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2008年10月30日

学校改革にあたって~授業を磨く

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  先生にとって授業は命であり自らの教科指導力を磨いておくことは何よりも大切です。毎日の授業は真剣勝負であると言えるのではないでしょうか。
本校においては、授業の質を高めるため、年間を通じて何度か各教科の教員による研究授業や相互授業参観、更には生徒による授業アンケートを実施し、各教科において反省会を行なうことにしています。 
  私学の場合は転勤がないため人が固定化する結果、色々な面で活性化が進まないといったことが起こりがちですが、これを防ぐには常に新たな刺激が必要です。そのためにこの3年間、新たな先生の採用や相互授業参観、授業アンケートを積極的に進めてきました。
  本校では現在、相互授業旬間にあたっており、私も本日二つの授業を見学しましたが、それぞれ創意工夫を凝らした授業を行なっているのを目の当たりにし心強く感じました。他教科の先生も積極的に参観していましたが、自らの授業を公開したり、他の人の授業を見学するということは大きな刺激を受けることになると思います。また授業を見学した人は忌憚のない感想を記入して、提出することになっているため、この相互授業参観を充実させればさまざまな点で授業の質が上がるのは間違いないのではないかと思っています。
  現状では、研究授業の開催計画や反省会は各教科の自主性に任されていますが、将来的には他教科の授業を見学する、また校外の方にも授業を公開し、積極的に意見を聴くといったレベルにまで引き上げていきたいものです。一人ひとりの教員が自らの授業を磨くという思いを持つ、そして、受身ではなく、自ら進んで授業を公開し指摘された意見を素直にとり入れていくということにより、教科の指導力が飛躍的に高まっていくことを期待しています。

大城加津也氏による講演

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  中学3年生は11月10日(月)から沖縄県の伊江島に研修旅行に出発しますが、これに先立ち同島在住の大城加津也(おおしろかつや)氏に講演いただきました。大城氏は伊江島で生まれ、これまで国営灌漑排水事業に深く関わってこられた方です。本校は本年度より人間教育の一環として環境教育をスタートさせましたが、この狙いは単に知識を学ぶということではなく、自ら考え行動することです。そのため環境教育のカリキュラムの中には極力通常の教室の授業とは異なる体験型の内容を取り入れることにしています。既に、中学2年生は奥大山にあるサントリー(株)の水工場見学とブナ林の散策や植樹体験を、中学1年生は有馬富士自然学習センターでの里山体験を行ないました。そして、中学3年生は伊江島での水活用について学習することになっています。
  今回の講演の中で大城氏からは次のような内容のお話がありました。
〝伊江島では降雨があっても56%が地下浸透してしまうため川がなく農作物を育てるための水の確保が極めて重要であり、これまで米軍や防衛庁の支援を受けてさまざまな取り組みを行なってきた。そして、40ヶ所にも及ぶため池を作ったが、水の循環ができないため水質が維持できなかったことや家庭からの排水の活用をはかるため分水した結果、すべてのため池が汚染されるといった失敗も経験した。このような経緯で、地下に止水壁を築造することによって、これまで海に流失していた地下水を貯留させ有効活用するという地下ダム構想が持ち上がり、やっと実現にこぎつけることができた。これによって農業用水が確保され、サトウキビから葉タバコ、鉄砲ユリ、電照菊と次第に高付加価値の農業生産ができるようになった。〟等です。生徒達は研修旅行を間近にひかえて、大城氏の話を興味深く聞いていました。
  講演の後は、伊江島には高校がないため子ども達は沖縄本土で下宿しながら勉強し、卒業後はなかなか帰島しないこと、農業従事者の高齢化が進んできていること、地下ダムによって海の環境がどう変わるのかはわからないこと等の話をお伺いしました。お忙しい中、遠路ご来校いただき心より感謝申し上げます。

2008年10月29日

中学校全校朝礼~食べ残しをなくす

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  10月29日(水)、体育館において中学生を対象に朝礼を行ないました。現在、本校では校庭に仮校舎建設を進めているため、中学・高校を対象とした全校朝礼ではなく、原則として隔週毎に中学と高校の朝礼を実施することにしています。本日は朝礼の後3年生を対象に研修旅行で訪れる伊江島の大城加津也氏から「地下ダムに至るまで」という環境に関するテーマで講演いただくことになっていたため、私もこれに関係づけて次のような話をしました。
  〝前回の朝礼では、地球の人口がこの100年間に急激に増加してきており、これが環境問題の原因になっているということをお話しました。これからも世界の人口は増え続け、2050年には現在の66億人から90億人になることが予想されます。そうすると当然のことながら食糧や水、エネルギーといったものが今まで以上に不足することになります。皆さんは毎日三度の食事をし、温かいお風呂に入るということはあたり前のように思っていますが、世界には食料不足で困窮している人や電気・ガス・水道といったものとは全く関係のない生活を送っている人がたくさんいるのです。
  私も以前インドネシアで仕事をしたことがありますが、朝礼をするとバタバタと倒れる従業員があまりにも多いため調べてみると朝食を食べていないということが解りました。給料を払っても家族以外の多くの人に分け与えるため、自分の口に入らないのです。これでは作業能率が低下するため、早朝にパンを支給したり、無償で昼食を摂らせるようにしましたが、これらを持ち帰ろうとするので何とか食べさせようと苦労したことがあります。今、日本の食糧の自給率は39%しかありません。言い換えると6割以上を世界の国々から輸入しており、しかもその三分の一は廃棄しているのです。そして、驚くべきことにこれらの廃棄食糧で全世界の飢餓に苦しんでいる人を救うことができるのです。まず、皆さんは食べ残さないということを是非心がけて欲しいと思っています。〟

2008年10月28日

学校改革にあたって~一貫選抜2クラスの意味

  本年度よりスタートした中学における一貫選抜と発展のコースではそれぞれ2クラス80名の募集を行なうことにしています。現在、「特進」や「特別」コースが設置されている学校は珍しくありませんが、ほとんどが1クラスです。当初、本校の1学年は4クラスで定員は160名と小規模のため、当初一貫選抜コースは1クラスで良いのではないかという意見もありましたが、事前に他校の状況等も詳細に把握し、最終的に2クラスが良いという結論に達しました。何故なら中学・高校一貫クラスが一つしかないとになると6年間クラス替えなしに、同じクラスメートと共に学校生活を送るということになってしまいます。そうすると生徒間や先生との関係も一つの枠の中に固定されてしまうことになり、この状況が続くと次第に緊張感が薄らぎ意欲が低下するといった生徒が出てくることも予想されます。また人生において最も多感なこの時期だけに友人関係で悩むといった事に陥る恐れもあります。
  本校では、〝将来社会で活躍するリーダーの育成〟を教育目標に掲げており、詰め込み式の知識偏重型の教育を目指しているわけではありません。日常の生活やさまざまな学校行事を通じて、生徒達に集団行動やチームワークの大切さを学ばせていきたいと考えています。人間は自分と全く異なる生い立ち、価値観、能力、性格、考え方等を持つ多くの人と接することにより、大きく成長することができるのです。
  これからはグローバル化がますます進展し、子ども達は将来色々な国の人達と一緒に仕事をしていくことになりますが、お互いに相手の立場を理解し受け入れる〝共生〟という考え方の基礎をつくることに繋げていきたいと思っています。

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                 一貫選抜クラスの授業風景

2008年10月27日

学校改革にあたって~新しいコース制の導入②

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  昨年度の高校に続いて、本年度より中学にもコース制を導入しました。この狙いは個々の生徒の能力や適性に応じたきめ細かい指導を行なうために『一貫選抜コース』と『発展コース』別に生徒募集をするというものです。
  これまでは生徒募集の時点でコースを明示することはなかったため、当然のことながら能力・適性面において大きく異なる生徒が入学してくるのにもかかわらず、均等にクラス分けをしてきました。しかも、かなり難しい教科書を使って先取り授業を行なっていました。この結果、授業についていけない生徒も出てきます。これを防ぐには授業のスピードを調整しなければなりませんが、これでは逆に授業が物足らないという生徒も出てきます。新しいコース制はこのような状況を解消しようとするものです。
  2つのコースのうち『一貫選抜コース』は主として早くから将来の進学目標を持って努力している生徒を対象にしています。中学2年生で中学校の課程を修了、中学3年~高校2年までの3年間で高校の課程を修了し、高校3年ではセンター入試対策や国立大学の2次試験対策などの目標実現に向けた学習を行ないます。目標とする進路は、東大、京大、阪大などの超難関国立大学と慶應・早稲田・上智などの超難関私立学であり、「2クラス・80名の募集」を行ない、6年一貫のカリキュラムを準備しています。
  次に『発展コース』は進学目標のスタート時期は早くなかったが、中学の3年間で〝学ぶ〟意味や明確な将来目標を持たせる取り組みを行なうことによって基礎・基本と共に十分な応用力をつけて、中学課程を修了するという生徒を対象とし、「2クラス・80名の募集」を行ないます。その後、高校進学段階で『選抜特進コース』『特進コース』に分かれ、高校から入学してくる他中学の生徒と切磋琢磨していくことになります。その分、高校でのカリキュラムは多少ハードになりますが、中学時代の豊富な授業時間によって徹底的に基礎学力を習得させ、高校で大きく学力を伸長させていこうとするものです。そして、超難関国立大学・難関国公立大学・超難関・難関私立大学と多様な進路を選択することになります。

2008年10月26日

高校オープンスクール・第二回高校説明会の開催

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  10月26日(日)、午前10時からのオープンスクールと午後1時30分から本年度第二回目となる高等学校の入試説明会を開催しました。午前中のオープンスクールには202名の生徒が参加し、二班に分かれて国語、英語、数学、理科、社会の授業をそれぞれ受講しました。多くの生徒にとって高校の授業を受けるのは初めてだと思いますが、興味深く先生の話を聞いていたようです。
  生憎、小雨がぱらつく天候でしたが、午後からの入試説明会には532名の方にお越しいただきました。本日は日曜日ということもあり、ご両親で参加された多数おられたようです。私は、冒頭の挨拶の中で日本と世界の現状、今後の世の中のトレンド、生徒達が社会人になる8年後の社会について説明した後、本校が目指しているのは創立の精神に謳われている「将来社会で活躍する人材の育成である」ということを強く訴えました。続いて、教頭から来年度3年目を迎える3つのコース制やカリキュラムの概要、授業時間数、生徒の学力の伸長度、進路状況を、入試広報部長から本年度の入試結果や来年度の入試における留意点等の説明を行ないました。約1時間半にわたる説明会でしたが、説明会終了後も多くの保護者の方から個別の質問をお受けしました。
  本校に入学される皆さんはほとんど全員が大学受験を目指すことになると思いますが、大学に進学することが最終目的ではありません。できれば高校時代にどのような人生を歩みたいのか、どのような仕事に就きたいのかを明確にして大学・学部を選んで欲しいと思います。また、仮に将来の進路が明確にならなかったとしても高校時代には将来社会で役立つための人間力や学力といった土台を作っておくことが大切です。
  受験生にとって、高校入試は人生における大きな試練のひとつかも知れません。これからの人生にはさまざまな試練が待ち受けています。努力をせずに安易な道を選ぶという姿勢では充実した人生を送ることはできません。多くの試練を乗り切ることによって人間的に成長していくものです。今は「人生における節づくりの絶好の機会」であると前向きに受け止めて学習に取り組み、是非本校を受験して欲しいと思っています。
  なお、予想を超える多くの皆さんに参加いただいたため、準備していた資料が足りなくなり説明会の途中で配布させていただく等の不手際を起こしてしまいました。心よりお詫び申し上げます。

2008年10月25日

推薦入試受験者に対する進路指導

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  10月に入って、大学のAO、公募推薦、指定校推薦入試が本格化し始めました。これらの受験希望者に対しては、原則として全員校長面談を実施することにしていますが、生徒は通常の授業を受けており、私自身も日常の校務があるため、どうしても面談は昼休みや放課後ということになってしまいます。この面談の趣旨は、本人の将来の進路と志望動機の確認、受験にあたっての事前準備に対する指導です。そして、何よりも校長である私が人物確認をした上で自信を持って推薦しなければいけないと思っています。
  目下、来年度の入試に対する学校説明会を開催していますが、その席上でよく保護者の方からどれくらいの大学進学の枠があるのかという質問が寄せられます。お蔭様で指定校の推薦枠については、昨年に引き続き本年度も総数では500を超えています。現在高校3年生の在籍者は238名ですので、単純に計算すると、1人につき2校以上の指定校の推薦枠があるということになります。しかし、推薦枠に頼って安易に大学進学を決めるということは避けなければなりません。本校ではあくまで第一志望を下げないことを進路指導の方針にしているため、実際にこの推薦枠を利用して受験する生徒は30数名しかいません。本日も3名の生徒に対して個別の面談を行ない、最後に「〝高い志が道を拓く〟という色紙」、「〝毎日が習慣づくり〟という詩」、「社会人基礎力についての校長通信の写し」を渡しました。
  また、本校ではたとえこの時点でAOや推薦入試で合格しても全員がセンター入試を目指すということを合言葉にして取り組むようにしています。いずれにしても大学に進学することが最終目的ではありません。むしろ、合格後の姿勢が極めて大切であり、これからしっかりと研鑽を積んでいって欲しいと思っています。

2008年10月24日

里山を訪ねる

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  10月24日(金)は校外学習日にあたっており、中学3年生を除く全学年がそれぞれの目的地に向かいました。(中学3年生は例年実力テストを受験)
  私は中学1年の兵庫県立有馬富士公園内にある有馬富士自然学習センターでの校外学習に参加しました。生徒達は8時50分にJR新三田駅に集合し、特定非営利活動法人である『キッピー・フレンズ』のメンバーの案内で自然学習センターに向かいました。その後二つの班に分かれ、一班は非営利環境保全活動グループ『緑の環境クラブ』の皆さんの指導で、萱葺き民家での里山体験と森を護るための下草刈りや枯れ枝の伐採、残りの班は縄ないと薪割りを行ないました。そして、昼食後は交替することにしましたが、ほとんどの生徒達がこれらの作業についてはこれまで経験したことがなかったようで、生徒達は慣れない手つきで悪戦苦闘していました。稲穂を刈りとった後の柔らかい藁で丈夫な縄が作れる、薪が燃料になる、萱葺きの家の屋根は薄(すすき)を材料にして造る、森を護るためにはこまめな作業が必要である、といった事を実感したようです。
  また、今回の体験を通じて森を育てることの大切さについても理解できたのではないかと思います。来年度は大山への林間学舎、再来年は沖縄への研修旅行が予定されていますが、生徒達がこれらの行事を通じて身を持って環境の大切さを感じて欲しいと思っています。
 キッピー・フレンズ、緑の環境クラブの皆様、本日は大変お世話になり有難うございました。心より感謝申し上げます。

2008年10月23日

学校改革にあたって~新しいコース制の導入

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  本校では、昨年より高校に、本年より中学にコース制を導入しました。この高校と中学のコース制について、何回かに分けて紹介します。
  高校については「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という新たな3つのコースを設置しましたが、これまでこのような形で生徒募集をしたことはありませんでした。かつて本校は中学3クラス、高校4クラスの小さな規模の学校でしたが、昭和60年(1985年)に国際社会で活躍できる人材を育成するということでいち早く『国際科』を設置し、以降20年間にわたり『普通科』と『国際科』という二つの異なるカリキュラムをベースに生徒募集を行なってきました。このため、それぞれの科においては能力・適性・進路希望面において大きく異なる生徒達が入学することになりますが、これまではこれらの生徒を均等にクラス分けし、画一的な授業を行なってきました。しかし、このシステムでは生徒の進路希望の多様化にこたえることが次第に難しくなってきました。そのため普通科については、数年前より高校入学後に本人の進路希望や能力・適性を勘案してクラス分けを行なってきました。
  新しいコース制の狙いは個々の生徒に対するきめ細かい進路指導を行なうために、入学者選抜の際に将来の進路希望や目標に応じたカリキュラムやコースを明示し、生徒に選択してもらおうというものです。
  「選抜特進」コースは〝自己の高いモチベーションにより東京・京都・大阪等の超難関国立大学を目指すコース〟です。基本的には高校2年で高校課程を修了するため、予備校の先生によるパワーアップゼミを校内で受講することになっています。
  「特進Ⅱ」コースは〝自発的な学習意欲を高め2年次からは文理を選択することにより、難関国公立大学を目指すコース〟です。
  「特進Ⅰ」コースは〝個性や適性をじっくり見極め、国公立・私立大学等幅広い進路選択を目指すコース〟です。
  3つのコースはすべて特進という表現を使用していますが、〝自分が希望する大学であれはどの学部であっても良い〟ということでは大学へ進学することだけが目的になってしまいます。このため、できるだけ早期に自分なりの将来の進路目標を設定し、自分が進みたい国公立大学や私立大学の学部や学科を目指して真面目に努力するということが基本になっています。

2008年10月22日

妙田先生による講演会

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  10月22日(水)、微生物学の権威で現在アメリカのデラウェア州在住の妙田俊夫先生をお迎えして、高校2年生の生物専攻者を対象に『これから大学で学ぶ君達へ~微生物学を通して~』というテーマでお話いただきました。
  妙田先生は北海道大学農学部農芸化学科・同大学院を経て渡米され、デラウェア大学教授、東海大学医学部教授、デュポン研究所ディレクター等の要職を歴任されると共にサントリー(株)の顧問として20年以上にわたって発酵研究に対する指導助言をされています。お話の内容は以下のとおりです。
  〝我々が住む地球が誕生したのは、今から46億年前であるが微生物が姿を見せたのは26億年前であり、人類とは比較にならないくらい長い歴史を有している。この微生物を有効活用して食品、環境、医療、農業、鉱業といった幅広い分野でさまざまな取り組みが行なわれている。このため、微生物の研究は「細菌学」「菌学」「ウィルス学」「寄生虫学」「原生動物学」「天体生物学」「分子生物学」と極めて広い範囲にわたっている。大学の学部で言うと工学部、農学部、医学部、理学部にまたがることになる。興味深い例として大腸菌の分裂というものを取り上げると、1つの菌が2つに、更に4つ,8つに増殖していくが、何と48時間で144回の分裂を繰り返すことになる。理論上は2日間で地球の4倍の量の大腸菌が生まれることになる。〟等です。
  後半は先生ご自身の座右の銘を中心に、クラーク博士、マハトマガンジー、孔子、新渡戸稲造、伊達政宗等の言葉を紹介され、人生をいかに生きるかということを生徒達に熱っぽく語られました。
 これから高校2年生は将来の進路を目指し受験校を絞り込むことになりますが、本日のお話をお聞きして農芸化学の分野や北海道大学への進学を希望する生徒も出てくるのではないかと思います。
これから世の中は大きく変わり、新しい仕事が続々と生まれてきますが、生徒達が自分なりの夢や目標を見つけ出して欲しいと思っています。
  妙田先生、本日はご多用中のところ早朝よりお時間をお取りいただき本当に有難うございました。

2008年10月21日

学校改革にあたって~環境教育のスタート

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  この校長通信を通じて、将来社会で活躍するためのベースは人間力であるということを繰り返しお話してきましたが、人間力を高めるための特効薬はありませんし、即効性のある特別マニュアルも存在しません。人間力というのは、その人の考え方や日々の送り方の積み重ねであると思います。
  これまで、全教員が凡事徹底ということを基本に「爽やかな挨拶」「きっちりした服装」「ルール・マナーの遵守」に取り組んできました。この地道な努力によって徐々に良い方向に進みつつあるように感じています。しかし、中には人に言われないとできないという受身の姿勢の生徒もいるようです。これでは学校ではできているが学校外ではできないということになり、いつまで経っても成長は期待できません。〝習い性となる〟という言葉がありますが、日々自主的に良い習慣づくりをしていくことが大切です。
  本校では今年からサントリー(株)の支援を受けて、環境教育をスタートさせましたが、この大きな目的は人間力の養成です。何故なら、現在地球上で起こっている環境問題はすべて人間の経済活動が引き起こしたものです。即ち環境問題は人間問題そのものであり、環境に配慮することは人間に対する思いやりや優しさに繋がることになります。また、昨今では知識偏重型の教育が増え、自ら考え行動するということが少なくなってきています。そのため、社会で役立つ力が育たないという結果を招いているのです。本校の目指す環境教育は、将来社会で活躍する人材を育てるという創立の精神の具現化なのです。

2008年10月20日

学校改革にあたって~人間力・人格を磨く

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  これまで、将来社会で活躍するというテーマで色々なことを取り上げてきましたが、突きつめると知識・情操・意志の三つのバランスがとれている事が大切です。知識には「基礎知識」「専門知識」「一般常識」といったものが含まれますが、これらは比較的点数ではかれるものが多いようです。そして情操には「おもいやり」「真心」「素直な心」「感謝」「情熱」といったものがあり、意志には「ゆるぎない志」「我慢強い」「根気」といったものが含まれますが、これらは点数ではかれないものなのです。言い換えると、社会で活躍するためには「点数ではかれる力」と「点数ではかれない力」の二つが必要です。
  解りやすいように、これらの力を木で表わすと知識に相当する部分は枝葉、情操は幹、意志は根っ子ということになります。現在、わが国の教育界において問題であると感じるのは、目に見える葉っぱの部分を育てることに力点がおかれ過ぎている、言い換えると知識偏重型・受験重視型になっているのではないかということです。いくら葉っぱが生い茂っても幹が太くなければ途中でポキンと折れてしまうことになりかねません。また、しっかりとした根っ子が育っていないといずれは成長が止まってしまいますし、根っ子が腐ってしまえば木は枯れてしまいます。
  昨今は急速に世の中が変化するため、折角身につけた専門知識もすぐに陳腐化してしまいます。このため、これまでのように一旦専門知識を習得すれば何年にもわたってこれを活用することができ、安定した仕事に就けるということはなくなってきます。社会に出ても絶えず新しいことへ挑戦する、新しい知識・技能・ノウハウを取り入れ錆つかさないようにする、という姿勢が大切なのです。そして、このベースにあるのは、人間としてのしっかりとした根っこです。
つまり人間力・人格を磨いておくことは学力を伸ばすことに繋がるのです。まさに中学・高校時代は将来社会で活躍するための基礎づくりの時期であると言えるのではないかと思っています。

2008年10月19日

Octoberと神無月

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  10月は英語ではOctoberと書きますが、Octoと言うのは8の意味です。八本の足を持つ蛸のことをOctopusと呼ぶことからも理解いただけると思います。それでは何故10月なのに8番目なのでしょうか。これは紀元前46年まで使用されていたローマ暦が3月起算であったため、3月から初めて8番目の月という意味なのです。因みに11月のNovemberは9を意味するNovem、12月のDecemberは10を意味するDecemが語源になっています。
  また、日本では旧暦10月は神無月(かんなづき、かみなしづき)と呼ばれていますが、これは出雲大社に全国の神様が集まって一年のことを話し合うため、出雲以外では神様がいなくなるという意味から名付けられたものです。逆に出雲では10月は神在月(かみありづき)と呼ばれており、記紀神話で国譲りが行なわれたとされる稲佐浜で全国から参集する神を迎える「神迎祭」が行なわれることになっています。そして、出雲地方に集合した神々全員で、森羅万象の縁を結ぶために会議を行なうと伝えられています。そのため古き頃から出雲地方は「縁結びの地」と呼ばれているのです。
  普段は何も意識せずに呼んでいる月の名前も多くの興味深い内容が含まれているものだと感じています。

2008年10月18日

第2回学園PTA協議会の開催

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  10月18日(土)午後、中・高等学校、小学校、幼稚園の各PTA会長・副会長と常務理事、事務局長、校園長・教頭の23名のメンバーが出席し、本年二回目となる学園PTA協議会が開催されました。前回の開催は本年度がスタートした直後の4月であったため、約半年振りということになります。最初に学園のPTA会長と常務理事から挨拶があり、続いて各校園のPTA会長から活動の報告、各校園長・事務局長から本年度前半の取り組みについて報告しました。私は今一度、現在進めている学校改革の基本の考え方と改革の骨子について「人間教育の充実」「学力の向上」「学園としての総合力向上のための小・中の連携強化」「より良い学習環境づくり」の4点を中心にお話しました。また、人間教育の大きな柱として現在取り組んでいる環境教育についての説明も行ないました。
  その後、懇談の場が設けられましたが、参加された小学校や幼稚園の役員の方々からは、ゴミの分別や制服のリサイクル、各家庭でのエコライフの取り組み、食べ残しの防止等も紹介され大いに盛り上がりました。幼稚園児や小学校の低学年生については環境問題といっても身近なものとしてとらえる事ができないかもわかりませんが、日常生活における三度の食事については関心があるのではないかと思います。
  日常多くの中学生、高校生と接していて家庭教育の大切さ、とりわけ幼少の頃にどのような育ち方をしてきたかによって物の考え方や行動パターンが決まってきているということを痛感しています。幼い時に身についた性質や性格はなかなか変わらないものです。そして、大きくなればなるほどこれらを修正するのは難しくなってくるのは間違いありません。
 本校では「共育」と「共学」ということを大切にしていますが、これからも家庭と学校、保護者と先生が連携して、生徒達を育てていきたいと思っています。

2008年10月17日

学校改革にあたって~人間力の基礎は凡事徹底から

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  既に説明したとおり、本校では教育ビジョンの第一に人間教育の充実をかかげています。人間教育というと何か難しい特別のことを考えがちですが、人間力を高めるための特効薬やマニュアルといったものはありません。凡事徹底という言葉がありますが、人間として当然やらなければならないあたり前のことや簡単なことをやり続けることが何よりも大切なのです。簡単なことが完璧にできるようになって、初めて一段高いステップに進むことができるのです。言い換えると簡単なことができない人間に難しいことは絶対にできないということです。そして、社会で活躍している人は、概して人間的に優れているということもありますが、この凡事徹底の習慣が身についているのです。
  このように社会で役立つためには凡事徹底が基本であるという考え方に立って、本校では「さわやかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーの遵守」を三つの柱として全教職員が登校時やホームルーム、授業を通じて生徒指導を行なっています。とりわけ、挨拶についてはコミュニケーションの第一歩であり、挨拶をしないということは自らコミュニケーションの扉をとざすことになるということで、本年度より学園をあげて年2回(4月と9月)を挨拶推進月間に設定しました。
  この他にも、凡事徹底には「整理整頓する」「お礼状を書く」「必ず日々反省する」「時間を守る」等多くのものがありますが、生徒達には簡単なことをおろそかにしないという習慣を身につけさせていきたいものです。

2008年10月16日

学校改革にあたって ~学校のビジョン

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  私は以前公立高校に勤務していましたが、公立と私立の違いはまさに学校のバックボーンが明確になっているかどうかではないかと思います。このバックボーンには、創立の精神や校是、ビジョンといったものが挙げられます。これまで二回にわたって創立の精神の体現化と学校の果たすべき役割の明確化をはかるということについてお話してきましたが、更にどのような学校を目指すのかという確固たるビジョンが必要です。
  本校は雲雀丘学園に属していますが、学園として〝「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた関西を代表する学園を目指す〟というビジョンがあり、幼稚園、小学校、中学・高校共通のものになっています。このビジョンで注目していただきたいのは、最初に人間教育が掲げられているということです。昨今社会の風潮として、多くの学校が進学実績のみを重視する傾向がありますが、知識偏重型の人間はたとえ希望する大学に進学できたとしても、人間としての根っ子が育っていないと将来社会に出てから必ず行き詰まることになります。
  現在、本校では学校改革を推進していますが、決して学力の向上のみを目指しているわけではありません。学力の向上が必ずしも人間力を高めることにはつながりませんが、人間力を高めることは必ず学力の向上につながるのは間違いないと思います。

2008年10月15日

学校改革にあたって~学校の役割の明確化

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  私は34年間にわたる民間企業での人事や経営の仕事を通じて、社会で活躍している多くの人とお会いしてきましたが、これらの人にはいくつかの共通点があるということを感じました。その第一は〝自分なりのゆるぎない志を有し、これに根ざした高い目標を持っている。〟第二に〝この目標達成のために日々たゆまぬ努力を継続している。〟そして、第三は〝常に素直に反省することによって自らを律している。〟ということです。
  3年前に、雲雀丘学園中学・高校の校是である『高志・自律・努力』を知った時、あまりにも社会で活躍している人のイメージと重なり、正直なところある種の衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。これらの人は世の中のために貢献するという強い思いを持っておられます。この志は決して単に名誉や名声を得たり、お金儲けをするといった野心や野望といったものではありません。加えて、常に感謝や思いやりの心を持ち、あたり前のことをあたり前にするという凡事徹底の習慣が身についています。
  一方で、新入社員をはじめ多くの若い人達と仕事を共にしてきましたが、年々指示されたことはやるが自ら問題意識を持って行動する人が少なくなってきたことです。また、他人の迷惑を考えず自分のことだけを優先するという傾向も増えてきているように感じました。これでは、決して社会で役立つことはできないでしょう。
このような状況を改善するためには、社会人になる前の教育が重要です。まさに〝学校は社会で役立つ力を育てるトレーニングの場〟でなければならないと思っています。

2008年10月14日

学校改革の基本の考え方~創立の精神の体現

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  現在、多くの学校で中学・高校の入試説明会が開催されており、本校も既に中学2回、高校1回の説明会を実施しました。その中で、現在進めている学校改革についてお話していますが、今一度この校長通信でこれから何回かにわたって私の思いを述べたいと思います。
  本校においては、平成18年に新しい学校づくりに向けての検討を開始し、〝本校をどのような学校にすれば良いのか〟ということで、外部の多くの方から意見をお聴きすると共に校内でも論議を重ね、平成19年に高校改革を、本年(平成19年)に中学改革をスタートさせました。この際に最も重視したのは〝創立の精神の体現〟言い換えると〝創立の原点に戻る〟ということです。これまで本校の歴史や創立の精神については幾度も触れてきていますが、本学園は昭和25年(1950年)サントリー(株)の創業者である鳥井信治郎氏を中心とし地域の方々の熱い思いで創設されました。しかし、本学園の創設時のことを語りつげる人は今ではほとんどいなくなり、当時のことは学園誌(ひばり)や10年・20年・30年といった周年記念誌を紐解いてみなければなりません。私も何回かこれらを読み返してみましたが、創立の精神の中のキイワードは「孝道」や「社会に尽くす」「素直」「感謝」等です。「孝道」というのは耳慣れない言葉かも知れませんが、親孝行のできる人は人間としても立派になれるということであり、〝将来社会で役立つ人間を育てる〟というのが本校の教育の基本的な考え方なのです。

2008年10月13日

体育の日にあたって

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  本日(13日)は「体育の日」です。現在、日本の祝日は15日ありますが、2000年に『ハッピーマンデー法』が制定され、従来のように祝日が固定されなくなり、一部の祝日については月曜日に移行されることになりました。それと同時に祝日制定の由来や意義については知らない人が増えてきているようであり、学校においても祝日についての十分な説明はできていないように思います。体育の日は本年12番目の祝日になりますが、この由来は次のとおりです。
  最初は昭和36年(1961年)に制定されたスポーツ振興法により、10月の第1土曜日を「スポーツの日」としていました。その後、1964年(昭和39年)にオリンピック東京大会が開催されましたが、閉会後この輝かしい成果と感動を記念して開会式が行われた10月10日を『国民がスポーツに親しみ、健康な心身を培う日』にしたいという動きが盛り上がってきました。そして、2年後の昭和41年(1966年)に国民の祝日として制定されました。続いて、平成12年(2000年)からは前述の『ハッピーマンデー法』により10月の第2月曜日を体育の日とすることになりました。参考までに、日本の観測史上晴れる確率が最も高い日が10月10日ということで、東京オリンピックの開催もこの日に決められようです。また、この前後に運動会をする学校・団体も多いようですし、日本全国でさまざまなスポーツイベントが開催されています。
  これで今年の残りの祝日は文化の日(11月3日)・勤労感謝の日(11月23日)・天皇誕生日(12月23日)の3日になりましたが、これからますますグローバル化が進展する中で日本の歴史や伝統・文化をしっかりと理解しておくことが大切であると思っています。

2008年10月12日

学校改革研究会に出席

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  10月11日(土)の午後、ベネッセコーポレーション主催の私立校対象学校改革研究会に出席しました。現在、教育界をめぐる環境は激変しており、従来のやり方を踏襲しているだけでは、時代の流れについていけなくなってしまいます。そのため近年では公立・私立にかかわらず、さまざまな改革が行なわれるようになってきています。今回のセミナーでは、私立校を取り巻く環境の変化の分析とこれらに対応するための学校改革の方向性やポイントについての話がありました。その後、学校改革において目覚しい成果をあげている福岡工業大学附属城東高等学校の事例発表がありました。
  環境の変化としては、社会環境・大学入試環境等の出口の変化、生徒・保護者の気質の変化、公立高校の改革や私学助成の減額、大学による中学・高校の系列化や私立校の共学化等が挙げられます。とりわけ社会環境の変化については、午前中に実施した本校の入試説明会での少子高齢化や社会で役立つための社会人基礎力、グローバル化やIT化の進展等ほぼ同様の内容のものが紹介されました。又、大学入試の環境については大学が二極化し、選ばなければ入れる時代になること、2~3年後には就職が厳しくなることが予想され、真の意味での学力をつけておく必要があるという指摘がなされました。
  事例発表については、ほぼ本校が取り組んでいることやこれから取り組もうとしていることと同様ですが、改めて改革のスピード、教職員の資質向上、保護者との連携の大切さを感じました。

2008年10月11日

第二回中学入試説明会の開催

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  10月11日(土)、授業参観に続いて10時50分から本年第2回目となる中学入試説明会を開催しました。これまで説明会にあたっては最初の挨拶をするだけでしたが、今回は「社会で役立つ力を育てる」というテーマで約40分間にわたって説明しました。最初に世界や日本の現状はどうなっているのか、これから地球規模でどのような課題が発生するのか、現在小学校6年生は中学・高校・大学を卒業し11年後には社会人になるが、その時の世の中はどうなっているかに触れた後、本校が進めている学校改革の内容についてパワーポイントでお話しました。
  続いて学校生活の概要についてDVDを使って紹介した後、入試広報部長から本年度の入試結果と来年度の入試について説明しました。約1時間あまりの説明会でしたが、多くの保護者の方がお残りになり個別の質問をされる等大いに盛り上がりました。
  本校は中学・高校の6年一貫教育を行なっているため、高校を卒業する時には18歳になります。人生の中で最も多感な思春期の6年間は一人ひとりの人間形成という点でも非常に重要なウェイトを占めるのは間違いありません。中学入試は「親の入試」とも言われていますが、是非子どもの適性や能力に見合った学校選びをしていただきたいものです。本校ではいつでも授業、クラブ、校舎見学や個別の進学相談を受け入れていますので、ご希望の方は是非ご一報いただき来校いただきますようお願いします。
  なお、次回は11月2日(日)に開催の予定です。


2008年10月10日

センター入試まで残り100日

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  先日は高校2年生を対象に進学説明会を開催しましたが、高校3年生にとっては昨日でセンター試験までの日数が100日になりました。大学受験を目指す人にとってはいよいよこれからが正念場ということになりますが、これまで何度も申し上げているとおり、大学進学は人生の最終目的ではありません。あくまで将来の夢や目標を実現するための一つのプロセスなのです。大学への進学ということだけにとらわれていると、名前の通っている大学ならどの学部でも良いとか、合格できるのならどこでも良い、というような安易な選択になってしまいます。しかし、これでは将来必ず悔いを残すことになります。
  この残り100日という節目にあたって今一度自分の興味や適性・能力などを客観的にとらえ、自分の将来について考えて欲しいと思います。その上でどの学部・学科を選び、最終的に志望大学を設定して欲しいものです。今は折角大学に入学しても、夏休みまでに学校に来なくなってしまったり、勉学の意欲が乏しいため専門能力がほとんど身につかないという学生が急増しているようです。これでは折角大学を卒業しても将来社会で活躍することはできないということになります。
  100日しかないということで、焦ってあれこれと取り組むのではなく、しっかりとターゲットを決めて着実に努力を継続する、そして最後まで諦めずに粘っていって欲しいものです。そうすれば必ず学力の伸張に繋がるのは間違いないと確信しています。

2008年10月09日

高校2年生対象進学講演会の開催

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  10月8日(水)、駿台予備学校から西 昭広先生を講師としてお招きし、高校2年生および保護者を対象とした進学講演会を開催しました。高校2年生にとっては、丁度高校3年間の中間点にあたり、まさにターニングポイントということになります。これからはいよいよ高校生活の後半ということになりますが、最も重要になるのが「自らを見つめ将来の進路を考える、その上で大学への進学を考える」ことです。
  生徒向けには、始業式後に約1時間にわたり、大学受験をめぐる情勢の変化、本年度の大学入試の振り返り、大学入試の内容、入試までのスケジュール、学習計画のポイント、模試の利用法などについて講演していただきました。キイ・ワードは「入れる大学より入りたい大学」です。この理解を深めるために、本校の校是の一つである「高志」や創立の精神の中にある「社会に役立つ」という言葉を引用され、志を高くもって努力を続けることの大切さを訴えられました。
  午後からは、保護者向けの講演会を実施しましたが、平日にもかかわらず多くの方にご参加いただき熱心に耳を傾けていただきました。多少時間的な余裕もあったため、受験生を持つ保護者としての心構えや注意点などについてもユーモアを交えてお話いただきましたが、受験生に対してこのように接すると良いというマニュアルはないようです。受験のプレッシャーは誰もが感じていても、その現われ方は千差万別、誰一人として同じではありません。ある家ではうまくいくやり方も、別の家では混乱の原因になったりすることもあります。まず本人の様子をよく見守り、家が本人の「気持ちよく帰る場所」になれた時が最も良い姿なのかも知れません。
  現在、社会で活躍している人は常に高い目標にチャレンジし、例え失敗することがあっても諦めずに再チャレンジし、最終的には目標を達成するというという行動パターンが身についています。最近の若者は粘れない、諦めが早い、安易な道を選ぼうとすると言われますが、大学受験は人生における節作りであると前向きに受け止めて大いに努力していって欲しいものです。

2008年10月08日

後期のスタートにあたって

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  10月8日(水)、後期始業式に続いて全校朝礼を行ないました。今までと違うのは仮校舎建設が始まり、校庭が使えなくなったことです。残念ながら学園には中学・高校の全生徒を収容できる施設はないため、高校と中学に分けて体育館で実施しました。私は始業式で本学園の創立について、既にこの校長通信でも紹介している学園の創立について話をしました。
  〝皆さんは10月1日がどのような日か知っていますか。この日は雲雀丘学園の創立記念日です。本学園が設立されたのは昭和25年です。昭和の年号に25を加えると西暦になるので、1950年ということになります。それまでこの雲雀丘周辺の家庭の子ども達は附属池田小学校に通っていましたが、進駐軍の指令で附属池田小学校への入学は抽選ということになりました。そうすると兄や姉が行っているのに弟や妹は行けないということになってしまいました。このため、地元に小学校を作ろうという住民運動が起き、保護者や地元の皆さんが中心となって幼稚園と小学校が創設されたのです。その後、昭和28年(1953年)に中学校が創設されましたが、最初は小学校の教室と倉庫を利用して授業を行なったようです。待望の鉄筋3階建ての中学校舎が完成したのは翌年です。これが現在の高校校舎で昭和37年(1962年)には4階を増設し今日に至っています。この校舎建設にあたっては、初代理事長でサントリー(株)の創業者である鳥井信治郎氏が3000坪の土地を寄付していただきました。そして、みんなで草を刈り、土を運んで運動場を作っていったようです。このように本校は全員の力を合わせて作った学校なのです。〟
  次いで創立の精神を前文読み上げました。そして、孝道や社会のために尽くすというキーワードに触れ、〝本校の目指しているのは「社会に役立つ人材を育てること」である。今の世の中を見ていると、食品の生産地偽装、年金記録の改ざん等、他人の迷惑を考えず自分のことだけを考えて行動するという風潮が目に付くが、社会に貢献する、世の中に役立つということをしっかりと心に刻んでおいて欲しい。〟
  生徒達が創立の精神を理解して、自分なりの考え方をもち、逞しく成長してくれることを願っています。

2008年10月07日

学園の歴史を学ぶ

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  今回、雲雀丘学園の創立十周年史や二十周年史、初代の中学・高校校長である板倉操平氏の「わが心の自叙伝」を読み返してみました。改めて本学園は他の私立学校のように校主によって造られた学校ではないということを痛感しました。
  板倉氏の自叙伝には「父兄(保護者)が創業者であり、先生が協力し、生徒が又一体となって造り上げた学校である。何等の設備もなく、教室さえ無い所から学校教育が始まった。小学校の当初は、既設の幼稚園に間借りし、工事事務所を買い取って学校とし、中学校も小学校の空教室へ新一年生を入れて授業を始め、時には物置までも教室にした。・・・(中略)・・・ 年次を加える毎に、先生も増員せられ、設備も一応は整ったが、しかし、既設の他の私立学校、公立学校に比ぶれば、職員組織も整わず、設備も不備であった当時の卒業生第一回、第二回の連中は其の後の成績は最も優秀であり、現在も社会で大いに活躍している。・・・(中略)・・・ 設備も整い職員組織も充実した其の後の生徒諸君、其の日の生活に安住していると、創業時代の卒業生に及ばぬ結果となる。今は守成時代に入ったが、飽くまで創業時代の意気込みを忘れてはならぬ、生徒先生も。」と叙述されています。
  中学校が創設されたのは学園創立3年後の昭和28年(1953年)であり、待望の鉄筋校舎(現在の高校校舎)の完成は翌年の昭和29年(1954年)です。創立60周年を機にこの校舎の建て替えを行なう計画になっており、当時とは比較にならない素晴らしい教育環境になりますが、今一度板倉先生の言葉を噛みしめていきたいものです。

2008年10月06日

鳥井信治郎理事長の話

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  学園が創立された昭和二十年代の歴史を紐解くと、初代理事長である鳥井信治郎氏の「どうや、うまくいっているか、なんか困っている事はないか・・・」という心温まる言葉や支援を受けて、PTA・教職員・児童生徒が力を合わせて、学校をつくってきた様子が記されています。それぞれが土や砂を運び、草を刈って運動場や砂場をつくっていったようです。
  入学式や卒業式には、鳥井理事長が出席されて話をされましたが、その内容は決まって親孝行の話であり、朝起きたら、保護者に”お早う”、学校から帰ったら”ただ今”と言い、夜、寝るときは”お休みなさい”と挨拶しなさい。「親孝行の出来る人は、人間としても立派になれる」というものでありました。
今でも学園には鳥井先生の「親孝行な人は どんなことでも りっぱにできます。」という言葉が残っていますし、創立の精神にもこのことが明確に表記されていますので次に全文を掲げてみます。

  〝孝道を人間の根本義と考え、社会のために尽くす精神を最も尊重し、より良い社会、国家を生み出すべく心を素直にもち、すべてに感謝の念を捧げ、健康な体力とたくましい実践力をもつ強い人間を創る事を念願しています。〟

  また、理事長が社長を勤められていた寿屋(現サントリー)の新聞広告には「祝祭日には日の丸を掲げましょう」と必ず書いてあったそうです。
  以上の事からもわかるように、「保護者に孝行する人」「国を愛する国民」というのが鳥井理事長の精神であり、現在も雲雀丘学園の教育方針として受け継がれています。
よく雲雀丘学園の良き伝統ということが話題になりますが、今一度創立の精神の持つ意味をしっかりと見つめ直してみたいものです。

2008年10月05日

初代理事長鳥井信治郎氏について

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  雲雀丘学園の歴史を紐解くとサントリーの創始者である鳥井信治郎氏による絶大な支援があったということがわかります。 この鳥井信治郎先生が雲雀丘学園の初代理事長に就任するに至った経緯とその後の学園との関わりについて紹介します。
  私立学校として学園創立にあたっては、理事会組織が必要となります。そこで、当時川西市寺畑に在住されていた当時寿屋( 現サントリー株式会社 )の創始者であった鳥井信治郎氏に是非理事として名前を連ねていただきたいと懇願したところ、快くご承諾いただきました。
  その後、学園の発展につれて、多大の経費が必要になったが、すべて鳥井理事長にお願いすることが多くなったようです。例えば、現在の高校校舎から中央棟・校庭にいたるあたりは鳥井理事長の私有地であったが、昭和28年度に学園中学校創設あたり、11,079㎡(約3千坪)を校地として学園に寄贈されている。(当時は中学校用地として活用された。現在の高校校舎は当時建てられた中学校校舎です。)
  すなわち、雲雀丘学園の経費の多くの部分、土地や建築費などが理事長の【陰徳】としての出資であったと言っても過言ではないでしょう。
  このように、雲雀丘学園は、鳥井理事長をはじめ保護者・教職員全体の協力で出来た学園です。当時の「新聞」紙上では本学園を称して“持ち寄り学校”と書かれた記事があるぐらいです。  従って、以上のような学園成立・運営の実態から学園理念の「生徒」・「保護者」・「教師」 三位一体の理念が育まれたと考えられます。
                            《続く》

2008年10月04日

学園設立の経緯

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  本学園は10月1日が創立記念日になっていますが、創立後60年近くが経過し当時の状況を知る人もごくわずかになってきました。そこで、創立記念日を機に学園歴史を紐解き設立にいたった経緯を振り返ってみたいと思います。
  第二次世界大戦が終わって間もない昭和24年(1949)2月、雲雀丘、花屋敷の住宅地の子どもたちが多く通学していた隣の市の大阪第二師範学校付属小学校の入学試験に対する「文部次官通達」が出されました。この内容は《 終戦後アメリカ進駐軍が占領政策で日本の「教育の民主化」政策を進める中で、付属小学校は富家の子弟ばかりの入学を認めているのが実態であり、一般の子どもの入学を認めて庶民教育をするべきである。志望者が多ければ抽選で入学者を決めよ》というものです。この通達によって抽選が実施されたため、抽選にもれた雲雀丘、花屋敷地域の子どもが数多く出ることになりました。その結果、兄姉が付属に通っているのに弟妹が入学できないという事態が起こり、彼らの保護者の中に“付属のような学校を設けたい”との意見が生まれた。 殊に、当時この地域の子どもたちが通園していたこの地の雲雀丘幼稚園( 園長・大原たま氏)の卒園児童から多数の不合格者が出て、大原園長らは彼らの将来について真剣に考えざるを得ない立場となり、地元の西谷村村会議員をはじめ地元の教育熱心な人達と共に、学校新設の世論を起こした。これが2月半ば過ぎのことである。村会関係者は西谷村と交渉する一方、幼稚園関係者は大阪第二師範学校( 校長・板倉操平、付属小学校主事・池上実)に援助を仰ぎ、学校新設の運動が進められた。
  第1回の公式会合は3月25日夜に行われ、「雲雀丘小学校創立委員会」として発足し、 委員長鳥井信治郎(寿屋社長 現サントリー)・ 学校長土井信男(師範学校付属小学校教官)などが決められた。その後、まず、西谷村雲雀丘分教場として学校が発足することになり、4月15日が入学式であると共に開校式となり、分教場の場所は雲雀丘幼稚園の園舎であった。新1年生は男子22名、女子14名、計36名で、先生は学校長兼土井信男、石黒冨貴子(師範学校付属小学校教官)の2名であった。
  このように創立の経過を見ると、 昭和24年(1949)2月21日 付属小学校の合格発表、3月25日 雲雀丘小学校創設委員会 結成、3月27日 西谷村村議会で雲雀丘分教場設置の決議とわずか2カ月足らずの超スピードでの設立であったことがうかがえる。
その後、昭和25年(1950)8月24日 学校法人雲雀丘学園が認可され、10月1日 開園記念式(学園創立記念日)が行なわれたのである。 

2008年10月03日

鳥取県校長総合研修での講演

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  10月3日(金)、鳥取県教育委員会主催の「校長総合研修」において“特色ある学校経営”というテーマで講演しました。この研修の受講対象は鳥取県下の小学校・中学校・高等学校の校長39名で、この研修の講師として参加するのは、大阪府立高校時代を含めて今回が4回目となります。鳥取県では2007年に人口が29年ぶりに60万人を割り込むなど人口減少が続いており、全国の都道府県では最低となっています。
  このような中で、鳥取県では教員の資質向上には特に注力されており、校長教頭等の管理職研修をはじめ、多くの教員研修を実施されています。また、私立学校がほとんどないため、公立学校として何とか思い切った特色ある学校づくりを進めていこうとされているようです。
  講演では「世界のトレンド」「社会で役立つ力」「教育界をとりまく環境と課題」に触れた後、「これからの学校づくり」について本校の取り組み等の紹介も含め約2時間にわたりお話しました。
  昨今、教育界を取り巻く環境は激変しており、従来どおりの学校運営では早晩行き詰まるのは目に見えています。ところが切羽詰らないとこれまで永年やってきたことを抜本的に変えるというのはなかなかできないものです。そして、とりあえずこうしておこうという小手先の見直しに終わってしまいます。今必要なのは「改善」ではなく「改革」です。このような学校改革のためには、校長がゆるぎない志を持って「どのような学校にするのか」というビジョンを掲げ、戦略を構築し、あるべき姿に向けて各人のやるべきこと(目標)を明確にしていくことが大切です。この際他にない特色を盛り込んでいかなくてはなりませんが、そのためにはマイナス思考ではなくプラス思考が必要です。その上でPDCAのマネジメント・サイクルをしっかりと回していかなければなりません。
  このように見ていくと自然環境をはじめ鳥取県としての強みは数多くあるように感じました。これからはまさにグローカル(グローバル+ローカル)の時代です。是非とも校長がゆるぎない志を持って特色を生かした学校づくりを進めていただきたいものです。
  本校もまだまだやるべきことが山積しており、特色づくりを更に進めていきたいと思っています。

2008年10月02日

教育実習希望者に対する事前説明会

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  昨日(10月2日)、来年度教育実習を希望する学生に対する事前説明会を実施しました。該当者は10名ですが、今回の出席者は8名。すべて本校の卒業生で、現在はそれぞれの大学の3回生です。
  これまで本校では、卒業生で教育実習を希望する者に対しては、無条件で全員の受け入れを行なっていました。このため、今年は25名の教育実習生を受け入れるということになり、しっかりとした指導ができないという結果になってしまいました。このため、今年は各大学に真剣に教職を目指す人に限って実習の受け入れを行いたいという趣旨の手紙をお送りし、今回初めてこのような事前説明会という試みを行ないました。私は全員に教職への志望動機を確認した後、次のような話をしました。〝これからの日本が国際社会で認められていくためには人材育成が何よりも大切であること。皆さんは雲雀丘学園中・高で学校生活を送ってきているが、これが普通の学校であると思わないこと。社会の動向をしっかりと掴む、具体的にはしっかりと新聞を読むこと。先生という職業は他から指摘されることが少ないため、自ら求めて研鑽を積むこと。何をするにも困難はつきものであるが、教職を目指すという強い信念を持つこと。〟等です。
  今回の説明会に参加することによって、全員が気持ちを切り替えて、来年の教育実習に臨んで欲しいと思っています。

2008年10月01日

教職を目指す皆さんをお迎えして

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  先日、エデュケーショナル・ネットワークで「教職を目指す皆さんへ」と題して講演をしましたが、その時の受講生が昨日と本日(10月1日)の2日間にわたり来校しました。15名の中で既に就職が内定した人や公立の発表待ちという人もいますが、大半はまだ就職先が決まっていないようで、本校に関心を持っている人もいるようです。
  約1時間半、私と教頭で皆さんからの疑問点にお答えしたり、こちらから逆に質問するということで、フリーディスカッションを行ないました。〝何故教職を目指しているのか〟また〝どういう教師を目指しているのか〟ということを全員に聞いてみましたが、それなりに自分なりのしっかりとした考え方は持っているようです。私は教育現場というものは必ずしも一口では言い表すことができないし、それぞれの学校においても大きな違いがあること、私学の良さは創立の精神に基づくバックボーンが明確になっていること、現在進めている学校改革の基本的な考え方も、創立の精神である孝道がベースになっており、社会で活躍できるリーダーの育成を目指していること、まず将来のあるべき姿を描きそこから逆算して具体的な取り組みを行なっていること、このことは人生設計においても共通していること、学校だけではなくどのような職場にあっても厳しい現実が待ち受けていること、自分なりのゆるぎない志を持ち続けること等の話をしました。その後、学校の見学をしていただきましたが、丁度期末考査期間ということもあり、授業の様子を見ていただくことはできませんでした。
  今後、一層の研鑽を積んで素晴らしい教師を目指していって欲しいと思っています。