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2012年02月14日

ELCAS2011 Report25

 ELCASも終わりが近づいてきました。数学を受講しているS.I.くんのレポートは無理数の証明でした。アップしてみたので読んでみてください。大阪大学の高大連携講座の案内を近いうちにおこないます。今年度に参加した人達は得るものも多かったと思います。大阪大学を志望している人を中心に来年度の受講を申し込んでほしいと思います。2年連続の受講も可能です。

 今回はeが無理数だという証明、次にe^2が無理数だという証明、その次はe^4が無理数だという証明、とeばかりでした。(以下証明)
 同じような証明があと二回続きました。やはり無理数の証明は背理法だけなのかなぁ?証明方法はバラエティ豊富なほうがおもしろいのに…。ELCASは次で最後になってしまいました。なんとなくさみしいですが、最後も頑張っていきたいと思います。

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2012年02月09日

選特化学 授業の補足31

 化学平衡もほぼ終わりに近づきました。電離平衡にしても溶解平衡にしても緻密な計算を伴うので,理解するだけではなく,問題演習をしておくことが必要です。授業を聴いて分かったように思っていても,実際にテストを受けてみたらできないという経験はありませんか。分かることとできることは別なのです。自分自身の手でどれだけ答案をつくる経験を積むかが,得点力を伸ばすポイントです。

 演習が進んでいる生徒には東京大学の過去問を配布しました。前半は有機化学の構造決定の問題,後半は分配平衡の問題です。毎年のように化学平衡が出題されていますが,この年は比較的取り組みやすい問題でした。難関大学であっても着実に解ける問題はあります。しっかりと演習ができていれば,それを見極めることができるようになります。そんな経験を積み重ねる演習をして欲しいですね。
2010年度東京大学

2012年02月02日

ELCAS2011 Report24

 生物を受講しているY.S.さんのレポートを紹介します。写真は彼女が作成した歯形の模型です。タグにRangwapithecus gordoni とあったので調べてみました。1988年にアフリカ・ケニアで発見された初期類人猿で,中新世初期に樹上生活していたことや歯の状態から菜食であったことは分かりましたが,それ以上詳しいことはわかりませんでした。最古の類人猿と考えられているKamoyapithecusと同じような時期ですね。

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 今回は自然人類学の研究室での実習でした。たくさんの化石人類や霊長類の頭部の模型があり,とても驚きました。まず最初に,自分の頭の長さを測って,短頭か長頭かを調べました。人間の頭は(頭最大幅/頭最大長)×100の数値によって,長頭型・中頭型・短頭型・過短頭型の4つのタイプに分類されます。頭最大長は眉間と後頭部の一番出っ張っている部分との間の長さ,頭最大幅は,頭部の一番広いところの長さを,それぞれ特殊な器具を使って計測します。(頭最大幅/頭最大長)×100の値を頭長幅示数といい,75.9%以下なら長頭型,76.0~80.9%なら中頭型,81.0~85.4%なら短頭型,85.5%以上うなら過短頭型と呼ばれます。この頭形は同じ日本人でも地域によって差があり,長頭型や中頭型が多い関東地方に比べ,近畿地方では短頭型や過短頭型が多いそうです。実際に自分の頭を測り,頭長幅示数を計算してみると,なんと約79%の中頭型であることが分かりました。近畿地方に多いタイプの頭形ではなかったので珍しいと言われ,少し複雑な気持ちでしたが,とても興味深い実習でした。
 その後,歯の模型をつくる実習をおこないました。これは歯科用シリコンゴムで模型の歯の型を取り,その型に硬石膏を流し込むというものでした。硬石膏を流し込む際に,気泡を出すために振動を与える必要があり,想像以上に細かい作業でした。根気のいる作業に疲れましたが,なんとか無事に模型をつくることができました。私がつくった模型は,上顎の小臼歯・大臼歯だけでしたが,普通は全部の歯の模型をつくるそうなので,模型1つをつくるのも大変だなと感じました。今回はあまり頭を使って考える実習ではありませんでしたが,新しい発見もあり,とても楽しかったです。ELCASも残りわずかなので,最後まで頑張ろうと思います。

2012年01月28日

選特化学 授業の補足30

 溶解平衡に入っています。これまでは溶解度で考えてきた分野ですが,厳密には非電解質・易溶塩・難溶塩の3つに分けて考える必要があります。特に難溶塩のときに使う溶解平衡の平衡定数「溶解度積Ksp」は新しい概念なので,まだ不慣れなようですね。また,溶媒(水)ではなく,何かの溶液に溶かす混合溶液の場合には「共通イオン効果」も考えなくてはなりません。水和物では結晶水の存在も意識しなければならず,煩雑な計算が多い範囲ですが,しっかりと取り組んでほしいと考えています。

 昨年度の神戸大学前期第2問が,難溶塩の溶解度積を扱った問題です。週末に挑戦してみてください。
河合塾 2011年度国公立大二次試験・私立大入試解答速報 神戸大学 前期化学
(pdfファイルが開きます。同サイトに解答や分析も掲載されています。)

2012年01月26日

ELCAS2011 Report23

 数学を受講しているS.I.くんの報告は4ページにわたっていますが,あいかわらず難解です。内容が難しくなっているので,英文のテキストを読むという予習にも苦労しているようです。修了まであと少しなので,頑張ってほしいと思います。

 今回はグラフの木に関する証明を聞きました。
証明すること
 n個の点があったとき、それら全てを頂点とする木の数はn^(n-2)個である。
証明
 n個の点があったとき、それら全てを頂点とする木の数をTnとする。
  T1=1
  T2=1
  T3=3
  T3=3のとき3つは同形体だが、頂点に番号をつけることで違うものとして考える。
 (中略)
 よってfとTnは1対1対応になっているので要素の数は等しい。
 fの要素はn^n個であるから(A1~An には1~nまでのどれかが入るから)Tnの要素もn^n個である。
 よって|Tn|=n^n…②
 ①,②より、n^n=n^2 Tn
 よってTn=n^(n-2)

 今回は予習をしていたのですが、わけがわからず、断念してしまいました。やはり数学の証明を英語で読むのはとても大変なことでした。でもめげずにやっていきたいと思います。

2012年01月21日

ELCAS2011 Report22

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 今年最初の報告は宇宙を受講しているM.F.さんです。レポートを読んでいても,楽しそうに学んでいるようすが伝わってきます。

 今回のELCASはいつもは実験なんですが,何と!!花山天文台に行って,星を実際に見ることができました。天文台に行くのは2度目ですが,星を見るのは初めてだったのでとてもワクワクしました。コースごとに分かれる前のオープンコアの講義内容でも,宇宙に関連した「太陽風」「宇宙人はいるのか」「フレア」などが本当に面白く,特に今までの地球上での生物絶滅の原因の一つはフレアかも知れないという話はすごく興味深かったです。天文台にタクシーで移動した後は太陽を観察しました。もちろん直接みるわけではなく超々でかい鏡を使った1つの部屋ぐらいある望遠鏡です。少し残念なことに夕方だったので輪郭がちょっともやもやしていたのですが,この前は見ることができなかったので満足でした。今回見るのは木星だったので,見えるようになるまで時間があり,周りの人と話をしていると,いろいろ下調べをしていることに気づきました。しとけばよかったぁーと思いました。望遠鏡はものすごく大きくて古く手動なので,ぶら下がっているロープを引っ張って動かします。待っている間,それをさせていただき,すごく重くて大きさを改めて実感できました。引っ張り方もあるとは思いますが,本当に重かったです。やっと暗くなりはじめて天文台の天窓を開けると明るく輝く星が1つはっきりと見えました。木星です。晴れてて本当によかったです。寒かったのですが,早く見たい気持ちが先で全然平気でした。順番が後の方だったので,回ってくるまではうずうずとしていて,やっと回ってきたときには「早よのぼる!」とか思ってヘルメットをかぶってずんずんと登っていったのですが,のぞき込むときは身を乗りださねばならなくて,下を見るとちょっと怖くて1回目は早々と降りてしまいました。登っている最中にいきなりパッと見える夜景と,近くなる夜空,冷たい空気はすごく良かったし,かんじんの木星もすごくキレイでした。縞模様もはっきりと見え,衛星のイオやガニメデも見えて,こんなに遠くのものを地球の望遠鏡でこんな風にみれることに深く感動しましたし,伝わってくる静けさや大きさを感じ見入ってしまいました。もう一度登ったときには落ち着いていて,雲のなくなったタイミングでのぞき込んで,大満足です。自分が研究者になったような気分にもなれました。
 木星を見た時に驚いたことが2つあります。1つは木星の明るさです。太陽の反射であんなに光ることに,自分が宇宙を専攻しているのに恥ずかしい話ですが驚きました。もう1つはあんなに寒くて,私たちも冷え切っていて,天文台の屋根まで距離もあるというのに,人が3人いるだけで空気が暖められて屋根から立ち上り,空気が揺らぐことで条件が悪くなるということです。遠い宇宙を見るのはやはりいろんな細かいことさえも関わってくるんだなと思いました。このとき木星以外にもみんなで色々な星の話をできて,とても充実した時間を送ることができました。このような機会があればいいなぁと思います。

2012年01月18日

選特化学 授業の補足29 センター試験分析

 化学は易しかったと思います。基礎知識を問う問題がほとんどでした。平均点も数点上がりそうですね。計算問題のレベルはあまり変わらなかったので,ここで差がつきそうです。大問4問,マーク数28は昨年度と同じでした。

第1問 物質の構成
 問1,2の知識問題は簡単です。問3は1.62-1.30(g)が酸素の質量です。M 1.30gも酸素も物質量は同じですから,0.32:16=1.30:MからMの原子量が出ます。問4は1molのCO2が44gですから,密度1.6g/cm3で割れば固体の体積(cm3)が出ます。1molの気体を22.4Lと考えると体積が何倍になるかが求められます。問5,6の知識問題は易しいですね。
第2問 物質の変化
 問1はFe2O3,CO,CO2の生成熱の熱化学方程式を立て,与えられた式に代入すると求められます。計算ミスに注意すれば大丈夫でしょう。問2は燃焼熱からメタンとエチレンの物質量を求め,その物質量からそれぞれで消費された酸素の物質量を出し,合計する必要があります。問4ではグラフから酸・塩基の強弱の組合せと価数を推定する必要があります。中和点のpHから強酸と弱塩基の組合せですし,物質量×体積が等しいことから酸と塩基の価数は同じ1価であることもわかります。問5の酸化還元反応の判定は単体が含まれる①③を除き,典型的な酸化剤・還元剤が出てくる②④を除くと⑤が選べると思います。すべての酸化数を書き出す必要はないでしょう。問6は基本的な計算問題でした。
第3問 無機物質
 冬休みの宿題の意味が分かったのではないでしょうか。コツコツと覚えることで知識問題は着実に得点源になります。問4は質量%濃度からH2O2の質量を出し,物質量に換算するだけです。問7はアンモニアソーダ法(ソルベー法)の5つの反応を1つの図にまとめています。化合物AはNH3,化合物BはCO2であることから①②は除かれます。③も正しいので,答は④か⑤だと絞り込んで考えます。選択肢の文章が分かりにくいのですが,CO2はCaCO3の熱分解から取り出す以外にNaHCO3の熱分解からも得られるので,NaClと物質量が一致しません。
第4問 有機化合物
 問1,2の知識問題は簡単です。問3はヨードホルム反応が起こる構造CH3CO-, CH3CH(OH)-と二重結合を持つ構造を探します。問4はベンゼン環へは付加反応よりも置換反応の方が起こりやすいので,Cl2が光でラジカルになった場合しか付加反応は起こりません。問5は塩基性のアニリンは塩酸塩にして水層に移動させ,強塩基で遊離させます。NaHCO3を加えるのはフェノールとカルボン酸の分離のためでしたね。問6はアルケンの付加反応です。エチレンに水を付加するとエタノールが生成し,酸化するとアセトアルデヒドになります。エチレンを酸化してアセトアルデヒドを生成するのは工業的製法です。問7は易しいでしょう。

2012年01月16日

選特生物 授業の補足26 センター試験分析

 今朝は高校3年生が自己採点に登校してきました。このあとは3月までに私立大学の一般入試,国公立大学の個別試験と続きます。最後の頑張りに期待しています。

 センター試験の生物ですが,大問数は5で変化ありませんし,解答数も1問増えただけでした。オーソドックスな内容が多かったので,難しいという印象はなかったと思います。第4問・第5問に使用されたグラフは過去に共通一次でも使用されたものでした。問題演習とその復習の繰り返しで一定の得点は確保できるのではないでしょうか。

第1問 細胞
 問1,2,3,5は平易な基礎知識です。問4は細胞壁があっても細胞内へ水は浸透するので⑤が誤り。問題Bは神経伝達物質を扱っているので,第4問で扱いそうな問題でした。問6は毒素Tの知識はないので,純粋な考察問題です。毒素Tはシナプス小胞から神経伝達物質が放出されることを阻害しているので,シナプス小胞が神経終末に多く観察されたと考えて,④になります。
第2問 生殖・発生
 問1は生殖の基礎知識です。遺伝的に多様な性質を持つのは有性生殖の特徴ですね。問3は遺伝子型を考えてみると簡単かもしれません。個体Xの遺伝子型をXX,個体Yの遺伝子型をXYとすると,種皮は個体Xの珠皮からできるのでXX。葉の遺伝子型と同じなので①が正解です。胚,胚乳,花粉,卵細胞などの遺伝子型がどうなるかは考えておいてください。問題Bでは鞭毛の伸長速度は0-1日はみられず,4-5日は低下していますから⑤が誤りです。問6は胞胚での各部分が何に分化するかを押さえておく必要があります。
第3問 遺伝
 問題Aは性決定と伴性遺伝の基本的な問題でした。問題Bは花の色が遺伝子の相互作用,子葉の色は1遺伝子雑種で,それぞれが独立しています。問題Cは連鎖・組換えと染色体地図の問題です。問6では連鎖している遺伝子の組み合わせがBとkであることに気をつけましょう。問7はリード文の「乗換えの起こりやすさは染色体の場所によって異なる」という部分は,MとNのように染色体上の実際の距離が同じであっても組換え価が大きくなり,染色体地図での幅も広くなることもあり得ることを意味します。良い考察問題だと思います。
第4問 動物生理
 問1は教科書レベルの基礎知識です。魚類の腎臓では高張尿がつくれません。図1ではy=xのグラフが浸透圧調節していないことを,y=aのグラフが浸透圧調節していることを示しています。問3は基礎知識です。授業では腎細管ではなく集合管に作用することも確認しました。問題Bは生体防御を扱っています。問5で②や③は赤血球のことを指していますから誤りです。アレルギーは過剰に反応することですから,問6の⑥も誤りです。
第5問 植物生理
 問題Aは光合成速度の問題です。図1が陽葉のデータであることを見落とさないようにしましょう。また,縦軸が酸素放出量ですからみかけの光合成速度であることも要注意です。問1では真の光合成速度との区別を注意するように問題文にも書いてありますから,光強度500のときは7+1=8となります。問3の場合も実験群から得られるデータは呼吸の分だけ消費されていますから,対照群の呼吸量を加えなければなりません。問題Bのオーキシンと伸長成長は昨年度も出題されていました。問6は4℃で屈曲が起こらないが,20℃に戻すと屈曲することから屈曲方向の決定は4℃でおこなわれていたと考えます。 

2012年01月13日

選特化学 授業の補足28

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 電離平衡のまとめに入っています。気体平衡も含め、平衡の基本はこれで終了です。入試明けからは二相間平衡に入ります。固体や気体の溶解平衡,溶解度積,共通イオン効果,分配平衡などを扱う予定にしています。

 電離平衡のところは、H+を何がどれだけ出すのかがポイントです。純水,強酸,弱酸,弱塩基,混合溶液の順に整理していきます。特に混合溶液は中和点なのかどうかと、酸・塩基の組み合わせを意識してください。弱酸を強塩基で中和する途中は緩衝溶液になるので、これも要注意ですね。場合分けの表を示しておきますので、参考にしてください。

酸aq.+塩基aq.の[H+][OH-]
 その1 強酸+強塩基の場合
  Ca>Cb=Cs ならば、[H+]=Ca-Cb
  Ca=Cb=Cs ならば、[H+]=[OH-]=√Kw
  Cb>Ca=Cs ならば、[OH-]=Cb-Ca → Kwから[H+]を求める。
 その2 弱酸+強塩基の場合
  Ca>Cb=Cs ならば、[H+]=(Ca-Cb)/Cs*Ka
  Ca=Cb=Cs ならば、[OH-]=√(Cs*Kw/Ka)
  Cb>Ca=Cs ならば、[OH-]=Cb-Ca
 その3 強酸+弱塩基の場合
  Ca>Cb=Cs ならば、[H+]=Ca-Cb
  Ca=Cb=Cs ならば、[H+]=√(Cs*Kw/Kb)
  Cb>Ca=Cs ならば、[OH-]=(Cb-Ca)/Cs*Kb
 ただし、Ca:酸の濃度,Cb:塩基の濃度,Cs:塩の濃度
  Ka:酸の電離定数,Kb:塩基の電離定数,Kw:水のイオン積

2012年01月09日

ELCAS2011 Report21

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 生物を選択したY.S.さんの12月17日のレポートです。嵐山モンキーパークいわたやまへ出かけたようです。嵯峨の虚空蔵さんで知られる法輪寺のそばにあるのですが、あまり知られていないでしょうね。生態学に関心があるのなら、訪れてみるのもよいでしょう。

 今回のELCAS生物分野の実習は嵐山モンキーパークいわたやまで行われました。嵐山モンキーパークいわたやまには現在,1群130頭のニホンザルが暮らしているそうです。京都市内を一望できる展望台付近を中心に暮らしている,かわいい赤ちゃんザルや大きなオスザルなどを間近で観察できる所でした。あんなに近くでニホンザルに触れ合えるとは思っていなかったので,とても驚きました。
 まず,追跡する個体を決め,1分おきに追跡個体の行動と近接個体数を記録していく作業を1時間,2人1組で行いました。行動は採食Feeding,移動Moving,休息Resting,毛づくろいGrooming,遊びPlayingの5つに分けられていて,1分おきに個体が何をしているかを記録しました。近接個体数とは追跡している個体の周囲3メートル以内にいる個体の数のことで,オトナオス・オトナメス・コドモの区別もしながら記録しなければなりません。1時間ずっと追跡個体を見失わないで観察を続けるのは予想以上に疲れるものでした。私が追跡したのは1983年生まれの比較的群れの中での順位が高いおばあちゃんザルでした。このサルは1時間のうちのほとんどを食べたり,毛づくろいされたりして過ごしていました。順位が高いからか,観光客から餌をもらっている時に遠慮して近づいてこないサルがいたり,近くにいる赤ちゃんザルから餌を奪う様子を観察できました。他のELCASメンバーの記録と比較してみると,オスとメスの性別の違いや,順位によって同じニホンザルでも行動が異なることがわかりました。
 また,ニホンザルにリンゴやピーナッツなどの餌をあげながら,全体の外形や顔,手足をじっくりと観察しました。特に印象に残ったのは,他のサルと比べてニホンザルはしっぽが短いこと,怒っているときと怖がっているときの表情の違いです。上の歯は隠して下の歯だけ出しているときは怒っていて,上下両方の歯を出しているときは怖がっているそうです。餌をあげているときに少し意地悪をして中身のない空のピーナッツをあげてみたのですが,サルたちはすぐに中身がないことに気づきポイっと放り投げてしまいました。改めて賢いなと感じました。
 今回は普段よりも実習時間が長かったので,たくさんのことを学ぶことができました。1時間ニホンザルを観察するというのは地味に思われる作業かも知れませんが,たったの1時間だけでもサルの生活を知ることができるのです。ニホンザルを見たことはあっても,今回のようにじっくりと観察したことは生まれて初めてだったので,とても貴重な体験になりました。寒くて大変でしたが,素晴らしい思い出ができました。次回も楽しみです。

2012年01月06日

ELCAS2011 Report20

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 昨年12月のELCASレポートも残り2つです。生物を受講しているY.S.さんのレポートのうち,12月3日分をアップします。写真はタチバナの細胞のようです。ミトコンドリアが撮影されています。十数枚の写真を届けてくれました。

 今回は電子顕微鏡を使って,ネズミの脳細胞の構造を観察しました。電子顕微鏡を見るのも,操作するのも初めてだったので,とても新鮮でした。電子顕微鏡の分解能は0.1nmということで,光学顕微鏡では観察できないような細かい構造を観察することができます。しかし,電子顕微鏡を使って観察を行うには超薄切片法という方法を用いて試料を作成する必要があるそうです。高真空に保たれている電子顕微鏡の内部には約70%の水分を含む生物試料をを直接持ち込むことはできません。また,短波長の電子線を用いるため,試料を限りなく薄くしないと電子線が透過できないということでした。超薄切片法にも何段階かあり,一週間ほどかけて試料を作成すると聞き,驚きました。今回は試料は用意されてあったのですが,実習では自分の手で電子顕微鏡を操作させてもらうことができました。核だけでなく,ミトコンドリアやゴルジ体,シナプスなども観察できたので,とても感動しました。今回も貴重な体験ができて楽しかったです。次回のELCASも楽しみです。

2011年12月30日

ELCAS2011 Report19

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 12月のELCAS報告を紹介するのが滞っていました。M.F.さんの3日と17日の報告をまとめてアップします。テーマは宇宙だったと思いますが、内容は物理ですね。回折格子分光器の動画をみつけたのでリンクを貼っておきます。

 今回のELCASは光の実験2でした。なぜ回折格子で分光できるのかを分かりやすく説明してもらい,その後に回折格子の一つであるCDを使った分光器を作りました。工作は割と好きなので自分としては結構さっさと進めたつもりだったのに,みんなの作業が速くて焦りました。でも、CDを使っての簡単な工作でいろいろな分光の違いを観察できたのは、予想外で楽しかったし、すごいと思いました。また、CDが虹色に光っている理由が理解できて、すごくビックリしたし、納得もできました。
 実験のあと,教授に宇宙について質問できる時間があり,普段は聴けないようなスケールの大きい次元での話をしてもらい、世界の不思議さを改めて感じましたし、地球の大切さも感じました。また、いろいろな定理について、教授は「計算では証明できるし、理解もできるけど、なかなか実感としてはわかない。」というようなことをおっしゃっていたことに共感もしました。頭の良い人でもそうなんだと安心したし、人間というのはある次元までしか実感としてはわかり得ないんだなとも思いました。

 今回のELCASは光の回折・干渉に関する実験をおこないました。光は半波長ずれただけでも、打ち消し合ったり、強め合ったりと難しかったです。実験の際の操作でも、手を机の上に置いた程度の小さな振動で乱れたりと大きな影響が出ることに驚きました。回折の解説の話で、結局ずれている波長の長さは、光の中心から一番内側の黒い円までの長さになると聞いて、純粋にすごいなと感じました。また、干渉の実験では、スリットの形を変えると、たくさんのきれいな模様が浮かんできて、楽しかったです。そして、この干渉を利用して遠くの星の直径などを知ることもできると聞いて、そこまで応用できる研究者の方達はすごいなと思いました。この内容が高校の教育課程かどうかは分かりませんが、個人的に調べて、深く理解したくなりました。

2011年12月19日

選特生物 授業の補足25

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 文系は生物Ⅰの教科書が終わりました。一番初めに戻って、細胞の単元から復習することになりました。先日の模試でも出題されていた顕微鏡操作を確認しているところです。頭では理解できているつもりでも、実際にやってみるとなかなか思い通りにはいかないようです。ミクロメーターを使ってオオカナダモの細胞の大きさを測定しているのですが、かなり苦労していました。その割には楽しそうですけどね。

2011年12月18日

選特化学 授業の補足27

 反応速度や化学平衡を扱っています。これまでとは違って、覚えたらなんとかなる単元ではないので、少々戸惑っているようですね。先週は電離平衡に入ったところで終わりました。中和の単元では水素イオン濃度を計算するときに酸や塩基の濃度と電離度だけで考えればよかったのですが、水溶液である以上、そんなに単純ではないことに気づいてもらいました。ここでは、場合分けと近似がポイントになります。何より、自分で論理的に考えることを求めようと思っています。

 さて、強酸を希釈していったときの水素イオン濃度は算出できましたか。10^3倍のときは酸が出す水素イオン濃度だけで考えればよいですし、10^9倍のときは水が出す水素イオン濃度だけで考えればよいでしょう。問題は10^6倍のときですね。酸と水のどちらも無視はできませんよ。続きは授業で…

2011年12月12日

ELCAS2011 Report18

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 化学を受講しているM.I.さんのレポートを紹介します。「電気を流す有機物」というテーマでの講義だったようです。次回に電荷移動錯体をつくるための予備知識だったようですが、資料を見せてもらった限りではずいぶんと専門的な内容にまで踏み込んでいるようです。電気を流す有機物では、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹先生が発見したポリアセチレンなどの導電性高分子が有名ですが、それとは違うしくみのようです。

 今回は2時間講義で、少し身構えましたが、講義内容はなんとなく知っている部分から全く分からない部分まであり、少しも眠くなることなく楽しんで聞くことができました。理解できない部分もありましたが、授業で疑問に思っていた部分が解決し、実際に模型なども見せていただいたおかげでより理解が深まりました。次回の実験では電荷移動錯体を作るそうです。ベンゼンやナフタレンなどは安定しているので絶縁体となりますが、錯体にすることで電子供与体または電子受容体となることができます。実験に臨むにあたって、まだ理解できていない部分もあるのでもう一度いただいた資料を読み込んで理解できるよう努力したいと思います。

2011年12月09日

ELCAS2011 Report17

 期末考査の期間でしたが、先週土曜日にもELCASはありました。数学を受講しているS.I.くんのレポートが届きましたので、紹介します。今回は「任意の平面グラフは五色あれば塗り分けられる」という五色定理の証明だったようです。図を含めて4ページのレポートでしたが、平面グラフから双対グラフに変換したあたりで理解が厳しくなってきたので、今回も感想だけ。

 証明が終わった後、この方法で四色定理(任意の平面グラフは四色あれば塗り分けられる)がなぜ証明できないのかをELCASのメンバーで考えました。一つの問題から新しい問題を考え、それを検討することはとてもおもしろかったので、学校の問題集などでもやってみたいと思いました。

2011年11月27日

ELCAS2011 Report16

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 前回のELCASはいろいろな事情で一人しか参加できませんでした。数学を受講しているS.I.くんのレポートです。オイラーの公式を含め、6ページのレポートを書いてもらいましたが、あまりに長いので感想だけアップします。

 今回は3つ証明を聞き、そのあとmonochromatic lines(単色の線)の証明を発表しました。monochromatic linesの証明は、僕の前に発表してもらった2つの証明をもとにして証明するものでした。だから予習段階では和訳しても意味がさっぱり分からなかったのですが、2つの証明と大学院生のサポートもあり、理解しながらでしたが発表することができました。次は自分一人の力で理解し発表したいです。

2011年11月25日

2学期期末考査時間割(選特)

 12月2日(金)から期末考査が始まります。この週末を有意義に過ごしてください。

2日(金) 古典 数学Ⅱ
3日(土) 現代文 英語W
5日(月) 保健 世界史(理)/現社演習(文) 化学(理)/生物(文)
6日(火) 現代社会 数学B
7日(水) 英語Ⅱ 物理・生物(理)/世界史(文)

 なお、選抜特進F組は、考査前日の1日から6日まで午後に個人懇談をおこないます。特に進路についてのお話しをさせていただく予定です。21日以降にも設定していますが、こちらは成績についてのお話しが中心になります。よろしくお願いします。

2011年11月21日

冬の個人懇談(選抜特進)

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 冬の個人懇談の日時について、希望調査を始めました。今回は次年度の科目選択にも関係しますので、進路についてお話しをさせていただく方を、期末考査中の午後に設定しています。一方、成績についてお話しをさせていただく方については、これまで通り12月21日からの懇談期間中に設定しています。いずれも三者懇談とさせていただきます。詳細は教室に予定表を掲示しておりますので、お子さまを通じて希望の日時を記入してください。年末のお忙しい時期ですが、よろしくお願いします。

 予備調査を基に次年度の科目設定を進めています。できるだけ進路の希望に沿うようにしていますので、少人数の講座がいくつかできてしまいます。それだけに自分自身が選択した科目に対していい加減な気持ちでは受講できないことを、折に触れて生徒にお話ししています。安易な気持ちで進路を考えることはないと思いますが、苦手・できないの思い込みで選択を狭めないようにだけはさせたくないと考えています。

2011年11月18日

ELCAS2011 Report16

 生物学を専攻しているY.S.さんのレポートです。カルシウムイメージングは東京大学の池谷裕二さんのHPで見ることができます。彼は「単純な脳、複雑な私」「進化しすぎた脳」「のうだま」など、中高生向けの脳科学の本の著者で有名です。授業でもいくつか紹介しましたね。

 まず、オープンコアコースで物理の授業を受けました。ソフトマターや液晶についての話だったのですが、難しくてほとんど理解できませんでした。けれども、物理の世界もおもしろいなと感じました。
 各分野に分かれてから、生物では神経系の研究室で講義を受けました。学校の授業で神経系を習ったばかりだったので知っていることもあり、理解がより深まった気がします。ニューロンやイオンチャネルについての説明を受けた後、カルシウムイメージングを使って、実際にニューロンでカルシウム上昇が起こる様子を観察しました。海馬を培養したものにグルタミン酸やカリウムをかけると神経が興奮する様子をカルシウムイメージングで色が赤に変わることで確認できました。しかし、カドミウムをかけても神経は興奮しませんでした。これはカドミウムがイオンチャネルを通ろうとして穴がふさがってしまい、カルシウムの阻害剤になってしまうからだそうです。イタイイタイ病とも関係があるのかなと思いました。また、遺伝子組み換えマウスを用いた行動実験もおこないました。遺伝子を変異させたことにより、シナプス伝達効率を変化させられないマウスと正常マウスの運動能力を比べるものでした。正常なマウスと比べて、遺伝子組み換えマウスの運動能力が明らかに低いことが確認できました。
 今回のELCASも勉強になることばかりでとても楽しかったです。次回も楽しみです。

2011年11月13日

ELCAS2011 Report15

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 数学を専攻しているS.I.くんのレポートは数学の証明が何ページにも書かれたものです。今回は「オイラーの証明」を聞いたとのことでノートを見せてもらいましたが…。「ケーニヒスベルクの橋の問題」として知られている一筆書きの必要十分条件の問題ですね。数学が苦手でもないのですが、理解するのにずいぶん手こずりました。最後に感想を読むと高校生らしくてホッとしました。

 今回はこの後、京都大学の数理解析研究所内を案内してもらいました。大学院生は1部屋を5人ぐらいで使っているそうです。土曜日の6時をすぎでも明かりがついている部屋がありました。大学に入ってもやっぱり大変なんだと思いました。

2011年11月10日

ELCAS2011 Report14

 合宿のようすを預かっていたのですが、アップする機会がなくて遅くなりました。M.I.さんのレポートです。内容は難しくてなかなかついていくのも大変なようですが、校外で同じテーマに興味がある生徒と交流を持つことができるのが、高大連携講座や公開講座の魅力だと思います。

 一日目は霊長類研究所に行ってアカゲザルなどを間近で見ました。木でできたジャングルジムのようなもので皆遊んでいるのですが、落ちないのかと不思議になり尋ねてみると、やはり落ちて打ち所が悪く死んでしまう猿もいるとのことでした。その後頭蓋骨のレプリカや本物を見ながら人間やゴリラ、チンパンジー、アカゲザルなどのそれぞれの特徴を聞きました。頭蓋骨や、脳味噌などを触ることもできました。ホルマリン漬けになっていたので硬かったですが、実際はとても柔らかいとのことでした。ゴリラの頭蓋骨は周りに筋肉が付いていて、噛む力につながっています。オスとメスで形が大きく違いとても驚きました。一番印象に残っていることは、頭を使うとしわが増えるといわれていますが、そのようなことはないということです。参加したほかのメンバーも驚いていました。
 二日目は自己紹介プレゼンをし、モンキーセンターへ行きました。自己紹介プレゼンは皆個性がとても強く、やはりELCASのようなものに参加する人は一癖も二癖もあるような人なのだなと思いました。名前を覚えるのが苦手なので正直三分の一も覚えている自信がありませんが、これから半年でほかの分野の人とも仲良くなれたらいいと思います。モンキーセンターでは、猿たちのここへ来た悲しい経緯や、それぞれの特徴などを聞き、予想外に興味を持ちました。行く前は全くと言っていいほど興味がなかったので、興味を持ったことに驚きました。
 今回参加して、たくさんの同志と仲良くなることができ、本当に参加して良かったと思います。このELCASのメンバーとは一生を通して交流を続けたいと思います。仲良くなったことでさらに今後の実習が楽しみになりました。

2011年11月05日

選抜特進コース懇談会

 雨の中、学校まで足を運んでいただき、ありがとうございました。欠席も事前に連絡を頂いていた数名だけでしたので、会場の視聴覚教室がほぼ一杯になりました。手狭で申し訳ありませんでした。

 まず、勉強合宿や文化祭,合唱コンクールなど、行事のようすをお話しさせていただきました。合唱コンクールの映像はあまり画質・音質が良くありませんでしたが、夏の頑張りを伝えたくて聴いて頂きました。気迫が伝われば思っています。
 次に進路選択や大学入試について40分近くお話しさせていただきました。特に今年はセンター試験の制度が大きく変わるので注意が必要です。科目選択も早い時期に決定しておかねばならないことはご理解いただけたのではないでしょうか。
 中間考査の分析や今後の予定をお話ししたのち、ほぼ予定通りに終了しました。90分間お付き合いいただきありがとうございました。今後共よろしくお願い申し上げます。

2011年11月03日

ELCAS2011 Report13

 先週はELCASの合宿でした。愛知県犬山市にある霊長類研究所日本モンキーセンターを訪ねたようです。今回はS.I.くんとY.S.さんのレポートを紹介します。

 霊長類研究所では、チンパンジーやアカゲザルを見ました。その後、霊長類などの頭蓋骨のお話を聞きました。その講義で本物の頭蓋骨、レプリカ、脳を触らせてもらいました。ヒト科に属しているゴリラの頭蓋骨は、人とは大きく異なっていて、ヒト上部がはまるみを帯びているのに対し、ゴリラはえぐれたような形になっていました。えぐれているところには脳ではなく、筋肉がついています。そんなところに筋肉があるとは思わず、とても驚きました。その筋肉は噛む力に関係しています。イヌ、ネコ、トラの頭蓋骨も見せてもらいましたが、その筋肉がつくところが広かったです。脳はホルマリン漬けされていたので、ゴム手袋をして触りました。思っていたより硬くて驚きました。ホルマリンのせいだと思います。ちなみに賢くなっても脳のしわは増えないそうです。アウストラロピテクスの頭蓋骨(レプリカ)は出土した部分が少ししかなく、ほとんどが考古学者によって考えられたものでした。考古学者の創造力はすごいと思いました。
モンキーセンターでは、たくさんの種類のサルを見ました。その中には密猟者が日本に密輸しようとして捕まり、保護されたサルもいました。そんなサルの大半は弱っていて、センター内でできる限りのことをしても、死んでしまうそうです。こんな悲しいことがなくなればいいと思いました。
 今回のELCASの合宿はメンバー同士の友好を深めることが目的でした。その目的は果たせたので、よかったと思います。メンバーとはいつまでも仲良くしていきたいと思います。S.I.

 1日目は愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所に行き、アカゲザルやチンパンジーを観察したり、霊長類に関する講義を受けたりしました。様々な種類のサルの頭骨や脳を触ることもできました。学校の生物の授業でニワトリの脳を解剖しましたが、サイズから見た目まで何もかもが全く違っていて、より人間に近いサルの脳を見ることができて感動しました。
 2日目は、自己紹介のプレゼンテーションをしてから、日本モンキーセンターに向かいました。学芸員の方に園内を案内していただきながら、たくさんのことを教わりました。初めて見るようなサルも多く、サルを近くで観察することができて、とても楽しかったです。
 今回の合宿を通して、専攻や学年を問わず、たくさんのELCAS生と仲良くなることもできました。1泊2日という短い期間でしたが学校の宿泊行事とは違った楽しさもあり、とても充実した2日間でした。たくさんの人の前でパワーポイントを使って自己紹介するのは少し緊張しましたが、他のELCAS生の話を聞いていると、個性が様々でおもしろい人も多く、笑いの絶えないプレゼンテーションになりました。楽しい思い出をたくさん作ることができて良かったです。今後のELCASも楽しみながら頑張りたいと思います。Y.S.

2011年10月31日

選特化学 授業の補足26

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 芳香族の学習も終わりに近づきました。反応については暗記するのではなく、合理的な説明ができるように求めています。そのためにもベンゼンに対する求電子置換反応は理解しておく必要があります。

 フェノールは石炭から得られるコールタールから発見されました。そのため石炭酸の別名があります。その後、医薬品や染料の合成材料として需要が増すと、ベンゼンを原料として大量合成する必要が生じました。しかし、H+をOH-で置換するのは容易ではありません。そこでClのような陰性原子を使って、求電子置換反応によってクロロベンゼンをつくり、求核置換反応によってフェノールに置換する方法が考えられました。陽イオンが電子を求めて芳香環の水素原子と起こす置換反応を「求電子置換反応」というのに対し、芳香環に結合する陰イオンが入れ替わる反応を「求核置換反応」といいます。

 現在はクメン法が主流です。まずベンゼンにプロペンを求電子置換反応によって付加させてクメンをつくります。これはルイス酸によるアルキル化でフリーデルクラウツ反応ともいわれます。クメンを酸化して、より陰性の強い原子団に変え、陰イオンで脱離させてOH-と置き換えることによってフェノールが合成されます。

2011年10月30日

ELCAS2011 Report12

 数学を受講しているS.I.くんのレポートです。専門によって講義だったり、実験だったりと形式はさまざまなのですが、内容が高度になっているのに、2週間に一度の講座を楽しみにしているようです。昨日・今日は合宿に出かけています。報告が楽しみです。

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 前回と同じように予習してきたところを前に出て発表する形式でした。素数の無限性の証明を聞きました。
 (証明を上の写真のようにレポート用紙3枚に渡って書いてくれたのですが、blogにアップできないので省略します。)
この発表には2時間かかりました。けれど、聞いていても面白かったので、あっと言う間でした。学校では習わないことばかり出てきて大変ですが、それを含めた証明が理解できたとき、大きな達成感を得ることができ、とても楽しいです。

2011年10月24日

大阪大学高大連携講座 修了証授与

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 今日昼休みに、大阪大学高大連携講座を受講した生徒に修了証が授与されました。(大阪大学の総長は来てくれませんので、本校進路指導部長が代読しました。)18名と受講者が多かったので、今日は1学期の金曜日に受講していた9名だけですが、夏期集中講座を受講した9名は水曜日に渡すことになっています。大学で授業を受けてみると、いろいろと気づくこともあり、よい経験になったようです。

2011年10月22日

ELCAS2011 Report11

 化学を受講しているM.I.さんのレポートです。ESI-TOF MASSは質量分析計ですね。ESIはエレクトロスプレーイオン法のことで、試料に電荷を持たせる方法を指します。TOFはTime of Flightでイオン化した試料を加速し、検出器に到達するまでの飛行時間によって質量を計測します。田中耕一さんが2002年にノーベル化学賞を受賞したのはESIの代わりに開発したMALDI(マトリクス支援レーザー脱離イオン化法)が評価されたものでした。また、質量分析器を開発したFrancis William Astonも1922年にノーベル化学賞を受賞しています。

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 今回私は前回につくったDNAの分子量を量り、目的のものがつくられていることを証明するための実験をしました。高速液体クロマトグラフィをおこなうことで、目的のDNAだと考えられるものだけを取り出し、その後ESI-TOF MASSで分子量を量りました。DNAは大抵2価になっているのですが、それも数値に表れていることが面白いと感じました。次回は用事があり、参加できなくて大変残念ですが、その分、次々回が楽しみです。合宿もあるので楽しんできたいと思います。

2011年10月20日

ELCAS2011 Report10

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 宇宙に参加しているM.F.さんのレポートです。花山天文台へ見学に行ったみたいですね。京都大学理学部は吉田北キャンパスにありますが、そこから清水寺の東側まで移動したようです。ちょっとした遠足ですね。花山天文台は1929年に設置された80年の歴史をもつ観測施設です。ドームレス太陽望遠鏡をもつ飛騨天文台とは異なり、大学院生や学部学生の実習教育の場として利用されています。

 今回は京大から15分ほどの場所にある天文台へ行って見学や実験の練習などをしました。築60~80年の建物が多く、古い実験器具をたくさん見せてもらいました。さまざまな実験器具を見て感じたことは、当たり前かもしれませんが遠い宇宙の観察をするのにはそれだけ大きな装置が必要なのだなということです。
 見学のあと、太陽光の回折格子をつかった分光データを用いて、太陽の自転速度を計算しました。太陽光を分光して、H-alpha線とよばれる赤い光を使います。光は地上にたどりつくまでにさまざまな分子に吸収されています。分子によって吸収する波長が異なります。グラフにすると吸収されたところだけ明るさの値が下がります。太陽の東の端、西の端,動かない部分でデータをとると、太陽の動きによって光の波長が引き延ばされたり、縮められたりすることで、明るさの値が下がっている場所がずれてきます。これを利用して太陽の自転速度を求めました。分かりそうにもないことが、ちょっとした工夫と実験で求めることができたことにすごく感心しました。

2011年10月19日

進路や選択調査について説明しました(選抜特進コース)

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 特進コースと同様に1限のLHRをつかって、大学入試やそれに伴う高3での科目選択について説明しました。以下のプリント3枚を配布しています。大学入試センター試験での変更点や個別試験との関係なども併せて説明しました。このあと生徒とは面談をおこなっていく予定です。

 ・高校2年(55期)選抜特進コース 選択調査 予備調査票 B5
 ・選抜特進コース(55期) カリキュラム B5
  裏面に選択科目についての説明を入れました。
 ・大学入試センター試験について B5・両面
なお、個別の大学入試の詳細をまとめた資料(上図)については、後日希望者に配布する予定です。

 保護者のみなさまには11月5日(土)13:30から中学校舎4F視聴覚教室にて、コース懇談会の中で説明させていただく予定です。お子さまと話をしていただいた上で、選択調査を9日(水)までに提出させてください。特進コースとは懇談会日程も調査票の締切も異なりますので、注意してください。

2011年10月17日

ELCAS2011 Report9

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 生物を受講しているY.S.さんの3回目のレポートです。前回はウキクサのことが書いてあったように思いましたが、今回はインフルエンザウイルスについてのようです。タミフルはロシュ・中外製薬が販売しているオセルタミビルの、リレンザはグラクソ・スミスクラインが販売しているザナミビルのそれぞれ商品名です。インフルエンザウイルスの表面にあるノイラミニダーゼという酵素の阻害剤です。ヘマグルチニンとともに変異の大きいタンパク質で、インフルエンザの種類が多い原因といわれています。

 第3回目はインフルエンザウイルスの生活環やタミフル,リレンザの構造についての講義を受けました。インフルエンザウイルスは自分自身だけでは増殖することができず、生物の細胞質に入り込むことで増殖をします。そこで細胞質から増殖したウイルスを遊離させる役割をもつのがノイラミニダーゼです。ノイラミニダーゼの一部が少し変異しただけでタミフルが効きにくくなるそうです。今回はRasmolというソフトを使って、ノイラミニダーゼの野生株とH274Y変異株の構造を比較しました。ちょっとした変異だけでタミフルが効きにくくなってしまうということを知ってとても驚きました。また、H274Y変異株が発見されたのはヨーロッパだと聞きました。それが日本に伝わり、タミフルが効かないという事態に陥ったそうです。これはタミフルに対する耐性をつくるために変異が起こったのではないことを意味します。
 とても難しい内容でしたが、初めて知ることばかりで勉強になりました。次回も楽しみです。

2011年10月16日

選特生物 授業の補足24

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 中間考査が終わりました。最終日の試験が返却されるとは思っていなかったかもしれませんが、早急に振り返りをさせたかったので、文理とも返却しました。平均点はまずまずですが、それぞれ課題は少なくありません。特に理系では【1】【4】で扱った目や耳などの受容器が今ひとつでした。受容器が受け取る刺激の大きさが変化しても、感覚神経の興奮の大きさは変化しません。刺激が大きくなったら興奮の頻度が変化するだけという基本的なところを押さえていないといけませんね。気柱の共鳴は物理Ⅰでの既習範囲ですが、戸惑ったようすがうかがえました。週明けに解説プリントを用意しておきますが、自分でもう一度取り組んでおきなさい。
 【6】で出題したテトロドトキシン(TTX)とテトラエチルアンモニウム(TEA)について解説します。TTXは一般にフグ毒として知られていますが、真正細菌によってつくられるアルカロイドです。習慣性がないので、鎮痛薬として医療用に用いられます。TEAは電位依存型カリウムチャネルのブロッカーです。本問ではこれらの神経毒についての知識は必要ではなく、グラフから何を阻害しているのかを推定することが求められています。TTXでは活動電位が発生していないことからNa+チャネルが、TEAでは過分極undershootが見られないことからK+チャネルがそれぞれ阻害されていることを推測できます。静止電位や活動電位がどのようにして発生しているのかをイオンの動きとともに復習しておいてください。

2011年10月14日

ELCAS2011 Report8

 数学を受講しているS.I.くんの2回目のレポートです。翌週すぐに提出してくれていたのですが、紹介が遅くなりました。明日はもう3回目の受講です。試験を3時間受けた後、少し遅れて京都に出かけます。

 数学の参考書の予習してきたところを前に出て発表しました。僕は素数が無限個あることを証明したユークリッドの証明を発表しました。
 証明 素数を有限個と仮定し、その集合を {P1, P2, ...Pr } とする。n=P1*P2*...*Pr+1とし、nについて考える。nは約数に素数Pがある。しかし、Pは { P1, P2, ... , Pr }の中には含まれない。なぜなら、nを集合 { P1, P2, .... , Pr } のどの数字で割っても1余るからである。よって集合 { P1, P2, ... , Pr } はすべての素数を含むことはできない。したがって、素数は無限個ある。 証明終わり
 証明自体はとてもシンプルだけど、これを思いつくのはなかなか難しいことだと思いました。他にも素数が無限個あることの証明が3つ発表されましたが、理解できたのは1つだけでした。前回に続き、またしても数学的帰納法が使われていました。数論でかなり有効な手なのかもしれない。一つの問題でも人によっていろいろな考え方で解いているのが面白いと感じました。でも、解くのならユークリッドの証明のような簡潔なものにしたいと思います。

2011年10月13日

ELCAS2011 Report7

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 生物を受講しているY.S.さんの2回目のレポートです。文中のフロンドとはウキクサの葉状体のことです。コケ植物のうち苔類では茎と葉の区別がないので、葉状体thallusという用語をつかいます。ウキクサは単子葉類なので、茎と葉の区別があるはずですが、葉のように見える部分は茎と融合しているために葉状体とよぶようです。

 ELCAS第2回目のオープンコアコースでは、沼田教授の「昆虫の生活史を決める光周性」についての講演を受けました。日長によって休眠の時期が決まったり、昆虫の種類によって休眠の時期が様々であったりすることなどを説明してくださいました。初めて知ることが多く、勉強になりました。
 各分野での体験学習コースでは「植物は繰り返す」ということを確かめるために、顕微鏡を見ながらウキクサの構造を観察しました。これはウキクサのフロンドを一枚ずつ分解し、どのフロンドが一番最初にできたものなのかを考えるものでした。花が咲いているウキクサも同様に観察しました。その結果、最初にできたと考えられるフロンドの右側に次の新しいフロンドができている場合は、最初のフロンドの左側にも次のフロンドができ、そこに花が咲くということがわかりました。最初のフロンドが一番下にあるはずなので、まずそれを見つけて一枚ずつ分解しながら、最初のフロンドの上にできているフロンドを探していきました。分解しながらフロンドができている向きを見極めるのは大変でしたが、植物がある規則を繰り返しながら成長していくことがよく分かった気がします。次のELCASも楽しみです。

2011年10月09日

選特化学 授業の補足25

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 木曜日はアセトアルデヒドの合成実験をおこないました。アルデヒドの還元性はフェーリング反応で確認してもらいました。A液には銅(Ⅱ)イオンCu2+が含まれているので青色の水溶液です。B液には水酸化ナトリウムが含まれているので、混ぜると水酸化銅(Ⅱ)Cu(OH)2の青白色沈殿が生じますが、酒石酸イオンによって銅のキレート錯イオンが生じ、深青色の溶液となります。これがアルデヒドなどの還元性物質によって酸化銅(Ⅰ)Cu2Oの赤褐色沈殿を生成するという原理です。したがって、アルデヒド以外の還元性物質でも反応します。金曜日の実験ではグルコースで確かめてもらいました。(写真右) なお、塩基性では蟻酸が電離して銅イオンとキレート錯体を形成するためにアルデヒド基を持っていても蟻酸では反応はみられません。

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 金曜日はヨードホルム反応をおこないました。ヨードホルム反応は1870年に A.Lieben により報告されたハロホルム反応の一種で、ヨードホルムCHI3の黄色沈殿が生じるのが特徴です。独特のにおいがするヨードホルムはIUPAC名をトリヨードメタンといい、水道水の環境汚染物質で話題になったトリハロメタンの一種です。トリハロメタンにはクロロホルムCHCl3というのもあります。CH3-CO-を確認する反応ですが、ヨウ素がアルコールを酸化するはたらきをもつため、エタノールや2-プロパノールでも反応はみられます。

2011年10月08日

ELCAS2011 Report6

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 宇宙を受講しているM.F.さんのレポートの2回目です。体験してきたのは電子顕微鏡のようですね。走査型電子顕微鏡Scanning Electron Microscope(SEM)は電子線を当てて反射してきた電子を検出器に集め、コンピュータ処理して二次元像にするものです。その像から化学組成が推定できるようですね。もう一つは透過型電子顕微鏡Transmission Electron Microscope(TEM)です。光学顕微鏡では可視光の波長によって分解能が100nm程度までになります。それより小さなものを観察するには波長の短い電子線を利用する必要があります。

 今回は岩石の化学組成などを分析する走査顕微鏡というものを体験させてもらいました。入ったらいきなり学校では見ないような大きな顕微鏡があり、驚きました。コンピュータの画面で組成分析したいところを決めて、そこに電子線を当てて調べます。その化学組成からいつできたか、できた状況などがわかります。また、電子線をすごいスピードで当て、通過させて形を見る顕微鏡もあり、見せてもらいました。見るものが小さく、試料をつくるだけでも時間がかかるので、小さなものを見る大変さを実感しました。でも小さなものからもわかることがたくさんあって、それがおもしろかったです。

2011年10月06日

ELCAS2011 Report5

 化学を受講しているM.I.さんのレポートの2回目です。DNAを人工的に合成したというのは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のプライマーに使用するオリゴヌクレオチドの合成のことだと思います。自動DNA合成機にはホスホロアミダイト法やホスファイト法などの化学合成法にペプチド合成で開発された固相法が採用されています。このようにして合成されるオリゴヌクレオチドとは20塩基対程度の短いヌクレオチドを指します。

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 私は今回、DNAを化学薬品によって人工的に合成しました。生物の体を作り上げる大元となるDNAを人工的に合成するというのは、私の中にまったくない考えだったので、実験内容を聞いたときとても驚きました。実験と言っても機械に薬品をセットし、40分ほど待つ、というだけのものでしたが、その工程の説明を受け、DNAが有機化合物であるということをやっと化学的に理解することができました。次回も今回の続きの実験を行うので、とても楽しみです。

2011年10月05日

2学期中間考査時間割(選抜特進コース)

台風に伴う休校措置のため、4日間で実施します。生徒には節目にある定期考査にしっかりと取り組んで、授業の理解度を確認するように指導しています。受験を強く意識する時期になりましたので、これまで以上に取り組むと期待しています。

12日(水) 化学/生物 世界史 家庭科(30分)
13日(木) 現代社会 英語W 数学Ⅱ 
14日(金) 数学B 現代文
15日(土) 物理・生物/現社演習 古典 英語Ⅱ

2011年10月04日

選特化学 授業の補足24

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 有機化学のうち脂肪族が終わったので、理解を深めるために実験をおこないます。今日はアルコールの溶解性やカルボン酸の性質を調べてもらいました。低級アルコールはヒドロキシ基を持つので極性溶媒である水になじみますが、アルキル基の割合が大きくなるとほとんど水には溶けなくなります。今日はメタノールからオクタノールまでのアルコールを使ってそのことを確認してもらいました。また、無極性溶媒であるヘキサンに対してはどうかを確認してもらいました。カルボン酸については、酸性であることや炭酸に対する強弱を確認する実験でしたが、蟻酸・酢酸・酪酸の臭いのほうが印象に残ったようです。

2011年10月03日

ノーベル賞発表の季節⑤

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 今年のノーベル医学・生理学賞は、米スクリプス研究所のBruce A. Beutler博士,仏ストラスブール大の Jules A. Hoffmann博士,米ロックフェラー大のRalph M. Steinman教授の3人が受賞したようです。京都大学の山中伸弥先生は今年も選から漏れたようです。
 Steinman教授は異物をのみ込むように自らの内部に取り込み、枝のような突起を持つ「樹状細胞dendritic cell」を73年に発見しました。樹状細胞は分解した物質を白血球などの免疫物質に「抗原」として提示し、白血球が効率的に攻撃できるようにしています。2010年にトムソン・ロイターがノーベル賞候補として取り上げていました。
 Hoffmann博士は96年にTollという遺伝子が感染症予防に重要な役割を果たしていることを、ショウジョウバエを使って発見しました。Beutler博士は、細菌を認識して免疫機構を作動させるTollに似たたんぱく質「Toll様受容体」をマウスの体内で発見したことが評価されました。この2人の業績は2008年にトムソン・ロイターがノーベル賞候補として予測していました。そのときに一緒に名前が挙がっていたのが大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長の審良静男先生です。ノーベル賞の同時受賞は3名までのようなので、こちらも残念な結果になったようです。

ノーベル賞発表の季節④

 今日は医学・生理学賞の発表です。トムソン・ロイター社の予想では次の3つのトピックから選ばれるというものでした。
① 「慢性骨髄性白血病(CML)に対する革新的な分子標的治療薬であるイマチニブダサチニブの開発」
② 「ティッシュエンジニアリング/再生医療分野における先駆的研究」
③ 「哺乳類における胸腺機能の発見およびT細胞とB細胞の同定 および 2つのタイプのTリンパ球、TH1およびTH2の発見と宿主免疫応答制御における役割」
昨年は「幹細胞の発見、および人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発」を手がけた山中伸弥先生の名前が上がっていたほか、「食欲と代謝の調節ホルモン、レプチンの発見」「免疫応答の主要な調節因子である樹状細胞の発見」などがトピックとして示されていました。トピックが重複していないことも驚きですが、共通して再生医療や免疫のしくみに関わるものが目に付きます。

2011年09月30日

ELCAS2011 Report4

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 数学を受講しているS.I.くんのレポートです。普段、高校で受けている数学の授業とはずいぶん異なる時間を過ごしたようです。大変だったけれど、本気で数学に取り組めたのは良い体験だったと話してくれました。

 黒板に問題を書いて、全員でその問題を解き、わかった者は前で発表する形式の授業を4時間続けました。
 △ABCの重心をGとする。AB+AC=√3(GB+GC)のときBC=√3GAを示せ
のような問題が6問出されました。出された問題は一筋縄ではいかず、学校の問題集より難しかったと思います。数学の参考書?みたいな本を渡されましたが、すべて英語で書かれていました。英語も必要なんだと改めて実感しました。初めてのELCASは一つの問題を長時間考えたので疲れました。けれど難しそうだと思った問題の解法が発表されたとき、自分が考えていたのとは違う、別の角度から見て問題を解いていました。最初に解けたのが自分じゃなかったことは悔しかったけど、いろいろな角度から問題を解いてみれば、難しそうな問題も簡単に解けることが分かって、とてもよかったです。そのときの問題は次のようなものです。
 N>=1とする。(2N-1)個の勝手な整数をとると、和がNで割り切れるようなN個の整数が必ず含まれる。
発表されたのはN=3とN=2^m(註:2のm乗)のときだけでした。この2^mの証明には感動しました。まさか、数学的帰納法を使って証明するとは思わなかったからです。こんな証明ができるように努力していきたいです。

2011年09月29日

ELCAS2011 Report3

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 地球・宇宙を受講しているM.F.さんのレポートです。彼女は高校1年生ですが、こちらでまとめてレポートをアップしていきます。衛星写真の上に載せてクレーターを写し取ったOHPシートを見せてもらいましたが、これが月の地層の年代と結びつくというのは意外でした。

 ELCAS主催の体験型学習講座に行ってきました。初めてだったのでどんなことをするのか、とても興味があってわくわくしました。私がとっているのは地球・宇宙の分野なのですが、第1回は月の衛星写真を見て、クレーターの数から月の地層の年代をコンピュータを使って調べるというものでした。こんな風にして調べるのか!ととても驚いたし、面白かったです。また、2回目が楽しみです。

2011年09月26日

ELCAS2011 Report2

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 化学を受講しているM.I.さんのレポートです。トリメトキシボラン(ホウ酸トリメチル)の合成は高校では出てきそうにもないですが、ホウ酸+メタノール×3ということに気づくと、授業で扱っているエステル反応の応用だと理解できそうです。緑の炎をあげて燃えるので、特殊効果で使われます。有機ホウ素化合物は鈴木・宮浦クロスカップリングで用いられます。

 私は今回、4時間ずっと実験を行っていました。有機化学の実験で、トリメトキシボランという物質を作ったのですが、あまり時間がなくその物質を何に利用するかなどといった詳しい説明を受けることはできませんでした。しかし今回の実験は高校ではできないような大がかりなもので、色が変わるなど、目に見て楽しく、あっという間に4時間が経ちました。今ちょうど授業で有機化学をやっていることもあり、知っている薬品などが出てきて、授業でやっている内容がやっと現実味を帯びたような気がしました。参加できて本当によかったと思います。次回の講座もとても楽しみです。

2011年09月23日

ELCAS2011 Report1

 台風の影響で3日に予定されていた1回目の講座が17日に延期されていました。4名の参加者の専攻はそれぞれ異なります。今回は生物学を専攻したY.S.さんのレポートです。

 ELCAS第1回目はインダクション・セレモニーの後、各分野に分かれて体験コースが行われ、私は遺伝学を専門とする鹿内教授の「植物の重力屈性について」の講義を受けました。
 植物の重力屈性には、植物ホルモンの一種であるオーキシンが関係していて、オーキシンの不均等な分配によって、重力屈性が引き起こされます。また、最近の研究で、根と茎における重力感知の仕組みが異なっていることがわかってきたそうです。根では、根端にあるコルメラ細胞で感知しますが、茎では内皮細胞で感知します。これらの細胞の中にあるアミロプラストという平衡石の役割をもつ細胞小器官が重力方向の変化に対応して細胞内を転がることが、重力方向の感知に関わると考えられています。実際に、重力屈性の仕組みを確認するために、シロイヌナズナを横に倒し10分おきに写真を撮る実験もしました。撮影を10回ほど続け、その画像をつなげると徐々に茎が上を向いているのがよく分かりました。自分の目で確認することができて良い経験になりました。今後のELCASも楽しみです。

 この内容を理解するのに参考となる重力屈性の説明が大阪市立大学理学部にありましたので、リンクを貼っておきます。担当されている保尊隆享教授の名前に懐かしさを感じました。大学で植物生理学を教えていただいた方でした。
 植物細胞の環境応答

2011年09月17日

選特生物 授業の補足23

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 神経系を扱い始めたので、ニワトリGallus gallusを材料に脳の観察をおこないました。始める前にホルマリン標本などを見せて、解剖をおこなう意味について話をしましたので、生徒それぞれが生命について考える機会にもなったようです。水煮になっている鶏頭をぬるま湯で洗い、アルコールで脂を除いたものを材料にしました。生々しさはありませんが、姿はそのままなので、心理的な抵抗がある生徒もいたようですが、全員が脳を取り出し、観察・スケッチまでおこなうことができました。終了後に手を合わせている生徒が印象的でした。

 鳥類は哺乳類と同じように脳が発達した動物です。脳重量を体重比で比較すると、魚類・両生類・爬虫類は低いのに対し、鳥類や哺乳類は高いことが知られています。ただ、鳥類は爬虫類の脳構造を維持しながら脳を大きく発達させたのに対し、哺乳類は大脳新皮質が発達しました。(分子マーカーを使った研究で鳥類には大脳皮質がないというのは誤りであるといわれています。)特にヒトを含めた霊長目では脳溝Sulcusとよばれる大小の溝とそれに挟まれた脳回Gyrusの区別がある有回脳を持ちます。

2011年09月15日

選特化学 授業の補足24

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 エステルを扱いました。オキソ酸とヒドロキシ基を含む化合物が縮合したものですが、今日の授業ではカルボン酸とアルコールからなるカルボン酸エステルを説明しました。エステルが生成するエステル化esterificationで注意することは、カルボキシル基の-COOHからOHが、ヒドロキシ基の-OHからHが取れて縮合するということでしたね。エステル結合中の-O-の由来に気をつけて下さい。

 また、エステル化では触媒として濃硫酸を使用します。授業中に説明したように脱水反応をおこなうために使用するのですが、もう一つ役割があります。何人かは気づいていましたが、この反応は可逆反応です。そのため、生成したエステルが多くなると加水分解して元に戻ってしまうのです。それを防ぐために吸湿性のある濃硫酸を加えて、生じた水を吸収させているのです。このあたりは平衡を学習すると、もう少し分かりやすいかもしれません。

 終礼のときに教室へ持って来ていたのは酢酸イソアミル(冒頭の分子モデル)でした。薄ければバナナ臭ですが、マニキュアの除光液のような臭いと思ったかもしれませんね。低分子のカルボン酸エステルは果実の香りの成分なので、数種類をブレンドして香料として用います。有機実験の一つとしておこなってもらう予定にしています。

2011年09月14日

大阪大学高大連携講座 Report⑲

 大阪大学高大連携講座は先日終了しました。8月末の夏期集中講座「知能とコンピュータ」を受講したM.I.さんのレポートです。今後は関西大学ネックレス講座や京都大学理学部ELCAS,関西学院大学高大連携講座が始まります。

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 私は今回「知能とコンピュータ」という、人工知能についての講座に参加してきました。阪大生20人弱の中、高校生は私一人で最初はとても緊張しましたが、授業や実習を通して馴染むことができたと思います。
 初日はオントロジー工学について学びました。オントロジーとは哲学用語で存在論という意味であり、人工知能分野などでは、概念の分類などと定義されます。オントロジー工学を利用することで適切な情報提供を行うことができ、最終的にロボットとの会話が可能になるということでした。現在は運転者が初心者であるかどうかや金額・時間・安全等のうちどれを重要とするかなどの情報から、音楽を流すかどうかやバーゲンなどの情報を提供するかどうかを判断するカーナビの実用化に向け研究をしているそうです。
 二日目はデータマイニングについて学んだのですが、授業内容が難しく、ほぼ理解できませんでした。かろうじて理解できたのは、データマイニングとは膨大なデータから新たな知識を取り出す技術のことであるらしいということでした。実際に、医療現場で医師の知らなかったある薬が糖尿病に効くらしいということが分かったそうです。しかしこれがどう繋がるのかは分かりませんでした。
 三日目は三つの講義を聞いたのですが、その三つの繋がりや、詳しい内容はあまり理解できませんでした。まず一つ目は脳波の検出による人に共感するコンピュータの開発についてでした。人に共感するコンピュータの開発には、オントロジー工学やデータマイニングが利用されるそうです。脳波から感情などを読み取り、音楽や照明を自動で調節できるようにするのが目的のようでした。二つ目は情報提供におけるタイミングの重要性についてでしたが、これについてはほぼ理解することができませんでした。三つ目は人間であればシナプスによって情報が伝わることで感情などが創発されるように、知能を作るのはネットワークであるということでした。人工知能においても脳波を読み取ることでやさしく話しかけたり、ネットワークによって記憶したりできるようになるのではと思いました。
 最終日は人工知能につける「眼」についてでした。凸面鏡を利用することでタイムラグなく360度観測することができ、複数利用すると距離も計測できるようになります。凹面鏡や平面鏡を利用するとまた違った効果があります。また、指紋認証や静脈認証などのバイオメトリクス(生体認証)という身体的・行動的特徴から人物を特定するという技術についても学びました。歩容認証システムという歩き方から人物を特定する技術は、裁判資料には使われなかったものの実際の犯罪で犯人特定に利用されたそうです。まだまだデータが足りないということで、今回参加した生徒全員の歩き方もデータに組み込んでいただきました。バイオメトリクスにはデータ不足や誤認証などの問題点が多くあるものの、その一つ一つを着実に解決しているところだそうです。
 今回この講座に参加して最も強く思ったのは、英語に強くならなくてはいけないということでした。日頃から英語ができなくてはいけないとは思っていましたが、今回英語の講義を受けたり、大学院生の話を聞いたりして、身に沁みて思いました。また、高校の知識が基礎になっているということもよく分かりました。この思いを忘れないうちにより一層勉学に励みたいと思います。四日間学校の授業は受けられませんでしたが、学校の授業以上に充実した四日間になり、参加して本当によかったと思います。

2011年09月10日

選特生物 授業の補足22

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 神経の伝導や伝達を扱い始めました。研究の歴史については、新潮新書「イカの神経ヒトの脳みそ」(後藤秀機著)に詳しいので、それを参考にしてください。図書室にも置いてあると思います。

 さて、神経毒について触れました。神経細胞の興奮は細胞膜に存在する膜タンパク質によってイオン分布が変化することによって起こります。膜タンパク質であるイオンチャネルに作用する物質は神経毒として作用し、麻痺 paralysisを引き起こします。例えば、フグ毒の成分であるテトロドトキシンTTXはナトリウムチャネルを抑制します。
 また、神経細胞間は神経伝達物質によって興奮の伝導がおこります。神経伝達物質としてアセチルコリンAChを挙げました。クラーレ(ツボクラリン)は神経末端の筋接合部でアセチルコリンと拮抗するため、骨格筋を麻痺させます。放出されたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼによって速やかに分解されますが、サリンのような神経ガスは酵素の阻害剤としてはたらくため、アセチルコリンが除かれず、神経伝達を阻害します。

2011年09月09日

大阪大学高大連携講座 Report⑰

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 夏期集中講座を受講した生徒の報告もあと4人となりました。前回と同じ「分子と生命」を受講したK.N.さんのレポートです。GFPは下村脩先生が単離・精製に成功してノーベル化学賞受賞に結びついた緑色蛍光タンパク質Green Fluorescent Protein,RFPは赤色蛍光タンパク質のことです。マーカーとして用いられるこれらの蛍光タンパク質は目的によって使い分けられています。

 私は、阪大の産業科学研究所で行われた「分子と生命」という講座を受けました。このセミナーでは、4日間にわたって、大学生と共に実験をすることができました。私が行った実験は、GFPが組み込まれたプラスミドDNAを大腸菌で培養し、チャイニーズハムスターの細胞にDNAを導入することで、蛋白質の発現を確認するものでした。また、制限酵素でプラスミドを切り、電気泳動も行いました。プラスミドDNAをたくさん増やす方法としては、PCR法という方法もありますが、やはり機械で操作を行うため、間違った遺伝情報が含まれることもあります。その反面、生き物である大腸菌で増やすと、間違った情報は正しく修正され、正しいDNAが手に入るそうです。DNAを導入し、ミトコンドリアや小胞体はGFPが、細胞質や細胞膜はRFPが光ることで、それらの違いを確認しました。しかし、どの細胞小器官が光っているのかを判断するのは、難しかったです。今回このセミナーを受けて、実際に自分の手で実験することの大切さを学びました。このような貴重なことを学ぶことができて、良かったと思います。

2011年09月07日

北海道物産展 盛況でした

 ほとんどの生徒が販売経験がない上に、雨で1日減ってしまって、始まるまではうまくいくのかなとずいぶん緊張していました。特にエゾ鹿肉や熊肉の加工品については、その良さを伝えることができるのかどうか心配だったようです。開始直前は非常に落ち着かないようすでした。
 誰も来なかったら、商品が売れ残ったらどうしよう…と不安だったようですが、10時前に開始する頃にはたくさんの方に集まっていただきました。生徒の説明を熱心に聴いていただけたことが励みにもなったようです。農家の方によい品物を用意していただけたこともあり、2時間程度でほとんどの商品が完売しました。その間にも、PTA役員の方が気を遣って様子を見に来てくださったり、保護者の方が声を掛けてくださったことなどもあって、生徒は大変喜んでいました。最終的にはすべての商品を事故なく売り切ることができました。足を運んでいただいた方々には大変感謝しております。

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 せっかく足を運んで頂いたのに、商品が手に入らなかった方には申し訳なく思っています。ご容赦ください。なお、産地直送の申込みは9日(金)まで学校で受け付けております。申込用紙は高2F担任のところにあります。申込み書を預けていただければ、北海道までまとめて送らせていただきます。(個別にFAXしていただいても問題はありません。)
 北海道でも台風12号の被害が出ているようです。農家の方々に及んでいないことをお祈りしています。

2011年09月03日

選特化学 授業の補足23

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 先日はアルケンの反応を扱いました。大きく分けると、酸化・付加・付加重合の3つになります。アルカン(ナフサ)のクラッキングによって得られるエチレンやプロピレンからは付加重合でさまざまな化成品(合成繊維やプラスチック)が得られることを押さえておきましょう。

 エチレンやプロピレンを付加重合してポリエチレンPEやポリプロピレンPPを生成するときに用いられる触媒が、チーグラー・ナッタ触媒です。1953年にドイツのカール・チーグラー Karl Zieglerは四塩化チタンを用いてエチレンの常圧重合に成功しました。これを参考にして、イタリアのジュリオ・ナッタ Giulio Nattaは三塩化チタンを用いてプロピレンの重合に成功しました。二人はこの業績によって1963年にノーベル化学賞を受賞しました。チーグラー触媒を用いて得られるポリエチレンは分岐がほとんど生じず直鎖状に結合する高密度ポリエチレンPE-HDで、高圧法で得られる低密度ポリエチレンPE-LDとは性質が異なるため、用途も異なります。

 エチレンから水素を1つ取り去ったビニル基を持つ化合物は重合して高分子化合物となるモノマーとなります。例えば、塩化ビニル(クロロエチレン)は、エチレンに塩素を付加して得られる1,2-ジクロロエタンを500℃、15-30気圧に加熱圧縮して分解すると得られます。これが付加重合すると、ポリ塩化ビニルPVCになります。ポリ塩化ビニルは水道管や消しゴムなどに用いられています。

2011年08月28日

大阪大学高大連携講座 Report⑮

 学校の外へ学びに出てみようという動きは学年全体に拡がってきたようです。前回のレポートは特進コースの生徒が書いてくれました。彼女のように自ら学ぶ姿勢が持てることが大事なんじゃないでしょうか。さて、夏期集中講座「分子と生命」を受講したR.H.くんの感想です。
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 私が今回参加した講座には阪大の大学生7人と高校生6人が参加しました。阪大生の人たちは歯学部や薬学部、外国語学部などの理系と文系を問わず、様々な学部から講座に参加していました。講座は8月22日から25日の4日間で行われ、初日はDNAや遺伝子に関する基礎知識と遺伝子操作の基礎的実験手法の説明を受けました。そのあとに、班を二つに分けてそれぞれ別々の実習を開始しました。私の班では培養細胞に遺伝子導入を行い、GFP(緑色蛍光たんぱく質)を発現させるという実験を行いました。その実験では、まず初日にプラスミドDNAを持った大腸菌を植菌しました。二日目に大腸菌からプラスミドを単離精製した後、培養細胞を経代してから電気泳動用のアガロースゲルを作成し、プラスミドに制限酵素処理を行いました。三日目にプラスミドに電気泳動を行い、プラスミドチェックをし、培養細胞にプラスミドDNAの遺伝子を導入しました。最終日には遺伝子導入を行った培養細胞を観察して、実験を終えました。結果は上の写真のように培養細胞がGFPを発現し、緑色に光っていました。実験はほぼ予定の結果に終わりました。
 今回の講座に参加して実験を行わせてもらうことで、実験器具の使い方を学んだり、大学の研究室にしか置いてないような特殊な実験装置を使わせてもらったりと、大学の研究室に実際に入らないと出来ないことをたくさんやらせてもらえました。さらに、様々な学部からきている大学生の色々な話を聞かせたもらえたりしました。特に自分が目指す学部の大学生から学科の違い、就職先や授業についてなど、その学部の大学生の生の声を聞けました。今回、公欠して講義を受けに行きましたが学校に行って授業を受けた以上に多くのことを学べたと思います。

2011年08月27日

選特化学 授業の補足22

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 夏休み明け最初の授業は理論化学の確認テストから始めました。問題集を一度解き直した程度では、復習にならないと分かったでしょうか。提出してもらったノートも見ましたが、半分くらいの生徒は量的に不充分でした。夏休みの間にわずか数ページで復習になるなんてありえないでしょう。

 さて、一回目の授業では、鎖式飽和炭化水素(アルカン)を扱いました。石油がさまざまなアルカンの混合物であることや、それを分留によって分けることは理解できたと思います。石油はエネルギー資源であると同時に石油化学工業の主な原料でもあります。(石油化学工業については石油化学工業会JPCAのサイトを参照してください。)そのため、石油の枯渇問題はエネルギー源がなくなる話だけではないということに気づいていますか。60数年前、第二次世界大戦中の日本でも同じ問題が起こっていました。そこで石炭の主成分である炭素をバラバラにして、ブロックのように組み換え、長い炭化水素(石油)に変える研究が行われていました。これをフィッシャー・トロプシュ合成と言います。当時は灯油や軽油までしか出来ず、重要な戦略物質であるナフサがつくられなかったようですが、現在は触媒の開発によって生成物をコントロールできるようになっています。ただ、採掘するよりもコストがかかるために、まだ本格的な実用化はされていませんが、研究は進められているようなので、いずれは現実のものとなるでしょう。

2011年08月25日

ELCAS第4期 最終選考に全員合格

 一次選考で5名合格していたので期待していましたところ、昨日京都大学理学部から結果が届きました。1名は日程が合わず辞退したので、二次選考に進んだのは4名で、全員が最終選考に合格しました(1名は高1選特の生徒)。昨年は化学に1名でしたので、学年が上がって力がついたのかなと喜んでいます。分野も、数学・生物・化学・宇宙にそれぞれ1名ずつに分かれたので、さまざまな体験をしてくると同時に周囲へもさまざまな情報をもたらしてくれることと期待しています。
 最初の講座は9月3日(土)ですので、合唱コンクール終了と同時に京都へ向かうことになります。この日は公開オープンコア講座を併催していますので、一般参加も可能なようです。

2011年08月22日

大阪大学高大連携講座 Report⑬

 先日アップしたS.I.さんと同じ講座を受講したY.S.さんからもレポートが届きました。彼女は京都大学理学部のELCASにも応募し、昨日二次選考を受験しに行ったばかりです。新しい知識をたくさん得られたことと思います。将来の夢につながるといいですね。

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 私は、大阪大学工学研究科の「タンパク質の構造化学入門」という夏期集中講座を
3日間受けてきました。午前中には、タンパク質の構造やX線結晶構造解析についての講義を受けました。高校生の私にとっては難しくて大変でしたが、生物の授業で生化学を習っていたので、理解できる部分もありました。けれでも、X線構造解析についてはあまり理解することができませんでした。X線構造解析は虫めがねと同じ原理で、可視光では解析できないような物体にX線を当てて、レンズの代わりに計算で集光(フーリエ変換)し結晶を拡大するというもので、物質の立体構造を高い精度で決定できる、最も有力な方法だそうです。こんな技術があるとは知らなかったので、とても驚きました。
 午後には、実際に、μℓ単位で量れるマイクロピペットやマイクロプレートなど、普段使うことができないような実験器具を用いて タンパク質の結晶を作り、顕微鏡で観察しました。実験の手順が複雑だったため、結晶ができているか不安でしたが、とても大きな六角形の結晶や茶色の沈殿ができているものもいくつか確認できました。タンパク質の結晶を作れることも初めて知ったうえに、それを観察することができて感動しました。最終日には、コンピュータで構造の精密化をしました。
 今回、阪大生の先輩と一緒に教授の講義を受けたり、本格的な実験をしたりすることができて、とても貴重な経験ができました。参加してみて本当に良かったです。また機会があれば参加してみたいです。

2011年08月19日

選特化学 授業の補足21

 夏の課題は最初の授業で提出することになっています。課題は理論と無機の復習でした。また、勉強合宿までに有機化合物の特定方法について、少しだけ学習しました。これらをどこまで理解できたかについては授業中に小テストを複数回実施することで確認します。

 大学の公開講座や化学グランプリを体験したことで、自分たちが現在学んでいることが大学で学ぶことの基礎になることは再認識できたはずです。また、まだまだ学ばねばならないということにも気づかされたことでしょう。ようやく化学の全体像が見え始めたあたりで、詳しいことはまだまだこれからなのです。

 歴史的な背景についてはJSTバーチャル科学館の「3D科学史年表」が参考になるでしょう。化学だけではなく、物理や生物,地学も含めて、わかりやすく説明してくれます。特にパラダイムシフトに焦点を当てた「パラダイムモード」はお勧めです。(化学については「エピソードモード」で原子論や量子論を扱っているだけですが…)

2011年08月18日

大阪大学高大連携講座 Report⑫

 夏期集中講座 「タンパク質と構造化学入門」を受講したS.I.さんのレポートが届きました。X線回折を利用してタンパク質の結晶構造を調べたようですが、この理論は今年の高校化学グランプリにも出題されていましたね。内容に興味がある人は担当に声をかけてください。

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 講義では蛋白質のX線解析の理論、蛋白質構造の原理などを教わりました。蛋白質構造は去年の生物で習っていたのでまだついていけましたが、X線解析のところは、物理で同じようなものをしたとはわかりましたがうすぼんやりとしか理解できませんでした。虫眼鏡と同じ理屈だけれども蛋白質は可視光では手に負えず、X線を使うからレンズが使えず、いろいろな計算をして拡大図を手に入れるそうです。よくわからなかったけれど、面白かったです。
 実験では蛋白質結晶を作り、その観察をしました。㎕という単位も、マイクロプレートなどのいろいろな器具も、学校で扱ったことがないのでとても楽しかったです。結晶がうまくできるか心配だったけれど、大きな結晶もいくつかできていました。蛋白質の結晶なんて今まで考えたこともなかったけれど、じっくり観察すると六角形や針状になっていて、とても綺麗だと感じました。
 今回3日間だけでしたが、普段学校ではしないこともできて、とても楽しかったです。また機会があれば、こんなプログラムに参加してみたいです。

 夏期集中講座を受講する人はあと8名います。受講後は報告をお願いします。

2011年08月11日

メンデレーエフの奇妙な棚

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 1学期に無機化合物の性質を扱いました。元素それぞれの性質を理解するのに、メンデレーエフの周期表が欠かせないことは理解できたと思います。とはいえ、なかなか頭には入りにくいもの。サイエンスチャンネルで2004年から2008年までに放送されていた「elements~メンデレーエフの奇妙な棚~」はどうでしょうか。15分弱の番組で、実験映像やアニメーションを使って解説しています。全32回ですからすべて視聴すると8時間になってしまいますが、そのいくつかだけでも見てはどうでしょうか。(前半26回は周期表や元素を取り上げていますが、最後の7回はキャストを変えて化合物を取り上げています。)

2011年08月10日

ELCAS一次選抜の結果

 先日受講した京都大学理学部「最先端科学の体験型学習講座 ELCAS」の結果が届き始めているようです。二次選抜は8月21日(日)です。受講者は合否に関わらず、担当に直接連絡をお願いします。
 現在のところ、5名の合格を確認しています。(昨年度は2名)

2011年08月06日

選特生物 授業の補足21

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 文系に出している課題についてです。テーマが重いこともありますが、立場の違いによってさまざまな意見があり、どれが正解とは言えません。患者,患者の家族,医療者のそれぞれが自らの経験を元に正しいと信じていることを主張しているのですから、それを踏まえて自分の意見をまとめて欲しいと思います。新書を5冊以上読むように指示していますが、どこまで進んでいますか。iPS細胞から精子を作り、体外受精させることがマウスとはいえ現実に可能になっている以上、文系だから知らないではすまされないと考えています。

臓器移植
 脳死と臓器移植法
  中島みち 文春新書140
 私の臓器はだれのものですか
  生駒孝彰 生活人新書033
 腎臓放浪記 臓器移植者からみた「いのち」のかたち
  澤井繁男 平凡社新書300
 臓器移植をどう考えるか 移植医が語る本音と現状
  秋山暢夫 講談社ブルーバックスB-900
 脳死・臓器移植の本当の話
  小松美彦 PHP新書299
 先端医療のルール 人体利用はどこまで許されるのか
  橳島次郎 講談社現代新書1581
 生体肝移植 京大チームの挑戦
  後藤正治 岩波新書新赤版804
 臓器は「商品」か 移植される心
  出口顯 講談社現代新書1549

生殖医療
 生殖医療のすべて
  堤治 丸善ライブラリー285
 不妊治療は日本人を幸せにするか
  小西宏 講談社現代新書1602
 代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳
  大野和基 集英社新書0492B
 生殖革命
  石原理 ちくま新書170
 生殖革命と人権 産むことに自由はあるのか
  金城清子 中公新書1288
 生命観を問いなおす エコロジーから脳死まで
  森岡正博 ちくま新書012
 生殖医療と家族のかたち
  石原理 平凡社新書531
 遺伝子医療への警鐘
  柳澤桂子 岩波現代文庫学術83

終末医療
 「尊厳死」に尊厳はあるか ある呼吸器外し事件から
  中島みち 岩波新書新赤版1092
 患者革命 納得の医療納得の死
  中島みち 岩波アクティブ新書6
 リビング・ウィルと尊厳死
  福本博文 集英社新書0131B
 終末期医療はいま 豊かな社会の生と死
  額田勲 ちくま新書031
 安楽死と尊厳死 医療の中の生と死
  保阪正康 講談社現代新書1141
 安楽死のできる国
  三井美奈 新潮新書025
 脳死・クローン・遺伝子治療 バイオエシックスの練習問題
  加藤尚武 PHP新書086
 死にゆく人のための医療
  森岡恭彦 生活人新書090

2011年08月04日

京都大学を肌で感じよう 再び⑥

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 最終回(のつもり)です。感想を出したのに掲載されてないのなら、連絡して下さい(笑)。今回参加した14人のそれぞれがいろいろなことを感じ、吸収したと思います。同時に、自身の課題も見えたのではないでしょうか。大学に入るまでに少しでもその課題を克服してくれれば…大変だけどね。頑張れ!
 ELCASの一次選考の結果は8月中旬だそうですが、さてさてこちらはどうかなぁ。


 講座1つが30分といえども、ハイスピードで話が進められたので、普段の50分授業よりも内容は濃かったと思います。理系の教科ばかりで5つもの講座があったため、1つは「楽しい」とも思える話がありました。濃い分大変ですが、濃い分興味深いと思わせられます。(何が大変かと言うと、パワーポイント及び黒板の文字が消える速さが結構速いので、メモ書き、レジュメの記入が思い通りにいかないのです。)
 また、「今、自分は授業ではなく大学での話を聞いている。」と思えるような話し方、進め方、内容でしたので、あの場にいただけで何か得をしたような気になりました。
 高校二年の間は、イニシアチブに生きて損はないんだと思いました。Y.T.

 1教科たった30分という短い時間だったけど、内容がとても濃くて、専門的なことも多かったので、理解が追いつかず、レジュメや感想を書きながらというのは大変でした。でも、大学の講義というのはどういうものかを身をもって体験できたし、とてもいい勉強になったと思います。今までそれほど興味を持っていなかった教科でも、この講演を聞いておもしろそうと感じたことに自分でも驚いたし、大学の先生はすごいと思いました。
 講演後にたくさんの高校生が質問しているのを見て、勉強は受け身の姿勢だけではなく、積極性をもって取り組むべきことであると実感しました。いろいろな発見や得たものがあった、とても充実した一日で、新たな自分の課題が見つかったと思うので、頑張っていきたいと思います。A.F.

2011年08月03日

選特生物 授業の補足20

 京大理学部の講座でも出てきた光合成反応についての補足です。光合成には太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する明反応light reactionと、二酸化炭素から糖を合成するカルビン回路Calvin cycleがあります。明反応のしくみがわかりにくかったようなので、補足しておきます。

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 葉緑体には複数の色素が含まれていますが、光合成の中心となるのがクロロフィルaです。クロロフィルbやカロテノイドは補助色素ともよばれ、利用できる光の波長域を拡げています。これらの色素はすべてチラコイドthylakoid膜に組み込まれ、光捕集系とよばれる複合体に組織化されています。ある色素分子が光量子photonを吸収すると、その色素の電子の1つがエネルギーを得ます。このことを電子が励起したといいます。通常、励起した電子はすぐに余分なエネルギーを熱エネルギーの形で失い、基底状態に戻ります。
 チラコイド膜では、クロロフィルが他の分子とともに組織化されて光化学系photosystemを構成しています。光化学系にはクロロフィルaやクロロフィルb,カロテノイドからなる数百の色素分子の集団が存在します。この色素分子の集団は光を集めるアンテナとして機能し、光量子が色素分子に吸収されると、エネルギーは反応中心reaction centerに到達するまで分子から分子へと移動していきます。反応中心はクロロフィルaとそれに隣接する一次電子受容体とよばれる分子からなります。一次電子受容体は反応中心のクロロフィルaから捕捉したエネルギーを使って、ATPとNADPHをつくります。水を分解する光化学系ⅡやNADPHを生成する光化学系Ⅰ,水素イオンの濃度勾配によってATPを生成する光リン酸化については、授業中に説明しましたね。

 詳しい説明を読みたい人は担当まで声を掛けてください。「エッセンシャルキャンベル生物学第4版」を参考にしているので購入しても構いませんが、高校生が参考書にするにはちょっと高いね。

2011年08月02日

京都大学を肌で感じよう 再び⑤

 受け取り方は人それぞれです。進路を考えるときに、方向性を決めるのは大切なことです。このような講座に参加すると、意外なところに自分の興味や関心の対象が見つかることがあります。アンテナを大きく張っておかないと、それは見過ごしてしまいますね。


 今回私はほぼ物理の講義を受けるためだけに参加したようなものでした。そのため物理以外はあまり楽しみにしていませんでした。しかし今回の物理のテーマは「ニュートリノ」で、私が期待していたのは工学系の話でしたので、正直あまり面白いとは感じませんでした。私が面白いと思ったのは化学の「光合成と電子移動」というテーマの講義と、生物の「脳の働きと神経細胞」というテーマの講義でした。
 神経細胞の話は、以前参加したサイエンスキャンプで詳しく勉強したのですが、その後興味が工学系へと移っていったためほぼ完全に忘れていました。そのため、今回講義を聞いたとき、その面白さを思い出してとても興味をひかれ、話にのめり込みました。電子移動の話は、テーマを聞いても何の話か全く分からず、最初の方も正直何を言っているかわかりませんでした。しかし、話を聞いているうちにだんだんと理解することができ、とても面白いと感じました。
 今回参加したことで、自分の視野がとても広がったように感じました。今後も今回の感動を忘れず、様々なことに興味を持って勉強していきたいです。M.I.

 今日の講演会ではとてもいい刺激を受けました。まず、一つ目に、僕は京大の教授の本格的な授業を受けたことがなかったので、今日の授業はとても新鮮でした。内容は難しかったけれど、特に化学の内容に興味を持ちました。植物の光合成について、電子の動きを使ってとても詳細に説明できることに驚いたし、高校での化学と数学がこのように応用できることが嬉しかったです。また、教授の方々はとても個性が強く、そして全員がとても楽しそうに授業をしている印象を受けました。どの先生にも、何かすごいことを発見してやろうという意志が感じられました。二つ目に、参加していたほかの生徒も印象的でした。いつまでも質問が絶えることがなく、分からないことがあれば、何でも聞くいう姿勢を感じました。このように生徒が受動的ではなく授業に参加することでより熱い授業になるのだと思います。ぼくも気になることはいくつかあったのですが、手を挙げる勇気がなく、悔しかったです。もっともっと積極的でなければ、たとえ京大に入ったとしても埋もれていってしまうと思いました。
 最後に物理学の教授が紹介していた「科学の芽は不思議だと思うこと」という言葉が心に残りました。この言葉を忘れずにやりたいことを見つけて、勉強をがんばっていきたいと思います。N.T.

 今回初めてELCASの講座を受けて、大学での講義の様子や最先端科学の内容がどのようなものであるかが、ほんの少しだけではあるがわかった。どの講義も中学や高校で聞いた言葉や単語が出てきたため、中学や高校で習った内容をさらに深く掘り下げたもの、もしくは発展させたものでもあり、基礎として中学や高校で学んだことが重要であると感じた。
 化学の講義内容はクロロフィルや光合成についてであった。これらは中学や高校の授業で一度は学んでいたが、そのときのものよりももっと複雑なものであり、自分が学んでいたことは最先端科学と比べれば、ほんの入口に過ぎないということを実感した。数学の講義内容は自然数の分割数やヤング図形についてであった。数列などの考え方もでてきたが、ヤング図形の加群と準同型など、知らない内容も多く出てきたため、もっと時間をかけて考え直したい内容が多かった。宇宙地球の講義内容は月の地学についてであった。月の成り立ちや地形,地殻について学び、自分の習った地球の成り立ちとは似たようなところもあれば、違うところもあると感じた。中でも、月では火山活動が終わってしまっているのが大きな違いであった。月の成り立ちにも様々な考え方があることも知った。物理の講義内容は素粒子やニュートリノについてであった。ニュートリノという単語は聞いたことはあったものの、どういうものかを良くは知らなかったため、講義を聞いてどのようなもので、どのように使われるかが少し分かった。同時に最先端科学でも分からないことがあるということも知った。生物の講義内容は脳や神経系についてであった。神経が外界からの刺激をどのように脳に伝えるかを詳しく学んでいなかったため、そのシステムが少し分かった。
 いくつかの講義ではノーベル賞を受賞した研究についての話もされ、そのような研究が時代の先端を行くものなのだと改めて実感した。おそらく一次試験は合格してはいないだろうが、大学での講義や最先端科学について知る良い機会であった。H.M.

2011年07月31日

京都大学を肌で感じよう 再び④

 参加者が多かったので,もう数回お付き合いください。去年もそうでしたが,受講した内容がわかると言えるほど易しい内容ではありません。先生方なりに努力されているものの、高校生相手であるとは思えないような内容が多いことは事実です。分からないことがたくさんあるけど、でも聞いていて学問の面白さが伝わってくるというのが、この講座の良さかなと思います。

 最先端科学を学ぶということで、京大理学部体験講義を受けました。今まで1day collegeや夢ナビなどで様々な大学の先生方の講義を聴きましたが、京大の先生の講義を受けたのは、今回が初めてでした。私は生物が好きで、これまで、生物に関する講義ばかりを選んできました。正直、物理や宇宙にはあまり興味がなかったのですが、今回の講座で一番面白いと感じたのは、意外にも宇宙や物理でした。今までは興味がない分、積極的に調べてこなかったこともあり、講義テーマであった「月の地質」や「ニュートリノ」についての知識はほとんどありませんでした。しかし、先生方の興味深いお話のおかげで、私が目指す分野以外にも、こんなにも面白い研究があるということを知ることができました。
 今回、30分間という短い間でしたが、化学、数学、宇宙、物理や生物といった様々な講座を受けることができて本当によい体験になりました。自分の好きな分野を深めることも大事だと思いますが、もっと様々なことに興味を持ち、視野を広げていくことも重要だと改めて感じました。 K.N.

 京都大学で行われる体験学習講座を受講するための選抜試験として理学部の教授の方々の講演を聞きに行った。正直、二次選抜に残る自信はなかったので、この講演会からできるだけ多くのことを学ぼうと思って臨んだ。実際に多くのことを学べたと思う。先生方の話には自分の知らなかったこと、知っているが深くまでは知らないことなど、自分にとってとても有意義な情報が含まれていて、本当にためになったと思う。なによりも、京大へ行き、先生方の話を聞くという行動自体に意義があったと思う。まず、大学に足を運ぶことによって、大学の雰囲気を感じ取り、距離感をつかむことができた。
 そして、一番意味があると感じたことは、他校生と同じ講義を聞けたということだ。自分が話を聞いていてもあまり理解できない、もしくは何を言っているのかさっぱりという内容の講義に対して、数名の他校生は自分なりに理解して、それが正しいのかどうかを先生方に確認するための質問をしていた。それどころか、話を掘り下げる質問までしていたことには、本当に驚かされた。将来、受験や研究の場でライバルになるかも知れない人たちが、自分よりもレベルの高い話についていけることに、改めて自分の遅れを感じた。この遅れを取り戻すためにも、さまざまな分野に興味をもち、積極的に物事を調べ、広く深い知識をもつように励んでいきたいと思った。R.H.

 どの教科も高校の範囲を超えていて、理解するのが難しかったけど、非常に有意義な時間を過ごせた。まず、第一に講義の時間がいつもの授業より短い代わりに質疑応答の時間をたくさんとっていて、しかもその時間をオーバーしてしまうほどの質問の数から周りのみんなの意識の高さに圧倒された。次に、大学内容の難しい講義を先生方が出来るだけ分かりやすく教えてくれたので、理解できた。もう一つは選抜に必要なレジュメを書くことで、より講義の内容を理解しやすくなった。以上の三つのことから感じたのは、今まで受けてきた授業とはスタイルの異なる、つまり大学の講義を体験して、ますます大学へ行きたくなった。だから、これからは今までよりもっと勉学に励みたいと思った。W.M.

2011年07月30日

選特化学 授業の補足20

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 夏季講習では次のテーマで実験をおこないました。無機化学の範囲は暗記に終始しがちですが、実際に目の前で化学変化を確認すると印象に残ります。また、自分自身の手で操作をおこなうと、内容を理解できていない場合には何もできないということにも気づくでしょう。次々と目の前で変化することの楽しさは、理解を伴ってこそのことなのです。レポートを作成するなどして、もう一度復習をしておいてください。

・実験器具の基本的な操作
・酸化還元反応
・両性元素(Al3+とZn2+)の性質
・遷移元素(Cu2+とAg+)の性質
・金属イオンの定性分析

2011年07月29日

個人懇談と夏季講習A日程終了

 勉強合宿のために今週にずれ込んだ選抜特進コースの(保護者)個人懇談も終了しました。暑い中、合宿の宿舎や学校にまで足を運んでいただき、ありがとうございました。30分と短い時間ではありましたが,親御さんの子どもさんに対する愛情の深さを感じさせていただきました。素敵な時を過ごさせて頂きましたこと、感謝いたしております。

 生徒のみなさんに担任からの忠告です。
みなさんは勉強合宿でたっぷりと勉強しましたし、夏季講習にも取り組みました。でもそれは夏に向けて勉強するための足がかりに過ぎません。一夏分の勉強をしたわけではありません。今から8月の20日あまり、500時間の使い方で個々の真価が問われるのです。親御さんとはあなたの進路に対する考えを確認しました。その進路を実現できるかどうかは、この夏に自分自身の力でどれだけのことに取り組むかによって決まります。部活もあるでしょうし、文化祭の準備もあるでしょう。でも、それは進路実現に直接つながるわけではありません。自分を甘やかして、この程度でもいいかと考えるような気持ちで、進路実現できるはずはないでしょう。一日数時間程度の勉強時間で、やるべきことをすべてこなすことは不可能です。ましてや宿題だけしかしないとか、それすらもしないような程度ならば、大学に行く価値はありません。厳しいことを言いますが、大人から忠告してもらえるのはあと1年半しかないのです。

 教室の黒板に書いておきましたが、冬の個人懇談は三者です。夏に十分に取り組めなかった者には現実を見据えてもらいます。夢は自分自身で叶えるものです。夢見るだけで終わらないことを祈ります。

2011年07月28日

選特化学 授業の補足19

 勉強合宿の少し前から有機化学に入りました。勉強合宿では異性体が何種類あるのかを考える練習をしてもらいましたね。無機化学とは異なる内容に戸惑いながらも、パズル感覚で問題に取り組んでもらいました。まだ、官能基の種類や命名法の知識が不充分なので、完璧とはいきませんが、夏休みの間に復習をしておいてください。

 勉強合宿中に「官能基と置換基ってどう違うの」と質問した人がいるので,答えておきます。「置換基 substitution group」というのは、原子団として区別される有機化合物の部分を指します。「官能基 functional group」は有機化合物に特定の性質を与える部分のことです。だから、メチル基-CH3やエチル基-C2H5などのアルキル基は置換基といいますが、官能基とはいいません。また、炭素鎖に直接結合し、C以外の原子を含むものを「特性基 characteristic group」といいます。ヒドロキシ基-OHやニトロ基-NO2などは官能基であり、特性基でもあります。フェニル基-C6H5は官能基ですが、特性基ではありません。

 「ギリシャ語の数詞を知りたい」という質問もありました。IUPAC命名法の説明をしているサイトにリンクを貼っておくので参考にしてください。9000ノナリアまで記載されていますが、10まで数えられたら大体は大丈夫です。DHA ドコサヘキサエン酸みたいに炭素原子22個なんてカルボン酸も出てくるけど、それはそのときに覚えればいいですからね。 wikipedia ギリシャ語の数詞

2011年07月27日

京都大学を肌で感じよう 再び③

 参加者の感想の続きです。

 この講座は京都大学理学部での6ヶ月間の体験授業の一次選抜を兼ねていて、僕は宇宙地球分野を第1志望に選びました。講義名は「月の地学」で月周回衛星「かぐや」のプロジェクトにたずさわった山路敦教授の講義でした。月の白い部分と黒い部分は石の種類が違うことや、「かぐや」の探査でわかった、今までの定説を覆す発見など、実際の「かぐや」のデータを使ってわかりやすく解説していただきました。 今年こそはぜひとも受かりたいと思いました。M.I.

 化学については,教授の話すスピードに驚いた。光合成がどのようなしくみで反応しているのかを詳しく話してくれたので,とても面白かった。(でも,半分以上は理解できていない…)数学については,「大学への数学」を読んでいて良かったと思った。ヤング図形や標準盤の説明など,前半はだいたい理解できたから。数学もやっぱり奥が深いんだなぁと思った。未だに,1/1-q=1+q+q2+q3+q4…や(x/dx)3x3=3!は理解できない。考えてみます。宇宙科学については,一番信じられているジャイアント・インパクト説を覆そうということは,とても大変だと思いました。それだけ真実を追究したいという気持ちが強いとわかった。物理については,見えない・捕らえられないニュートリノを調べるのに,とても大規模な装置を使っていた。ニュートリノを調べたい!という人がたくさん集まるとあんなものができるのかなぁ…人はやればできるんだなぁ。でもニュートリノを発見しなかたら,調べることもできない。実験結果から発見した人はもっとすごいと思った。
生物については,体が脊髄反射を一つおこなうにも,さまざまな反応が起こって,体を外界から守っている。当たり前を調べるのはとても難しいが,いつかは答が出ると思った。最後の講演だったのできつかった。
 全体の感想としては,身近な物質や現象を詳しく説明してもらえて,とても面白かった。聞いたこともない単語を少しだけ理解するとうれしくなった。大学の授業は予習が大切だとも思った。教授は話す言葉の意味を知っているという前提で話をしたからだ。S.I.

 京都大学理学部の先生方の講義を聞いて,とても貴重な体験をすることができました。化学は内容が難しくて話についていくのが大変でした。生物と宇宙地球はもともと興味があったので、なんとか理解しながら楽しんで聞くことができました。5つの授業に共通して、初めて聞く用語が多くて、理解をしながらレジュメをまとめるのは、思っていたのよりも大変な作業でした。けれども、今回の講演会を通して勉強になったこともたくさんあったので、講演会を聞きに行ってみて、本当によかったなと思いました。Y.S.

2011年07月26日

京都大学を肌で感じよう 再び②

 参加者の感想を何回かに分けて紹介します。

 天文学の講義を受けたくて、今回の公開講座に参加しました。月についてはいままで自分でいろいろな本を読んだりしたけれど中途半端にしか分かっていなかったことがあり、スライドで説明してもらえて疑問が解決しました。生物と物理はそれなりに理解できましたが、数学は曖昧で、化学は光合成とマーカスの法則のつながりが全くつかめませんでした。朝、受付の前に馬術部の練習を少し覗けました。ハードルを飛んだりはしていませんでしたが颯爽としていて、かっこよかったです。朝早くから大変でしたが参加してよかったと思います。S.I.

 今回の最先端科学の体験型学習講座では,宇宙化学・物理・生物については専門用語とその説明といった感じで,比較的分かりやすかったのですが,化学と数学は出された理論を理解することがとても難しかったです。しかし,私が一番面白いと思ったのは数学の講義です。なぜなら,出てきた記号自体は大体知っていて,かつ今まで習ってきた数学をとても発展させた内容だったからです。ただ,30分という短い時間の中だったので,ヤング図形の標準盤の数字の決め方や,何故2乗になるのか,QやPがxやx/dxとなる理由など,細かいところが分からないままなのが残念です。R.S.

 慣れない大学の先生による講義を受けて疲れましたが、それ以上にいろんなことを学べて良かったという気持ちの方が大きく充実した1日でした。講義内容が興味深いのはもちろん、他に来ている高校生も質疑応答の内容などを聞いていてもレベルの高い人が多く刺激を受けました。講義はどれも中学、高校ではしないような題名にもある通り最先端の話で、わからないところもたくさんありましたが、だからこそ不思議さ、おもしろさを感じることができました。学校の授業をしているその根本がわかったような気がしました。M.F.

2011年07月25日

夏季講習A日程開始

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 今日から夏季講習A日程が始まりました。左上は数学Ⅱの講習のようすです。モニターにはグラフが映し出されています。テレビでは画面が小さいということで,明日からは社会科教室のスクリーンを使うとのことでした。残りは化学の講習のようすです。今日は基本的な器具の使い方を確認しました。明日は酸化還元反応を実験で確かめます。家庭学習ではできないことも折り込みながら,8月からの家庭学習を進めるために助走を始めたところです。

2011年07月24日

京都大学を肌で感じよう 再び①

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 今年も京都大学理学部で、「先端科学の体験型学習講座 ELCAS」の第一次選抜を兼ねた講演会がおこなわれました。勉強合宿や強化学習会を終えた次の日でしたが、選抜特進コースの2年生が12名,1年生が2名参加しました。全体の参加者は約200名で、会場の理学部6号館の講義室はほぼ満室でした。レジュメや感想文の書き方のレクチャーを受けたあと、化学・数学・宇宙地球・物理・生物の5つの講座を全員がすべて受講するのは去年と同じでした。30分間の講義を受け、質疑応答をしながら20分強でレジュメと感想文を書くという形式は、昼休み以外の休憩時間もなくおこなわれたこともあってハードだったと思います。今回も、高校生には難解な内容でしたが、何とか食らいついていたかな。結果は8月中旬に各自に郵送されるそうです。受講した感想は、後日紹介したいと考えています。

 化学 「光合成での電子移動」 大須賀 篤弘教授
 数学 「対称性とは何だろうか」 三輪 哲二教授
 宇宙地球 「月の地学」 山路 敦教授 
 物理 「素粒子物理学の最前線-ニュートリノ研究-」 中家 剛教授
 生物 「脳のはたらきと神経細胞」 平野 丈夫教授

2011年07月23日

勉強合宿終わりました

予定通り16時30分に現地を解散しました。

選特勉強合宿レポート6

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 勉強合宿最終日です。今朝も英語の朝礼テストからスタートです。その後、建物の外で軽く運動をし、朝食をとって、古典と数学の授業が始まっています。今日は16時30分頃に式をして、現地で解散する予定です。明日、京都大学理学部の公開講座に参加する人や部活がある人もいますが、来週からの夏季講習A日程に向けて、しっかりと準備をさせていきたいと思っています。

2011年07月22日

選特勉強合宿レポート5

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 勉強合宿2日目も予定通り終わりです。今は部屋に戻り、お風呂に入っているころです。ちょっと疲れは見せていますが、特に大きな問題もなく過ごしています。いろいろな教科からたくさんの課題をするように求められているので、遅くまで机に向かっている生徒も少なくありません。自分をどこまで追い込めるか、自分自身との戦いですね。休憩時間にアイスクリームを掛けて、覆面算の問題が出されたときにちょっとだけ気分転換になったかもしれません。

選特勉強合宿レポート4

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 おはようございます。7時20分から英語の朝礼テストをおこないました。昨日の夕食時に出された課題なので、朝早くから教材を持って勉強している姿がみられました。昼食前に結果発表の予定です。
 テスト後に建物の外で軽く運動をしてもらいました。一日じっとしていると運動不足になるので、できるだけ階段を使って移動したり、講義室を入れ替えたりしています。去年のように鬼ごっこを始めることはありませんでしたが、早朝に一部の女子が文化祭の練習はしていたようです。さて、今日の最初の授業が始まりました…

2011年07月21日

選特勉強合宿レポート3

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 勉強合宿でやることは、食事・講義・自学自習の繰り返し。食事風景と学習のようすしかアップできないのは去年と同じです。去年とちがうのは、次から次へと課題が渡されていくことでしょうか。現代文や物理の課題が渡され、化学の課題が渡される頃には、黙々と課題に取り組む姿になっていきました。明朝には英語の早朝テストを実施することが告げられています。本気でどれだけ勉強できるのか、限界に挑戦してもらう3日間。最初の夜が更けていきます…

選特勉強合宿レポート2

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 9時の集合時間には、テニスの試合で公欠の生徒を除き、全員そろいました。最初に進路部長からこの合宿の目的を話していただきました。ちょっと表情も引き締まったかな。諸注意のあと、英語の授業が始まりました。予告していた確認テストとはいえ、さっそくため息が…

選特勉強合宿レポート1

おはようございます。
コスモスクエアはどんより曇り空です。雨は降っていません。
サークルバスは今のところ混んでいませんが、一時間後はどうでしょうか。ゆとりを持って来てください。

2011年07月19日

選特勉強合宿について

 教室で説明したように現地集合・解散です。宿舎のホテルコスモスクエア国際交流センターは、先日「夢ナビ」で訪れたインテックス大阪のすぐそばです。梅田から御堂筋線で本町乗換え、あるいは大阪からJR環状線で弁天町乗換えです。中央線で終点のコスモスクエア駅で降りて、3番出口を上がるとサークルバスが出ています。バスは3分程度ですが、朝は混んでいるかもしれません。時間に余裕を見て行動するようにお願いします。

 持ち物はしおりにある通りです。教材は追加連絡分も含めて、しっかりと用意してください。講義を受けられない生徒は別室で指導することもあります。講義は国語(古文),数学,英語の3教科ですが、自学自習の時間に、化学の補習をおこないます。また、物理・現代文の教材を預かっていますので、取り組んでもらう予定にしています。先日、夏に向けての取り組みを計画してもらいましたが、まだまだ自分に甘いようですので、ちょっとハードな合宿にしたいと考えています。

 大会直前で楽器を持ち込みたいとしていた、ギターマンドリン部のみなさんへ。練習する場所が確保できません。研修施設なので、ほかの利用者のことを考えると、講義室で大きな音を出すのは難しいようです。ごめんなさい。そのほか、疑問点については、担任まで連絡してください。

2011年07月18日

国際生物学オリンピック

 世の中は女子サッカーの快挙に沸いていますね。すばらしい粘りでした。

 さて、第22回国際生物学オリンピックが台湾で行われましたが、参加した高校生4名がメダルを手にしたと報道されていました。金メダルが3,銀メダルが1でこれまでの最高です。こちらも快挙ですね。
 その予選は昨日11日に全国95ヶ所で行われています。本校からも55期生が2名受験しています。彼女たちは4月から「遺伝子の分子生物学」「キャンベル生物学」「生物学オリンピック問題集」などの教材を使って個別に取り組んできました。結果は8月までわかりませんが、無理だと諦めるのではなく、チャレンジしてみようとする姿勢こそが大切なのだと思います。予選の問題がweb上にアップされているので、リンクを貼っておきます。自宅で取り組んでみてはどうでしょうか。
 日本生物学オリンピック2011 予選問題解答・解説

2011年07月11日

大阪大学高大連携講座 Report⑪

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 「船と海の科学」の12回目の授業を受けてきたE.F.さんのレポートの2回目です。

 人間が空を飛ぶ機械を開発したのと同様に、海上そして海底への進出も歴史が長く、阪大での授業を通じて私はまだその一部しか知らないですが、とても奥が深いと感じました。大学では前の授業で出された課題レポートを書かなければならないので、最初のうちは毎週調べ学習をして、レポートを書くのが大変だと思っていました。しかし、自分のアイディアを自由に書けるので、課題の中から好きなテーマを一つ選んで詳しく調べるのは良いきっかけになりましたし、実際にやっていると楽しいものでした。

 →1回目のレポートはこちら

2011年07月10日

大阪大学高大連携講座 Report⑩

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 「ナノサイエンスの世界」を受講しているY.T.さんのレポート 2回目です。

 今日は生物に片寄った内容でした。高校の授業で習ったような単語がよく出てきたので,高校生でも理解できるような内容でした。今回の一番の内容は何といっても「コンピュータを使ってタンパク質の立体構造を眺める」です。これは,大阪大学のタンパク質を研究しているチームが設立したウェブページを使い,キーワード(例:protein, collagenなど)を入れて,その物質の立体構造を見てみるというもので,家庭にあるパソコンでも見ることができます。
 PDBj webpage (キーワードは英語で入力してください)
 筋肉から目の水晶体まで,それらはタンパク質によってできています。耳で聞くだけでなく,モデルを目で見てみるのも楽しいと思います。

 →1回目のレポートはこちら

2011年07月03日

選特化学 授業の補足18

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 1学期最終の授業では既知のカチオン溶液を使って,無機定性分析をおこないました。8つのグループにK+, Ca2+, Ag+, Pb2+, Zn2+, Fe3+, Ni2+, Cu2+のいずれか1つを試料として渡し、試薬を使った反応を確認してもらいました。それを発表することで、知識と経験の共有化を図りました。やはり、目の前で確かめると頭に入るようです。夏季講習では実験を使って、無機化学の復習をおこなう予定です。

2011年07月02日

大阪大学高大連携講座 Report⑨

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 今回は「図書館パスファインダーをつくろう」を受講しているY.W.さんのレポートです。
 私は連携講座で「図書館パスファインダー」というものを作っています。パスファインダーとはあるテーマを調べる為の手助けをする情報のことで、テーマに関連する参考図書や参考Webページなどを紹介します。
 現在、講座では完成したパスファインダーを阪大の「Study-Aid」内「ワニの本棚」に掲載するため、パスファインダーの情報をHTMLに変換する作業を行っています。HTMLタグは実にたくさんの種類があり、全部使いこなすのは大変です。実際、講座で使っているのはごく一部で簡単なものです。しかし、HTMLタグを少しでも間違えると正しく情報が反映されないので、注意確認を常にしていかないといけません。HTMLを入力しているときは「本当にこれがきちんと表示されるのか?」など、疑問に感じたり、不安になったりもしますが、できたWebページを見るときちんと表示されてて、すごく感動できます。もうすぐ完成なので自分のパスファインダ-がWebページに掲載されるのが楽しみです!! ぜひ見てください!!
  ワニの本棚(図書館パスファインダー) Study-aid 阪大生の学習を支援するサイト

 今回で1学期受講者9名が一巡しました。夏期集中講座に参加する別の9名からのレポートも作成する予定にしています。夏休み中にはそれ以外の大学での公開講座を受講する生徒もいますので、それぞれの体験と感想をブログ上でシェアできればと思います。

2011年06月30日

選特化学 授業の補足17

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 無機化学も最後になりました。金属イオンの分析をおこなっています。未知の金属イオンを3種類混ぜた溶液を各班に渡しています。生徒はいろいろな試薬や炎色反応を使って,それを特定するというものです。予想を立てながら操作をおこなうものの、なかなか難しかったようです。明日、答え合わせをする予定です。

2011年06月27日

一学期期末考査時間割(選抜特進)

 7月4日(月)~8日(金)までの5日間で実施します。高2は修学旅行があったので、授業時間数が少なかった科目があるようです。範囲は狭いものの、授業進度は速かったようで、生徒は準備が大変だとこぼしていました。中間考査の反省を生かして、比較的早めの準備をしているようです。結果に期待したいと思います。

 4日(月) 保健 英語Ⅱ
 5日(火) 現代社会 英語W 化学/生物
 6日(水) 古典 数学Ⅱ
 7日(木) 物理/生物/現社演習 世界史
 8日(金) 現代文 数学B

2011年06月26日

選特生物 授業の補足19

 選抜特進・文系の生物の授業では修学旅行で学んだ自然環境を扱っています。4泊5日の間に奥山,里山,農村,都市部を移動しながら、自然環境の中で人々がどのように生活を営んできたか、これからどのように自然と接したら良いのかを考えてもらいました。学校の周辺にも、雑木林のような里山が残されています。里山について扱ったビデオを国連大学環境省が製作しています。金曜日に書いてもらうことになっている小論文の参考になればと思い、リンクを貼っておくことにします。

 豊穣の里山 6:34
 里地里山 ~自然と共に生きる知恵・命を育む場所~ 11:21
 SATOYAMAイニシアティブ 7:15
 

2011年06月25日

大阪大学高大連携講座 Report⑧

 「現代市民社会と科学」を受講しているE.Y.さんのレポートです。

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 今回は「原発災害を考える-とりわけ科学者の責任をめぐって-」というテーマで、教員(科学者を含む)や学生が多数参加して自由に意見を述べあいました。知らない単語が飛び交い、参加者の意見を理解することも、自分の意見を発言することもできませんでした。
 至る所に情報があふれかえっている今、自分で何が正しいかどうかを判断するためには、科学的知識が必要だと思いました。その後、福島大学から来た学生と教員から話を聞きました。中でも印象に残ったのは、福島県内でも震災に対する思いに温度差があるということでした。これからも自分の正論をふりかざさないように、他人の意見に耳を傾けようと思います。

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北天満サイエンスカフェのチラシを教室に貼っているところ

2011年06月24日

授業風景(物理)

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 毎週金曜日の早朝におこなわれている物理の講習のようすです。内容が難しくなってきたのか、授業を受けるときの表情が神妙です。

2011年06月13日

大阪大学高大連携講座 Report⑦

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「環境と化学物質」という講座を受講しているN.M.さんのレポートです。夏期集中講座を受講する9名の人達も先日、日程が確定したとの連絡がありました。すでに毎週金曜日に受講している人達のレポートを見て、受講を楽しみにしているのではないでしょうか。

 今回の基礎セミナーでは「放射性物質に汚染された食品」についてディスカッションしました。福島の原発事故でほうれん草などの食品から放射性物質が検出され、その汚染された食品をどのように考えるのか、国民側と国側の立場に分かれて議論をしました。
 放射性物質だけでなく、どの物質にもリスクは存在するそうです。そのことを理解していないから風評被害が起こってしまいます。例えば、コーヒーには発がん作用があります。しかし、このリスクはコーヒーを大量に摂取することで起こることで、普段コーヒーを飲むことだけでガンが生じるわけではありません。同じことが今回の放射性物質で汚染された食品についても考えられると思います。汚染された食品についての考え方は人それぞれだと思うし、私もあまり食べたくないと思っていましたが、今回、話を聞いたことをきっかけに考え直してみようと思いました。
 今回のように、大学生や大学院生、講師の人と議論するというのは、普段では体験できないことなので、とても新鮮でした。これからの講義も楽しみです。

2011年06月09日

家庭科の調理実習 その2

 先日のB組に引き続き、今日の1・2限におこなわれたF組での調理実習のようすをアップします。上手に焼けたようで、担任にもおすそ分けがありました。おいしかったですよ。ごちそうさま。

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2011年06月06日

大阪大学高大連携講座 Report⑥

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 今回は「ナノサイエンスの世界」を受講しているY.T.さんの報告です。

今日の内容は、今までに受けたセミナーをもとに、この講義の受講者16人と教授1人,教授の補助1人の18人で議論するものでした。テーマは特に設定せず、「ナノ」に関することを自由に話し合ってきました。話し合った結果、「ナノは小さく、バラエティ豊かであるという利点を持つため、人類の発展に役立つのではないか。しかし、その小ささから(肉眼では見えないため)信憑性が乏しくなってしまうものだ。」という意見で納まったように思います。(もちろん、90分もかけてこれだけしか意見が出なかったわけではありません。かなり簡潔にまとめました。)
 今回の議論でK高校の2年生女子が発表したものを例に挙げると、世の中にはリード化合物(註:新薬の候補となる化合物のこと)というものがあるそうです。ガン細胞に寄っていくリード化合物にガン細胞をやっつける薬を載せると、副作用や免疫力の低下の心配をしなくてもいいものができるそうです。(Nature 2011年7月号より)しかし、そのリード化合物が目に見えないとして、果たして世の中の人は喜んで体内に取り込むだろうか?ということです。
 なるほど、そう考えるとナノサイエンスは恐ろしい…と考える人もいるでしょう。しかし、ナノレベルで物を見ることは、物の本質を見極める一つの方法だと思います。花粉に触ったって痛くないけれどとげとげしているモノもある。アリは実はめちゃめちゃカッコイイ顔立ちをしている。こうした「発見」が見られるからです。この発見がいつしか「発明」につながるのだと思います。

2011年05月30日

大阪大学高大連携講座 Report⑤

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 中間考査最終日にも大阪大学高大連携講座はありました。今回は「ものづくりフロンティア」に参加しているR.H.くんのレポートです。
「ものづくり」というテーマをメインに考えていても、やはりどこかで他の学問と必ず関わっているということが、大学の講義を受けると鮮明に分かって楽しいです。逆に講義の中で自分の知らないことを理解していくと、今見えているもの以上に何か新しいものが見えてくるんだと思い、その土台をつくる今の時期にしっかりやるべきことをしていないと、その可能性も自分で狭めてしまうのだと思いました。全く考えてもみなかった分野と話がつながっていたりして、しっかりとした理解はできなくても「つながり」といった点で自分にとっても新鮮な感覚が味わえるのがいい所だと思います。

2011年05月22日

選特生物 授業の補足18

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 試験前だというのに実験室の予約は一杯です。隣の生物実験室では高3が細胞周期の測定をやっていました。化学実験室では、キューネ発酵管をつかったアルコール発酵の実験と,ツンベルグ管をつかったデヒドロゲナーゼの実験をおこないました。見慣れない器具に戸惑いはありましたが、実験そのものは手早いものでしたね。
 アルコール発酵で二酸化炭素の確認はうまくできたようですが、エタノールの検出はヨードホルム反応がなかなか出なかったようです。基質の糖を glucoseとsucroseの2種類用意しました。glucoseは単糖類、sucroseは二糖類ですから、コウボキンの分解に差が出ますよね。また、デヒドロゲナーゼの実験では、コハク酸から外した水素が本来のNADではなく、メチレンブルーに渡されて色が消えます。色の変化が大きいので、やっていて楽しかったようです。

2011年05月19日

選特生物 授業の補足17

 酵素の性質を確認するために、カタラーゼを使って実験をしてもらいました。酵素液には大根おろしの絞り汁を使いましたので、実験室に結構臭いが広がったのですが、実験をしている最中はあまり気にならない様子でした。酵素と無機触媒であるMnO2を比較しながら、温度やpHの影響を調べてもらいました。大根片を使ったときに反応が低下した理由は考えてもらおうと思います。酵素と基質が複合体をつくらないと、反応は起こりません。土曜日に脱水素酵素の性質を調べてもらって、生化学実験は終了です。

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2011年05月12日

一学期中間考査時間割(選抜特進)

 5月23日(月)~27日(金)の5日間実施します。今年は文理に分けておこなう科目もあるので、最初の試験に対する意識は高いようです。週末に体育大会をおこなうため、少し早めの発表となりました。

23日(月) 現代文 世界史 化学/生物
24日(火) 英語Ⅱ 数学Ⅱ
25日(水) 古典 数学B
26日(木) 物理/生物/現社演習 家庭基礎(30分)
27日(金) 現代社会 英語W

2011年05月10日

選抜特進 保護者懇親会

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 昨日の特進コースに引き続き、選抜特進コースF組でも懇親会をおこないました。お足元の悪い中、集まっていただきありがとうございました。いろいろと貴重なお話しを聴かせていただいたので、予定よりもずいぶん時間が延びてしまいました。参考にさせていただきます。PTA学級委員さんには準備や進行など、大変お世話になりました。この場を借りて、お礼申し上げます。

2011年05月07日

大阪大学高大連携講座 Report③

 3回目のレポートは「生命とくすり」を受講しているA.F.さんです。薬学女子の世界に引き込まれましたね。マウスの寝顔に魅せられたようです。

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 今回の講義はマウスへの睡眠薬の投与による薬物耐性についての実習でした。前回の講義で薬物耐性などくすりについての基礎知識を学び、応用編ということで今回の実習が組まれていました。実際にマウスを使っての実習など、大学でしかできないような貴重な体験ができて、とても勉強になったし、自分の手で体験することでさらに薬学に対しての興味も広がり、とてもおもしろかったです。
 実習中には研究室の方々から様々なお話しを聞かせてもらうことができ、新しい発見などもあり、とても楽しかったです。マウスはとても可愛くて、特に寝顔がサイコーでした(笑)。今後も、実習が組み込まれた講義があるので、とても楽しみです。

2011年05月06日

選特化学 授業の補足16

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 無機化学を扱っています。周期表を左から右へ順番に説明していき、今日は15族である窒素が出てきました。空気中の窒素N2は安定ですが、自動車のエンジンでは高温高圧なので、一酸化窒素NOなどの窒素酸化物が発生します。一酸化窒素は大気中で二酸化窒素NO2を経て、硝酸HNO3に変わり、酸性雨として被害をもたらします。

 ガソリンエンジンから排出される排気ガスには、大気汚染物質として、一酸化炭素CO,炭化水素CmHn,窒素酸化物NOxが含まれています。最初の2つはガソリンの不完全燃焼によって生じ、NOxは空気中のN2とO2によって生じます。ガソリン車では排気管に仕込まれた触媒(白金Pt,パラジウムPd,ロジウムRhなど)によって分解され、8割以上が除かれています。このうち、NOxはRh触媒によってCOと反応し、N2とCO2に変化します。

 一方、ディーゼルエンジンの場合、圧縮比が大きく、燃料がシリンダー内で完全燃焼するため、不完全燃焼によって生じるCOやCmHnはほとんど発生せず、NOxの発生量が多いのが特徴です。Rh触媒でNOxを除去するには還元剤であるCOが必要ですが、ディーゼルエンジンの排気ガスにはほとんど含まれず、従来のディーゼルエンジンでは多量のNOxが排出されていました。近年は尿素(NH2)2COを添加し、分解によって生じるアンモニアNH3を利用することで排気ガスの問題が解決し、ふたたび燃費のよいディーゼル車が見直されるようになりました。

2011年05月04日

選特生物 授業の補足16

 文系は神経のはたらきに入りました。前回は神経細胞の間の伝達には化学物質がはたらいていることを学びましたね。末梢神経である体性神経や副交感神経にはアセチルコリン,交感神経にはノルアドレナリンがはたらいています。脳の中でも同じように神経伝達物質によって、興奮の伝達がおこっているのですが、これが何種類もあることを話しました。例えば、セロトニンを分泌する神経細胞は30~40%とかなり多い。このセロトニンのはたらきが少ないとハーム・アボイダンスが高い、つまり心配性で不安になりやすいことがわかっています。プロザックやブスピロンのようなセロトニンのはたらきを良くする薬も開発されています。

 感情や気分など人間の脳のはたらきを、生物学や化学で説明することが可能になってきています。先日おこなわれた薬物講習会の内容も、知識があれば防げることでしたね。興味がある人は東京大学大学院総合文化研究科の石浦章一先生「遺伝子が明かす脳と心のからくり」を読んでみてはいかがですか。実際に文系生命科学の講義で取り上げた内容をまとめています。図書室に置いているといいね。シリーズには「生命に仕組まれた遺伝子のいたずら」「遺伝子が処方する脳と身体のビタミン」があります。

2011年05月02日

大阪市立大学公開講座レポート

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 4月29日に大阪市立大学でおこなわれた「数学や理科の好きな高校生のための市大授業」に参加してきた生徒のレポートです。写真はそのときにお土産でもらった最新の国際層序表と授業をした江﨑教授の論文(英語)だそうです。大学の講義を実際に体験することで、より明確な目的意識を持って大学進学を考えることができるのではないでしょうか。

 前半後半の2科目を受けました。前半は地球学科の江﨑洋一教授による『5億年前に生じた地球生物システムの大変革』というテーマで、原始的な陸上生態系が誕生したことによって、海洋生態系に「オルドビス紀の大放散」と呼ばれる地球史上最大規模の海生無脊椎動物群の多様化現象が生じたかを解説してもらいました。後半は生物学科の後藤慎介准教授による『時間生物学への招待:さまざまな生物時計とそのしくみ』というテーマで、RNAi(RNA干渉法)といった技術を使って、コオロギやカメムシの遺伝子発現を抑制し、生物時計のメカニズムを調べる話でした。どちらも様々な研究成果を交えたもので、大学の授業のおもしろさや雰囲気を存分に味わえた一日でした。 M.I.

2011年04月30日

選特生物 授業の補足15

 生化学に入りました。タンパク質の性質を理解してもらうために、手順書だけ渡して、各自でしてもらいました。最初は恐る恐る薬品を扱っていましたが、10分もすると、手際よく進めないと終わらないことに気づいたのか、各自がてきぱきと操作するようになりました。

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 取り組んでもらったのは、次の6つの実験です。
① 試料の調製(卵白水溶液とゼラチン溶液を使用しました)
② 窒素と硫黄の検出
③ タンパク質の変性 (左端の試験管はエタノールで変性し白濁)
④ ビュレット反応(左から2番目・3番目の試験管で紫色に呈色)
⑤ キサントプロテイン反応(左から4番目・5番目の試験管。それぞれ黄色と橙色に呈色)
⑥ ニンヒドリン反応(右端の試験管で紫色に呈色)

 実験しているときは色が変わって楽しいんですね。レポートは連休明けの5月6日(金)に提出してもらうことになっています。3つの呈色反応の反応の違いが区別できていたらいいですね。ヒントは芳香族アミノ酸をあまり含まないゼラチンと一般的なタンパク質であるアルブミンの違いです。また、ニンヒドリン反応で紫色が濃くでている試験管はタンパク質ではなく、グリシンを使って実験してもらいました。

2011年04月25日

大阪大学高大連携講座 Report②

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 「船と海の科学」を受講しているE.F.さんの2回目の授業についてのレポートです。

今回の授業では当時(昭和63年)日本最大の客船を三菱造船が造ってゆくビデオをみました。会社として船を造る過程をビデオで見ながら、文化などの背景を丁寧に説明していただきました。しかし、先生のお話や生徒の質問には「盤木」「モックアップ」「FRP」など普段は使わない言葉や専門用語が含まれていたので、私の質問のほとんどが言葉に関するものになってしまいました。
 日常生活であまり深く考えない物事の物理的な説明を聴くと、答が無限であるものの研究を続ける先生方の考え方がとても新鮮に感じました。毎週、教授が替わるため、毎回全く異なる形式の授業になるのも楽しみです。

2011年04月23日

選特化学 授業の補足 15

 無機化学に入りました。メンデレーエフの周期表から始まり、周期律に沿って、同族元素をまとめながら物性を語っています。今年は国際化学年 IYC2011でもあり、もっと化学に関心を持ってほしいと思います。単純に暗記項目と捉えてしまうとつまらない範囲かもしれませんが、化学が社会の中で果たす役割を知ってもらえればなぁと思いながら授業をしています。

 アルカリ金属のところでは、ソーダ工業を扱いました。ソーダ工業は海水を原料に、幅広い産業分野の原料・副原料、反応剤などに使われる化学薬品を製造する工業で、基礎素材産業の一つです。NaOH(苛性ソーダ)を製造する電解ソーダ工業とNa2CO3(ソーダ灰)を製造するソーダ灰工業の2つを扱いました。

 材料のNaCl(塩)は海水を濃縮して作ります。輸入されている塩のほとんどは塩田で濃縮・結晶化させた天日塩で、ソーダ工業の材料となります。一方、国内で製造されている塩は、イオン交換膜で濃縮したものがほとんどです。電解ソーダ工業ではNaCl水溶液を電気分解して、NaOH, Cl2, H2を得ています。NaOHそのものは最終製品になるのではなく、さまざまな物質の製造に利用されています。Cl2は塩化ビニル樹脂など塩素系製品の原材料になります。また、ソーダ灰工業で得られるNa2CO3の半分はガラス工業で用いられます。授業では1783年に発明されたルブラン法や1863年に発明されたソルベー法についても説明しました。1891年に作られたルブラン法炭酸ソーダ製造装置国産第一号機の一部(塩酸吸収塔)が山口県山陽小野田市に現存しています。

2011年04月21日

昼休みの教室風景 食事中失礼

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 午前中の授業が終わって、和やかに食事をしている様子です。この時間はほのぼのとしていますね。友達と楽しいひとときを過ごしているのが伝わるでしょうか。この雰囲気を大切にしたいと思います。

 新年度が始まって10日ほどが過ぎました。パワーアップゼミやブラッシュアップゼミ,朝礼テストなどが始まっています。また、来月に開かれる体育大会の準備で、出場する競技の練習やクラス旗の作成も始まるでしょう。今年は6月に修学旅行も予定しています。慌ただしく時が過ぎていくことと思いますが、今まで通り前向きに取り組んでほしいと思っています。

2011年04月19日

パワーアップゼミ開講しました

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 今日は英語です。最初の授業なので、2人の講師の先生のうちのどちらを受けるかはまだ固定されていません。3回受講する間に決めてもらうことになっています。放課後に90分間の講習を受け続けることは大きな力になると思っています。

2011年04月18日

読書の重要性

 選抜特進コースF組では、昨年度は図書室での貸出冊数が合計1232冊と、1000冊を大きく上回りました。家にある本を利用したり、購入したり、地元の公共図書館を利用する生徒もいますので、一人あたりの読書量は30冊前後だと思います。この数を多いと思うのか、まだまだだと思うのかは、それぞれの生徒の考えるところだと思いますが、コースとしては今年も読書指導をしていく予定です。

 初等教育の段階では読書タイムなどの手法で、読書する習慣を身につけさせることが大切でしょう。しかし、高校2年生では本を読む習慣を身につけるだけでは不充分です。ある程度の読書量を持たないと、自分に入ってくる知識も物の考え方も足りません。ある程度の読書量を身につけるためには、年間で少なくとも50冊、できれば100冊くらいの本を読む習慣が必要です。年間50冊といえば多いようですが、週に均せば1冊です。その意味では昨年度の平均は十分ではないのです。量を読めない生徒はじっくりと読んでいるというよりは読むこと自体が遅いです。一日20分でも、一週間では2時間以上の時間になります。これくらいの時間があれば1冊や2冊の新書は読めると考えています。

 手元に本があれば、空いた時間に読み進めることができます。先週末に図書室で過ごしてもらったとき、ほとんどの生徒が読みたい本を手に取り、黙々と読んでいました。環境さえ整えれば読書離れと言われる今の高校生でも量を確保できるのではないでしょうか。

2011年04月04日

国連高校生セミナー Report③

 三人目の生徒のreportです。分かりやすく自分の意見をまとめてくれました。


I went to JICA to learn about the forests. Forests occupy one third of the surface of the earth. They are composed of a primeval forest, an artificial forest, and a secondary forest.
By the way, woods are made from cellulose, so they store carbon. Then, they take CO2; leave O2 in the air and C is stored in the body. That’s the way woods do photosynthesis. Forests shoulder 36~45% amount of carbon sequestration.
While we know forests play an important role in terms of the point mentioned above, we use the fossil fuel, so forests are decreasing. As we use the fossil fuel, we consume a tree whole, and we destroy a structure of ecosystem! Therefore, we must protect the forests!
What we can to do is to use woody biomass to built large wooden buildings, recycling wood protects, and so on. I noticed the forests are important for us to live on the earth. So I think we should do something we can do in order to protect the forests. I suppose I tell somebody about importance of the forests at first, and I want to think the other way to protect the forests with all together. M.S.

2011年04月02日

国連高校生セミナー Report②

 国連高校生セミナーに参加した二人目の生徒のReportです。セミナーの中で聴いた内容,今までの経験から感じたことなどたくさん盛り込んでくれました。伝えたいことを整理してくれると、分かりやすい文章になると思います。これからも情報発信する経験は必要ですね。


I participated in the United Nations environmental seminar sponsored by JICA Hyogo on Saturday, March 19, 2011. First of all, in the seminar room, Associate Professor Hiroaki Ishii at Kobe University lectured on a basic environment. Then, I was able to listen to a lot. To worldwide, until the present age, more than 56% and halves of the cause of Global warming is combustion of fossil fuels. 50% or 36~45% of carbon is stored in the forest in the terrestrial ecosystem. If we can make CO2 more than carbon, plants can not only to do photosynthesis but can store CO2 through combining O2 with carbon in air into CO2 even under the circumstances of the deforestation. It should be the only material that can be manufactured from the CO2 exhaust seeing overall because the amount of the CO2 exhaust is also the fewest in the forest, and forests absorb and use the amount of 5~10 times the exhausted CO2 compared with the ratio of wood, iron, and aluminum; 1:191:791.

I was able to learn a lot. After the lecture, we made a group and had a time to discuss. A theme: “Isn't there any better method to take CO2 into trees by using trees?" was given by a native speaker. Our group made a conclusion that "The number of wooden buildings should be increased." After that, a different title “what should you do to stop Global warming?” was discussed. With the other party group, I was able to know the different aspect from our group. As our fundamental opinion, Do not start to stop Global warming if one man one who first does it doesn't consider Global warming.
It was the one. A concrete method to hold off Global warming was devised. When being possible to talk by the group with a quite different idea like directionality and the aspect, etc. it became a very important chance. I was able to have the expectation of the risked palanquin..person with a different opinion.. ..We can find the solution by talking...The above is a part of what I felt through this experience.

And, it is a technology to being able to speak English first of all with native's people necessary for us. The other party group was an international department, and we had a hard time considerably only because we caught English this time. More..school..English..work..strengthen..slow..feelings..other party..tell.And, we who participated in this event are now.Do : the experience of this time even by oneself.It was felt that it was strong when a lot telling it. I thought that they had to act to achieve. T.K.

2011年03月30日

国連高校生セミナー Report①

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19日におこなわれた国連高校生セミナーに参加した3名の生徒が当日のようすをレポートにまとめてくれました。環境や森林については知識も意見も持ち合わせていたものの、それを英語で周囲に伝えることに苦労したようです。1年生で参加したこともあって、まだまだ力をつけないとだめだという感想を持ったようです。レポートも敢えて英文で書いてもらいました。

On 19th March, we attended the UN Senior High School Students' Seminar at JICA Hyogo, where we thought about forests. First I could see a signboard written in many languages and West Asian native musical instruments. I thought that they are worthy of UN.
In the Seminar, at first, I listened to a lecture given by the teacher at Kobe University. It was about importance of forests and "The carbon savings bank”. The heart of the lecture was "What Hayao Miyazaki wanted to appeal in 'Laputa: Castle in the Sky' ". It was very comprehensible. Moreover, as English Native speakers attended the Seminar too, he explained in both Japanese and English. I thought he was awesome!
After that, we discussed forest in many groups. There was an English native speaker by a group, and the native speaker forwarded the talk. Our group had three students from Hibarigaoka and three students from International Department of high school in local. We could hardly speak our opinions, but they who came from the local high school spoke their opinion steadily in fast and fluent English. I thought they were so cool!
In the discussion, we discussed the importance of "The carbon savings bank”, carbon storage in forests and society. Y.T.

2011年03月28日

春季講習最終日

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 1限の古文を担当してくれたT先生も、先週のY先生と同じように、最後の授業となりました。週末に課題として出していた「短歌創作」の作品を紹介して、ヒバリでの36年間は幕を閉じました。T先生の名前を隠題にした作品や折句に感謝の気持ちを込めた作品もあって、先生を慕う気持ちが伝わってきます。

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2011年03月26日

春季講習2日目です

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 雪がちらついたり、電車(阪急京都線)が止まったりしましたが、予定通りに二日目もスタートしました。今日はサッカー部やソフトテニス部が試合、バスケットボール部が合宿で公欠なので、少し人数は少なめですが、朝から全員が顔を揃えてくれました。

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 2限の英語を担当してくれたY先生は、これが本当に最後の授業となりました。生徒のメッセージが書かれた色紙を渡されて、ちょっと感激的なエンディングだったようです。37年間、お疲れさまでした。

2011年03月25日

春季講習始まりました

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 選抜特進コースでは今日から3日間、恒例の春季講習をおこないます。
講習と言っても全員参加ですので、いつもの授業と変わりません。講義を90分間でおこなうことや、120分の自学自習をおこなうことが違いますが、朝礼・終礼もおこない、生活のリズムは崩さないようにさせたいと考えています。数回の授業を受けたからといって急に成績は変わりませんが、日々の積み重ねは後で大きな力となると信じています。

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2011年03月22日

科学って楽しい

 関西広域バイオメディカルクラスターが中高生を対象に開いたセミナーに参加した生徒からレポートが来ましたので、紹介します。「科学の進歩が医療を変える」というテーマで、幹細胞やワクチン,クローン技術などを解説するものだったようです。科学者が生き生きと自分の専門領域を語るところを見てもらえれば、好きなことを学ぶ楽しさがわかるかなと思っています。

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写真は「マイクロマニピュレーターを使って卵子に体細胞の核を移植する疑似体験」のようすです。

三連休の最終日、3月21日に兵庫県神戸市のポートアイランドにある神戸臨床研究情報センター(TRI)にて『科学の進歩が医療を変える』という講演会がありました。様々な種類の医療技術(再生医療・ワクチン開発・クローン技術)で最先端を行く3名の先生と理化学研究所の先生によるミニレクチャーと計4つの話を聞きました。最近よく新聞で見かけるES細胞とiPS細胞の違いや特性、問題点など知っているようで知らなかったこと、またワクチン開発の難しさなどを学びました。中でも面白かったのが、クローン技術の講演でした。世界初のクローン動物「ドリー」やそれに対抗してクローンマウスをつくったことなどをおもしろおかしくお話してくれました。最後にマンモスのクローンが技術的に可能だろうとおっしゃった時には心の奥に熱いもの感じました。━太古の生き物が現代によみがえる。小さい頃夢見た世界が近づいている。━最先端の医療技術に強い関心を抱いた素晴らしい講演でした。M.I.

ちなみに、関西広域バイオメディカルクラスターは理化学研究所,京都大学,大阪大学,神戸大学,国立循環器病センター,医薬基盤研究所などの大学・研究所と、製薬企業・ベンチャー企業が連携したものです。

2011年03月19日

国連高校生セミナー

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 今日、JICA兵庫で「国連高校生セミナー」がおこなわれます。本校からは、高校2年生2名,高校1年生3名がそれぞれチームをつくって参加することになっています。今年は「国際森林年」ですので、「世界の森林を守るため、今私たちにできること」をテーマに、専門家とのワークショップや英語でのグループディスカッションがおこなわれる予定です。当初は14:00から開始する予定でしたので、中学卒業式後に様子を見に行くことにしていましたが、震災の影響で講師の先生が変更となり、10:00からの開始となりました。環境に関心をもつ生徒たちが参加していますので、どのような意見を発表してくれるのか、楽しみにしていましたが、聴くことができなくて残念です。

2011年03月13日

選特化学 授業の補足14

 すでに返却している学年末考査【6】の解説です。
リード文を読んで、内容をつかむことができるかどうかがポイントとなります。それぞれの手順を整理していきます。
手順1 試料10.00mLを量り取る。このときに使用する器具はホールピペットです。
手順2 水200mLで薄めた後、シュウ酸アンモニウムを過剰に加える。(Ca2+はすべてシュウ酸カルシウムとして沈殿します。)
 Ca2+ + (NH4)2C2O4 → CaC2O4↓+2NH4+
手順4 シュウ酸カルシウムを硫酸で完全に溶かす。
 CaC2O4 + H2SO4 → H2C2O4 + CaSO4
手順5 硫酸酸性のシュウ酸水溶液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定する。滴定するときに使用する器具はビュレットです。
 2KMnO4 + 5H2C2O4 + 3H2SO4 → 2MnSO4 + 10CO2 + 8H2O + K2SO4
ビーカーの中のシュウ酸水溶液には色はありません。Mn2+もほとんど色がありません(淡い桃色)。赤紫色である過マンガン酸カリウム水溶液を滴下していくと、やがて過剰になり、色が消えなくなります。

 何段階もの化学反応を利用しているので、難しそうに見えますが、整理していくと過マンガン酸カリウムで滴定されたシュウ酸の物質量とカルシウムイオンの物質量が同じであることに気づきます。そうすれば正解を導くことができると思います。東京大学の入試問題から出題しました。後半の電気分解の問題も見ておいてください。

2011年03月12日

選抜特進 進路講演会・懇談会

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 駿台予備学校から吉村眞一さんを招いて、進路講演会をおこないました。
生徒に向けて2時間弱、その後保護者に向けて30分間と、長い時間をかけて高校2年生になる直前のこの時期とどう向き合うのかを熱い口調で語っていただきました。「春休みではなく、高校2年生0学期と考えよ」から始まり、「現状から大学を選ぶのではなく、自分の夢を実現するための一過程として大学を選べ」「大学は人格形成の場、3つの出会いがある」といった話をご自分の経験を交えながらお聴きしました。「難局は師と思え」という締めくくりの言葉には、多くの生徒が頷いて聴いていたように思います。

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 予定よりもかなり時間が経っていましたが、講演会のあと、コース・学級懇談会を引き続きおこないました。今年度の教育活動と次年度の予定を簡単に報告しました。長時間にわたりおつきあいいただき、ありがとうございました。

2011年03月06日

選特生物 授業の補足15

 金曜日におこなった学年末考査【5】の解説です。

 アミラーゼは多糖類であるデンプンを二糖類であるマルトースに加水分解する酵素です。(マルトースを単糖類であるグルコースに分解するのは、マルターゼという別の酵素です。) 酵素の主成分(アポ酵素)はタンパク質なので、高温にすると熱変性によって立体構造が失われ、酵素としてのはたらきも失われてしまいます。これを失活といいます。問2・問3ではアミラーゼは失活しているので、デンプンは分解されません。したがって、ヨウ素反応が起こり、青紫色に呈色します。
 グリコーゲンはαグルコースが長くつながった多糖類です。デンプン(アミロペクチン)よりも分岐は多いですが、グルコースどうしを結合しているグリコシド結合をアミラーゼは加水分解することが可能です。一方、セルロースはβグルコースが長くつながった多糖類です。セルラーゼで加水分解されますが、多くの動物は持っていないので、セルロースを分解することはできません。問5・問6は基質特異性を考える問題ですが、後者が分解されないことは予想できたものの、前者が分解されると予想するのは難しかったかもしれません。

2011年02月25日

考査時間割発表(選抜特進)

 考査1週間前になりましたので、考査時間割を発表しました。2週間前から計画を立てて準備をしています。朝礼で時間割をメモしていましたから、少しだけ計画を修正して、実行してくれることと思います。定期考査は自分がどこまで授業を理解できているかを見る指標です。自分の課題を見つけ、試験後に復習するように話をしています。2年生の準備を春休みにしっかりと取り組めるかどうかで、2年後の結果を左右することも自覚して欲しいところです。

 4日(金) 現文 生物 保健
 5日(土) 英Ⅰ 物理
 7日(月) 数Ⅰ 英演 地理
 8日(火) 古典 数A
 9日(水) 世史 化学

 考査にともなって、各科目から提出物などの連絡があります。

2011年02月04日

「みんなで夏の川さんぽ」結果レポートが届きました

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 選抜特進コースで夏に生物の課題の一つとして、「自然しらべ」に参加してもらいました。これは、15年前の長良川河口堰運用をきっかけとして、日本自然保護協会が5年おきに実施しているものです。4回目となる今年は河原の昆虫や外来生物に注目して川の変化を調べるものでした。全国で2246人が参加し、391ヶ所の川の様子を調べることができたようです。自分で足を運んで調べたものが集計されて手元に戻ってくれば、身近な問題として関心をもつことができるように思います。送付されてきた資料は参加者だけではなく、クラス全員に配布しました。(ネットでも一部を見ることができます。)
「みんなで夏の川さんぽ」結果レポート
YOMIURI ONLINE 2010/8/14 生き物から学ぶ水辺

2011年01月30日

選特化学 授業の補足13

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 化学電池の単元に入りました。(最近普及している太陽電池は物理電池です。)教科書では、1800年にIl Conte Alessandro Giuseppe Antonio Anastasio Voltaが最初の化学電池をつくったことになっています。そのきっかけとなったのは1791年にLuigi Galvaniがカエルの筋肉に2種類の金属を触れると痙攣がおこるという現象でした。Galvaniはこの「動物電気」は筋肉に蓄えられていたと考えていましたが、Voltaは筋肉の代わりに食塩水に浸した紙を2種類の金属で挟んでも同じように電流が生じることを確かめました。これが、電極に亜鉛と銅の2種類の金属を、電解液に硫酸または食塩水を使った「ボルタの電堆」の発明につながりました。

 電池には電子を放出する還元剤(負極),電子を受け取る酸化剤(正極),負極と正極をつなぐ導体(導線)が必要です。また、負極と正極を電解液に浸して接続しないと、電気回路はできません。ボルタ電池では、負極に亜鉛板,正極に銅板,電解液に希硫酸が使われています。酸化剤や還元剤が電解液に溶解する場合、拡散によって広がるため、酸化剤と還元剤が直接反応します。それを防ぐために、酸化剤と還元剤の容器は仕切り、素焼き板や塩橋で接続する必要がありますが、ボルタ電池ではそれが不完全です。

2011年01月29日

ウインターサイエンスキャンプ報告⑤

 最後は北海道・北見工業大学で「雪と氷の世界を体験しよう~雪結晶から地球環境まで~」を体験してきたN.T.くんの報告です。

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 ぼくはこのサイエンスキャンプでたくさんの貴重な体験をしました。まず、驚いたのは美しい自然です。とても静かで荘厳でありながら荒々しさもあり、本州とは全く違って、日本にもこんな所があるのかと思いました。そして、キャンプの参加者や講師の方々に会いました。いろいろなタイプの人がいて、最初は緊張しましたが、気軽に話しかけてくれたので、すぐに打ち解けられました。みんなが自分の意見をしっかり持っているなと強く思いました。また、勉強に対してすごく積極的で、恥ずかしがることもなく、少しでも多く自分の身で体験しようという姿勢の人がとても多かったです。
 実験や実習、講義はまだ知らないことばかりで完全には理解できませんでしたが、とても興味深かったです。特に印象に残っているのは積雪断面の調査です。科学の研究というのは決して派手ではなく、とても地道で大変な作業を何度も繰り返すものなのだと知りました。でも、自然を相手に真理を追究するのはとても夢のあることだと思いました。最後の討論発表も印象に残っています。2日目の夜中に屋外で自主的に観測していたという積極的な姿勢に感動し、到底及ばないと感じました。また、それぞれの発表に的確に問題点を指摘する姿に大学教授の権威を感じました。
 ぼくはこのキャンプでいくつかの大切なことを学びました。その中でも特に大きかったのが、人と接することです。3日間しか一緒にいないのですぐに打ち解けないといけません。ぼくは人付き合いはどちらかというと苦手なのですが、たくさんの人が話しかけてくれたので、ぼくも努力しました。その結果、いい関係を少しは築けたと思いました。また、意識したのは自分の意見をはっきりと伝えることです。初めて会った相手でも、お互いの信頼のため、いい研究のためには、それは必要なことだと思います。これからは、このキャンプで学んだことを日々の生活に生かしていきたいです。

 これまでに夏・冬でのべ6名が参加しました。日本中から集まった同じ思いをもつ高校生と出会うことができ、さまざまな体験を通じて成長できるイベントだと思います。長期休暇毎におこなわれていますから、今年は参加を検討してみてはどうでしょうか。(今春は締め切りました。)

2011年01月28日

ウインターサイエンスキャンプ報告④

 つくばにある産業技術総合研究所つくばセンターで「生きていることと生きること~遺伝子の世界と脳の世界~」を体験してきたM.I.さんの報告です。

 今回最も印象的だったのはブレイン・マシン・インターフェース(BMI)です。BMIとは脳波を計測することで体を動かせないような重度の身体障害を抱える人でも簡単に意思を伝えることができるような機器のことです。インターフェースの研究所ではニューロコミュニケーター、ニューロフィードバックシステム、電動車いすの3つを見せていただきました。
 ニューロコミュニケーターは8つの絵を見せ、その脳波を解析することでどのメッセージを伝えたいかが分かるという機器です。8つの項目から一つを選ぶと、次にそれより詳しい内容の項目が表れると言うように、3つの階層に分かれています。一度テレビで見たことがあったので、実際に見せていただいて感激しました。最近は持ち運びに便利な小型なものも開発されているそうです。しかしまだ、8種類×8種類×8種類の512種類の意思しか表示することができないので、いかに簡単に多くの意思を表示できるかが今後の課題だと思います。ニューロフィードバックシステムとはリラックスしたときに出るα線を計測しリラックスの訓練をするものです。これは実際に体験させていただきました。そして分かったことは、目を開けたままリラックスするのは難しいということです。アメリカなどでは目を開けたままリラックスし、一番いい状態にもっていけるよう、オリンピック選手の訓練などに使われているそうです。電動車いすは私が見たことのある電動車いすのように手でハンドルを操作するのではなく、頭を軽く傾けるだけで傾けた方向に車いすが動いていました。
 そして、1月7日の新聞にBMIの記事があり、技術がどんどん進化していることを知りました。これらは私が将来やってみたいと思っていたことに大変近く、BMIに携われるような職に就きたいと思いました。
また、線虫の受精卵のDNAを着色し、卵割を目の前で見ました。教科書で分裂の写真などを見たことはありましたが、リアルタイムで染色体が分かれる瞬間をみたのは初めてで、とても感動しました。早送りしたビデオなどではなく見ると、中期に染色体が赤道面に並んでから分かれるまでは本当に速いということを知りました。また、DNA(染色体)だけを見ると完全に分かれているのに、細胞を実際に見るとまだ全然分かれておらず、核分裂と細胞質分裂には本当に時差があるのだと分かりました。
 今回サイエンスキャンプに参加したことで、普通に暮らしていたら経験することのない実験や機器などを見ることができて、とても良い経験をすることができました。また、日本全国の同年代の人に会うことができ、とても充実し3日間を過ごすことができました。本当に参加して良かったと思いました。

2011年01月26日

高大連携講座単位認定

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 本校ではいくつかの大学と提携して講義を受けてもらい、それを高大連携講座として単位認定しています。今回は立命館大学と関西大学で受講していた生徒の単位が認定されました。高校1年生からは4名の生徒が参加しています。これからも大学へ足を運び、さまざまな体験をして欲しいと考えています。

2011年01月25日

ウインターサイエンスキャンプ報告③

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 つくばにある高エネルギー加速器研究機構加速器を使った実習を体験してきたK.E.くんの報告です。彼も昨夏に続いて2回目の参加となります。

 今回のサイエンスキャンプで印象に残ったことがいくつかあります。
 1つ目は霧箱の実習です。霧箱の放射線源が身近な所にある電球などに使われているマントルなどだったので驚きました。それに宇宙線を観測できたことが嬉しかったです。μ粒子などは地球に入ったら大気などに当たって崩壊してしまいあまり見ることができないと思っていたけれど、予想以上の量を見ることができました。
 2つ目は電磁気共鳴です。この実験では水のなかにある水素をヘルツホルムコイルなどの磁場を使い探すというものです。最初は発見することができませんでした。しかし何回も繰り返すとこによりやっと発見できました。そのときに実験はいつでも成功するものではなくて試行錯誤して成功させることにより、結果が出た時の喜びが大きくなるのだなと思いました。
 3つ目は素粒子などの性質です。スピンが半整数のもの同士が近づけば打ち消し合うのに、整数のもの同士が近づけば強めあうというのはおもしろい現象だなと思いました。それと光子は粒子であり波であるというのもおもしろいなと思いました。量子力学をやっていないのでなぜかと言われたら分からないけれども1つの物質が粒子や波のような2つの性質を示すのは不思議だなと思います。
 4つ目はたくさんの仲間ができたことです。自分と同じコースの人とはもちろん、他コースの人とも仲良くなれたのが良かったです。そしてその仲間たちと色々語り合えたことがなによりも貴重な体験だったと思います。
 普段ではなかなか触れることができない最先端の技術に触れることができて楽しかったです。たくさんのことを学ぶことができたのではないかと思います。しかし、量子力学の世界やCP対称性の破れなど理解しきれていないと思うのでこれから学んでいきたいと思います。そしてこのキャンプで学んだことを学校生活や普段の生活にいかしていきたいです。

2011年01月24日

ウインターサイエンスキャンプ報告②

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 鳥取大学 産学・地域連携推進機構で「風力発電」を体験してきたR.H.くんのレポートです。彼は昨夏にもサイエンスキャンプへ参加しています。
 今回のサイエンスキャンプに参加するまで、風力発電にはそこまで興味はなく、都市開発や計画といった仕事に就きたいと思っていたので、その中でこの風力発電を上手く使っていけたらいいと思っていましたが、このサイエンスキャンプに参加したことで、技術開発や研究といった仕事や、大学教授といった仕事にも少し興味がわきました。
 今回、風力発電についての体験だけかと思っていたのですが、乾燥地での土壌研究や農業研究などの施設見学もさせていただけたのは嬉しかったです。特に、夏のサイエンスキャンプで農業について様々な体験をさせてもらっていたので、乾燥地での農業についてもより深く考えると言ったこともできて、一見関係のなさそうな分野でも必ずどこかでつながっているということを実感できました。また、風力発電を間近で見学する貴重な経験もでき、風車の騒音もどのくらいのものなのかもわかりました。
 また、自分たちで小型風車を製作し、風洞実験でその性能を調べました。細かいはんだ付けの作業が多く、とても苦労しましたが、完成した時の達成感はその苦労以上に大きかったです。こういったことが技術開発の魅力の一つでもあるのではないかと思いました。また、翼の形状を自分たちで工夫して作ったので、一人一人のこだわりがよく出ていました。風洞実験で風車のデータを集めた後、データ整理をしたのですが、実験前の予想では、風車の回転数が上がると発電量やエネルギーの変換効率も上がるのではないかと思っていたのですが、実際は全く逆のデータが出てきて、その原因を考えるのがとても難しかったです。しかし、このように上手くいかないからこそ研究や技術開発はやりがいがあるんじゃないかと思いました。
 今回のサイエンスキャンプに参加して、大学の先生方や大学生、大学院生の方々と話をしていると、まだまだ自分の視野が狭いと思いました。だからこそ、サイエンスキャンプをはじめ、たくさんの経験をすることで、徐々に考え方を広げていけたらいいと思います。有意義な三日間でした。

2011年01月23日

ウインターサイエンスキャンプ報告①

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 科学技術振興機構が主催するサイエンスキャンプがこの冬もおこなわれました。これは先進的なテーマに取り組み、最先端の研究施設・実験装置等を有する大学・公的研究機関・民間企業の研究所が高校生を受け入れて、研究開発の第一線で活躍する研究者・技術者による直接指導をおこなう、本格的な実験や実習を主体とした、科学技術体験合宿プログラムです。本校からも数名の応募があり、この冬は4名が参加しました。明日以降、彼らの報告をアップします。

2011年01月21日

選特生物 授業の補足14 センター試験解説後半

続きです。
第2問
問4 実験から導かれる結論を問う問題です。知識だけでは解けません。実験1で分かることは、標識された細胞が口と骨片の周辺にしかないことから、これらが小割球に由来する細胞であることだけです。このことに矛盾しない記述は②だけですね。
問5 こんどは複数の実験から結論を導き出します。実験2では未受精卵に精子の運動を激しくする作用があることはわかりますが、未受精卵の何がはたらいているかはわかりません。実験3でゼリー層を取り除くと運動を激しくする作用が消え、実験4でゼリー層だけ加えると作用が見られることから、ゼリー層にこのはたらきがあることが予想されます。同様に先体反応もゼリー層によっておこることがわかります。以上のことから⑤が正しいと言えます。
問6 実験5では精子の運動性の上昇を引き起こす物質Xと先体反応を引き起こす物質Yの半透膜を透過する性質を調べています。半透膜は分子が小さければ透過しますが、大きければ透過できません。激しく運動したので、外側の海水にXは透過しています。先体反応が起こらなかったので、Yは透過できなかったと考えたいところですが、この選択肢はありません。透過したけれども量が少なかったかもしれない可能性も考えると、Yについては分からないとなりますから②を選ぶことになります。
第3問
問1 授業で扱っているところなので易しかったでしょう。ハーシーとチェイスの実験では、殻のタンパク質のSと内部のDNAのPを放射性同位体で標識して、菌体内に入った物質を特定したのでした。
問2 ハーシーとチェイスの実験以前に遺伝子の本体がDNAであることの可能性を示した実験は、アベリーが肺炎双球菌で形質転換を引き起こす物質を調べたものでした。
問3 常染色体上にありますから、伴性遺伝の可能性はありません。子の世代の右端の夫婦について、ウェット型どうしでドライ型が生まれていますからウェット型が優性で、bはヘテロであることがわかります。aはウェット型ですが、ホモかヘテロかは不明です。したがって⑤が正解となります。
問4 伴性遺伝の性質を考えます。女子は両親からX染色体を受け取りますから、父親が形質Hを示さなければ娘は形質Hを示しません。しかし、男子は母親からX染色体を受け取るだけですから、母親がヘテロならば形質Hを示しませんが、息子は1/2の確率で形質Hを示すことになります。
問5 組み換え価の計算です。劣性ホモを掛け合わせた検定交雑をおこなっているので、(4+4)/(21+4+4+21)*100=16%です。
問6 kv間とpk間の組み換え価が出ているので、pv間の組み換え価が出れば三点交雑によって3つの遺伝子の位置関係は求まります。リード文と同じようにヘテロと劣性ホモの組み合わせを考えればよいので、①になります。

2011年01月20日

選特生物 授業の補足13 センター試験解説前半

 大問が5問、小問が32問でした。こちらも60分間のテストですから、1問を2分弱で解くことになります。昨年度は易しくて、平均も69.7点と高かったのですが、今年は問題文が長くなり、図が増えたこともあって昨年度よりは少し難しくなりました。大問は「細胞」「生殖と発生」「遺伝」「刺激に対する動物の反応」「環境と植物の反応」からそれぞれ20点分ずつの出題です。現在の授業の進度では第3問まではできそうです。

第1問
問1 細胞の構造に関する問題です。諸説ありますが、核の発見者はブラウンです。核,ミトコンドリア,葉緑体は二重の生体膜構造が特徴です。核膜には核膜孔とよばれる穴があいていますから、正解は⑦になります。ひだ状の突起というのはミトコンドリア内膜のクリステを指しています。
問2 細胞に含まれる色素についての知識問題です。①クロロフィルは有機物合成(光合成)に関与します。③ヘモグロビンは赤血球に含まれます。④色覚に関与するのは錐体細胞です。
問3 サフラニン液は木化した細胞壁を赤く染める染色液です。
問4 体細胞中の細胞の大きさの変化とDNA量の変化のグラフが与えられています。DNA量の変化から体細胞分裂のステージを考えればそれほど難しくありません。DNA量が2倍になる時期が間期の一部であるS期、半減するのは終期が終わったときです。凝縮した染色体が観察されるのは前期なのでク,細胞質分裂が完了すると細胞の大きさが半減しますからコとなります。
問5 卵割の特徴の1つが分裂中に成長しないので、割球(娘細胞)が半減することです。DNA量の変化は体細胞分裂と同じですから、グラフは①になります。
問6 卵細胞には卵割に必要な物質があらかじめ準備されているので、G1期はなく、G2期も短いのが特徴です。分裂速度は速いので①は誤りです。また、同調分裂がおこなわれるのも特徴ですから、②も誤りです。相同染色体が対合するのは減数分裂の特徴ですから④も誤り。ウニは第三卵割まで等割で、8細胞期は同じ大きさの割球になります。(16細胞期の細胞は3種類の大きさに分かれます。)
第2問
問1 ①は雄原細胞ではなく精細胞、②は助細胞ではなく卵細胞、④は胚乳ではなく胚、⑤は無胚乳種子でも重複受精はおこなう。⑥は有胚乳種子でも子葉がある。ということで③が正解です。
問2 精細胞から精子に変形するときに細胞質の多くを失いますが、核・ミトコンドリア・細胞膜はありますから、③④⑤は誤り。減数分裂第2分裂の途中で停止した二次卵母細胞が受精しますが、精子の方は減数分裂が完了しているので②も誤りです。
問3 灰色三日月環は第1卵割が始まる前にでき、原口背唇部になる部分です。受精で消失するとする①は誤り。両生類の分化の決定は胞胚期と比較的遅い調節卵なので②も誤りですね。外胚葉が表皮と神経に分化するとき誘導に関わるのが中胚葉である脊索ですから③も誤り。眼胞が表皮を水晶体に誘導すると同時に自身は網膜に分化しますから⑤も誤りとなり、答えは④となります。初期の原腸には中胚葉の二次間充織になる細胞が含まれているのですが、この知識はなかったかもしれませんね。

センター試験生物の問題はこちら(YomiuriOnlineにリンクしています)

2011年01月18日

選特化学 授業の補足12 センター試験解説

 大問が4問、小問が28問でした。60分間のテストですから、1問を2分で解くことになります。幅広い出題分野から出題されることと、解くスピードが要求されることがセンター試験の特徴です。大問は「物質の構成」「物質の変化」「無機化学」「有機化学」からそれぞれ25点分ずつの出題です。現在の授業の進度では第2問の問6から後はまだ難しいでしょうね。

第1問
問1a 選択肢が有機化合物だけなので、知らない物質が多いかもしれません。電解質とは水に溶かしたときに電離する物質のことです。酸や塩基,塩などを考えると良いでしょう。③サリチル酸はカルボン酸の一種で、酸のはたらきをします。
  b それぞれの物質の化学式(構造式)が分かれば単結合の個数は分かります。①C2H2は2(C原子間は三重結合),②C2H4は4(C原子間は二重結合),③HCOOHは3,④CHCl3は一般にクロロホルムとも言われる物質で4,⑤CO2は0,⑥CH3OHは5
問2 典型元素は1族,2族,12族~18族の元素を指します。①~④は典型元素を金属元素・非金属元素に分けたときの境目を示しています。
問3 ボーアモデルで元素を示しています。aは窒素,bはフッ素,cはネオン,dはナトリウムですね。窒素分子の共有電子対が3なので②が誤りです。最外殻電子数と価電子数は必ずしも一致しないので気をつけてください。④は価電子数0なので正しいです。
第2問
問1 光合成反応の反応熱を与えられた式から求める問題です。類題を冬休みの課題で出しているので、【8】の解説を参考に計算してください。1273-394*6-286*6=-2807
問2 生成熱・融解熱・蒸発熱が分かっていればそれほど難しくありません。⑤はエネルギー図を描けば分かりますが、上からH2+1/2O2, H2O(g), H2O(l)の順に大きくなりますから誤りです。
問3 メタノール64gは2molですから、完全燃焼によって発生する熱量は726kJ*2です。10%が温度上昇に使われるので、20℃から726kJ*2/4.2J/1000g/kg=34.6℃温度上昇します。
問4 今ちょうどやっているところですね。還元剤としてはたらくということは、自分自身は酸化されているので、酸化数は増加するものを選びます。下線部の物質に含まれる原子について考えてください。①H +1→0,②Cl 0→-1,③O -1→-2,④O -1→-2,⑤S +4→+6,⑥S +4→0なので⑤です。
問5a これも実験をしたから分かりますね。共洗いすると濃度は変化しませんが、液が残る分だけ物質量が変化します。①や④は濃度変化を避けたいので共洗いをしますが、③はビーカーに残る水酸化ナトリウムの分だけ酢酸が中和されてしまうので誤りです。(ビーカー内部を酢酸で洗うのもだめです。)
  b 溶液Cを10.0mL中和するのに0.110mol/Lの溶液Dを7.50mL使ったから、溶液Cの濃度は0.110mol/L*7.50mL/10.0mL=0.0825mol/L。溶液Aを10倍希釈して溶液Cを作ったので、溶液Aの濃度は④0.825mol/Lとなります。

センター試験化学の問題はこちら(YomiuriOnlineにリンクしています)

2011年01月10日

選特生物 授業の補足12

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 昨日の続きです。今日は核酸の分子構造について、もう少し補足をしておきます。核酸は糖・リン酸・塩基で構成されるヌクレオチドが重合してできた高分子です。糖はDNAではデオキシリボース,RNAではリボースが利用されています。デオキシリボース,リボースともに五炭糖に含まれる単糖です。この五炭糖の1位にプリン塩基やピリミジン塩基が結合したものをヌクレオシドといい、ヌクレオシドにリン酸基が結合したものをヌクレオチドといいます。

 塩基には大きく分けて2種類あり、六員環と五員環からなるプリン骨格をもつものがアデニングアニン,六員環からなるピリミジン骨格をもつものがチミンシトシンウラシルです。授業では、分子の大きさの違いと水素結合の数の違いに注目するように話をしましたが、有機化学を学んでいないので、イメージしにくかったかもしれません。それぞれの塩基の分子モデルにリンクを張っておきますので、参考に見ておいてください。

2011年01月09日

選特生物 授業の補足11

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 DNAが遺伝子本体であることの証拠として、Oswald Theodore Averyが1944年におこなった形質転換の実験と、Alfred Day Hersheyが1952年にMartha Chaseとおこなった実験が挙げられます。今年最初の授業では、形質導入について簡単に説明したのち、DNAの分子構造のうち、ヌクレオチドを解説しました。

 形質導入transductionはファージが感染した細菌に遺伝子を導入する現象です。細菌にファージやプラスミドなどのベクターを利用して外来遺伝子を導入することが可能となりました。これがバイオテクノロジーの発展に有意義であったことはいうまでもありません。大腸菌を利用した遺伝子組換えではDNAを特定の部位で切り出す制限酵素やDNA断片を結合するDNAリガーゼの発見とともに重要な基礎技術となりました。そのとき、ベクターに薬剤耐性遺伝子を導入しておくと、形質導入した細菌を選択的に得ること(スクリーニング)が可能になります。このような遺伝子をマーカー遺伝子とかレポーター遺伝子といいます。マーカー遺伝子には薬剤耐性遺伝子、レポーター遺伝子には緑色蛍光タンパク質(GFP)やルシフェラーゼ遺伝子などがよく利用されます。緑色蛍光タンパク質は下村脩先生がオワンクラゲから抽出して有名になりましたね。薬剤耐性遺伝子としてアンピシリン耐性ampとテトラサイクリン耐性tetをもつプラスミドが最初の図に示しているpBR322です。

2010年12月27日

選特化学 授業の補足11

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 冬期講習では「熱化学」と「中和反応」2つのテーマを取り上げました。中和反応の講義では「酸性雨」のことに少し触れましたが、どのような現象かを確認しておきたいと思います。

 「酸性雨」は大気汚染によって発生するpH5.6以下の強い酸性の雨のことです。酸性雨の原因は化石燃料の燃焼や火山活動などにより発生する硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)などです。硫黄酸化物は石油や石炭を燃焼させるときに発生するほか、鉄や銅の精錬でも発生するため、工場や発電所が密集する工業地帯で多く観測されます。窒素酸化物は自動車の排ガスに含まれるので、都市部で多いと考えられます。

 19世紀の産業革命時のイギリスでは「マンチェスターのスモッグ」として大気汚染が問題視されるようになりました。公害問題を解決するために、西ヨーロッパやアメリカ東部では、工場の煙突を高くする措置がとられるようになりました。これが国境を越えて、北ヨーロッパやカナダに酸性雨を降らせるようになった原因と考えられています。公害という国内問題が環境破壊という国際問題として認識されるようになった結果、1972年にストックホルムで「国連人間環境会議」が開かれました。「かけがえのない地球 Only One Earth」というスローガンはそのときのものです。開催日の6月5日は環境の日となっています。

 化学,地理,歴史…それぞれの知識をつないでいかないと、智慧になりません。知識を集めるだけではなく、それを生かすためにはいろいろな分野に興味と関心を持ち続けることが大切です。この冬に新聞や書籍を読むことがその一歩になると思います。

2010年12月24日

冬期講習は無事終了

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 授業の合間にスナップを撮ってみました。今終わった授業の内容を確認する者,次の授業の準備をする者,ホッと一息ついて周囲と談笑する者とさまざまですが、充実した時間を過ごしてくれているようです。問題は冬期講習が終わった後です。受けることが目的になっているだけならば、それで終わってしまいます。自分自身の課題を見つけて、冬休みに何をするべきかを考える機会としておこなっているので、明日以降の学習でどのように反映されてくるか…少しだけ心配も残りますが、きっとしっかりと取り組んでくれるものと期待しています。

2010年12月23日

冬期講習も佳境に

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 祝日の今日も冬期講習は続いています。連日100分授業を3コマずつ受けたあと、自分がどこまで理解できているかどうかを2時間の自学自習で確認します。講義の間は受け身になりがちですが、自学自習は自分一人で進めていかなければなりません。最後に確認テストを受けますが、どこまでできるようになったかを自分で確かめるためのものです。出題した授業担当者には答案用紙の提出もしませんし、試験中に試験監督もつきません。誰のための講習かを自覚しているので、これでやっていけるのは成長の表れかなとちょっとうれしく思っています。

2010年12月21日

冬期講習スタート

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 選抜特進コース,特進Ⅰコースそれぞれに冬期講習を開始しました。選特は全員参加で国語・英語・物理・地理を、特進Ⅰは希望者を対象に英語と国語をそれぞれ受講しました。初日でしたが、しっかりと取り組めたようです。選抜特進は朝8時30分から夜6時30分までハードなスケジュールでしたので、最後は疲れが表情に出ていました。明日にはまた頑張ってくれると期待しています。

2010年12月17日

百人一首大会顛末

 水曜日におこなわれた百人一首大会 H1F vs J2A, J2Bは一人あたりの取り札では高1が勝ったものの、取り札の合計では中2が多く、互角の結果となりました。上級生の貫禄はかろうじて保てましたが、積極的に取り組んできた中学2年生に圧倒されている場面もみられ、どちらにとっても有意義な交流となったようです。初代カルタクイーン?は50枚以上をとったY.W.さんでした。お見事!
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2010年12月15日

本気で取り組むからかっこいい

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 5限の古文の授業で百人一首大会をおこないます。相手は中学2年生80名。数も多いですし、ちょうど百人一首を習っているところなので、2年後輩とは言えども、油断はなりません。1限のLHRでは期末考査の振り返りもそこそこに上の句と下の句を合わせ始めました。授業でも、行事でも、部活動でも本気で取り組むのが、F組のクラスカラーだと思います。さて、結果はいかに。

2010年12月12日

選特生物 授業の補足10

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 分子生物学に入りました。最初なので研究の歴史を年表でなぞりました。1958年にFrancis Harry Compton Crickが提唱したCentral dogmaがエポックメーキングとなって、一気に発展した様子は理解してもらえたと思います。Central dogmaは以前このブログで紹介していますので、復習しておいてください。
「選特生物 授業の補足 2」

 バイオの時代と言われて久しいですが、生き物に関わる研究で分子生物学の知見を無視することはできません。細胞,発生,遺伝,生理…どの分野においても、DNAやタンパク質などの高分子のはたらきを意識しながら研究を進めています。その研究が食品や医療だけではなく、材料工学やエネルギーにも関与している現状を考えると、来年、生物を選択した理系の生徒だけが学ぶ内容ではないと思います。中高生向けにバイオテクノロジーの可能性を解説したサイトを見つけましたので、参考にしてください。
財団法人バイオインダストリー協会「みんなのバイオ学園」

2010年12月07日

駿台模試結果返却

 考査最終日でしたが、終礼で10月に受験した第2回駿台全国模試の結果を返却しました。進研模試よりも問題の難度が高いので手応えはまったく持てずにいたようで、渡された結果を恐る恐る覗いていました。思ったほど酷い結果でもなかったものの、やはり厳しい現実を突きつけられたようです。志望校判定も出ていますので、自分たちの目標の高さも再認識できたかな。科目別に見るとかなり良い成績を取っている生徒もいるのですが、気分良く帰ることはできなかったみたいです。第3回は1月末にありますが、個別に申し込みとなっています。冬休みに力をつけて、再チャレンジできるかなと期待しています。

2010年12月06日

冬の個人懇談(選抜特進)

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 今日の終礼で保護者の皆さまとの個人懇談について、連絡をしました(プリントは配布していません)。今月の21日~24日におこないます。ご家庭のご都合を聞いていただいた上で,お子さまが教室に貼ってある予定表に記入することになっています。確定したところからご案内のプリントを差し上げます。なお、同日程でお子さまたちは朝8時30分から夕方18時30分までの冬期講習に参加していますので,三者懇談を希望される場合は20日午後にお願いします。2学期の成績をお渡しして,進路についてのお話しをさせていただく予定です。お忙しい時期ですが,よろしくお願いいたします。

2010年12月01日

進路学習(選抜特進コース)

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 1限のLHRでは特進コースと同じように進路学習をおこないました。
まず,12月11日(土)に実施する進路学習「職業人に学ぶ」の受講講座を確認し,講師の方への質問を考えてもらいました。次に,「じぶん未来BOOK」とワークシートを使って,将来のことを考えてもらいました。十分な時間はなかったので,これは次回に継続です。最後に11月に実施した進研模試の答案と個人成績票を返却して,自分の状況を確認し、今後の学習に反映できる方法を考えてもらいました。明日からの定期考査にすぐ結果は出ませんが、大切なステップだと思っています。

2010年11月29日

短歌の発表 選抜特進版

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現代文の授業で、教科書に載せられた短歌の鑑賞を発表してもらいました。パワーポイントもOK,小物もOKというと工夫を凝らした発表がなされました。中には空欄補充のプリントを作成した班もありました。もう少し「声を張る」「強弱をつける」などができればさらによかったかなと感じました。

2010年11月27日

選択希望調査締切(選特)

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 週末までに選択希望調査を提出してもらいました。自分の進路を自分自身で考えることが大切ですので、理文や選択する科目だけではなく、なぜその選択をするのかを志望理由としてB5一枚に書いてもらいました。何もかもが分かっているわけではなく、不確定な要素をたくさん含んだまま物事を決めていくのは大人でも難しいことは承知の上で、高校生である彼らに決定を迫りました。とても悩んでいるようです。何度も何度も相談に来る生徒、友達と放課後に遅くまで話をしている生徒を見かけました。でも、ここでしっかりと将来を考える事で、目的意識を持って大学進学に臨めます。授業の内容もずいぶんと難しくなり、進度も速いので、日々を悪戦苦闘している彼らですが、着実に力はつけています。自分で決めた道ならば、最後まで突き進んでくれるものと期待しています。

2010年11月23日

選特生物 授業の補足9

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 古典的なメンデル遺伝を一通り終えましたので、期末考査までの授業で変異や進化を扱っています。「遺伝」の単元では遺伝子は親から子へそのまま伝えられますが、「進化」の単元では遺伝子プールに含まれる遺伝子頻度が変化します。扱う時間が異なることがポイントになります。進化についての基本的な知識はJSTバーチャル科学館の「進化って何だろう」を参考にしてください。

 ヒトの進化については三井誠さんの「人類進化の700万年」を紹介しました。世界史でも最初の授業で扱いますが、新しい知見が増えるたびに書き換えられる分野でもあり、興味が尽きません。

2010年11月19日

選特化学 授業の補足10

 先週から引き続き、中和滴定をおこないました。今回は調製したシュウ酸標準溶液を使って、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を滴定で求めるための操作をおこないました。最初は要領がつかめなくて、終点を過ぎるほど水酸化ナトリウム水溶液を加え、ビーカーを真っ赤に染めていましたが、段々と上手に滴下するようになっていきました。2人一組で実験してもらいましたが、すべての班が時間内に片付けまでできたので、上出来だと思います。来週、この結果をレポートにまとめてもらいます。

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2010年11月14日

選特生物 授業の補足 8

 授業で伴性遺伝を取り上げましたので、興味のある生徒により掘り下げてもらうために、福岡伸一先生が書いた「できそこないの男たち」という新書を紹介しました。タイトルは過激ですが、内容は、分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら≪女と男≫の≪本当の関係≫に迫る…というものです。光文社から出ています。

 福岡伸一先生の作品は専門的な内容を含んでいますが、文章が上手なので、それを意識させず、高校生にも読みやすいのではないかと思います。講談社現代新書から出ている「生物と無生物のあいだ」やNHKの番組から作られた「生物が生物である理由」などはお勧めかなと思います。

2010年11月07日

選抜特進コース懇談会

 土曜日は高校1年各コースで懇談会を開催いたしました。どの会場でも90分間、熱心にお話しを聴いていただきましたこと、感謝しております。選抜特進コースにおきましても、3F生物実験室で40数名の方に参加していただくことができました。

 まず、これまでのコースでのお子様たちの様子を写真を交えながら報告させていただきました。200枚近いスナップを2秒間隔で流しながらでしたので、ゆっくりと見ることはできませんでしたが、表情から充実した高校生活を送っていることを実感していただけたかと思います。

 次に、次年度の理文選択について、大学入試制度と関連づけて説明しました。受験対象が比較的まとまっているクラスですし、理文のどちらを選択しても5(6)教科7科目を受験できるように準備していくことに変わりはありませんので、お子さまとご家庭でお話ししていただくための基本的な知識の再確認といったところでしょうか。
 2012年度以降のセンター試験出題方式
 2012年度東京大学入試科目
 2012年度京都大学入試科目
 2012年度大阪大学入試科目  いずれも河合塾Kei-Netより

 成績票の見方については、お子さまの頑張りを評価するための資料として活用していただきながら、的確なアドバイスをしていただくためのポイントをいくつかお話しさせていただきました。素晴らしいお子さまを今日まで育てておられる親御さんにとっては、取り立てての内容だったかもしれません。気になっておられることがあれば少しでも役立つかも…というつもりでお話ししました。

 最後に行事予定を簡単に説明して、ほぼ予定通り終了いたしました。実験室でしたので丸イスに90分間座っていただくことになり、申し訳ありませんでした。プロジェクターではなく、電子黒板を使ってみましたが、画面が低かったかもしれません。今後の課題とさせていただきます。これからもよろしくお願い申し上げます。

2010年11月05日

選特化学 授業の補足 9

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 今日の7限は化学実験室でおこないました。最終的には中和滴定によって食酢の濃度を求めたいのですが、基本的な操作から取り組むことになります。今日はシュウ酸標準溶液の調製だけで終わりました。シュウ酸を電子天秤で量り取り、メスフラスコに入れるだけのことですが、慣れない操作に手間取って、授業時間は20分以上超過しました。(超過すると予想して7限にして正解。)でも、経験しないと分からないことはたくさんありますから、来週以降も実験を続けてもらう予定です。

 インターネットに動画が流出してちょっとした騒ぎになっていますが、ネットを使った動画の配信は家庭学習においては効果的です。以下にリンクを張っておきますので、京都大学に感謝しながら復習のために視聴しておいてください。
 電子天秤の操作
 メスフラスコによる標準溶液の調製
 ホールピペットなどの器具の共洗い

2010年11月03日

進研模試振り返り

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 第2回進研模試の基準日が過ぎましたので、月曜日に問題冊子を返却し、正解解説をお渡ししました。昨日、自己採点を提出し、今週中には振り返りをするように指示しています。校外模試は対外的な学力を計る大切なツールです。自分の弱点を意識しながら準備をして受験し、受験後は明らかになった問題点を解決することの繰り返しで、実力は身につきます。受けっぱなしで、返却された結果を見て一喜一憂してもあまり意味はありません。学校の授業をまじめに受けているかどうかを問題にしているわけではありません。自分自身の状況を客観的に把握したときに、志望する大学進学へ向けて何が不足しているのかを自覚することが大切なのです。

 今週末の選抜コース懇談会ではさまざまな試験の成績票をお渡ししますが、どのように見て、どのようなお話しをしていただくのかをお伝えしたいと考えております。

2010年10月17日

センター試験研究会

 先週末、予備校で行われた進路指導研究会へ参加してきました。テーマは「2012年度大学入試センター試験新方式について」です。2013年度入試を受験する高校1年生の進路にも大きく影響しますから、情報収集は重要です。2015年度以降は新学習指導要領に移行しますが、それも意識したような今回の変更については、これからも目が離せません。

 変更点は大きくまとめると2点になります。1つは地歴1科目,公民1科目から地歴・公民から最大2科目へ選択方式が変わることです。1科目受験なのか2科目受験なのかは10月出願時に登録することになります。これは受験希望科目を申請している現状とは異なり、後日変更ができません。また、公民に「倫理,政治・経済」という科目が新設されます。(従来の「倫理」,「政治・経済」とは別です。)多くの難関大学では、地歴4単位科目(世史B,日史B,地理B)+「倫理,政治・経済」から、文系は2科目,理系は1科目という指定になりそうです。

 もう1つの変更点は理科のグループ制が廃止され、理科6科目から最大2科目へ選択方式が変わることです。事前登録と変更不可は地歴・公民と同じです。理科3科目を課す一部の医学部医学科以外はそれほど混乱しないと思います。

 とはいえ、大学も中堅校を中心に様子見をしているような雰囲気があり、実際の募集では変更することも予想されます。来年度の選択を始めていますので、受験で不利にならないようにすでに生徒には情報を流し始めています。保護者の皆様には11月6日の懇談会でもお話しさせていただく予定です。

2010年10月07日

ノーベル賞発表の季節②

医学生理学賞の候補にはiPS細胞を作成した山中伸弥 京大教授の名前も挙がっていましたが、残念ながら受賞には至らなかったようです。京大にはもう一人、化学賞候補に北側進教授の名前が挙がっていましたが、北海道大学の鈴木章教授ら3名にきまったようです。クロスカップリングとよばれる有機物の合成方法を開発したことが評価されました。

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物理学賞の受賞者はグラフェンを作り出したAndre Geim博士とKonstantin Novoselov博士に決定しましたね。炭素の同素体として、ダイヤモンドとともにグラファイト(黒鉛)を取り上げましたが、グラフェンはグラファイトの1層分だけでできている極薄の物質です。フラーレンやカーボンナノチューブなどの新素材が注目されていますが、グラフェンも熱や電気の伝導性が高く、さまざまなところに利用されそうです。

2010年10月05日

ノーベル賞発表の季節①

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 今年もノーベル賞が発表され始めました。医学生理学賞には体外授精IVFの先駆者であるRobert G. Edwards博士が選ばれました。世界初の試験管ベビーとしてセンセーショナルにマスコミに取り上げられたのは1978年のことでした。人工授精については、生殖医療についてレポートを書く夏の課題の一つとして挙げていたので、調べた人もいましたね。倫理的な問題を孕んではいますが、すでに不妊治療は一般的におこなわれており、それによって生を受けた人も珍しくはありません。

2010年10月03日

東大・京大入試動向研究会

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週末に予備校で行われた東大・京大入試動向研究会に参加してきました。詳細についてはいずれお話しする機会もあると思いますが、高校1年生として知っておいて欲しいことをアップしたいと思います。

東京大学の前期での募集は文系が約1200人,理系が約1700人です。京都大学の場合も募集人数は約3000人弱です。それに対する志願者は3倍前後ですから9000~10000人くらいが受験を志すわけです。入学者のうちで現役生が占める割合はいずれも6割強ですから、3人に2人ということになります。中学入試・高校入試とは比較にならない規模で入試がおこなわれるのです。

東京大学の場合、満点550点のうち、センター試験分は約100点です。配点だけ見ると二次の得点力に意識がいきますが、合格者と不合格者のセンター得点率に有意差が出ていることから、センター試験を軽視するのは危険です。同じことは京都大学の結果にも出ています。センター試験の科目を考えると、高校1年・2年での授業を大切に受けておくことがいかに重要かが分かると思います。

進路を考える上で避けることのできない大学選び。自分の希望する大学へ進学するためには、入試の時点でそれに見合う学力が必要であるという当たり前のことを意識しておいて欲しいと思います。

2010年09月30日

選特生物 授業の補足 7

FlowingRedBloodCells.jpg ABO式血液型の遺伝について説明したので、凝集反応についても併せて説明しました。

 ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在します。前駆体からH鎖を形成する遺伝子は第19染色体に存在し、それがそのまま修飾されなければO型になります。A遺伝子を持っている場合は、A型転換酵素が発現してH鎖がA鎖に修飾され、B遺伝子を持っている場合は、B型転換酵素が発現してH鎖がB鎖に修飾されます。

 A鎖やB鎖,H鎖といった糖鎖は赤血球だけではなく、通常の体細胞にも存在します。この糖鎖が免疫における抗原(=凝集原)となり、抗体形成の原因となります。例えば、A鎖をもたない人はA鎖に対する抗体が血漿中に形成されます。これが授業中に「凝集素α」と説明した物質です。凝集原であるA鎖を持つ赤血球が、凝集素αを含む血漿に入ると、「凝集反応」と呼ばれる抗原抗体反応が起こって、赤血球は互いに接着して塊状になるのです。

2010年09月27日

選特化学 授業の補足 8

 ヘスの法則 Hess's Law を扱いました。この法則はヘス Germain Henri Hess が1840年に発表しました。内容はマイヤーが提唱した「ある閉じた系の中のエネルギーの総量は変化しない」とする熱力学第一法則と同じですが、提唱したのが2年ほど早いことには注目するべきでしょう。

 ヘスは水と硫酸の混合比を変えて発生する熱を測定し、化学反応の反応熱は反応前後の状態のみで決まり反応経路によらず一定であることを実験的に確認しました。この法則の有用性は、少数の既知の反応熱を用いて、未知の反応熱を導くことが可能になることです。ということで、その練習のための課題を出しましたが、使えるようになりましたか。基準になる状態を決めて、エネルギー図を描くとわかりやすいですよ。

2010年09月20日

選特生物 授業の補足 6

 発生学を終わって、先週から遺伝学に入りました。前半は古典的なメンデル遺伝学を扱います。1865年にオーストリアの司祭であったメンデルGregor Johann Mendel がメンデルの法則を発表するまでは、遺伝形質は交雑とともに液体のように混じりあっていくと考えられていました。これを混合遺伝といいます。メンデルの業績はこれを否定し、遺伝粒子(彼はこれを element と呼びました。現在の遺伝子に相当します。)によって受け継がれるとする粒子遺伝を提唱したことです。

 国立遺伝学研究所に「遺伝学電子博物館」という生徒向けのサイトが用意されています。遺伝学がどのように社会とつながっているのかということに興味を持ってもらえればと思います。

2010年09月19日

選特化学 授業の補足 7

 熱化学に入りました。化学反応では原子間の結合関係が変化します。
AB + C → A + BCという化学反応でエネルギー図を描くと、下のようになります。A, B, Cがすべてバラバラになっているときに粒子に蓄えられている位置エネルギーを基準にしています。
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図からわかるように結合関係が変わると、Q=QBC-QABだけ位置エネルギーは変化します。AB間の引力とBC間の引力の大きさは異なるので、これらを引き離すのに必要なエネルギーは異なります。すなわちQAB≠QBCなので、Qは0ではありません。このように、集合状態が変わると、集合状態をもたらしている引力の大きさが異なるためにエネルギーの出入りがあります。エネルギーの収支は一般に運動エネルギーでおこなわれるので、熱の出入りとしてみられることになるのです。これが反応熱です。

2010年09月17日

サマーサイエンスキャンプ報告③

 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センターで実習をしたR.H.くんのレポートです。

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 今回のサイエンスキャンプの中で最も印象深かったのは、慣行水田と有機水田における生態系の形成に大きな違いがあった点です。この二つの水田に生息する生物を調べる為、三つの方法で生物を採取して調べてみると、有機水田にはハエやヤゴ、クモなどの昆虫が多く見られた一方、慣行水田には昆虫がほとんど見られず、ヤゴなどの被食者となるカエルやオタマジャクシが多く見られました。これは、イネの害虫となるウンカの発生を抑えるために昆虫に効く農薬を使用したためで、農薬一つ使うか使わないかでここまで棲んでいる生物が変わり、それぞれの環境に応じて生物が多様な生態系をつくっていることに驚きました。
 また、水田の植物についても調べました。雑草や埋土種子の採取を行い、調べたところ、雑草は水生と陸生にわかれていて、このことを考慮すると畑から水田への転向によって埋土種子の発芽が抑えられ、元々水生雑草が少ないため、選択的な除草剤の使用で雑草の繁茂が防ぐことができ、植生を上手く利用すれば、慣行農法もありなのではないかと思いました。
 他にも、水田の全体の様子を調べるために簡易空撮気球を使って空撮をしました。上空からの写真を見ることでで、イネの生育状況がわかり、肥料の使用量を調整できるそうです。農業といっても、色々な分野が深くかかわっていると思いました。
 今、食の安全が注目されるようになり、その影響もあって有機農業に注目が集まっていると考えていましたが、実際、有機農業に期待されていることは他にもあり、半永久的に持続可能な農業というものを考えた時、慣行農業では化学肥料によって土壌荒れてしまうので限界があり、逆に有機農業は生態系を上手く利用することでそれが大いに可能だということ、農薬にアレルギーがある人が安心して野菜が食べられることなど、より広い点で期待されていて、農業でも何に対しても、広い視野で見ることが大事だとあらためて思いました。また、有機農業でも慣行農業でも作物の栄養価や味に大きな差が出ないこと、有機農業は慣行農業に比べて生産性が低くなってしまい、安定した生産を確保するために長い年月を要すること、有機農業を行っている農家に対して国からの補助が降りないことなどから、有機農業を行う農家が少ないといった問題もあるそうです。期待もあるけど、デメリットが多いのは一つの課題だと思いました。
 そして、研究者の皆さんが日々研究をしている現場に実際に行けたことは貴重な経験だと思います。本当に研究内容が多様で、それぞれとてもやりがいのある仕事だと思いました。また、この経験は自分に大きな影響を与えてくれました。とても充実した三日間でした。

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2010年09月16日

サマーサイエンスキャンプ報告②

 東海研究開発センター原子力科学研究所,那珂核融合研究所で実習をしてきたK.E.くんのレポートです。

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 霧箱では過冷却のアルコールが放射線であるα線で衝撃が加わることにより液体に変わり、それで放射線の飛跡を見ることができるということが分かりました。
マニピュレータは操作するのがとても難しかったです。自分の名前を書くのでさえ苦労しました。でも実際にそこで働いている人は簡単そうに操作しているのを見てすごいなと思いました。このようなスキルが最先端の技術を支えているのだなと実感しました。
陽電子加速器で行われている中性子の研究やニュートリノの研究などで、今までは原子核の中にはたくさんの物質はないと思っていたけど中間子や陽子はクォークからできているなど色々なことを学ぶことができました。まだ分かっていないことも多いと説明されていたので、今の技術でも解明されていないことはたくさんあるのだなと思いました。
那珂研究所では超伝導体のピン止め効果が凄かったです。それと電子レンジでプラズマ状態を作り出したのにも驚きました。核融合反応では太陽とは違い重水素と三重水素をプラズマ状態にしてから加速させ、それらをぶつけることによりエネルギーを作り出すということを学びました。
放射線は身近な所にあるのだなと思いました。今までは原子爆弾やチェルノブイリ原発事故など日常の生活とは離れたところにあり、怖いものと思っていましたが、使い方を間違えなければとても便利なものだと感じました。
サイエンスキャンプに参加して、同じような目標や興味を持った、本来なら会うこともなかった日本中の仲間たちと出会えて、いろいろな考えや思いを語り合うことができたのでとても良かったです。そしてそこからもたくさんのことを学ぶことができました。
また、普段はなかなか触れられない最先端の技術に触れられてとても楽しかったです。このキャンプで学んだことを学校の勉強や将来のことなどに役立てていきたいです。

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2010年09月14日

サマーサイエンスキャンプ報告①

 科学技術振興機構が主催するサイエンスキャンプがこの夏もおこなわれました。これは先進的なテーマに取り組み、最先端の研究施設・実験装置等を有する大学・公的研究機関・民間企業の研究所が高校生を受け入れて、研究開発の第一線で活躍する研究者・技術者による直接指導をおこなう、本格的な実験や実習を主体とした、科学技術体験合宿プログラムです。本校からも数名の応募があり、この夏は2名が参加しました。今週は彼らの報告をアップしたいと思います。

 どのようなプログラムなのかは、政府インターネットTVにアップされていますので、参考にしてください。実際に研究している現場でさまざまな体験することで、大学で何を学ぶのかが明確になると考えています。春・夏・冬の年3回されていますので、次の機会にはぜひ参加して欲しいと思います。

サイエンスキャンプ~高校生が最新の研究に挑戦!

2010年09月06日

ELCAS最終選考通過

 8月初めに高校1年生9名で受験したELCAS-最先端科学の体験型学習講座-第3期生の最終選考が届きました。学年からは一次選考を通過した2名のうちの1名が合格しました。彼は2月末まで、月2回京都大学で「化学」の講義を受講することになります。合唱コンクールが終わったらすぐに京都へ行って、インダクションセレモニー,オープン・コアコース,体験学習コース1回目を受けに行きました。今回は高温超伝導体YBCOの制作を実験してきたようです。高い内容の講義に触れてきた彼が、クラスや学年にもいい影響を与えてくれるものと期待しています。
ELCAS 詳細

2010年09月04日

文化祭第1日目④ 教室展示F組

F組では「カジノ」を営業しています。トランプや花札などのカードゲームをしているだけではなく、スロットマシンも自分たちで製作しました。装飾や衣装にも工夫を凝らして雰囲気を作り出しています。ルールもアレンジしていろいろな年齢層のお客さんに楽しんでもらえるようにしたようです。明日も朝から開いていますので、ぜひお越し下さい。

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2010年09月02日

合唱練習 F組

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 合唱コンクールが近づいてきました。他人にも、自分にも負けることが嫌いな集団が本気モードになってきたようです。意見の対立もみられますが、妥協せずにベストを尽くそうという共通認識で朝夕練習を積み重ねています。結果はどうなるかわかりませんが、彼らの成長に期待しています。

2010年08月31日

選特生物 授業の補足 5

実力考査【8】解説
 A槽のマルトース溶液とB槽のグルコース溶液を半透膜で仕切って放置するとB槽の液面が高くなったのは,B槽のグルコース溶液のほうが濃かったためです。問題文では質量濃度で与えられていましたが、ここで必要なのは浸透圧と比例関係にあるモル濃度であることに注意しましょう。ちなみにマルトースは二糖類で分子式はC12H22O11, 分子量は342ですから、単糖類であるグルコースの2倍近い質量を溶かさないと同じモル濃度にはなりません。
 次にマルターゼを加えると、1分子のマルトースは2分子のグルコースに分解します。つまりA槽のモル濃度は2倍になるので、B槽からA槽に向かって水が移動することになります。A槽の液面が高くなったのは、A槽に入っている液の浸透圧が大きくなったからなのです。

 原形質分離していたときのショ糖液の濃度は8.1g÷342g/mol÷50mL×1000mL/L=0.473mol/Lです。浸透圧と細胞の体積は反比例するのですから、等張液に浸したときの細胞の体積が1.5倍であるということから、等張液の濃度は0.473mol/L÷1.5=0.315mol/Lであると求めることができます。化学でモル濃度を学習したので、計算問題を入れてみました。

2010年08月19日

選特化学 夏の課題

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 生物と比べて、化学の課題の目的は分かりやすいですよね。1学期に習ったことの復習だけです。物理化学の領域である粒子論から始め、原子の構造や周期律を扱った上で、電気陰性度の違いによって原子を結合させる様式が異なることを説明しました。金属の結晶格子までが一つの大きな括りになろうかと思います。
 期末考査以降の授業と夏期講習では、化学反応式から物質量の関係を読み取り、質量や体積などに換算することを説明しました。この部分が今回の実力考査の中心となります。ほとんどの生徒が受講していましたから、十分に内容を理解できているとは思いますが、もう一度配付資料などで復習しておいてください。

2010年08月18日

選特生物 夏の課題

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 生物の夏の課題3つは進んでいますか。3つめの「みんなで夏の川さんぽ」は、日本自然保護協会 NACS-Jが主催している参加型プロジェクトです。15年前に長良川河口堰ができたことがきっかけで、1995年から5年おきに川を対象とした自然調べをおこなっているもので、今年で4回目となります。環境保護と言っても、いろいろな目的をもって、さまざまな活動がおこなわれています。私自身は京都でおこなわれた自然観察指導員講習会に参加したときに四手井綱英先生から森林(里山)の話を聞いたことが印象に残っています。それまでは分子生物学というmicroの分野にしか関心がなかったのが、生態系というmacroの世界の扉を開いていただいた感がありました。知識も大切ですが、経験する中で何かを感じ取って、それを自分が何かを考えるときの材料にしてほしいと思います。川に触れることで、見つかった何かを2学期に教えて下さい。

2010年08月16日

大阪大学公開講座レポート

 先週は京都大学理学部の公開講座に参加した生徒の様子をアップしました。あの講座はELCAS(最先端科学の体験型学習講座)第3期生の第1次選考を兼ねていましたが、本校からは2名の生徒が通過していました。高校2年生も数多く参加していた中で残ることができただけでも、優秀だと思います。
 
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 一方、大阪大学創造工学センターの公開講座に参加した生徒の様子が送られてきたので、制作したマシンの写真と感想をアップします。話を聴くだけではなくて、実際に自分の手でモノを創り出す経験は意義深いものであったでしょうね。

8月2日から5日まで大阪大学吹田キャンパスで「学ぶ!創る!競う!第4回ジャンピングマシンコンテスト」という工学部の夏期公開セミナーが行われました。僕ら3人は”Team sky lark”としてこのセミナーに参加しました。
 セミナーではマシンを「作る」のではなくて「創造」するというものでした。今までのような「答え」を見て作るのではなくて、作ったものすべてが「答え」という僕たちにとってやったことのない作業でした。形のないものをみんなで議論しあうのはとても難しいことで、自分の考えたことを他の人に伝える大変さを知りました。四苦八苦して完成したマシンは6チーム中4位と結果は奮わなかったものの、この四日間で僕らは大きく変わりました。初日のような意見がかみ合わないこともなくなり、お互いをよく理解した一番よいグループになりました。また、自分の意見を他人にわかるように発表する技を手に入れました。これからは、この経験を生かして自分の人生をよりよいものにしていきたいです。S.I. R.S. M.I

2010年08月13日

京都大学を肌で感じよう ⑧

参加した生徒の感想です。

天文と化学はまだわかりましたが、物理と数学はトンチンカンでした・・生物は普通でした。最後はノーベル賞の益川先生の話で、自分のあこがれからすべてが始まるみたいな話の内容でした。お昼は学食を食べたかったけど、たくさん人が並んでて食べれませんでした。とても残念です。代わりにカフェでホットドッグとアイスクリームを食べました。長丁場でしたが良い体験ができてよかったです。C.F.

講演を聞いた感想としてはとにかく話すスピードが速かったのと内容が難しかったと思いました。これからはわかる範囲を広げたいなと感じました。やることはまだまだ沢山あると気づいたけれどやる気も起こりました。早いうちに勉強を始めないと他校の生徒達に差が開けられるとも感じました。T.S.

今日は、行けてよかったです。物理と数学が全く理解できませんでした。物理が、あんなに化学と絡んでいるとは、おもっていませんでした。講演の中でも、一番興味を持ったのは、「ブラックホール」です。益川敏英名誉教授の 「努力という言葉は嫌いだ」という話に 最初は 驚いたが、一番印象に 残っています。特に興味をもったら、勝手に身体が動くというところです。基礎を、しっかり身につけれるように 残りの夏休みを 大切に過ごしていこうと思いました。Y.T.

私は、一番聞きたかった天文の講義が一番おもしろかったです。ブラックホールの姿が知れてよかったと思いましたが時間の都合上、いくつか飛ばされた説明も詳しく聞きたかったです。生物、化学も話の内容が理解できておもしろかったのですが、数学、物理は最初から最後まで理解できず、苦痛の時間でした。やはり自分は少なくとも理数系ではないと、改めて実感しました。でも理解できないままでは悔しいので、理数系の分野もがんばって勉強しようと思います。 K.K.

今日の講義は確かに話の内容だけだと僕には難しいものがたくさんありました。でもその中から少しでも話を理解しようとする事が大切だなと思いました。今から今日受けた講義が理解出来るように勉強していきたいなと思いました。理学の話から受験勉強の話までいろいろな話を目指している京都大学の先生や年の近い高校生の先輩方から聞けてよかったです。有意義な一日でした。R.S.

数学と物理はまだ習っていないところが沢山あったので全く分かりませんでした…。でも、以前から興味があった天文は、習っていないところがあったけどわくわくしながら聞けました。生物と化学はいままでに習った範囲でほとんど理解できたと思います!今日一番感動したことはノーベル賞を受賞した益川名誉教授を見られたことです。益川教授の「努力という言葉は大嫌いだ」という言葉には驚きましたが、自分の好きなことは努力しなくてものめりこめるという理由を聞いて納得しました。学食が食べられなくてとても残念でしたがカフェで食べたご飯は美味しかったので満足です!! また京都大学にいく機会があれば、ちゃんと予習をして講義に臨みたいです。そして、今度こそは学食を食べます!!! K.N.

僕は天文の嶺重教授の講演が聞きたくて応募したのだが、物理、生物や化学、特に数学に興味を持つことができた。数学はもう調べ尽くされた学問だと思っていたが、まだまだ研究が続いていて、今だに証明されていないものもあると聞いたからだ。また、益川敏英名誉教授が講演でおっしゃった「努力はしない。憧れがあれば無意識にやっている」という言葉にとても感動した。なぜなら、自分もそうだったからだ。これからは様々なことに憧れてみたいと思った。M.I.

今回、京都大学に行ってみて、その広さと雰囲気に圧倒されました。講演会では最先端科学を学ぶことができて、とても貴重な体験でした。高1の私には、理解できない部分が沢山ありましたが、生物や化学のミクロの世界については、とても興味深いものがありました。講演会を終えて、勉強に対するモチベーションが上がり、科学についての興味もわきました。これを機に科学だけでなく、多方面で視野を広げたいと思います。本当に今日は忘れられない経験になりました。 M.U.

2010年08月12日

京都大学を肌で感じよう ⑦

 京都大学らしいなと思ったのは、話をする先生方の姿勢です。正直言って親切さはあまり感じませんでした。教えてやろうというよりも、聴いてみて面白いと思えるなら自分からぶつかってきてごらん…というように見えました。講演時間は30分程度(実際には予定通りには終わりませんでしたが)で、20分の質疑応答を取っていたのも、その現れではないでしょうか。

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 ノーベル賞受賞者である益川敏英先生の「科学とあこがれ」という講演を聴いて、今回の公開講座は終了しました。益川先生は若者が科学に近づいていき、科学者になっていく過程にはあこがれがある、それはドンキホーテのようなものだという話から始められました。その上で、好きなものであれば、努力を意識することもなく打ち込めるだろうとも話されました。また、ヘーゲルの「自由とは必然性の造作である」という言葉を引き合いに出し、「科学とはより多くの自由を人類に用意するものである」から、どう利用するかは社会の課題であるとも話をされました。そして、いろいろな例を挙げて、基礎科学が社会で役に立つまで100年かかることにも触れられました。最後に、現在の科学は複雑化・高度化して個々の研究者には部分しか分からない状況になっているので、集団で研究していることが多いという話で締めくくられました。

2010年08月11日

京都大学を肌で感じよう ⑥

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 5つめの講座は化学でした。有機物性化学の北川宏先生による「金属と水素の関係」では、周期表や金属の結晶格子など1学期に習った範囲が出てきたので、取り組みやすかったようです。水素をエネルギー源として利用するために吸蔵合金の開発が必要であり、ナノレベルで金属原子を混ぜ合わせることができれば新しい性質をもった素材の可能性が広がるという内容であったように思います。

 生徒には、「北川先生自身は高校生のとき、暗記ばかりの化学は苦手だった」という話のほうが印象に残ったかもしれません。化学のおもしろさに目覚めて、教科書を何度も繰り返し解くうちに、化学が得意科目に変わったという話は、難しい講座を一日聴いて不安になっていた高校生にとっては、救いの手を差し伸べてもらえたような気持ちになれたのではないかと思います。

京都大学を肌で感じよう ⑤

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 昼食は特別に中央食堂を開けていますからどうぞとアナウンスがあったのですが、600人近い参加者を一度には収容できず、大変な混雑でした。ここで食事を取れたのは男子2名だけ。女子5名はそばのカフェへ移動して軽食を取り(写真はそのときの食事)、男子2名は大学の近くでラーメンを食べたそうです。生徒がそれぞれ食事を確保したことを確認して、正門横のカンフォーラへ入りました。(穴場だったようで、並ばずにすみました。) ランチが570円でしたから、それほど高くはありませんよね。有名な総長カレーを買ってくるゆとりもありました。

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 4講座目は数学でした。森脇淳先生の「生成関数の世界」は高校生にとって、この日最も難解だったかもしれません。一般参加者には事前にレジュメが配布されていましたが、レジュメなしで聴いていた高校生は次々と展開される数式にかなり苦戦していました。数列, 漸化式あたりは聞いたことのある単語でしょうが、テーラー級数やマクローリン展開は彼らの常識の中にはなかったようです。

2010年08月10日

京都大学を肌で感じよう ④

8日におこなわれた京都大学公開講座の続きです。

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 2講座目は物理分野でした。原子核理論の國廣悌二先生による「超高温・高密度の世界-素粒子は溶けるか?」は、原子の基本構造を習ったばかりの高校1年生にとっては大きな壁になってしまいました。温度や圧力によって相転移が起こるように、素粒子の世界でも温度や圧力によって挙動が異なるのだという話をされていたのですが、短い時間では素粒子の概念を消化するので精一杯のようすでした。

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 3講座目は生物分野でした。植物系統分類学の戸部博先生による「植物は雄だって強い雌が好き」は、物理分野に比べると取っつきやすかったようです。被子植物の受精は夏休み前に習ったばかりですし、「競争は種子の適応能力を高め、進化に大きな役割を果たす」という結論もそれほど突飛な印象は受けないでしょうね。話に出てきたブナ科の植物であるクリ,ウバメガシを解剖して、受精していない胚珠の観察をしてみるのもおもしろそうでした。

2010年08月09日

京都大学を肌で感じよう ③

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 受付でレジュメと感想の記入用紙を渡されて、指定された席に案内されました。早い時期に応募したので、本校の9名は最前列のほぼ真ん中に並ぶことになりました。ここじゃ寝れないね…と口では冗談を言っていましたが、緊張したようです。定員500名のホールは満席で、立見席が用意されるほどの盛況ぶりでした。

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 1つめの講義は天文分野でした。宇宙物理学教室の嶺重慎先生が「ブラックホールの常識・非常識」というテーマで30分強の講義をおこない、質疑応答の後、レジュメと感想を記入・提出という形でおこなわれました。残りの4分野の講座についても同じ形式です。18世紀に発達したニュートン力学から想定されたのは「ブラックホール」という概念であり、実際にその存在が確認されたのは1970年のはくちょう座X1が最初であることという話から始まり、星の最後の姿の一つとして、太陽質量の20倍程度の星がブラックホールになるあたりまでは話についていけたようです。ブラックホールは光を発しないイメージがあるが、落ち込むガスのエネルギーで光っているとか、すべての銀河の中心に巨大ブラックホールがあるといった興味深い話で時間となりました。

京都大学を肌で感じよう ②

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 受付が9時15分からでしたので、8時45分頃、京阪電鉄出町柳駅に集合してもらいました。京都大学では1時間目が8時45分に始まるから、もう少し早く家を出ないと間に合わないんだよと話をしながら、吉田キャンパス(本部構内)まで歩いてもらいました。文系学部や工学部のある本部構内の北には、理学部や農学部のある北部構内、南には総合人間科学部のある吉田南構内や医学部のある医学部構内、さらに南には薬学部や稲森財団記念館のある薬学部構内があり、ここまで来ると最寄り駅が神宮丸太町駅になると聞いて、キャンパスの広い総合大学のイメージをつかんでもらえたようです。講演会場のある時計台の前にはたくさんの高校生が集まっていました。

京都大学を肌で感じよう ①

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 昨日、京都大学で「高校生よ、未来の科学者へ!京都大学理学研究科 益川敏英名誉教授および教授5人による講演会(数学、物理、化学、生物、天文)未来の科学者への扉」というイベントがおこなわれました。9名の生徒を引率して参加しましたので、その様子を報告します。ELCAS第3期生選抜の第1次選考試験も兼ねており、内容・量ともに充実していました。高校1年で参加するにはちょっとハードだったかもしれません。何回かに分けてリポートしたいと思います。

2010年08月05日

選特化学 講習の補足 3

 4日目は「化学反応式の作り方」を扱いました。目算法や未定係数法については、改めて説明する必要もないでしょう。化学反応の理論をまだ習っていない高校1年生にはそれしか方法がないのが辛いところです。理論化学を学ぶことで丸暗記しなくてもいいのですから、少しでも何とかしたいでしょうね。

 授業で紹介したのは次の3種類です。(1) 有機化合物の燃焼,(2) 中和反応,(3) 酸化還元反応。最初の燃焼はすぐに理解できたようですが、酸が出す水素イオンと塩基が出す水酸化物イオンから水ができる中和反応,還元剤から酸化剤へ電子を受け渡す酸化還元反応は少し難しかったかもしれません。化学反応式を通じて化学反応を具体的にイメージできるようになれば…と思います。明日は講習最終日。これで終わりにするのではなく、自分で復習するきっかけにして欲しいと考えています。

2010年08月04日

選特化学 講習の補足 2

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 今日は密度 density と濃度 concentration を取り扱いました。どちらも一定の体積に存在する量を指している言葉なので、問題を解く中で混同してしまう生徒もいるようです。前者は存在している量が全体であるのに対して、後者は存在している量が部分であることが異なります。したがって、密度は純物質・混合物のいずれにも当てはめることができますが、濃度は混合物にしか当てはめることができません。例えば、食塩水(混合物)を例に説明すると、密度は1cm3中の食塩水の質量(g)ですが、濃度は1L中の食塩の物質量(mol)です。単位が異なることよりも大切なのは、溶液全体を対象にしているのか、一部である溶質を対象にしているのかです。計算問題を苦手としている生徒の中には用語の定義を曖昧にしているために苦戦していることもあるようです。

2010年08月03日

選特化学 講習の補足 1

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 化学の夏期講習で使った単糖 monosaccharide の分子モデルです。分子は原子が共有結合してできていますが、分子が大きくなるとイメージしにくいので、模型で見てもらいました。左側がフルクトース(果糖),右側がグルコース(ブドウ糖)です。炭素原子を黒,酸素原子を赤または青,水素原子を白の粒子で表現しています。どちらも分子式はC6H12O6となりますが、構造が異なるので性質も異なります。このような関係を異性体 isomerといいます。

 画面上で確認したい人のためにリンクを貼っておきます。VRMLファイルなので必要に応じてCortona3D Viewerをインストールしてください。
  フルクトース
  授業では五員環構造を示しましたが、結晶中では六員環をとります。
  αグルコース

2010年08月02日

夏期講習B日程開始

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 国数英を中心に組まれたA日程とは異なり、理科と数学だけのB日程ですから受講者は少なそうに思いますが、教室はこの通りギッシリと埋まっています。化学は「化学式の意味,分子量・式量の計算」を、物理は「有効数字,運動方程式」をテーマにそれぞれ50分の講義をおこないました。金曜日まで5日間連続で開講します。

2010年07月24日

勉強合宿第4日目 ③

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 残り6回の食事をコンプリートしておきました。合宿最後の食事はお約束?のカレーでした。用意して下さった食堂の方々に対してお礼を口にしている生徒もいました。感謝の気持ちは大切です。

  第2日目夕食 酢豚 739kcal
  第3日目朝食 ポークソーセージ 537kcal
       昼食 サーモンの唐揚げ 541kcal
       夕食 茶美豚のグリル 629kcal
  第4日目朝食 サワラの幽庵焼き 408kcal
       昼食 カレーライス 1227kcal

勉強合宿第4日目 ②

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 最終日なので、確認テストを実施する教科が多いようです。2時間目の英語は初日のアナウンス通り、50問のイディオムのテストでした。満点をとった生徒にはご褒美が出るようで張り切って取り組んでいました。直後の漢文では入試問題を使ったテストが行われ、終わったあとはぐったり…といった様子でした。お昼を食べて、午後から最後の授業があと3時間です。

勉強合宿第4日目 ①

 おはようございます。須磨は今日も快晴、暑いです。もっとも外に出ていませんので、教室の熱気だけですが…

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 いよいよ最終日となりました。今朝の朝礼では高校1年生の体育委員が指示を出して、軽いストレッチでからだをほぐし、学級委員が「最後までしっかりと取り組みましょう」と締めてくれました。15時まで授業を6時間受けたら、勉強合宿も終わりです。

2010年07月23日

勉強合宿第3日目 ②

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 勉強合宿も後半に入りました。少しずつ疲れは出てきているようですが、それぞれが頑張ろうとする姿勢を見せています。朝礼では高校2年生が「勉強だけじゃなくて、何かもう1つ一生懸命取り組めることを持とう」と、自分が続けている空手を例に話をしてくれました。なかなか説得力があって良かったです。


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 昼食後の教室の様子です。本番を合宿直後の日曜日に控えているマンドリン部の生徒たちが、合宿所に楽器を持ち込んで練習しています。合間を利用して、問題演習に取り組む者、暗唱例文をチェックする者など、それぞれが自分の課題に向き合うようになってきました。

勉強合宿第3日目 ①

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 おはようございます。3日目の朝を迎えました。宿舎からは神戸の海がこんなふうに見下ろせます。夜、ライトアップした風景も美しく、勉強が終わって部屋に戻る気持ちを和ませているようです。今のところ高1は体調を崩した生徒も出ず、勉強合宿後半に入ります。国語・英語・数学、それぞれの教科でしっかりと課題を渡されて、「今まで一番勉強した」と言えるように机に向かい始めています。

2010年07月22日

勉強合宿第2日目 ②

 勉強すること,食べること,寝ることの繰り返しですから、食事の時間は大切です。ここまでの4回のメニューをアップしておきます。あまり意味はないですが、ほかに大きな変化がありませんので…

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第1日目 昼食 チキンソテー おろしポン酢 664kcal
      夕食 ガーリックステーキ 762kcal
第2日目 朝食 ホッケの塩焼き 338kcal
      昼食 酢豚 739kcal

勉強合宿第2日目 ①

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 勉強合宿2日目が始まりました。昨日は部屋に帰っても遅くまで机に向かっていたようですが、疲れもまったく見せずに朝を迎えました。剣道部の生徒が素振りをしている横で、楽しそうに「だるまさんが転んだ」や「鬼ごっこ」に興じている高校1年生はまだまだ大丈夫なようです。玄関先で朝礼をおこない、ラジオ体操でからだを動かした後、高校2年生の学級委員が全体をピシッと引き締めてくれました。

2010年07月21日

勉強合宿第1日目 ②

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 昼食後、午後の授業が始まりました。クラスを2展開して、中入生は数学と漢文,高入生は古文にそれぞれ取り組みました。もちろん数学の教材も、古典の教材も各自でやっておくように渡されています。この授業が終わったら、各自で荷物を部屋に運び込んで、着替えます。

勉強合宿第1日目 ①

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 JRの事故の影響もなく、選抜特進の勉強合宿は無事に始まりました。垂水区にある三洋電機研修センターに到着後、開校式で所長さんのご挨拶をいただき、早速授業が始まりました。高1は午前中2時間、英語の授業です。暗唱例文を渡されて、すでに悲鳴を上げています。

2010年07月15日

勉強合宿のしおり配布

 選抜特進コースの勉強合宿は来週21日(水)~24日(土)に実施します。実施要領はすでに配布しましたが、「しおり」を配布しました。準備してくる教材や授業時間割を載せていますので、当日忘れないように指導しました。高校1年生は初めての勉強合宿となりますので、週末までに説明する時間を取る予定です。

2010年07月02日

勉強合宿実施要領

 集団生活しながら自ら学ぶ意欲を養う目的で、選抜特進1年・2年を対象に実施します。期間や合宿場所など概略をお知らせするために、高1Fのみ配布しました。詳しいことは後日しおりを配布して説明する予定です。

2010年06月27日

1学期期末考査時間割(選抜特進)

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 5日(月)~9日(金)までの5日間に1学期期末考査をおこないます。なお、試験1週間前は原則部活動禁止です。今回も自主的に教室へ残って「学習会」をおこなうようです。理解が不十分なところは学校で質問するなどして解決し、家で定着させるための演習をおこなうというサイクルが確立しつつあります。進度の速い選抜特進ですが、生徒は前向きに取り組んでいます。

 5日(月) 数学A 英語演習 地理
 6日(火) 古典 物理Ⅰ
 7日(水) 数学Ⅰ 生物Ⅰ
 8日(木) 英語Ⅰ 世界史 保健
 9日(金) 化学Ⅰ 現代文

2010年06月11日

文楽を見ての感想③

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 初めて文楽を見て、とても感激しました。文楽について詳しく知ることもできました。人形を操っている主遣いや足遣いの人の技術がすごいなと思いました。人形を操るのは本当に難しそうでした。三味線も普通のものより太くて低い音だったので驚きました。伝統の長い文楽を見ることができて、とても貴重な経験ができました。 Y.S.

 人形の構造や操り方がよく分かりました。3人でタイミングを合わせて動かすのはすごく難しいと思うけど、一体の人形を3人で操って分担することによって、人形の細かい表情などを表すことができるんだと知ることもできて、とても楽しかったです。私も一度、人形を操ってみたいです。場面が変わるとき、とても迫力がありました。日本文化にはたくさん素晴らしい伝統があり、とても良いものだと思いました。 A.F.

2010年06月10日

文楽を見ての感想②

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 楽器が三味線だけなのに物足りなさを感じなかったし、それぞれの場面と合っていてびっくりした。太夫さんは一人で何人もの役をやり、お腹から声が出ていてすごいなと思った。迫力があってよかった。人形の動きがなめらかで三人で動かしているようには見えなかった。文楽なんてめったに鑑賞する機会がないので、見られてよかった。なぜ、女子は技芸員になることができないのかな。 E.Y.

 人形を動かすことはとても難しいことが分かりました。3人がそれぞれ息を合わせないと動きが雑になってしまうので、集中力が必要だと思います。人形にはしかけがされてあって、それを動かしつつ自分の体でいかに人形が生きているように見せることはとても大変なことだと思います。私も一度人形を操ってみたいです。 S.M.

2010年06月09日

文楽を見ての感想①

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 人形が生きているみたいだった。とても動きがなめらかだった。お茶を入れたり、飲んだりするときの首の動きが本物みたいですごかった。セリフを話している人形でなくてもそれぞれ動作をしているところが奥が深いなと思った。表情がなくても、仕草と声の調子だけで表現できるのはすごいと思った。 M.Y.

 人形の動きは本当の人間のようでした。太夫さんはひとりで語っているのに何人もの役をこなしていてすごく大変そうだなと思いました。人形を操っている主遣い,左遣い,足遣いは合図だけで人形を操っていて、修行(?)を積んでいないとできないんだろうなと感じました。太夫さんの話し方は感情が込められていて、時代劇なんかを見ているように思いました。人形の動きは大げさで分かりやすかったです。(特に権四郎さんが怒るところ) Y.W.

2010年06月01日

選特化学 授業の補足 6

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Linus Carl Pauling 1954年ノーベル化学賞,1962年ノーベル平和賞受賞

 分子の構造のまとめとして、大学入試問題に取り組んでもらいました。そこで出てきたオゾンO3や一酸化炭素COの構造はオクテット則で説明できないために苦労したようです。

 まず、オゾンは酸素原子3個が結合してできる酸素O2の同素体です。構造式は次のようになります。
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左側の状態と右側の状態はきわめて短い時間で入れ替わっています。そのため、実際には単結合と二重結合の中間の性質を示します。この状態を「共鳴」といい、オゾン分子は上記2つの極限構造からなる共鳴混成体として説明されます。前回紹介したVSEPR理論より、オゾン分子は折れ線型となるので、極性分子です。(中心の酸素原子が+に、両端の酸素原子が-の電荷を帯びている状態)

 次に、一酸化炭素の構造式は次のようになります。
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この場合もオクテット則を満たさず、共鳴構造で説明されることになります。この共鳴理論を提唱したのが、ライナス・カール・ポーリング Linus Carl Pauling です。

2010年05月30日

選特生物 授業の補足 4

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Lynn Margulis 細胞内共生説を提唱

 生物界を5つに大きく分類する「五界説 Five-Kingdom System」を紹介しました。微生物や単細胞生物が知られるようになると、植物と動物に二分する分類体系には無理があると考えるようになりました。授業で紹介したのは、ホイタッカー Robert Harding Whittaker が提唱した「五界説」をマーギュリス Lynn Margulis らが修正したものです。

 マーギュリスは細胞内共生説を提唱したことでも知られています。これは真核生物のミトコンドリア,葉緑体,鞭毛が原核生物に由来するものであるという考え方です。(現在、鞭毛については否定されています。) ミトコンドリアが好気性細菌,葉緑体がシアノバクテリアをそれぞれ取り込んだものとする根拠は
 1 ミトコンドリアや葉緑体が二重膜で包まれていること
 2 ミトコンドリアや葉緑体は独自のDNAを持っていること
 3 ミトコンドリアや葉緑体によって生じる形質はメンデル遺伝に従わないこと(細胞質遺伝)
などが挙げられています。

2010年05月29日

環境宣言の日

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 F組では8時20分からの10分間で、なぜ今日が「環境宣言の日」なのかを、中学のときに環境大使として活動してくれた生徒たちに説明してもらいました。2年前、枝廣淳子さんに講演してもらったのが考えるきっかけになったこと、去年、カネデイアンアカデミーの生徒と一緒に活動して気づいたことなどが、55期生の中で共有されればと思います。

 生物の授業でも、なぜ「環境」に配慮する必要があるのかを考えてもらいました。「エコ」が流行だからではなく、自分たちがこれから生活していく上で「持続可能な社会」を実現していく必要があることに意識が向けばと思います。今年COP10が開催されることや高2での北海道修学旅行を意識して、「生物多様性」も学んでもらおうと考えています。参考資料として、グループごとにThink the earth paper Vol.5, Vol6を配布しました。数は限られますが、希望者に分けることができます。また、バックナンバーをウェブ上で読むことも可能です。
Think the earth paper はここをクリック

2010年05月28日

PTA懇親会でした②

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 今日は特進Ⅱ,選抜特進コースの懇親会でした。先日の特進Ⅰ同様、学校と家庭とで協力して生徒の教育にあたっていくための下地づくりに良い機会だったと思います。いただいたご意見は今後の指導の参考にさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

2010年05月21日

選特化学 授業の補足 5

 分子の極性を考えるときに、分子がどのような形をしているかが影響することは授業で説明しました。そのときに、水H2Oは折れ線型になるが、二酸化炭素CO2は直線型になる理由については省略をしました。気になる生徒もいるようですので、かいつまんで解説をします。

 最外殻の電子対どうしは反発しあい、互いに最も離れ合う方角に伸びて分子をつくるという考え方をVSEPR理論といいます。VSEPR理論による分子構造予測の手順は次の通りです。
①電子式を描く。 ②中心の原子から、非共有電子対も含めて電子対がどの方向に伸びるかを考える。③多重結合は束ねる。④電子対どうしが最も離れ合う方向に電子対を伸ばす。⑤電子対の延長線上に結合相手の原子を配置する。
 この考え方で分子構造を予測すると、電子対が4方向に伸びている分子の内、メタンCH4が正四面体型,アンモニアNH3が三角錐型,水H2Oが折れ線型になることがわかります。

2010年05月20日

なんとかなるといいね

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 静かに自学自習…という状況にない選抜特進の生徒はF組に集まって、自主的に勉強会を始めました。特に数学や物理に手を焼いている生徒が多く、担当の先生にミニ授業をしてもらったり、お互いに教え合ったりして、来週からの中間考査をなんとか乗り切ろうとしています。科目数も多く、授業の進度も速いので彼らも大変です。

2010年05月15日

1学期中間考査時間割(選抜特進)

 24日(月)~28日(金)までの5日間に1学期中間考査をおこないます。24日(月)は中学が授業をおこなっている関係で、通常の授業と同じ時程です。25日以降は、1限 8:45~9:35,2限 9:50~10:40,3限 10:55~11:45の考査時程ですので、昼食は必要ありません。(放課後、教室に残って勉強するのはかまいません。)
 試験1週間前から試験最終日までは原則部活動禁止です。パワーアップゼミは火曜のみ実施、木曜日はありません。ノートなど課題を提出させる科目もありますので、授業中の連絡はしっかりと聴いておくことが大切です。

 24日(月) 物理 世界史
 25日(火) 数学A 英語Ⅰ 化学
 26日(水) 生物 古典
 27日(木) 現代文 地理
 28日(金) 数学Ⅰ 英語演習

2010年05月12日

選特生物 授業の補足 3

 細胞膜の構造として「流動モザイクモデル」を説明しました。生体膜は二層のリン脂質でできており、そこにさまざまなタンパク質が浮かんでいます。タンパク質は、膜を通じて物質を移動させるゲートの役割をしたり、外からの情報(化学的シグナル)を受け取ったりします。細胞への物質の出入りの調節をタンパク質がおこなっているという話は次回にします。

 大きな分子が膜を通過するには、その分子を膜で包んで小胞をつくる方法を取ります。細胞外にあるタンパク質やウイルスなどは細胞膜に包みこんで細胞の中に取り込み、リソソームと融合して細胞内消化されてしまいます。これをエンドサイトーシスといいます。マクロファージの食作用や原生動物の食胞が例としてあげられます。一方、細胞内のタンパク質は合成された後、ゴルジ体に貯蔵され、小胞に包まれて細胞膜の方へ移動し、細胞膜と融合して細胞外へ分泌されます。これをエキソサイトーシスといいます。ニューロンでの神経伝達物質の分泌などが例としてあげられます。細胞膜という境目があるのではなく、ダイナミックに活動していることに注目してほしいと思います。

2010年05月10日

春の遠足? 阪大見学ツアー

 体育大会代休を利用して、大阪大学豊中キャンパスを見学してきました。当初は参加者もそう多くないだろうと考えていたのですが、34名が参加して、春の遠足のようになりました。

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 最初に大阪大学総合学術博物館MOUを訪ねました。2~3年前に待兼山修学館を改修して、移設したということで、レトロな建物とは対照的に、見やすい展示になっています。最初に30分ほど館長の江口太郎教授自ら、収蔵品のレクチャーをしていただき、それぞれが関心の強い展示品を見てまわりました。マチカネワニや真空管計算機を見て、「本物に触れる」ことの大切さを知ってもらえたかなと思います。

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 ここからは先輩で現在基礎工学部4回生のFくんにガイドをお願いして、学内の施設をまわりました。共通教育本館イ号館,サイバーメディアセンター,図書館などを案内してもらいながら、大学生活を説明してくれました。昼休みには、選特1期生のOさん,Mさん,Yくんが授業の合間を利用して会いに来てくれ、いろいろと話をしてくれました。同じコースの先輩ということで、参考になる部分も多々あったようです。

 最後はカフェテリアで昼食をとって、大学生協の購買部をのぞいたあと、解散しました。実際に大学へ足を運んでみて、「地域に生き、世界に伸びる」というモットーや学風を感じとってくれたなら成功かなと思います。お疲れさまでした。

2010年05月03日

選特化学 授業の補足 4

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Robert Sanderson Mulliken 1966年ノーベル化学賞受賞

 電気陰性度について、「電子を離そうとしない,奪おうとする力」だと説明しました。イオン化エネルギーと電子親和力の相加平均で求めるという定義は「マリケンの電気陰性度」のもので、ほかにポーリングやオールレッド・ロコウのものも知られていますが、高校生にはこれでよいでしょう。

 周期表を見ると、右上に電気陰性度が大きいグループ,左下に電気陰性度の小さいグループと分けられます。右上のグループを「非金属元素」,左下のグループを「金属元素」といいます。2つの原子の結合形態が何になるかは、グループの組合せで推定することができます。この結合が、中和反応や酸化還元反応で切れるときに、どのように切れるかについても、電気陰性度によって説明できるのですが、それはその単元に学習しましょう。

2010年05月02日

選特生物 授業の補足 2

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Francis Harry Compton Crick(右) 1962年ノーベル生理学・医学賞受賞

 遺伝情報の流れを「セントラル・ドグマ」ということばで説明しました。ちょうどYouTubeに、国立科学博物館の企画展「DNAの先へ!生命の暗号・ゲノム解読の歴史と未来」で流していた動画「セントラルドグマ ~ゲノム情報からタンパク質ができるまで~」がアップされているのを見つけましたので参考にしてください。制作は事業仕分けで話題になっている独立行政法人理化学研究所です。小中学生の男の子には受けそうなナノマシーンでメカニカルに描かれていますが、知らない言葉がたくさん出てくるかもしれません。雰囲気だけ感じ取ってもらえれば…と思います。

2010年04月25日

選特生物 授業の補足 1

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Albert Claude 1974年ノーベル生理学・医学賞受賞

 土曜日の授業では、「細胞分画法 Cell fractionation」 について説明しました。この方法は、1930年にアルバート・クラウデによって考案されました。細胞膜が壊れて内容物が溶出するように細胞を破砕し、ろ過して細胞膜を取り除き、質量によって分画されるように遠心分離に供するというものです。クラウデは遠心で得られた液を特定の質量ごとの分画に分け、特定の分画が特定の細胞小器官を含んでいることを発見しました。細胞の構造と機能に関する発見によって、1974年にクリスチャン・ド・デューブらと共にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

2010年04月23日

選特化学 授業の補足 3

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Niels Henrik David Bohr 1922年ノーベル物理学賞受賞

 原子の構造や電子配置について説明しました。分かりにくくて質問が出ていたのは、M殻に収容できる電子数は18なのに、なぜ8個で閉殻構造になるのかという点でした。高校化学では副殻軌道(オービタル)までは扱わないので、「最外殻は8個」と覚えるように言いましたが、気になる人のために説明です。

 K殻,L殻,M殻は主殻とよばれる電子殻です。主殻に収容される電子の最大数は2n2で示されますから、M殻は18個ということになります。主殻の中には副殻軌道があり、M殻にはs, p, dの3つの副殻軌道に分けることができます。原子番号18のArでは、M殻のs, p軌道の8個は満たされています。この次に電子が入りやすいのは、M殻のd軌道ではなく、N殻のs軌道なので、原子番号19のKではN殻に1個追加されます。

2010年04月22日

パワーアップゼミ(数学)の授業風景

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 数学は基本的な内容の復習から入ったようです。徐々に進度が速くなるので、気を緩めてはいけません。7限の後の90分講座ですが、最後まで集中して取り組めたようです。

2010年04月18日

選特化学 授業の補足 2

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 化学が生活に密接に関連していることを話しましたが、ちょうどそれに沿った内容の本が出版されましたので、授業中に紹介しました。日本化学会が編集した「感動する化学 未来をひらく化学の世界」です。東京書籍から出版されています。10章立てで86の話題を紹介しています。理系の進路を考えている人だけではなく、化学の教科書の構成に合わせているので、高校化学を学んでいるすべての生徒にお勧めです。
 第1章 物質の構造,第2章 物質の状態,第3章 物質の変化,第4章 高分子・有機材料,第5章 無機・セラミック材料,第6章 電子情報材料,第7章 食品の化学,第8章 衣料の化学,第9章 生命の化学,第10章 環境とエネルギー
ISBN : 9784487804092

2010年04月16日

パワーアップゼミ開講式

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 高校校舎1Fの60(ろくまる)ホールでパワーアップゼミの開講式をおこないました。来週から週2回、数学と英語の講座が始まります。冒頭に教頭から講座について説明があった後、実際に講義をおこなう担当者が受講についての心構えを話しました。
 週2回18:00まで、90分間の講座を年間23回ずつおこないます。講義を受ける時間だけではなく、予習・復習の時間も必要になりますから、毎日の時間の使い方が大切になると思います。初回は来週火曜日20日の英語です。しっかりと取り組んで欲しいと思います。

2010年04月12日

選特化学 授業の補足 1

 今日は化学の最初の授業でした。授業での冒頭の質問が「なぜ化学を学ぶのか」でしたね。

 私たちの身のまわりで、化学という学問・研究分野で得られた知見や技術が利用されているからです。化学は生活に直結した実用的な学問であるということもできます。顔料や染料は彩り豊かな生活をもたらしましたし、医薬品や殺菌剤は病気の脅威から私たちを守ってくれます。合成繊維やプラスチックなどの素材は身のまわりにあふれています。農薬や化学肥料がなければ食糧問題は解決しなかったでしょう。便利で豊かな生活を享受できるのは、化学を含めた科学技術の発展のおかげであると言えます。

 ただ、問題がないわけではありません。科学技術の利用は地球環境や人間自身に負荷をかけているという側面もあるのです。21世紀を生きていく君たちは、将来に向けて科学技術をどのように使うかを考える必要性に迫られています。グリーン・サスティナブル・ケミストリー(GSC)という概念も生まれてきていますが、その話はいずれまた。

2010年04月09日

パワーアップゼミについて

 今年度も選抜特進コースを対象とした「パワーアップゼミ」を開講します。火曜日に英語、木曜日に数学の講義を16:30~18:00の90分間実施します。全員参加ですので、授業と同じ扱いであるとお考えください。日程など詳細につきましては、本日プリントを配布しております。