」の2コースに分けて行なうことになっていますが、「第一」「第二」と志望順位を記入いただけることになっています。なお、本日までの出願状況はホームページの〝Infomation欄〟に掲載していますので、ご確認ください。(すべて第一志望の数です)。
本年は暦の関係で、前期A・Bの出願受付は1月9日・土曜日までとなっていますのでご留意ください。
  新型インフルエンザの流行はやや下火になりつつありますが、入試というプレッシャーのため子どもさんはどうしても精神的に不安定になりがちです。どうかご家庭におかれましても体調管理には十分留意してあげてください。
  出願や受験に関してお解りにくい点があれば遠慮なくお問い合わせください。
また、明日からはいよいよ授業が始まります。生徒達が元気な姿で登校してくれることを願っています。

2010年01月06日

読書の勧め

tusin149oshougatu.jpg tusin149oshougatu2.jpg

  このお正月には年賀状を通じて、色々な方とのメールや電話等での交流がありました。心強く感じたのは、退職後も世の中にお返しするという思いで、これまでの経験を生かして活動されている方が多いということです。その中の一人である〝森奨(もり すすむ)氏〟より『ビジネスマンのための森流・読書術』という著書を送っていただきました。同氏はパナソニック株式会社(旧 松下電器産業)時代に大変お世話になった大先輩ですが、人事や経営の仕事を担当され定年退職された後、パナソニックの顧問を2年、大阪の色々な企業の幹部研修を5年、社会人向けの専門大学院の講師5年と実に昨年までの12年間、人材育成の仕事を担当されてきました。これらの経験を通じて、現役のビジネスマンが読書をあまりしていないことを知って驚かれ、本を読むことの大切さを訴え続けてこられたようです。ある企業の課長職を対象とした調査によると「読書を毎日30分(または週4時間以上)している人」は半数しかいないとのことです。
  最近、大変気になっているのは急速に活字離れが進んできているということです。通勤電車の中でも本や新聞を読んでいる人より携帯電話を操作している人の方が圧倒的に多いのは事実ですし、何もせずに居眠りをしている人も見かけます。いずれにしても異なる分野の人と付き合わない、本を読まないということでは人間の幅や視野が広がらないのは当然です。
  この著書の中には読書力のチェックリストとして、「読書を毎日30分以上する」「一年間に50冊読む」「新聞や雑誌の書評に目を通す」「毎週書店をのぞく」「毎月本を購入する」「いつも本を持ち歩く」「図書館を利用する」「読みたい本のリストを作る」「読書好きの友人を5人以上持つ」「読書後の感想をメモする」の10項目が紹介されています。また、読書の効果として「世界が拡がる」「専門能力が身につく」「一般教養を高める」を、具体的な読書術として「読む習慣をつける」ことや「読む時間を作り出す」ことを取り上げておられます。
  これらは一朝一夕に身につくものではありません。将来社会で活躍するためにも中学・高校・大学時代に本に親しむという良い習慣を身につけておくことが大切であると思っています。

2010年01月05日

日本経済の動向

100105.jpg

  アメリカ発のリーマンショックが瞬く間に全世界に波及し、百年に一度と言われる大恐慌に陥り、日本においても輸出関連企業を中心に業績が悪化しました。これに対応して各企業は開発・生産・販売体制の見直し、コストの削減を加速しました。設備の解消や新規設備投資の抑制、人件費・研究開発費・広告宣伝費の削減等のリストラクチャーによって必死にこの危機を乗り切ろうとしています。また、今後成長が期待される中国やインドに軸足を移す動きも出てきています。しかし、失業者の増加や可処分所得の減少によって国内の個人消費は一向に盛り上がってきません。〝巣ごもり〟という言葉に代表されるように極度の節約志向に陥り、昨今はデフレ経済に陥ることも危惧され始めています。また、今月3日に日本経済新聞社が発表した1月~3月期の主要30業種の『産業天気図予測』を見ても回復に足踏み感が出てきており、先行き全く予断を許さない状況です。
  これまで技術立国として成長を遂げてきた日本が再生するためには早急に企業経営を回復させなければなりません。これが達成できなければ税収が増えることは期待できませんし、いつまでも国債に依存する借金体質から脱皮できないことになります。また、折角大学を卒業しても就職すらできないということでは、日本の若者達に夢や希望を与えることはできません。
  このように考えると、日本にとっての最大の関心事は経済が本格的な回復に向うかどうかということになります。アメリカの一極体制から多極化体制に移行する中にあって、日本経済がおかれている現状を正しく理解し、今後の動向を注視していくことが大切であると思っています。

2010年01月04日

先人の言葉(王陽明)

100104.jpg

  1月4日(月)、本日から多くの職場で仕事が始まりましたが、皆さんはこの年末年始休暇には帰省、旅行、家の片付けや掃除、読書、学習等それぞれの思いを持って過ごされたのではないかと思います。
  私も今回の休暇にあたっては近くの神社に初詣に出かけた以外はほとんど外出せず、普段できなかった身の回りの掃除や切り抜いた新聞記事の整理や読書をして過ごしました。これまで読んだ本も何冊か読み直してみましたが、人間としてこの世に生を受け充実した人生を送るためには改めて『志を持つ』ことが大切であると感じました。
  このことはいかなる時代にあっても普遍的なものですが、特に現下の混迷する時代を生き抜くためには不可欠のものであると思います。先般、このブログで何回か〝成功者の言葉〟を紹介させていただきましたが、これらの人に共通しているキイワードは〝ゆるぎない志〟です。また、歴史上の人物の書物を紐解いても〝志を立てる〟という言葉が形を変えて随所に出てきます。そして、これらは仕事や勉強に行き詰まった時や弱気になった時に我々を勇気づけてくれると思いますので、これから何回かに分けて紹介していくことにします。
  最初は王陽明の言葉 (明代の儒学者で陽明学の始祖)です。
〝 志が立たないと何事も始まらないし、できない。どんな仕事でも志に基づかないものはない。学問を修め自分を磨こうとせっかく決意しても、ただ漠然と日を過ごして、成果をあげることができないのは、しっかりと志が立っていないからである。志を立てないで事をなすのは、丁度舵のない船やくつわのない馬のようなものである。船が波の間に漂ったり、馬が勝手に走り出してしまったりしてどこへ辿り着くか分らないことになる。従って、学問を修めて自分を磨くためには、何よりもまず志を立てることが大切である。
志が立っていないのは、根の生えていない植物にやたらに水をかけているようなもので、苦労ばかり多くて、一向に成果があがらないものだ。〟

2010年01月03日

今年の干支(庚寅)

2010%20torasoccer.jpg

  「今年のえとは?」と質問すると〝虎〟という答えが返ってきます。現に、今年いただいた年賀状を見ても虎の絵柄が数多く見られます。
  しかし、「えと」という字は「干支」と書くように「干」と「支」の組み合わせであり、十干と十二支から構成されています。つまり、十干というのは五行(木、火、土、金、水)を更に陽を表す兄(え)と陰を表す弟(と)に分け、 甲(きのえ)乙(きのと)、丙(ひのえ)丁(ひのと)、戊(つちのえ)己(つちのと)、庚(かのえ)辛(かのと)、壬(みずのえ)癸(みずのと)の10になっています。
  一方、十二支は12年で太陽の周りを一周する木星の軌道をベースにしており、子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)の12に分かれています。そして分かりやすいように動物の名前がつけられたのです。
  この十干と十二支を組み合わせると、10と12の最小公倍数である60種類の暦が出来上がります。この60の暦の最初が甲子(きのえね)であり、次が乙丑(きのとうし)と続き、最後が癸亥(みずのとい)になります。因みに昨年は26番目の己丑(つちのとうし)、今年は27番目の庚寅(かのえとら・こういん)、来年は28番目の辛卯(かのとう)になります。そして、60歳になると暦が元に戻るという意味で還暦のお祝いをするのです。
  さて、今年の「庚(かのえ)」は糸巻の芯棒(しんぼう)を表す象形(しょうけい)文字であり、芯棒であるところから、硬い・強いといった意味になります。このことから「庚」のつく今年は、すべてにおいてしっかりと基礎を築き、芯を固める年ということになります。今年、本学園は創立60周年を迎えますが、まさに原点に戻って再構築することが必要であると思います。
  なお、歴史を遡ると、甲子園球場ができたのは甲子の年(1924年)、壬申の乱(672年)、戊辰戦争(1868年)、辛亥革命(1911年)等とそれぞれ干支が刻み込まれていることが分かっていただけると思います。

2010年01月02日

今後の労働力の確保

tusin149oshougatu5.jpg  

  今年も多くの方から年賀状をいただきました。年々定年による退職者が増えてきていますが、まだまだ体力的にも能力的にも第一線での勤務が可能な人が多いようです。しかし、これまでの経験を生かし引き続いて仕事をされている人がおられる一方で、趣味中心の生活を送っておられる人もおられます。あくまで就職は個人の選択ということになりますが、今後急速に高齢化が進展するわが国の状況を見ると医療や年金にかかる財源は確実に増加していきます。そもそも現行の制度は〝人生60年〟を前提に作られており、80年を想定したものではありません。従って、現行制度のままで抜本的な改革がなければ財政的に破綻していくのは明らかです。これを解消していくためには元気な高齢者の雇用を検討していかなければならないと思います。
  現在、日本は働きたくても仕事がないという人が数多く見られますが、一方で農林水産業や介護、医療分野では人手が不足するというミスマッチの状況に陥っています。特に第1次産業においては高齢化が進み後継者が確保されていないという深刻な事態が生じてきているのです。また、第2次・3次産業においても団塊の世代の大量退職によって、これらの人が有するノウハウや技能の継承が極めて大切になってきています。高齢者の雇用を進めると若年者の雇用が圧迫されるという意見もありますが、中長期的に見ると〝労働力が減少する〟という初めての経験をすることになります。
  これからは新規分野における雇用の創出と共に産業構造に見合った労働力の確保を進めていかなければならないと思っています。

2010年01月01日

新年にあたって

tusin149oshougatu3.jpg 

  明けましておめでとうございます。
  いよいよ新しい平成22年が始まりました。昨年は100年に一度という世界大不況の中で、世界の国々がもがき苦しみながら、景気の回復のためにさまざまな施策を打出しました。この結果、アジアを中心にやや明るさが見え始めたものの依然として先行き予断を許さない状況が続いています。わが国もエコポイント等の景気対策により、一時企業経営も上向き始めましたが、円高による輸出関連企業の業績悪化、失業者の増加やボーナスの減少による個人消費の低迷等デフレ経済に陥る恐れも出てきています。このような状況下にあっては、すべての行動が内向きになりがちですが、これではますます景気の回復は期待できません。日本はこれまでオイルショックや円高という危機を乗り越えて逞しく成長してきました。その後バブルが崩壊し、この後遺症からやっと立ち直ったのも束の間、今回の不況に陥りました。そして、まさに今はこれまでのシステムが崩壊し、新たな枠組みが形成されようとしているのです。これをどのように乗り切るかが、日本にとって極めて重要な課題です。
  一方、教育についても大きな転換点にさしかかっているように思います。私学を取り巻く環境も今までにない厳しさであり、多くの学校も経営的には正念場を迎えています。しかし、前向きに考えると今は〝原点に戻ってすべてのものを見直すチャンス〟かも知れません。
  景気も人の心がつくると言われますが、今年は〝プラス思考〟で〝積極的に打って出る〟というスタンスで行動していきたいと思っています。