アンソニー・トゥ先生講演会
きょうはアンソニー・トゥ コロラド州立大学名誉教授をお招きして、高校1・2年生対象に講演会を行いました。先生は毒性学および生物兵器・化学兵器の世界的権威として有名な方です。演題は「日本で起きた化学テロ事件」です。1994年、95年に起きた松本サリン事件や東京地下鉄サリン事件に焦点をあてたお話でした。日本に存在しないはずの戦争で使用する神経ガス・サリンを長野衛生公害研究所が特定したことに、驚きと研究レベルの高さに敬意を払われていました。トゥ先生の「サリンは地中から検出できる」との指摘から、捜査の進展や製造場所の特定に至ったそうです。
18年前は1月に阪神淡路大震災、そして3月に地下鉄サリン事件と日本中が騒然とした年でした。もちろん、きょうの講演を聴いた生徒たちが生まれる前の出来事です。この事件は、化学的知識や優秀な技能を多くの人を死に至らしめたり、苦しめる毒ガスを製作することに使用するのか、人々の幸せや世界の平和のために生かすのかが問われる典型的な事例です。「人間力の伴わない学力」は本当の学力ではないことを示す良い例です。きょうの講演を通して、生徒たちには、「何のために学び」、「誰のために学ぶのか」、そして、どういった分野で社会貢献できる人間になるのかを考え、大学での学びへと繋げるようにして欲しいと思っています。
1時間30分にもおよぶ、82歳というご高齢を感じさせない講演会でした。ご講演いただいたトゥ先生と、この講演会の労を執っていただいた徳島大学の中川教授に厚くお礼を申し上げます。