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2012年11月30日

直前の課題に全力を

 高校3年生は大学の合否結果が気になるところですが、受験から考査へ学習をシフトしていることと思います。考査が終了すれば、センター対策を含めた受験に向けての対策に全力を注ぐことになります。
 本校の進路指導は、将来の自分の生き方からどような分野に進むのかを考えさせ、学部、大学を選ぶことに重点を置いた指導です。「何のために」、「何を学ぶために大学に行くのか」を考えて志望校を決めさせています。育成すべき生徒像で掲げている「社会で活躍するリーダーの育成」の具体化になります。決して、大学の名前で選ばせたり、大学進学実績を優先させるために志望校を決めさせるようなことはしていません。また、「何故そこなのか」、「そこで何を学びたいのか」といった明確な志望理由を持つ生徒が、厳しさをも乗り越えられるのだと考えています。
 生徒の中には指定校推薦などで進路が決まっている者もいます。しかし、これから受験の本番を迎える生徒の方が多くいます。生徒一人ひとりの置かれた状況は違えども、自分は皆のために何ができるのかを考えて行動してくれる、と期待しています。受験は団体戦と言われる所以はここにあります。勿論生徒だけではありません。教員も、全校挙げてバックアップします。
 折しも、今朝、防衛大学校24名合格の知らせが入りました。合格者数だけを見ると昨年より少ない数です。しかし、生徒数は昨年より1クラス少ない数です。在籍者に占める割合からすると、約1割と昨年と同じになります。生徒の数の少なさを団結力の強さでカバーしてくれると期待しています。何はともあれ、今は、期末考査に全力を傾注してくれることを期待するのみです。

2012年11月29日

いよいよ最後の月「師走」

 11月も終わりになり、急激に朝晩が冷え込むようになりました。お陰で今年の紅葉はどこも美しいとのことです。11月のことを、日本古来の月の呼び名である和風月名(わふうげつめい)では、霜が降りる月「霜月」と言います。文字通り霜が降りるような冷え込みになっています。今年は例年より少し早い感じがします。「霜月」が終わると、「師走」です。師が馳せるから「師馳(しはす)」、年が果てるから「年果つ(としはつ)」、四季が果てる月から「四極(しはつ)」など「師走」の意味は諸説あるようです。いずれも「言い得て妙」です。
 ところで、英語での月名、December(ディセンバー)は、「10番目の月」と言う意味になります。ラテン語で「第10の」という意味の「decem」の語に由来していると言われています。実際の月の番号、12とずれているにも関わらずこのように呼ぶのは、ローマ暦が3月起算で、3月から数えて10番目という意味のようです。何事もその背景や成り立ちまで見ていくと面白いものです。
 いずれにしろ、一年の終わりの月、師だけでなく、みんなが走るほど忙しい月がやってきます。二学期の締めくくりの期末考査、それが終われば採点に成績処理や懇談、冬季休暇中の講習、それと並行して来年度の入試準備など休む暇なし、走り通しです。こんな時、一番元気づけられるのは生徒の頑張りや成長する姿です。手始めの期末考査、どのような「エール」を送ってくれるのか楽しみです。

2012年11月28日

日本ジュニア数学コンクールで優良賞を受賞

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 日本数学コンクールは愛知、岐阜、三重の3県の大学、高校、中学の先生のボランティア組織を母体として1990年にスタートし、1997年からは高校生を対象とする数学コンクールと、中学生を対象とするジュニア数学コンクールに分けて開催されるようになりました。「数学コンクールのねらいは、『不思議なものを不思議だと思う心』『それを何とかしてやろうと考える力』を日頃から大切にすることです。これらの、未来を背負って行くべき『心』や『力』が最近では、子供から大人になるにつれて失われていくような気がしているのです」。と、趣意書に書かれています。
 このジュニアコンクールにおいて本校の中学二年生が優良賞を受賞しましたので、今朝の中学朝礼で全校生に披露しました。これらの賞を受賞する生徒は、東京の開成や灘など東大合格者ランキングのトップ校の生徒だということからも、この賞を受賞することの難しさが分かると思います。「よく頑張った」と心から祝福の拍手を送ります。今年の夏に高校生が日本生物学オリンピックの本選に出場したのに続く快挙です。
 また、私立大学を中心に合格発表が行われていますが、昨日は防衛医科大学校医学科の一次合格発表がありました。最難関に位置づけられる受験ですが、一昨年、昨年に続き今年度の55期生も見事合格を勝ち取りました。
 これらに代表されるように、中学生・高校生とも新しい扉を開けるべく力強く前進しているように感じます。

2012年11月27日

期末考査は一週間後に

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 昨日の雨も上がり、きりりと身の引き締まる天候になりました。学園にある木々が綺麗に色づいています。中学棟の横にある大きなイチョウの木は、見事に黄葉し、黄金色に染まりつつあります。校庭のモミジも綺麗に紅葉しています。シンボルのメタセコイヤも色づいてきています。新しい年を迎える準備をする冬の季節です。年輪が、また一つ増えることになります。春から夏にかけて急激に成長する部分と秋から冬にかけてのあまり成長しない部分があるから年輪ができます。日本のように四季のある、季節にメリハリのある国で成長する木々には、明確な年輪ができます。
 二学期もいよいよラストスパートの時期になりました。4月からスタートした学年も「年輪」が一つ増えようとしています。年輪ができるためには、グンと成長した時期が必要でした。自分自身に問いかけてみて下さい。いや、自分は熱帯で育つ木のように勢い良く右肩上がりに成長し続けているから「年輪」のようなものはできない、というのであれば良いのですが、目に見えた成長が無いということでできないのでは困ります。学習面だけに限ったことではありません。クラブ活動も含め、全ての学校生活の面においてです。
 期末考査が一週間後に迫っています。言うまでもないことですが、二学期の学習面での成長の度合いを測る考査です。不完全燃焼のまま過ごしてきた人は完全燃焼目指して努力しましょう。順調に過ごせてきた人は更に高い目標を目指しましょう。成長の証となる年輪がどのようなものになるか楽しみです。

2012年11月26日

「やる気のスイッチ」は脳の中にあった

 医学の進歩の中で、いろいろなことが分かるようになってきています。その中に、脳が行う記憶や情報の処理だけではなく、意欲や「やる気」といった問題にも科学的解明が行われるようになってきています。行動や運動における「やる気」は、予測される報酬の量に影響されるといわれ、その予測に、大脳基底核の「腹側淡蒼球(たんそうきゅう)」という部位の神経細胞が関わっていることが、自然科学研究機構・生理学研究所の橘吉寿助教と米国NIH(国立衛生研究所)の彦坂興秀博士らのサルを使った研究で分かったと報道されています。腹側淡蒼球こそ、得られる「報酬」を予測して、「やる気」をコントロールする脳の仕組みの一部であると考えられるそうです。「やる気」につなげる脳の仕組みを発見ということになります。
 いままでから、脳は自分を守るため、重要な情報か否かを選択し、重要でないと判断したら即座に忘れるといわれていました。情報の選択を脳の自動処理に丸投げしている人は重要な情報をすぐ忘れるといわれ、記憶力を高めるには、意識的に情報の選択を行えば良いといわれていました。また、人間は何かを学ぶときに褒められた方がより記憶に定着し効果的に学習できるということも解明されてきました。昔からいわれている、子どもは「褒めて育てよ」ということも科学的に解明されたことになります。「やる気」が学習意欲や習熟度を高めることは今までも言われてきたことです。今回の研究で、どうすれば「やる気」を引き出せるようになるのかの解明が進むことに期待したいものです。

2012年11月25日

進む海洋の酸性化

青:北緯 10 度、緑:北緯 20 度、赤:北緯 30 度における pH。図中の数字は 10 年あたりの変化率(減少率)。pH の数値が低くなるほど(下に行くほど)、「海洋酸性化」が進行していることを示す。(11/20、気象庁報道発表資料より)
 上のグラフは、東経 137 度線における表面海水中における水素イオン濃度指数(pH)の長期変化を表したものです。 ちょうど紀伊半島沖から南方の北西太平洋海域を調べたものです。海水は本来弱アルカリ性ですが、大気中の二酸化炭素(CO2)の増加で酸性化していると考えられています。「すべての緯度帯においてpH が10 年あたり約 0.02低下し、「海洋酸性化」が進行している」(同報道発表資料)とのことです。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による報告書では「産業革命以前 (1750 年)と比べて pH は全海洋平均で 0.1 低下している」と指摘しています。過去250年間の5倍のスピードでpHが低下していることになります。このまま進むと海洋が大気から吸収できる二酸化炭素の量が減り、地球温暖化が加速することも懸念されているといわれています。
 また、「海洋酸性化」が進行すると、サンゴ礁の発達や形成が阻害されたり、プランクトン、貝類、甲殻類といった生物の殻や骨格の成分である炭酸カルシウムが溶出し小型化するなど、海洋の生態系に大きな影響を与えるのではないかと考えられています。
 地球温暖化が叫ばれ、CO2の排出規制が大きな問題として取上げられてきました。今回発表されたデータも、その取り組みの緊急性を訴えています。産業革命以降急激にCO2の排出量が増加してきましたが、科学技術も急激に進歩してきました。この力によって、CO2排出を減らす道が切り拓かれると信じています。

2012年11月24日

第三回高校入試説明会

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    クラブ紹介~剣道部~           ~放送部~
 きょうは本年度最後となる高校入試説明会を行いました。三連休の中日でしたので、受験生はもちろんのこと、お父さんの出席が目立ち、900席の講堂がほぼ満席の状態でした。毎年のことですが、最後の説明会は土曜日の午後に実施しますので、生徒たちも手伝ってくれます。開会前には昨日の兵庫県総合文化祭(県大会)で5年連続最優秀賞を受賞したギター・マンドリン部が演奏し、説明会の中では放送部や剣道部が自分たちの感じている学校生活の様子や練習の一端を披露してくれました。説明会終了後、施設やクラブ見学と個別の相談会を行いました。
 これで中学・高校とも3回の説明会が終わりました。中学は昨年を上回り、高校は昨年と同程度の資料配布や参加者がありました。来年は第二ステージ、中学改革後のコース制の完成の年であると共に、第三ステージへ向けての取り組みを本格的に始動する年になります。大学進学者数だけを目標にする改革ではありません。創立の精神を体現すべく「社会で活躍するリーダーの育成」を目指した学校改革です。「人間力」をシッカリ身につけ、その上に「学力」をつけることを考えています。「学力」も単なる「受験学力」を考えているのではありません。「本物の学び」を追求するとともに受験にも対応する学力を目指しています。「学力」は「学ぶ力」ともいわれています。知識や知恵と共に「学ぶ力」を備えた生徒を育てたいと考えています。
 本校の目指すものや教育理念に賛同していただける方が多数受験してくださるものと期待しています。


2012年11月23日

高校受験を考えている皆さんへ

 高校受験とは何だろう。中学3年生の皆さんは、こんなことを考えている暇はない、目の前に迫った受験のために一生懸命勉強するだけだ。何のために高校へ行くのかは、高校に入ってから考えれば良い、と思っているかもしれません。とりあえず、仲の良い友達が行くから自分もそこへ行く、とか、先輩が行っているからとか、自分の成績からするとこの「ランク」の学校、というように考えてはいないでしょうか。公立、私立を問わず、それぞれの学校には特徴があります。選ぶ学校によって高校生活も大きく変わってきます。ですから、学校選択は、学校を良く調べることが大切になります。決して、大学進学のための勉強をする通過点にあるものではありません。
 高校の3年間は後から振り返ってみるとわかることですが、自分の生き方に大きな影響を与える3年間です。苦手だと考えていたものが、高校でより専門的な勉強することにより、その教科の面白さが分かり好きになったりします。その結果、漠然と考えていた進路も大きく変わったりします。友達との関係も、中学時代に比べ、より生き方と関係した仲間選びや付き合いになってきます。所謂「生涯の友」ができるのもこの時期です。クラブ活動などを通じて、こういった友達が出来てきたりもします。また、自分の生き方に大きな影響を与えてくれる先生との出会いがあったりします。生徒と先生の関係は、その学校の雰囲気をつくる重要な要素になります。
 高校時代は、人生の中で一番輝き大きく変化、成長する時期だと行っても過言ではありません。そういった生活を支えてくれる場が学校です。私たちは、皆さんの期待に応えられる学校づくりに精一杯努力していきたいと考えています。

2012年11月22日

24日は最後の高校入試説明会

 今週末の土曜日、24日に本年度最後の高校入試説明会を行います。公立中学校では、来年度入試に向けての予備懇談や進路相談が行われている時だと思います。いよいよ進路決定の時です。入試の形態が複雑になってきて、公立高校にするのか私立高校にするのかという単純な選択では済まなくなってきています。公立高校で考えてみましても、兵庫県や大阪府において呼び方は違いますが、前期入試、後期入試とあります。前期と後期では同じ学校でもコースや学科が違ったものですが、今年度から大阪府では同じ普通科で、前・後期と2回入試を行うようになってきています。受験機会が増えたことになります。このことが受験生にとってプラスになるのかマイナスになるのか判断が難しいところです。ただいえることは、競争による淘汰が進むことは間違いないと思います。
 進路選択にあたって大切なことは、自分が進学しようとする学校について良く調べ、この学校なら頑張れるという確信が持てるところを選ぶことです。その学校の目指しているもの、教育理念が賛同できるものであるかどうか、私学であればその学校の創立の精神がどのようなものであるかということを理解しておく必要があります。受験機会が増えたことによる弊害として、第一希望の学校はハッキリしているが、後は取り敢えず受けておこうと言った安易な考え方です。第一希望の学校に進学できる保証はありません。第二・第三希望であってもその学校を良く調べ、進学する意志のある学校でなければなりません。
 雲雀丘学園が何を目指し、どのような教育理念を持った学校なのか、耳を傾けていただければ幸いに存じます。

2012年11月21日

ルーティンワーク

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校庭の木々も色づいてきました
 きょうは高3生がセンタープレを実施しています。センター試験本番と同じ時程で実施します。模試ですから、今の自分の力を計るのは当然のことですが、来年1月19・20日に行われるセンター入試と考え、準備から心構え、気構えや時間配分などのシミュレーションを行う絶好の機会と捉えて取り組んで欲しいと考え企画しています。
 ここ一番という時に最高のパフォーマンスを発揮することはなかなか難しいものです。オリンピックなどもそうですが、実力を発揮できずに思うような結果にならないことが多くあります。しかし、中には本番に強いと言われる人もいます。その背景には、スポーツの分野でも体を鍛えるトレーニングだけでなく、心を鍛えるメンタルトレーニングなどの研究が進み、その成果が出ているということがあるのかもしれません。そのメンタルトレーニングの中に、ルーティンワークというものがあります。イチロー選手が打席にはいる前に行う一連の動作のように毎回決まった動作のことをいいます。グランドに入る前にも、右足、左足どちらの足から入るかも決めているという徹底ぶりです。過度の緊張を解きほぐし、平常心で臨むのに効果的だと言われています。このルーティーンワークに「こうした時にうまく行った」という成功体験を結合させるトレーニングもあるようです。試合前日の食事は「テキ」に「カツ」といえば眉唾物になりますが、メンタルトレーニングは科学的裏付けもあるようです。
 試験に臨むルーティンワークも大切です。が、毎日シッカリ学習し、翌日の準備を怠りなく、朝早く起きて食事をとる規則正しい生活習慣こそ最良のルーティンワークだと思います。

2012年11月20日

「胸突き八丁」

 高校3年生のフロアーに張ってある「センター試験までのカウントダウン掲示板」も60日余となりました。いよいよ最後の追い込みです。
 「胸突き八丁」という言葉があります。「物事を成し遂げる過程で、いちばん苦しい正念場」を表現する言葉です。高3生にとって、大学受験は「胸突き八丁」にさしかかっています。「胸突き八丁」はいちばん苦しい時でもありますが、「ゴール」が目の前に近づいてきている時でもあります。あと少しということで、苦しさを乗り越えようとする意欲が湧いてくる時でもあります。また、今まで積み上げてきた努力の結果が集約され、質的変化が期待される時でもあります。言い換えれば、ここを頑張れば、グンと飛躍できる可能性を秘めている大切な時といえます。
 「胸突き八丁」を如何に乗り越えるか。この時、「これは出来る」、「ここまでやれた」、「よし、いけるかも」といった「プラス思考」で臨むことが大切だ、と私は考えています。「あれも出来ない」、「これもやらなければ」、「時間がない」など「マイナス思考」の方が、自分を追い込み力が出せる人であれば良いと思いますが、たいていの人は焦りが増幅されるだけで、良い結果は出ないと思います。当然、「プラス思考」が慢心になったり、根拠の無い「楽観論」に陥ってはいけません。油断や慢心に気をつけながら、「出来た」ことを自信と確信に変え、挑戦意欲を更にかき立てるバネにしましょう。そうすれば、「質的変化」が起こり、グンと飛躍できます。平たく言えば、「こうしたい」、「こうありたい」と思う気持ちの強さが問われているということかもしれません。

2012年11月19日

中学3年生研修旅行を終えて


 3泊4日の中学3年生の研修旅行が終わりました。修学旅行という名称を使用せず、研修旅行と銘打っているのは、中学生活の終わりというより、高校生活に向けてという意味合いを強調するところから研修旅行と言う名称を使っています。あくまで次に向けてという位置づけです。もちろん、中学生活の総仕上げという面も含めて考えています。
 平和教育、環境教育、そしてファームステイを通して自己を見つめ直す、これが人間教育の大きな柱になると位置づけている取り組み、が研修旅行の内容です。平和祈念資料館での展示、埋め立て地へ向けてトラックが土を運んでいる光景の中での泡瀬の干潟での動植物観察、ファームステイの想いが集約された伊江港での涙を流した閉村式、美ら海水族館で見た魚たち、これら一つ一つが生徒の心にインパクトを与えてくれたと思います。
 あの悲惨な戦争が過去に起こった出来事だ、とだけの捉え方をして欲しくありません。二度と起こしてはならないという決意は勿論のことですが、人の尊厳を軽視するような考え方や行動をしていないかという観点から日常生活を捉え直して欲しいと考えています。「人をバカにしたような言動や対応」はどういった道につながるのか、「仲間を大切にする」というのはどういった対応をする事なのか、日々の生活の中で実践できてこそ本物になったといえます。また、「人の心を打つ」、感動するというのは、自分のことだけを考えてする行動の中からは生まれてきません。無私の精神、人のために努力する姿の中から生まれてくるものだということも実感できたと思います。
 「経験は人を育てる」といいます。数多くの良い経験ができた研修旅行だったと思います。

2012年11月18日

ファームステイ


 本部半島の北西約9kmの位置にある伊江島は、周囲22.4kmの小さな島です。さとうきび、葉たばこ、野菜、果樹、肉用牛、乳用牛等の産業が盛んです。島には高等学校がなく、15歳になると親元を離れ本島の高校へ進学するため、日本で一番早く子どもが自立する島だといわれています。人口が約5000人で牛の方が少し多い島でもあります。
 本校が、この島でファームステイをするようになって7年が経ちます。中学生の頃には、みんなが思春期の課題、一人前の大人になっていくための「自立」という課題をもっています。この頃の特徴は、周りの大人を観ながら、「自分はこんな大人になっていこう」、とか、友達を観ながら「こんな人間になろう」、というように自己を確立していく時期です。ですから、親をはじめ周りの大人に反抗したり、友達と「ぶつかり合ったり」という現象が現れてきます。こういう時期だからこそ、ファームステイが家庭や親、ひいては自分を見つめ直す機会として重要な役割を果たすと考えてきました。過去にも、男子生徒ですが「お父さんと喧嘩して、一年ぐらい話をしてなかった。家へ帰ったらお父さんと話をするように努力します」、と2泊3日のファームステイを通しての感想を述べていたことがあります。
 昨日から農家の皆さんにお世話になっていますが、「なにも言わなかったのに、朝起きたら布団がきちんと畳んであった」とか、「よく手伝いをしてくれる」といったお褒めの言葉を各家庭からいただいています。普段、家では見られないことも起こっているかもしれません。何かが心に芽生えてきていることを期待しています。

2012年11月17日

「イチャリバチョウデー」


 研修旅行2日目のきょうは、沖縄市にある県下最大と言われる泡瀬の干潟での環境活動を行いました。満ち潮で、干潟の様子はそれらしい様相ではありませんでしたが、浜に打ち上げられたプラスティックなどの人工物のゴミを収集をする傍ら、豊富な動植物の観察を行いました。カニや小動物だけではありません。大きな石の下から、タコを発見して捕まえたグループもありました。豊かな自然が残されていることに改めて感心させられた次第です。
 地元の方と一緒に活動するといろんなことが学べます。「イチャリバチョウデー」もそうです。これは、沖縄のことわざで、「イチャリバ」(出会えば)、「チョウデー」(兄弟)で、「一度会ったら皆兄弟、仲良く語り合おう」という意味だそうです。1500年代の琉球王国には軍隊があるから争いが起きるという考えのもと、軍隊を置かなかったそうです。以後100年ほど、軍隊のない王国として発展してきた歴史の中で生まれてきた言葉なのではないかと言われています。横のつながりが強く、人々の温かさをも表す沖縄の言葉です。私たちも、「袖すり合うも多生の縁」と言う言葉をよく親の世代の人たちから聞かされたことがあります。単なる偶然ではなく、すべて前世からの因縁によるものだから、どんなささやかな出会いも大切にしなさいということでした。最近は肩が触れ合うと大変なことになったりもするご時世でもあります。今一度、出会いや人を大切にするという伝統があったことを再認識する必要があると思いました。
 せっかく捕まえたタコですが、旅行中無駄に死なせてはいけないので、みんなで見送りながら海へ帰してやりました。「イチャリバチョウデー」、いい言葉です。

2012年11月16日

中学3年生研修旅行


 中学3年生は研修旅行で沖縄に来ています。きょうは南部地域を中心に見学し、平和について学びました。
 緑の樹木に、岩肌が見える断崖、綺麗な白波が立っている青い海、美しい景色が目に飛び込んでくる摩文仁の丘に沖縄県平和祈念資料館があります。ここに展示されている貴重な資料や映像などに目を背けることなく、シッカリと心に焼き付けてきました。資料館設立理念には、「"沖縄のこころ"とは、人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する心であります」、と書かれています。"沖縄のこころ"を受け止め、平和の尊さ、人の命はなにものにも代え難いものだと実感しました。
 ザワワ、ザワワ、風にそよぐサトウキビです。そのサトウキビが生い茂る畑のそばにガマがあります。ヌヌマチ、クラシンジョウ、陸軍病院山城本部壕の3ヶ所に分かれてガマ見学に行きました。60数年前、この場であったことに思いを馳せると共に、真っ暗闇というのはこういうことを言うのだ、と初めて体験できたと思います。
 いずれも、生徒たちにとっては研修旅行ならではの貴重な体験になったと思います。戦後しばらく、沖縄でとれる野菜や果物はびっくりするほど立派に成長したものだったそうです。なぜだか分かりますか・・・。そうです。食物が成長するための肥料になる成分が、たくさん地中にあったからです。ガイドさんの話に涙する生徒たちです。シッカリ受け止められる立派な生徒たちだと思います。戦争を起こすのも人間であれば、戦争をやめさせる努力ができるのも人間です。どういった人間になるのか、明確な答えを持ったことと思います。

2012年11月15日

研究授業

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 きょうは数学の研究授業が行われました。高校1年生の数学で、三角比です。sin(サイン)、cos(コサイン)が出てくるところで、数学が難しいと思うようになるところです。
 本校では、教員の授業力向上のための取り組みがいろいろ計画されています。公開授業旬間というものもあります。先生方同士互いの授業を見学し、授業力向上に努めようというものです。もちろん、教科の枠は関係ありません。自分の専門教科だけでなく、「あの先生」の授業を見学したいとなれば、他教科の授業を見学することもできるようになっています。教科の指導力はもちろんのことですが、授業を展開していくコツやヒントを他教科の先生からも学べるようにした取り組みです。これとあわせて教科指導力を高めるための研究授業も行っています。同じ教科の先生方が自分の教科の指導はどうあるべきかなどを研究するためのものです。
 言うまでもありませんが、優れた専門知識があっても良い先生とはいえません。教育力が必要です。自分には無理だと決め込んでいる生徒に、実は違うんだ、分かるんだ、力があるんだということを自覚させるためには、教育の専門家としての力が必要になります。
 今日の研究授業を行ったのは、今年初めて教壇に立つ若い女性の先生です。専門の力があるのは経歴からわかるのですが、教育に関する力は未知数です。ところが、教育する上で一番大切ともいえる、先生と生徒の信頼関係がシッカリとれているのには感心させられました。生徒が生き生きし、先生と一体となって授業が展開されていました。まだまだ課題はありますが、基本がシッカリしており将来が楽しみだ、と思わせる研究授業でした。

2012年11月14日

タブレット研修会

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 きょうはインストラクターの方を招いて、先生方を対象にタブレットの研修会を行いました。タブレットは、板状のという意味で、薄い板状のコンピュータのことをさします。小型で軽量です。以前から、授業にコンピュータを活用しようと、ICT(Information and Communication Technology)の重要性が叫ばれてきました。そして、いろいろな試みや素晴らしい実践例も多くありました。しかし、多くの学校現場で日常的に活用されているかといえば、そうとは言えない現状があります。まだ、コンピュータをツール(道具)として活用するには、いくつかのハードルがあるからだと思います。その一つには、鉛筆やはさみ、定規やコンパスのように、必要な時にさっと出して使えないという問題があります。確かに以前に比べると小型、軽量になりました。しかし、まだまだ教室の机の上で使うには場所をとりますし、何より、電源を入れて使用できるようになるまでに時間がかかるという問題があります。もう一つ大切な点として、価格の問題があげられます。コンピュータは安くなってきてたとはいえ、まだ高価な品物です。それに比べて、活用には賛否両論あるのは承知していますが、電子辞書は今あげた点を克服しているから普及してきていると思います。コンピュータのある教室へ行き、その使い方や活用方法を勉強するという考え方から、生徒が活動している場所にコンピュータがあり、そこであたかも筆記用具を使うのと同じように使えるようにするという考え方に転換しなければ、ICTの活用にはならないと思います。タブレットがその可能性を示してくれた、と感じた研修会でした。

2012年11月13日

マヤ文明の衰退の原因から見えてくるものは?

 文明の盛衰はよくあることですが、高度なマヤ文明の衰退は謎に包まれているといわれています。11月9日発行の「Science」誌に、「気候変動との関連が認められた古代マヤ政治システムの発展と崩壊」という研究結果が掲載されています。それによりますと、崩壊の原因は壊滅的な火山噴火や地震、伝染病ではなく、気候変動が大きな要因だったとされています。
 洞窟の床面から伸びる石筍から、気候変動と文明興亡の関係を分析したところ、「マヤ文明の古典期初期は、数千年レベルの異例な湿潤期だった。農産物の生産が増え、人口が急増した時期と重なって」と米ペンシルバニア州立大学ダグラス・ケネット氏は話しています。もともと「マヤのシステムは多雨を前提にして構築されていた」。「降雨パターンが変わると行き詰まる」、と同氏は指摘しています。石筍の記録によると、1,020〜1,100年にかけてマヤ地域は過去2,000年で最も長い乾期を経験しているそうです。乾燥時代に入り干ばつが頻繁に発生、「統治者は神々と直接対話できる」という政治システムも、統治者が願っても降雨や豊作が実現せず、影響力が弱まり争いが起こるようになったのではないかとされています。「気候変動の一因はマヤ人自身にある。都市と農地の拡大により森林伐採が広範に進んだため、土壌から大気中に蒸発する水分が減少した。自然の降雨サイクルが遮られ、降水量が減ったのだ」、と気象科学者ベンジャミン・I・クック氏は今回の研究を受けて話しています。
 開発による環境破壊は、今も昔も変わらないということです。環境保護と開発が両立する道は無いのでしょうか。

2012年11月12日

「不動智神妙録」に学ぶ

 沢庵禅師が柳生宗矩に与えた書簡を集めた「不動智神妙録」という書物があります。「剣禅一味」を説き、禅で武道の極意を説いた書物です。その中で、「無明住地煩悩」を説いています。「無明とは明になしと申す文字にて候。迷ひを申し候。住地とは止まる位と申す文字にて候。物毎に心の止まる所を住地と申し候」。つまり、惜しい、欲しい、勝ちたいに執着し、心の止まることを迷いと言っています。もう一つは、「不動智」です。「不動とは、うごかずといふ文字にて候。智は智慧の智にて候。・・・向ふへも左へも右へも、十方八方へ心は動き度きやうに動きながら、卒度も止まらぬ心を不動智と申し候」。つまり、こころを四方八方に自由に動かしながら、しかも一つの物、一つの事には決してとらわれない事が「不動智」で、これが悟りだと説いています。
 試合の時に何とか勝ちたい、良い成績を上げたいと思い、対戦する相手の試合を観察します。面が得意なようだから、「打ってきたらこう対応しよう」などと考えて試合に臨むと、全然違う展開になって良い結果がでないということがよくあります。相手が打って来るのを見るから打たれるのです。つまり執着です。「強そうだけど、自分の持っているものを出し切ろう」と開き直って対戦する時の方が良い結果がでたりします。これが「不動智」かもしれません。
 これは剣道の試合だけに限ったことではありません。入学試験等においても言えることです。合格したい、落ちたらどうしようということに執着して、心が止まっていてはいけません。やるべきことを「淡々と」やる、前進あるのみだということを教えてくれています。

2012年11月11日

「褒めて共に喜ぶ」

 「人間は何かを学ぶ時、褒められた方がより記憶に定着し効果的に学習できることを、生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授らの研究チームが科学的に証明した」、と7日付の米科学誌プロスワンに掲載されました。パソコンのキーボードを打つ練習での実験結果だそうです。定藤教授は「褒められることは、脳にとっては金銭的報酬にも匹敵する社会的報酬だ。この社会的報酬を得ることで、運動技能の取得がより上手に促されることを証明した。“褒めて伸ばす”ことの科学的な妥当性を示すものであり、教育やリハビリテーションにおいて、より効果的な“褒め”の方略につながる可能性がある」と話されています。
 「子どもは褒めて育てた方が良い」、とか「人は褒めて育てよ」、と古くからよく言われてきました。できていないところや課題ばかりを強調しないで、「チョットは褒めてやれば」といったテクニックの問題として捉えたくはありません。その人が持つ「人間観」、「教育観」の問題として捉えるべきだと考えています。完璧な人間がいないように、人はそれぞれ自分の課題を持っています。それを克服していく過程そのものが人生だともいえます。「褒める」ということは「評価」そのものです。どうして克服できたのか、何が良かったのかなどの分析を行い、他の課題に活用していこうとする意欲につながると思います。「よし、次もやってやろう」という「やる気のスイッチ」が入り、「成功体験」を増やすことになります。「褒めて共に喜ぶ」人間でありたいと思います。

2012年11月10日

3学年の学年懇談会

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 立冬が過ぎました。校庭の大きなイチョウはまだ青々とした葉を一杯つけていますが、他の木々の葉は色づいてきているものもあります。芝生は休眠状態に入ったのか、色が変わってきています。今年の紅葉は少し早いといわれていますが、まだまだこれからという感じです。紅葉の季語は秋、暦の上では冬です。
 きょうは中学1・2年生、高校1年生の3学年が学年懇談会を行いました。多くの方に参加していただけるように土曜の午後を設定しますので、どうしても学年が重なってしまいます。兄弟、姉妹がある方には、忙しい思いをさせることになり申し訳ありませんでした。学年の後半から新学年に向けてのそれぞれの課題を共有し、協力をお願いする大切な懇談会です。いつも多くの方に参加していただき感謝しています。
 中学時代の大きな課題は「自立」です。我が子の「自立」をどう手助けするか、手を差し伸べるところと我慢するところの兼ね合いが難しいところです。学校生活においても、我々教師が苦労するところでもあります。絶えずこの課題を念頭に置いて、いろんな取り組みを進めていくことになります。また、この時代には、読書や好きな教科はもちろんのこと、クラブ活動など夢中になれることを見つけて欲しいと考えています。これが、「自立」に向けての鍵になることもあります。そのための仕掛けや仕組み、出会いをたくさんつくっていきたいとも考えています。
 四季のある日本では、春夏秋冬、最後の季節になります。しかし春を迎えるための準備の季節とも考えられます。厳しい冬を乗り越えてこそ、素晴らしい春を迎えることができます。

2012年11月09日

無用の用

 『老子』には「埴をうちて以て器を為る。その無に当たりて器の用有り(粘土をこねて器を作る。器の中にある空間は一見無用に見えるが、その空間があるから器が作れるのだ)」とあり、『荘子』には「人は皆有用の用を知るも、無用の用を知る莫きなり(人はみんな明らかに役立つものの価値は知っているが、無用に見えるものが人生において真に役立つものだとは知らない)」とあります。「無用の用」です。
 学校で学ぶ全ての科目を、人生でこのように役に立つとか、生き方にこのように関連すると明確に意味付けすることは難しいと思います。だからといって、学ぶ必要がないということにはならないと思います。しかし、こと受験に関していえば無用だからやらないということになりがちです。私立大学受験対策として、受験に必要とされる3科目だけで週に30時間ほどあてるコース設定をしているところもあったりします。徹底した「無用の排除」です。気持ちはわからない訳では無いですが、果たしてこれで良いのでしょうか。「無用の排除」という考え方は、何が無用で、その判断を誰がするのか、またその判断が正しいのかという問題が出てきます。可能性を広げる思考ではなく、狭めていく思考だといえます。
 本校は学校改革の第2ステージに入り、全てのコースを国公立対応型のカリキュラムにしました。言い換えれば、どのコースも全ての科目を学習するということです。受験のためのコース制から「人間教育」のためのコース制への移行、と私は呼んでいます。受験にこそ、役に立たないように見えるものが、かえって役に立つことがある、「無用の用」が大切なのではないでしょうか。

2012年11月08日

中学3年生研修旅行によせて


 「沖縄研修旅行」は中学の三年間を締めくくる大きな行事です。今まで、中学一年では自然学舎、二年では林間学舎と宿泊行事を経験してきました。これらに共通していることは、現地に行かないと学べないことをシッカリ学習してくること、同時にクラスや学年の仲間と寝食を共にすることにより友情や仲間意識を向上させることがあげられます。今回は今までと違い伊江島でのファームステイを経験することになります。ホテルに宿泊するのとは違い、「家族の一員」として協力することもたくさんでてきます。これらを通して学ぶことも多いと思います。
 さて、みなさんは「沖縄」といえば何をイメージするでしょうか。南国の青い海、美しいサンゴ礁などをイメージする人は多いと思います。飛行機からみる島やバスで移動中に見る景色、伊江島での風景はイメージ通りのすばらしいものです。しかし、60数年前地上戦が繰り広げられた地でもあります。今も、まだその痕跡が残っているところもあります。“平和の心を世界へ”という願いでつくられた平和祈念資料館も訪れます。目を背けないでシッカリ見てほしい、戦争とは何だったのか、今の私たちは何をしないといけないのか、必ずみなさんの心に問いかけてくるものがあるはずです。これも沖縄の姿です。
 環境講座で沖縄の海や魚、サンゴについて学びました。「美ら海水族館」も訪れます。事前に学習をしていますので、現地での見学もより中味の濃いものになると期待しています。
 目の前を流れていく風景や景色、事象をただ漫然と見ているだけでなく、その奥に潜んでいるもの、本当の姿を見抜ける力をつける研修旅行にしてほしいと考えています。

2012年11月07日

PTA秋の講演会

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 きょうは学園PTA文化教養委員会主催による秋の講演会を実施しました。講師を神戸女学院大学名誉教授の内田樹先生にお願いしました。「生きる力を育てる」という演題で、今回の初めて披露するという「初ネタ」を二つ交えての1時間30分の講演でした。
 なるほどと感心したり、本校の進めている学校改革と共通するというか共鳴する点を感じる講演内容でした。
 まず、学校はどのような生徒を育てたいかというメッセージを発するところから始まる、と言う点です。創立の精神「孝道」をベースに「人間力」と「学力」を備えた「社会で活躍するリーダーの育成」をめざす、というビジョンを語ってきた私たちの取り組みと共通するものを感じました。「ニーズ」に応えるということについても、それをどうとらえるか、それを調べ調査するだけでなく、その背景を分析し、むしろ「ニーズを掘り起こしていく」姿勢が大切だ、と私は考えています。このことについても背中を強く押された感じがしています。
 二つ目に、子どもの成長の捉え方と「学びの起動」についてです。「本物の学び」の追求、環境に対する取り組みをはじめ多くの成功体験をつくらせる仕組みや姿勢が「学びの起動」の仕掛けになると思います。「起動」のスイッチが入れば凄いエネルギーで学びがスタートします。そのためには、ある程度の期間「待つ」余裕、「成長を見守る期間」が必要だということになります。競争や「せっかちに組み替える」ことでは、この機会をつぶしてしまいます。6年のスパンが必要になります。
 「知の非対称性」など、まだまだ多くの点がありますが、私にとって共感、共鳴、そして勇気づけられる講演でした。

2012年11月06日

中学3年生第2回環境講座

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 昨日の5日、中学3年生は沖縄研修旅行に向けて、2回目の環境講座を行いました。今回は琉球大学理学部教授の土屋誠先生をお招きして、「沖縄の自然」をテーマに講義をして頂きました。
 今回の研修旅行で、泡瀬の干潟に行くことになっています。この干潟は、沖縄県沖縄市にあり、現存する干潟や藻場などの浅海域の広がりとしては南西諸島でも最大級の規模を誇る干潟だそうです。干潟の貝の種類、海藻の種類、渡り鳥の越冬数などが多く、干潟の生物多様性の高さが日本一といわれています。また、「青い海、白い砂」という沖縄のイメージと違い、泥、礫(れき)、砂、海草藻場、珊瑚という一連の生態系を保ち、本来沖縄にあったであろう海のあり方が見られる場所だともいわれています。
 沖縄にはたくさんの干潟がありました。それが、開発により埋め立てられ、少なくなってきたといわれています。私たちは沖縄に研修旅行に出かけるようになって10年近くなりますが、泡瀬の干潟に行くのは今回が初めてです。奇麗なサンゴ礁に色鮮やかな魚が群れるイメージとは違った沖縄の海の姿も、シッカリ観察してきたいと考えています。環境保護と開発、これは相反する概念でしょうか。人間が豊かな生活を送れるようにするためには開発も必要でしょう。しかし、そこに環境を保護しながら、自然を大切にしながら開発を考える道も必ずあると思います。
 中学生活を締めくくる研修旅行です。仲間とともに一生の思い出になる研修旅行にしてほしいと考えるとともに、環境問題を含め沖縄の抱えている問題をシッカリ受け止める研修旅行であってほしいと思います。

2012年11月05日

ヘルバルトギムナジウム生来校

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 ドイツの北西部にあるオルデンブルグという都市から11名の生徒が本校にやってきました。ヘルバルトギムナジウムの生徒たちです。この学校との交流は、17年前にスタートしています。当時はグローバル化も今のように焦眉の課題にはなっていませんでした。その頃から、海外の学校との交流を始めた本校の先輩諸氏の先見性に敬服しています。この交流も、平成11年からは本校生もヘルバルト校を訪問する相互交流という形へと発展して行った時もありました。平成15年はSARS及び世界情勢の影響で、本校からの訪問は中止ということもありました。そして、平成17年が最後の訪問となり、その後はヘルバルトから来ていただくだけの形になりました。双方の担当者が変わっていく中でも交流は続けられ、現在に至っています。私たちは相互交流を諦めた訳ではありませんが、現状の交流を継続していきたいと考えています。
 ヘルバルト生は朝から職員朝礼での挨拶や本校の授業への参加、放課後はクラブ活動など、忙しい一日を送ることになったと思います。何せ、ドイツより過密な日本の学校生活ですから。また、11名の生徒たちは本校生の家庭にホームステイしていますので、一日中生活を共にしていることになります。わずかな期間ですが、充実した日々になると同時に良い思い出を一杯つくってくれることと思います。本校を訪れた彼らの先輩のなかには、日本の大学で学ぶために再び来日している人がいると聞いています。この訪問が日本に対する理解を深める手助けになってくれれば、と願っています。

2012年11月04日

本年度最後の第三回中学入試説明会

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 本年度最後の中学入試説明会を実施しました。連休の最終日、しかも行楽日和にもかかわらず、多くの方に参加していただきました。
 中学入試は一昨年、昨年と多くの方に受験していただきました。今年がどうなるか気になるところですが、過去の様子を見ていましても、何が受験者数予測の指標になるかを確定するのは難しいところです。ただ、校内で実施する説明会の参加者数や資料配布部数が、受験者数との相関が大きいことは間違いありません。そこで、三回実施している校内説明会の様子で過年度と比較してみますと、過去最高の受験者数及び入学者数であった昨年度より、参加者数・資料配布部数とも今年の方が多いという結果になりました。この数が昨年を上回る受験者数に結びつくとは断定できませんが、多くの方に関心を持っていただいているという指標になることは間違いありません。このことにつきましては、本校としましてもありがたく思うと同時に責任重大であるとの気持ちが強くなっています。創立の精神「孝道」をベースに、「人間力」と「学力」を備えた「社会で活躍するリーダーの育成」の更なる進化をめざし、第3ステージへ向けての学校改革を進めています。改革の観点は、生徒の視点に立ち、教育の原理原則を踏まえ、社会の要請に応えるという点を堅持して参ります。
 入試に向けて最後の追い込みの時期だと思います。夢が叶う割合は、思いがどれだけ強いのかに大きく影響されると思います。目標実現に向け更なる努力を続けて行かれることを期待しています。

2012年11月03日

「中だるみ」の問題

 私立中高一貫校の共通の弱点として「中だるみ」の問題が取上げられます。中学・高校と6年間ありますから、どうしても中学2年生から3年生あたりにかけて家庭学習の時間も少なくなり成績も下降気味になるという現象です。ただ、そこから高校3年生に向けてまた再び上昇していくのですが、この下降するところをなんとかできないだろうかという問題提起だともいえます。
 本校においても、この問題について成績データなどを定点観測し分析を行っています。個々の学年や年度の特徴だけに目がいかないように共通の模擬テストなどで学年比較を行ったりもしています。全体の概略を申し上げますと、中学入学後一年間で成績下位層は増えず、上位層が増加します。入学直後と中学2年生の全国偏差値から比較した結果です。そして、「中だるみ」といわれる2年生から3年生にかけての一年間ですが、どの年度も全て上昇しているとはいえませんが、下降はしていない、全体の傾向としては現状維持からやや上向きといえます。入学直後と中学3年生の4月の比較でいいますと上昇しているといえます。「中だるみ」という現象とは少し違う傾向になっています。この原因は中学から高校へ進学する時に課題や目標が明確である本校のコース制の特徴が影響していると考えています。
 学力面に限ったことではありませんが、成長の過程は一直線ではありません。個々のテストで上り下がりがあるのはよくあることです。しかし全体としての傾向がどうなっているのかを見誤らないようにしなければなりません。適切な課題を提起し、やる気を引き出せば必ず上昇傾向になるのですから。

2012年11月02日

11月は学年懇談会の月

 11月は各学年の懇談会が行われます。きょうは中学3年生の学年懇談会を行いました。中3は再来週から沖縄の研修旅行に出かけます。その説明ならびに諸注意を学年から、高校へ進学にするにあたって高校入試説明会でお話しさせていただいている本校の特徴や考え方、進学の様子などは教頭より説明させていただきました。
 どの学年も折り返しをすぎ、これからどのように過ごすかが今年度だけでなく、来年度にも大きな影響を与えます。そのためには、学年の取り組みをはじめ、それぞれの学年の独自の課題などをよく理解していただき、ご家庭の協力を得る必要があります。学年やコース毎の懇談会は全体の動きや様子を理解していただく上で大切な役割を果たします。その流れを理解していただいた上で、クラスや個人がどうなっているのかを見ていただく必要があります。また、これは私たちの役割にもなると思いますが、学年の動きや特徴を6年のスパンの中で、今はどこに位置し、それをどのように見るのかという視点から理解していただけるようにしたいとも考えています。
 「共育・共学・共成(共に成長する)」を本校は掲げています。このための相互理解を促進する大切な役割を懇談会が持っています。また、11月7日にはPTAの主催で、神戸女学院大学名誉教授であり思想家、武道家、教育評論家の内田樹先生をお招きして「生きる力を育てる」というテーマで講演会を実施します。これも「共育・共学・共成」の良い機会の場であります。学年懇談会と共に多くの方に参加していただきたいと考えています。

2012年11月01日

11月1日は「古典の日」

 きょうから11月、霜月(しもつき)です。11月1日を「古典の日」とする法律が、先の通常国会で成立しました。「古典の日」は、「紫式部日記」によって「源氏物語」の存在が確認される最古の日付が寛弘5(1008)年11月1日であることにちなんで、国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするために設けられました。その法律によりますと、古典は文学だけでなく、音楽、美術、芸能、思想など幅広くとらえているようです。囲碁や将棋、茶道、外国文学の翻訳も「古典」に含まれるとのことです。本校には箏曲部、囲碁・将棋部、茶道部があります。これらのクラブは日々の活動で「古典についての関心や理解を深める」取り組みをしていることになります。法律の趣旨からいえば、ギター・マンドリン部や吹奏楽部も同様のことがいえると思います。
 今は読書週間でもあります。この機会に「古典」に目を向け読書をしてみてはどうか、という問題提起にもなっていると思います。「古典」とは、辞書に「古い時代に書かれ、現在まで歴史的・芸術的価値が認められている作品」とあります。「源氏物語」、「枕草子」、書かれてから今年で800年を迎えるという「方丈記」、外国のものでは「論語」など言わずと知れた「古典」です。鴎外や漱石は?どこまでが「古典」かという線引きがあるかもしれませんが、それにとらわれることなく本を読むこと、「読書の習慣化」こそ急務だと思います。「本をよく読むことで自らを成長させていきなさい。本は作者が苦労して身につけたことを簡単に手に入れさせてくれるのだから」。古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの言葉です。