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2008年12月31日

大晦日の由来と伝統の行事

年越しそば除夜の鐘
  いよいよ大晦日を迎え、間もなく激動の年が終わろうとしていますが、皆さんはそれぞれの思いで一年を振り返っておられることと思います。
  大晦日の「みそか」は本来「三十日」と書き、月の三十番目の日ということですが、転じて月の最終日を指すことになりました。晦(つごもり)とは陰暦では十五日に満月となり、月末になると月が見えなくなってしまうため、月隠(つきごもり)が訛ったものです。そして一年の最後のことを「みそか」に「おお」つけて「おおみそか」「おおつごもり」というようになったようです。
  大晦日の夜を一年の日ごよみを除くという意味で除夜と言い、一年を締めくくり、暮れゆく年を惜しむということから色々な行事が行なわれてきています。その代表が除夜の鐘をつくというものですが、この風習は中国の宋の時代に起こり日本には鎌倉時代に伝来したと言われています。新たな思いで新年を迎えるために、今年一年の自分の行いを改めて振り返り、至らなさや愚かさをしみじみ反省しながら除夜の鐘と共に洗い流すという趣旨です。
  また、年越しそばを食べるという風習は江戸時代中期から始まりましたが、そばを食べるのはさまざまな理由があるようです。〝伸ばして細く長く伸びるので、寿命や身代、家運が長く伸びる〟、〝金細工師が一年の作業を終える時に、そば粉を丸めて散らかった金粉を寄せ集めていたことからお金が集まる〟〝そばは切れやすいので、旧年の苦労や災厄を切り捨てる〟〝そばは風雨にあたっても、翌日陽が射すと起き上がるということから捲土重来を期す〟等といった意味が込められているようです。
  今年は多くの皆さんにご支援をいただき心より感謝しています。本当に有難うございました。年の後半にかけて実に厳しい一年でしたが、新たな気持で新年を迎えたいものです。

  なお以前勤務していた高松は讃岐うどんの産地だけあって、大晦日にはうどんを食べて一年を振り返ることになっています。それぞれの地で異なる風習が受け継がれており興味深く感じています。

2008年12月30日

御節料理の由来

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  本来御節というのは中国から伝えられた暦の上の節目つまり季節の変わり目などにあたる節日(せつにち)・節句のことを指します。これが移り変わる季節の節目を感じとり日本流にアレンジされ、それぞれの節句には御節料理を作ってお祝いするという風習になりました。やがて一般に祝う節句は次第に正月のみとなったため御節というのは正月に作られる料理のことを指すようになったのです。近年、御節料理を作る家庭が少なくなりましたが、この不況下にあってもデパートやコンビニの御節料理の売上げは好調なようです。
  御節料理の基本は、お屠蘇、祝肴三種、雑煮、煮しめですが、正月には火の神である荒神を怒らせないため、台所で火を使うことを避けるという意味から、正月料理には火を通したり、干したり、酢に漬けたり、味を濃くする等日持ちする物が多く、それぞれには縁起や願いが込められていますので以下紹介します。
    田作り(たづくり)  田畑の高級肥料としての鰯を使用し豊作を願う
    数の子(かずのこ) 卵の数が多いということで子孫繁栄を願う
    黒豆 (くろまめ)  黒色には魔よけの力があり、まめ(勤勉)に働く
    昆布巻(こぶまき) よろこぶという語呂合わせ
    鯛  (たい)     めでたいという語呂合わせ
    海老 (えび)    腰の曲がった老人をれんそうさせることから長寿
    蓮根 (れんこん)  穴があいているから見通しが良くなることを願う
    慈姑 (くわい)   大きな芽が出るからめでたい
    里芋 (さといも)  小芋がたくさんつくことから子孫繁栄を願う
    鰤  (ぶり)      出世魚であり出世を願う  等です。
  また、これらの料理はめでたさを重ねるという意味で五段重ねの重箱に詰めますが、四段目はし(死)を避けるということから「与の重」と呼ばれています。
  お正月にはそれぞれのご家庭で御節料理を囲みながら是非家族団欒をはかってください。

2008年12月29日

年末を迎えて

注連縄
  今年も残り3日になりましたが、年々お正月が新たな年のスタートになる〝節目〟という感覚は薄れてきているように感じます。以前、日本の家庭では新年を迎えるために御節料理をつくる、餅つきをする、煤(すす)払いをする、障子や襖はりをする、門松や注連縄を飾る等さまざまな準備を家族全員で行ないました。そして、すべての作業を終えて静かに除夜の鐘を聴き、新鮮な気持ちで新年を迎えるのが一般的でした。しかし、近年、手軽さや便利さを求めるあまり、面倒なことはできるだけしないとか、手抜きするといった風潮が増えてきています。御節(おせち)料理ひとつを取り上げてもデパートやコンビニで販売するところが増え、核家族化が進んできたこともあって作る家庭が極端に少なくなってきました。日本の御節料理はそれぞれの家で、親から子どもへと代々にわたって伝授されてきましたが、このままではどんどん廃れてしまいそうです。また、門松や注連縄を飾る家も少なくなってきました。更に正月は長期の休暇と割り切って海外で過ごすため、家の中の掃除や整理整頓もしないという人も増えてきているようです。
  各人がそれぞれの年末を過ごしておられると思いますが、気持ちを切り替えて新年を迎えていただきたいものです。
  なお、しかし、門松や注連縄を飾るのは12月29日と31日を避けるのが一般的です。これは29が「二重苦」、9の末日のため「苦待つ」に通じることになる、また31日も「一夜(一日)飾り」と言われ神をおろそかにするという理由からです。まだ、飾り付けが済んでいないご家庭は是非明日(30日)に行なってください。

2008年12月28日

日本の現状を把握する

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  過去の歴史を紐解くと、時計の振り子のように一方に振れると必ず逆の方向に戻そうとする力が働きます。日本はこれまでは多くの面での綻(ほころ)びを部分的に修正しながら何とか乗り切ってきましたが、このやり方では根本的な解決にはならないということは多くの人が認識しているはずです。人間に例えれば、慢性的な病気のために徐々に体が蝕まれてきており、投薬では健康を取り戻すことが難しい状況になってきているということです。健康回復のためには中長期の計画を作り、抜本的な生活の見直しをはかっていかなければなりませんが、先延ばしにしているというのが現状です。
  しかし、今回の世界同時不況はさまざまな国において、これまでのやり方を抜本的に見直さなければならないという事態を招くことになりました。日本も例外ではありませんが、今はこれからの日本をどういう方向に導くのかを考える絶好の機会であると考えるべきではないかと思います。言い換えると、これまで日本が進んできた道を今一度振り返り、グローバルな視点に立って課題解決の方向を明確にしなければならないということです。
  20世紀の日本の動きを振り返ると、終始欧米へのキャッチアップを目指し物質面での豊かさを追求してきたということになります。官が民を指導し、中央が地方を指導し、閉ざされた企業グループを構成することによって、経済成長と生活水準の向上をはかってきたのです。この結果、「〇〇化」と呼ばれるさまざまな変化が生じました。思いつくままに取り上げると、工業化、都市化、核家族化、高学歴化、情報化、少子高齢化、グローバル化等です。まずこれらの現状をしっかりと把握した上で解決のための方向付けをしておくことが大切です。

2008年12月27日

〝変える〟

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  今年はアメリカでのサブプライムローンに端を発した金融問題が全世界に飛び火し、ウクライナやアイスランド、ハンガリー等は国家破綻の危機に見舞われることになりました。また金融機関が資金不足になり倒産の恐れが出たため、各国政府がこれらを救済するため相次いで公的資金を注入する等の対応に終われました。更にこれが実体経済に波及し個人消費が大幅に減少するという結果になり、アメリカでは代表的な基幹産業である自動車産業が壊滅的な状況に陥りました。
  当初、日本は比較的影響が小さいのではないかと思われていましたが、円高と相まって輸出企業の経営が急速に悪化し、トヨタ・日産・ホンダ等の自動車メーカーやソニー・パナソニック・キャノン等の電機メーカーは相次いで大幅な下方修正を発表するにいたっています。特に優良企業の筆頭であったトヨタ自動車が創業以来の赤字に陥るとのニュースは産業界に大きなショックをもたらすと共に今回の不況の深刻さを裏付けることになりました。〝天国から地獄へ〟という言葉がありますが、わずか数ヶ月の間にこのような状況になるとは経営者の誰もが予想できなかったのではないかと思います。
  かつて日本もバブル経済が崩壊し、立ち直るために10年という長い歳月を要しましたが、今回はアメリカやヨーロッパ、日本だけではなく近年経済成長著しい新興国にまで広がり、まさに100年に一度の世界同時不況という様相を呈しています。そして、この状況は短期間で解消できるほど単純なものではないようです。
まさに、今日本においては国も地方も企業も個人もこれまで取り組んできたすべての枠組みを変えることが必要ではないかと思っています。
  この休暇中、〝変える〟というテーマで色々なことを取り上げていきたいと考えています。

2008年12月26日

仮校舎の完成

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  本年も残り少なくなってまいりましたが、この度高校の新校舎完成までの一年間を過ごす仮校舎が完成しました。去る22日には学園幹部をはじめ設計業者、施工業者の代表者が出席し清祓い式を執り行ないました。この校舎には普通教室の他,社会・理科・書道・美術・家庭等の教室や演習教室、進路指導室、生徒会室等が入ることになっています。そのため、24日には1日かけて引越し作業を行ないほぼ順調に終了することができました。仮校舎という言葉のイメージからするとバラックのような印象を受けますが、冷暖房も完備し防音にも極力配慮した施設になっています。あわせて下足室も仮校舎に移設されることになるため、生徒には家に靴を持ち帰るようお願いしました。
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  今年の作業は本日で終了しましたが、年明けにもう一度こまごまとした移転作業を行なった後、きっちりと8日の授業初め式を迎えたいと思っています。
  また、来年の2月末からはいよいよ高校校舎の建設が始まります。現在、本校ではさまざまな改革を推進中ですが、記念すべき60周年を目指してあらゆるものを見直し、一層の飛躍をはかっていきたいと思っています。明日からは大半の教職員も冬季休業に入りますが、来年のキーワードは〝変化〟です。私も休養をとりながら新たな取り組みの構想を考えていきたいと考えています。

2008年12月25日

年賀状の由来

  今日(12月25日)は元旦に年賀状が配達されるための締め切り日ということで、急いで年賀状を出された人も多かったのではないかと思います。
  年賀状の由来は一口で言うと〝年始の挨拶回り〟が姿を変えたものなのです。わが国では古くは平安時代から明治時代にかけて正月の1日から15日までの間、主君や父母、親戚、お世話になった人に対して年始の挨拶に回ることになっていました。ところが交際の範囲が広がるにつれて、遠くで挨拶に行けない人に年始の挨拶を書いた手紙を送るということが始まりました。最初は新年になった1月2日の書初めの日に書状を認めていたようです。その後、明治4年(1871年)に郵便制度が発足、明治6年(1873年)に全国一律料金の葉書が発売されることになり、年始回りに代わって年賀状を送る習慣が始まりました。更に明治32年(1899年)に年賀状は特別扱いとなり、前年に出したものが元日に届けられるようになりました。
  昭和15年(1940年)から昭和22年(1947年)は年賀郵便の特別取り扱いは停止されましたが、昭和24年(1949年)にお年玉つき年賀はがきが発売されると爆発的な勢いで日本全国に広がり、ついに平成16年には発売枚数が44.4億超というピークを迎えました。ここ数年はインターネットや携帯端末の普及に伴い、年賀状の発行枚数も減少傾向にありますが、お正月に届く年賀状はメールとは異なる紙の趣もありますし、またお互いの消息も分かるため日本人にとってはなお根強い人気があるようです。
  私も以前は年末に徹夜で年賀状を書いていましたが、今年は既にパソコンを使って年賀状を書き上げました。中には年に一度の年賀状の交換だけの方もおられますが、お正月の楽しみの一つになっています。

2008年12月24日

節度ある冬休みの過ごし方

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  23日(火)から生徒達は冬休みに入りましたが、生徒達は登校し補習を受けたり、自習をしたり、クラブ活動に取り組んでいます。
  本校では「学校と家庭の連携による共育」を教育方針に掲げ、長期休暇にあたっては、保護者の皆さんに『生活指導についてのお願い』というプリントを配布していますが、是非保護者の皆さんの指導をお願いします。
  これまでの経験を振り返っても長期休暇中に生活のリズムが乱れ、学校が始まってからも元に戻らなかったり、健康を害するような悪い習慣が身に付いてしまったり、好ましくない交友関係が生まれるといった例が数多く見られます。また昨今、中・高生が携帯やパソコンのブログを通じて凶悪事件に巻き込まれたり、交通事故に遭遇するケースも散見されます。
  言うまでもないことですが、中学・高校生の本分は勉強であり、基礎学力が付いていないと将来、大学進学後や社会に出てからも十分な活躍はできないということになります。この冬休みには今年一年を振り返ってできなかったことを洗いだし、確実に基礎固めをしておいて欲しいと思っています。スポーツでも楽器の演奏にしても一日のブランクを取り戻すには倍の日数がかかると言われていますが、勉強もまったく同じです。そして、生活が乱れ勉強から遠ざかってしまうと元に戻るまでには随分長い日数が必要になり、確実に学力の低下につながります。
  この休みにはしっかりとスケジュールを立てて、規則正しい生活を送ることが何よりも大切です。また、家族と時間を過ごす機会も多くなると思いますので、是非、普段話せないことを話し合って欲しいものです。

2008年12月23日

近づく入試に備えて

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  大学のセンター入試、私立中学校の入試まで今日で残すところ25日になりました。
昨日も高校3年生に対して、残り26日しかないと思うのではなく、〝まだ26日もある。これからも学力は伸びる〟とプラス思考でしっかりと取り組んで欲しいということをお願いしました。
  受験生の皆さんにとっては、これから受験が近づくにつれて精神的にも不安定になりがちですが、平常心をいかに保てるかが大切です。入試ではこれまで全力で取り組んできた学習の成果が試されることになりますが、本番で実力を発揮できなければ、それまでの努力が無駄になってしまいます。オリンピック等の競技を観戦していても実力どおりの力を出せる人とそうでない人があります。これからは本番で通常の力を存分に発揮できるように、言い換えると受験にピークを持っていけるように、是非最後の詰めをしておいて欲しいと思います。
  もうすでに実行されている人もあるかと思いますが、何よりも重要なのは夜型の生活を改め、試験の時間に合わせて頭が働くように切り換えることです。次に食事や睡眠には細心の注意を払わなければなりません。追い込みの勉強も大切ですが、夜更かしし過ぎると朝、頭が十分に働かないということにもなりかねません。早寝早起き、胃腸の負担にならない食事等規則正しい生活を心がけましょう。このためには家族の協力が必要なのは言うまでもありません。また、今年はインフルエンザも例年より早く流行し始めているようです。受験前に風邪を引いて熱を出し、最悪のコンディションで受験にのぞむことのないよう留意してください。。

2008年12月22日

ダイヤモンドの原石を見つけ出す

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  12月22日(月)、授業納め式を行ない次のような話をしました。
  〝今年一年を振り返ると、皆さん一人ひとりにとっても随分色々なことがあったことでしょう。大きく成長した人もあれば、残念な結果に終わった人もあるかも知れません。
  今日はダイヤモンドの話をしたいと思います。最初に皆さんに質問しますが、皆さんの一番の強みは何ですか。それは若さです。ここにいる先生方も絶対に若さということに関しては皆さんに勝てません。若いということはそれだけ大きな無限の可能性があるということです。言い換えると皆さん一人ひとりはダイヤモンドの原石を持っているのです。自分にはそんなものはないという人がいるかも知れませんが、どんな人の中にも必ずダイヤモンドの原石はあります。持っていないという人はただ見つけていないだけなのです。しかし、皆さんが原石を見つけだし磨かなければただの石ころを持ったまま人生が終わるということになってしまいます。
  自然界にあるダイヤモンドと人間の中にあるダイヤモンドには二つの大きな違いがあります。一つ目は、自然界のダイヤモンドは切り刻むと小さくなりますが、人間の持つダイヤモンドは光り始めると成長を始めます。つまり努力を続けると1つが2つに、2つが4つにと増えていきます。二つ目は、自然界のダイヤモンドは一度輝きを得れば永遠にその輝きを保つのに対して、人間の持つダイヤモンドは努力を続けなければ輝きを失い、やがて元の原石に戻ってしまいます。今、社会で活躍しているイチローも石川遼もこのダイヤモンドを磨き続けている人です。
  本校は将来社会で役立つ人材を育てることを教育方針に掲げていますが、これはまさに本校の校是である『高志・自律・努力』を実践することなのです。来年度のキーワードはCHANGE(変える)です。是非この休み中にダイヤモンドの原石を見つけ出し何をCHANGEすれば良いのかを考える機会にしてください。〟

2008年12月21日

原点に戻り自らを変える

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  今年の世相を現す漢字は『変』ということになりましたが、辞書でこの変という字を引くと「かわること。かえること」「非常の出来事、事故、事件」「普通でないこと。異常。奇妙」という意味が記載されています。
  これらの意味は通常それぞれ別個に使用されるものですが、今年はさまざまな分野でこの3つの意味すべてに当てはまることが起こりました。
  とりわけ経済について見ると、今年くらい大きな変化が起きた年はなかったと思います。サブプライムローンに端を発したアメリカ発の金融危機という事件は世界各国の実体経済を揺さぶり始めました。日本経済も年の前半は石油を初めとする資源の暴騰から後半は一転して急落、企業の業績も上半期は絶好調と言える業績から下半期は赤字に陥る等異常な状況が発生しました。
  これまでの戦後の経済を見ると二度にわたる石油ショックや円高、バブル崩壊等不況と言われる局面も何度かありました。〝備えあれば憂いなし〟という言葉がありますが、企業においても家庭においてもある程度の危機管理はしていたはずです。しかし、今回はこれらをはるかに上回る規模であり、急激な変化であったため対応できていないのが現実です。
  このような時には過去の延長線上で考え行動するのではなく、原点に戻ってすべてのことを見直していくことが何よりも大切です。思い切って自らを変えるという姿勢でこの難局を乗り切っていきたいものです。

2008年12月20日

大学入試の前半戦が終了

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  12月20日(土)、今年最後の職員会議を開催しました。この時期には、それぞれ上級学校への進学ということが話題になりますが、進路指導部より前半戦の大学入試結果が発表されました。これまでの中心は「公募推薦」「AO」「指定校推薦」等の入試でしたが、合格状況は次のとおりです。
  全体の合格者(延べ人員)は148名、内訳は公募推薦96名、AO10名、指定校推薦35名、その他7名となりました。主な大学は、京都教育、神戸市立外国語、兵庫県立、慶應、関学、関大、同志社、立命、近大、甲南、龍谷、京都女子、武庫川女子、神戸女学院、関西外語、兵庫医科、京都薬科、大阪歯科、防衛大学校等々です。これらの生徒には、面接や論文等の個別指導を行なってきましたが、合格したからといって気を抜くことなく最後まで学業に励むこと、英語検定や漢字検定にチャレンジすること、その他高校時代にしかできないことにしっかり取り組むようにお願いしています。
  さて、年が明けるといよいよセンター入試を皮切りに、私学、国公立大学の一般入試が始まります。受験生にとっても、先生、保護者にとっても極度の緊張の日々が続くことになりますが、現役生は短期間でもまだまだ学力が伸びることが実証されています。最後まで自分自身の体調を管理しながら、是非踏ん張って欲しいものです。

2008年12月19日

携帯電話利用のルールづくり

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  先日、大阪府教育委員会の「携帯・ネット上のいじめなど課題対策検討会議」において、7つの提言がなされ、橋下知事からは学校への携帯電話の持ち込みを原則として禁止するとの考えが示されています。この会議の座長は、前任の芦間高校の学校協議会のメンバーとして色々と指導していただいていた大阪教育大学の森田英嗣准教授です。この中で特に強調されているのは「学校でのルールづくり等方針の明確化」と「家族の話し合いによる家庭でのルールづくりと効果的な啓発」です。
  本校では携帯電話の扱いについて、登下校時および学校内での所持・使用を禁止する。止むを得ない理由により校内所持が必要な場合には学校に連絡していただいた上で、朝に担任が預かり下校時にお返しするというルールにしています。このルールの基本は〝携帯電話は学習に必要なものではないこと〟、また、〝有害メールや出会い系サイト等のさまざまな問題に巻き込まれやすいということ〟が大きな理由です。そして、この携帯電話の取り扱いについては、入学時は勿論のこと長期休暇の前や色々な機会を通じて指導を行なっていますが、徹底するためには家庭でのルールづくりが大切です。
  今回の提言の中で家庭での基本ルールとして『実行しよう五つの約束』が示されていますので紹介します。
①フィルタリングの利用を徹底する。②帰宅後等適切な使用時間を決める。③知らない人からのメールに返信しない。④個人情報を安易に教えない、書き込まない。⑤持ち込み禁止など学校の規則を守る。
  今、携帯の中で最もよく使われている機能はメールですが、1時間以上使用している者が約半数、5分の1が3時間以上使用しているという驚くべき数字になっています。そして、携帯の依存傾向が強いほど「学習時間が短い」ということもわかったようです。年末・年始の休暇中に是非ご家庭でのルールづくりを行なっていただきたいものです。

2008年12月18日

これからの食生活をどうするか~安部司氏の講演より

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  安部司氏は食品添加物の光と影について次のように述べておられます。
  「食品添加剤には多くのディメリット(影の部分)がありますが、メリット(光の部分)があることも忘れてはいけません。戦後、これだけ食生活が豊かになり、いつでもどこでも食べたいものが手に入るという〝便利さ〟を享受できるようになったのはまさにこの食品添加物のお発達のおかげです。」
また、日本では昔から豆腐を作るための「にがり」、紅白饅頭の「食紅」等代表的な添加物がありました。従って、食品添加物が全て悪であるということではなく、上手に付き合うことが大切です。
  安部氏が講演に出向くと「食品の表示を見て買えと言われても添加物の知識がないし、カタカナの難解な物質ばかりで何がなんだか解らない」ということを質問されることが多いようです。これに対しては「あまり難しく考えずに、『台所にないもの=食品添加物』という図式のもと、裏を見てなるべく台所にないものが入っていない食品を選ぶだけで、ずいぶん添加物の少ない食品を選ぶことができる」と答えているとのことです。
  また、食品添加物と上手に付き合うポイントとして次の5つをあげておられます。
   ①商品の「裏」の表示をよく見て買うこと
   ②加工度の低いものを選ぶこと~手間をとるか、添加物をとるかを心に留めておく
   ③どんな添加物が入っているか知って食べること~一週間というスパンで考える
   ④安いものだけに飛びつかないこと~安いものには理由がある
   ⑤素朴な疑問を持つこと~何故きれいなのか、何故安いのか、何故しなびないのか等
  そして、食の乱れは食卓の乱れ、食卓の乱れは家庭の乱れ、家庭の乱れは社会の乱れ、社会の乱れは国の乱れに繋がる、つまり〝食が乱れると国が乱れる〟というのが安部氏の持論です。
  食べるという行為は〝命をいただく〟ということですが、それぞれの家庭において食の大切さや感謝の気持ちを育てるようにしていきたいものです。

2008年12月17日

個人懇談始まる

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  12月17日(水)から19日(金)まで3日間の予定で保護者懇談が始まりました。本日も早朝から
多くの保護者の方がお見えになり、それぞれの担任とお話をされたようです。担任との懇談後、何人かの保護者の方が校長室に立ち寄られましたので色々とお話をさせていただきましたが、やはり成績が芳しくないことに対する相談が大半でした。中には、「今日成績表をいただいて初めて点数を見て愕然としました」と訴えられる方もおられました。親の立場から見るとどうしても点数で示された結果が気になるのは仕方がありませんが、決して頭ごなしに叱り付けるということは得策ではないと思います。
  何事も原因があって、結果が生じます。問題となる原因を除去したり、改善しない限り良い結果が期待できないのは当然です。授業に集中できていない、予習や復習が不十分である、家庭での勉強時間が足りない、勉強の意義がつかめていない、苦手教科に手が回っていない、勉強の仕方がわからない、といった色々な理由があげられます。また、体調が優れない、食や睡眠等の生活習慣が乱れている、携帯端末の使用時間が長すぎる、整理整頓ができていない、といったことも考えられます。
  是非、この機会に家庭においてこのようなことがないかどうかを確かめていただき、年末・年始の休暇中に改善していただきたいと思っています。
  また、保護者の皆さんで何か気にかかることがおありの方は、遠慮なくお立ち寄りください。

2008年12月16日

第37回中学校英語暗唱大会の開催

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  12月16日(火)午後、中学生の部の英語暗唱大会が行なわれました。この大会は、本校の伝統行事の一つになっており今年で実に37回目を迎えます。本年は各クラスから選ばれた中学1年生10名、中学2年生 8名、中学3年生 9名の計27名が発表しましたが、本日に至るまでには中学生全員が後期の授業開始時あるいはそれ以前から、それぞれの学年の指定する課題に約2ヶ月もの間取り組んできました。それぞれの学年の題目は、1年生は「ロンドン橋が落っこちる」で知られるLondon Bridge、2年生は「赤毛のアン」のAnne of Green Gables、3年生は落語の「あたま山」よりIt’s On My Headです。
  出場者にとっては、生徒や先生、保護者等多くの聴衆の前で、しかも英語で発表することは初めてという人がほとんどです。恐らく物凄く緊張していたと思いますが、一人ひとりがジェスチャーを交えながら堂々と発表を行ないました。いずれも甲乙つけがたい出来映えであり、本番に備えて繰り返し練習を積んで来た努力の跡が感じられました。
  暗唱の基本はまず先生の真似をすることから始まり、これを完璧にこなした後に文の内容を咀嚼し、感情をこめた自分なりのスタイルに磨き上げる。そして、更に大勢の前で発表するまでに仕上げていくというステップが必要です。先日も探求の授業でパワーポイントを使った発表を行ないましたが、これからグローバル化の進展と共に英語でのスピーチやプレゼンテーションの機会が増えるのは間違いありません。 生徒達がこの経験を生かし、今後一層飛躍してくれることを心より願っています。

2008年12月15日

安部司氏の講演より~添加物が日本の食文化を壊す

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  世界では日本食がヘルシーであるという理由で、大変な人気を博しており、アメリカの日本食店は1990年代の3000店からほぼ3倍になっていると言われています。また、醤油の消費量は1996年からの8年間で30パーセント以上増え、緑茶は倍増しています。更にユズ、エダマメ、ワサビなどの日本語はそのまま通じるようです。
  しかし、日本では日本食離れが急速に進んできており、これと共に食料自給率も低下の一途を辿ってきています。そして、従来はあまり問題にされなかった欧米型の生活習慣病も年々増加してきています。この原因のひとつが、子ども達の味覚を壊す食品添加物にあると言われています。つまり、子ども達は塩分、糖分、油分が美味しさに変わるという錯覚に陥ってしまっているのです。今、食品業界では「これを入れないと売れない」という調味料のゴールデントリオと呼ばれるものがあるようです。これらは食塩(精製塩)、化学調味料(グルタミン酸ナトリウム),たんぱく加水分解物です。これに増量剤としてブドウ糖、乳糖、砂糖が加えられるのです。
  例えばインスタントラーメンは国民食と呼ばれるほど我々の生活に溶け込んでいますが、この作り方は「塩」に「化学調味料」を加え、とんこつエキス、チキンエキスなどの「たんぱく加水分解物」を入れ、ホワイトペッパーなどの香辛料を配合し、さっぱりした後味にするために酸味料、とろみをつけるために増粘多糖類を入れて出来上がります。同じ要領でスナック菓子や昆布だしの素、お吸い物の素になります。そして、この3点セットはあらゆる加工食品に使用されているため、子ども達の舌が壊れるだけでなく、食事がいとも簡単に出来上がると思ってしまうことになります。
  昔はどの家庭にも〝おふくろの味〟というものがありましたが、今の子ども達にとって、これが自分の家の料理であると自慢できるものはどれだけあるのかは疑問です。今一度、手づくりの味のすばらしさを見直していくべきではないかと思っています。

2008年12月14日

「食」の現状を知る~安部司氏の講演より

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  安部司氏は大きなキャリーバッグを持参されましたが、この中には数多くの食品添加剤のビンがぎっしりと詰め込まれていました。講演にあたってはこれらをテーブルの上に並べて実際にスーパーに並んでいるジュースや漬物を目の前で作っていただきました。
  日本で使用されている食品添加剤は1500種類もあるようです。食品の裏には原材料として酸化防止剤、着色料、PH調整剤、脂肪酸、乳化剤等多くのものが記載されていますが、これらが何のために使用されているのかを知っている人は少ないようです。それではどうしてここまで食品添加剤が蔓延したのでしょうか。添加剤が使われているのは売る側だけではなく消費者の姿勢にも原因があるのです。売る側の立場に立つと、自然食品を生産、販売しているとすぐに食品が腐り、色あせするためどうしても価格が高くなってしまいます。その結果、全く儲からず廃業に追い込まれるケースが多いようです。一方、消費者は「安い」「簡単」「便利さ」「美しさ」「味がよい」ということを求めます。そして、この5つを実現するために食品添加剤が使われるのです。
  毎日の新聞に挟み込まれているスーパーの広告チラシには、特売品が掲載されており、食品売り場には実に多彩な食品が陳列されています。また、コンビニエンス・ストアには数多くの食品添加物が含まれた食品が散見されます。
  しかし、これらの食品添加剤が体にとって悪影響を与えるのは間違いありません。特に長期間にわたる摂取により体内に蓄積されるとさまざまな健康障害が起こってきます。食についての関心を高めていかなければならないと感じました。

2008年12月13日

朝永振一郎記念「科学の芽」奨励賞を受賞

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筑波大附属学校教育局のHPより

  この度、雲雀丘学園中学校が『朝永振一郎記念・「科学の芽」学校奨励賞と個人奨励賞』を受賞しました。
  この賞は湯川秀樹博士に続いて日本人二人目となるノーベル賞を受賞された朝永振一郎氏の生誕100年に当たる2006年に筑波大学でスタートした記念事業の一つです。今年で3年目を迎えますが、応募件数は全国で1248件と昨年の846件を大きく上回りました。この中から「科学の芽」賞23件と「科学の芽」奨励賞32件が選出されましたが、本校の中学2年生の女子生徒と中学一年生の男子生徒の2名が、科学の芽奨励賞を受賞することになりました。また、全国で6校が「科学の芽・学校奨励賞」を受賞することになり、本校は昨年度に続いて選出されました。
  「科学の芽」賞は、青少年プログラムの中に位置づけられており、応募資格は全国の小学生、中学生、高校生となっています。本校では、夏休みの理科の課題として自由研究とレポート作成を出し、8月末にまとめて提出しました。中学1年生は全員が提出、中学2年生は環境調査との選択の結果、44名が応募したようです。理科の先生に聞くと、中学2年生は昨年度以降、レポートの書き方や研究の仕方を機会あるごとに指導してきたこともあって、内容の充実した作品が多くなってきた。また、中学1年生は初めて書いたレポートが多かったにもかかわらず、昨年度よりも着眼点がユニークな作品が目に付いたとのことです。今年は日本から3名のノーベル賞受賞者が出ましたが、子ども達が単に知識を学ぶだけではなく色々なことに疑問を持ち、自分で考えることによって豊かな創造力を身につけていくことが大切であり、これからもこのような取り組みを続けていきたいと思っています。 

  朝永博士は次のような言葉を残されています。
〝ふしぎだと思うこと これが科学の芽です。よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です。 そして最後になぞがとける これが科学の花です。〟
  

2008年12月12日

本当の食の安全~安部司氏の講演より

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  12月12日(金)、日本の著名な食品添加物評論家で「食品の裏側」の著書で知られる安部司氏に『本当の食の安全とは』というテーマで約1時間半にわたり講演していただきました。
  本学園では「家庭と学校の連携、共育・共学」を教育方針として掲げていますが、今回はこの取り組みの一環として中学・高校のPTAが環境問題の中核となる「食育」を取り上げ、保護者の皆様を対象に開催することになりました。
  安部氏は山口大学文理学部化学科を卒業後、食品添加物の専門商社にセールスマンとして勤務され多くの業績を残されました。しかし自らが売る食品添加物が自分の子どもには絶対に食べさせたくないものだったと気づき退職され、その後食品業界の裏側を告発する「食品の裏側―みんなが大好きな食品添加物」を出版されました。
本日は実際の体験に裏打ちされたお話であり、しかもずらりとテーブルの上に並べられた数多くの食品添加物を実際に使いながら目に見える形で説明されたため、時間の経過と共に参加者は徐々に話に引き込まれ、日頃何気なく購入している食品の安全性についての認識が深まっていくように感じました。
  なお、今回の講演には中学校や幼稚園の保護者の他に地域の方にも多数参加していただきましたが、これからもこのような催しには多くの皆様にも参加していただけるようにしていきたいと考えています。
  お話の内容は大きく「食の現状を知る」「添加物が日本の食の文化を壊していく」「これからの食生活をどうするか」という3つに分かれていましたが、いずれも興味深い内容であったため、これから何回かに分けて紹介していきたいと思っています。

2008年12月11日

プレゼンテーション能力を高める

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  先日、中学1年生の「探求」の授業の中で、『世界を知ろう』というテーマで自ら調べた内容をパワーポイントで発表したということをお知らせしましたが、本日10人の代表によるプレゼンテーション発表会がありました。さすがに各クラスから選ばれただけあって、パワーポイントのスライドもしっかりと作成しており、発表にも練習の成果が現れていたようです。中学1年の学年主任が情報の教員免許を持っており、前任の高校で情報の授業を教えていたこともあって、パワーポイントの作成を指導したところ、生徒達が高校生と変わらないくらい理解が早く、立派なスライドを作成する姿を目の当たりにして驚いたようです。
  私も講演や説明会のパワーポイントのスライドは自分自身で作成していますが、実際にパワーポイントによる発表を行なったのは50歳少し前であり、中学時代にはコンピューターに触れること等全くなかったと記憶しています。生徒達の発表を見て世の中は急速に変わってきているということを実感しました。〝百聞は一見にしかず〟という言葉がありますが、口で多くのことをしゃべるよりも目に見える形にする方が数段解り易いのは当然です。また、多くの人に訴えかけ、心をひきつける話術も身につけていかなければなりません。
  将来、生徒達は社会に出ることになりますが、このプレゼンテーションの力は実に大切になってくることでしょう。特に、今後ますますグローバル化が進む中で、他の国の人達と一緒に活動する機会が増えてくるのは間違いありません。
  本日は、たまたま取材に来ておられた塾の方にも発表会の様子を見学していただくことができ良かったと思っています。
  日本人はともすると謙譲の美徳と言われるように積極的に自分をPRすることが苦手な面がありますが、生徒達が今回の経験を機にプレゼンテーション能力を高めていってくれることを期待しています。

2008年12月10日

進路学習~職業人に学ぶ~を終えて

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  12月10日(水)の5限・6限に高校一年生を対象に『職業人に学ぶ』というテーマでの進路学習を実施しました。この催しはキャリア教育の一環として、例年この時期に社会のさまざまな分野で活躍されている方々にそれぞれの仕事の内容や体験を語っていただく事になっています。
  本年度は宝塚ロータリー、保護者、卒業生等17名の方に講師をお願いしたところ快くお引き受けいただきました。私も順次全ての講義を見学させていただきましたが、いずれもパワーポイントや実際の物を示しながらの興味深いお話で、生徒達も熱心に耳を傾けていました。今回の学習を通じて、通常の授業では学べない実社会における仕事に対する理解がかなり深まったのではないかと感じました。本校の生徒はほぼ全員が上級学校へ進学しますが、本校は知識偏重型の大学進学だけを目的とした教育を目指しているわけではありません。現在、推進している学校改革の基本の考え方は、創立の精神の体現であり、〝将来社会で役立つ人材の育成〟です。
  最近、生徒の学習に対する意欲低下が問題視されていますが、自分なりのしっかりとした目標を持つことができれば、自ずと学習に対する意欲も向上してくるのではないでしょうか。
  このような体験を通じて、生徒達が世の中のために尽くすという思いを持って将来の進路を決める、言い換えると〝自分の人生設計を考える〟きっかけにして欲しいと思っています。

 講師の皆さんのプロフィールは以下のとおりです。

  管理栄養士(病院・栄養部)、理学療法士、弁護士、中学校教員、
  鍼灸師・柔道整形師、会社経営者、新聞記者、建築・設計士、
  幼稚園教諭、ホテル宴会部長、イベント企画担当、警察官、客室乗務員、
  歯科医師、コンピュータービジネス代表、大学教授、病院薬剤師、

本日はお忙しい中、本校の教育活動にご協力いただき心より感謝申し上げます。

2008年12月09日

これからの地球規模での課題~水問題

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  過去の歴史を紐解くと、世界の四大文明が全て大河のほとりに存在したという事実が証明するように、人間と水とは切ってもきれない関係にあります。人間は空気がなければ3分間、水がなければ3日間しか生きることができません。このように水は人間にとってなくてはならないものですが、人口の増加に伴って水が足りなくなってきています。世界人口は2025年には80億に達すると言われていますが、このうちの実に40%は深刻な水不足に陥る、と予測されています。
  地球は“水の惑星”と言われるほど水の多い天体ですが、ほとんどが海水で淡水は3%程度しかありません。しかもその大半が北極や南極の氷という形で存在しているため、湖や河川、地下水といった生活に利用できる形での淡水は地球全体の水の1%にも満たないのです。
  そして、これらの水は生活用水だけではなく農業用水や家畜を育てるために、または工業用水として使われることになります。これまで工業化が進んでいない国や地域では、水の大部分は農業や牧畜に使われてきました。ところが、工業化が進むと水はより生産性の高い分野に使われることになり、農業や牧畜に回らなくなってしまい、食料の確保がますます難しくなってきます。更に工場からの汚染された排水の増加、地球温暖化に伴う河川の水量の減少により、深刻な水不足に陥ってしまいます。まさに20世紀における石油と同様、21世紀は水をめぐる争奪戦が展開されることになるでしょう。
  わが国においては台風の影響で世界の年間平均降雨量の1.7倍にも当たる1700ミリメートルの降雨があるため、水が有り余っているという印象が強く水に関する危機感は薄いようです。
  しかし、今、日本は食糧の61%を海外から輸入しているため、これらをすべて国内で作ると膨大な量の水が必要になるということを知っておかねばなりません。これはヴァーチャル・ウォーター(仮想水)と呼ばれていますが、輸入した牛肉や小麦、大豆、とうもろこし等を育てるために使用される水の量は実に年間640億トンで、日本全体の農産物の生産に使われる灌漑用水の量をはるかに上回っています。特に日本は大量の水の輸入国であるという認識の上に立って、水や食料を大切にしていきたいものです。

2008年12月08日

隗より始める~私の環境への取り組み

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  早いもので、今年も残すところ20日あまりになってきました。本当に月日の経つのは早いものだと感じています。
  本校では本年度より環境教育に注力することにし、5月末には環境宣言を行ないました。これまで学校としては、文化祭や研修旅行、ゴミの分別、紙の削減等を通じてさまざま取り組みを実施してきましたが、更に実効をあげるためにはしっかりと反省をして来年度の計画に落とし込んでいくことが必要です。 また、何度もお話しているように環境問題は人間の経済活動が引き起こした問題であり、一人一人が自らの問題として真剣に取り組んでいかなければなりません。そのためには、学校だけではなく家庭、地域、個人等身近なできることから行動に起こしていくことが大切です。最近、生徒達と話しているとそれぞれの家庭において、マイバッグの持参や節電・節水等色々な試みをしていただいている家庭が増えてきているようですが、まだまだ十分ではないように感じています。
  「隗(かい)より始めよ*」という言葉がありますが、私も自ら率先して身近なことから実践していきたいと考え、環境問題について毎日勉強しながら、3R(Reduce・Reuse・Recycle)を基本にさまざまな取り組みを始めました。自動車の使用を減らす、マイバッグ・マイ箸を持参する・米のとぎ汁を植木の水やりに使う、エコや手作りクッキングを心がける、生ゴミを肥料化する、省電力や深夜電力を活用する等ですが、ほぼ半年間続けてきましたので、これまでの成果を確認して次なる取り組みに続けていきたいと考えています。

*隗より始める
身近な事から始める、言い出した人から始めるという意味

2008年12月07日

成長は素直な反省から

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  昨日で期末の定期考査も終了しました。生徒達は5日間の緊張から解き放たれ、家路に着く者、クラブ活動に向かう者等さまざまでした。生徒達にとって試験は楽しいものではないかも知れませんが、学力が向上しているのかどうかを確かめるための最適の手段であるのは間違いありません。大切なことは試験が終わった後どのような行動をとるかです。最良の方法は家に帰って自分なりにもう一度試験を解き、正しい答えを導き出し、将来同種の問題が出されたら確実に解けるようにしておくことです。次善の方法は答案が返された時にしっかりと正答を確かめ、自分のものにしておくことです。言い換えると学力を上げるためには素直な反省が何よりも大切であり、これらが習慣付けられると確実に学力は向上していくものです。
  しかし、この簡単なことを実行していない生徒も相当数いるようです。やってもやりっ放しということでは人間としての成長は期待できません。
  成長するためには素直な反省が必要です。今年も残り少なくなりましたが、一日一日、一週間、一ヶ月、一年の反省を通じて、人間としての成長をはかっていただき、充実した人生を送って欲しいと思っています。

2008年12月06日

第3回高等学校説明会の開催

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  12月6日(土)、第3回の高等学校説明会を開催しました。本日は土曜日で午後には気温も上がったこともあり、1時20分の受付開始と同時に生徒と保護者の皆さん約800名が続々とお見えになり、講堂はほぼ満席になりました。開始までの時間を利用してギター・マンドリン部員による演奏を行ないましたが、なかなか好評のようでした。2時からの説明会においては冒頭、私から「社会で役立つ力を育てる」というテーマで次のような話をさせていただきました。
  「本日の説明会に参加している生徒の皆さんが高校・大学で就業し社会に出るまで7年少しですが、この間どのような生活を送るかは将来の人生にとっても極めて大切です。現在、世界の経済は極めて厳しい状況下にあり地球規模での課題も山積していますが、IT、バイオ、ナノ、エコ等の新技術が続々と生まれてきています。この結果、これまでなかったビジネスが創出されることになり、皆さんの仕事は世界中に広がってくるのです。そのために本校では〝将来社会で役立つ力を育てる〟ことを教育方針にしています。是非雲雀丘学園で人間の根っ子をしっかりと育ててください。」
  続いて学校紹介ビデオと剣道部、放送部の紹介を挟んで、教頭と入試広報部長から教育の内容や三年目を迎えるコース制の進捗、生徒達の学力伸張状況、来年度の入試に関する留意点等の説明を行ないました。説明会終了後には学校見学やクラブ見学をしていただくと共に個別相談をお受けしました。そのほとんどがコース制、専願と併願、選抜特進コースを選んだ場合の就学補助の内容、部活動との両立に関するものでした。
  本校では決して、大学入試だけを目的とした知識詰め込み式の教育を行なおうとしているのではありません。あくまで人間としての土台となる根っこをしっかりと伸ばし、将来社会で活躍するリーダーを育てていくというのが基本の考え方です。そのために、人間教育の充実と学力の向上の両立を目指していくことが大切であると感じています。
  本日は予想を上回る参加者になりましたため、資料が不足するという不手際があり誠に申し訳なく思っています。また、他の私学の説明会と日程が重なったため、参加できなかった方もおられたようです。本年度の入試説明会は、中学・高校共全て終了しましたが、本校ではいつでも学校見学や入試相談に応じていますので、ご一報いただきご来校いただきますようお願いします。

2008年12月05日

自分の頭で考えなはれ~上甲晃先生の講演から

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  先日の上甲晃先生の講演では、人を育てるさまざまなキーワードが示されました。その中で印象に残った一つが松下幸之助氏の口癖であった“自分の頭で考えなはれ”という言葉です。松下政経塾の教育方針も“自修自得”つまり自ら問いを発し自ら考えるということであったようです。
  今の学校教育の最大の弱点は“与えられた問題をいかに的確に解くか”という能力が重要視されるあまり、自ら課題を見つけ出して解決するという能力が身についていないということです。学校では、先生は常に問題を出します。解らない事があれば生徒はすぐに先生に質問をし、先生は生徒達に答えを教えています。通常直ちに答えを教えてくれる先生は良い先生であり、そうでない先生は人気がありませんが、これでは本当の学力は身につきません。
  生徒達はやがて社会人となりますが、一般社会では答えを自ら導き出さなければなりません。言い換えると自ら問題を作り出し、その上で自ら答えを見つけ出していく力が大切なのです。わかりやすいようにメーカーの新製品開発を例にとると、どのような商品が売れるのかを自ら考えていかなければなりません。お客様がどのような商品を望んでいるのか、今はどういうことに不満を持っているのか、安い価格、安心、安全、快適を追求するためにはどうすれば良いのか等、智恵を絞り出していかなければなりません。また、正しい答えが一つということではなく数多くあるのです。
  本校の教育方針は〝将来社会で活躍する人材の育成〟ですが、“社会で役立つ力”を育てるためには、先生がすぐに答えを示すのではなく、自分の頭で考え抜くという習慣を身につけさせることが不可欠です。このために今後カリキュラムや授業の見直しをはかっていきたいと思っています。

2008年12月04日

食料自給率を高める

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  わが国の食料自給率がカロリーベースで39%しかなく、先進国では最低の水準であるということに対して、農業政策を見直すべきであるという意見が多く出されるようになってきました。しかし、自給率を高めるために自ら行動を起こしている人は案外少ないように思います。
  都道府県別に食料の自給率がどのようになっているのかを調べてみると、実に興味深い結果が得られます。これによると自給率が100%を超えている都道府県はわずか5つに過ぎません。トップが北海道の195%、次いで秋田県の174%、山形県の132%、青森県の118%、岩手県の105%です。裏返すとこれ以外は全て食料が自給できていないのです。因みに自給率が最も低いのは東京都で1%、2位が大阪府で2%、3位が神奈川県で3%、次いで埼玉11%、愛知・京都13%・・・と続き、兵庫県は16%です。こうして見ると当然のことながら人口の集中している都会の自給率が極端に低いということが解ります。
  それでは我々が自ら食料自給率を高めるためにやることはないのでしょうか。「脚下照顧」という言葉がありますが、一人ひとりが自らの問題として行動を起こすことは数多くあるように思います。
  我々がスーパーやデパートに行くと、世界各国から輸入された食材が〝所狭し〟と並べられています。最近、食の安全性が問題視されるようになり、国産品の良さが見直されるようになってきましたが、依然として輸入食材を購入しているケースが多いように感じます。「国産品を購入する」「地産地消を心がける」「余分なものは買わない」「食べ残さない」といった身近なことから始めたいものです。

2008年12月03日

紀州からのみかんのプレゼント

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  12月3日(水)、和歌山県の日高郡日高川町在住の玉置俊久さんからみかんが送られてきました。玉置さんは元、松下電器四国支店時代の同僚ですが、会社を早期退職し自ら〝みかん百姓〟と称し家業のみかん作りを継承しておられます。
  近年は堰を切ったような肥料や農薬、農業資材の高騰や猪の被害といった逆風が吹き荒れていますが、これらと戦いながら安心安全を目指して肥料の有機化や減農薬へのチャレンジを行なっておられます。また、日高川町観光協会の会長に就任され、和歌山県の天台宗最古の寺である道成寺に京都の妙満寺から実に420年ぶりに釣鐘を里帰りさせたり、手づくりログハウス倶楽部を立ち上げたり、備長炭の産地を売り込むため「日本一長い焼き鳥」に挑戦する等斬新なアイデアで活性化に取り組み『魅力ある日高づくり』を推進されており、まさに〝町おこしのプロデューサー〟です。更に今年4月からは和歌山大学の非常勤講師として「観光と地域」というテーマで週一回の講義をしておられるようです。
  今回届けていただいたみかんは、これから大学受験の本番を迎える高校3年生と教職員に配らせていただきました。大小取り混ぜた規格外のみかんということですが、新鮮で甘さが口の中に広がりました。
  最近、柑橘類についてもオレンジやネーブル、グレープフルーツ等の輸入品が増加しつつありますが、ポスト・ハーベスト(収穫後の農薬)の心配のない国産のみかんを見直していかなければならないと感じました。玉置さんのご好意に心よりお礼を申し上げます。

2008年12月02日

〝先生・本気ですか〟~上甲 晃氏の講演

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  12月2日(火)、志ネットワーク代表の上甲晃先生より学園の教職員を対象に『先生・本気ですか』というテーマで熱意溢れるお話をいただきました。
  この講演の中で人を育てるための数多くの心に残る言葉が紹介されました。松下幸之助氏が言われた〝自分の頭で考えなはれ〟という「自修自得」、心して見ればことごとくわが師となるという「万事研修」、「待つことは愛である」、青年塾の教育方針である「不便・不自由・不親切」、「人は与えれば与えるほど贅沢になる」、「環境を整えると心が整う」、汗を流せば大事なことが解るという「流汗悟道」、「人に求める限りは自らやる」、「己の損得を超える」、あたり前のことを継続するという「凡事徹底」等です。
  最後に26年間の教育の世界で体得したのは「生徒は〝あんた本気か〟という目で見ている。他人を変えることはできない。自分を変える勇気を持つことである。言っていることとやっていることが一致していることが大切である。」という言葉で締めくくられました。
  更に退場される時、一つ言い忘れていたことがあるということで、青森県弘前市のリンゴ農家である木村秋則さんの〝リンゴ栽培の主人公はりんご。自分が育てていると思っている間はうまくいかなかった。育つお手伝いをしてあげるのが自分の役目。声をかけたりんごのほうが早く実をつける。〟というエピソードを紹介されました。そして、この講演の後、上甲先生は汗びっしょりになったシャツを着替えられました。
  本日は、先生の本気が伝わるお話をお聴きし、教職員一同素晴らしい感動をいただきました。ご多用中にもかかわりませず、福岡からの帰途本学園にお立ち寄りいただき、心より感謝申し上げます。

2008年12月01日

これからの地球規模での課題~食料問題

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  昨今、マスコミでも頻繁に取り上げられていますが、先日(11月15日)、内閣府が発表した『食料・農業・農村の役割に関する世論調査』によると、世界的な食料危機に伴う食料品価格の高騰や「食の安全」を巡る問題を背景に、9割以上の人が将来に不安を持っていることが判りました。また、食料自給率を高めるために農業のあり方を見直すべきであると考えている人も多いようです。
  食糧問題についての基本条件は安全な食糧が安定して確保されているということです。しかし、世界の人口が急激に増加する中で、すべての人間の命の源である食糧問題についての現状を正しく認識し、この問題解決のために自ら何らかの行動を起こしている人は少ないようです。
  日本における最大の問題点は先進諸国の中でも極端に低い食料自給率です。参考までに現在の世界各国の食料自給率を見るとオーストラリア230%、フランス130%、カナダ120%、アメリカ119%、ドイツ91%、スペイン90%、スウェーデン87%、イギリス74%、イタリア71%、韓国50%、これに対して日本は39%しかありません。
  この推移を見ると70%を切ったのが昭和41年(1966年)、60%を切ったのが昭和46年(1971年)、50%を切ったのが平成元年(1989年)ということになっています。そしてついに本年40%を切ることになりました。つまり、日本の工業化と反比例して食料自給率が低下してきており、貿易の不均衡を是正するために工業製品の輸出の見返りに食料を輸入してきたと言えます。