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2012年08月31日

文化祭準備に全力〜楽しみな合唱コンクール〜

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 今日で8月も終わりです。2学期はすでにスタートしていますが、実力テストや模擬テストも終わり、いよいよ来週末に行われる文化祭に向け各学年での準備がヒートアップしてきています。
 クラスや学年発表と併せて合唱コンクールが行われます。中学の部は中1から中3までの14クラスで金賞や銀賞などを競います。音楽の得意な生徒も苦手な生徒もいるでしょう。練習で意見の違いがでてぶつかることもあると思います。男子は変声期で上手く声を出せないものもいるかもしれません。でも、どのクラスも金賞をめざして一生懸命に取り組んでいます。一つの目標に向かってみんなが力を合わせる、そこにクラスの輪ができてくるのだと思います。競わせること、競争させることに否定的な見方があったりしますが、私はそうは思いません。例年の様子を見ていますと、中学3年生が先輩の意地を見せて賞を独占することが多いようです。時には中1が健闘して賞に入ったともありますが、先輩の壁はなかなか厚いようです。
 中学の高学年になると恥じらいや照れが入って、なかなか気持ちとは裏腹で一生懸命な姿が見えないことがよくあります。事実そういう姿をよそでは見かけたりした経験を私は持っています。しかし、本校は違います。先輩が後輩にここまで来てみろといった「高い目標や到達点」を自ら見本としてみせる、といった感じです。それをみた後輩が先輩を追い抜こうと努力する、といった好循環になっています。これが伝統の力かもしれません。今年もまた素晴らしい合唱コンクールになると期待しています。

2012年08月30日

第7回兵庫私学展開催


 29日、30日の両日、大丸神戸店で第7回兵庫私学中学・高等学校展が行われました。8月の月末、しかも平日開催ということで、参加者がどうなるのか心配されていたところですが、一昨年の初日は土曜日でしたが、昨日はその時の参加者を少し上回ったとのことでした。
 私も初日の午後からと二日目の午前中の両日参加しました。中学受験の相談にこられる方には、発展コースは高校進学時に一貫選抜と同じ目標を持つ選抜特進へ進めることなど本校の二つのコース制の特長や中学生のときはいろんなことにチャレンジさせ「成功体験」を多く持足せることを主眼にしていること等を説明させていただきました。
 高校では、選抜特進は約69%の生徒が現役で国公立大に合格する等、進学実績が飛躍的に向上していることや単なる「進学校」をめざしているのではなく、「本物の学び」を追求することにより生徒の学習に対するモチベーションをあげさせることに力点を置いている話をさせていただきました。成果の一端として、日本生物学オリンピックの予選を通過し、敢闘賞を受賞する生徒が出てきたり、大学や研究機関の協力を得て「先端科学実験教室」や「研究者体験」を行うようになってきていることなどがあげられます。
 中学・高校とも単なる受験対策や詰め込みではなく、自ら「学びを追求する」生徒、何事にも積極的に取り組む「実践力旺盛な」生徒、「自治力」のある生徒集団を育て、「社会で活躍するリーダーの育成」をめざしているのが、本校の取り組みであるということを理解していただきたいと考えています。

2012年08月29日

カワウソ絶滅、タガメも危機に

 環境省が28日にニホンカワウソを絶滅種に指定したと発表しました。30年ほど前に国内で確認されたのが最後だそうです。91年に「絶滅危惧種」に指定されていたそうですが、ついに悲しい結果となりました。
 あわせて、タガメも絶滅危惧種に指定されていると知りました。都府県によってはすでに絶滅種に指定している自治体もあるようです。タガメといえばきれいな水質と餌が豊富にある環境でないと生息が難しいとされています。
 このタガメについては懐かしい思い出があります。私は大阪市の北区で生まれました。当時は梅田の近辺でも少し路地にはいるとまだ舗装されていない道があり、子どもの格好の遊び場でした。淀川(新淀川)も魚釣りや、小学校の低学年の頃は学校にプールが無かったので、水遊びする場でした。淀川の左岸にある長柄運河は幅も狭く水深もそんなに深くないのでよく遊びました。そこで、ミズスマシなどを追いかけているときに、水草の間からタガメが出てきて、その姿と大きさに驚いたことを覚えています。
 大都会の中を流れる川が、きれいな水質にしか住めないというタガメがいたほど自然環境が残っていたということになります。その運河も、今は埋め立てられ草の生い茂る窪地になっています。運河を越えていた橋が一部残されており、当時を知る者には郷愁を誘うものになっています。梅田周辺も大きく変わりました。開発と環境保護、これは相容れないものでしょうか。どこかに共存・共栄する道があるように思うのですが。

2012年08月28日

大卒の進路〜学校基本調査より〜

 文科省は今春の大学卒業者の内訳を学校基本調査で発表しました。それによりますと、正規の職業に就いた者が60%、大学院進学者13.8%、臨床研修医1.8%、正規の職員でない者3.9%、一時的な仕事3.5%、進学も就職もしていない者15.5%、その他1.8%です。大学を出ても、安定した仕事についていない者が22.9%もあるということが分かりました。
「『大卒』の持つ意味は変容した。学校基本調査によると、バブル期の90年度の大学進学率は24.6%だったが、11年度は51%。大学進学者は単純計算で10万人以上増え、大学数も507校から780校に激増した。不況や企業の厳選採用で求人は減り『大学を出れば職がある』という親世代の常識は通用しない。」と毎日新聞(8月27日朝刊)は指摘しています。
 日本の大学は入りにくいが、入ってしまうとバイトに明け暮れていても簡単に卒業できるといわれていました。そして、就職もできていた時代もありました。しかし、大学さえ出れば安定した仕事に就けるとか、生活は安定するという時代では、もはやありません。このような時代だからこそ、「何をしに、何のために大学に行くのか」をしっかり考え、大学進学をさせる必要があると考えます。そのために、本校では「職業陣インタビュー」、「卒業生に学ぶ」、「職業人に学ぶ」、「1Day College」など中学から高校までの間に様々なキャリア教育を通して、大学進学を含めどのような分野で社会貢献するのかを考えさせるようにしています。これが、本校の「社会で活躍するリーダーの育成」をめざす取り組みの柱になっています。

2012年08月27日

第7回兵庫私学展

 8月29日・30日の両日、午前10時から午後6時まで大丸神戸店9階イベントホールにて、兵庫県の私学全52校が参加して、第7回兵庫私学中学・高等学校展が開催されます。
 8月もいよいよ終わりです。公立の小学校や中学校では、まだ夏休みのところが多いと思いますが、既に2学期が始まっているところもあります。公立も市町村によって教育計画等の違いが出てきています。特に、新しい指導要領になってから、今までのゆとり教育とは違い指導内容も多くなっています。それに伴い、対応の違いが顕著になってきているように思われます。
 私学は各校毎に建学の精神を持ち、それに基づいて教育計画を立てていますので対応は様々です。各校の特長を理解していただくには、私学展のように全私学が一堂に会して進学相談コーナーを設ける場を利用していただくのが効果的です。そのなかで、特に調べてみたい学校や受験対象校が見つかれば、その学校の説明会に足を向けていただきたいと思います。本校も中学・高校とも一回目のオープンスクール(OS)と説明会は終わりました。OSは中学・高校とも2回、説明会は3回実施しますので、まだの方はぜひお越しいただきたいと思います。
 9月ともなれば、来年度入試に向けて志望校の決定など本格的になってくると思います。特に中学受験は早いようです。多くの方に雲雀丘学園の姿を知っていただくよう担当者は精一杯対応させていただきます。混雑が予想されますがよろしくお願いします。

2012年08月26日

不易流行

 俳聖松尾芭蕉が「奥の細道」の旅をする中で体得した概念だと言われています。「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」というものです。「不易」は、いくら世の中が変わっても変わらないもの、変えてはいけないもの、「流行」とは世の中の変化とともに変わっていくものという意味です。学校教育で言いますと、創立の精神が「不易」にあたります。これは変えてはならないものです。その精神を時代の変化や生徒の変化を見据えて行っていく学校改革を「流行」だと私は考えています。学校改革は創立の精神から逸脱したものであってはいけません。だからといって、時代背景や世の中の移り変わりの中で創立の精神そのものを豊かに膨らませていくことを忘れてはいけないと思います。「その本は一つなり」即ち「両者の根本は一つ」です。「不易」があっての「流行」であり、「流行」があっての「不易」です。
 本校の「不易」は「孝道を人間の根本儀と考え、社会のために尽くす精神を最も尊重」するとする創立の精神です。そこから、中高等学校では「人間力」と「学力」を備えた「社会で活躍するリーダーの育成」を掲げています。それを実現させるために「流行」である学校改革を進めています。それが、中学、高校へのコース制の導入です。第一ステージから第二ステージの完成を目前にし、第三ステージをめざしています。進学実績の向上だけでなく、生物学オリンピック本戦出場に象徴されるように「本物の学び」も成果をあげてきています。
 「不易」と「流行」、「その本は一つなり」。これをしっかり位置づけた学校改革を進めていきたいと考えています。

2012年08月25日

高校OS・第一回高校入試説明会を実施

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       体験授業 ~英語~            体験授業 ~理科~ 
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    クラブ体験 ~男子バスケ部~        クラブ体験 ~鉄道研究部~
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高校説明会~学園講堂にて~
 今日の午前中は、高校のオープンスクール(OS)
を実施しました。事前の申し込みのあった200名を超える生徒が参加してくれました。国語・英語・数学・理科・社会の体験授業と運動部・文化部に分かれてのクラブ体験を実施しました。英語の授業はネイティブの先生と一緒に楽しくゲーム感覚で英会話に取り組んでいました。化学実験はいろんな中学校から参加してくれているはずなのに白衣を着て実験を行っていますのでまるで本校生のようでした。クラブ活動も然りです。50分前後のわずかな時間の体験ですが、本校の先生や生徒との関わりを持つことによって、雲雀丘学園を体感してもらえたのではないかと思っています。
 午後からの高校入試説明会は講堂で実施しました。多くの方に参加していただき、昨年の310部を上回る386部の資料をお渡しすることができました。説明の内容は私の挨拶と教頭からの高等学校の概要、入試広報部長からの来年度入試についてでした。あと学校の様子を理解していただくためにDVDを見ていただきました。
 OSや説明会等実際に学校に足を運んでいただき、ありのままの学校の様子を見ていただくのが、学校を理解していただく一番の近道だと思います。百聞は一見に如かずです。
 今年度最初のOPと入試説明会でした。受験を考えておられる中学3年生にとっては、これから本格的に進路選択を検討していかれる時期だと思います。入試はただ、その学校に入るかどうかだけではありません。受験校合格に向け努力していくことにより、今まで以上に急激に学力も伸びていきます。モチベーションに比例するといっても良いぐらいです。「何故この学校を選ぶのか」しっかりした目標を持って受験までの半年間を頑張ってもらいたいと考えています。

2012年08月24日

情報発信継続の大切さ

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 先日、出版社から9月号が出来上がったとのことで、送っていただきました。内容を拝見したところ、7月3日の校長通信「学ぶとは、感動を心に刻むこと」をベースに、いろんな学校の校長先生が活用できるように「学校だより6、学ぶことの基本」として執筆されていました。そのページのなかで、「今までの号を全て見せていただいた。これを見るだけで、学校の動きが手に取るように分かる。いわば影浦校長による『学校日記』のようなものだと思ったが、それに留まらないほどの凄さがあった。」と過分のお褒めの言葉までいただき大変恐縮しています。
 校長通信を毎日書くということは、正直なところ義務感がないわけではありません。が、日々自分は何を感じ、それらについてどう思っているのかということを書くのであって、そのことは自分自身のためになると思い続けています。今回、このようなことになり、情報を発信し続けることの大切さを再確認した次第です。

2012年08月23日

高等学校オープンスクール&入試説明会

 本校は夏休みも終わり、今日が二学期始業式でした。公立中学校はまだ、夏休みだと思いますが、夏休み最後の土曜日、8月25日に高等学校のオープンスクール(OS)を実施します。OSへの参加は事前申し込みが必要ですので、当日の参加はできませんが、午後から実施します高等学校の入試説明会は事前の申し込みが不要ですので、参加していただけます。

 進学にあたっての学校選択は難しく大変ですが、非常に重要なものです。本校でも、大学等への進学指導を行う時には、大学が実施するオープンキャンパスをはじめ学校見学を必ず行うように指導しています。自分が受験しようとする学校は、第一希望、第二希望を問わず合格すれば行く意志のある学校として、その学校のことを良く調べる必要があります。雑誌やパンフレットだけで情報を集めるのではなく、自分で足を運び、雰囲気を体感する必要があります。もちろん、評判や偏差値だけで受験校を選ぶということがあってはダメです。学校や環境が自分を成長させてくれるのではないことは自明の理です。その学校が、自分にとって最大限努力できると考えられる学校であるかどうかが大切です。この学校なら頑張れそうだと思えるかどうかです。いくら素晴らしい環境や設備があってもダメです。それを生かすのは自分です。というように指導しています。

 本校も、この間の学校改革の成果が出始め、雑誌等でも取り上げてくださる機会が多くなってきました。お蔭さまで、中学、高校とも昨年度の入試では、受験者数・入学者数とも過去最高を記録することができました。本校を受験校の一つに考えてくださっている方は、ぜひ足を運んでくださり、雲雀丘学園の良さを体感してくださることを期待しています。

2012年08月22日

学習スタイルについて

 「学問に王道なし」のところでも書きましたが、学習の仕方に特別な奇策はありません。昔からよく言われている「予習と復習」が大切だということです。この予習と復習ですが、どちらか一方だけというわけには行きません。予習があっての復習であり、復習があっての予習です。ただ、授業に臨む姿勢として考えた場合は、是非とも予習を大切にしてほしいと考えています。復習は、習ったことをシッカリ身につける「守りの学習」とすれば、予習は「攻めの学習」です。次に学習するところはどんなところかも含め、いわば未知の分野に自分なりの見通し、筋道をつけて考えることになります。さらに進んで、授業展開も自分なりのものが考えられるかもしれません。「学習の記憶は能動的な方が活性化している」ということからいっても予習の効果は大です。それに復習が入れば、予習で一回脳に情報を送っていますので、復習をすれば2回情報を脳に送ったことになります。大切な情報だと「脳をだます」ことになり、記憶の定着が図れます。また、忘却曲線からいっても、穏やかな下降になります。
 明日から二学期が始まりますが、学習の基本スタイルとして、予習を重視してほしいと考えています。習う前に、まず自分で調べられるとこをは調べ、予備知識を持って授業に臨む。場合によっては見当はずれなことがあるかもしれません。しかし、それが授業で発見できれば、より鮮明な記憶として残るはずです。
 既に、予習重視の学習が定着している人が多くいると思いますが、攻めの学習」と「守りの学習」攻守バランスのとれた学習が雲雀丘学園の学習スタイルになって欲しいと考えています。

2012年08月21日

二学期に向けて

 夏休みもいよいよ終わりです。二学期が始まります。二学期と言えば、3つある学期の中で一番長く、行事も沢山あります。始業式が終われば、すぐに実力考査です。9月に入れば文化祭があります。というように待ったなしです。
 また、二学期は夏休みをどのように過ごしたかが表れる学期でもあります。熱い夏を夏期講習を始めとする自分の長所を伸ばす学習、短所を補う学習、クラブ活動や自分の課題を追求するために費やしたとすれば、その成果が期待できます。学習を始めとして、新しい自分を作り出す努力の成果というものは、即効性というより遅効性、じわじわとにじみ出てくるものです。「努力は人を裏切らない」を信じて下さい。きっと充実した二学期になるでしょうし、三学期が楽しみです。
 残念ながら、思うように夏休みを過ごせなかった人もあると思います。「ダメだった。」とか「最初は良かったんだけど後の方はダメだった。」「どうしよう」と悩んでいても何の解決にもなりません。過去は変えることはできません。しかし、未来は変えることができます。できなかった分を含め、二学期に向けどうするか、また、二学期をどう過ごすかを考えましょう。反省ばかりではダメですが、本当に何とかしようとすれば必ずできます。あきらめて、投げ出してしまえばそれこそおしまいです。
 それぞれの夏休みがあったと思います。頑張れた人は油断することなく自分に褒美を、頑張れなかった人や、悔いの残った人は、「火事場の馬鹿力」ではありませんが、今一度自分を信じて、必死になって取り返す努力をしましょう。久しぶりに多くの仲間や先生と顔を合わせば、気持ちも変わります。思いは様々でも、みんな元気な顔で二学期の始業式を迎えられることを楽しみにしています。

2012年08月20日

宮大工に学ぶ

 昔読んだ本で、心に残るものがありますので紹介します。
 「木のくせはまず、ねじれと「反り」です。同じ種類の木でも、山の頂上、中腹、谷、斜面の角度、北および西側、南および東側、風あたりの強弱、植生の疎密などで、反り、硬さ、軟らかさはもとより、材質はさまざまです。右に反る木に、おなじ力で左に反る木を組み合わせれば、左右に働く力が釣り合って、塔がねじれたり、傾くことはありません。これが木組みの基本です。」
「力のかかるところや軸部材には、ひねくれねじれて、節のある木を持って来ます。そういう木は、山の頂上の南あるいは東側の、強い風当たりのところに生えたものです。北側、西側、谷筋に育った木は、素直でおとなしく、材質がやわらかです。」「力のかかる軸部材には向かないが造作材になります。」
宮大工の口伝として
 「塔組は、木組み。木組みは、木のくせ組。木のくせ組は、人組。人組は、人の心組み。」というのがあるそうです。「くせ木」を組む前に、「くせ木」以上の「人の心」をつかんで、しっかりと共同作業ができるようにしておかなければならないからです。」西岡常一・小原二郎著「法隆寺を支えた木」より
 木と人、何か似通ったところを感じます。木も人もそれぞれ個性があり、それをしっかり理解して個性を生かすことが大切だと教えています。個性のない、単一の規格品では弱いということです。
 塔組も行き着くところは、人の心組みだそうです。クラス経営、学年経営や学校経営にも通じるものがあります。人の心組みができる立派な宮大工になりたいものです。

2012年08月19日

デジタルは現実を正しく捉えられるか

 私たちの生活しているところでは、時間、距離や空間など連続した値を持ったものが多くあります。昔は、連続した値を持った情報を解析するのは非常に難しいことでした。そのため、ある連続した情報を、非連続の値に分割するデジタル化を行いました。そうすることにより、近似的な計算結果を比較的容易に算出することが可能になりました。それ故、数値解析をはじめとして様々な分野においてデジタル化は用いられてきました。そこに、自然界のいろいろな対象を連続の世界そのままで考える手法が確立されました。それが、微積分です。人類が、連続の世界をそのまま考えられるようになった数百年後にコンピュータが発明されました。折角、デジタルからアナログ的思考になったのに、まだデジタルへの逆戻りです。しかも、非常に強力な機械が後ろ盾となってです。音や電波のように元々が連続的な情報(アナログ)も、その周波数をデジタル化することにより、デジタルな数値としてコンピュータ上で処理することが可能となりました。CDが出だした頃、レコードの方が本物の音に近いとして、マニアは敬遠しました。しかし今は、レコードの姿は消えてしまいました。カメラも銀塩フィルムからデジタルカメラへと。この流れは永遠に続くのでしょうか。
 デジタル化され非連続となったデジタルな値(この時点で現実とは違いが出ている)を用いて算出された計算結果は、元の情報に対し、わずかな誤差が生じると言う宿命を背負っています。アナログ世界をアナログのまま捉えて計算するコンピュータの出現があるのでしょうか。はたまた、アナログとデジタルを統一的に捉える新しい考え方が登場するのでしょうか。

2012年08月18日

無限は有限より大きいか?

 地点Aから地点Bへ移動するためには、まずAーB間の中間地点(B1とする)に到達しなければならない。さらにAからB1へ移動するためには、AーB1間の中間地点(B2とする)に到達しなければならない。以下、同様に考えると、地点Aから地点Bへ移動するには無限の点を通過しなければならない。ということは、どんなに短い距離としても、そこに移動するには時間がかかります。無限に点があるので、無限の時間が必要になります。よって、有限の時間で地点Aから地点Bへ移動することは不可能です。
 おなじく、こんな話もあります。足の早いアキレスと亀がハンディをつけて競争するという話です。亀はアキレスより前からゴールに向かってスタートします。すると、アキレスが亀のスタート地点に着くまでには時間がかかります。その時間があれば亀は前へ進みます。アキレスがそこに到着するにはまた時間がかかります。以下、同様に考えると亀に追いつくまでに無限の時間がかかり、有限の時間で亀に追いつくのは不可能だということです。「アキレスと亀」の有名な話です。
 いずれもゼノンのパラドックス(逆説)です。二つの話はいずれも間違っていません。正しい話です。ただ結論がおかしいだけです。どこがおかしいのでしょうか考えてみて下さい。
 無限と有限どちらが大きいか。こう問われれば無限ですよね。ロンドンオリンピック、スタートの悪いボルト選手は出遅れますが、後半見事に追い越し金メダルです。「事実は小説よりも奇なり」(バイロン)。

2012年08月17日

学問に王道なし

 「幾何学に王道なし」というユークリッドの言葉からきているのではないかという説がありますが、意味は同じこと。「学問に王道」はありません。夏休み最後の追い込みの時期です。池谷裕二著「受験脳の作り方」から私なりに感じたことをまとめてみました。
 「脳が長期間情報を記憶するにはエネルギーを必要とする。だから、不必要な情報は極力捨てエネルギー効率を常に最適化しようとする。言い換えれば、覚えるより、覚えないことを得意とする。ただ、生命維持にとって不可欠と感じると記憶する。学校で習う勉強のほとんどは、この基準に当てはまらない。ならば、脳をだますしかない。ひたすら繰り返し、情報を送り続ける。」大変重要なものだと脳に思わせる。脳をだますことが大切だそうです。
 「忘却曲線によると10個覚えた単語は4時間後には5個になり、1日たつと3個、2日では2個になる。このペースは誰も同じ。しかし忘れた後、再び繰り返して学習すると、今度は4時間後には7個は覚えており、忘却曲線もそれにあわせて1回目の時より緩やかな下降曲線になる。3回目の復習をすると、今度は4時間後には8個覚えている。忘れた単語と言うのは脳から完全に消去されたのではなく、ただ思い出せなくなっているだけ。無意識の世界には保存されているのだが、『潜在的な痕跡』になっている。学習を繰り返すと、その無意識の痕跡が気づかないうちに暗記を助けているとのこと。つまり、復習すれば忘れる速さが遅くなる、ということ。」復習の大切さと「努力は嘘をつかない」ことの証明だと思います。
 「学習の記憶は主体性によっても左右される。能動的なときは受動的な時に比べ、約10倍も脳の神経は活性化している(ネズミの実験)。勉強する時のちょっとした意欲の差ができる人とできない人を分ける。」予習や授業に臨む姿勢の大切さです。
 記憶力と頭の善し悪しは関係ありません。何故できない、何故覚えられないと悩むまえに、ただひたすら、予習・復習をすれば良いということ。それをやりきる「こんな人間になりたい、この大学に行きたい」など、モチベーション(行動へ駆り立て,目標へ向かわせるような内的過程)を高めること。まさに、「学問に王道なし」です。

2012年08月16日

文化祭に向けて

 夏休みも後わずかになりました。休み中もクラブ・クラスで文化祭準備を行っていると思います。準備期間もだんだん少なくなってきました。9月に入ればすぐに文化祭です。生徒会は今年の文化祭として「絆—みんなで繋げる大きな輪—」を掲げています。
 言うまでもなく、文化祭は生徒会、クラブやクラスの取り組みなど日常の学校生活の成果を発表する場です。言い換えれば、日頃からどのようなことに関心を持ち、問題意識を持っているか等、生徒個々というより集団としての力量が問われる場です。クラスで取り組む合唱コンクールは良い例だと思います。ピアノを弾く人、高音、低音などそれぞれのパートがしっかり役割を果たし、一つの作品にまとめていく。一人ひとりの持っている良いものを結集し、集団のものにしていく作業です。その過程でぶつかりあうことも出てくるでしょう。それを克服していく自治力も問われてきます。こういった訓練をして、集団の質を高めていくのが文化祭です。
 本校では「社会で活躍するリーダーの育成」をめざしています。そのためには「人間力」と「学力」の養成が必要だとしています。文化祭が、「人間力」養成のための実践の場になり、生徒の絆が強まってくれることを期待しています。それ抜きに、東日本大震災の被害で苦しんでおられる方との「絆」を強めることはできないのではないでしょうか。

2012年08月15日

学校とは

 学校は英語でschool(スクール)です。その言葉はラテン語のschola(スコラ)「学校」から、そのラテン語schoraはギリシャ語のskhole(スコレー)「余暇、ひま」からできた言葉だそうです。
 古代のギリシャでは、学問ができるのは労働に従事することなく生活に余裕のある貴族しかなく、その貴族たちが生活の余裕、余暇を利用して教養を身につけたことから、ギリシャ語の「余暇、ひま」が学問という意味になり、その学問をする場所として学校という言葉ができてきたといわれています。
 語源は一部の者が他人の犠牲の上にできた「余暇、ひま」を利用しておこなっていたものかもしれませんが、現在は違います。現在の学校は、「教育は、 人格の完成をめざし、平和的な 国家及び社会の形成者として、必要な資質を備えた」「国民の育成」をめざす。そのため、ある一定期間、義務教育として「国民は、その保護する子に、」「普通教育を受けさせる義務を負う。」と教育基本法にあります。ここから、自ずと「誰のために」「何のために」学ぶのかということがはっきりと読み取れます。
 ともすれば、学ぶ目的や意義を忘れがちになるときがあります。自分のためだけであれば簡単に投げ出すこともあるかもしれません。しかし、今、自分が学校で学習やクラブ活動に打ち込めるのは、親を始め社会の支えがあるからこそであり、社会全体が作り出してくれた「余暇、ひま」があるからこそできるのだということを考えれば、簡単には投げ出せないはずです。また、そこでの努力や苦労が自分のためにもなるのだと思います。
 創立の精神「孝道」、校是「高志・自律・努力」も、めざすべき姿である「社会で活躍するリーダーの育成」も、ここからきているのだということを再確認する必要があります。

2012年08月14日

お盆渋滞はなぜ

 先祖の霊を祀る行事として行われる日本の伝統行事として根付いているお盆。盆休みも後わずかになりました。例年この時期になると恒例行事といっていいほど話題になるのが高速道路を中心とした渋滞です。今年は12日が土曜日とあって、13日の日曜日と分散されるのではとの予想もありましたが、40kmを超える渋滞がいくつも報告されています。
 車を運転していて渋滞に巻き込まれると、先頭は一体どうなっているのかと、昔はよく疑問に思ったものです。当然先頭は止まっていて、後続車が動けず、渋滞しているものと考えていました。ところが、渋滞の先頭は普通に走行しているそうです。ならば何故、渋滞が起こるのか、交通量と道路の幅等が関係するのは当然のことですが、前方の車との車間距離が関係するそうです。車間距離が短いと前方の車のブレーキランプが点灯すると、すぐにブレーキに足がかかります。スピードが急に落ちる程ではなくても、それを見た後続車が同じ動作を行います。それが繰り返されていくのが渋滞の原因と考えられています。最初にブレーキに足をかけた人は何故そうしたのか。前方の車がアクセルから足を離したり、ブレーキを踏まず普通に走行していても、その原因になることがあります。運転者が気付かないようななだらかな上り坂がそうです。普通に走行しているつもりでもスピードがダウンしますので、後続車との車間距離が短くなり後続車がブレーキを踏むことになります。また、トンネルに差し掛かるときは運転者の心理としてスピードを落とすようです。それを感じた後続車は同じことを繰り返し渋滞が起こります。
 トンネルは構造上、入り口からは緩やかな上り坂になっているところが多いそうです。渋滞情報が何々トンネルから何kmという報道が多いのも腑に落ちます。何気なく身の回りに起こっている現象や事象にも原因があるものです。

2012年08月13日

金星食

 8月14日未明、金星の前を月が横切って金星を隠す現象、金星食が起こります。今回の金星食は日本全国で潜入から出現まで大変良い条件で見ることができるそうです。ただ、東の空の低い位置で起こるため、その方向に障害物があると観察することができません。観察には特別な道具もなしに肉眼で見ることができるそうです。前回は23年前の1989年12月2日の夕方に金星食が起こっています。次回このような良い条件で起こるのは50年以上先のようです。私にとっては最後のチャンスです。
 今年は金環日食、金星の太陽面通過、ペルセウス座流星群など天体ショウの当たり年です。都会では照明が多く星も中々見ることができない状態ですが、丁度お盆です。田舎へ帰っている人にとってはチャンスです。星空を眺めることから、果てしない宇宙にロマンを感じたり、天体に興味を持つきっかけになった人は沢山います。14日未明ですから、月齢が分かるはずです。そこから東の空に月が出る頃の時間も推測できると思います。身近なところで観察する機会があるのですから見逃すてはないと思います。
 まず、自分が考えてみてこうなるだろうと予測してみる。次に調べてみて予測が当たっていたのか検証してみる。違いやずれがあると何故なのかを調べる。これは、学習の基本サイクルです。目の前で起こる現象や事象をただ漫然と見ているのではなく、「何故、どうして」という意識が芽生えてくるようであって欲しいと思います。

2012年08月12日

大阪私立学校展

 8月11〜12日天満橋OMMビルにおいて、大阪私立中学校高等学校連合会主催で、大阪私立学校展が行われました。大阪の全私立、中学63校、高校102校が一堂に会した説明会です。私は、12日に見学に行きました。進学相談コーナー、パンフレットコーナー、制服展示コーナー、奨学金相談コーナーなどが設けられどのコーナーも大勢の人で一杯でした。どの学校の進学相談コーナーも説明を受けるまでに順番待ちをしないといけないほどのにぎわいでした。 私立学校展を開催するにあたって、新聞での広告はもちろんTVでのCMなども行われていましたので、参加者は多いだろうと予測していましたが、その通りの状況でした。知り合いの学校の先生方の話を聞かせていただくと、どこも昨年を上回る参加者とのことでした。
 少子化、経済不況など私学にとって厳しい状況が続いていますが、大阪の場合、私立高校の授業料無償化制度が影響しているとは言え、大阪私立学校展がこれほど盛況に開催されているということは、同じ私立の学校に務めるものとしては大変心強く感じました。各学校が創立の精神に基づき、公立には無い特長ある教育を行い実績をあげてきても、公立と私立には授業料という大きな壁があります。厳しい経済状況下ではますます大きな壁になります。この大きな壁を乗り越えてでも来ていただけるような「特長ある学校づくり」が急務だと痛感させられた次第です。
 兵庫の私学展は8月29〜30日の2日間、神戸大丸で全52校が参加して行われます。多くの方にご来場いただき、私学教育の良さ、とりわけ兵庫私学の良さを実感していただけたら幸いです。本校はもちろん参加します。多くの方とお話しできることを楽しみにしています。

2012年08月11日

明日12日はペルセウス座流星群がピーク

 「蛇の頭髪と猪の牙、青銅の手を持ち黄金の翼で空を飛び、視線を合わせた者を即座に石に変えてしまうという怪物の3姉妹、ゴルゴンがいました。ゴルゴンの末娘メドゥーサの首を取れという王からの難題をペルセウスは見事に果たし、帰途に海の神ポセイドンの怒りにふれて生贄になっていたアンドロメダ姫をメドゥーサの首を使って救いだす。」というギリシャ神話があります。ここから、ペルセウス座とアンドロメダ座が誕生します。ペルセウス座は約135年周期で太陽の周りをまわっています。この軌道上を毎年お盆の頃に地球が通過します。その時に、軌道上にあるチリの中を地球が通ることによって流星が発生します。毎年決まった時期に決まった場所から流れる流星を「流星群」と呼びます。このペルセウス座流星群が今年は8月12日〜13日にかけて北東の空に登ってきます。条件がよければ、1時間当たりに数十個の流星が見られるそうです。この日は三日月状の細い月が日付の変わる頃に東の地平線上に顔を出します。天気が良ければ、今年は月明かりが少なく見つけやすい絶好のチャンスです。ロンドンオリンピックも最終日です。男子マラソンの結果がでた頃から見え始めるのではないでしょうか。夜更かしもこの日までです。
 「視線を合わせた者を石にする魔力を持つ怪物を、自分の楯を鏡のように磨きそこに映る相手を見ながら退治した」という英知の持ち主ペルセウス。「爪の垢を煎じて飲む」のたとえがあります。「チリ(流星)を煎じて飲む」わけにはいきませんが、あやかりたいものです。流れ星が消えるまでに願い事をすれば、叶うといいます。願い事(目標)を用意しましょう。沢山の願い事が叶うようになるかもしれません。

2012年08月10日

中学野球部が芝生の手入れ

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 中学野球部が校庭の芝を刈ってくれました。グランドが使えないので、練習場所を校庭に変更したら、芝が延びてきているので刈ろうということになったようです。最初は慣れない手つきでしたが、顧問の先生の指導で要領もわかってきたらしく、楽しそうに全員であたってくれていました。自分たちで整備した芝生の上で気持ちよく練習をしていました。気分は甲子園の外野の芝生の上かもしれません。
 本校は、環境教育としていろんなことに取り組んでいます。イネやトマトの栽培、雨水の利用、ゴミの分別など多方面にわたっています。これらの基本は自分たちの生活している身近な所に目をやり、どのような問題があり、何ができるかなど問題意識を持たせることにあります。校庭の芝生化もそうです。校庭が芝生になったことにより、目に映る緑の効果、照り返しの低減や冷却効果などを生徒たちは実感しているはずです。さらに、それらの管理は誰かがやってくれて、自分たちはその恩恵をこうむるだけという考え方ではなく、そういった環境を維持管理するために、自分たちは何ができるのか、何をする必要があるのかを考えられる生徒であってほしいということです。
 芝刈りの様子を見に校庭に降りると、「おはようございます」、「おはようございます」と元気な声があちらこちらから聞こえてきます。部員たちが挨拶してくれているのです。気持ちのいいものです。
 甲子園の常連校同士が同じ宿舎になったとき、「マナーの競争をしましょう」ということになったという話を聞いたことがあります。自分たちが野球に打ち込めているのは誰のお陰か、それを考えると自分たちは今何をしないといけないのかということが自覚できているということだと思います。さすが常連校。

2012年08月09日

コンピュータは計算を間違わないか?

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 コンピュータ(以下CPという)は電子計算機と呼ばれています。名前からして計算のプロ、計算を専門とする機械です。当然私たちが行う計算とCPでだした計算結果が違ったとき、どちらを信用するかといえば、CPと答える人が大半だと思います。しかし、そうとは限らないのです。
 私たちが扱う数は基本的に10進数です。ところがCPはご存じのように2進数です。電気のOFFとON、0と1ですべての数を、実は数だけではありませんが、表しています。そこからくる弱点があります。整数はいいのですが、小数が苦手なのです。1/10は0.1ですが、2進数では循環2進数になり無限に繰り返されます。有限量では表せません。そこで、「丸め」という操作を行いますので誤差が生じます。この操作を繰り返せば繰り返すほど誤差が大きくなるという次第です。CPが計算を間違えるということになります。4.4ー4.3も4.3ー4.2も同じ0.1ですがエクセルなどの計算ソフトでは前者の方が大きくなります。関数を使って比較してみてください。イコールにはならないはずです。同じ0.1に見えても、内部データには違いがあります。CPは万能ではありません。原理的に計算できない問題もあるのです。連続量であるアナログを0と1のデジタルで表現しよとするところに無理があるのかもしれません。興味のある人は調べてみてはどうでしょうか。
※この現象は Excel の問題によって生じているものではありません。米国電気電子技術者協会 ( IEEE)754 浮動小数点に関する規格に則り、数値をバイナリ形式で格納していることから生じています。

2012年08月08日

チーム力

 オリンピックも終盤に差し掛かっています。日本のお家芸といわれる柔道は男子で「金メダル0」と苦戦していますが、他の競技では善戦しています。金・銀・銅を合わせたメダル数は中国・米国・英国・ロシアに続き5位(8日現在)です。中でも、水泳は金メダルこそ無いものの11個のメダルを取っています。これは戦後最多といわれています。活躍の背景に「選手の自主的なミーティングがチームワークの一因になった」と平井ヘッドコーチは「チーム力」をあげています。水泳のような個人競技でも「チーム力」が大切だということです。男子のメドレーリレーで銀メダルを取った時に「(北島)康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と話し合い練習したとのコメントに象徴されていると思います。
 クラブ活動でも先輩が後輩に成功談や失敗談を話したりする伝統が根付いているところは強いといえます。個人戦であっても団体戦として戦う。皆の経験や力を自分のものにすることが大切だということです。
 学習においても同じことがいえます。学習は個人競技です。各自が自己分析をしっかり行い、各自の強化プログラムを作り努力することが必要です。それをベースにクラスの仲間や友人といった「チーム力」も必要なのです。この「チーム力」を持った人が力を十分発揮できるようになります。「受験は団体戦だ」とよくいわれます。高校3年生は、個人がバラバラで対応していてはいけません。「チーム力」を生かし自分の進路を切り拓いて欲しい。そして、それを後輩につなげて欲しいと考えています。

2012年08月07日

立秋

 明日から第94回全国高校野球選手権大会、夏の甲子園大会が始まります。明日の開会式での選手宣誓は山形県の酒田南高校が行います。全国の高校生や応援してくださる方に向けて何を語るか楽しみです。高校野球といえば夏の代名詞。しかし、今日は秋立つ日、立秋です。「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(「古今和歌集」藤原敏行)の歌のように、秋が来たと目にははっきり見えないけれど、季節は夏から秋へと進んでいます。校庭の稲も、稲穂が頭を垂れかけています。芝生の上もトンボがよく目につくようになりました。また、今夜は熱帯夜にならないとの予報もあります。
 夏休みも半分以上が過ぎました。この間を振り返ってみてどうでしょうか。計画通り順調に進んでいるでしょうか。うまくできていれば、その調子で進めて欲しい。もし、うまくできていないとしたら、計画の修正や検討を行い後半戦に備えて欲しい。
 生活のリズムはどうでしょうか。休暇中はともすれば、狂いがちになるものです。特に今年はオリンピックが行われています。時差の関係で深夜に放送されているものも多くあります。つい夜更かしをして朝起きれない、ということになっていないでしょうか。
 季節が順調に進んでいるように、夏休みが終われば二学期に向け一回り大きく成長しているようにしましょう。努力は嘘をつきません。コツコツと一つ一つ積み上げたことが血となり肉となっていきます。「目にはさやかに見えねども」成長しているよう、頑張りましょう。

2012年08月06日

8月6日

 「広島が無くなっていた。何もかも無くなっていた。道も無い。辺り一面焼け野原。悲しいことに一目で遠くまで見える。市電の線路であろう道に焼け落ちた電線を目安に歩いた。市電の道は熱かった。人々の死があちこちにあった。」広島市長の平和宣言文の中で紹介された当時20歳の女性が見た街の様子です。この3日後には、違う型の原爆が長崎に落とされました。多くの犠牲者がでたとともに、67年経った今も、放射線の影響で苦しんでいる人がいます。8月の6日と9日は、私たちにとって忘れてはならない日です。宣言文の中で市長は「2011年3月11日は、自然災害に原子力発電所の事故が重なる未曾有の大惨事が発生した、人類にとって忘れ難い日となりました。今も苦しい生活を強いられながらも、前向きに生きようとする被災者の皆さんの姿は、67年前のあの日を経験したヒロシマの人々と重なります。」 とも言っています。
 原子力の利用は、桁違いのエネルギーと、量や強さによって生物に悪影響を及ぼす放射線や放射性物質などを発生させます。「原子力の平和利用」、難しい問題ですが「可能なのかどうかも含めて」考えなければならない課題だと思います。

2012年08月05日

本物に学ぶキャリア教育

 高校2・3年生を対象とした5日間の研究者体験ができる科学実験教室を、進路指導部が企画しています。すでに、第一班は7月30日〜8月3日で終わっていますが、週明けの8月6日(月)〜10日(金)の5日間、朝10時〜17時まで第二班がお世話になります。
 今春、サントリー生物有機科学研究所において、最先端の実験機器を使用して本格的な実験を体験する「最先端科学実験教室」を研究者の方々の協力を得て実施しました。今回は一つのテーマの研究を5日間に渡って行います。しかも、生徒一人に研究者の方が一人付いてくださるという「贅沢な内容」です。
研究テーマは
①受容体遺伝子のPCRによる同定とその配列の決定(遺伝子配列を自動配列解析装置で解読)
②ホルモンが結合する受容体の決定と活性の強さの算出(自動細胞内シグナル解析装置を使用)
③受容体タンパク質の局在決定と異なる受容体タンパク間の結合の有無(共焦点蛍光レーザー顕微鏡を用いたFRETという方法)
の3つです。

 この中から各自が一つテーマを選び研究し、その結果をプレゼンテーションするという本格的なものです。
 高校生がこの様な本格的な研究を体験できるということは、本当に幸せなことです。受験の学力だけではなく、「本物の学び」です。ここでの経験を生かし、モチベーションをさらにアップして、進むべき大学や将来の目標を明確にし、「社会で役立つ人間や研究者」になってくれることと期待しています。

2012年08月04日

クラブの夏合宿

 本校も多くのクラブが夏合宿を行っています。すでに終わったところもあれば、これから実施するところもあります。
 自然学舎、林間学舎、修学旅行など学年単位で実施する宿泊行事と違い、クラブ合宿は共通の「趣味・趣向」を持った有志である先輩と後輩が一緒になって実施します。当然、目標も明確です。ですから、非常に印象深く、強烈な思い出として残る行事だといえます。
 私自身、高校での3年間、合宿の思い出抜きには語れません。1年生で初めて合宿に参加した時のことは、今でも鮮明に覚えています。奈良県の吉野にあるお寺が宿泊場所でした。毎朝6時からみっちり2時間トレーニングの後、朝食です。大学でトレーニングの研究をしているバリバリの大学生の先輩が指導するものですから、一年生は全員、朝食を取ることができませんでした。水分を取るのがやっとの状態で、私は毎日1kgずつ体重が減っていきました。数日後、師範からトレーニングを軽減するようにとの指導で少しは楽になりましたが、面の中で汗と涙を流しながら稽古したことを、今でもよく覚えています。一年生の時は辛い・苦しいことが多かったですが、仲間と共に乗り切れたということと「強くなりたい、勝ちたい」という思いが、三年間続けられた原動力になったと、私は考えています。強烈な印象に残る高校時代の思い出です。
 自分の「好きなこと、やりたいこと」に仲間と寝食を共にしながら全力で取り組む。そこからくる連帯感、充実感や達成感は何事にも代え難いものです。「飛躍のための夏休み」の重要な内容かも知れません。

2012年08月03日

セミ

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                 校舎前のメタセコイアで鳴くアブラゼミ
 毎日暑い日が続いています。朝から「シャンシャン、シャンシャン、シャンシャン」とクマゼミの大合唱。長い地中での生活に比べるとほんの一瞬の地上生活。必死なのはわかりますが、この鳴き声を聞くと一層暑く感じます。同じセミでも「カナカナカナ」と鳴くヒグラシは、夏も終わりに近く秋の訪れを感じさせ、何とも趣があって私は好きです。子どもの頃は、セミといえば羽根の茶色いアブラゼミが多く、ツクツクボウシやクマゼミのように羽根が透き通ったセミは珍しかったように記憶しています。ところが、最近ではアブラゼミが減り、クマゼミが増えているとのこと。地球温暖化とヒートアイランド現象に伴って生息域が北に広がっているとの説もあります。
 セミには、北限があって英国やドイツではあまり鳴いていません。イソップ物語の「アリとキリギリス」の話も、元は「アリとセミ」だったそうです。ギリシャなど地中海沿岸部にはセミが生息していても、ヨーロッパ北部にはなじみがないので、英語やドイツ語に翻訳された時、「アリとキリギリス」に変わったと言われています。南仏プロバンスのお土産にセミに関連するものが多いのも、ドイツやパリではセミが珍しいからだそうです。
 地球温暖化により生態系に変化が表れてきています。今まで見られなかった珍しいものが見られるようになったと喜んではいられません。プロバンスのお土産に、いつまでもセミが重宝がられるようであって欲しいと願います。

2012年08月02日

「夏」八月

 「夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」枕草子の夏です。こう毎日暑い日が続いていますと、枕草子のようにはいきません。「夜」は定番の熱帯夜です。雨など降れば集中豪雨で大変です。いつの頃からこのようになってしまったのでしょう。異常気象だけでは片付けられません。
 新明解国語辞典によりますと、夏は「つゆで始まる暑い季節。草木が茂りイネが伸び成熟したりする。六・七・八の三ヶ月。」とあります。天神祭やPLの花火といった夏の風物詩も終わりました。校庭のイネも花が咲きました。立秋も間近です。暑い夏もいよいよ最後の月を迎えています。
 連日37℃といった暑い日、猛暑日が続いています。夏真っ盛りですが、季節は着々と秋に向かって進んでいます。場面が変わるように、夏、秋と一瞬に変わるのではありません。夏の盛りには、すでに秋に向けての準備が始まっているのです。
 夏休みも間も無く二週間が経とうとしています。折り返し点です。宿題や課題など夏の計画がまだ何もできていないという人もあるかもしれませんが、季節の移り変わり流にいえば、二学期に向けての準備が始まっていないといけません。そうはいっても中々うまくいかないと思います。オリンピック熱もこれからますますヒートアップしてきます。TV漬けにならないように、うまくコントロールする必要があります。「夏は、夜。」です。「秋の夜長」に向けて、夜の学習習慣の確立に務めましょう。「せめて、気持ちだけでも。」と自戒の念をこめて。

2012年08月01日

サイエンスキャンプ in 鳥取大学

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 サイエンスキャンプは、中学3年生、高校1年生が鳥取大学のキャンパス内で大学での学びを直接体験する「大学連携体験合宿プログラム」です。大学の先生方や大学院生・学生から講義や実習指導を受けます。学問に対する興味・関心を高め、学習意欲の向上を図り、創造性、知的探究心、理数の才能等を育てることをねらいとしています。今年度新たに企画されたプログラムです。
 今年は、鳥取大学湖山キャンパスにおいて2泊3日で実施します。地域学部の地域環境学科・地域文化学科、農学部の獣医学科・生物資源環境学科の六つの研究室で「研究体験」を行います。
 その内容は、
 ①「薄層のクロマトグラフィーを飼養して、エステル化合物の生成の追跡や精製を試みる」
 ②「毛髪や食品中の水銀レベルを測定し、その結果からどのようなことが考えられるかを導きだす」
 ③「人間観察の鋭く現れたフランス文学や、色彩の冒険を追求した印象派の画家たちなど、フランスの多彩な文化に触れる」
 ④「風車を製作し、大学の実験風洞を使用して回転数や発電量を計測してデータをまとめる」
 ⑤「血液中のいろいろな酵素を調べることにより、肝臓、腎臓などの臓器の異常がわかる。それらを分析することによって生体の状態を知る」
 ⑥「ソーダ味のお菓子の色は、涼やかな水色をしている。この食用着色料のタンパク質の性質を調べ、病気を予防するような効果について調査する」
など本格的で興味深いものばかりです。中学生や高校生にとって貴重な経験になること間違いなしです。
 この様な機会を与えてくださった鳥取大学の先生方に感謝いたします。