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2012年05月31日

食育のすすめ

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 昨日、中学と高校の1年生を対象に、食育と服育の講座を行いました。
 「食」は中学高校時代には、健康な体を造る非常に大切な問題です。ところが、この食の問題が疎かにされたりする傾向があります。弁当やファーストフードなどを含めた広義の外食産業市場規模は、平成21年度で約30兆円弱(外食産業総合研究センター調べ)といわれています。当時の国家予算が85兆円ですので、大変な規模になります。外食産業の市場規模が大きくなるということは、それだけ家での食事が少なくなっていることになります。その上に、日本の食料自給率(カロリーベース)は、外国に比べ格段に低く、年々低下して約4割になっています。自給率の低下により、フードマイレージやバーチャルウォーターなどの環境問題も出てきています。
 1970年代米国はマクレガンレポートとして日本の食生活をモデルにする米国の食事の目標を議会に提出しました。それにより、癌などによる死亡が減少したとされています。皮肉なことに、モデルとされた日本の食事は欧米化へと変化してきました。また、昔は主食のお米が多く、副食といわれるおかずが少なかったものが、今は逆転しています。その分、副食に使われる油脂の割合も増加し、肥満の原因にもなっているそうです。
 「健康とは健全な肉体に宿る健全な精神のことである」(ホメロス)と古くから言われています。成長が著しい中学高校時代に健康な体づくり、そのための食事にもっと関心を持ち注意を払う必要があります。
 第4回目になるエコ弁当づくりです。6月11日は中学生対象になています。旬の食物には、その時必要とされるエネルギーがいっぱい詰まっているといわれます。どんな立派な作品ができるか楽しみです。

2012年05月30日

観見二つの目付

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 「眼の付け様は、大きに広く付るなり。観見の二つあり、観の目つよく、見の目よわく、遠き所を近く見、近き所を遠く見ること、兵法の専なり。」宮本武蔵の「五輪の書」に出てくる一節です。
 「観」は表面上に見える現象などではなく、その奥に潜むものを観るとして、相手の心の動きなどを感じる、心を見るのではなく聞くという言葉が使われたりします。「見」は表面上に表れた動き、相手の動作などを見る時に使われます。そして、「見」の目をよわくして、「観」の目を強くする必要があるとしています。
 目の前に現れた動きや現象には目を奪われて、その奥に隠れているものや法則性を見ることができない時がよくあります。サッカーで、ある方向にパスを出すふりをし、つられて相手がその方向に動いた際に、逆の方向にパスを出すフェイントと呼ばれるものが、典型的な例としてあげられます。大きな動作だけでなく、予測される目線とは違う方向にパスをだす、目線を利用したノールックパスなどもあります。
 目に見える現象面だけに目を奪われてはいけないのは、スポーツの世界だけではありません。森や樹木の減少が水や土砂災害に関係していること、夏の風物詩である蛍が少なくなってきたのは、川の水質の問題であること、などよく知られていることです。
 ところで、最近、都会ですずめやツバメが少なくなってきたといわれています。逆に、兵庫県や北海道では、鹿が増えているといわれています。これらの背景に何があるのか、「見」の目よわく、「観」の目を強くする必要があるような気がします。
 兵法の極意の一つとして書かれたものですが、それに留まらず、現在にも「観見二つの目付」が必要だと思います。

2012年05月29日

なにが大気を不安定にさせているのか

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 「コリオリの力」というものがあります。フランスの科学者コリオリの名前からとったものです。東南アジアにあるシンガポールのほぼ真北にロシアのイルクーツク州に属するアンガルスクという都市があります。飛行機でシンガポールから真北に飛んでいくと、この都市の上空を飛べなく、必ず東側にそれます。この飛行機に働く力が「コリオリの力」で、地球が東方向に自転しているから東にそれることになります。赤道付近のシンガポールと緯度の高いロシアでは、地球の自転速度が違うところから起こります。空気の対流と「コリオリの力」との関連で様々な気象の現象が起こるようです。北半球の低気圧や台風の渦が左巻きなのも、海流やジェット気流、貿易風が生まれるのもこの力の作用だといわれています。
 最近、日本でもよく耳にするようになった竜巻も左巻きかというと、竜巻の起こる原理など不明な点が多いようですが、台風とは違って左巻きとは限らないようです。風呂の栓を抜くと北半球では左巻きの水流ができると、まことしやかに言われていますが、これも違うそうです。風呂の水のように小さなものには「コリオリの力」による影響よりも、他の要素の方が大きく影響するそうです。
 最近、突然、雷や激しい雨が降ってきたりと、大気が不安定な状態です。関東地方では、竜巻が起こり雹が降ったり、落雷による死者やけが人もでています。季節的なものや一時的なものとは思えません。地球温暖化による南極大陸周辺の海氷生産量の減少がもたらす海洋循環や気候システムへの影響なのか定かではありませんが、何か地球規模での動きが関係しているように思えます。

2012年05月28日

教育実習について思うこと

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 例年と同じく、今年も教育実習が始まっています。教育実習は、教諭の免許状を初めて取得する際に行うもので、教育職員免許法や教職員免許法施行規則などの規定により定められています。教育実習の受け入れについては、学校には義務はないものの、多くの場合は卒業生を受け入れています。本校も原則、卒業生に限っています。また、教員になりたいという強い意志があり、実習後に教員採用試験を受験するということも申し込み資格条件としています。
 どこの学校も同じ悩みもを持っていると思います。良い先生を社会に送り出す為に、しっかり教育実習を行うという社会的使命と、生徒のことを考えると実習生に授業を任せ、一時的にせよ指導が中断することのジレンマです。それでなくとも、学校現場の膨大な業務の上に、実習生の指導という業務も加わるのですから先生方は大変です。公立学校では転勤があり、教育実習で母校に帰っても誰も知った先生がいないということもありますが、私立学校では、実習生の中学高校時代を知る先生が多くいます。だからこそ、大変な中でも、かわいい教え子の為に一肌脱いでやろうと頑張っています。母校に帰ってきた実習生は、この先生方の気持ちを忘れず、また、このことに甘えることなく、教育実習に取り組んでもらいたいものです。わずか2〜3週間で学校現場のことが分かるはずがありません。生徒の方も教育実習生だからということで、対応の仕方も先生に対するものとは違います。当然のことながら、指導技術や授業方法など現職の先生には太刀打ちできません。しかし、未熟ではありながらも、志に燃え一生懸命に打ち込む姿が、わずかな期間の中でも、成長し変化した姿が、生徒たちに見えるようになること。それが君たちが見せることのできる生きた教育だと思います。

2012年05月27日

第2回慶応大・明治大・東京大見学会

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 この見学会は昨年より実施し、2回目になります。昨年は東京大の五月祭の日程に合わせて行いました。今年は、五月祭が本校の中間考査前の日程になりましたので、1週間ずらして26・27日になりました。昨年より多い24名の高校1・2年生が参加しました。
 昨年同様、本校の卒業生が、慶応大湘南キャンパス、明治大の見学会を世話してくれました。東京大は、本校の卒業生ではありませんが現役の学生や院生が学習の仕方を含め大学を案内してくれました。帰りの新幹線の中で書いた感想文はどれも感激した内容だったようです。
 さて、国立大学は2004年の法人化移行で、収入源は(1)運営費交付金(2)授業料や入学金などの学生納付金(3)科研費や寄付金などの外部資金の3つが主体となっています。旺文社教育情報センターによると、23年度各大学に交付された交付額は総額(86大学) 1 兆 626 億 8,200 万円です。東京大が最多で853億2,000万円、次いで京都大568億3,800万円、大阪大495億5,000万円と続き、86大学中、上位10大学で41.9%を占めています。東京大は2位の京都大の約1.5倍、12位の神戸大の約4倍となっています。運営費交付金が教育研究に見合った額であるかどうかの判断ではなく、各大学へ交付されている割合をみると、東京大が群を抜いているということです。同じ大学生活を送るならどこを選ぶか、誰しも同じ考えをすると思うのですが。

2012年05月26日

感動の金環日食、そこから一歩踏み込んで

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*ベイリービーズ・・・太陽と月の縁が重なったときに月表面の凹凸から光が漏れる現象

 この写真は、5月21日(月)雲雀丘学園中高等学校の校庭から撮影したものです。写真の右下に「ベイリービーズ」がきれいに映っています。当日は、朝7時から観測会を実施し、約170名の中高生が参加しました。金環日食の現場に立ち会え、感動の一日でした。

 国立天文台などの研究者で構成する「金環日食限界線研究会」が24日、太陽の半径は暫定値で69万6010Km(誤差はプラスマイナス20Km)と発表した。これは、金環日食前後の現象、本校の校庭からも確認することができた「ベイリービーズ」を観測して計算したということです。「国際天文学連合は1891年当時の計算に基づき、太陽の半径を69万6000Kmとしており、これをやや上回る結果。2008年までの約10年間に海外で発表された5本の論文では69万5508〜69万6180Kmとばらつきがあった。」と時事通信社は伝えています。
 同じような方法で、愛知県立一宮高校の地学部の生徒たちが、また、違った方法で、岐阜県立大垣東高校地学班の生徒たちも挑戦しているそうです。どのような結果が出るのか楽しみなところです。

 今回の金環日食もそうですが、私たちはいろんなところで、多くの感動する場面に出会うことがあると思います。「美しいなあ」「すごいなあ」と感動することは大切なことです。「感動を胸に刻むこと」が学びの原点だと思います。が、そこで止まらす、愛知県と岐阜県の高校生のように、一歩踏み込む姿勢や探求心、これが大切だと感じました。
 さて、6月4日は部分月食、6月6日は金星の日面通過と続きます。これらを通して、どのような一歩を踏み出せるでしょうか。

2012年05月25日

中間考査終了、新たな課題に向かって

 中間考査が終わりました。生徒たちもチョット一息といったところかもしれません。
 4月からの生徒たちの学習面での頑張り具合が結果として表れてきます。ただ、考査というのは、生徒の学習の到達具合や取り組む様子が表れるだけではありません。指導してきた先生の反省、総括の材料でもあります。良かれと思って指導してきたことが本当に身についているのか。ついていないとすれば、どこに問題があるのか等を分析して、次からの指導に生かしていく必要があります。
 4月当初に行った中学や高校の外部テストの結果も届いています。これらは新年度を迎えるまでの学力の分析ですから、中間考査の結果と併せて、今後の各生徒の指導方針を作成していく資料になります。ケアレスミスや本来の力がうまく発揮できなかったということもあるでしょう。しかし、気持ちの切り替えやミスを防ぐことで解決できない、もう少し長い期間かけて取り組まなければ克服できない課題も有ると思います。
 学校としては、期末考査に向けての短期の取り組みや夏休みから一年間を見通した長期の対策や課題を検討する作業に入っています。担当している学年やクラスだけでなく、中学から高校までを通した教科としての分析、また、教務部や進路指導部など各分掌から過年度との時系列で観た分析などを進めていきます。
 基本となるのは生徒自身による分析です。テスト結果と真正面から向き合い、自分のやるべき課題、それも今すぐやる課題と長期的に取り組む課題を明確にできれば、半分以上は解決できたことになります。後は、先生と相談してやるだけです。課題と向き合い解決していく、そしてまた新しい課題に向き合う、というサイクルを身に着けていく生徒であってほしいと思います。

2012年05月24日

まとめにかえて  その7

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 円高、株安、不況など厳しい経済情勢が続いています。この閉塞感が漂う中、教育に対する厳しい見方やその裏返しかもしれませんが期待感が高まっています。教育に携わるものとして責任を痛感する次第です。
 このような先行きが見えない時こそ、小手先ではなく、将来をしっかり見据えて、言い換えると展望を持って事に当たる必要があります。本校が目指す学校改革も、時流に乗った一時的なものであってはいけないと考えています。ですから、原点である創立の精神に立ち返り、どういった思いで学校が創られたのかを見据えて学校改革を進めています。初代校長板倉操平が「わが心の自叙伝」のなかで、大阪第二師範附属小中学校(現在の池田附属)への入学に抽選が導入され、「兄姉が附属に通っていたのに弟妹が入学できない」ので「其等の父兄が附属のような学校を設けてくれ」ということで雲雀丘学園が誕生したと書いています。初めての卒業生は「大学入試の難関と云われる、東大、京大、阪大へも入学した」とも書かれています。教育要求の高い地域住民の思いで創られた学校です。
 雲雀丘学園に求められているものは、創立当時から良質の、しかも水準の高い教育が求められていました。この思いや伝統を受け継ぎ、進めているのが現在の学校改革です。近隣には立派な公立高校があります。しかし、私立学校の良さは、公立学校にはできないことができるところにあります。
 「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた、関西を代表する学園の創出こそ私たちの責任だと考えています。

2012年05月23日

人間教育の柱としての環境教育 その6

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 本校の教育方針、「人間教育の充実」の柱として、環境教育に注力しています。「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ことができると考えているからです。そのために、「学び」「考え」「行動する」ことを基本に活動を組み立てています。
 中学改革ととともに環境教育を導入してきたわけですが、考え方の基本として、今まで実施している学校行事を環境という切り口でさらに充実したものにする、というところから始めました。中学2年生で実施している林間学舎は大山登山をメインに計画されていました。大山周辺は広大なブナ林があり、良い水がでるというので、「森と水」の学習を。、中学3年生では沖縄に行きますので、珊瑚や亜熱帯の植生などの学習を環境教育として実施しています。現地での学習・体験活動だけでなく、事前の学習も行い、行事そのものの内容を深めています。
 生徒全体を対象にした取り組みの中から、もっと深く環境のことを掘り下げたいとして、環境大使の活動が生まれてきました。昨年度は中1から高1までの約50名の生徒が、環境大使として畑作体験・稲作体験、雨水の利用など様々な活動をしてきました。その中の一つに、「きずきの森 里山保全活動」があります。学校の近くにある「北雲雀丘きずきの森」で、地域の方や周辺のボランティアの方と一緒になって、ハリエンジュの伐採、整備などを行っています。この活動は、環境大使だけでなく、中学1・2年生全員が環境授業の一環として取り組むところまで広がってきました。
 環境大使は、これらの活動を通して、中学校の行事として行う「環境フォーラム」を企画・運営できるところまで成長してきています。今年は6月9日(土)に実施する予定です。

2012年05月22日

中間考査始まる

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 本やノートを片手に持つ生徒の姿がいつもより多く感じられます。登校してくる生徒の流れもいつもとは少し違います。明らかに、考査初日とわかる登校風景です。今日はシリーズをお休みして、生徒たちにエールを送ります。
 中学一年生にとっては初めての考査になりますが、以前から在校生にとっても新しい学年、新しいクラス、初めての先生など今までと違うかたちで授業を受けてきているはずですので、今までの自分とは違う取り組みで考査に臨んでほしいと言ってきました。その成果が問われるときです。
 日常の生活習慣、学習習慣などのルーティーンをしっかり守るということは大切なことですが、考査など、いわば非日常の事態ですので、非日常の対応が必要になります。このときの取り組み方によって、日常の取り組み方にも大きな変化を与えることがあります。「ゾーンに入る」経験をしてほしいのです。「ゾーンに入る」と言う言葉は、スポーツ選手などが試合の時に、今まで経験したことのない力を発揮したりする時に使われたりします。こうした経験が有るということは、今後の自分の力を伸ばしていくときに、大切な財産になることは間違い有りません。
 中間考査ですので、基本的には4月から学習したことのチェックです。学習した範囲もそんなに多くないはずです。いつもより時間もたくさんあるはずです。一番「ゾーン」に入りやすい状況です。このような時は「絶対にやってやる」という意気込み、意欲など精神的な作用が大きくものをいいます。是非、「ゾーン」を経験して、さらにステップアップした自分を創り上げることを期待しています。

2012年05月21日

学びを追求する6年間  その5

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          金環日食の観測の様子
 中学から高校にかけての6年間というのは、学習や仲間作りなどを始めとして、人間の土台を築く上で重要な期間です。また、大人へと成長していく為の思春期を迎える時期でもあります。この大切な期間の中でも、学校で過ごす時間が大半を占めることになります。言い換えると、どのような学校生活を送るかということが非常に大切になってきます。
 学校は「学びの場」です。知的興味や関心を刺激し、未知なるものや新しいものを学んでいく場です。楽しく、しかも感動的な出会いが多くある授業や学校生活を送れる場にしたいと考えています。とりわけ、日々行われている授業が、生徒はもちろんのこと先生も「自分を成長させる場」として機能していなければなりません。知識の詰め込みや訓練的な学習ではなく、「わかる喜びや楽しさ」そこから、「さらに新しいことを知ろうとする意欲」を引き出すものになっていなければなりません。そのためにも、大学やいろいろな研究機関とも連携をとりながら、最先端での研究に触れさせる機会を積極的に作ることを検討しています。サントリー生物有機科学研究所の協力を得て行った「最先端実験科学教室」もその具体例です。高校1・2年生が参加しましたが、驚きと喜びの感動を味わって帰ってきています。
 学校は、先生から指導を受け学ぶということだけではなく、生徒たちがお互いに刺激しあいながら学ぶということもたくさんあります。集団の教育的機能を重視して、新年度から、学びを追求する生徒集団、実践力旺盛な生徒集団、自治力に富んだ生徒集団を目指して取り組んでいます。

 

2012年05月20日

進学実績が示すもの  その4

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 コース制導入後、進学実績は飛躍的に向上しました。選抜特進は、明確に難関国公立大合格を目指すという目標を掲げていますので、生徒たちの意識も高く、素晴らしい進学実績をあげてきています。昨年までは、現役で在籍の約25%の生徒が旧帝大をはじめとする難関国立大学に、約50%の生徒が国公立大学に合格していました。それが、今春の卒業生は、約69%の生徒が国公立大学に合格するところまでになりました。特進を含めた、学年全体の在籍からみても2割を超える生徒が毎年国公立大学に合格しています。勿論、特進から阪大などの難関国立大学合格者もでています。この中には、クラブ活動で頑張っていた生徒たちが、進学でも頑張っているという特徴もあります。
 この進学実績を出せた要因は、生徒たちの目標実現に対する意欲と努力、それを引き出す各種取り組みと教員のサポートです。補習や講習、継続的な添削指導、モチベーションアップの為の面談や進路講演、キャリア教育など様々な取り組みがあってのことだと考えています。
 ただ、今の進学実績も、上の図を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、第1ステージの進学実績です。選抜特進が1クラス、他は特進というのが基本的な学年構成です。高2から下の学年は第2ステージで、選抜特進や一貫選抜が4クラス、特進が3クラスという構成になります。第2ステージでは更に飛躍が期待できることは推測していただけると思います。なお、私たちは第2ステージが最終目標とは考えていません。このステージの中で、中学の発展や高校の特進コースで入学してきた生徒を選抜特進の目指しているところまで引き上げる指導力を付け、第3ステージへと向かうべく努力をしているところです。

2012年05月19日

中高等学校のコース制の理念  その3

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 本校のコース制の始まりは平成19年に高校に導入したのが初めです。この原型は平成14年よりスタートした6年一貫カリキュラムの導入、それに基づく中学3年生からの習熟度別クラス(応用と標準)、高校での、応用Ⅰ類とⅠ類にあります。
 習熟度やコース制のねらいは何かといえば、生徒の学力伸長のためです。本校での考え方は、一部の優秀な生徒を育てるのではなく、全ての生徒の力を伸ばすためのものと考えています。幅広い学力層の生徒をどう指導するか、その時に、よりきめ細かく対応するためのものとして習熟度やコースを導入しています。コース分けをすると「下のコース」の生徒はモチベーションが下がるのではないか。益々、学力差が大きくなるのではないか等々と危惧されたこともありました。しかし、データを検証する中で、コースに分けてもモチベーションが下がったり、学力差が拡大しなかったということが明らかになりました。
 なぜこうなったのか。各校で導入されているコース制を観られる時に、各コースの目標がどうなっているかが一つの判断材料になりますので、よく検討してください。本校では、2つのコース制、中学では一貫と発展、高校では選抜特進と特進を採っています。高校では3つのコースに分かれていますが、一貫と選抜特進は同じ目標ですから、2つといえます。選抜特進と特進の2つのコースはどちらも国公立大対応型のカリキュラムを採用しています。中学、高校ともに入学時の「学力」でコース分けをしており学習の進度や深度の違いはありますが、基本的な目標は同じ所においています。言い換えれば、一貫や選抜特進をモデルに、発展や特進をそのモデルに近づける取り組みをしていると考えてください。この取り組みが、第三ステージへ向けての取り組みです。生徒をどこまで伸ばせるか、それは本校の選抜特進の進学実績にその一端が現れていると考えてください。

2012年05月18日

中高等学校の目指すもの  その2

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 本校の創立の精神は、よくご存じの「孝道を人間の根本義」とし、「社会のために尽くす精神を最も尊重」するとあります。中高等学校にとっては「社会で活躍するリーダーの育成」が創立の精神の体現化であると捉えています。そのために、「高志」「自律」「努力」を校是にかかげ、生徒育成にあたっています。
 教育方針としては「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させる事をねらいとしています。この二つは本来不可分のものであるべきだと考えています。何のために学ぶのか、学んで得たものを誰のために活かすのか、これらを考えたときには、「人間教育」と「学力」は切り離せません。世の中には、「すばらしい学校」をでた、「すばらしい学力」を持ったと考えられる人が、自分の私利私欲を肥やすことにその「学力」を使っているケースを見受けることがあります。何のための「学力」か、ということになります。「世の為、人の為」という言葉がありますが、まさに本校の創立の精神である「社会のために尽くす精神を最も尊重」した人づくりが必要だと思います。
 人は他人(ひと)との関わりの中で生き、他人(ひと)によって生かされています。将来の進むべき道として、自分はどんな分野で、どんな場所で他人(ひと)の役に立てるのか、その為に自分はどんな力をつける必要があるのか、などを考えさせていくことが必要だと考えています。分野や場所の軽重はありません。まさしく「社会で活躍するリーダー」です。そのためには、ものの見方や考え方を含めた「真の学力」が必要です。
 また、「人間教育」の柱として環境教育を、「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ものとして位置づけ取り組んでいます。


2012年05月17日

中学入試に思うこと  その1

 週刊誌やその他で、中高一貫校・高校のランキングや大学合格者高校ランキングなど大学進学を扱った記事がたくさん出まわっています。入学時と卒業時の偏差値がこう変化しています、「お得な学校は」ここですというランキングもでています。
 生徒の学力を伸ばすことは、いうまでもなく学校の大きな使命です。全ての学校が必死になって努力していることです。ただ、これをどうやって実現しようとしているのかで、取り組み方の違いがあります。とにかく力をつけさせるということで、授業時間数を増やし、クラブ等は程々に、とにかく詰め込むという方法もあるでしょう。中には、どうせ多くの生徒が塾へ行くのだから、学校ではあまり詰め込まず、楽しくというところもあるやに聞いています。コース制を敷いている学校、そうでない学校もあります。学力だけでなく、文武両道を目指している学校といっても、学校としての文武両道であり、個々の生徒にはそれを望まず、「文」で頑張る生徒、「武」で頑張る生徒と分けているところもあります。
 学校の評価を進学実績で見るという風潮があるのは、日々の教育の内容が見えにくいなどというところから仕方ない面もあります。それがエスカレートし、「進学実績の水増し」等も社会的に問題になったりしたこともあります。そこで、合格者数と実合格者の人数を取り上げたりする記事もでている状態です。
 教育の中身が問われ、受験者や保護者の目が「肥えて」きています。学校が何を考え、どのような方法で生徒を鍛え、伸ばそうとしているのかが非常に大切になってきています。この点を明確にアピール、情報発信することも学校の大切な役割になってきています。ここに焦点をあて、本校の内容紹介をしていきます。

2012年05月16日

トップページのリニューアルにあたって

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 本校のホームページのたち上げは、他校に先駆け結構早く行いました。学校という公式の情報がインターネットを通じて世界中に発信されるという事で、発信する内容などに気を使いました。当然、責任者をおき、情報を管理して発信していました。当時はほとんどの学校やインターネットで情報を発信しているところは、同じような体制だったと思います。ところが、インターネットの急激な普及に伴い、発信する情報の内容やその体制が追いつかず、情報の更新も停滞してきました。
 担当者任せになり、それに胡座をかいていると、最新のものが出た途端に、それが一番古いものになります。いわば、日々変革しなければ、後発組においていかれるという状態です。本校のホームページもそれに似たような状況に陥り、停滞した時期がありました。そこで、厳しい規制ではなく、自由で気軽に、即座に情報発信できる事によって広がってきたインターネット本来の姿に立ち返り、ホームページの在り方を検討した結果、今の姿になりました。情報発信できるすべての部署が、責任を持って発信する。勿論、学校という組織体ですから、ベクトルの違う方向や間違ったことを発信する事が無いように注意することは当然です。多少のニュアンスの違いやポイントのずれがあっても、全体の中で調和し、整合性がとれていくものだと考えています。このように、考え方から問い直していくなかで、現在は毎日更新されるようになり、情報量も格段にアップされてきました。そして、現在では学校にあるすべての学年や分掌は言うに及ばず、あらゆる部署から情報が発信できるようになっています。
 すべてのことに共通して言えることですが、あるのは、前進か後退です。停滞はありえません。とすれば前進あるのみです。

2012年05月15日

鳥取大学訪問

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 本校は人間教育の一環として、環境教育を大きな柱として位置づけています。人間の経済活動の中で起こっている問題が環境問題であるという観点からです。中学生を中心に「学び・考え・行動する」環境教育を行っています。
 その中に、中学2年生の林間学舎での環境学習があります。大山登山を中心とした行事ですが、サントリーの「奥大山ブナの森工場」の協力を得て、森と水の関係などを学ぶ環境学習を行っています。この地の広大なブナ林を鳥取大学農学部監修のもと森林整備活動を行っているということなので、鳥取大学と環境教育などを通じて何か高大連携の可能性を探れないか、そのため大学を訪問する機会を探していたところ、縁あって実現する運びとなりました。
 本校の谷川教諭と二人で、地域学部、工学部、農学部のある湖山キャンパスと医学部のある米子キャンパスを訪れ、多くの先生方とお話をさせていただきました。大学の姿勢として、学外との積極的な連携活動を進めてこられていることを知り、高大連携の新たな可能性を見いだせそうな感触を得ることができました。
 お忙しい中、時間を取っていただいた能勢学長をはじめ産学・地域連携機構長の菅原教授、そして、多くの先生方との話し合いの場をセットしていただいた部門長の田中教授に心から感謝申し上げます。

2012年05月14日

注目をあびている学校からの訪問

 愛知県にある全寮制の男子校で、今年初めて卒業生を出し、13名の東大合格者をだして注目をあびている学校があります。その学校の先生が、関西地方で説明会を行い、塾等を訪問された後、本校にこられました。中部地方がメインですが、全寮制ですので関西地方からも入学者を募っておられるそうです。そこで、関西地方の受験状況などを知りたいということでの訪問でした。1期生が注目を浴びるような進学実績を出しておられる学校でも、ここ近年の中学入試の状況は厳しいということでした。どこも同じ悩みを抱えているということが実感として伝わってきました。
 6年間の寮生活で生徒たちがどう変化するのか、関心のあったところですので、いろいろな話を聞かせていただきました。先生方の指導、これは、学校の中だけでなく、寮生活の中でも学習指導をされており力をつけさせおられるということでしたが、生徒たちの縦の関係、先輩後輩の関係の中で刺激を受け、力をつけていくという話がありました。寮の中で壁やトイレに学習のスケジュールや目標を書いてある落書きなどの軌跡が残っているという話です。これを消さずに残そうとしておられるそうです。
 東大の合格者をだした話では、麻布や開成を合格していて、入学してこられたような、当然合格すべき力の生徒がいたのも事実だそうです。ただ、中学から高校にかけて生徒たちは変化する、特に中学3年生あたりから目標を持った子は伸びるという事例もあったようです。1学年100名ほどの人数らしいのですが、中学の頃は80番ぐらいの成績だった子が、東大に合格したという例です。このような例は、本校でも東大ではありませんが、これに似た経験はあります。
 要は、子どもたちをどう見るか、指導する側を含めた大人の問題であるような気がします。子どもだけでなく、人間は変化し、場合によっては急激な変化もある、とりわけ教育は人間を変化させてこそ教育である、このことに確信を持てるかどうかだということです。

2012年05月13日

素晴らしい生徒たちに心から拍手

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 本校のグランドは、校舎のある位置から少し離れています。阪急の線路と民家の間の道路を通っていくことになります。早朝より、全校生徒が移動します。その間を、係の生徒たちが近隣の方にご迷惑をおかけしないようにと、誘導してくれています。
 8時30分予定通り入場行進からスタートです。すでにスタンドの保護者席は、ほぼ一杯の様子でした。整然としかも凛々しく、どのクラスも堂々とした入場行進でした。開会式、全校生徒による体操、1300名を超える生徒の規律正しく体操する姿は圧巻です。
 すべての競技や演技を見ていて感じることなのですが、競技者や演技者が一生懸命やるのは当然のこととして、応援する生徒と一体となっていること、全校生徒の心が一つになっているということを強く感じました。毎年のことですが、高校3年生のエンカレッジメントパフォーマンスは、各クラスの相違をこらした素晴らしいものでした。特に今年は、6クラスすべてが終了すると、3年生全員で、観客席に向かって、「今日は母の日です。お母さんありがとう。」というお礼の言葉と人文字で感謝の意を表しました。これには思わず胸を打たれました。閉会式での生徒会による「東日本大震災復興支援体育大会」としてエールを送る全校生徒の「RISING」の人文字も素晴らしいものでした。
 気心の知れた仲間同士でいる時に、つい周りの人に迷惑をかけてしまうようなこともあるかもしれません。しかし、今日見せた素晴らしい態度や姿が本当の姿であると思います。グランドから帰る道、すれ違う保護者の皆さんから、「ありがとうございました」という言葉をかけていただきました。こちらこそ、素晴らしい生徒に育てていただいて「ありがとうございました」という気持ちです。来場していただいた1800名を超える保護者の皆様も全ての教職員も「あたたかいもの」を感じた一日ではなかったでしょうか。

2012年05月12日

明日は体育大会

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 昨日、体育大会の予行を行いました。不安定な天候で、前日とはうってかわって気温の低い一日でしたが、生徒たちは真剣に取り組んでいました。その姿に感激しました。明日の体育大会では、きっとすばらしい演技を見せてくれると確信しています。予行の様子は、各学年のブログにでていますのでご覧ください。
 予行とか練習というと、どうしても力を抜いたり、気持ちが入らなかったリするものです。でも、実は練習が大切だということは、誰しも考えていることです。本番になったら力を出すとか、今精一杯やれば本番で力がでないとか言う人がいますが、これは、本番や試合で自分の本当の力を出せない人が言うことです。真剣に練習をやって臨めば、もっと違う結果や良い結果が出るかもしれません。練習の時と本番や試合の時では、状況が全く違います。自分のおかれている精神状態も違うでしょうし、対戦相手があるとすれば、相手の状況も違います。だから、あらゆる状況や場面を想定して練習をします。練習であれだけ辛いことや厳しいことをやってきた、ということが自信や心の拠となり、本番や試合で良い結果をだすことにつながります。
 技術的な技量が同等の場合、何が勝敗に大きく影響するかといえば、精神的な要素が勝敗の分かれ目になると言われています。予期せぬ事が起こったときにパニックにならず、自分で的確な判断を下せる、状況を変化させる強い精神力が求められます。これは、運動だけではありません、勉強も同じです。
 「練習を試合のように、試合は練習のように」が大切です。

2012年05月11日

海洋大循環

 関東地方は、先日の竜巻に続き突風、雹、雷や雨など大荒れの天気が続いています。異常気象の様相です。
 国立極地研究所などの調査によると、南極大陸周辺の海氷の生産量が大幅に低下しているそうです。南極大陸のメルツ氷河から海岸線を超えて突き出した氷舌に、巨大氷山が衝突し大陸から分離したのが、原因と考えられているようです。
 海氷が生産されると、海水から水分が氷になるので塩分濃度が高くなり、周辺の海水が重くなり「沈み込み」が起こるそうです。このことにより、海洋循環が起こり海流を発生し、南北の気候の差を緩和する働きをしているそうです。この海氷の生産が減少すると、大きな気候変動が起こる恐れがあるとされています。この海氷減少傾向は50年続くといわれています。海水の「沈み込み」は、地球上でもう一カ所、北大西洋で起こるそうです。
 竜巻や突風、雷や突然の雨など、今起こっていることとの関連は分かりません。しかし、地球の大きさと比べれば非常に小さな氷河の氷舌が、地球の約7割を占める海の海流や地球全体の気候にも影響を与えるとは驚きです。また、同じ北極圏にありながら、北太平洋で起こらなくて、北大西洋で起こるのも、ほんのわずかな塩分濃度の違いだそうです。
 遠く離れたところで起こったこと、一見関連性がないと思われるようなことも、実は関連しています。取るに足らないと思われる小さなことも、地球のような大きなものにまで影響を与えます。さて、取るに足らないどのような小さな行動を、私たちは起こしましょうか。

2012年05月10日

来年度高校入試にあたって

 今年度で高校改革の最後の学年が卒業します。第一ステージから第二ステージへのバトンタッチです。来年度入学していただく方は、第二ステージ、本校の中学改革後に入学してきた生徒と高校生活をスタートさせることになります。卒業していく学年と、入学してくる学年の構成が違う、最後の年になるということです。
 第一ステージの卒業生たちは、以前とは違う進学実績を上げてくれています。京大を毎年現役で合格、国立大医学部医学科をこれも現役で連続して合格するなど国公立大学合格者が増加しています。高校から入学した生徒でみますと、毎年、現役で2割を越える国公立大学合格者がでています。ちなみに、今春は、3割を越えています。高校から入学してくる生徒の国公立志向の高さの表れだと思います。入学試験では、專願者のみに面接を行っていますが、将来や進学に対する明確な目標を持っている人が、年々増加している事にも表れています。
 来年度も、「一貫選抜」、「選抜特進」、「特進」の3コースで募集することは変わりません。ただ、最近の特徴を考慮して、「選抜特進」の割合を増加させることを検討しています。現在は2クラス体制ですが、3クラスを視野に入れています。
 先輩が築いた目標を後輩が追い越していく、非常に良い循環になっています。学園中学から進学する生徒と、高校から入学して来る生徒とが、互いに切磋琢磨しながら頑張っています。是非、多くの受験生が本校を第一希望で志願してくださる事を期待しています。

2012年05月09日

新たな自分に見合った新たな取り組みを

 毎年同じ事を繰り返しているということがよくあります。学校もそうです。しかし、本当に同じ事の繰り返しになるのでしょうか。むしろ、逆に同じ事の繰り返しの方が少ない、いや、無いと言った方がいいかもしれません。現象や、表面上は同じように見えても違っているはずです。そこを見落としてしまうと、マンネリになり、効果のないものになってしまいます。
 いろいろな行事、考査など年間行事は毎年毎年大きく変わりません。だからといって、例年と同じ取り組みをしていては、だめだと思います。生徒も替わり、それを指導する先生も替わるように、同じ要素の方が少ないのです。だから、例年通り行ってもうまくいかないのは当然です。現象的にはうまく言っているように見えても、本当にそこにいる構成員の力を十分出し切れたかどうかという観点から見ると、決して喜べるのもではありません。なぜなら、現状をしっかり分析したうえで、今を観れていないからです。
 13日は体育大会、それが終われば中間考査、新入生にとっては初めての考査です。在校生にとっても、新しいクラスで、新しい先生に指導していただいて考査を受けるという意味では、新入生と同じ事です。今までの自分の学習の仕方と今がどこが違うのか、変わってないとすれば、今の自分に求められている事には、十分対応し切れていないと考えてください。
 新たな自分に見合った新たな取り組み、今までとは違う取り組みがあって、初めて本物になったという事ができます。

2012年05月08日

ふと授業に引き込まれて

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           国語                         英語
 いつものように、校内を巡回しながら、ふと授業の様子を見に入ったところ、中学3年生の授業で、菊池寛の小説「形」の授業が行われていました。ご存じの方も多いと思いますが、あらすじは、槍の名手中村は、戦場へ出かけるときは決まって「猩々緋(しょうじょうひ)の服折を着て、唐冠纓金(えいきん)の兜」という派手な装束でむかいます。槍の腕前はもちろんの事、対峙した相手は、その装束、形を見ただけで、おそれをなして負けてしまいます。ある時、主君の息子の初陣に自分の装束を貸し、「その日に限って、黒皮縅(おどし)の冑を着て、南蛮鉄の兜をかぶっていた」ので、いくら、いつものように口上を述べても、相手は怯まず、名もない雑兵に簡単に負けてしまうという話です。
 この小説を読んだのは、数十年以上も前のことですが、私自身にも強烈な印象として残っています。当時、高校時代のことですが、どうしても勝てない学校があって、その学校の校章を刺繍した稽古着・袴、独特の色合いの防具、「形」だけではないかもしれませんが、その「形」に負けていたという経験があったからです。
 「形」に負けてしまう人間、「形」の力で自分の本当の力を過信してしまう人間、さあ、この授業を通じて、生徒たちはどんな「形」を思い浮かべてくれることでしょう。権威、伝統、評判など目に見えない「形」もあるかもしれません。

2012年05月07日

剥げた芝生を見て思うこと

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 連休明けのひさしぶりの登校です。朝から元気のいい声で挨拶する生徒もあれば、少し小さな声で返事が帰ってくる生徒もあります。冬服と合い服の併用期間でもありますので、バッジをつけ忘れてくる生徒もチラホラ見受けられます。でも、みんな元気な様子です。朝の登校指導の風景です。

 校庭の芝生も、連休で少し元気になってきたようで、緑が濃くなってきました。ところが、一部地面が見えて、剥げているところがあります。踏圧に強いとされているティフトン芝を張っているのですが、どうしても、多くの生徒が利用しますので、剥げてしまいます。芝が剥げるので使用させないということになると、何の為の校庭の芝生化か、ということになります。剥げるのは仕方のないことです。その剥げた芝生を見て、生徒たちが何を感じてくれるのかということです。奇麗な緑の芝生は、放っておいてできるものではありません。雑草抜きや肥料の散布など、メンテナンスを誰かがしているのです。
 また、学園内には多くの草花や木々があります。季節に応じて奇麗な花を咲かせてくれます。それらを見て奇麗と感じる心は勿論、咲かせるまでの経過や背景にまで思いを馳せられる人間になってほしいと思います。
 いつも誰かが用意したり、お膳立てしてくれたことを、さも当然のごとく使用する何も感じない生徒にはしたくありません。誰かにしてもらう人間から、他人の為に力を尽くせる人間に。夢物語でしょうか。

2012年05月06日

来年度入試にむけて

 帰国やUターンラッシュが続いているようです。また、北関東地方で竜巻や雹(ひよう)が降るなど被害もでています。天候不順の印象が強かった今年のゴールデンウィークも、今日で終わりです。

 5月は、体育大会や中間考査など大きな学校行事が控えています。学校生活が佳境に入ってきます。一方で、今年度入試の総括をふまえ、来年度入試に向けての検討や取り組みをスタートさせています。
 中学入試については、大阪府と兵庫県では少しスタンスが違います。兵庫県は初日に、来年度は1月19日に入試が一斉に行われます。大阪府のように、あえて初日をずらすとか、午後入試のようなことは行えません。初日以降は、各校の判断で入試日が設定できます。ですから、初日に受験していただく方、本校でいえば、前期A日程で受験していただく方は、基本的に本校が第一希望の方である、ということがいえます。合格者に対する入学手続き率が、圧倒的に高いということからも伺えます。それをふまえ、来年度は、前期A日程で受験していただく方を、従来以上に大切にしていきたいと考えています。
 もう一つは、前期A・B日程、後期日程と3回の入試や募集人数は従来通りですが、コースの人数を検討したいと考えています。今年度の入試を振り返ってみましても、「一貫選抜」の人気が高く、志願者も圧倒的に多いのが特徴です。志願者の多い「一貫選抜」の入学者を多くしたいと考えています。入試の難易度に少し影響を与えるかもしれませんが、急激な変動は良くないと考えています。「一貫選抜」、「発展」の両コースとも前期A日程は、従来通りの基準で選考しますので、安心して受験していただきたいと思っています。

2012年05月05日

「こどもの日」によせて

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」(山口素堂)の句に詠われているように、青葉が美しい季節になりました。初ものを好む江戸っ子は「初鰹」がいいらしいですが、脂がのっている「戻り鰹」の方が、私は好きです。

 今日は、立夏にもあたりますが、「こどもの日」です。チョットした出会いで、「こどもの日」について新しい発見がありました。「国民の祝日」に関する法律では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」とあります。後半部分の「母に感謝する」というのが、私にとっては新しい発見でした。子どもの人格や幸福のことを考えるだけでなく、母親に感謝するのが「こどもの日」ということになります。

 総務省の発表によりますと、子どもの数は1,665万人、31年連続の減で、過去最少になりました。少子化に歯止めがかかりません。総人口に締める割合も減り続けています。主要な諸外国と比較してもアメリカ、フランス、イギリス、カナダ、ドイツ、イタリアと続き日本は最低水準です。(総務省統計局データ)子どもが減り続けている国に、未来はありません。これは誰しも分かっていることです。しかし、少子化は止まりません。安心して子どもを産み育てる社会になっていないからだ、という指摘もあります。スエーデンやフランスの少子化対策が成果を上げているという話もあります。

 親に感謝し、未来を担うべき子どもが増え、その子たちの為に尽くせる社会を作るには何をすべきか。折しも、今日は、すべての原発が止まった日。電力をどうするか。大きな課題ばかりです。

2012年05月04日

太陽に異変が?

 東日本大震災から1年2ヶ月が経っていますが、未だに33万人以上(24/1/18対策本部事務局調査)の方が避難生活を強いられています。気象庁は、「北日本太平洋側では3日夜から激しい雨が降り、東日本大震災の被災地でも記録的な雨量となった地点があった」と報じています。土砂災害などが心配されます。

 今年のゴールデンウィークはすっきりしない日が多く、天候が不順なように思います。先日、国立天文台が「太陽活動、長期低下の兆候か=北極のみ磁場反転ー衛星『ひので』で観測」と発表しました。太陽には地球と同じく磁場があり、約11年周期で反転するするそうです。ところが、今回の観測で、北極だけがS極からN極に反転するというのです。ということは、南北両極が同じN極になり、赤道付近がS極になる、ちょうど太陽の中に2本の棒磁石が入ったようになるそうです。太陽圏の磁場は、宇宙から飛んでくる放射線から地球を防護する役割を果たしているといわれます。当然、磁場が弱まれば放射線の量が増えることになります。これらの太陽の活動は、地球の平均気温にも影響を与えます。過去にも何度となく寒冷化をもたらした、といわれています。

 人間の経済活動の中で、二酸化炭素の排出量が増え温暖化が加速しているといわれています。その為に世界中で対応策が検討されています。もしかすると、人間の活動をあざ笑うかのごとく、もっと大きな力で、寒冷化を進める力が働いているのかもしれません。不順な天候が、その前兆でなければ良いのですが。

2012年05月03日

2012年は面白い?

 今年も、アメリカのワシントンのポトマック川沿いの桜が満開だったそうです。この桜は、当時の東京市長尾崎行雄氏が送ったとされる桜です。今年で100周年になります。それを記念して、オバマ大統領が東日本大震災の被災地などにハナミズキを寄贈されることになったそうです。ハナミズキの花言葉は「返礼」だそうです。100年前というと、1912年4月14日深夜、ニューヨークに向かう世界最新鋭の豪華客船タイタニック号が氷山にぶつかり沈没しました。同じく100年前のできごとです。

 2012年はこれらの節目の年だけではありません。5月21日はご存知のように東京や大阪で金環日食が観測できるのです。なんと、江戸時代の1839年以来173年ぶりだそうです。実はこれだけではありません、6月4日には部分月食、6月6日には世紀の天文現象といわれている金星の日面通過がみられるそうです。日面通過とは金星が太陽面を通過していくことで、6時間以上かけてゆっくり通過するそうです。これが、日本で観測することができるというのです。次回みられるのは2117年12月11日だというのです。何と105年後ですね。ということは、今年見逃すと、ほとんどの人が次回見ることができないということになります。そういうことで、今年は天文現象のビッグイベントがいくつもあるという面白い年なのです。

 今日は5月3日憲法記念日です。憲法施行から65年になります。ゴールデンウィーク後半の4連休、日本国憲法について考えると同時に、これらの天文現象についても親子で調べてみてはいかがでしょうか。共育・共学・共成です。

2012年05月02日

第17回NZ比較文化研修説明会

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 ニュージーランド比較文化研修の説明会が行われました。この研修は、今年で17回目となります。現在は募集を停止しています国際科のプログラムとして始められたものです。国際科の時代から蓄積されてきたノウハウを引き継いできた、試され済みのすばらしいプログラムです。現在では、高校の特進コースの1・2年生の生徒を対象にして、7月下旬から約3週間の期間で行っています。一人一家庭にホームステイし、語学研修を行います。説明会に参加している生徒の中には、中学の時にカナダ研修に参加した生徒の顔を見受けました。中学での経験を生かして、高校でもチャレンジしようとしてくれているのがうれしく感じられました。是非多くの生徒が参加してくれることを期待します。
 本校では、中学でのカナダ研修、高校でのニュージーランド研修などの短期の海外研修だけでなく、一年間留学する生徒もいます。中高校生という多感な時代に、文化や風習の違う国でホームステイして生活することは、語学の学習はもちろん、沢山のことを学ぶことができると思います。「留学の経験から考えると受験勉強なんて簡単なものですよ」と話してくれた、たくましい卒業生もいます。「かわいい子には旅をさせよ」ということわざではありませんが、文字通り「旅」、しかも「海外の旅」、言葉という大きな壁のある「旅」を乗り越えることによって「自立」という「大きなお土産」を持って帰ってきてくれるのではないでしょうか。

2012年05月01日

その3  第三ステージのイメージとは

 創立の精神に立ち返り、現状を分析するなかで、始めてきた改革です。そこで謳われている「孝道」はもちろんのこと、「社会のためにつくす精神を最も尊重し よりよい社会 国家を生みだすべく・・・健康な体力とたくましい実践力をもつ」生徒の育成を目指す学校になっているかどうか、自問自答する中で行ってきました。行き着いたところが、「社会で活躍するリーダーの育成」が本校の使命であるという結論に達しました。そのために、「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた学園にしなければならないということです。
 コース制は、生徒を選別するものではなく、よりきめ細かく対応するためのものとして導入してきました。また、コースの入り口は違っても、ゴールは同じものを目指し、指導するということも基本原則として確認しています。これも、コース制の本質が問われる大切なことです。
 第一ステージである今春の卒業生は、「選抜特進」から現役で京大や阪大に複数、国立大医学科に合格、を含む在籍の7割弱の生徒が国公立大学に合格ました。また、「特進」からは阪大に複数、広島大などに現役で合格者をだしています。国公立大学へ68名、そのうち現役が61名と、昨年の実績を現役だけで超えています。私学も多数の合格者を出しています。このように、進学実績も向上してきました。クラブ活動もより活発になってきました。年々、自分の夢や目標を実現させるために入学してくる生徒が、多くなってきていることも特徴です。
 「一貫選抜」の生徒育成のプログラムをしっかりしたものにし、「発展」で入学してきた生徒を高校進学時に「選抜特進」に進むことが可能な力をつけさせる。そのためのシステムやシラバスを研究し実践していくのが、現在の、第二ステージの課題です。これをやり遂げることができれば、中学から入学してくる生徒は全て「一貫選抜」、高校から入学してくる生徒は全て「選抜特進」とすることができ、コース制も必然的に解消できます。これが、私たちの考えている第三ステージのイメージです。