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2010年11月30日

安易な選択を避ける

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  最近の就職内定率の低下は目を覆うばかりの状況であり、氷河期を通り越して〝超氷河期〟と呼ばれています。現時点の大学卒業者の内定率は58%ということになっており、10人のうち4人はまだ就職が決まっていないのです。本人は勿論のこと、保護者の皆さんも「苦労して折角大学に進学したのに」と頭を抱えておられる方も多いのではないかと思います。
  私はこれまで、厳しい時代が来ることを予想して、すべての分野において二極化が進むということを言い続けてきました。安定成長している時代は、多少の差があってもほぼ全員がある程度の結果を出すことができます。分りやすくいえば、これまでは最高と最低の格差は130:70くらいであったかも知れません。しかし、これからは300:0になります。企業の業績も大きく伸びるところがある一方で、従来のやり方を踏襲し続けて生き残れないところも出てきます。これは企業に限ったことではなく国も地方公共団体、病院、商店、学校、個人も同様です。つまり真の実力が試される時代になってきているのです。
  就職について考えると、このような厳しい雇用情勢の中でも何社もの内定を受ける学生もいる反面、100社受験してもすべて駄目という学生もいます。企業が求めている人材というのは〝社会で役立つ力を身につけている人〟なのです。これまでのように、〇〇大学の△△学部を出たからというのは、あまり採用の決め手にはなりません。要は〝何ができるのか〟〝これまで何をやってきたのか〟がポイントなのです。
  このような状況にも関わらず、保護者や生徒の皆さんの中には大学進学が最終目標のように考えておられる方がまだまだ多いようです。私もよく大学への進学相談を受けますが、まだまだ大学のブランドにこだわっているように思えてなりません。大切なのは将来何をやりたいのかということが明確になっており、そのためにはどういう力をつけるのか、その力をつけるためにはどの大学のどの学部を選ぶのかということです。「できれば国公立へ」とか「有名難関私大へ」という安易な選択は避けなければなりません。これが優先されると、入学後に「こんなはずではなかったのに」ということになりがちです。また、大学進学することだけが目標で受験勉強している生徒によく見られるのが、大学入学後における〝燃えつき症候群〟という現象です。いずれにしても常に将来に備えて、しっかりと社会で役立つ力を磨いておくことが大切であると思っています。

2010年11月29日

環境に直結する食料問題

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  現在、地球には地球の温暖化、海洋や土壌の汚染、酸性雨等さまざまな環境問題がありますが、これらは密接に繋がっています。私は幼少の頃、親から食卓に出された食べ物は米一粒たりとも食べ残さないように教えられてきましたが、最近の子ども達を見ていて気になるのは平気で食べ残すということです。当然のことながら食べ残したものはすべて廃棄されることになりますが、これは世界全体の食料事情を考えると許されない行為です。穀物や野菜、牛肉等の食料の6割を輸入している日本は、食料生産国における水や肥料の消費や森林伐採による環境破壊によって支えられているのです。また運搬のための飛行機や船に使う燃料は膨大な量にのぼっています。更に、廃棄食料による生ごみ処理にあたっても焼却による大量の二酸化炭素を排出しています。
  人間が生きていくためには、水と食料が不可欠であり、この問題については国民一人ひとりが関心を持っておくことが必要です。そのためには大人が水や食料を大切にすると共に子ども達にしっかりと教え込んでいかなければなりません。
  本校においては〝水育〟と〝食育〟を教育の柱にしていますが、学校における取り組みだけでは不十分です。是非とも家庭において、これらの大切さを子ども達に教えていって欲しいと思っています。

2010年11月28日

大学進学の意義

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  本校の生徒はほとんど全員が大学に進学していますが、「何のために大学に行くのか」ということをしっかりと考えた上で、志望先を選んでいくことが何よりも大切です。近年、大学への進学率が上がり二人に一人が大学に進むということになってきました。そして、今は学校や学部を選ばなければ、希望者全員が大学に進学することができるという『大学全入』の時代を迎えてきています。この理由は、多くの大学が生徒を確保しなければ経営が成り立たないために、さまざまな施策を導入するようになってきたからです。つまり、一定の学力があれば、試験なしで入学を認めるという「指定校推薦」や論文と面接が中心の「A・O」、「公募推薦」といった入試制度です。このような入試を選択する生徒の中には、苦手科目を避けるとか、楽をしたいからという理由で大学を選ぶ傾向も見られます。この結果、大学生の学力低下が顕著になってきています。一時、〝分数のできない大学生〟ということが話題になりましたが、これらの学力低下を何とかカバーするために入学前の補習や入学後の特別講習を行なう大学も増えてきています。これは取りも直さず、大学進学の学力が備わっていないということです。そして、日本の大学は他国に比べて卒業の基準が厳しくないため、大学卒業レベルの学力がつかないまま社会に出るということになってしまいます。
  このため企業ではこれまで入社後に再教育をしたり、特に理系については即戦力ということを考えて大学院生を採用してきました。しかし、今は企業のグローバル化の進展に伴い、広く世界から社員を確保しようという動きが加速してきています。この結果が就職内定率の低下という現象に繋がってきているのです。これからは真の実力主義が浸透してくるのは間違いありません。そのためには中学・高校・大学を通して人間力や学力をベースとした社会で役立つ力をしっかりと身につけておくことが大切です。大学進学にあたっての安易な選択は絶対に避けて欲しいと思っています。

2010年11月27日

B.O.Pに対する取り組み

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  先日の高校の全校朝礼でB.O.P(Base of the Pyramid)の話をしましたが、生徒達からも色々な質問が寄せられています。本校の生徒の中にはボランティア活動に対する意識の高い生徒が数多くいます。しかし、漠然とした思いはあっても具体的にどういうことをすればよいのかは分らないという状況です。困っている人達のために何とかしてあげたいという気持ちは非常に大切なことだと思いますが、その前にまず自分がどうして生計を立てていくのかということをしっかりと考えておくことが必要です。社会に出てからも自分の生活費は親から出してもらってボランティア活動をするということなどありえません。困っている人を支援することを通じて事業展開をはかっていくということを考えて生まれてきたのが「B.O.Pビジネス」と言われるものです。
  B.O.Pというのは世界の所得別人口構成の中で、最も収入が低い所得層を指す言葉ですが、地球上の約40億人がこの層に該当しており、B.O.Pビジネスは、市場規模が約5兆ドル(400兆円~450兆円)にも上ると言われています。これは日本のGDPに匹敵する膨大な金額です。そして、B.O.P層のうち実に30億人がアジアに居住しています。言い換えるとアジアの人口の80%がBOP層なのです。企業にとっては利益を追求しつつ、低所得者層の生活水準の向上に貢献できるという「Win-Winのビジネスモデル」が求められるため、現地でのさまざまな社会課題の解決をはかるという基本的な姿勢が不可欠です。具体的には、水や生活必需品を提供したり、低所得層にも購入可能な商品を販売して健康を増進したり、新たな雇用を生み出すことにより貧困を削減する等があげられます。
  すでに世界のさまざまな企業がB.O.Pビジネスに参入していますが、日本は欧米諸国と比較して、具体的な活動事例が少ないのが現状であり、経済産業省も本年7月に『政策的支援の方向性と具体的取り組み』と題する提言を発表する等官民連携した新たなビジネスモデルの構築をはかろうとしています。

2010年11月26日

大阪教育会議&府立学校経営研究大会に出席して

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  11月26(金)午前中、大阪府橋下知事の提唱による『第1回大阪教育会議』が開催され、教育委員として出席しました。この会議の趣旨は〝公私トータルで大阪の教育を考えていく〟というものです。現在、教育行政の所轄は公立学校が教育委員会、私立学校が知事部局の私学課に分かれており、これまではそれぞれが別個に施策を推進してきました。そして、高校の公私間の比率を決める等必要に応じて、情報交換や調整を行なってきました。しかし、最近は高等学校の授業料無償化をはじめ公私が連携して解決しなければならない課題が増えてきており、さまざまな調整が必要となってきています。
  この会議のメンバーは、知事、府民文化部長、教育委員長、教育委員、教育長となっており、本日は6名でそれぞれ意見を述べ合いました。今回は第1回目ということで具体的な施策についての踏み込んだディスカッションまでにはいたりませんでしたが、今後は〝公私共同で実施すべき施策の検討〟や〝共通の取り組みを行なう前提となる仕組みの構築〟をはかっていくことになります。

  また、午後からは大阪府教育センターで府立高校の200名を超える校長・准校長・教頭・首席を対象に『府立学校経営研究発表大会』が開催されました。この催しの冒頭に私から「これからの学校づくり」というテーマで、これまでの民間企業、公立高校、私学の中学・高校における経営の実践をベースに約50分にわたって基調講演を行ないました。その後、3つの分科会において9校から事例発表、最後に全体講評があり、5時に無事閉会しました。
  現在、教育をめぐる課題は山積していますが、学校経営に携わるトップが、将来の日本を背負って立つ人材を育てるというゆるぎない志を持って学校づくりに取り組んでいくことが大切であると思っています。

2010年11月25日

日本のエネルギー事情~低い自給率

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  日本において、我々の日常生活に直結する2つのアキレス腱は〝低い食料自給率とエネルギー自給率〟です。食料自給率(カロリーベース)は40%で、60%を輸入に頼っていますが、エネルギー自給率にいたっては18%しかありません。しかも、これには原子力発電の14%分が含まれているため、実質的な自給率はわずか4%しかありません。このように日本はエネルギーのほとんどを海外に依存しており、先進7ヵ国(G7)の中でも極めて低い数字です。
  今後、途上国の経済発展が進展するのに伴い、エネルギーの消費が大幅に増大することが予想され、中長期的には石油や石炭、天然ガス、ウラン等の価格は確実に上昇することになります。従って、日本におけるエネルギー問題を解決するためには、従来の化石燃料を効率的に使用するための省エネ技術の改良と新たな再生エネルギーの開発・導入が必要です。そして、すべての国民に対する『省エネ運動』の啓蒙を行なっていかなければなりません。
  新たな取り組みとしては、ゴミを燃やす廃棄物発電、 家畜の糞や食品廃棄物を利用するバイオマス発電、燃料電池、太陽電池、潮力発電、波力発電、海洋温度差発電、日本海溝に眠っているメタンハイドレート*の活用等があげられます。
いずれにしてもこのエネルギー問題は日本にとって重要なテーマであり、避けて通ることはできません。これから、これらの取り組み状況を取り上げていきたいと思っています。

  *メタンハイドレート・・・水の分子に天然ガスが取り込まれたシャーベット上の物質で日本周辺の深海に大量に存在している

2010年11月24日

高校全校朝礼~グローバル化への対応  B.O.P~

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 〝前回の全校朝礼では、「この110年間で世界の人口は4倍の69億人なったこと、今後、更に人口が増加(年間7~8千万人)し、2050年には90億人を超えること、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ連邦、トルコ、アルゼンチン)とする新興国がこれからも急速な経済発展を遂げていくこと。」等の話をしました。
  経済が発展するということは、さまざまなビジネスチャンスがあるということです。このビジネスが成り立つかどうかということについて、2つの靴のメーカーが行なった調査(マーケットリサーチ)があります。ある発展途上国で靴が売れるかどうか、それぞれのセールスマンが調査することになりました。この2人のセールスマンの答えは全く逆でした。1人は“この国では誰も靴をはいていないので、靴は売れません。”という報告を行ないました。これに対して、もう1人のセールスマンは、“大変有望な市場です。靴をはくことの快適さを知れば、人はどんどん靴を買うでしょう。”と報告しました。これを受けて、この会社はその国で靴を販売することを決定し大成功を収めたのです。
  今これと同じことが新興国を中心に起こっています。皆さんは“B.O.P”という言葉を知っていますか?これは“Bottom Of the Pyramid”の略で《ピラミッドの底辺》を意味する開発途上地域の低所得者層のことです。年間の世帯所得は3,000$(日本円で約25万円)以下です。Bottomという言葉は差別用語ということで、最近はBaseを使用するようになってきましたが、この貧困層は世界人口の60%弱、40億人にものぼります。そして、この層の市場規模は実に5兆$(400兆円~450兆円)という巨大なものです。そのためB.O.Pを巨大市場と位置づけ、ビジネスを展開しようとする動きが加速してきました。
これらのビジネスの特徴は ①現地のニーズに合わせた商品づくり(開発)を行なう ②現地住民をビジネスに巻き込みながら販売する ③現地のNPO法人と連携して、社会的な課題も解決する というものです。
  1つの例として、インドの農村部において大成功を収めているユニリーバという会社を紹介します。この会社の活動は、①シャンプーや洗剤、石鹸を小分けにして販売する ②農村の女性を販売スタッフとして採用し、収入を増やしてあげる ③手洗いは衛生的であるとの啓蒙運動を推進している ④現地にある400のNPO法人を連携している というものです。
  これまで日本企業は、このような動きに対して消極的で高級志向を目指してきました。しかし、これからはボリュームゾーンであるB.O.Pやこの層の上位に位置する中間層の市場に目を向けていかなければなりません。つまり、ターゲットをどのように絞るかということが大切なのです。〟


2010年11月23日

日能研特別セミナーの開催

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  11月23日(火)、本校において日能研の模試が行なわれ、多くの小学生が朝9時から受験しました。試験は昼過ぎまで実施されるため、この間を利用して付き添いの保護者の皆さんを対象に日能研の協力をいただき『特別セミナー』を開催しました。最初にギター・マンドリン部による演奏の後、約50分間パワーポイントを使って〝社会で役立つ力を育てる〟というテーマで講演を行ないました。講演の内容は「世界の中で日本は恵まれているか」「日本の将来は明るいか、暗いか」「学校教育に満足しているか」「家庭教育は十分できているか」「地域が一体となって子どもを育てているか」という質問の後、日本と世界の現状、この10年~20年に世界で起こったこと、これからの地球規模での課題と日本社会、新技術や企業のグローバル化の動向、日本の進むべき方向等に触れ「社会で求められる力」と「教育を取り巻く課題と学校の役割」「家庭との連携による子どもの育成」を中心にお話しました。続いて二人の放送部員による学校紹介、本校の入試広報部長から入試に対する説明を行ないました。

  グローバル化という大きな潮流に乗り遅れた日本はまさに正念場を迎えています。しかし、気になるのは大人が世の中を悲観的に見ていることです。本日の質問に対しても、ほとんどの人が「世界の中で日本は恵まれているが、日本の将来は暗い。学校教育には満足していない。また家庭教育は十分できていないし、地域での教育も十分行なわれていない。」というように感じています。子どもは親の鏡であり、社会の鏡であると言われています。大人がプラス思考で日本の優れているところをしっかりと認識し、子ども達に伝えていくことが何よりも大切です。
  入試までの日は残り少なくなってきましたが、これからはどうしてもお子さんが精神的に不安定になりがちですので、暖かく見守ってあげて欲しいと思っています。

2010年11月22日

厳しい雇用情勢

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  マスコミ報道によると、2010年4月~9月の企業業績は概ね回復基調にあるとのことですが、各企業は通年の決算(2011年3月期)については、当初計画を据え置く等慎重な姿勢を崩していません。このため依然として厳しい雇用情勢が続いており、平成21年度(2009年度)に大幅に悪化した有効求人倍率や完全失業率についても、急回復するということはあまり期待できない状況です。
  今、日本経済は極めて難しい局面を迎えており、国際競争力もOECD諸国の中で27位と低迷しています。本年の前半は、エコカーや省エネ家電製品に対する『エコポイント制度』がある程度景気の落ち込みをカバーしてきましたが、構造的な問題は解決されていません。急激な円高、高い法人税、非正規社員に対する雇用規制、温暖化ガスの25%削減等あまりにも国際競争力を弱める要因が多すぎます。これらの抜本的な解決がはかれないということになると、これまで日本経済を牽引してきた輸出企業は国内生産を諦めて海外シフトに舵(かじ)を切らざるを得ない状況になります。そして、既に多くの企業でこの傾向は出てきているのです。この結果、中小企業も含め製造業を中心に日本国内での雇用は益々厳しさを増すことになります。エコポイント制度のような対症療法で解決できるようなものではありません。
  現在の大学生の就職内定率も58%という非常に厳しい状況です。これでは若者に不安感を与えるだけになってしまいます。当然のことながら消費の低迷も避けられません。日本丸という大きな船をどういう方向に向わせるのかという指針が必要であると思っています。

2010年11月21日

凡事徹底~新教室の清掃~

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  これまで何度も『凡事徹底』についてお話してきていますが、自分自身を振り返ってみても、この当たり前のことを続けるということは簡単なようでなかなか難しいものだと感じています。
  本校では教育活動の第一に人間教育の充実を掲げています。何故なら人間としての根っ子がしっかりしていないと、いくら勉強しても立派な社会人にはなれないからです。ところが、人間教育に関してはさまざまな受け止め方があるようです。〝確かにその通りですね〟と言われる方がおられる一方で、〝私学としては人間教育よりも学力を伸ばすことを優先すべきでしょう〟と言われる方もおられます。そして〝人間力をつけるための決め手は何ですか〟という質問をされる方もあります。
  私は〝人間力と学力は決して二者択一のものではなく、人間力を高めれば学力は必ず伸びる。そして、人間力を高めるための特効薬はない〟と思っています。「明るい挨拶」「きっちりした服装」「さわやかなマナーとルールの遵守」「時間厳守」「掃除」「整理整頓」といったごくあたり前のことが大切なのです。
  これまで多くの企業や事業所を訪問させていただきましたが、大きな声で「おはようございます」「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という元気な挨拶が返ってくるところは職場が活性化していますし、整理整頓ができているオフィスにおいては事務や経理処理が、より迅速かつ正確であり、工場においては安全や品質が確保されています。また、トイレが綺麗に掃除されているところは概して業績が伸びているところが多いように感じました。少なくとも汚いトイレで業績を伸ばしている会社は皆無でした。これらは全く異なることのように思われがちですが、すべての根は繋がっています。そして、企業だけではなく役所、病院、商店、学校、家庭、個人においても同じなのです。
  この週末には模試に備えて、生徒達が教室を美しく清掃してくれました。こういった当たり前のことが自主的にキッチリできることが大切であり、更に凡事徹底をはかっていきたいと思っています。

2010年11月20日

凡事徹底の姿勢を貫く

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  私は30年を超える民間企業での勤務の経験を通じて、社会で役立つためには〝当たり前のこと、簡単なことをしっかりやる〟という姿勢が不可欠であるということを学んできました。
  本校においては〝人間力〟と〝学力〟の両立を教育の柱に掲げています。よく人間力と学力は〝相反するもの〟であるとか〝相関関係はない〟という人がいますが、この考え方は間違っています。また、人間力を高めるためにはどういう勉強をすれば良いのかということを聞かれることもあります。しかし、人間力を高めるための特効薬はありません。
  社会で活躍している人達に共通しているのは〝凡事徹底〟の姿勢です。つまり「爽やかな挨拶」「キッチリした服装」「時間の厳守」「整理整頓」「約束を守る」「お礼状を書く」「素直に反省する」といった日々の行動です。そのため、校長就任以来、この〝凡事徹底〟の大切さを言い続けてきました。現在取り組んでいるのは「挨拶」と「服装」「バッヂの佩用」「時間厳守」ですが、先生方の指導もあって、最近はかなり浸透してきているようです。
  具体的な事例を挙げると遅刻が激減してきました。クラスの中には学期を通じて遅刻者がいないというところもでてきましたが、一方で遅刻が常態化しつつある生徒も見受けられます。また、教室の清掃や整理整頓についても日々隅々までキッチリとできているクラスもあり、これらのクラスについては学期末の終了式で表彰しています。また、昼休みに芝生の上で遊んでいる生徒が予鈴と共に一斉に校舎内に戻るということも徹底されています。こういうことがキッチリできるようになると、学力は確実に上がると思っています。
  しかし、まだ挨拶が十分できていない生徒、バッヂをつけていない生徒、ゴミが落ちていてもそのまま通り過ぎていく生徒等も散見されます。引き続き、凡事徹底の大切さを訴えていきたいものです。

2010年11月19日

漢字の起源

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  生徒達は校内の大漢字テストに続いて、先日漢字検定に挑戦しましたが、最近私も通勤時間を利用して、漢字に関する本を読み始めています。そうすると漢字に関する色々な興味深いことが解ってきました。
  私はこれまで漢字は中国の「漢」の時代に使われだしたと思っていましたが、『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』によると、実はもっと古くから使われていたようです。今日は、この本の内容を紹介したいと思います。
  〝漢字のルーツを辿ると、今から3200年前、中国の安陽(河南省)に都した「殷王朝」がトいに用いた亀の甲羅の腹や牛の肩甲骨などに文字を刻した甲骨文字が始まりです。殷から「周」の時代にかけては青銅器に文字を鋳込んだ金文(約3000年~2300年前)があります。その後、「周」のあとをうけた「秦」の始皇帝が統一した小篆(しょうてん)(約2200年前)という字形を経て、漢の時代に現在使用している漢字にほぼ近い書体が生まれました。そして紀元100年頃に後漢の許慎が、それまでの文字を体系化して「設文解字」とまとめ、これが長い間漢字の聖典として扱われていました。ところが1899年に殷の時代の甲骨文字が発掘され、解読が進むにつれて、この「設文解体」には多くの間違いがあることが解ってきた、ということです。
  
  白川静氏の功績は膨大な金文を精密に読み込んだ研究により、新しい漢字の体系を打ち出したことであると言われています。私もこれまで何十年間も漢字に接してきましたが、あまりにも知らなかったことが数多くあります。どのようなことも勉強すればするほど奥深いものがあると感じています。この本の続編として『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』が出版されていますので、これも読んでいきたいと思っています。

2010年11月18日

エコ弁当に対するアンケート結果

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  本校では、人間教育の大きな柱として環境に対する活動を積極的に行なっています。この取り組みの基本は、単に環境に対する知識を習得するだけではなく〝学び 考え 行動する〟ことをスローガンに掲げ、学校や家庭、社会において身近なできることから始めるということにしています。
  環境活動の切り口としては「食料」「水」「エネルギー」「ゴミ」等のさまざまなものがありますが、先日の環境フォーラムの開催の日にはそれぞれの家庭において『エコ弁当をつくる』という呼びかけを行ないました。これを受けて、それぞれのご家庭において、地産地消の考え方を取り入れたお弁当づくりに積極的に取り組んでいただいたようです。
  今回、家庭科の先生が、このエコ弁当についてのアンケートを生徒と保護者にお願いし、まとめてくれました。これによると、全学年の多くの生徒が〝お弁当をつくってくれるお母さんは凄い。毎日お弁当をつくってくれるお母さんに感謝〟この他に〝買い物のとき輸入品ばっかりで、日本産のものを探すのが大変で、値段も高くびっくりした。〟〝全て、自分でやって楽しかった。(多数)〟〝2年目なので、少し慣れました。(多数)〟〝兵庫県のものも、意外とあることを知った。〟
  また、保護者からは〝息子と協力しあって、楽しいお弁当作りができました。〟〝毎日のお弁当を作る「家族の思いに触れることができた〟〝食材の産地に関心を向けることができた〟たくさんのことを学ぶ機会になった〝お弁当を作る作業を通じて、環境を考えることはすばらしい取り組みですね〟〝年齢と共に手際もよくなり、盛りつけもセンスアップして、感心しました。〟この一方で〝あまりにも子どもが料理できないので呆れてしまいました・・・〟という意見もあったようです。
  更に、担任からは〝教室の雰囲気がなごやかになった。〟という感想も寄せられています。何と言っても「食」は基本です。毎日、エコ弁当をつくることは無理がありますが、このような機会を通じて、食の大切さや日本の食料事情についての理解を深めて欲しいと思っています。

2010年11月17日

中学校全校朝礼~日本の水と牛丼

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  11月17日(水)、中学校の全校朝礼において、日本の水と牛丼というテーマで次のような話をしました。

  〝中学3年生は沖縄への研修旅行、中学2年生は大山への林間学舎、中学1年生は里山体験と環境に関する活動に取り組んでいただいています。そして、この全校朝礼においては環境に関する話をしていますが、今日は”日本の水と牛丼 “というテーマを取り上げたいと思います。
まず、皆さんに日本の水について質問してみたいと思いますので、必ずどちらかに手をあげてください。
「日本は水が豊富にあるか?」「日本は水が足りないか?」
         正解は“水が不足している”です。
  日本の年間降水量は1,718mmで、世界の平均の倍です。しかし、1人あたりにすると世界平均の3分の1しかありません。にもかかわらず、水不足を実感しなくてもすむのは、食料を輸入することで水の消費を押えているからです。
  皆さんは毎日、さまざまな物を食べていますが、食料を生産するためには、多くの水が必要です。例えば、皆さんが食べているパンの材料となる小麦1kgを生産するのには、どれ位の水が必要かわかりますか?   何と1,000ℓです。
  このペットボトルは500mlですから2本で1ℓ、このペットボトルなら2,000本が必要ということになります。米1kgを生産するには3,600ℓの水が必要です。ところが鶏肉や豚肉や牛肉では更に多くの水が必要になります。何故ならトウモロコシ等の穀物を食べるからです。このため牛肉1kgには20,000ℓの水が必要になってくるのです。日本はこれらを輸入することによって、同時に水を輸入しているのです。
  皆さんは牛丼を食べたことがありますか? ほとんどの人が食べていますね。今、牛丼業界は競争が激しく、吉野家やゼンショウ、松屋等がしのぎを削っていますが、それでは、牛丼を一杯作るのに、水はどれ位つかわれているでしょうか?
          答えは2,000ℓです。
  牛丼一杯に、肉(1,450ℓ)、米(450ℓ)、玉ねぎ等を加えると約2,000ℓという大量の水が使われているのです。
  「いつも皆さんには食べ残さないようにしよう」と言っていますが、日本で廃棄されている食料で、世界の飢餓に苦しんでいる人達を救うことができるのです。そして、食べ残さないということは水を大切にするということにつながっているのです。
是非、水の大切さを知り、食べ物を残さないようにして欲しいと思っています。〟

≪参考≫
 輸入食料の中に占める水は〝バーチャル・ウォーター〟と呼ばれています。

2010年11月16日

読書の効用

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  急速に秋が深まり、朝晩はめっきり冷え込んできました。歳時記には「秋涼の日がつづき,夜も長くなると読書に団欒(だんらん)に燈火が親しまれる」と記されており、このことから読書の秋を象徴する「燈火親しむ候」という季語がよく使われています。これは「李杜韓白」*と呼ばれる唐の四大詩人の一人である韓愈(かんゆ)が息子の符(ふ)にあてて書いた手紙の中の「涼しく夜の長い秋は、燈火の下で読書するのに適している」という一文に由来するものです。つまり中国の唐の時代に、都会で勉強している息子に対して「本を読みなさい」と忠告した言葉が日本でこのように季語として使われているのです。もちろん、秋は夜だけでなく昼間も読書するのに快適な季節です。
  「本を読むと若くなる」と言われますが、それは読書が心の健康に役立つからです。つまり軽いスポーツや散歩が、身体の健康を支えるように、本を読むことが頭の体操になるのです。また、「本を読むと美しくなる」とも言われますが、常に優れた本と呼吸し心を豊かに働かせている人は、自然に目の輝きが増して、自信のある引き締まった顔立ちになります。
  また、子どもの言語能力を高めるためには、読書が最も効果的であると言われています。本を読めば読むほど色々な文章に接することになり、新しい言語をどんどん覚えることになります。
  しかし、「子どもたちの読書離れ」と言われて久しくなりました。特に、小中高と学年が上がるほど本を読まない割合は高くなっていますし、大人の読書離れも顕著になってきています。最近、わが国において国語力の低下が叫ばれていますが、この原因は日本人の読書量の減少にあるのは間違いないでしょう。これは携帯端末やパソコンの普及により、活字よりも安易で刺激的な情報メディアへの興味関心が強まったことやゲーム等に時間が奪われていることによるものだと思いますが、読書の効用について今一度考えてみたいものです。

2010年11月15日

公募推薦入試受験者に対する個人面談

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  11月15日(月)、今週より昼休みと放課後を利用して『国・公立大学の公募推薦入試』を受験する生徒の個人面談を開始しました。この入試は学科試験の結果で合否が決まる従来の一般入試とは異なり、一定の条件の下、全国の高等学校を対象に「面接」「小論文」「学力試験」等を課し合否を判定することになっています。
  大学としてはいかにモティベーションの高い生徒を確保するかがポイントですので、志望動機が明確になっている事が不可欠です。従って、指導にあたっては、多くの大学・学部がある中で、何故この大学・学部を選んだのかということを中心に質問し、答えてもらうことにしています。生徒達はこのような面接を受けた経験はあまりないため、相当緊張しているようです。志望動機についてもまる覚えしようとするあまり、途中で詰まってしまったり、予期せぬ質問に対しては全く答えられないといったことも見受けられます。礼儀や身だしなみについてはキッチリできているようですので、「リラックスして自分の言葉で答えるように」「また将来何をしたいのかという考えをしっかりとまとめておくように」伝えました。また、私は以前民間企業において入社試験や昇格選考等の面接を数多く行なってきましたので、その時のノウハウをまとめた『面接って何がわかるの?』というプリントを渡しました。
  生徒達が、入りやすい大学・学部を目指すのではなく、自らの将来を考えて大学を選んでいくことは大切なことであると思っています。早い人は今週末から受験に臨むことになりますが、目標達成に向けて全力を尽くして欲しいものです。

2010年11月14日

地域情報誌 シティライフへの掲載

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  シティライフ阪神版の11月号に西宮北口の塾特集が掲載されました。このシティライフは北摂(北大阪/高槻・茨木・摂津・吹田・豊中・箕面・池田・川西)阪神(宝塚・西宮・芦屋・東灘区)の女性のためのロハスな生活に役立つ情報が数多く盛り込まれており、毎月初めに発刊されている地域情報誌です。
  先日、「これからの教育に必要なこと」というテーマで取材を受け、私の教育に対する考え方をお伝えしました。副題が〝教育のプロに聞く〟ということになっていますが、私はまだ教育の仕事に携わってから9年しか経っておらず、とてもプロと言えるレベルではありません。時間が経つにつれて、教育というものは実に奥が深いものだと感じるようになってきました。
  この記事の中でも触れていますが、今の時代は学力が高く良い大学を出ているからと言って、必ずしも実社会で活躍できるとはかぎりません。時代が複雑化、グローバル化すればするほど、自ら考え行動することや問題を解決する力が問われてきます。そのためには、豊かな人間性や自立した強さがあってこそ、豊富な知識や学力が生きてきます。そして、これらの人間力と学力を兼ね備えた人材を育てるためには、育てる側の大人の人間力と学力が問われるということになります。
  子どもは親の鏡であり、教師の鏡、社会の鏡です。子ども達と一緒に成長する家庭、学校、塾を目指していくことが大切であると思っています。

2010年11月13日

血の滲むような努力~イチロー選手の偉業

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  今年のプロ野球は、大リーグのワールドシリーズでのジャイアンツの優勝、日本シリーズでのロッテの優勝で一年間の幕を閉じました。毎年、この時期にはドラフト会議で注目を集め、多くの球団から指名されてプロ野球の世界に入る者がいる一方で、戦力外通告を受けて退団する者やトレードになる者等悲喜こもごもの状況です。期待されながら活躍できずにユニフォームを脱ぐ者と大して注目されなかったのにもかかわらず大活躍している者との違いは何かを一言で言い表すと「努力」ではないかと思います。
  「今、プロ野球界で最も活躍している人は誰ですか」という質問をすれば、ほとんどの人がイチロー選手の名をあげるのではないかと思います。イチローは今年200安打を記録し、自らの記録を更新すると共に100年以上の歴史を持つ大リーグにおいて「10年連続」という回数でピート・ローズに並びました。
この試合の後、イチローは「200安打が簡単ではないことは僕が一番知っている」と安堵(あんど)感を漂わせながら答えていましたが、単に1年間だけではなく10年間続けるということは日々の体調管理が万全でなければ達成できないことです。これは、以前マリナーズで同僚であった阪神タイガースの城島選手の「記録の更新は凄いが、これを達成するための努力はもっと凄い」という言葉に端的に表わされているように感じます。
  このように社会で注目を集めている人は誰も見ていないところで、血の滲むような努力を継続しているのです。私達は活躍している華やかな姿だけを見がちですが、その陰に隠れた努力を見逃してはいけないと思います。

2010年11月12日

読書週間を終えて

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  文化の日を挟んだ2週間の読書週間も、今週9日で終了しました。本校の図書館の司書に最近の生徒達の図書館の利用状況や読書がどうなっているのかを聞くと、「総体的に生徒達の読書量は少なくなってきている。また、本をよく読む人と読まない人との差も大きくなってきている。学年が上がるにつれて読書量が減る」との答えが返ってきました。
  読書の大切さについては昔から色々な諺が言い伝えられています。その一つは『読書百ぺん意おのずから通ず』という言葉です。昔の人は,孔子や孟子、荀子、孫子等の教えをはじめとする古典を繰り返し読み返すことにより、最初は意味が解らなくても、自然にその意味が理解できる日が来ると言われています。また、『読書万巻を破す』という言葉もあります。これは一冊より十冊、十冊より百冊、さらに多くの本を読破することによってさまざまなことを知ることができるという意味です。人生の生き方をはじめ、芸術、哲学、科学、地理、歴史などあらゆる分野で楽しみを知ることになります。
  厳しかった暑さも過ぎ去り、すっかり秋も深まってきました。秋は一年の内で最も過ごしやすい季節であり、「読書の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」と言われています。昨今は活字離れがささやかれていますが、読書することにより得るものは大きいと思います。読書週間は終了しましたが、是非この季節に家族や友達でしっかりと本を読んで欲しいものです。


2010年11月11日

週刊朝日に掲載~選ばれる私学

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  この度、週刊朝日(11月19日号)に『選ばれる私学~関西名門校 共学校編』というタイトルで、本校が紹介されました。〝学校改革によって大きく実績を伸ばし、注目を集める共学校〟ということで大阪府、京都府、兵庫県の5校が取り上げられています。この記事掲載にあたっては、先日森上教育研究所の森上展安代表の司会で5校の校長による誌上座談会が開催され、それぞれの学校の建学の精神や特色ある教育活動、人間教育と学力向上に対する取り組み等をお互いに紹介し合い、意見交換を行ないました。
  本校はコース制の導入をはじめとする学校改革に着手してまだ4年目で、本年3月に新コース制導入後に入学した生徒達が初めて大学進学を果たしたばかりです。以前に比べると進学実績は顕著に伸長しましたが、まだまだ満足すべき状況ではありません。一方で人間力を養成するための大きな柱として、環境教育に注力すると共に高校の新校舎建設をはじめとする学習環境の整備を進めてきました。そして、3年後の2013年を中期計画の完成年度として『あるべき姿』を描き、この達成に向けて改革を継続してきています。
  学校改革の基本の考え方は『創立の精神の体現』であり、孝道(親孝行)をベースとした〝社会で役立つ人材〟の育成を掲げています。私は以前パナソニック(松下電器)での勤務を通じて、社会で活躍している人材を常に見てきました。本校の校是は「高志・自律・努力」ですが、これこそ社会で活躍できる人間像にぴったり当てはまると考えています。
  また、雲雀丘学園は本年創立60周年を迎えましたが、これを機に「人間教育の充実」と「学力の向上」の両立をはかる関西を代表する学園を目指して、2013年以降の新たな目標を模索しています。
  入学を目指す皆さんに送る言葉は〝高い志が道を拓く〟ということにしました。自己の名声や名誉といった野心や野望を優先するのではなく、〝人のため、社会のために尽くす〟という志が大切であると思っています。
  

2010年11月10日

高校全校朝礼~グローバル化への対応

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  11月10日(水)、校庭で高校の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。
  〝高校生の皆さんにはグローバル化というテーマでお話ししてきていますが、グローブというのは地球という意味であり、グローバル化やグローバリゼーション(Globalization)というのは、従来の国の境界を越えて地球規模で人・モノ・カネ・情報・技術等が拡大して様々な変化を引き起こすということです。日本はこのグローバル化の波に乗り遅れています。この大きな原因の一つは日本の人口の多さかも知れません。世界には193の国がありますが、この中で人口が1億人を超えているのは11か国しかありません。人口の多い順に並べると中国・インド・アメリカ・インドネシア・ブラジル・パキスタン・バングラデッシュ・ナイジェリア・ロシア・日本・メキシコということになります。日本はこれまで人口も増えてきており、国内の総需要も大きかったため、輸出産業と言われる企業でも国内に軸足を置いた企業活動を行なってきました。しかし、これからは発展途上国が急成長することになります。皆さんは日本の将来は暗いと思っているかも知れませんが、グローバルな視点に立つと限りないビジネスチャンスが待ち受けています。
  現在、世界の人口は69億人ですが、この内の8割は標準以下の居住環境、つまり電気もガスも水道もない生活を送っています。水を取り上げて見ても、日本のように水道の蛇口を捻(ひね)ると飲める水が出てくるというのは、水不足に悩む人にとっては夢のような話です。日本には、この水に関する技術やノウハウがたくさんあります。そして、これらを活用すれば多くの人を救うことができるのです。
  このように「人々が困っていることや不満を持っていることを解消してあげる」というスタンスで、世界に目を向けるとやるべき仕事は無限にあります。そして、これらをビジネスに結びつけていくためには「潜在需要がどれくらいあるのか」「どれくらいの価格であれば受け入れられるのか」を考えていくことが必要なのです。皆さんは英語でコミュニケーションできる力を身につけ、将来日本国内にこもらず、海外に羽ばたいていって欲しいと思います。〟

2010年11月09日

沖縄への研修旅行に向けて

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 11月9日(火)、中学3年生が沖縄への研修旅行に出発しましたが、この研修旅行にあたっての栞の巻頭言を紹介します。

  〝今から7年前に「修学旅行」から名前を変えて、体験型になった中学3年生の「研修旅行」が実施されます。修学旅行の起源は、1886年に東京師範学校の生徒が、千葉県を12日間にわたって、長期遠足をしたのが始まりとされています。鉄砲を持ち、隊列を組んでの行進は鍛錬を目的としていましたが、数年後には一般の学校が、伊勢神宮などの参拝に訪れるようになったようです。
  さて、本校の研修旅行の舞台は、日本の最南端に位置する沖縄です。沖縄といえば、青い海と美しいサンゴ礁に囲まれた素晴らしい景観を有するリゾート地である一方で、先の大戦で悲惨な経験を有し、日本にある米軍基地の70%以上が集中する基地としてのイメージを併せ持っています。しかし、それは近代以降の沖縄の顔です。江戸時代までは、独自の文化をもつ琉球王国という別の国でした。
 今回の研修を通じて、皆さんは「平和」と「環境」の大切さを学びます。「平和」の面では、先の大戦で多くの方が尊い命を落とされ、今もその心の傷を抱えて生きておられる方もたくさんおられます。平和に関する史跡、祈念館を訪問することで、多くのことを学んでください。伊江島でも、島民の方からそういった話を聞けるかもしれません。今日の日本の繁栄と平和は、多くの犠牲の上で成り立っていることを、今一度見つめ直してほしいと思います。
  「環境」の面で見ると、沖縄は多様な生物が生息する地域です。サンゴの観察と苗作り、生態観測など、自然とふれあう体験を通じて、私たちが住む世界には、多くの種類の生物がいることを再認識してほしいと思います。また、ホームステイでお世話になる伊江島では、水資源が乏しく、さまざまな工夫を凝らしておられる姿を見て、水の大切さも学んでください。
  雲雀丘学園中学校の生徒として、沖縄の人、自然、平和とふれあい、この研修旅行が皆さんの心に残る有意義なものになることを願ってやみません。〟

2010年11月08日

いい歯の日にあたって

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  1年にはさまざまな記念日がありますが、本日(11月8日)は 『いい歯の日』 です。つまり、11(いい)と8(は=歯)の語呂あわせですが、この日は1993年(平成5年)に日本歯科医師会によって決められました。それまでは6月4日が 『むし歯予防デー』 ということで、子どものむし歯を対象にした活動でした。そのため歯周病罹患率の高い大人やお年寄りを対象にした取り組みが必要であるということで、この 『いい歯の日』 が制定されることになりました。また、これと同時に4月18日を 『よい歯の日』 に制定し、4月、6月、11月の年3回、自分の歯を守ることを提唱することにしたのです。
  そして、現在は「一生自分の歯で食べること」は、人生80年時代における健康づくりの基本の一つであり、その一施策として〝80歳になっても20本の歯を残そう〟という『8020(ハチマルニイマル)運動』が全国的に提唱されています。この趣旨は〝噛める歯が最低20本あれば、たいていの物は食べることができる、更に噛むことは脳を刺激し、老化防止にもつながる〟ということです。
  私たちの歯は左右対称に生えており、歯の数は乳歯で20本、歯が生え変わった後の永久歯は28~32本です。人間の歯にはそれぞれの役割があり、前歯は8本で薄くて先が鋭くなっていて、食べ物を噛み切る役目を持っています。前歯の隣の犬歯は4本で先のとがった円錐形をしていて、食べ物を食いちぎったり、引き裂いたりする役目です。そして、奥歯は16本~20本で臼のような形をしているので臼歯と呼ばれ、食べ物をすりつぶす役目を持っています。これは永い間の人間の進化を表しているのです。前歯は果物や野菜、犬歯は肉、臼歯は穀物を食べるのに適しています。従って、歯の数の割合で食物をとる、つまり穀物が50%~62.5%、果物や野菜が25%、肉が12.5%の割合が良いとされています。最近、ファーストフードを摂る人が増えてきていますが、今一度自分の歯の状態や食事の内容を見直して欲しいと思っています。


2010年11月07日

第3回中学校入試説明会の開催

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  11月7日(日)、本校において「五ツ木・駸々堂の模擬テスト」が実施され、早朝から多くの生徒と保護者が一緒に来校されました。昨年は新型インフルエンザの関係で受験生は大幅減ということでしたが、模試の担当者にお伺いすると、今年は当日参加者も含め約170名の生徒が受験されたとのことです。 
  このテストと並行して、10時半から本年第3回目で最終となる中学校の入試説明会を開催しました。休日ということもあって、368組、約500名の方が参加され、昨年を上回る結果になりました。参加者の中にはこれまで本校の説明会や校外での相談会等に参加されている方も数多くおられます。そのため、今回は内容を少し変えて、私から「日本は世界の中で恵まれているか」「日本の将来は明るいか、暗いか」という質問をし、次のような話をしました。
  〝子どもさんは11年後には社会人になります。その時に、社会で役立つ力をつけるためには、現在世界の中で日本がおかれている状況を正しく掴むと共にこれから世界がどのように変化していくのかをしっかりと認識しておくことが大切です。皆さんは日本の将来を悲観的に見ていますが、今日本には世界の中で注目されている新技術やノウハウが数多くあります。これからグローバルな視点に立って見渡すと、世の中に役立つ仕事はいくらでもあります。現在取り組んでいる学校改革の基本の考え方は創立の精神の体現であり、単に大学の進学実績を上げることではなく、社会で役立つ人材を育てることです。そして、この教育方針にそってさまざまな教育活動を推進しています。〟
続いて、学校生活の概要をコンパクトにまとめたDVDを見ていただき、教頭から現在の学校の概要や学力伸張の状況、最後に入試広報部長から本年度の入試結果と来年度の募集の留意点について説明を行ないました。
  説明会は12時少し前に終了しましたが、その後学校の校舎と本日練習しているクラブ活動を見学していただきました。また、ギター・マンドリン部員は校舎前でいくつかの曲を演奏してくれました。新校舎を見学された参加者からは口々に〝素晴らしい校舎ですね。こういう施設で勉強できる子ども達は幸せですね。〟という感想をいただきました。
  本日は説明会終了後も多くの保護者の方から個別の相談をお受けしましたが、まだまだ十分な説明ができていないように感じました。子どもの将来については自分のこと以上に心配されておられる様子が伝わってきました。中学入試は親の入試と言われていますが、志望校の選定にあたっては、是非学校に足を運び、お子様にあった学校かどうかを確認していただきたいと思っています。
  これで、本年度の中学校入試説明会はすべて終了しましたが、本校ではこれからも個別の進学相談や学校見学にはいつでも応じていますので、ご一報いただき気軽にご来校ください。また、開かれた学校づくりを目指しており、ホームページを通じて学校の教育活動の様子をお知らせしていますので、ご覧いただきますようお願いします。


2010年11月06日

漢検テストを終えて

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漢検HPより

  11月6日(土)、中学1年生から高校2年生までの生徒が、漢字検定を受検しました。本校では学年毎に級を決めて、漢字検定を受検することにしており、最低中学3年までに3級、高校卒業までには大学受験や社会人として必要な2級レベルの取得を目指しています。今年は中学3年で準2級を受検した生徒も多数にのぼりました。
  英単語の学習と同様、漢字は五感を使って学習するのが効果的であると言われています。つまり、知らない漢字を「目で見て」「手で書いて」「口で発音して」「耳で聞いて」「意味を考え」、更に「机に座って覚える」のではなく、動きながら体全体を使うということです。 
  この漢字検定にあたっては、各学年で先月の大漢字テストの後、小テストやプレテスト等を行なって準備してきました。そして、1週間後解答を配布し自己採点をしてもらうことになっています。実際の結果は約40日後に判ることになりますが、どれだけの生徒が合格するのか楽しみです。最近、グローバル化に対応するため、英語の必要性が叫ばれています。一方で、英語よりも日本語を守るべきだという意見もあります。この二つは両極端の意見ですが、私は二者択一という考え方は間違っていると思います。日本の文化や伝統、歴史を理解するための日本語も、国際社会との共生をはかるためのの英語も必要なのです。生徒達には是非日本語と英語、そのベースとなる漢字と英単語をしっかりと学んで欲しいと思っています。 
 

2010年11月05日

韓国への教育視察を終えて

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  11月5日(金)、3日間にわたる韓国への教育視察を終えて深夜に帰宅しました。
  今回の視察には、大阪府の橋下知事、大阪府教育委員、教育委員会事務局の幹部、府立高校の校長・教頭・教諭の21名が参加しました。
  3日間で10の学校・教育施設を訪問するという強行スケジュールです。1カ所の滞在時間は1時間半、この間に施設見学をし、意見交換することになっていますが、参加者の問題意識が高いということもあって質問が続出し、ほとんどの訪問先で時間がオーバーするという状況でした。また、夕食後も日付が変わるまで参加メンバーで活発な意見を述べ合いました。橋下知事と教育委員は一日早く帰国しましたが、空港に向うバスの中でも、これからの教育課題について、今回の感想やお互いの意見を述べあう等、非常に充実した視察になりました。今回の訪問先は以下のとおりです。
  ◇ソウル科学高校(英才学校)
  ◇ソウル教育研究情報院科(情報を核とした研究機関)
  ◇大元外国語高校(語学英才養成校・私学) 
  ◇中谷小学校(校内LAN敷設・英語教育) 
  ◇大韓民国教育科学技術部(日本の文部科学省に相当) 
  ◇ソウル特別市教育庁 
  ◇城東工業高校 
  ◇漢江中学校 (一般的な公立中学校)
  ◇善隣インターネット高校(IT分野での人材育成) 
  ◇ソウル日本人学校
  今回の視察を通じて、韓国の教育の実態を目の当たりにし、参加者全員が大きな刺激を受けたのは間違いないと思います。しかし、単に刺激を受けているだけでは、何事も変わりません。この体験を活かして、それぞれの立場において、今後の教育活動に活かしていかなければと思っています。なお府立高校の先生方は後一日滞在してソウル女子商業を訪問し、土曜日に帰国の予定です。

2010年11月04日

大韓民国の経済状況

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  朝鮮半島の歴史を遡ると、3世紀の終わりごろに氏族国家が成立し、高句麗、百済、新羅の三国時代に続いて高麗、朝鮮が国を樹立、日本の統治を経て、第2次世界大戦後は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と大韓民国の2つの国家が成立しました。その後、朝鮮動乱によってインフラが壊滅し、大韓民国は経済面では大きく立ち後れていましたが、漢江の奇跡と呼ばれる経済発展を遂げました。そして、アジア通貨危機による経済的な危機からの脱却以降はIT、電機、造船、鉄鋼、自動車、金融等の産業で成長を続け、2008年にはGDPで世界15位に躍進しました。現在はサムソン、現代、LG等の財閥企業が積極的な戦略経営を展開し、グローバル企業としての強固な地歩を固めつつあります。
  大韓民国の国土面積は約10万平方キロメートルで、日本の約4分の1、人口は4887万人で、日本の約4割弱です。また、2008年の名目GDPはウォン安のため9291億ドル、1人当たりのGDPは2万ドルを切って17175ドル、経済成長率も2007年5.0%、2008年2.5%、2009年0.2%とドル換算では低下してきています。
  日本との関係を見ると、日韓間の人の往来は年間500万に迫る勢いになっています。また、韓国の対外輸出の増加に伴い、日本からの部品輸入や日本への特許使用権料の支払いが増加しており、戦後一貫して韓国の対日貿易は赤字が続いています。このように韓国ではなお技術、部品、素材等、あらゆる面で日本への依存度が高いという状況が続いていますが、最近ではエレクトロニクス分野等で日本を凌ぐようになってきています。
  韓国と日本は、大した資源も大きな国土もない、少子化が進んでいる、食料自給率が低いといった点では実に似かよっています。両国がこれから世界で認められていくためには、技術立国を支えるグローバル人材の育成が不可欠なのです。

2010年11月03日

文化の日に韓国への教育視察に出発

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  11月3日(水)は文化の日ですが、戦前は明治天皇の誕生日を祝う日で『明治節』と呼ばれていました。また、明治天皇の在位中であった明治時代には『天長節』と呼ばれていましたが、この名称は中国春秋時代の思想家である老子の「天長地久」という言葉をとって、唐の玄宗皇帝の誕生日を「天長節」としたことに由来しています。
  あまり知られていないのは、この日が日本国憲法と深い関わり合いがあるということです。 つまり、敗戦の翌年の1946年(昭和21年)のこの日に日本国憲法が“公布”されたのです。そして、1948年(昭和23年)に制定された祝日法(国民の祝日に関する法律)によって、戦争放棄・主権国民・基本的人権を宣言した日本国憲法の尊重する「自由と平和を愛し文化を薦める」祭日と定められ、『文化の日』と名づけられました。
  そして、この記念日に大阪府の橋下知事と教育委員会メンバーで韓国の教育視察に出発することになりました。かつて日本の教育水準は世界の中でもトップクラスにありましたが、OECD(国際経済協力機構)の学力調査においても地位が低下してきています。韓国は一時経済破綻の危機に陥り、国をあげて改革に取り組んできました。その結果、サムソンや現代、LGをはじめ世界をリードする企業が生まれ、強い経済力を取り戻しつつあります。そして、これを支えているのが教育力であると言われています。今回の視察では、このような韓国の教育事情をしっかりと見てきたいと思っています。

2010年11月02日

2010年読書週間にあたって

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  11月3日の文化の日を挟んだ10月27日から11月9日の2週間は『読書週間』になっており、今年は第64回を迎えます。このルーツは1924年(大正13年)、日本図書館協会によって定められた「図書週間」で、読書の鼓吹、図書文化の普及、良書の推薦を目的とし、当時は11月17日から23日までの1週間でした。その後、戦争によって一旦廃止されますが、戦後間もない1947年(昭和22年)、“読書の力によって平和な文化国家を創ろう”という決意のもと出版社,取次会社、書店、公共図書館、新聞・放送のマスコミ等の関係者が結集し、名称も『第1回読書週間』として復活しました。これは11月16日から1週間にわたって開かれるアメリカの「チルドレンズ・ブック・ウィーク」にならったものです。そして、翌年の第2回目からは文化の日を挟んだ2週間になりました。以降今日に至るまで、「読書週間」は日本の国民的行事として定着し、日本は世界有数の「本を読む国民の国」となりました。各家庭においても、幼少の頃からお母さんが添い寝をして本を読み聞かせると共に機会があれば子ども達に本を与えてきました。小さい頃から本を身近に感じ慣れ親しんでいる子どもは読書好きになると言われています。
  これまで日本が高い教育水準を維持することが出来たのは、この読書力が大きな要因であるのは間違いないと思います。ところが最近、テレビやパソコン、携帯端末を主とするメディアの急速な普及によって、本や新聞を読む必要も機会も減り、子どもや若年層の活字離れが進んできています。特に人文科学系の書物が読まれなくなってきていることと読む人と読まない人の二極化が顕著になってきているようです。
  わが国では、これまで1999年に「子ども読書年に関する決議」、2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」、2005年に「文字・活字文化振興法」が制定されてきました。更に2008年6月には、文字・活字によって伝えられてきた知的遺産を警鐘発展させることを狙いとして「国民読書年」を制定することが国会の議決で決定され、今年がその年にあたっているのです。
  昨今、日本では物質生活の豊かさに比べ精神生活の低迷が問題視されていますが、論理的思考の基礎となる読書の習慣をつけることが一層重要になってきているように感じています。

2010年11月01日

世界の国々~ドイツ連邦共和国

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  先日、ヘルバルト校からの研修生を受け入れましたが、この機会に「ドイツ連邦共和国」について紹介します。歴史を遡ると、4世紀にゲルマン民族がローマ帝国に侵入して以来、ドイツ帝国、神聖ローマ帝国、プロイセン王国、ドイツ帝国、ワイマール共和国を経て戦後東西ドイツに分かれました。その後、東西の冷戦を経てベルリンの壁の崩壊により1990年に東西ドイツが統合され、現在に至っています。
  第二次世界大戦後、旧西ドイツは日本と同様、急速な経済発展を成し遂げましたが、1990年の東西統一以降は旧東ドイツへの援助コストの増大、社会保障のためのコスト増大などが重荷となって経済が低迷しました。また旧東ドイツでは市場経済に適応できなかった旧国営企業の倒産などで失業が増える等の社会問題が発生しました。それでもGDPは、アメリカ・日本・中国に次いで第4位の経済大国、国際貿易量はアメリカに次いで第2位であり、EU加盟国第一の経済力を有しています。ドイツは戦前から科学技術に優れており、ガソリン自動車やディーゼルエンジン、液体燃料ロケット等を発明しました。現在でも技術力には定評があり、自動車のメルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、電機のシーメンス、航空機のルフトハンザ、ドイツ銀行、光学機器メーカーのライカ等の世界的に著名な企業が数多くあります。
  日本とのつながりは深く、明治維新を経た1870年代から1880年代までは、ドイツ帝国の文化や制度が導入され、わが国の近代化の過程に大きな影響を与えました。そして、現在、ドイツは日本にとって欧州最大の、日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国です。
  今、ドイツはアンゲラ・メルケル首相の下、EUのリーダーとして環境をはじめとする産業の振興や財政の建て直しをはかる等、多くの課題に真正面から取り組んでいます。